JP6785125B2 - エポキシ樹脂組成物、硬化物、半導体素子、樹脂シート、プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、硬化物、半導体素子、樹脂シート、プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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本発明は、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物に関する。詳しくは、高信頼性半導体封止材用途、電気・電子部品絶縁材料用途、及び積層板(プリント配線ガラス繊維強化複合材料)やCFRP(炭素繊維強化複合材料)を始めとする各種複合材料用途、各種接着剤用途、各種塗料用途、構造用部材等に有用なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
一般に電気・電子機器用プリント配線基板、特に銅箔を積層する基板として従来は主に紙を基材とした紙−フェノール樹脂、ガラス布を基材としたガラス布−エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。これらの熱硬化性樹脂は特有な架橋構造により高い耐熱性や寸法安定性等の特性を発現するため、電子部品などの高い信頼性が要求される分野において広く使われている。特に車載用パワーデバイスでは、駆動温度が非常に高く、サーマルサイクルにおいて内部応力が発生し、クラックが入りやすいため、耐熱性・寸法安定性に加え、強靭性が必須となっている。
一方、構造用材料においては、炭素繊維強化複合材料(CFRP)の適用拡大に伴い、様々な形状の成型体が求められている。これら成型体は単一の基材、もしくは複数の基材を貼り合わせることで複雑な形状を成型する必要があり、車や飛行機といった温度環境の厳しい環境下では、その厚みや形状により炭素繊維との線膨張量による歪みが大きく出やすく、クラックやカーボン繊維とのはがれ等の問題が生じる。
これに対して、耐熱性・寸法安定性および強靭性を向上するために、例えば特許文献1及び引用文献2ではビスフェノールA型シアネートエステル化合物とビスマレイミド化合物を併用した樹脂であるBTレジンを使用した配線板が開発されており、耐熱性や耐薬品、電気特性などに優れているため高性能配線板として幅広く使用されている。特許文献3では剛直なジベンゾクリセン骨格を多官能化することで、耐熱性を向上している。特許文献4ではゴム変性エポキシ樹脂の相分離構造を用いて、硬化物に強靭性を付与している。しかし、マレイミド樹脂の添加および多官能ジベンゾクリセンでは、ネットワークが剛直になりすぎるため、脆くなってしまい、ゴム変性エポキシ樹脂では耐熱性や耐薬品性を悪化させてしまう傾向にあり、その応用範囲は限られていた。
特開2003−268070号公報 特許5740941号公報 特開2013−227307号公報 国際公開第2015−093417号
一般的に樹脂材料の寸法安定性を高めるためには、樹脂自体の耐熱性を高め、ガラス転移温度を高めることが有用とされている。一方で、樹脂自体の耐熱性を高めるために、当該樹脂に剛直な骨格の導入、および高次に架橋させる手法がとられるが、脆くなりやすい。したがって、耐熱性・寸法安定性と強靭性を両立することは困難であった。
本発明は、特定の構造を有するエポキシ樹脂とマレイミド樹脂を配合することにより、耐熱性・寸法安定性と強靭性を両立したエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、
[1]下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)とマレイミド樹脂(b)を含有するエポキシ樹脂組成物、
Figure 0006785125
(式(1)中、複数存在するR、R’、Q、m、nはそれぞれ独立して存在し、同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基又はその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換基を有しても良いフェニル基を表わし、R’は水素原子又は下記一般式(2)を表し、Qは直接結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、下記一般式(3)、又は下記一般式(4)を表わす。mは1〜4の整数、nは0〜100の整数を示す。)
Figure 0006785125
Figure 0006785125
Figure 0006785125
(式中、Rは前述の式(1)中Rと同じ意味を表す。Rは互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
[2]前記式(1)中のnの平均値が0.6〜50である前項[1]に記載のエポキシ樹脂組成物、
[3]前記エポキシ樹脂(a)のエポキシ当量が300〜2000g/eq.である前項[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物、
[4]前記式(1)中のQが直接結合であり、Rが水素原子またはメチル基である前項[1]〜[3]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、
[5]硬化触媒(c)を含有する前項[1]〜[4]に記載のエポキシ樹脂組成物、
[6]前項[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物、
[7]前項[6]に記載の硬化物を含む半導体素子、
[8]前項[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を支持基盤に塗布した樹脂シート、
[9]前項[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、又は前項[8]に記載の樹脂シートを炭素繊維に含浸したプリプレグ、
[10]前項[9]に記載のプリプレグを硬化した炭素繊維強化複合材料、
に関する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は分子配向性が非常に高い長鎖のエポキシ樹脂とマレイミド樹脂を含有することから、その硬化物において耐熱性・寸法安定性と強靭性を両立した特性を有する。そのため、それを用いた樹脂シート、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料、特に電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に好適に用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂(a)とマレイミド樹脂(b)を必須成分として含有し、前記エポキシ樹脂(a)は下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 0006785125
(式(1)中、複数存在するR、R’、Q、m、nはそれぞれ独立して存在し、同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基又はその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換基を有しても良いフェニル基を表し、R’は水素原子又は下記一般式(2)で表され、Qは直接結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、一般式(3)、又は一般式(4)を表わす。mは1〜4の整数、nは0〜100の整数を示す。)
Figure 0006785125
Figure 0006785125
Figure 0006785125
(式中、Rは前述の式(1)中Rと同じ意味を表す。Rは互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
本発明に用いるエポキシ樹脂(a)は前記式(1)で表され、通常は常温で固体の樹脂状である。繰り返し単位数の大きな高分子量体である方が、応力が分散しやすく、より強靭になりやすい。前記式(1)中のnの平均値は0.6〜50が好ましく、より好ましくは0.6〜20であり、さらに好ましくは0.6〜10である。nの平均値が0.6より小さい場合、硬化物は脆くなりやすく、50より大きい場合樹脂がゲル化する可能性が有る。
また、軟化点は40〜200℃が好ましく、より好ましくは40〜180℃である。40℃以下である場合、半固形で取り扱いが難しい。200℃を超える場合、組成物を調整する際に混練が困難である等の問題が生じるおそれがある。
さらに、エポキシ当量は300〜2000g/eqが好ましく、より好ましくは、300〜1000g/eqである。エポキシ当量が300g/eqより小さい場合は、架橋密度が高いが故に硬化物が脆くなりやすく、2000g/eqより大きい場合は、耐熱性が発揮されないおそれがある。
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)は、市販の高分子量のエポキシ樹脂を用いてもよく、また、公知の2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール樹脂を反応させたエポキシ樹脂を用いても良い。
公知の2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール樹脂を反応させる場合、下記式(5)
Figure 0006785125
(式中、Q、R、mは前述の式(1)中Q、R、mと同じ意味を表す。)
で表される2官能のフェノール化合物と、下記式(6)
Figure 0006785125
(式中、Q、R、mは前述の式(1)中Q、R、mと同じ意味を表す。)
で表される2官能のエポキシ化合物を、前記式(5)で表されるフェノール化合物に対して等モルより多く仕込み、触媒存在下、反応させることで得ることができる。
一般式(5)で表されるフェノール化合物の具体例としては、4,4’−ビフェノール(以下、単にビフェノールということもある。)、3,3’−ジメチルビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール、3,3’−ジエチルビフェノール、3,3’,5,5’−テトラエチルビフェノール、3,3’−ジフェニルビフェノール等が挙げられる。一般式(6)で表されるエポキシ化合物は、一般式(5)のフェノール化合物に公知の方法でエピハロヒドリンを反応させて得られるが、これらに限定されるものではない。前記式(5)で表されるフェノール化合物および前記式(6)で表されるエポキシ化合物は単一で用いても、複数種類を併用してもよい。
さらに本発明で用いるエポキシ樹脂(a)はビフェニルなどのメソゲン基を含有するものが、ネットワーク中の分子鎖を配列させ、強靭性を向上するため好ましい。溶解性を付与する観点から、前記式(5)で表されるフェノール化合物または前記式(6)で表されるエポキシ化合物中に記載のRのうち少なくとも1種に炭素数1〜20のアルキル基を含む化合物を、20モル%以上併用することが好ましく、前記式(5)で表されるフェノール化合物としてビフェノール、前記式(6)で表されるエポキシ化合物として3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物を組み合わせた反応物を好適に用いることができる。本反応における前記式(5)で表されるフェノール化合物の使用量は、前記式(6)で表されるエポキシ化合物のエポキシ基1モルに対して通常0.05〜0.8モルであり、好ましくは0.1〜0.7モルであり、特に好ましくは0.2〜0.6モルである。
本反応で生成したグリシジル基の開環構造由来の2級の水酸基を公知の手法でさらにエポキシ化して用いても良い。この場合、エポキシ樹脂硬化物に更なる耐熱性を付与することができる。
本反応は必要により、触媒を使用することができる。使用できる触媒としては具体的にはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;トリフェニルエチホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスフォニウム塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類;トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類;オクチル酸スズなどの金属化合物;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これら触媒は、その触媒の種類にもよるが、一般に前記式(5)で表されるフェノール化合物と前記式(6)で表されるエポキシ化合物の総重量に対して通常10〜30000ppmであり、好ましくは100〜5000ppmが必要に応じて用いられる。後反応においては触媒を添加しなくても反応は進行するので、触媒は反応温度、反応溶剤量を勘案して適宜使用する。
本反応において、溶剤は使用してもよい。溶剤を使用する場合は反応に影響を与えない溶剤であればいずれの溶剤でも使用でき、例えば以下に示すような溶剤を用いることができる。極性溶剤、エーテル類;ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等、エステル系の有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等、ケトン系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等芳香族系有機溶剤;トルエン、キシレン等溶剤の使用量は前記式(5)で表されるフェノール化合物と前記式(6)で表されるエポキシ化合物の総重量に対し通常0〜300重量%であり、好ましくは0〜100重量%である。
本反応における反応温度、反応時間は、使用する溶媒量や触媒の種類と量によるが、反応時間は通常1〜200時間であり、好ましくは1〜100時間である。生産性の問題からは反応時間が短いことが好ましい。また反応温度は通常0〜250℃であり、好ましくは80〜150℃である。
反応終了後、必要に応じて水洗などにより触媒等を除去し、あるいは残したまま、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明に用いるエポキシ樹脂(a)が得られる。用途によってはそのまま溶剤の濃度を調整し、エポキシ樹脂ワニスとして用いることも可能である。
続いて本発明で用いられるマレイミド樹脂(b)について説明する。
本発明に用いるマレイミド樹脂(b)は1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。マレイミド樹脂(b) の具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、下記式(7)で表されるマレイミド化合物、
Figure 0006785125
(式(7)中、複数存在するPは直接結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、下記式(8)で表される基、下記式(9)で表される基のいずれかを表し、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基又はその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換基を有しても良いフェニル基を表し、mは1〜4の整数、nは0〜100の整数を示す。)
Figure 0006785125
(式中、R、mは前述の式(7)中R、mと同じ意味を表す。)
Figure 0006785125
(式中、R、mは前述の式(7)中R、mと同じ意味を表す。)
これらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどが挙げられ、1種もしくは2種類以上を便宜混合して使用することも可能である。より好適なものとしては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンが挙げられる。
本発明で用いられるマレイミド樹脂(b)の使用量は、エポキシ樹脂(a)に対して通常0.1〜1000重量%であり、好ましくは10〜900重量%、さらに好ましくは100〜800重量%である。マレイミド樹脂(b)の使用量が、エポキシ樹脂(a)に対して0.1重量%より少ないと、耐熱性が不十分になる恐れがあり、1000重量%より多いと脆い硬化物となってしまうおそれがある。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は前記式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)とマレイミド樹脂(b)を必須成分として含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて硬化触媒(以下、「硬化促進剤」とも表す。)(c)を含有する。使用できる硬化触媒(c)としては具体的にはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;トリフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスフォニウム塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類;トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類; オクチル酸スズなどの金属化合物; テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。特にマレイミド樹脂を低温で硬化できる点から、アニオン重合触媒が好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類が特に好ましい。これら触媒は、その触媒の種類にもよるが、一般に前記式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と前記式(7)で表されるマレイミド樹脂(b)の総重量に対して通常10〜30000ppmであり、好ましくは100〜5000ppmが必要に応じて用いられる。後反応においては触媒を添加しなくても反応は進行するので、触媒は反応温度、反応溶剤量を勘案して適宜使用する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂が全エポキシ樹脂中に占める割合は5重量%以上が好ましく、特に10重量%以上が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と併用されうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物;前記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物;前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物;前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物またはアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、必要に応じて硬化剤を含有する。用いることができる硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン等のアミン系化合物;ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミド系化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物;ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、または前記フェノール類と各種ジエン化合物( ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、または前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物等のフェノール系化合物;イミダゾ−ル、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されることはない。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、用いることができる硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。用いることができる無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、用途によりその使用量は異なるが、例えば半導体の封止材用途に使用する場合はエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質、難燃性などの面からエポキシ樹脂組成物中で20重量%以上占める割合で使用するのが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、特にリードフレームとの線膨張率を向上させるために70〜95重量%を占める割合で使用するのがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には成形時の金型との離型を良くするために離型剤を配合することができる。離型剤としては従来公知のものをいずれも使用できるが、例えばカルナバワックス、モンタンワックスなどのエステル系ワックス、ステアリン酸、パルチミン酸などの脂肪酸およびこれらの金属塩、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。これら離型剤の配合量は全有機成分に対して0.5〜3重量%が好ましい。これより少なすぎると金型からの離型が悪く、多すぎるとリードフレームなどとの接着が悪くなるおそれがある。
本発明のエポキシ樹脂組成物には無機充填剤と樹脂成分との接着性を高めるためにカップリング剤を配合することができる。カップリング剤としては従来公知のものをいずれも使用できるが、例えばビニルアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、スチリルアルコキシシラン、メタクリロキシアルコキシシラン、アクリロキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、イソシアナートアルコキシシランなどの各種アルコキシシラン化合物、アルコキシチタン化合物、アルミニウムキレート類などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。カップリング剤の添加方法は、カップリング剤であらかじめ無機充填剤表面を処理した後、樹脂と混練しても良いし、樹脂にカップリング剤を混合してから無機充填剤を混練しても良い。
更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにカーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、無機充填剤、離型剤、シランカップリング剤及び添加剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することにより本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、これを溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物は溶剤を含んでいてもよい。溶剤を含むエポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂ワニス」ともいう。)はガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの繊維状物質(基材)に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化物とすることができる。このエポキシ樹脂組成物の溶剤含量は、内割りで通常10〜70重量%であり、好ましくは15〜70重量%程度である。溶剤としては例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤;テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、好ましくは低級(炭素数1〜3)アルキレングリコールのモノ又はジ低級(炭素数1〜3)アルキルエーテル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、好ましくは2つのアルキル基が同一でも異なってもよいジ低級(炭素数1〜3)アルキルケトン;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤等が挙げられる。これらは単独であっても、また2種類以上の混合溶媒であってもよい。
また、剥離フィルム上に前記エポキシ樹脂ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化(熱硬化性樹脂の反応の中間的な段階であって、材料は加熱により軟化して膨張するが、ある種の液体と接触しても、完全には溶融又は溶解しない段階をいう。)を行うことによりシート状の接着剤(以下、「本発明の樹脂シート」という。)を得ることが出来る。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することが出来る。
本発明の樹脂シート、プリプレグ、炭素繊維複合材料を説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物を支持基材の片面または両面に塗布し、樹脂シートとして用いてもよい。塗布方法としては、例えば、注型法、ポンプや押し出し機等により樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚さを調整する方法、ロールによりカレンダー加工して厚さを表製する方法、スプレー等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。なお、層を形成する工程においては、エポキシ樹脂組成物の熱分解を回避可能な温度範囲で加熱しながら行ってもよい。また、必要に応じて圧延処理、研削処理等を施してもよい。支持基材としては、例えば紙、布、不織布等からなる多孔質基材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムあるいはシート、ネット、発泡体、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。支持基材に厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜に決定される。
本発明のエポキシ樹脂組成物および/または樹脂シートを加熱溶融して低粘度化して繊維基材に含浸させることにより本発明のプリプレグを得ることができる。
また、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を、繊維基材に含浸させて加熱乾燥させることにより本発明のプリプレグを得ることもできる。上記のプリプレグを所望の形に裁断、積層後、積層物にプレス成形法やオートクレーブ成形法、シートワインディング成形法などで圧力をかけながらエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させることにより本発明の炭素繊維強化複合材料を得ることができる。また、プリプレグの積層時に銅箔や有機フィルムを積層することもできる。
また、内装回路基板に市販又は本発明の樹脂シート、または前記本発明のプリプレグを重ね合わせて加熱加圧成形し、多層プリント配線基板を得ることができる。具体的には、上記樹脂シートの絶縁層側と内層回路板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させ、その後、熱風乾燥装置等で絶縁層を加熱硬化させることにより得ることができる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
前記で得られた多層プリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンプを介して、前記多層プリント配線板との接続を図る。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマスなどからなる合金で構成されることが好ましい。
半導体素子と多層プリント配線板との接続方法は、フリップチップボンダーなどを用いて基板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行ったあと、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。尚、接続信頼性を良くするため、予め多層プリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等、比較的融点の低い金属の層を形成しておいても良い。この接合工程に先んじて、半田バンプおよび、または多層プリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続信頼性を向上させることもできる。
基板としてはマザーボード、ネットワーク基板、パッケージ基板等に使用され、基板として使用される。特にパッケージ基板としては片面封止材料用の薄層基板として有用である。また半導体封止材として使用した場合、その配合から得られる半導体装置としてはとしては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。
本発明で得られる硬化物は各種用途に使用できる。詳しくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例で用いた各種分析方法について記載する。
・エポキシ当量: JIS K 7236 (ISO 3001) に準拠
・ICI溶融粘度: JIS K 7117−2 (ISO 3219) に準拠
・軟化点: JIS K 7234 に準拠
・DMA測定条件
動的粘弾性測定器:TA−instruments製、DMA−2980
測定温度範囲:−30℃〜280℃
温速度:2℃/分
試験片サイズ:5mm×50mmに切り出した物を使用した(厚みは約800μm)。
解析条件
Tg:DMA測定に於けるTanδのピーク点(tanδMAX)をTgとした。
・TMA(熱機械測定装置 真空理工(株)製 TM−7000 昇温速度:2℃/分)
高温の強度: 150℃における弾性率
・IZOD衝撃試験値:JIS K7110に準拠
・K1C:破壊靭性試験 コンパクトテンション ASTM E−399に準拠
合成例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコに窒素パージを施しながらテトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(YX−4000H ジャパンエポキシレジン株式会社製)407部、4,4’−ビフェノール98部、メチルイソブチルケトン126部を加え、攪拌下で100℃まで昇温した。トリフェニルホスフィン0.8部を添加し、100℃で3時間、120℃で10時間反応させた後、メチルイソブチルケトン等を留去することで、樹脂状固体としてエポキシ樹脂(EP1)を498部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は486g/eq.、軟化点は94℃、ICI溶融粘度は3.4Pa・s(150℃)であった。
合成例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに窒素パージを施しながら、合成例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)を471部、エピクロルヒドリン1573部、メタノール44部、水24部、テトラメチルアンモニウムクロリド3部を加え、撹拌下、35℃にまで昇温し、溶解し、フレーク状の水酸化ナトリウム80部を90分間かけて分割添加した後、同温度でさらに2時間反応を行なった。反応終了後、水洗し塩を取り除いた。続いて、ロータリーエバポレーターを用いて130℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物をメチルイソブチルケトン(以下、MIBK)1212部に溶解した後に、MIBK溶液を75℃に昇温し、撹拌下で30%水酸化ナトリウム水溶液19部を添加し、1時間反応を行なった後、洗浄水が中性になるまで水洗を行なった。得られた溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にMIBK等を留去することでエポキシ樹脂(EP2)を482部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は333g/eq.、軟化点は92℃、ICI溶融粘度は5.9Pa・s(150℃)であった。
実施例1、2、比較例1、2
合成例1と2で得られたエポキシ樹脂(EP1、2)、比較用のエポキシ樹脂(EP3日本化薬製 NC−3000L エポキシ当量269g/eq.)、マレイミド樹脂として4,4’−ジジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業株式会社製 マレイミド当量179g/eq. 以下「DDM−MI」と表す)、硬化剤としてフェノール−ビフェニルアラルキル樹脂(日本化薬株式会社製 GPH−65 水酸基当量200g/eq.)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製 キュアゾール2E4MZ)を使用し、表1の割合(重量部)で配合し、ミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を粉砕後、タブレットマシーンにてタブレット化した。このタブレット化されたエポキシ樹脂組成物をトランスファー成型(175℃×60秒)し、更に脱型後200℃×2時間の条件で硬化、評価用試験片を得た。
[表1]
Figure 0006785125
表1より、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた硬化物は、比較例1と比べて、耐熱性を大幅に向上することができ、比較例2と比べて、K1Cまたは曲げ試験の最大点エネルギーが向上していることから、耐熱性と強靭性を併せ持つ硬化物であることがわかる。
実施例3、4、比較例3
比較用のエポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP4 jER−1001 ジャパンエポキシレジン製 エポキシ当量470g/eq.)を使用し、表2の割合(重量部)で配合した以外は比較例2と同様の方法により、評価用試験片を得た。
得られた試験片において、以下の試験項目で耐熱性と強靭性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、耐熱性は250℃で保持できる弾性率(硬さ)で評価し、強靭性をtanδ(温度当たりの応力の溜めやすさ)、K1C試験(クラックの進行度)で評価した。
[表2]
Figure 0006785125
表2より、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた硬化物は、比較用のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた硬化物と比べて、高温時の弾性率を向上することができ、耐熱性が向上していることが確認できる。また、tanδも小さいことから、熱履歴に伴う物性変化が緩やかとなり、サーマルサイクルにおける内部応力の蓄積を低減することができる。さらに、従来の組成物の硬化物では、試験片が割れ測定できなかったのに対し、本発明の硬化物では明確な測定値が出ることから、強靭性が改善していることが確認できる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表され、エポキシ当量が300〜2000g/eq.であるエポキシ樹脂(a)とマレイミド樹脂(b)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、
    前記マレイミド樹脂(b)が、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、下記式(7)で表されるマレイミド化合物から選択される1種以上であるエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006785125
    (式(1)中、複数存在するR、R’、Q、m、nはそれぞれ独立して存在し、同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基又はその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換基を有しても良いフェニル基を表し、R’は水素原子又は下記式(2)を表し、Qは直接結合を表す。mは1〜4の整数、nは0〜100の整数を示す。)
    Figure 0006785125
    Figure 0006785125
    (式(7)中、複数存在するPは直接結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、下記式(8)で表される基、下記式(9)で表される基のいずれかを表し、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基又はその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換基を有しても良いフェニル基を表し、mは1〜4の整数、nは0〜100の整数を示す。)
    Figure 0006785125
    (式中、R、mは前述の式(7)中R、mと同じ意味を表す。)
    Figure 0006785125
    (式中、R、mは前述の式(7)中R、mと同じ意味を表す。)
  2. 前記式(1)中のnの平均値が0.6〜50である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記式(1)中のRが水素原子またはメチル基である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 硬化触媒(c)を含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物。
  6. 請求項に記載の硬化物を含む半導体素子。
  7. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を支持基盤に塗布した樹脂シート。
  8. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、又は請求項に記載の樹脂シートを炭素繊維に含浸したプリプレグ。
  9. 請求項に記載のプリプレグを硬化した炭素繊維強化複合材料。
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