JP6784528B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
光学フィルム(例えば、偏光膜、位相差フィルム)の製造方法として、光学フィルム形成樹脂を含む塗工液を基材に塗工した後、塗工液を乾燥することによって光学フィルムとする製造方法が知られている。このような製造方法において、塗工液を基材に塗工する工程では、塗工装置(例えば、ダイコーターなど)が用いられる(特許文献1)。
特開2012−75978号公報
しかしながら、広幅の光学フィルムを製造するために、塗工装置を用いて広幅(例えば幅3000mm以上)で塗工液を塗工した場合、塗工液の塗工厚みが幅方向において不均一となり、製造される光学フィルムの厚みが幅方向において不均一となる場合がある。その結果、得られる光学フィルムの光学特性にバラつきが生じる場合がある。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、均一な厚みの光学フィルムを製造するための製造方法を提供することにある。
本発明の光学フィルムの製造方法は、光学フィルムを形成する樹脂を含有する塗工液を連続的にダイに供給し、前記ダイを介して前記塗工液を基材に塗工する塗工工程を含む、光学フィルムの製造方法であって、前記塗工工程が、前記ダイの温度と前記塗工液の温度との差が1℃未満の状態で、前記ダイへの前記塗工液の供給を開始することを含む。
1つの実施形態においては、前記塗工工程が、前記ダイの温度と前記塗工液の温度との差が0.3℃以下の状態で、前記ダイへの前記塗工液の供給を開始することを含む。
1つの実施形態においては、前記塗工工程が、前記基材との間に所定の間隔を空けて設けられたステージに取り付けられた前記ダイであって、前記ダイの吐出口の長手方向における寸法変化に応じて端部の位置が前記ステージに対して相対的に移動可能となるように取り付けられた前記ダイを用いて塗工することを含む。
1つの実施形態においては、前記塗工工程が、2500mm以上の塗工幅で前記塗工液を塗工することを含む。
1つの実施形態においては、前記光学フィルムの厚みが10μm以下である。
1つの実施形態においては、前記基材に塗工した前記塗工液を乾燥させることによって、前記吐出口の長手方向に対応する幅を有する長尺状の樹脂層を得る乾燥工程と、所定の処理を施すことによって前記樹脂層を前記光学フィルムとする処理工程と、を含み、前記塗工工程で、幅方向における厚みの平均値に対する、端部の厚みと中央部の厚みとの差の割合が6%以下となるように塗工液を塗工することを含む。
1つの実施形態においては、前記光学フィルムが偏光膜である。
本発明によれば、幅方向における厚みが均一な光学フィルムを製造することができる。
塗工工程におけるダイと基材との位置関係を示す斜視図である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態の偏光膜の製造方法を工程順に説明するための断面図である。 本発明の実施形態において用いられ得る塗工装置の構成を示す概略図である。 ダイの温度が上昇したときのダイの形状変化を示す図である。 塗工工程開始後の吐出方向への吐出口の変位を示す図である。 ダイが変形したときのダイと基材との位置関係を示す斜視図である。 実施例の塗工工程で得られた積層体中のPVA系樹脂層の、幅方向に沿った厚み分布を示す。 比較例の塗工工程で得られた積層体中のPVA系樹脂層の、幅方向に沿った厚み分布を示す。
本発明の実施形態について、図1〜図8に基づいて詳細に説明する。以下では、光学フィルムとして、液晶表示パネル等に用いられる偏光膜を例に挙げて、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。
偏光膜は、代表的には、ヨウ素等の二色性物質を含むPVA系樹脂フィルムで構成される。PVA系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。偏光膜の厚みは、25μm以下であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下、特に好ましくは5μm以下である。一方、偏光膜の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.5μm以上である。以下では、PVA系樹脂フィルムで構成される偏光膜の製造方法について説明する。
<偏光膜の製造方法>
図2(a)〜図2(c)は、本実施形態の偏光膜の製造方法を工程順に説明するための断面図である。図2(a)〜図2(c)に示すように、偏光膜の製造工程は、長尺状の基材1の一方の面にPVA系樹脂を含有する塗工液を塗工する塗工工程と、塗工後の塗工液を乾燥することによってPVA系樹脂層2’を形成する乾燥工程と、PVA系樹脂層2’に所定の処理を施すことによってPVA系樹脂層2’を偏光膜2とする処理工程と、を含んでいる。上記の工程により、偏光膜2は、偏光膜2と基材1とからなる光学フィルム積層体10の一部として製造される。その後、偏光膜2から基材1を剥離してもよいし、基材1を剥離することなく、基材1を保護膜として残してもよい。なお、このような偏光膜の製造方法の詳細は、例えば、特開2012−73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
基材1は、代表的には、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂で形成される。基材1の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、より好ましくは30μm〜200μmである。
PVA系樹脂を含有する塗工液は、代表的には、PVA系樹脂を溶媒(代表的には、水)に溶解させた、PVA系樹脂の水溶液である。基材1に塗工液を塗工した後、塗工液を適当な乾燥条件で乾燥させることによって、PVA系樹脂層2’を形成することができる。
PVA系樹脂層2’を偏光膜2とするための所定の処理としては、例えば、染色処理、延伸処理、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理が挙げられる。これらの処理は、目的に応じて適宜選択され得る。また、処理順序、処理のタイミング、処理回数等、適宜設定され得る。なお、塗工工程で形成したPVA系樹脂層が偏光膜として使用され得る状態であれば、上記偏光膜とするための処理を省略してもよい。
また、図2(a)〜図2(c)に示すように、塗工工程の前に、基材1の他方の面(塗工面とは反対側の面)に帯電防止層3を形成してもよい。これにより、塗工工程以降の工程における基材1のブロッキングを抑制することができる。帯電防止層3は、代表的には、導電性ポリマー等の導電性材料、およびポリウレタン系樹脂等のバインダー樹脂と、を含んで構成される。導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリジアセチレン系重合体等が挙げられる。帯電防止層3の厚みは、好ましくは0.1μm〜10μm、さらに好ましくは0.2μm〜2μmである。ただし、上記のとおり、必ずしも基材1に帯電防止層3を形成する必要はない。
<塗工工程>
塗工工程では、塗工装置を用いて、後述する塗工条件下で塗工液を塗工することによって、均一な膜厚のPVA系樹脂層を形成することができる。
図1は、塗工工程におけるダイと基材との位置関係を示す斜視図である。図1に示すように、塗工装置20は、塗工液を吐出する吐出口14を有するダイ12と、塗工液供給管13と、を備えており、いわゆるダイコート方式の塗工装置である。ダイ12は、吐出口14と基材1とが対向するように配置される。例えば2500mm以上、好ましくは3000mm以上の塗工幅での塗工を可能とするために、塗工装置20の吐出口14は上記塗工幅と同様の幅を有している。
塗工液は、塗工液供給管13を介して連続的にダイ12に供給され、吐出口14から吐出され、基材1の表面に塗工される。本実施形態の塗工工程では、ダイ12の温度と塗工液の温度との差が1℃未満(より好ましくは、0.3℃以下)の状態で、ダイ12への塗工液の供給を開始するという塗工条件で塗工する。これにより、ダイ12に塗工液が供給されることによるダイ12の温度変化を抑制し、塗工工程開始後のダイ12の形状変化を抑制することができる。その結果、吐出口14の幅方向に沿って塗工量を安定させることができ、幅方向に沿った塗工液の塗工厚みの変動を抑制することができる。
塗工工程では、図1に示すように、基材1を搬送しながら、搬送される基材1の表面に塗工液を塗工してもよい。塗工装置20は、基材1を搬送するための複数のロールのうちの1つのロール(コーティングロール、図示せず)と、ダイ12の吐出口14とが所定の間隔を空けて対向するように配置される。これにより、塗工液が吐出される方向に沿ってコーティングギャップが規定され、コーティングギャップに応じた厚みで塗工液が塗工される。以下の説明では、吐出口14の長手方向(ダイ12の長手方向)をX方向とし、X方向に垂直な方向であって、塗工液が吐出される方向(吐出方向)をY方向とする。
<ステージへのダイの取り付け>
図3は、本実施形態において用いられ得る塗工装置の構成を示す概略図である。ダイ12は、吐出口14を有する側とは反対側で、ボルト固定部15を介してステージ11に取り付けられている。ボルト固定部15は、ダイ12が不動となるようにダイ12をステージ11に固定する。ステージ11は、コーティングロールとの間に所定の間隔を空けて設けられている。これにより、コーティングギャップをX方向に沿って均一に保つことができ、X方向に沿って均一な厚みで塗工液を塗工することができる。なお、図3に示す例においては、ダイ12は、X方向に沿って一列に並ぶ5つのボルト固定部15を介してステージ11に取り付けられている。
また、図示は省略するが、ダイ12は、1つのボルト固定部15および4つのスライド固定部によってステージ11に取り付けられていてもよい。具体的には、ボルト固定部15を中心としてX方向に沿って一列に並ぶボルト固定部15およびスライド固定部を用いて、ダイ12は、X方向における中央部で、ボルト固定部15によってステージ11に取り付けられており、X方向における両端部で、スライド固定部によってステージ11に取り付けられていてもよい。
スライド固定部は、ダイ12がY方向に不動となり、かつ、ダイ12がX方向に可動となるように、ダイ12をステージ11に取り付ける。言い換えると、スライド固定部は、ダイ12がX方向にスライド可能となるように、ダイ12をステージ11に取り付ける。
ボルト固定部15およびスライド固定部を用いてダイ12をステージ11に取り付けることにより、ダイ12がX方向に沿って膨張する場合に、X方向に沿ったダイ12の寸法変化に応じてダイ12がスライドし、ダイ12の端部の位置がステージ11に対して相対的に移動する。したがって、塗工工程において、ダイ12に塗工液が供給されることによってダイ12の温度が上昇してダイ12が熱膨張する場合に、ダイ12の端部の位置がステージ11に対して相対的に移動することによって、X方向における熱応力を解放することができる。
なお、ダイ12がX方向に沿ってスライド可能となるようにダイ12をステージ11に取り付けることができれば、スライド固定部の構成は特に限定されないが、例えば、ダイ12をX方向にスライドさせるレール状の部材で構成されていてもよい。また、ダイ12にY方向への力を加えてダイ12とレール状の部材との間に摩擦力を付与するクランプボルト、および、ダイ12とスライド固定部との間のX方向の摩擦力を低減するグリスを用いてもよい。さらに、スライド固定部の数は4に限定されず、少なくとも1つのスライド固定部を用いてダイ12をステージ11に固定してもよい。上記のとおり、塗工装置20では、スライド固定部を用いることは必須ではなく、ダイ12は、ボルト固定部15のみによってステージ11に取り付けられていてもよい。
<コーティングギャップ>
図4は、ダイの温度が上昇したときのダイの形状変化を示す図である。図4は、4000mm幅のダイを、ボルト固定部のみを用いてステージに取り付けた場合と、ボルト固定部およびスライド固定部を用いてステージに取り付けた場合とにおいて、ダイの表面温度が1℃上昇したときの形状変化を、有限要素法(FEM)を用いて求めた結果を示し、横軸はX方向におけるダイの端部からの距離(mm)であり、縦軸は温度上昇に伴うY方向における吐出口の変位量(mm)である。
図5は、塗工工程開始後の吐出方向への吐出口の変位を示す図である。図5は、4000mm幅のダイを、ボルト固定部のみを用いてステージに取り付けた場合と、ボルト固定部およびスライド固定部を用いてステージに取り付けた場合とにおいて、塗工工程開始からの経過時間に伴う吐出口の変位量を、変位計を用いて実測した値と、FEMを用いて求めた値とを示し、横軸は塗工工程開始からの経過時間(分)であり、縦軸はダイのX方向における中点についてのY方向への変位量(μm)である。
図6は、ダイが変形したときのダイと基材との位置関係を示す斜視図である。
図4に示すように、ダイ12の温度が1℃上昇することに伴い、端部から遠ざかるほど吐出口14の位置がY方向に変位する。また、温度上昇前の初期位置に比べて、端部では吐出口14の位置が下がり、中央部では吐出口の位置が上がる。また、図5に示すように、塗工工程開始から所定時間経過後のダイのX方向における中点の位置は、塗工工程開始時の位置からY方向に変位している。
すなわち、塗工工程においてダイ12に塗工液が供給されることによってダイ12が熱により変形し、図6に示すように、ダイ12は、ステージ11に面しない上面側(吐出口14側)が上に凸の曲線状の形状となる。これにより、ダイ12の中点におけるコーティングギャップが小さくなり、その結果、X方向に沿った厚みの均一性が損なわれる。
したがって、偏光膜2の製造工程において、塗工工程開始時におけるダイ12の温度と、塗工液の温度との差を、できるだけ小さく制御することが好ましく、本実施形態の製造方法のように、上記温度の差が1℃未満の状態で、ダイ12への塗工液の供給を開始することが好ましい。
これにより、ダイ12に塗工液が供給されることによるダイ12の温度変化を抑制することができ、塗工工程開始後のダイ12の形状変化を抑制することができる。その結果、塗工工程開始後のコーティングギャップの変動を抑制することができ、X方向に沿った塗工液の塗工厚みの変動を抑制することができる。したがって、PVA系樹脂層の厚みを均一に保つことができ、均一な厚みの偏光膜2を製造することができる。
さらに、上記温度の差が0.3℃以下の状態で、ダイ12への塗工液の供給を開始することによって、PVA系樹脂層の厚みをより一層均一に保つことができ、より一層均一な厚みの偏光膜2を製造することができる。
なお、図1に示すように、塗工液の温度は、熱電対Tを用いて測定してもよい。塗工工程開始時におけるダイ12の温度と、塗工液の温度との差を小さくするための手段として、任意の適切な手段を用いることができる。例えば、塗工装置20に、ダイ12を加熱するための加熱部を設け、ダイ12を加熱することによって、ダイ12の温度を塗工液の温度に近づけてもよい。また、室温を、塗工液の温度と等しくなるように制御することによって、ダイ12の温度を塗工液の温度に近づけてもよい。
また、図4に示すように、ボルト固定部のみを用いてダイ12をステージ11に取り付けた場合に比べて、ボルト固定部およびスライド固定部を用いてダイ12をステージ11に取り付けた場合の方が、ダイの温度上昇に伴う吐出口の変位量が小さい。さらに、図5に示すように、変位計を用いた実測値においても、ボルト固定部のみを用いてダイ12をステージ11に取り付けた場合に比べて、ボルト固定部およびスライド固定部を用いてダイ12をステージ11に取り付けた場合の方が、塗工工程開始からの経過時間に応じたダイの中点の変位量が小さい。
これは、ダイ12に供給される塗工液の熱によって、塗工工程開始からの経過時間に伴ってダイ12の温度が上昇してダイ12に形状変化が生じるが、ダイ12をステージ11にボルト固定した場合、ダイ12の長手方向の熱膨張が制限されることによって熱応力が生じ、その結果、ステージ11に面しない上面側(吐出口14側)がY方向に突出するように撓むためであると考えられる。
一方で、スライド固定部を用いてダイ12をステージに取り付けることによって、ダイ12のX方向の寸法変化に応じて、端部の位置がX方向に沿ってステージ11に対して相対的に移動する。これにより、X方向における熱応力を解放することができ、その結果、ダイ12のY方向への変位を抑制することができると考えられる。
このように、スライド固定部を用いてダイ12をステージに取り付けることによって、塗工工程開始後のダイ12の温度上昇に伴うコーティングギャップの変動を抑制することができ、その結果、X方向に沿った厚みの均一性の低下をさらに抑制することができる。これにより、PVA系樹脂層の厚みをより一層均一に保つことができ、より一層均一な厚みの偏光膜2を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明の偏光膜の製造方法を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)基材の作製
非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂(A−PET)を厚み200μmの長尺状に製膜し、A−PET基材を得た。
水系ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス210R」、固形分:35%)と、オキサゾリン系架橋剤(株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスWS700」、固形分:25%)と、導電材(アグフア・ゲバルト株式会社製、商品名「オルガコンLBS」、固形分:1.2%)と、濃度1%のアンモニア水と、水とを、重量比9.03:1.00:18.1:0.060:39.5で混合して得られた混合液を、A−PET基材の一方の面に塗布して乾燥させることにより、帯電防止層を形成した。帯電防止層の厚みは1μmであった。
次に、A−PETフィルムを長手方向に搬送しながら、115℃で幅方向(短手方向)に2.3倍に延伸した。延伸したA−PETフィルムの両端部をスリットして除去することにより、約3500mm幅の基材を得た。
(2)塗工液の塗工条件
図1および図3に示すような塗工装置を用いて、ポリビニルアルコール(重合度:4200、ケン化度:99.2モル%)を水に溶解した23.1℃の塗工液(濃度7%)を、23℃のダイに供給し、基材を長手方向に搬送しながら基材の他方の面に3500mmの塗工幅で塗工した。塗工後、塗工液を60℃で乾燥させることにより、基材と、帯電防止層と、厚み約10μmのPVA系樹脂層とからなる積層体を得た。
(3)その他の処理
次に、空中延伸処理として、積層体を130℃で2.4倍に空中延伸した(空中延伸工程)。
次に、不溶化処理として、延伸処理した積層体を、液温30℃のホウ酸3重量%水溶液(不溶化浴)に30秒間浸漬した(不溶化工程)。
次に、染色処理として、不溶化処理した積層体を、液温30℃の染色浴(水にヨウ素とヨウ化カリウムとを重量比1:7で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光膜の単体透過率(Ts)が40〜44%となるように浸漬した(染色工程)。
次に、架橋処理として、染色処理した積層体を、ホウ酸3重量%と、ヨウ化カリウム3重量%とを含む液温30℃の水溶液(架橋浴)に30秒間浸漬した(架橋工程)。
次に、ホウ酸水中延伸処理として、架橋処理した積層体を、ホウ酸4重量%と、ヨウ化カリウム5重量%とを含む液温70℃の水溶液中で、周速の異なる複数セットのロール間で、長手方向に2.3倍一軸延伸した(ホウ酸水中延伸工程)。合計延伸倍率は5.5倍であった。
次に、洗浄・乾燥処理として、ホウ酸水中延伸処理した積層体を、液温30℃のヨウ化カリウム4重量%水溶液(洗浄浴)に浸漬した後、60℃の温風で乾燥した(洗浄・乾燥工程)。
以上の工程により、厚み4.3μmの偏光膜と、基材と、帯電防止層とからなる光学フィルム積層体を製造した。
〔実施例2〕
ダイに供給する塗工液の温度を23.3℃としたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
〔実施例3〕
基材の幅を約3000mmとし、塗工幅を3000mmとしたこと以外は実施例2と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
〔実施例4〕
ボルト固定部およびスライド固定部によってダイがステージに固定された塗工装置を用いたこと以外は実施例2と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
〔比較例1〕
ダイに供給する塗工液の温度を24℃としたこと以外は実施例3と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
〔比較例2〕
基材の幅を約3500mmとし、塗工幅を3500mmとしたこと以外は比較例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
〔参考例1〕
基材の幅を約1500mmとし、塗工幅を1500mmとしたこと以外は比較例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
〔参考例2〕
基材の幅を約2000mmとし、塗工幅を2000mmとしたこと以外は比較例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
<評価方法>
なお、ダイおよび塗工液の温度、ならびにPVA系樹脂層の厚みは、以下の通り測定した。また、各実施例、各比較例、各参考例により製造された光学フィルム積層体の偏光膜の光学特性を、以下の通り測定した。
(ダイおよび塗工液の温度)
ダイの温度として、塗工工程の開始前、塗工液が供給される前のダイの表面の温度を、熱電対を用いて測定した。また、液温として、ダイに供給される前の塗工液の温度を、熱電対を用いて測定した。さらに、液温−ダイ温度差を、液温からダイの温度を差し引くことにより算出した。
(PVA系樹脂層の厚み)
塗工工程の開始後、ダイの温度が上昇し、塗工液の温度と等しくなった状態で塗工された塗工液を乾燥して得られたPVA系樹脂層の厚みを、光干渉式膜厚計で可視光を用いて測定した。PVA系樹脂層の厚みとして、端部および中央部の膜厚を測定した。PVA系樹脂層の中央部の厚みとして、積層体の幅方向における中央部の厚みを測定し、PVA系樹脂層の端部の厚みとして、積層体の長辺から塗工幅×3%の長さだけ内側の位置における厚みを測定した。また、幅方向におけるPVA系樹脂層の膜厚の変動幅として、幅方向における膜厚の平均値に対する、端部の膜厚と中央部の膜厚との差の割合(百分率)を算出した。
さらに、中央部の厚みおよび端部の厚みが9.7μm〜10.3μmの範囲内であり、幅方向におけるPVA系樹脂層の膜厚の変動幅が6%以下の場合には、厚み判定結果を良好(○)とし、中央部の厚みおよび端部の厚みが上記範囲外である場合には、厚み判定結果を不良(×)とした。
(偏光膜の光学特性)
得られた光学フィルム積層体に、接着剤を用いて偏光膜の表面にトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム株式会社製、商品名「TD80UL」)を貼合した後、基材および帯電防止層を剥離して、偏光板を作成した。日本分光株式会社製の紫外可視分光光度計「V7100」を用いて、偏光板の透過率を測定した。偏光板の透過率のバラつきが、液晶表示パネルに用いることができる程度に小さい場合には、透過率のバラつき判定結果を良好(○)とし、偏光板の透過率のバラつきが大きい場合には、透過率のバラつき判定結果を不良(×)とした。
各実施例、各比較例、各参考例の塗工条件で得られたPVA系樹脂層の厚み測定結果および厚み判定結果と、各実施例、各比較例、各参考例により製造された光学フィルム積層体の偏光膜の光学特性の測定結果とを、表1に示す。また、液温−ダイ温度差および塗工幅に対するPVA系樹脂層の厚み変動幅を、表2に示す。
Figure 0006784528
Figure 0006784528
参考例1および参考例2と比較例1および比較例2との対比から明らかなように、液温−ダイ温度差が1℃であっても、塗工幅が2000mm以下であれば、厚み判定結果および透過率のバラつき判定結果は良好であったが、塗工幅が3000mm以上の場合、厚み判定結果および透過率のバラつき判定結果は不良であった。また、表2に示すように、液温−ダイ温度差が1℃の場合、塗工幅が大きいほどPVA系樹脂層の厚み変動幅が大きい。
また、実施例1および実施例2と比較例2との対比から明らかなように、塗工幅が3500mmであっても、液温−ダイ温度差が0.3℃以下であれば、厚み判定結果および透過率のバラつき判定結果は良好であったが、液温−ダイ温度差が1℃の場合、厚み判定結果および透過率のバラつき判定結果は不良であった。したがって、液温−ダイ温度差が1℃未満の状態でダイへの塗工液の供給を開始することが好ましい。
また、実施例3と比較例1との対比から明らかなように、塗工幅が3000mmであっても、液温−ダイ温度差が0.3℃であれば、厚み判定結果および透過率のバラつき判定結果は良好であったが、液温−ダイ温度差が1℃の場合、厚み判定結果および透過率のバラつき判定結果は不良であった。したがって、液温−ダイ温度差が1℃未満の状態でダイへの塗工液の供給を開始することが好ましい。
また、実施例2と実施例4との対比から明らかなように、ボルト固定部およびスライド固定部によってダイがステージに固定された塗工装置を用いて塗工することによって得られたPVA系樹脂層の厚み変動幅は、ボルト固定部のみによってダイがステージに固定された塗工装置を用いて塗工することによって得られたPVA系樹脂層の厚み変動幅よりも小さい。
図7は、実施例2の塗工工程で得られた積層体中のPVA系樹脂層の、幅方向に沿った厚み分布を示す。図8は、比較例2の塗工工程で得られた積層体中のPVA系樹脂層の、幅方向に沿った厚み分布を示す。図7および図8は、塗工工程の開始直後に塗工されたPVA系樹脂層の厚みと、ダイの温度が飽和した後で塗工されたPVA系樹脂層の厚みとを示し、図7および図8中、横軸は積層体の幅方向の端部からの距離(mm)であり、縦軸はPVA系樹脂層の塗布厚(μm)である。
図8に示すように、比較例2の塗工工程で得られた積層体では、ダイの温度が飽和した後で塗工されたPVA系樹脂層の厚みは、塗工工程の開始直後に塗工されたPVA系樹脂層の厚みに比べて、積層体の幅方向における中心部分では小さくなり、端部では大きくなった。特に、積層体の幅方向の端部では、ダイの温度が飽和した後で塗工されたPVA系樹脂層の厚みが、設定値である10μmよりも大幅に大きく、規格値である9.7μm〜10.3μmを大きく超える値となった。
これに対して、図7に示すように、実施例2の塗工工程で得られた積層体は、比較例2の塗工工程で得られた積層体に比べて、ダイの温度が飽和した後で塗工されたPVA系樹脂層の厚みと、塗工工程の開始直後に塗工されたPVA系樹脂層の厚みとの差が小さかった。
本発明の光学フィルムは、液晶ディスプレイ、携帯電話、携帯情報端末、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、カーナビゲーション、コピー機、プリンター、ファックス、時計、電子レンジ等の液晶表示パネルに好適に用いられる。
1 基材
2 偏光膜
3 帯電防止層
10 光学フィルム積層体
11 ステージ
12 ダイ
13 塗工液供給管
14 吐出口
15 ボルト固定部
20 塗工装置

Claims (6)

  1. 光学フィルムを形成する樹脂を含有する塗工液を連続的にダイに供給し、前記ダイを介して前記塗工液を基材に塗工する塗工工程を含む、光学フィルムの製造方法であって、
    前記塗工工程が、前記ダイの温度と前記塗工液の温度との差が1℃未満の状態で、前記ダイへの前記塗工液の供給を開始することを含み、
    前記光学フィルムが偏光膜である、光学フィルムの製造方法。
  2. 前記塗工工程が、前記ダイの温度と前記塗工液の温度との差が0.3℃以下の状態で、前記ダイへの前記塗工液の供給を開始することを含む、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記塗工工程が、前記基材との間に所定の間隔を空けて設けられたステージに取り付けられた前記ダイであって、前記ダイの吐出口の長手方向における寸法変化に応じて端部の位置が前記ステージに対して相対的に移動可能となるように取り付けられた前記ダイを用いて塗工することを含む、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記塗工工程が、2500mm以上の塗工幅で前記塗工液を塗工することを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記光学フィルムの厚みが10μm以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記基材に塗工した前記塗工液を乾燥させることによって、前記ダイの吐出口の長手方向に対応する幅を有する長尺状の樹脂層を得る乾燥工程と、
    所定の処理を施すことによって前記樹脂層を前記光学フィルムとする処理工程と、を含み、
    前記塗工工程で、幅方向における厚みの平均値に対する、端部の厚みと中央部の厚みとの差の割合が6%以下となるように塗工液を塗工することを含む、請求項5に記載の光学フィルムの製造方法。
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