JP6785712B2 - 多段式ターボ過給システム - Google Patents
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Description
そのため、このような多段式ターボ過給システムでは、高圧段コンプレッサの上流側の吸気圧が高圧段コンプレッサの下流側の吸気圧よりも小となる平常運転状態からエンジンが急減速、および、または、急負荷減少(遮断)した際に、イナーシャの大きい大形側の低圧段ターボ過給機がイナーシャの小さい低圧段ターボ過給機よりも減速されずに慣性回転し、高圧段コンプレッサの上流側の吸気圧が上昇して上流側の吸気圧と下流側の吸気圧との関係が逆転する場合がある。
そして、このように、高圧段コンプレッサの上流側の吸気圧と下流側の吸気圧との関係が逆転し、上流側の吸気圧が下流側の吸気圧よりも大となると、高圧段コンプレッサが必要以上に回されて、サージ(以下、高圧段側サージと言う。)が発生する虞がある。
前記低圧段ターボ過給機の低圧段タービンをバイパスする低圧段排気パイパス路と、
前記低圧段排気パイパス路を開閉する低圧段ウェイストゲートバルブと、
前記高圧段ターボ過給機の高圧段コンプレッサの上流側の吸気圧が前記高圧段コンプレッサの下流側の吸気圧よりも大となる作動条件が成立する場合に、前記低圧段ウェイストゲートバルブを開弁する高圧段側サージ回避手段と、を備えて構成されている点にある。
したがって、エンジンが急減速、および、または、急負荷減少(遮断)した際に、大形側の低圧段ターボ過給機が小形側の高圧段ターボ過給機よりもイナーシャが大きいことに起因して高圧段側サージが発生するのを回避することができる。
前記高圧段側サージ回避手段は、電力を駆動力として前記低圧段ウェイストゲートバルブに開弁操作力を付与する電動式弁操作機構を備え、前記作動条件が成立する場合に、前記圧力式弁操作機構の開弁操作力に前記電動式弁操作機構の開弁操作力を追加して前記低圧段ウェイストゲートバルブを開弁可能に構成されている点にある。
前記圧力式弁操作機構は、圧力式側リンクを介して前記揺動レバーを開弁方向に揺動操作可能な圧力式アクチュエータを備えて構成され、
前記電動式弁操作機構は、電動式側リンクを介して前記揺動レバーを開弁方向に揺動操作可能な電動式アクチュエータを備えて構成されている点にある。
よって、前記作動条件が成立する場合に、低圧段側の圧力式弁操作機構の開弁作動力と電動式弁操作機構の開弁作動力の協働により、低圧段ウェイストゲートバルブを効率良く開弁することができる。
図1、図2は、本発明に係る多段式ターボ過給システムを有するエンジンのブロック図であり、図中のブロック状の矢印は吸排気の流れを示している。また、図1は平常運転状態を示し、図2は平常運転状態から急減速、および、または、急負荷減少(遮断)した状態を示している。
図1に示すように、エンジン1は、例えば、ディーゼルエンジンとして構成することができ、燃焼室(図示省略)を有するエンジン本体10、燃焼室に新気を導入する吸気路20、燃焼室から排気ガスを排出する排気路30、エンジン1の運転状態を制御するECU(エンジンコントロールユニット)40等を備えて構成されている。
また、このエンジン1は、エンジン本体10側から小形側の高圧段ターボ過給機50、大形側の低圧段ターボ過給機60を直列に接続して構成されている。大形側の低圧段ターボ過給機60にて空気を圧縮し、小形側の高圧段ターボ過給機50にて更に空気を圧縮してエンジン本体10に過給することができる。
低圧段タービン61は、排気路30の下流側に配置され、排気ガスのエネルギを利用して回転するように構成されている。低圧段コンプレッサ62は、吸気路20の内部の上流側に配置され、低圧段タービン61の回転に伴って回転し、外部側から空気を吸入して圧縮するように構成されている。
高圧段タービン51は、排気路30における低圧段タービン61の上流側に配置され、低圧段タービン61の上流側にて排気ガスのエネルギを利用して回転するように構成されている。高圧段コンプレッサ52は、吸気路20おける低圧段コンプレッサ62の下流側に配置され、高圧段タービン51の回転に伴って回転し、低圧段コンプレッサ62で圧縮された空気を更に圧縮するように構成されている。
前記排気路30は、エンジン本体10側から排気マニホールド30A、高圧段タービン51、低圧段タービン61を順番に通る主排気路31と、高圧段コンプレッサ52をバイパスする高圧段排気バイパス路32と、低圧段コンプレッサ62をバイパスする低圧段排気バイパス路33とを備えて構成されている。
低圧段排気バイパス路33は、主排気路31における高圧段タービン51と低圧段タービン61の間の部位と、主排気路31における低圧段タービン61の下流側の部位とを連通する。
図3は、エンジン1が平常時の運転状態から急減速、および、または、急負荷減少(遮断)した場合の状態の変遷を示す図であり、図中の上段にはエンジン回転数を示し、図中の中段には高圧段コンプレッサ52の下流側の吸気圧P2と上流側の吸気圧P1の関係(P2−P1)を示し、図中の下段には低圧段ウェイストゲートバルブWG2の開閉状態を示している。
図2に示すように、高圧段側サージ回避手段90は、電力を駆動力として低圧段ウェイストゲートバルブWG2に開弁操作力を付与する電動式弁操作機構91、当該電動式弁操作機構の作動を制御するECU40等から構成されている。高圧段側サージ回避手段90は、前記作動条件が成立する場合にECU40から電動式弁操作機構91に作動指令を出力して電動式弁操作機構91を作動させることで、低圧段ウェイストゲートバルブWG2を開弁する。
上流側の吸気圧P1が下流側の吸気圧P2以下となり作動条件が成立しなくなると、ECU40から作動指令が出力されなくなり、電動式弁操作機構91が停止して低圧段ウェイストゲートバルブWG2が閉弁される。
このように構成することで、電動式弁操作機構91にて低圧段ウェイストゲートバルブWG2に開弁操作力を付与するための駆動電力を低く抑えることができ、電動式弁操作機構91に駆動電力を供給する電源の小型化を図ることができる。
低圧段ウェイストゲートバルブWG2(図1参照)を閉弁した状態から低圧段側の圧力式弁操作機構80及び電動式弁操作機構91が図中の点線矢印のように作動して低圧段ウェイストゲートバルブWG2を開弁(全開)した状態を示している。
低圧段側の圧力式弁操作機構80は、例えば、揺動レバー81の一端側(図4中の下端側)に配置された圧力式側リンク82を介して、前記揺動レバー81を開弁方向に揺動操作可能なダイアフラム式アクチュエータ等の圧力式アクチュエータ83を備えて構成されている。
なお、低圧段ウェイストゲートバルブWG2を全開させた図4に示す状態において、電動式弁操作機構91の開弁操作力(電動式リンク92の引き寄せ力)が、作動軸Aと電動式リンク92とを結ぶ線分に対して直角に作用して最大となるように、電動式アクチュエータ93と作動軸Aと電動式リンク92の相対位置が設定されている。
また、この協働時には、揺動レバー81の一端側に押し込み力が作用し、揺動レバー81の他端側に引き寄せ力が作用するので、揺動レバー81の中央側に接続された作動軸Aに負荷される倒れ方向の曲げモーメントが小さくなり、作動軸Aの作動をスムーズにすることができる。
なお、揺動レバー81、圧力式側リンク82、電動側リンク92は、低圧段側の圧力式弁操作機構80と電動式弁操作機構91を連携させる連携機構を構成する。
図5は、低圧段ウェイストゲートバルブWG2の作動特性を示す図であり、縦軸に低圧段ウェイストゲートバルブWG2に作用する圧力式弁操作機構80の開弁操作力(吸気圧P1による開弁操作圧力)を示し、横軸に低圧段ウェイストゲートバルブWG2のリフト量(開弁作動量)を示している。
図5中、Paは定格運転時の吸気圧P1により低圧段ウェイストゲートバルブWG2に作用する圧力式弁操作機構80の開弁操作力を示し、Pbは低圧段ウェイストゲートバルブWG2の開弁開始時の圧力式弁操作機構80の開弁操作力を示し、Pcは低圧段ウェイストゲートバルブWG2の全開時の圧力式弁操作機構80の開弁操作力を示している。
一方、前記作動条件が成立した場合には、電動式弁操作機構91が作動することにより、図5中の太破線矢印に示すように、圧力式弁操作機構80の開弁操作力が如何なる値であっても、低圧段ウェイストゲートバルブWG2を全開にすることが可能となる。
(1)前述の実施形態では、エンジン本体10側から二段のターボ過給機50、60を直列に接続して構成されている場合を例に示したが、エンジン本体10側から三段以上のターボ過給機を直列に接続して構成してもよい。
33 低圧段排気バイパス路
50 高圧段ターボ過給機
51 高圧段タービン
52 高圧段コンプレッサ
60 低圧段ターボ過給機
61 低圧段タービン
62 低圧段コンプレッサ
80 低圧段側の圧力式弁操作機構
81 揺動レバー
82 圧力式側リンク
83 圧力式アクチュエータ
90 高圧段側サージ回避手段
91 電動式弁操作機構
92 電動側リンク
93 電動式アクチュエータ
P1 吸気圧(高圧段コンプレッサ上流側の吸気圧)
P2 吸気圧(高圧段コンプレッサ下流側の吸気圧)
WG2 低圧段ウェイストゲートバルブ
Claims (3)
- エンジン本体側から小形側の高圧段ターボ過給機、大形側の低圧段ターボ過給機が直列に接続された多段式ターボ過給システムであって、
前記低圧段ターボ過給機の低圧段タービンをバイパスする低圧段排気パイパス路と、
前記低圧段排気パイパス路を開閉する低圧段ウェイストゲートバルブと、
前記高圧段ターボ過給機の高圧段コンプレッサの上流側の吸気圧が前記高圧段コンプレッサの下流側の吸気圧よりも大となる作動条件が成立する場合に、前記低圧段ウェイストゲートバルブを開弁する高圧段側サージ回避手段と、を備えて構成されている多段式ターボ過給システム。 - 前記上流側の吸気圧を駆動力として前記低圧段ウェイストゲートバルブに前記上流側の吸気圧に応じた開弁操作力を付与する圧力式弁操作機構が備えられ、
前記高圧段側サージ回避手段は、電力を駆動力として前記低圧段ウェイストゲートバルブに開弁操作力を付与する電動式弁操作機構を備え、前記作動条件が成立する場合に、前記圧力式弁操作機構の開弁操作力に前記電動式弁操作機構の開弁操作力を追加して前記低圧段ウェイストゲートバルブを開弁可能に構成されている請求項1記載の多段式ターボ過給システム。 - 前記低圧段ウェイストゲートバルブに操作力を伝達して前記低圧段ウェイストゲートバルブを開閉する揺動レバーが備えられ、
前記圧力式弁操作機構は、圧力式側リンクを介して前記揺動レバーを開弁方向に揺動操作可能な圧力式アクチュエータを備えて構成され、
前記電動式弁操作機構は、電動式側リンクを介して前記揺動レバーを開弁方向に揺動操作可能な電動式アクチュエータを備えて構成されている請求項2記載の多段式ターボ過給システム。
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