JP6782961B2 - 空気由来の二酸化炭素の吸収剤及び発生剤 - Google Patents

空気由来の二酸化炭素の吸収剤及び発生剤 Download PDF

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Description

本発明は、空気中の二酸化炭素の吸収剤、該吸収剤により空気中の二酸化炭素が吸収され、固定化された化合物を含有してなる、二酸化炭素発生剤、及び該二酸化炭素発生剤からの空気由来の二酸化炭素の発生方法に関する。
最近、地球環境保護の観点から、温室効果ガスである二酸化炭素の排出削減について活発な議論がなされているが、真に効果的な解決策は未だ見出されていない。その解決策として、火力発電所等から排出される排ガスから高濃度の二酸化炭素を効率的に回収し、地中や海中に埋めて貯蔵する技術(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)が有力視されている(非特許文献1)。しかし、CCSは、大規模な設備等への多大な投資が必要であるため、民間レベル(個人レベル)においては現実的な解決策であるとはいえない。また、排ガス等には、二酸化炭素以外にも窒素酸化物や硫黄酸化物等の有毒ガスも高濃度で含まれており、これらの有毒ガスと共に回収した二酸化炭素を炭素源として活用するためには多くの問題が残されている(特許文献1、2)。空気中の二酸化炭素(空気中の二酸化炭素比率は、通常、わずか0.04〜0.05v/v%である)を、炭素源として、簡便且つ効果的に活用できれば、真に有効な解決策となり得る。
現在までに、二酸化炭素を炭素源として利用する各種化学反応の開発研究や人工光合成に関する研究が盛んに行われているが、殆どの場合、二酸化炭素雰囲気下(すなわち、100%二酸化炭素中)での反応や超臨界二酸化炭素(気体と液体が共存できる限界の温度・圧力(臨界点)を超えた状態)中での反応であり、二酸化炭素源としては、二酸化炭素ボンベ(主に石油や石炭からの水素製造工程から副産物として大量に回収された二酸化炭素を完全に脱硫、脱臭し、圧縮液化工程を経て得た液化二酸化炭素を充填したボンベ)を使用するのが一般的である。それ故、その製造過程で多大な手間やエネルギーを要する二酸化炭素ボンベ等を一切必要とせず、空気中に無尽蔵に存在する二酸化炭素を、加温及び/又は加圧することなく、効率良く吸収、貯蔵することができ、適時に適量だけ発生させて炭素源として使用することができれば、真に地球環境に優しい技術となり得る。
現在、最も有力視されている空気中の二酸化炭素のみを収集する方法としては、水酸化ナトリウム水溶液に空気中の二酸化炭素を吸収させ、炭酸ナトリウム水溶液とした後、水酸化カルシウムスラリーと反応させ、固体状態の炭酸カルシウムを得、それを900℃で加温することにより炭酸ガスを発生させる方法が知られている(非特許文献2)。しかし、この方法では、二酸化炭素の吸収剤として使用される水酸化ナトリウムは劇物であること、二酸化炭素を発生させる際に高温条件(900℃程度)が必要であること、また、二酸化炭素の吸収から発生までに4工程を要するという問題点を有していた。
特開2003−53134号公報 特開2005−40683号公報
Iijima, M. and Nakatani, S., Kagaku Kogaku, 2013, Vol.77, pages 300-303 Baciocchi, R. Storti, G. and Mazzotti, M. Chemical Engineering and Processing, 2006, Vol.45, pages 1047-1058.
本発明の目的は、常温、常圧下で空気中から二酸化炭素を効率よく吸収、固定化し、当該固定化された二酸化炭素を緩和な条件下で適時に適量だけ放出させて炭素源として利用することが可能な二酸化炭素発生剤、及びそれを用いる空気由来の二酸化炭素の発生方法を提供することである。
本発明者らは、かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン誘導体が、空気中に放置しておくだけで二酸化炭素を効率良く吸収し、固定化できることを見出した。また、二酸化炭素を吸収、固定化してなる、式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、0〜10である。)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と称することもある。)は、貯蔵可能であることを見出すと共に、該化合物又は該化合物を含有してなる組成物を酸と反応させるか、または加熱することにより、空気中から吸収、固定化した二酸化炭素を、緩和な条件下で適時に発生させることができる、二酸化炭素発生剤となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、0〜10である。)で表される化合物を酸と反応させるか、または加熱することにより、二酸化炭素を発生させることを特徴とする、二酸化炭素の発生方法。
[2]式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、3〜10である。)で表される化合物を酸と反応させることにより、二酸化炭素を発生させることを特徴とする、二酸化炭素の発生方法。
[3]前記化合物が、空気雰囲気下、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを放置して、空気中の二酸化炭素を吸収させることにより得られる、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン及びp−キシリレンジアミンからなる群から選択される、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン及びジエチレントリアミンからなる群から選択される、上記[2]又は[3]に記載の方法。
[6]酸が、塩酸、過塩素酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸及びトリフルオロ酢酸からなる群から選択される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はp−キシリレンジアミンであり、Xが、1であり、Yが、1であり、且つZが、0である、上記[1]、[3]又は[4]のいずれかに記載の方法。
[8]加熱が、約120〜140℃で行われる、上記[7]記載の方法。
[9]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを含有してなる、空気中の二酸化炭素吸収剤。
[10]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン及びp−キシリレンジアミンからなる群から選択される、上記[9]記載の二酸化炭素吸収剤。
[11]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン及びジエチレントリアミンからなる群から選択される、上記[9]記載の二酸化炭素吸収剤。
[12]式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、0〜10である。)で表される化合物を含有してなる、二酸化炭素発生剤。
[13]式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、3〜10である。)で表される化合物を含有してなる、二酸化炭素発生剤。
[14]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン及びp−キシリレンジアミンからなる群から選択される、上記[12]記載の二酸化炭素発生剤。
[15]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン及びジエチレントリアミンからなる群から選択される、上記[13]記載の二酸化炭素発生剤。
本発明によれば、空気中の二酸化炭素を、常温、常圧下で簡便且つ効率的に吸収することができる、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを含有してなる、空気中の二酸化炭素の吸収剤を提供することができる。また、本発明によれば、下記式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、0〜10である。)で表される化合物を含有してなる二酸化炭素発生剤を、酸と反応させるか、または約120〜140℃で加熱することにより、空気由来の二酸化炭素を、場所や環境に依らず、適時に適量だけ効果的に発生させる方法を提供することができる。本発明の二酸化炭素発生剤は、空気由来の二酸化炭素を炭素源として種々の有機合成反応等に有効に使用することができる。さらに、本発明によれば、外部エネルギー(加温、加圧、撹拌等)の使用を極力抑えて、空気中の二酸化炭素を効率良く吸収、固定化し、空気由来の二酸化炭素を緩和な条件下で放出することが可能である点で、地球環境に優しい二酸化炭素吸収剤及び二酸化炭素発生剤を提供することができる。
中でも、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はp−キシリレンジアミンは、二酸化炭素吸収時に空気中の水(湿気)を吸収しないので、その二酸化炭素付加物は、無水条件を要する有機合成反応にも使用し得る二酸化炭素発生剤として特に有用である。
図1は、デシケーター中に種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、それぞれシャーレに入れて放置した際の時間経過に伴う二酸化炭素濃度(ppm)の変化を表す。 図2は、デシケーター中にo−キシリレンジアミン(OXDA)、m−キシリレンジアミン(MXDA)又はp−キシリレンジアミン(PXDA)を、シャーレに入れて放置した際の時間経過に伴う二酸化炭素濃度(ppm)の変化を表す。 図3は、種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、それぞれ空気中に放置した際の時間経過に伴う質量変化(増加したg数)を表す。 図4は、m−キシリレンジアミン(MXDA)を、空気中に放置した際の時間経過に伴う質量変化(増加したg数)を表す。 図5は、m−キシリレンジアミンの二酸化炭素付加物(化合物(I−6))(MXDA・CO)の単結晶X線結晶構造解析によるORTEP図を示す。 図6は、m−キシリレンジアミンの二酸化炭素付加物(化合物(I−6))(MXDA・CO)、o−キシリレンジアミンの二酸化炭素付加物(化合物(I−7))(OXDA・CO)及びp−キシリレンジアミンの二酸化炭素付加物(化合物(I−8))(PXDA・CO)の固体NMRスペクトル(C13−NMR)を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
(定義)
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である。
本明細書中、「アルキル(基)」としては、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1以上のアルキル基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1−10アルキル基であり、より好ましくはC1−6アルキル基であり、特に好ましくはC1−4アルキル基である。炭素数範囲の限定がない場合の好適な具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
本明細書中、「アラルキル(基)」としては、C7−20アラルキル基が挙げられ、好ましくはC7−16アラルキル基(C6−10アリール−C1−6アルキル基)である。好適な具体例としては、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、ナフチルメチル、1−ナフチルエチル、1−ナフチルプロピル等が挙げられ、特にベンジルが好ましい。
本明細書中、「アルコキシ(基)」としては、炭素数1以上のアルコキシ基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1−10アルコシ基であり、より好ましくはC1−6アルコキシ基である。炭素数範囲の限定がない場合の好適な具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、「アルケニル(基)」としては、直鎖状または分岐鎖状のC2−6アルケニル基等が好ましく、例えば、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等が挙げられる。中でも、C2−4アルケニル基が好ましい。
本明細書中、「アルキニル(基)」としては、C2−6アルキニル基等が好ましく、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等が挙げられる。中でも、C2−4アルキニル基が好ましい。
本明細書中、「シクロアルキル(基)」は、環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基が好ましい。
本明細書中、「アリール(基)」は、芳香族性を示す単環式あるいは多環式の1価の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等のC6−14アリール基等が挙げられる。中でもC6−10アリール基がより好ましく、フェニルが特に好ましい。
本明細書中、「アリーレン(基)」は、芳香族性を示す単環式あるいは多環式の2価の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,4−ナフチレン、ビフェニリレン等のC6−14アリーレン基等が挙げられる。中でもC6−10アリーレン基が好ましく、フェニレン基(1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレン)が特に好ましい。
本明細書中、「ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン」における「置換されていてもよいアミノ基」とは、アミノ基の2個の水素原子のうちの1個又は2個が水素原子以外の基で置換されていてもよい基を意味する。「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ基、それぞれ置換されていてもよい、C1−10アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−6シクロアルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基等から選ばれる置換基でモノ又はジ置換されたアミノ基等が挙げられる。
ここで、C1−10アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−6シクロアルキル基、C6−14アリール基及びC7−16アラルキル基としては、それぞれ前記したものが挙げられ、中でも、C1−4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等)が好ましい。
前記「置換されていてもよいアミノ基」の置換基を構成するC1−10アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−6シクロアルキル基、C6−14アリール基及びC7−16アラルキル基は、それぞれ置換可能な位置に1乃至3個の置換基(例、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、カルボキシ等)を有していてもよい。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
前記「置換されていてもよいアミノ基」としては、好ましくは、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、2−アミノエチルアミノ基等が挙げられ、中でも、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ基等が好ましい。
本明細書中、「ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン」とは、「ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基」により置換されたアルキル基がアミノ基に結合した化合物を意味する。当該アルキル基としては、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基とアミノ基の結合部位が共にアルキル基であればよく、前記「アルキル基」の他、アリーレン基を介したアルキル基(例、フェニレンビス(メチレン)基(例、m−キシリレン基、o−キシリレン基、p−キシリレン基)等)であってもよい。「ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン」としては、具体的には、例えば、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられるが、中でも、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンが好ましく、モノエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等がより好ましい。
本明細書中、「常温」とは、第16改正日本薬局方通則で規定されている常温(15℃〜25℃)をいう。
本明細書中、「約」は、±5℃と定義する。
(本発明の二酸化炭素吸収剤)
本発明の二酸化炭素吸収剤は、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン自体、又はそれを含有してなる組成物である。
「ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン」としては、前記したものが挙げられるが、中でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンまたはp−キシリレンジアミンは、特に二酸化炭素吸収能が高いので、好適に使用される。これらは、市販されており、容易に入手することが可能である。また、モノエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンまたはp−キシリレンジアミンは、低揮発性、低毒性といった利点も有している。更に、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンまたはp−キシリレンジアミンは、二酸化炭素吸収時に水(空気中の湿気)を吸収しないので、疎水性の二酸化炭素固定化剤として特に好適である。
本発明の二酸化炭素吸収剤は、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン自体を使用することができるが、それを含有してなる組成物を使用することもできる。該組成物は、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンのうち、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
また、本発明の二酸化炭素吸収剤には、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン以外の二酸化炭素を吸収することができる化合物、例えば、メタノール、ポリエチレングリコール等を含んでいてもよい。
また、本発明の二酸化炭素吸収剤には、水分を除去するための乾燥剤(硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブス等)を含ませてもよい。
ただし、二酸化炭素吸収能力を考慮すれば、本発明の二酸化炭素吸収剤中のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンの含有量は、吸収剤全体の80重量%以上が好ましく、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンのみからなるものが特に好ましい。
(本発明の二酸化炭素吸収剤を用いる空気中の二酸化炭素の吸収、固定化方法)
本発明の二酸化炭素吸収剤を、常温、常圧下、空気中(空気雰囲気下)に放置することにより、空気中の二酸化炭素を吸収させて、本発明の二酸化炭素吸収剤への空気中の二酸化炭素の固定化を行う。
具体的には、例えば、開閉可能なデシケーター内に二酸化炭素濃度計とシャーレを準備し、本発明の二酸化炭素吸収剤をデシケーター内のシャーレに加え、すぐに扉を閉め、数時間〜7日間放置する。デシケーター内の二酸化炭素濃度を常温、常圧下、経時的に観測する。そして、デシケーター内の二酸化炭素濃度が変化しなくなった時点で本発明の二酸化炭素吸収剤への空気中の二酸化炭素の固定化が完了したことを確認することができる。
本発明の二酸化炭素吸収剤としては、液体又は固体のいずれのものでも使用することができるが、液体のものを使用することが好ましい。
(本発明の二酸化炭素発生剤)
本発明の二酸化炭素発生剤は、前記したヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、空気雰囲気下で数時間〜7日間放置することにより、空気中の二酸化炭素を十分に吸収させて得られる、下記式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、0〜10である。)で表される化合物(化合物(I))自体、又はそれを含有してなる組成物である。化合物(I)としては、特に制限されないが、中でも好適な化合物(I)は、下記式:
、又は
で表される化合物である。
また、水を含まない化合物(I)としては、下記式:
、又は
で表される化合物が特に好適である。
本発明の二酸化炭素発生剤は、化合物(I)自体を使用することができるが、それを含有してなる組成物を使用することもできる。該組成物は、化合物(I)を1種のみを含んでもよいし、異なる種類の化合物(I)を2種以上含んでいてもよい。
また、本発明の二酸化炭素発生剤には、水分を除去するための乾燥剤(硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブス等)を含ませてもよい。
ただし、二酸化炭素発生能力を考慮すれば、本発明の二酸化炭素発生剤中の化合物(I)の含有量は、発生剤全体の80重量%以上が好ましく、化合物(I)のみからなるものが特に好ましい。
本発明の二酸化炭素発生剤としては、液体又は固体のいずれのものでも使用することができる。
(本発明の二酸化炭素発生剤を用いる空気由来の二酸化炭素の発生方法)
本発明の二酸化炭素発生剤は、常温、常圧下、酸と反応させるか、または約120〜140℃で加熱することにより、二酸化炭素を発生するものである。
具体的には、例えば、発生させた二酸化炭素を有機合成反応の炭素源として使用する場合には、有機合成反応を行う反応容器に連結可能な反応装置(その材質等は特に限定されない)を準備し、そこに本発明の二酸化炭素発生剤(化合物(I))を秤量して加える。必要に応じて溶媒で希釈した後、酸を滴下するか、または加熱することにより、二酸化炭素の発生を目視により確認することができる。
有機合成反応等に本発明の二酸化炭素発生方法及び二酸化炭素発生剤を使用する場合、発生させる二酸化炭素の量は、反応基質の量よりも反応装置の全容積に依存する。そのため化合物(I)及び/又は酸の使用量は、用いる反応装置の全容積の約2倍程度の二酸化炭素が発生するように設定するのが望ましい。
本発明の二酸化炭素発生方法においては、溶媒は、必ずしも必要ではないが、使用し得る溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。
本発明の二酸化炭素発生方法において使用する酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、希塩酸(例、10%塩酸等)、過塩素酸、リン酸水溶液(例、85%リン酸水溶液等)、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、中でも希塩酸(例、10%塩酸等)が好適に使用される。
酸の使用量は、化合物(I)1モルに対して、通常0.01〜3モルであり、好ましくは、0.1〜2モルである。また、酸の使用量によって発生する二酸化炭素量を調整することも可能である。
また、本発明の加熱による二酸化炭素発生方法においては、約120〜140℃で加熱するだけで効果的に二酸化炭素を発生させることが可能である。本発生方法は、900℃という高温での加熱条件が必要な従来法と比較して、極めて緩和な二酸化炭素発生方法である。
以上、説明した通り、本発明の二酸化炭素吸収剤及び二酸化炭素発生剤は、その使用に際して、加温や加圧や撹拌等の外部エネルギーの使用量を顕著に低減することができるという点で、地球環境に優しい試薬である。
また、本発明の二酸化炭素発生剤を用いれば、酸の添加及び酸の使用量の調節、或いは緩和な加熱により、空気中から吸収、固定化した二酸化炭素を、緩和な条件下で必要な時に必要な量だけ発生させることができるので、炭素源として種々の有機合成反応等に有効に活用することができる。
以下に実施例及び実験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
融点測定は、柳本製作所 融点測定器(Micro Melting Point Apparatus MP−J3)を用いて計測した。
H及び13C−NMRスペクトルは、JEOL ECS400またはECA600を用い、重クロロホルムまたは重メタノールを溶媒として測定した。H−NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット、sep=セプテット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。
固体NMRは、JEOL JNM−ECA300を用いて、CP−MAS法により測定した。測定条件は、以下の通りである。
13Cの共鳴周波数:74.175MHz、
Hの共鳴周波数:294.988MHz、
Hのデカップリング周波数:50kHz、
MAS速度:12kHz及び
測定温度:室温
赤外吸収測定は、島津製赤外分光光度計 FT/IR−8700を用いて、NaCl板固定セルでのクロロホルム溶液による透過測定により行うか、またはThermo Scientific社製 Nicolet iS5 FT−IR spectrometerを用いて、ATR法により測定した。
元素分析は、J-SCIENCE LAB JM10を用いて実行した。
二酸化炭素の濃度は、God Ability(GA)社製の二酸化炭素濃度計(GC-02)を用いて計測した。
X線結晶構造解析は、株式会社 リガク X線結晶構造解析装置(型式: R−AXIS RAPID II)を用いて行った。
以下の実施例中の「室温」は、通常約10℃ないし約25℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
本発明の二酸化炭素発生剤として使用する化合物(I)の調製に使用した二酸化炭素吸収剤であるヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンは、市販品(モノエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)、ジエタノールアミン(ナカライテスク株式会社製)、2−(メチルアミノ)エタノール(東京化成工業株式会社製)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(関東化学株式会社製)、エチレンジアミン(東京化成工業株式会社製)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(シグマ アルドリッチジャパン株式会社製)、ジエチレントリアミン(和光純薬工業株式会社製)、o−キシリレンジアミン(シグマ アルドリッチジャパン株式会社製)、m−キシリレンジアミン(東京化成工業株式会社製)またはp−キシリレンジアミン(東京化成工業株式会社製))をそのまま使用するか、又は自体公知の方法若しくはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
実施例1
種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを二酸化炭素吸収剤として用いた場合の、時間経過に伴う空気中の二酸化炭素量の変化
(実験操作例)
開閉可能なデシケーター(35.7L)内に二酸化炭素濃度計とシャーレを準備した。その後、種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン(5mmol)をデシケーター内のシャーレに加え、すぐに扉を閉め、デシケーター内二酸化炭素濃度を室温下、24時間経時的に測定した。なお、二酸化炭素の初期濃度は、空気中の二酸化炭素濃度に依存するが、空気中の二酸化炭素濃度は常に一定ではなく、437〜640ppmの範囲内で変動したため、実験毎に異なっている(図1及び図2参照)。
(二酸化炭素吸収量の測定)
種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン(0.33mol)をシャーレに加え、室温下、空気中で静置し、その質量の増加量(g)を90時間経時的に電子天秤で秤量した(図3参照)。
m−キシリレンジアミン及びp−キシリレンジアミン(0.073mol)をシャーレに加え、室温下、空気中で静置し、その質量の増加量(g)を7日間経時的に電子天秤で秤量した(図4参照)。
当該増加量、及び下記方法により決定された二酸化炭素吸収後の化合物(化合物(I))の組成から、二酸化炭素吸収量を算出することができる。
(化合物(I)の組成の決定方法)
種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン(二酸化炭素吸収剤)を室温下、空気中に放置することにより生成した化合物(I)の成分組成は、以下の方法により決定することができる。すなわち、種々の二酸化炭素吸収剤を、それぞれシャーレに加え、室温下、空気中で7日間静置した。その後、二酸化炭素吸収後の化合物(化合物(I−1)〜化合物(I−8))の元素分析により成分比等を特定した。結果を下記表1(化合物(I−1)〜(I−5))及び表2(化合物(I−6)〜(I−8))に示した。
種々の二酸化炭素吸収剤を用いて、上記実験を行った結果を図1及び図3に示した。図1によれば、二酸化炭素吸収剤として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン又はジエチレントリアミンを用いた場合には、いずれも効率良く空気中の二酸化炭素を吸収できることが確認された。また、図3によれば、二酸化炭素吸収剤として、モノエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール又はジエチレントリアミンを用いた場合に、約一日空気中に放置することで飽和状態となり、それ以上、二酸化炭素を吸収できなくなることが確認された。
また、図2によれば、二酸化炭素吸収剤として、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン及びp−キシリレンジアミンのいずれを用いた場合にも、モノエタノールアミンと同等の二酸化炭素吸収能を示すことが確認された。また、図4によれば、二酸化炭素吸収剤として、m−キシリレンジアミンを用いた場合には、約二日間空気中に放置することで飽和状態となり、定量的且つm−キシリレンジアミンと等モル量の二酸化炭素を吸収することが確認された。
さらに、化合物(I−6)の単結晶X線結晶構造解析データ(図5)及び固体13C−NMRデータ(図6)によれば、化合物(I−6)は、m−キシリレンジアミンと二酸化炭素が1:1で結合を形成した[3−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸の構造を有していることが確認された。
実施例2
空気中の二酸化炭素を吸収、固定化した、化合物(I)からの酸処理による二酸化炭素の発生試験
(実験操作例1)
上記実施例1で得られた化合物(I−1)〜化合物(I−5)(1mmol)に希塩酸(例、10%塩酸等)、過塩素酸、リン酸水溶液(例、85%リン酸水溶液等)、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、トリフルオロ酢酸等の酸(1mmol)を加え、ガスの発生を確認した。生成したガスを石灰水に通した結果、石灰水が白濁したことから、化合物(I−1)〜化合物(I−5)から二酸化炭素が発生していることを確認することができた。
(実験操作例2)
上記実施例1で得られた化合物(I−1)(280mg,1mmol)、10%塩酸及び二酸化炭素濃度計を開閉可能なデシケーター内(35.7L)に準備した。扉を閉めた後、10%塩酸(0.1〜0.9mL)を室温下、化合物(I−1)に加えて撹拌し、デシケーター内の二酸化炭素増加量(すなわち、二酸化炭素発生量)を3時間後に計測した。なお、増加した二酸化炭素量は、デシケーター内の内圧が変化していないものと想定して算出した。結果を下記表3に示した。
表3によれば、酸の添加量の増減により、発生する二酸化炭素量を調整できることが確認された。このことから、本発明の二酸化炭素発生剤を用いれば、酸の添加により、空気中から吸収、固定化した二酸化炭素を、必要な時に必要な量だけ発生させることができるので、炭素源として種々の有機合成反応等に有効に活用することが可能である。
実施例3
空気中の二酸化炭素を吸収、固定化した、化合物(I)からの加熱による二酸化炭素の発生試験
(実験操作例)
上記実施例1で得られた化合物(I−6)(50mmol)を、約120〜140℃(油浴温度)で加熱することにより、ガスの発生を確認した。生成したガスを石灰水に通した結果、石灰水が白濁したことから、化合物(I−6)から二酸化炭素が発生していることを確認することができた。
化合物(I−6)は、水分を含まないことから、本発明の二酸化炭素発生剤を用いれば、空気中から吸収、固定化した二酸化炭素を、炭素源として、無水反応条件が求められる、種々の有機合成反応(例、グリニャール反応等)にも有効に活用することが可能である。
実施例4(有機合成反応への利用例1)
化合物(I−1)を二酸化炭素発生剤として用いる、プロパルギルアミンから5-メチレン-2-オキサゾリジノンへの変換反応
第1のフラスコ(反応容器)に、プロパルギルアミン(0.1mmol)、及び(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)([Au(JohnPhos)(NCMe)]SbF6);シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)(0.002mmol)のメタノール(1mL)溶液を準備し、第2のフラスコ(二酸化炭素発生装置)に(CO・(モノエタノールアミン)・(HO)(化合物(I−1))(2.8g,10mmol)を準備した。常温、常圧下で、両フラスコを開閉可能なガラス管で連結し、装置全体を開放状態にして、第2のフラスコに希塩酸(10%塩酸、6mL、17mmol)を滴下することにより二酸化炭素を発生させて、装置全体を当該発生させた二酸化炭素で置換した。しばらくの間、撹拌又は手で装置全体を震とうさせ、二酸化炭素の発生が収まった後、反応装置全体を密閉し、1日間、室温で撹拌又は静置した。その後、反応容器側の溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、5-メチレン-2-オキサゾリジノン(9.0mg、収率91%)を得た。なお、二酸化炭素発生装置から発生させる二酸化炭素の量は、反応基質の量よりも反応装置の全容積に依存する。そのため化合物(I−1)及び希塩酸の使用量は、用いた反応装置の全容積(約90mL)の約2倍程度の二酸化炭素が発生するように算出した。
1H NMR (CDCl3) δ 6.15 (brs, 1H), 4.79-4.77 (m, 1H), 4.32-4.30 (m, 1H), 4.27-4.25 (m, 2H);
13C NMR (CDCl3) δ 157.7, 151.3, 86.8, 44.3;
IR 3472, 3290, 3026, 1786, 1726, 1695, 1674, 1472, 1352, 1279, 1186, 1080, 986 cm-1.
上記結果から、本発明の二酸化炭素発生剤を用いることにより、加温、加圧等の外部エネルギーの使用を極力抑えながら、空気由来の二酸化炭素を炭素源として効率良く利用して、医薬や農薬の重要合成前駆体であるオキサゾリジノン誘導体を収率良く合成することができる。
実施例5(有機合成反応への利用例2)
(1)化合物(I−6)を二酸化炭素発生剤として用いる、フェニルマグネシウムブロミドから安息香酸への変換反応(グリニャール反応)
(A)[3−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸(化合物(I−6))(9.01g,50mmol)を約120〜140℃(油浴温度)で加熱し、二酸化炭素を発生させた。
(B)THF中マグネシウム(288mg,12mmol)及びヨウ素(触媒量)を加え、その後、ブロモベンゼン(1.05mL,10mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で1時間加熱した。その後、0℃まで冷却し、前記(A)で発生した二酸化炭素を加えて3時間撹拌した。反応液を塩化アンモニウム水溶液でクエンチ後、ジエチルエーテルで抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、安息香酸(1.19g,99%収率)を得た。
(2)化合物(I−6)を二酸化炭素発生剤として用いる、シクロヘキシルマグネシウムブロミドからシクロヘキシルカルボン酸への変換反応(グリニャール反応)
(C)[3−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸(化合物(I−6))(9.01g,50mmol)を約120〜140℃(油浴温度)で加熱し、二酸化炭素を発生させた。
(D)THF中、マグネシウム(288mg,12mmol)及びヨウ素(触媒量)を加え、その後、ブロモシクロヘキサン(1.23mL,10mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で1時間加熱した。その後、0℃まで冷却し、前記(C)で発生した二酸化炭素を加えて3時間撹拌した。反応液を塩化アンモニウム水溶液でクエンチ後、ジエチルエーテルで抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シクロヘキシルカルボン酸(1.26g,99%収率)を得た。
上記結果から、本発明の二酸化炭素発生剤を用いることにより、従来法と比較して極めて緩和な加熱条件下においても、空気由来の二酸化炭素を無水反応の炭素源としても効率良く利用できることが確認された。
本発明によれば、空気中の二酸化炭素を、常温、常圧下で簡便且つ効率的に吸収することができる、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを含有してなる、空気中の二酸化炭素の吸収剤を提供することができる。また、本発明によれば、空気中の二酸化炭素を固定化させ、貯蔵することが可能な、式(I):
(式中、Xは、1であり、Yは、1〜3であり、且つZは、0〜10である。)で表される化合物を含有してなる、二酸化炭素発生剤を提供することができる。そして、該二酸化炭素発生剤を酸と反応させるか、または約120〜140℃で加熱することにより、空気由来の二酸化炭素を、場所や環境に依らず、適時に適量だけ効果的に発生させる方法を提供することができる。本発明の二酸化炭素発生剤は、空気由来の二酸化炭素を炭素源として、無水条件が必要とされる反応も含め、種々の有機合成反応等に有効に使用することができる。また、本発明によれば、外部エネルギー(加温、加圧、撹拌等)の使用を極力抑えながら、空気中の二酸化炭素を効率良く吸収、固定化し、空気由来の二酸化炭素を放出することが可能である点で、地球環境に優しい二酸化炭素吸収剤及び二酸化炭素発生剤を提供することができる。

Claims (6)

  1. [3−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸、[2−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸又は[4−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸を酸と反応させるか、または加熱することにより、二酸化炭素を発生させることを特徴とする、二酸化炭素の発生方法。
  2. [3−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸、[2−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸又は[4−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸が、空気雰囲気下、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はp−キシリレンジアミンを放置して、空気中の二酸化炭素を吸収させることにより得られる、請求項1記載の方法。
  3. 酸が、塩酸、過塩素酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸及びトリフルオロ酢酸からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 加熱が、約120〜140℃で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  5. o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はp−キシリレンジアミンからなる、空気中の二酸化炭素吸収剤。
  6. [3−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸、[2−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸又は[4−(アミノメチル)ベンジル]カルバミン酸からなる、二酸化炭素発生剤。
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