JP4994145B2 - 偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルム、画像表示装置および噴霧装置 - Google Patents
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親水性ポリマーフィルムを二色性物質により染色する染色工程と、
前記親水性ポリマーフィルムを延伸する延伸工程とを有する偏光子の製造方法であって、
前記延伸工程が、前記染色工程および前記染色工程とは別の工程の少なくとも一つで実施され、
前記染色工程、前記延伸工程および前記別の工程の少なくとも一つが、各工程の処理液を気相中において前記親水性ポリマーフィルムの下側に配置された噴霧手段で前記親水性ポリマーフィルムの下面に噴霧することにより前記親水性ポリマーフィルムに前記処理液を接触させた状態で実施され、
前記噴霧が、搬送手段により、前記親水性ポリマーフィルムを水平方向かつ長手方向に搬送している状態で、往復移動手段により、前記噴霧手段を、前記フィルムの面方向に平行かつ前記フィルムの搬送方向に対し垂直方向に往復移動させることにより実施されることを特徴とする。
前記親水性ポリマーフィルムを水平方向かつ長手方向に搬送する搬送手段と、
前記親水性ポリマーフィルムの下側に配置され、前記親水性ポリマーフィルムの下面に処理液を噴霧する噴霧手段と、
前記噴霧手段を、前記フィルムの面方向と平行かつ前記フィルムの搬送方向と垂直方向に往復移動させる往復移動手段とを備えることを特徴とする。
前記搬送手段による前記親水性ポリマーフィルムの搬送方向が、水平方向に設定され、前記噴霧手段が、前記親水性ポリマーフィルムの下側に配置され、前記親水性ポリマーフィルムの下面に対し、前記噴霧手段により前記処理液が噴霧される。
まず、本発明の特徴である処理液の噴霧について説明する。本発明の偏光子の製造方法では、例えば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、調整工程等の工程の少なくとも一つが、各工程の処理液を気相中において噴霧手段で噴霧することにより前記親水性ポリマーフィルムに前記処理液を接触させた状態で実施される。前述のとおり、前記処理液の噴霧は、搬送手段により、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に搬送している状態で、往復移動手段により、前記噴霧手段を、前記フィルムの面方向に平行かつ前記フィルムの搬送方向に対し垂直方向に往復移動させることにより実施される。これにより、本発明では、噴霧により前記親水性ポリマーフィルムへの前記処理液の均一塗布が可能となる。
y=20x ・・・(1)
y=60x ・・・(2)
y=100x ・・・(3)
つぎに、偏光子の材料となる親水性ポリマーフィルムについて、説明する。前記親水性ポリマーフィルムとしては、特に制限されず、従来公知のフィルムが使用できる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム等の親水性ポリマーフィルム等が挙げられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム、延伸配向されたポリビニレン系フィルム等も使用できる。これらの中でも、後述する二色性物質であるヨウ素による染色性に優れることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。
つぎに、本発明の偏光子の製造方法の各工程について説明する。前述のように、本発明の製造方法は、染色工程および延伸工程を有す。前記延伸工程は、染色工程および染色工程とは別の工程の少なくとも一つで実施される。例えば、本発明の偏光子の製造方法は、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、調整工程および乾燥工程の一連の工程で実施される。これらの各工程の少なくとも一つにおいて、処理液を噴霧により親水性ポリマーフィルムに接触させる。
前記原反親水性ポリマーフィルムを、まず、膨潤液に接触させて膨潤させる。
つぎに、前記膨潤後の親水性ポリマーフィルムを、二色性物質を含む染色液に接触させる。
つぎに、前記染色処理後の親水性ポリマーフィルムを、架橋剤を含む架橋液に接触させる。
本工程は、例えば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、調整工程等の各工程で実施してもよいし、別個独立に実施してもよい。前述のとおり、本工程における延伸は、特に制限されず、例えば、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に延伸する長手方向延伸または前記親水性ポリマーフィルムを幅方向に延伸する幅方向延伸である。この中でも、幅方向延伸が好ましい。本発明において前記幅方向延伸を適用すれば、大型の偏光子の製造が可能となるからである。
つぎに、前記親水性ポリマーフィルムをヨウ化物含有水溶液(調整液)に接触させる。
最後に、前記親水性ポリマーフィルムを乾燥させることにより、偏光子を得ることができる。
本発明の偏光子の厚みは、特に制限されないが、例えば、5〜40μmの範囲であり、好ましくは、10〜37μmの範囲であり、より好ましくは、15〜35μmの範囲である。
つぎに、本発明の偏光板は、前記本発明の偏光子の少なくとも一方の表面に保護層が積層された構成である。前記保護層は、前記偏光子の片面のみに積層されてもよいし、両面に積層されてもよい。両面に積層する場合には、例えば、同じ種類の保護層を使用してもよいし、異なる種類の保護層を使用してもよい。
つぎに、本発明の光学フィルムは、前記本発明の偏光子または前記本発明の偏光板の少なくとも一方の表面に位相差板が積層された構成である。
本発明の偏光子、偏光板および光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)やELディスプレイ(ELD)等の各種の画像表示装置に好ましく用いることができる。本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光子、偏光板および光学フィルムの少なくとも一つを用いること以外は、従来の液晶表示装置と同様の構成である。本発明の液晶表示装置は、例えば、液晶セル、本発明の偏光子等の光学部材、および必要に応じて照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により製造できる。
得られた偏光子を、縦150mm横150mmの正方形に切り出し、試験片を作製した。偏光子における光学特性の均一性は、図13に示すように、前記試験片60において、縦×横=5×5=25箇所の測定ポイントにおける単体透過率の測定により実施した。図13において、円で囲んだ図は、測定ポイントの拡大図である。図示のように、隣接するポイント間の距離(ピッチ)は、縦d2および横d1共に20mmである。また、単体透過率は、光学材料検査装置(大塚電子(株)製、商品名「RETS−1200VA」)を用いて測定した。光学特性の均一性は、前記25箇所の測定ポイントの標準偏差を算出して評価した。前記標準偏差は、実施例における往復移動速度および比較例における噴霧手段の個数の各条件について3回ずつ行い(n=3)、その平均値として求めた。
図10に示した製造装置により、偏光子を作製した。
重合度2400のPVAからなる厚み75μm、幅0.13m、長さ50mのロールに巻き回した原反PVAフィルム(クラレ社製、商品名「VF−PS」)を準備した。前記原反PVAフィルム1を繰り出し部(ロール)500から順次繰り出した。
(1)膨潤工程および延伸工程
まず、前記PVAフィルムを水浴(膨潤浴:温度30℃)510に浸漬すると共に、速比の異なるロール511および512により、前記フィルム長手方向に、前記PVAフィルムを原反の2.2倍に延伸した。前記ロール511の回転速度は、0.37m/分、前記ロール512の回転速度は、0.81m/分とした。
つぎに、前記膨潤処理されたPVAフィルム1の下面に対し、レシプロケーター4に取り付けたスプレーノズル3により、0.5重量%のヨウ素水溶液(染色液:温度30℃)11aを噴霧すると共に、速比の異なるロール512および521により、前記フィルム長手方向に、前記PVAフィルムを原反の3.3倍に延伸した。前記ロール521の回転速度は、1.22m/分とした。前記スプレーノズルの霧化エアー圧力は、0.15MPa、パターンエアー圧力は、0.05MPaとした。前記処理液吐出口から前記PVAフィルムまでの距離は、200mmとした。前記PVAフィルムへの前記染色液の噴霧量は、40mL/分とした。レシプロケーター4によるスプレーノズル3の往復移動速度は、3、5、10、20および30m/分の5条件とした。
つぎに、前記染色処理されたPVAフィルム1を、3重量%のヨウ化カリウムと3重量%のホウ酸とを含む水溶液(架橋浴:温度30℃)520に浸漬すると共に、速比の異なるロール521および522により、前記フィルム長手方向に、前記PVAフィルムを原反の3.6倍に延伸した。前記ロール522の回転速度は、1.33m/分とした。
つぎに、前記架橋処理されたPVAフィルム1を、5重量%のヨウ化カリウムと4重量%のホウ酸とを含む水溶液(延伸浴:温度50℃)530に浸漬すると共に、速比の異なるロール531および532により、前記フィルム長手方向に、前記PVAフィルムを原反の5.9倍に延伸した。前記ロール531の回転速度は、1.33m/分、前記ロール532の回転速度は、2.18m/分とした。
つぎに、前記延伸処理されたPVAフィルム1を、4重量%のヨウ化カリウム水溶液(調整浴:温度30℃)540に浸漬し、洗浄処理を施した。前記ロール541および542の回転速度は、共に2.18m/分とした。
つぎに、前記洗浄処理されたPVAフィルム1を、乾燥機(オーブン)550で乾燥した。乾燥は、60℃で40秒間行った。最後に、前記乾燥処理されたPVAフィルム1を巻き取り部(ロール)560により巻き取ることで、連続で偏光子570を得た。
往復移動手段を用いずに、1、2、3または4個のスプレーノズルをPVAフィルムの幅方向に並列に固定設置して染色液を噴霧したこと以外は、実施例と同様にして、偏光子を得た。
染色工程を、染色浴で実施した以外は、実施例と同様にして偏光子を得た。なお、前記染色浴中の染色液は、実施例で使用した噴霧用の染色液と同じである。
2 搬送手段(把持手段)
3 噴霧手段
4 往復移動手段
11a、513、523、533、543 処理液
21 回転軸
22 上把持部
23 下把持部
31a 処理液吐出口
31b 処理液流路
32a 霧化エアー吐出口
32b 霧化エアー流路
33a パターンエアー吐出口
33b パターンエアー流路
34 ニードル弁
40、50 偏光板
41、570 偏光子
42 保護層
51 粘着剤層
60 試験片
500 繰り出し部
510、520、530、540 浸漬浴
511、512、521、522、531、532、541、542 ロール
550 乾燥手段
560 巻き取り部
a、b、c、d1、d2、A、B、C、D,E、F、G 矢印
S1 膨潤工程
S2 染色工程
S3 架橋工程
S4 延伸工程
S5 調整工程
S6 乾燥工程
Claims (9)
- 親水性ポリマーフィルムを二色性物質により染色する染色工程と、
前記親水性ポリマーフィルムを延伸する延伸工程とを有する偏光子の製造方法であって、
前記延伸工程が、前記染色工程および前記染色工程とは別の工程の少なくとも一つで実施され、
前記染色工程、前記延伸工程および前記別の工程の少なくとも一つが、各工程の処理液を気相中において前記親水性ポリマーフィルムの下側に配置された噴霧手段で前記親水性ポリマーフィルムの下面に噴霧することにより前記親水性ポリマーフィルムに前記処理液を接触させた状態で実施され、
前記噴霧が、搬送手段により、前記親水性ポリマーフィルムを水平方向かつ長手方向に搬送している状態で、往復移動手段により、前記噴霧手段を、前記フィルムの面方向に平行かつ前記フィルムの搬送方向に対し垂直方向に往復移動させることにより実施されることを特徴とする偏光子の製造方法。 - 前記別の工程が、前記親水性ポリマーフィルムを膨潤させる膨潤工程および前記親水性ポリマーフィルムを架橋する架橋工程の少なくとも一方の工程を含む請求項1に記載の偏光子の製造方法。
- 前記延伸工程における延伸が、前記親水性ポリマーフィルムの長手方向延伸または前記親水性ポリマーフィルムの幅方向延伸である請求項1または2に記載の偏光子の製造方法。
- 前記幅方向延伸を、前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を把持手段により把持し、前記把持手段を前記親水性ポリマーフィルムの長手方向に進行させると共に、前記親水性ポリマーフィルムの両端を把持する前記把持手段の少なくとも一方を前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の外側にも移動させることで実施する請求項3記載の偏光子の製造方法。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法により製造された偏光子。
- 偏光子の少なくとも一方の表面に保護層が積層された偏光板であって、前記偏光子が、請求項5記載の偏光子である偏光板。
- 偏光子または偏光板の少なくとも一方の表面に位相差板が積層された光学フィルムであって、前記偏光子が、請求項5記載の偏光子であり、前記偏光板が、請求項6記載の偏光板である光学フィルム。
- 偏光子、偏光板および光学フィルムの少なくとも一つを含む画像表示装置であって、前記偏光子が、請求項5記載の偏光子であり、前記偏光板が、請求項6記載の偏光板であり、前記光学フィルムが、請求項7記載の光学フィルムである画像表示装置。
- 請求項1記載の偏光子の製造方法に用いる処理液の噴霧装置であって、
前記親水性ポリマーフィルムを水平方向かつ長手方向に搬送する搬送手段と、
前記親水性ポリマーフィルムの下側に配置され、前記親水性ポリマーフィルムの下面に処理液を噴霧する噴霧手段と、
前記噴霧手段を、前記フィルムの面方向と平行かつ前記フィルムの搬送方向と垂直方向に往復移動させる往復移動手段とを備える処理液の噴霧装置。
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