JP6783991B2 - 車両のフロアクロスメンバ構造 - Google Patents
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Description
こうしたフロアクロスメンバが車体下部に適用された車両に対し、他車両等の衝突体が側方から衝突(側面衝突)すると、その衝突に伴い車両に加わった荷重の一部は、サイドシル及びフロアクロスメンバを介してフロアトンネルに伝達される。フロアトンネルは高い剛性を有しており、フロアクロスメンバの車内側への動きを規制する。そのため、サイドシルに加えられた側面衝突の荷重は、上記のように車内側への動きを規制されたフロアクロスメンバによって受け止められる。その結果、車両の変形が抑制されて、車室空間が確保され、乗員が保護される。
この点、上記の構成によれば、側面衝突の検出又は予測に応じ、中間部が上昇機構部により上昇させられて、中間部の上面が両支持部の上面と同じ高さに揃えられる。フロアクロスメンバ構造は、両支持部の上面と中間部の上面との間に段差部のない状態、又はそれに近い状態となる。そのため、側面衝突により車両に対し側方から荷重が加わると、その荷重は、上面の高さが揃えられた支持部及び中間部を介してフロアトンネルに伝達される。従って、支持部は、自身の上面と中間部の上面との間に段差部がある場合に比べると変形しにくい。その結果、車両の変形が効果的に抑制される。
以下、車両のフロアクロスメンバ構造を具体化した第1実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
車外側の各支持部23は、サイドシル14に対し車内側に隣接し、車内側の各支持部24は、フロアトンネル15に対し隣接している。各フロアクロスメンバ本体21の周縁部にはフランジ部(図示略)が形成されており、このフランジ部においてフロアクロスメンバ本体21が、フロアパネル12、サイドシル14、フロアトンネル15等に対し、溶接等の固定手段によって接合されている。
図4〜図6に示すように、各中間部25は、中間板部26及び一対の補助板部27を備えている(図2参照)。中間板部26は、車幅方向の寸法が前後方向の寸法に比べて大きな長尺状をなしている。前後方向における一般部22、支持部23,24及び中間板部26の各寸法を幅とすると、各中間板部26は、両支持部23,24及び一般部22と同程度の幅を有している(図3参照)。中間板部26の上面25aは、車幅方向に延びる平面によって構成されている。
アクチュエータ31としては、中間部25の上面25aに沿う方向へ伸張するものが用いられている。第1実施形態では、アクチュエータ31として、車幅方向に延びる姿勢で配置されて一般部22に固定されたケース32と、ケース32に対し車幅方向へ出没するシャフト33とを備え、車幅方向に伸長するものが用いられている。同一のフロアクロスメンバ構造20における一対のアクチュエータ31は、シャフト33がケース32から、車幅方向のうち、互いに反対方向(支持部23,24に向かう方向)へ突出するように配置されている(図2参照)。
各変換伝達部35は、上記アクチュエータ31の伸張の方向を上下方向に変換して、同伸張を中間部25に伝達して上昇させるためのものであり、スライダ36及びレバー40を備えている。
図5〜図10は、各フロアクロスメンバ構造20における車外側の上昇機構部30の動作を示している。車内側の上昇機構部30の動作については図示及び説明をしないが、同車内側の上昇機構部30の各構成部材は、車外側の上昇機構部30における各構成部材と同様の動作を行う。ただし、車内側の上昇機構部30の各構成部材は、車外側の上昇機構部30の構成部材とは異なる方向へ動作する場合がある。
この点、第1実施形態では、側面衝突が検出された場合、各中間部25が上昇機構部30により上昇させられることで、上面25aが上面23a,24aと同じ高さに揃えられる。各フロアクロスメンバ構造20は、中間部25の上面25aと各支持部23,24の上面23a,24aとの間に段差部のない状態、又はそれに近い状態となる。そのため、側面衝突により車両10に対し側方から荷重が加わると、その荷重は、上面23a,24a,25aの高さが揃えられた支持部23,24及び中間部25を介してフロアトンネル15に伝達される。従って、支持部23,24は、自身の上面23a,24aと中間部25の上面25aとの間に段差部がある場合に比べると変形しにくい。その結果、車両10の変形を効果的に抑制することができる。
次に、車両10のフロアクロスメンバ構造20の第2実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。
詳しくは、フロアクロスメンバ構造20毎の上昇機構部60は、エアバッグ61、ガス発生器62及び一対の脚柱63を備えている。エアバッグ61は、側面衝突が検出される前には、図11に示すように非膨張状態にされ、中間部25の下側に配置されている。
なお、上昇機構部60は、付勢部材によって回動付勢された両脚柱63が起立状態を越えて回動するのを規制する規制部(図示略)を備えている。また、上昇機構部60は、中間部25が支持部23,24の上面23a,24aよりも高い箇所へ上昇するのを規制する規制部(図示略)を備えている。
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
・ガス発生器62から膨張用ガスをエアバッグ61に供給してこれを膨張させて、中間部25を初期位置から上昇位置へ上昇させるようにしている。そのため、駆動源として他の方式(例えば、電磁式等)のものを用いて中間部25を上昇させる場合と比較して、迅速な駆動が可能である。また、ガス発生器62には、低廉で、動作信頼性が高いといった利点もある。
<第1実施形態に関する事項>
・各アクチュエータ31は、中間部25の上面25aに沿う方向のうち、車幅方向とは異なる方向へ伸長又は収縮するものであってもよい。
また、アクチュエータ31として、油圧や空気圧を利用してシャフト33をケース32に対し出没させるものが用いられてもよい。
・各補助板部27におけるガイド孔28の数が1又は3以上に変更されてもよい。
<第2実施形態に関する事項>
・各脚柱63は、倒伏状態のとき、中間部25の上面25aに沿う方向のうち、車幅方向とは異なる方向に延びる姿勢にされてもよい。
・中間部25が上昇されたときに、各脚柱63が同中間部25の上面25aに対し、直交とは異なる形態で交差する状態を起立状態としてもよい。
<第1実施形態及び第2実施形態に共通する事項>
・側面衝突が検出に代えて予測された場合に、上昇機構部30,60を作動させて、中間部25を上昇させるようにしてもよい。
この場合、制御装置52は、衝突予知センサの検出信号に基づき側面衝突の確率が予め設定されたしきい値を越えていると、側面衝突を予測する。
Claims (9)
- 車幅方向における車体下部の車外側の側部に配置されたサイドシルと、同方向における車体下部の中央部分に配置されたフロアトンネルとの間に設けられる車両のフロアクロスメンバ構造であって、
車幅方向に互いに離間した2箇所に配置され、一方が前記サイドシルに隣接し、かつ他方が前記フロアトンネルに隣接し、さらに車幅方向へ延びる自身の上面において座席のシートレールをそれぞれ下側から支持する一対の支持部と、
側面衝突が検出又は予測される前には、両支持部間において、同支持部の上面よりも低い箇所に配置される中間部と、
前記側面衝突の検出又は予測に応じ、前記中間部を、同中間部の上面の高さが両支持部の上面の高さ以下となるように上昇させる上昇機構部と
を備える車両のフロアクロスメンバ構造。 - 前記上昇機構部は、
前記側面衝突の検出又は予測に応じて、前記中間部の上面に沿う方向へ伸張又は収縮するアクチュエータと、
前記アクチュエータの伸張又は収縮の方向を上下方向に変換して、同伸長又は収縮を前記中間部に伝達して上昇させる変換伝達部と
を備える請求項1に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。 - 前記アクチュエータは、ケースと、前記側面衝突の検出又は予測に応じて前記ケースから、前記中間部の前記上面に沿う方向へ突出するシャフトとを備え、
前記変換伝達部は、軸により支持され、かつ前記シャフトに連結されたレバーを備え、前記シャフトの突出動作に伴う前記軸を中心とした前記レバーの回動を利用して前記中間部を上昇させるものである請求項2に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。 - 前記シャフトは、前記側面衝突の検出又は予測に応じて前記ケースから車幅方向へ突出するものであり、
前記レバーを支持する前記軸は前記車両の前後方向に延びており、
前記変換伝達部は、前記中間部に対し車幅方向へスライド可能に設けられたスライダを備え、
前記レバーは前記スライダに連結されている請求項3に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。 - 前記中間部は、車幅方向へ延びるガイド孔を有し、
前記スライダは、前記ガイド孔に挿入されたガイドピンを備える請求項4に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。 - 前記レバーは、長尺状の第1腕部と、前記第1腕部に対し傾斜する長尺状の第2腕部とを備え、
前記第1腕部及び前記第2腕部は端部同士において相互に連結され、
前記軸は、前記第1腕部及び前記第2腕部の境界部分に設けられ、
前記第1腕部は、前記軸から長さ方向へ離れた箇所において前記シャフトに連結され、
前記第2腕部は、前記軸から長さ方向へ離れた箇所において前記スライダに連結されており、
前記側面衝突の検出又は予測に応じて前記シャフトが突出されて前記レバーが回動された場合には、前記第1腕部の前記シャフトとの連結部分が、前記軸よりも同シャフトの突出方向前方に位置するように、同第1腕部が傾斜した姿勢にされる請求項4又は5に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。 - 前記上昇機構部は、
前記側面衝突が検出又は予測される前には、前記中間部の下側で非膨張状態にされ、前記側面衝突の検出又は予測に応じ、膨張用ガスが供給されて膨張して前記中間部を上昇させるエアバッグと、
前記中間部の下側の複数箇所に配置され、前記側面衝突が検出又は予測される前には、前記中間部の前記上面に沿って延びる倒伏状態にされ、前記側面衝突が検出又は予測されたときには、前記中間部の前記上面に対し交差する起立状態にされる脚柱と
を備える請求項1に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。 - 各脚柱は、前記中間部に対し支軸により回動可能に支持され、
各脚柱に対しては、前記支軸を支点として前記倒伏状態から前記起立状態となる側へ回動させる付勢力が加えられており、
各脚柱は、前記側面衝突の検出又は予測に応じた前記エアバッグによる前記中間部の上昇に伴い、前記付勢力により前記倒伏状態から前記起立状態に切替えられる請求項7に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。 - 両支持部の上面及び前記中間部の上面は、車幅方向に延びる平面により構成されており、
前記上昇機構部は、前記側面衝突の検出又は予測に応じ、前記中間部を、同中間部の上面が両支持部の上面と同一の高さとなるように上昇させるものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。
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