JP2019208735A - 歯科連結部材およびマウスピース - Google Patents

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崇史 雪田
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遥 高松
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Abstract

【課題】連結部材を大型化することなく、使用者の下顎の位置調整を容易にできる歯科連結部材を提供すること。【解決手段】貫通穴を有する筒状部材である筒状部を有し、上顎および下顎マウスピースの一方のマウスピースに取り付けられるアウターと、内表面に雌ねじが形成された挿入穴を有する筒状部材である本体部を有し、筒状部が有する貫通穴の内部にスライド可能に挿入されるスリーブと、雌ねじに螺合する雄ねじが形成され、かつ、雌ねじへの雄ねじの螺合によりスリーブに保持されるロッド状の挿入部を有し、上顎および下顎マウスピースの他方のマウスピースに取り付けられるインナーと、を有する、歯科連結部材。筒状部は、小径部を有し、スリーブは、いずれも小径部より大きい径を有する前後一対の拡径部を有し、筒状部の内部に挿入されたとき、一方の拡径部が小径部より内部側に、他方の拡径部が小径部より外部側に、それぞれ配置される。【選択図】図3B

Description

本発明は、歯科連結部材およびマウスピースに関する。
睡眠時無呼吸症候群の予防および治療などに使用するためのマウスピースが知られている。
たとえば、特許文献1には、上顎および下顎マウスピースを連結部材で連結して、これを装着した使用者の下顎を前方および下方に変位させる位置に下顎マウスピースを位置決めするマウスピースが記載されている。特許文献1によれば、上記上顎および下顎マウスピースに回動可能に上記連結部材を取り付けて、上顎および下顎マウスピースの位置を固定しないことにより、使用者の違和感を低減させるほか、使用者による舌の突き出しおよび飲料の摂取などが可能になるとされている。
また、特許文献2には、上記連結部材を、スリーブの中にロッドを挿入させてこれらを接続させる構成とした、マウスピースが記載されている。特許文献2によれば、回転ナットによって上記スリーブとロッドとの接続部の位置を変更することにより、上記連結部材の長さを調整して、使用者の下顎の位置を自由に調整できるとされている。
また、特許文献3には、アウター、上記アウターの内部にスライド可能に挿入されるスリーブ、および、ねじによって上記スリーブに螺合するインナーを有する歯科連結部材が記載されている。特許文献3によれば、上記ねじの螺合量によって歯科連結部材の長さを調整して、使用者の下顎の位置を自由に調整できるとされている。
米国特許出願公開第2007/0224567号明細書 独国特許出願公開第202012005525号明細書 国際公開第2018/016258号
特許文献1および特許文献2に記載のようなマウスピースには、使用者の顎の形状などにあわせて細かく下顎の位置を調整することが望まれている。しかし、特許文献1に記載のマウスピースは、下顎の位置の微調整が困難であり、特許文献2に記載のマウスピースは、上記スリーブとロッドとの接続部にナットを配置する必要があるため、連結部材が大型化してしまい、使用者への違和感を生じさせかねなかった。
上記問題に鑑み、本発明は、連結部材を大型化することなく、使用者の下顎の位置調整を容易にできる歯科連結部材、および当該歯科連結部材を有するマウスピースを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の一態様に関する歯科連結部材は、上顎および下顎マウスピースに取り付けられて前記上顎および下顎マウスピースを連結し、閉口時または開口時における前記下顎マウスピースの後方への変位を規制する歯科連結部材であって、貫通穴を有する筒状部材である筒状部を有し、前記上顎および下顎マウスピースの一方のマウスピースに取り付けられるアウターと、内表面に雌ねじが形成された挿入穴を有する筒状部材である本体部を有し、前記筒状部が有する前記貫通穴の内部にスライド可能に挿入されるスリーブと、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成され、かつ、前記雌ねじへの前記雄ねじの螺合により前記スリーブに保持されるロッド状の挿入部を有し、前記上顎および下顎マウスピースの他方のマウスピースに取り付けられるインナーと、を有する。前記筒状部は、前記貫通穴の径が小さくされた小径部を有し、前記スリーブは、いずれも前記小径部より大きい径を有する前後一対の拡径部を有し、前記筒状部の内部に挿入されたとき、前記一対の拡径部の一方の拡径部が前記小径部より内部側に、前記一対の拡径部の他方の拡径部が前記小径部より外部側に、それぞれ配置される。
また、上記の課題を解決するための本発明の一態様に関するマウスピースは、上顎および下顎マウスピースと、前記上顎および下顎マウスピースの側面に左右一対に取り付けられて、前記上顎および下顎マウスピースを連結する、上記歯科連結部材と、を有する。
本発明によれば、連結部材を大型化することなく、使用者の下顎の位置調整を容易にできる歯科連結部材、および当該歯科連結部材を有するマウスピースが提供される。
図1は、本発明に関するマウスピースの構成を示す模式的な正面図である。 図2Aは、本発明に関するマウスピースの構成を示す模式的な閉口時の側面図であり、図2Bは、本発明に関するマウスピースの構成を示す模式的な開口時の側面図である。 図3Aは、本発明の第1の実施形態に関する歯科連結部材の模式的な側面図である。 図3Bは、インナーがアウターに対して最大限に挿入されたときの様子を示す、図3Aに示す歯科連結部材の断面図である。 図3Cは、インナーがアウターに対して最大限に引き出されたときの様子を示す、図3Aに示す歯科連結部材の断面図である。
以下、複数の実施形態を用いて、本発明の歯科連結部材およびマウスピースを説明する。
なお、以下の説明において、「前方」および「後方」は、それぞれ、マウスピースを装着した使用者の前方に向かう方向(口腔内で舌体から見て口唇側に向かう方向)および後方に向かう方向(口腔内で舌体から見て喉側に向かう方向)を意味し、「下方」は、マウスピースを装着した使用者の下方に向かう方向(使用者が直立したときに頭頂から足下へ向かう方向)を意味し、「左右方向」は、マウスピースを装着した使用者の上顎の正中を基準として、使用者に前方に向かって左右の方向(具体的には上顎の正中からみて両側の頬に向かう方向)を意味し、「外側」および「内側」は、それぞれ、マウスピースを装着した使用者の体表に近い側および体表から遠い側を意味する。
また、以下の説明において、マウスピースを装着した使用者が閉口しているときを「閉口時」といい、マウスピースを装着した使用者が開口しているときを「開口時」という。閉口時には、上顎マウスピースおよび下顎マウスピースは、互いの対向面が略平行となるように配置され、開口時には、下顎マウスピースが円弧状の軌道上を移動することにより、上顎マウスピースおよび下顎マウスピースは、互いの対向面が最大で約45°程度の角度を有するように非平行に配置される。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るマウスピース100は、マウスピース100の構成を示す模式的な正面図である図1、ならびに閉口時の側面図である図2Aおよび開口時の側面図である図2Bに示すように、対向する一対の上顎および下顎マウスピース、ならびに上顎および下顎マウスピースを連結する左右一対の歯科連結部材200を有する。上顎マウスピース110は使用者の上顎に、下顎マウスピース120は使用者の下顎に、それぞれ装着可能に構成されている。
上顎マウスピース110は、使用者の上顎の歯列に装着可能な歯列型取部112が形成されて、使用者の上顎に装着可能に構成される、上顎マウスピース本体部114を有する。また、下顎マウスピース120は、使用者の下顎の歯列に装着可能な歯列型取部122が形成されて、使用者の下顎に装着可能に構成される、下顎マウスピース本体部124を有する。また、下顎マウスピース120は、その一方の端部が上顎マウスピース本体部114の側面116に取り付けられ、他方の端部が下顎マウスピース本体部124の側面126に取り付けられた、歯科連結部材200によって、対向して配置された上顎マウスピース110に連結される。
歯科連結部材200は、その模式的な側面図である図3Aおよび側面視における断面図である図3Bおよび図3Cに示すように、アウター210、スリーブ220、およびインナー230を有する。なお、図3Bは、インナー230がアウター210に対して最大限に挿入されたときの様子を示す歯科連結部材200の断面図であり、図3Cは、インナー230がアウター210に対して最大限に引き出されたときの様子を示す歯科連結部材200の断面図である。歯科連結部材200は、インナー230がアウター210に対してスライド可能に保持されるため、アウター210に対するインナー230の位置は、図3Bと図3Cの間の任意の位置となることができる。これにより、歯科連結部材200は、図3Bと図3Cの間の長さに伸縮することができる。
アウター210は、上顎マウスピース110に取り付けられる上取付部212と、貫通穴214を有する筒状部215と、を有する。アウター210が有する上取付部212は、筒状部215に対して側方の、貫通穴214が延在する方向(以下、「筒状部215の軸方向」または単に「軸方向」ともいう。)からずれた位置に、配置される。スリーブ220は、アウター210が有する筒状部215の内部にスライド可能かつ回転可能に挿入される。インナー230は、下顎マウスピース120に取り付けられる下取付部232と、ロッド状の挿入部235と、を有する。インナー230が有する下取付部232は、挿入部235が延在する方向と略同一直線上に、配置される。インナー230が有する挿入部235は、スリーブ220が有する本体部225の内部に挿入されて、スリーブ220に保持される。これにより、アウター210とインナー230とは、スリーブ220を介して連結される。
上顎マウスピース本体部114は、その外側面116に、アウター210を取り付けて保持するための上保持部130を有する。また、下顎マウスピース本体部124は、その外側面126に、インナー230を取り付けて保持するための下保持部140を有する。下保持部140は、閉口時に上保持部130より前方となる位置に配置される。
上保持部130は、上顎マウスピース本体部114の側面116に固定されて側面116から外部方向に延出する略円柱状の上軸体132と、上軸体132の先端からさらに外部方向に延出する柱状の上フランジ部134と、を有する。上フランジ部134の底面は、長軸および短軸を有する角丸長方形形状であり、上記長軸の長さは、上軸体132の底面を構成する円の直径よりも大きい。上記長軸は、上顎マウスピース110が下顎マウスピース120に対向する対向面に対して60°〜120°の傾斜角を有すればよい。本実施形態では、上記長軸は、上記対向面に対して約90°傾斜する。
下保持部140は、下顎マウスピース本体部124の側面126に固定されて側面126から外部方向に延出する略円柱状の下軸体142と、下軸体142の先端からさらに外部方向に延出する柱状の下フランジ部144と、を有する。下フランジ部144の底面は、長軸および短軸を有する角丸長方形形状であり、上記長軸の長さは、下軸体142の底面を構成する円の直径よりも大きい。上記長軸は、下顎マウスピース120が上顎マウスピース110に対向する対向面に対して60°〜120°の傾斜角を有すればよい。本実施形態では、上記長軸は、上記対向面に対して約90°傾斜する。
アウター210の上取付部212は、略円柱形の貫通孔を有するアイレットとなっている。上記貫通孔を構成する上記円柱は、その底面の直径が、上保持部130が有する上フランジ部134の長軸の長さと略同一である。また、アウター210の上取付部212の厚みは、上保持部130が有する上軸体132の厚み(上顎マウスピース本体部114の側面116から延在する高さ)と略同一であるか、または上軸体132の厚みよりもわずかに薄い。
また、インナー230の下取付部232も、略円柱形の貫通孔を有するアイレットとなっている。上記貫通孔を構成する上記円柱は、その底面の直径が、下保持部140が有する下フランジ部144の長軸の長さと略同一である。また、インナー230の下取付部232の厚みは、下保持部140が有する下軸体142の厚み(下顎マウスピース本体部124の側面126から延在する高さ)と略同一であるか、または下軸体142の厚みよりもわずかに薄い。
歯科連結部材200は、アウター210の上取付部212が有する貫通孔に上保持部130が有する上フランジ部134を挿入して通過させ、上保持部130の軸体にアウター210の上取付部212を引っ掛けることにより、上顎マウスピース110に取り付けられる。また、歯科連結部材200は、インナー230の下取付部232が有する貫通孔に下保持部140が有する下フランジ部144を挿入して通過させ、下保持部140の軸体にインナー230の下取付部232を引っ掛けることにより、下顎マウスピース120に取り付けられる。歯科連結部材200は、使用者がマウスピース100を装着したときには、上保持部130が有する上軸体132にアウター210の上取付部212が引っ掛かり、下保持部140が有する下軸体142にインナー230の下取付部232が引っ掛かっているため、マウスピース100から離脱しにくい。
また、このとき、歯科連結部材200は、アウター210の上取付部212が、回動可能に上保持部130が有する上軸体132に引っ掛かり、インナー230の下取付部232が、回動可能に下保持部140が有する下軸体142に引っ掛かる。そのため、マウスピース100は、これを装着した使用者の開口および閉口を制限しにくい。
歯科連結部材200は、開口時または閉口時において、上顎マウスピース110が有する上保持部130と下顎マウスピース120が有する下保持部140との間の距離を所定の範囲に保つことにより、下顎マウスピース120の後方への変位を規制する。このとき、上記距離の最小値が、下顎マウスピース120が後方へ変位できる限界を規定する。
また、歯科連結部材200は、後述するように、インナー230およびスリーブ220がアウター210に対してスライド可能に連結されて伸縮可能な構造となっており、かつ、上顎マウスピース110および下顎マウスピース120に取り付けたときに、インナー230およびスリーブ220がアウター210より前方に配置される。そのため、歯科連結部材200は、マウスピース100を装着した使用者の下顎の後方への変位を抑制しつつ、スリーブ220がスライド可能な範囲内での、使用者による前方または下方への下顎の自由な移動を可能として、使用者の違和感を低減させることができる。
なお、上記した上保持部130と下保持部140との間の距離の最小値は、アウター210が有する筒状部215に対してインナー230が有する挿入部235が挿入され得る深さ(長さ)によって調整可能である。上記筒状部215に対して挿入部235が挿入され得る深さは、スリーブ220が有する本体部225に対してインナー230が有する挿入部235が挿入される深さによって調整される。
アウター210は、略円柱状の貫通穴214を有する筒状部材である筒状部215を有する。筒状部215は、インナー230の挿入部235が挿入される側の端部(以下、単に「挿入側端部」ともいう。)に、塑性変形により貫通穴214の開口径を小さくした小径部216を有する。
スリーブ220は、挿入側端部に形成された、略円筒形の本体部225と、挿入側端部、および、その軸方向における略中央部から挿入側端部とは反対側の端部(以下、単に「反対側端部」ともいう。)に形成された、前後一対の略円柱形の拡径部226aおよび拡径部226bと、を有する。本体部225は、上記円筒の底面を構成する円の直径が、筒状部215が有する小径部216の開口径より小さい。拡径部226aは、上記円柱の底面を構成する円の直径が、筒状部215が有する貫通穴214の径より小さく、かつ小径部216の開口径より大きい。拡径部226bは、上記円柱の底面を構成する円の直径が、小径部216の開口径より大きい。スリーブ220は、本体部225と拡径部226aおよび拡径部226bとが一体的にスライド可能に、アウター210が有する筒状部215の内部に挿入される。
本体部225は、インナー230の挿入部235が挿入可能な形状を有する挿入穴を有する筒状部材であり、ねじ山(雌ねじ)227を、上記挿入穴の内周面に有する。
拡径部226aは、マウスピース100を装着した使用者が下顎を動かして、スリーブ220が有する本体部225がアウター210から抜き出される方向にスライドするとき、筒状部215が有する小径部216の反対側端部の面に当接してスリーブ220のさらなるスライドを規制する。これにより、拡径部226aは、スリーブ220の、アウター210からの離脱を抑止する(図3C参照)。
また、拡径部226aは、反対側端部に形成された、ねじ回しと係合可能なねじ穴228を有する。
拡径部226bは、マウスピース100を装着した使用者が下顎を動かして、スリーブ220が有する本体部225がアウター210に挿入される方向にスライドするとき、筒状部215の挿入側端部(筒状部215が有する小径部216の挿入側端部側の面も含む)に当接してスリーブ220のさらなるスライドを規制する。これにより、拡径部226aは、スリーブ220の、アウター210への過度の挿入を抑止する(図3B参照)。
このようにして、拡径部226aと拡径部226bとの間の長さが、スリーブ220(およびスリーブ220に連結されたインナー230)がスライド可能な範囲となる。
なお、拡径部226bは、インナー230の挿入部235が挿通可能な貫通孔を有し、上記貫通孔は、略円筒形の本体部225が有する挿入穴と略同一の径を有し、上記挿入穴に連通している。
インナー230は、スリーブ220の内部に挿入されてスリーブ220に係合するロッド状の挿入部235を有する。挿入部235は、スリーブ220が有する本体部225の内周面に形成されたねじ山227に螺合するねじ山(雄ねじ)237を、その外表面に有する。挿入部235は、スリーブ220が有する本体部225のねじ山227に、挿入部235が有するねじ山237を螺合させて、スリーブ220またはインナー230を回転させることにより、スリーブ220に対して軸方向に位置調整されて位置決めされる。挿入部235は、スリーブ220の内部に挿入され、上記ねじの螺合によってスリーブ220に保持される。これにより、スリーブ220とインナー230とは連結され、また、アウター210とインナー230とも連結される。スリーブ220と連結されたインナー230は、アウター210が有する筒状部215の内部を、スリーブ220と一体的にスライドする。インナー230がスリーブ220と一体的に筒状部215の内部をスライドすることにより、歯科連結部材200は伸縮する。
上顎マウスピース110および下顎マウスピース120は、ヒトの通常の咬合力によって破損しにくい材料から形成される。
たとえば、上顎マウスピース110および下顎マウスピース120は、JIS T 6501に準じて測定される曲げ弾性率が2000MPa以上3000MPa以下の単一の硬い材料(たとえばアクリル樹脂)や、10MPa以上300MPa以下の柔らかい材料と1000MPa以上3000MPa以下の硬い材料とを組み合わせた材料から形成されてもよい。
また、上顎マウスピース110および下顎マウスピース120は、使用者の歯への追従性を高めるため、引張強度150N以上2000N未満、好ましくは150N以上500N以下の比較的柔らかい材料から形成されてもよい。
なお、引張強度は、ニッシン標準模型を用いて作製したマウスピース(厚さ3mm)の上顎マウスピースにおける歯列6番にφ1.5mmの穴を開け、臼歯方向(後方)に引張試験をした際に、上記上顎マウスピースが裂けた強度を意味する。
上記引張強度150N以上2000N未満の材料の例には、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびアクリル系ゴム樹脂が含まれる。これらのうち、オレフィン系樹脂が好ましい。
オレフィン系樹脂は、オレフィンを単独重合してなる重合体、またはオレフィンと他の単量体とを重合してなる共重合体である。上記オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、メチルペンテン、およびヘキセンなどを含む炭素数が2〜6のオレフィンが好ましい。上記他の単量体の例には、酢酸ビニルなどが含まれる。
上記オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレン系樹脂、およびエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などが好ましく、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレン系樹脂などがより好ましい。
ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸(ジカルボン酸など)とポリアルコール(ジオールなど)との重縮合体である。上記ポリエステル系樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが含まれる。
ウレタン系樹脂は、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物との重縮合体である。上記ウレタン系樹脂の例には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などが含まれる。
ポリアミド系樹脂は、アミド結合によって多数のモノマーが結合してできた(共)重合体である。上記ポリアミド系樹脂の例には、ナイロン、パラ系アミド、およびメタ系アミドなどが含まれる。
アクリル系ゴム樹脂は、アクリル系ゴムを主成分とした(共)重合体である。上記アクリル系樹脂の例には、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体などが含まれる。
引張強度150N以上2000N未満の材料としては、プライムポリマー株式会社製のF327(ポリプロピレン系樹脂)などの市販されているものを用いてもよい。
歯科連結部材200は、チタンまたはチタンを含む合金、鉄(ステンレスを含む鋼など)、ならびに金、銀、白金、コバルトおよびクロムなどの合金などの金属材料、ならびに、JIS T 6501に準じて測定される曲げ弾性率が1000MPa以上3000MPa以下の硬い樹脂材料(たとえばポリカーボネート樹脂)などから形成することができる。なお、上記金属材料は、化成皮膜などにより耐食性を高められていてもよい。
本実施形態によれば、より小型の歯科連結部材が提供される。
また、本実施形態によれば、インナー230の雄ねじ237とスリーブ220が有する本体部225の雌ねじ227との螺合によりスリーブ220に対してインナー230が挿入される深さを無段階に制限できるので、使用者の個人差により適合させて、下顎マウスピース120の前進量を設定することができる。
また、本実施形態によれば、インナー230を下顎マウスピース120に取り付け、かつアウター210を上顎マウスピース110に取り付けたまま、貫通穴214にねじ回しを差し込んでスリーブ220を回転させて、インナー230の雄ねじ237とスリーブ220が有する本体部225の雌ねじ227との螺合量を調整し、スリーブ220に対してインナー230が挿入される深さを調整できるので、下顎マウスピース120の前進量の設定が容易である。
また、本実施形態によれば、スリーブ230の拡径部226bが、筒状部215が有する貫通穴214の径より大きい径を有するため、スリーブ220の、アウター210への過度の挿入をより確実に抑止することができる。
また、本実施形態によれば、スリーブ220の拡径部226aおよび拡径部226bの、軸方向への厚みをより厚くすることにより、スライド時に拡径部226aおよび拡径部226bが小径部216に当接することによる拡径部226aおよび拡径部226bの破損を抑制することができる。
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態はそれぞれ本発明の一例を示すものであり、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において、他の種々多様な実施形態も可能であることは言うまでもない。
たとえば、上述の実施形態では、歯科連結部材は、インナーがより前方に位置し、アウターがより後方に位置するように、マウスピースに取り付けられていたが、歯科連結部材は、インナーがより後方に位置し、アウターがより前方に位置するように、マウスピースに取り付けられてもよい。
また、上述の実施形態では、歯科連結部材は上顎および下顎マウスピースの外側面に設けられているが、歯科連結部材は、上顎および下顎マウスピースの内側面に設けられていてもよい。
また、上述の実施形態では、インナーの挿入部は、ねじ山の螺合により位置調整および位置決めされていたが、ねじの螺合ではなく、挿入部の外周面に配置した皿ばねなどの弾性部材をスリーブの内周面に形成した突起に係合させて位置決めする構成であってもよい。
また、上述の実施形態では、アウターが有する小径部とスリーブが有する前後一対の拡径部とは、いずれかの拡径部が小径部に当接することにより、スリーブのさらなるスライドを抑止していたが、拡径部は小径部に当接しなくてもよく、たとえば磁石を配置して、磁力などで非接触にインナーのスライドを抑止してもよい。
また、上述の実施形態では、前後一対の拡径部は、本体部よりも径が大きい円柱状の部材としていたが、アウターが有する筒状部の小径部に当接してスリーブのさらなるスライドを抑止できる限りにおいて、スリーブの本体部から外部側に突出した突起などであってもよい。このときも、アウター210が有する筒状部215の内部側に配置される拡径部226aは、上記突起を含む底面の最大幅が、筒状部215が有する貫通穴214の径より小さく、かつ小径部216の開口径より大きければよい。また、アウター210が有する筒状部215の外部側に配置される拡径部226bは、上記突起を含む底面の最大幅が、小径部216の開口径より大きければよい。なお、本明細書において、拡径部226aまたは226bの径と単に表記したときは、拡径部の底面の最大幅を意味する。
また、スリーブ220の外部側に配置される拡径部226bは、円柱の底面を構成する円の直径(または上記突起を含む底面の最大幅)が、筒状部215が有する貫通穴214の径より大きくてもよい。これにより、拡径部226bが誤って筒状部215の内部に侵入することが抑制される。
また、上述の実施形態では、小径部はアウターが有する筒状部の端部に設けられていたが、小径部は筒状部の端部である必要はなく、任意の場所に配置することができる。
また、上述の各実施形態では、上顎マウスピース本体部および下顎マウスピース本体部には、歯列に装着可能な歯列型取部が形成されている。しかし上顎マウスピース本体部および下顎マウスピース本体部は、歯列が収まる形状であれば歯列型でなくてもよいし、上顎マウスピース本体部および下顎マウスピース本体部の一部だけ歯列型取部にしてもよい。
また、上顎および下顎マウスピースは複数の材料から構成されていてもよく、有機物で構成される部分と無機物で構成される部分との組み合わせで作られていても良い。
本発明の歯科連結部材によれば、これを備えるマウスピースを装着した使用者の下顎の位置を調整しつつ、下顎の後方への変位を制限可能である。また、本発明の歯科連結部材は、従来よりも下顎マウスピースの前進量の調整が容易である。そのため、本発明の歯科連結部材は、これを備えるマウスピースによる、睡眠時無呼吸症候群の予防および治療のほか、顎関節症の予防および治療や歯ぎしりの抑制などにも使用可能である。
100 マウスピース
110 上顎マウスピース
112 歯列型取部
114 上顎マウスピース本体部
116 側面
120 下顎マウスピース
122 歯列型取部
124 下顎マウスピース本体部
126 側面
130 上保持部
132 上軸体
134 上フランジ部
140 下保持部
142 下軸体
144 下フランジ部
200 歯科連結部材
210 アウター
212 上取付部
214 貫通穴
215 筒状部
216 小径部
220 スリーブ
225 本体部
226a、226b 拡径部
227 ねじ山
228 ねじ穴
230 インナー
232 下取付部
235 挿入部
237 ねじ山

Claims (4)

  1. 上顎および下顎マウスピースに取り付けられて前記上顎および下顎マウスピースを連結し、閉口時または開口時における前記下顎マウスピースの後方への変位を規制する歯科連結部材であって、
    貫通穴を有する筒状部材である筒状部を有し、前記上顎および下顎マウスピースの一方のマウスピースに取り付けられるアウターと、
    内表面に雌ねじが形成された挿入穴を有する筒状部材である本体部を有し、前記筒状部が有する前記貫通穴の内部にスライド可能に挿入されるスリーブと、
    前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成され、かつ、前記雌ねじへの前記雄ねじの螺合により前記スリーブに保持されるロッド状の挿入部を有し、前記上顎および下顎マウスピースの他方のマウスピースに取り付けられるインナーと、
    を有し、
    前記筒状部は、前記貫通穴の径が小さくされた小径部を有し、
    前記スリーブは、いずれも前記小径部より大きい径を有する前後一対の拡径部を有し、前記筒状部の内部に挿入されたとき、前記一対の拡径部の一方の拡径部が前記小径部より内部側に、前記一対の拡径部の他方の拡径部が前記小径部より外部側に、それぞれ配置される、
    歯科連結部材。
  2. 前記スリーブは、前記筒状部が有する前記貫通穴の内部に回転可能に挿入される、請求項1に記載の歯科連結部材。
  3. 前記スリーブは、前記他方の前記拡径部が、前記筒状部が有する前記貫通穴の径より大きい径を有する、請求項1または2に記載の歯科連結部材。
  4. 上顎および下顎マウスピースと、
    前記上顎および下顎マウスピースの側面に左右一対に取り付けられて、前記上顎および下顎マウスピースを連結する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科連結部材と、
    を有するマウスピース。
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