JP6782507B1 - 生分解性積層マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性樹脂を主原料とし、抗菌性等の特性にも優れると共に、柔軟で装着性が高く、装着感にも優れるマスクを提供すること。【解決手段】セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートからなる群より選択される少なくとも1つの繊維からなる第1の層、及び可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層を含む積層物を、少なくとも一部に含む生分解性積層マスク。【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性を有する積層物を有するマスクに関する。
疾患の原因となる細菌、ウイルス、真菌や、気管支炎・喘息・アレルギー性疾患等の原因となる花粉、ハウスダスト、さらには粉塵や排気ガス中の浮遊粒子状物質を遮断する上で、マスクの着用が有効である。マスクの主材は各種繊維からなる織布や不織布であり、それら繊維の多くは、石油由来の原料から製造されている。近年、環境保護の観点から、こうした石油由来の原料を非石油由来の原料に置き換える検討が各分野で進められており、酢酸セルロースやポリ乳酸を始めとする生分解性樹脂を、マスク等の原料として活用することも検討されている(例えば、特許文献1〜3等参照)。また、石油由来の原料の消費量を低減する上で、熱可塑性樹脂中に無機物質粉末、特に自然界に豊富に存在する炭酸カルシウムを高充填した組成物も提唱され、実用化されている(例えば、特許文献4等参照)。
生分解性樹脂を用いた製品の普及においては、未だ数多くの課題が残されている。例えばセルローストリアセテートやジアセテート等の酢酸セルロースは、生分解性やフィルタ性等の特性を有する一方、吸湿性や耐加水分解性、抗菌性等の点で難がある。特許文献1には、酢酸セルロース等の熱可塑性プラスチック繊維からなる不織ウェブの他に、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる不織布でセルロースを積層した不織ウェブや、該不織ウェブを含むマスクも開示されている。こうした技術は酢酸セルロースの短所を補う手法としても有用であるが、マスク全体が生分解性材料で構成されている訳ではないので、環境面での難点が残る。
ポリ乳酸繊維は生分解性、生体適合性、抗菌性等の特性は良好であるが、一般に柔軟性に乏しく、可塑剤で改質しないと加工性が悪い欠点を有する。顔にフィットすることが求められるマスクの素材としては硬直で、ポリ乳酸繊維で製造されたマスクは、顔面との間に隙間が生じる場合もあり、装着性に問題を有する。可塑剤の添加によって加工性等を改善しても、使用中に可塑剤が表面にブリードして装着感や衛生上の問題を生じる處があった。
特表平9−500694号公報 特開2008−188082号公報 特開2006−274481号公報 特開2013−010931号公報
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、生分解性樹脂を主原料とし、抗菌性等の特性にも優れると共に、柔軟で装着性が高く、装着感にも優れるマスクを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、セルローストリアセテート及び/又はセルロースジアセテートの繊維からなる第1の層と、可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層とを含む積層物で、生分解性積層マスクを構成することにより、セルローストリアセテート又はセルロースジアセテートの良好な生分解性及びフィルタ効果と、ポリ乳酸の良好な生分解性及び抗菌性を兼ね備え、しかも全体が柔軟で装着性が良好なマスクが得られるとの知見を得て本発明を完成させた。
具体的に、本発明は以下を提供する。
(1) セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートからなる群より選択される少なくとも1つの繊維からなる第1の層、及び
可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層
を含む積層物を、少なくとも一部に含む生分解性積層マスク。
(2) 前記第1の層において、前記繊維が綿状態を形成している(1)の生分解性積層マスク。
(3) 前記第2の層が、前記ポリ乳酸繊維の織布又は不織布で構成されている(1)又は(2)の生分解性積層マスク。
(4) 前記セルローストリアセテート又は前記セルロースジアセテートの酢化度が、50以上65以下である(1)〜(3)の生分解性積層マスク。
(5) 前記第1の層を構成する前記繊維が、直径0.1μm以上500μm以下、長さ10μm以上10mm以下のフィブリル状物であり、前記フィブリル状物の5質量%以上が1000μm以上の長さを有し、かつ分岐構造を含んでいる(1)〜(4)の生分解性積層マスク。
(6) 前記第1の層と、前記第2の層の厚さの比が、99:1〜80:20である(1)〜(5)の生分解性積層マスク。
(7) 前記第1の層の端部が、前記第2の層で封止されている(1)〜(6)の生分解性積層マスク。
本発明によれば、生分解性を有するだけでなく、抗菌性等の特性にも優れると共に、柔軟で装着性が高く、装着感にも優れるマスクを提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれに特に限定されない。
本発明に係るマスクは、セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートからなる群より選択される少なくとも1つの繊維からなる第1の層、及び
可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層
を含む積層物を、少なくとも一部に含むことを特徴とする。
本発明に係る生分解性マスク(以後、単に「マスク」という場合がある。)は、少なくとも一部、通常は主要部である被覆部の一部又は全部が、前記の積層物で構成される。セルローストリアセテートやセルロースジアセテート(以後、「酢酸セルロース」という場合がある。)、ポリ乳酸等の生分解性樹脂の繊維、セルロース等の天然繊維、又は各種合成繊維等からなる他の繊維層やフィルムが、さらに積層されていても良い。マスクの被覆部が上記した第1の層と第2の層のみで構成される場合、第1の層が顔面側(内側)に、第2の層が外側となるような態様とすることが好ましい。こうした構成によって、マスク全体が良好な生分解性と共に、フィルタ特性や柔軟性を備え、装着性及び装着感に優れたものとなる。
≪第1の層≫
本発明の生分解性積層マスクを構成する前記積層物は、セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートからなる群より選択される少なくとも1つの繊維からなる第1の層を含む。これら酢酸セルロースは、生分解性と共にフィルタ特性をも有するので、マスク用の原材料として好適である。第1の層においては、これら酢酸セルロース繊維が、綿状となっていることが好ましい。こうした構成により、酢酸セルロースのフィルタ特性を十分に活用した、有害物質の遮断性に優れるマスクとすることができる。同様の理由から、セルローストリアセテートやセルロースジアセテートがフィブリル状物であることが好ましい。第1の層を構成する前記繊維が、直径幅0.1μm以上500μm以下、長さ10μm以上10mm以下のフィブリル状物であり、該フィブリル状物の5質量%以上が1000μm以上の長さを有し、かつ分岐構造を含んでいると、さらに好ましい。
[酢酸セルロース繊維]
本発明の生分解性積層マスクにおける第1の層は、上記のようにセルローストリアセテート及びセルロースジアセテートからなる群より選択される少なくとも1つの繊維からなる。これら酢酸セルロース自体は公知である。酢酸セルロースは通常、セルロースを酢酸エステルとし、次いで加水分解することによって製造され、商業用として一般的なものは三酢酸セルロース(セルローストリアセテート又はトリアセチルセルロース)及び二酢酸セルロース(セルロースジアセテート)である。本発明では、酢酸の他にプロピオン酸や酪酸でエステル化されたモノマー単位を含む、アセテートプロピオネートやアセテートブチレートを使用することもできる。例えばアセテートプロピオネートの使用により硬度や引張強度を高めることができ、アセテートブチレートの使用によって耐候性や寸法安定性を改善することも可能である。成形性を高めるためにフタル酸残基等を含ませても良い。重合度や分子量にも特に制限はなく、例えば粘度平均重合度が200〜600程度、特に300〜500程度のもの、あるいは重量平均分子量が1,000〜1,000,000程度、特に10,000〜100,000程度のものを使用することができる。また、酢酸セルロース系樹脂の融点は230〜300℃程度であるが、使用目的や成形方法に応じて任意の融点の樹脂を使用することができる。例えば融点230〜250℃程度の樹脂を用いて比較的低温で成形しても良く、融点270〜300℃前後の樹脂を用いて作成しても良く、また、成形性と耐熱性のバランスを考慮して融点250〜270℃程度の樹脂を用いて作成することもできる。複数の酢酸セルロース系樹脂を併用することも可能である。
本発明で使用し得る酢酸セルロース系樹脂に特に制限はなく、目的に応じて様々なタイプの樹脂を用いることができる。置換度(酢化度)の異なる複数のモノマー単位からなるポリマーを用いることもでき、それら各モノマーの配列・分布状態にも特に制限はない。しかしながら本発明においては、好ましくは酢化度が50%程度以上の酢酸セルロース系樹脂を使用する。酢化度50%以上の酢酸セルロースは概して耐水性が高く、本発明のマスクを、特に医療用等で使用する際に好適である。より好ましくは、酢化度が約53%以上、特に約57%以上の樹脂を使用する。酢化度の上限に特に制限はないが、加工容易性を考慮すると、65%程度、特に60%程度とするのが好ましい。一般に、力学的強度を高める上で、酢化度が50〜65%程度、特に55〜60%のものを使用することが推奨される。これとは別に、酢化度の高い三酢酸セルロースを用い、例えば240℃前後の熱処理によって結晶性を高め、機械的特性や耐久性を改善することも可能である。
上記の酢酸セルロース樹脂を紡糸することにより、本発明のマスクを構成する繊維を得ることができる。紡糸法としては、特に制限はないが、溶融紡糸法が好ましく、通常の公知の方法を用いることができる。繊維の断面形状も、丸型、楕円型、三角型、四角型、五角型などの多角型、星型、中空型などの種々の形状とすることができる。尚、こうした繊維の紡糸に先立ち、酢酸セルロース樹脂に加工助剤等の後記する各種添加剤を配合し、樹脂組成物のペレットを作製するのが一般的であり、簡便な製造法である。また、本発明の目的を損なわない範囲で、組成の異なる樹脂組成物や他種の樹脂組成物を含むサイドバイサイド、芯鞘構造を有する複合繊維とすることも可能である。
酢酸セルロース繊維の平均繊維径は、目的とするマスクに応じて任意に設定できるが、0.1μm以上500μm以下であることが好ましい。平均繊維径は、より好ましくは300μm以下、特に好ましくは100μm以下である。100μm程度以下であると、マスクに含まれる繊維は十分に細いものとなり、特に医療用資材として好適に使用できる。また、平均繊維径が例えば0.1μm以上、特に1μm以上であると、強度に優れたものが得られる。
第1の層を構成する酢酸セルロース繊維はまた、少なくとも一部が、直径0.1μm以上500μm以下、長さ10μm以上10mm以下のフィブリル状物であることが好ましい。酢酸セルロース繊維がこうした形状であれば、本発明の生分解性積層マスクは、よりフィルタ特性に優れたものとなる。フィブリルの長さは、10μm以上10mm以下程度とすることが好ましい。また、これらフィブリル状物の5質量%以上が1000μm以上の長さを有し、かつ分岐構造を含んでいると、マスクのフィルタ特性を特に優れたものとすることができる。
[第1の層の構成]
上記の様にして紡糸された酢酸セルロース繊維により、本発明の生分解性積層マスクの第1の層が構成される。この第1の層において、酢酸セルロース繊維が綿状態であると、マスクのフィルタ特性を格段に優れたものとすることができ、好ましい。特に、酢酸セルロース繊維が上記したようなフィブリル状物を含んでいれば、こうした綿状物の製造が容易となる。綿状物の厚さに特に制限はなく、マスクの使用目的に応じて例えば0.5〜10mm、特に1〜5mm程度とすることができる。
酢酸セルロース繊維を、種々の公知の方法で織布又は不織布に成形しても良い。特に、第1の層と後記する第2の層のみからなる2層構造の積層物とする場合、生体と接する第1の層を織布又は不織布とすることにより、装着感を良好なものとすることができる。特に、第1の層を綿状物とする場合、酢酸セルロース繊維の織布又は不織布からなる第3の層を設け、これと後記するポリ乳酸繊維からなる第2の層とで綿状の第1の層を挟んだ構造とすることにより、優れたフィルタ特性と良好な装着感を兼ね備えた生分解性積層マスクとすることができる。織布又は不織布の成形法は特に制限はなく、上記の様にして製造した繊維を平織、斜文織、朱子織、二重織、しゃ織、ろ織等の織り方で織布にしても良く、静電紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラシュ紡糸法等によって不織布としても良い。複数種の樹脂組成の繊維を併用することもできる。また、合成繊維等の他の繊維と組み合わせることも可能であり、例えば複数種の繊維が混紡されていても良い。
これら織布又は不織布の形状は特に制限はないが、マスクとして十分な捕集効率と通気性を確保する上で、最少孔径が0.10μm以下、最大孔径が0.10μm超であることが好ましい。より好ましくは、最少孔径を0.01〜0.10μm、特に0.03〜0.08μm、最大孔径を0.20〜1.00μm、特に0.50〜0.80μmとする。その厚みも特に限定されず、例えば1〜500μm程度、等に10〜100μm程度とすることができる。本発明のマスクにおいては、製造が容易で使用に便利なことから、不織布、特にスパンボンド不織布が好ましい。こうした不織布の製造方法は公知であり、当業者であれば適切な製造方法を容易に選択することができるが、ポリ乳酸繊維からなる第2の層に関連して、後に詳述する。
≪第2の層≫
本発明の生分解性積層マスクを構成する積層物はまた、可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層を含む。ここで、「可塑剤を含有しない」とは、外部から可塑剤が添加されていないとの意味である。一般にポリ乳酸は、微量のモノマー又はオリゴマー成分を含有しており、これらが可塑剤として機能する場合がある。本発明において、「可塑剤を含有しないポリ乳酸」は、こうした微量のモノマー又はオリゴマー成分を含有するポリ乳酸も包含する。
ポリ乳酸としては、種々の公知のものを使用することができる。DOPに代表されるような可塑剤を含有していないという条件で、どのような構造・品種のポリマーも使用することができる。しかしながらポリ乳酸の好ましい重量平均分子量(Mw)は、一般に50,000以上300,000以下、特に100,000以上200,000以下である。分子量がこの範囲のポリ乳酸は、概して生分解性や成形性、強度等の物性バランスに優れる。中でも、こうした分子量のポリL−乳酸が好ましい。
ポリL−乳酸は、L−乳酸を主たる構成成分とするポリマーである。ポリL−乳酸は、L−乳酸の光学異性体であるD−乳酸を含有するが、本発明においては、ポリ乳酸重合体の全乳酸成分中のL−乳酸ユニットの含有割合が90モル%以上、特に95モル%以上であることが好ましい。ポリL−乳酸はまた、他の単量体を例えば3モル%以下、特に2モル%程度以下含んでいても良い。他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール類、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトンなどのラクトン類を使用することができる。
上記のポリ乳酸を紡糸することにより、本発明における第2の層を構成する繊維を得ることができる。紡糸法としては、特に制限はなく、上記した酢酸セルロース繊維の紡糸と同様にして行うことができる。溶融紡糸法が好ましいが、汎用の紡糸装置を用いて所望の繊維を製造することが可能である。例えば繊維の断面形状を、丸型、楕円型、三角型、四角型、五角型などの多角型、星型、中空型などの種々の形状とすることができる。尚、こうした繊維の紡糸に先立ち、ポリ乳酸樹脂に無機物質粉末等の後記する各種添加剤を配合し、樹脂組成物のペレットを作製するのが一般的であり、簡便な製造法である。また、本発明の目的を損なわない範囲で、組成の異なる樹脂組成物や他種の樹脂組成物を含むサイドバイサイド、芯鞘構造を有する複合繊維であっても良い。
ポリ乳酸繊維の平均繊維径は、目的とするマスクに応じて任意に設定できるが、0.1〜30μmの範囲であることが好ましい。平均繊維径は、より好ましくは25μm以下、特に好ましくは20μm以下である。20μm程度以下であると、マスクに含まれる繊維は十分に細いものとなり、特に医療用資材として好適に使用できる。また、平均繊維径が例えば1μm以上、特に10μm以上であると、強度に優れたものが得られる。
[第2の層の構成]
上記の様にして紡糸されたポリ乳酸繊維により、本発明の生分解性積層マスクの第2の層が構成される。ポリ乳酸繊維は、好ましくは織布又は不織布に成形される。成形方法に特に制限はなく、種々の公知の方法で製造することができる。例えば、上記樹脂組成物からなる繊維を平織、斜文織、朱子織、二重織、しゃ織、ろ織等の織り方で織布にしても良く、静電紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラシュ紡糸法等によって不織布としても良い。複数種のポリ乳酸繊維を併用することもできる。また、合成繊維等の他の繊維と組み合わせることも可能であり、例えば複数種の繊維が混紡されていても良い。
これら織布又は不織布の形状に特に制限はないが、マスクとして十分な捕集効率と通気性を確保する上で、最少孔径が0.10μm以下、最大孔径が0.10μm超であることが好ましい。より好ましくは、最少孔径を0.01〜0.10μm、特に0.03〜0.08μm、最大孔径を0.20〜1.00μm、特に0.50〜0.80μmとする。その厚みも特に限定されず、例えば1〜500μm程度、等に10〜100μm程度とすることができる。本発明のマスクにおいては、製造が容易で使用に便利なことから、不織布、特にスパンボンド不織布が好ましい。
[不織布の製造方法]
スパンボンド不織布の製造においては、紡糸された繊維は直接シート状物(ウェブ)に加工される。通常は、このウェブの繊維を結合し、不織布とする。不織布の目付は特に制限はなく、目的に応じた所望の値とすることができる。例えば、5〜200g/m、特に10〜100g/mの範囲とすることができるが、これらに限定されない。
スパンボンド法は特に制限はなく、種々の公知の方法を用いることができる。例えば、予め樹脂組成物を紡糸ノズルから紡糸し、紡出された長繊維フィラメントを冷却流体などにより冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所定の繊度とする。そして、得られたフィラメントを移動する捕集ベルト上に集めて、所定の厚さに堆積させてスパンボンド不織布とすることができる。
上記の様にして得られたウェブを、結合・交絡処理するのが好ましい。これはウェブを構成する繊維間を結合する方法であり、代表的なものとしてバインダーを用いる化学的結合法、熱による結合法、及び機械的結合法等が挙げられるが、これらに限定されない。複数の方法を併用することもできる。化学的結合に用いられるバインダーとしては、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、ブタジエン系等のエマルジョンや、ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低融点ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体等のホットメルトタイプの粉末樹脂が挙げられる。これらをウェブに浸透、スプレー、プリント等することにより、繊維間を化学的に結合することができる。エポキシ基等を含有するバインダーを用い、メラミン等の硬化剤を加えて結合させても良い。熱による結合法としては、2本の熱ロールの接合部にウェブを通すカレンダー法、ウェブの一方から熱風を送るエアスルー法、高周波音波で繊維中に熱を生じさせて樹脂を溶融する超音波接着法、高温高圧の蒸気をウェブに噴射するスチームジェット法等が挙げられる。機械的結合法としては、ウェブにニードルを突き刺して繊維同士を絡合させるニードルパンチ法、高圧の水流で繊維同士を絡ませる水流交絡法、ウェブを縫い合わせるステッチボンド法等が挙げられる。一般的なスパンボンド不織布の製造法はカレンダー法であり、これはエリアボンド法(全面接着法)、ポイントボンド法(点接着法)、エンボス法等を包含する。本発明において、スパンボンド不織布は、これらのどの方法によっても製造することができる。複数の方法を併用することも可能である。
上記の内、最も一般的な結合法はエンボス法であり、本発明においても、エンボス加工等によって部分的に熱圧着されていても良い。熱圧着により、スパンボンド不織布の強度等を向上させ、柔軟性や通気性のバランスを改善することができる。熱圧着する場合、エンボス面積率(熱圧着部)は5〜30%、特に7〜20%とするのが好ましい。刻印形状にも制限はなく、例えば円、楕円、長円、正方、菱、長方、四角、キルト、格子、亀甲やそれら形状を基本とする連続した形とすることができる。
≪積層物≫
本発明の生分解性積層マスクは、その主要部が、上記の第1の層及び第2の層を含む積層物で構成される。積層物の製造方法に特に制限はなく、例えば第1の層と第2の層の一部箇所に接着剤を付与して両者を一体化する方法、両層を加圧して熱融着する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。両者を縫製することも可能である。また、第1の層の織布又は不織布上に、第2の層を直接形成しても良く、第2の層の織布又は不織布上に第1の層を形成することもできる。例えば、第2の層の織布又は不織布上に酢酸セルロース繊維のフィブリル状物を吐出し、綿状の第1の層を形成することも可能である。その場合、第1の層の上面に酢酸セルロースの織布又は不織布からなる第3の層を付し、3層構造としても良い。初めに第1の層を織布又は不織布として形成し、その上に酢酸セルロース繊維のフィブリル状物を吐出して綿状とした後、その上に第2の層を形成することも可能である。勿論、他の層をさらに積層して、4層構造以上の積層物とすることもできる。
本発明の生分解性積層マスクを構成する積層物においては、第1の層と第2の層との厚さの比を、99:1〜80:20、特に95:5〜85:15程度とするのが好ましい。こうした構造であれば、酢酸セルロース繊維の優れたフィルタ特性を活かしつつ、ポリ乳酸繊維の剛性を活かし、高い強度のマスクとすることができる。尚、積層物中の第1の層と第2の層とは、形状及び面積がほぼ同一であって良いが、好ましくは第2の層を第1の層よりも多少大きめとし、第1の層の側面端部を覆う構造とする。特に第1の層が綿状物やフィブリル状物を含む場合、この様にして第1の層の端部を第2の層で封止することにより、酢酸セルロース繊維の脱落を防止することができる。また、第2の層は基本的にはマスクの外気側表面を構成するので、この層で側面端部を覆うことにより、マスクの外観も良好なものとなる。
≪マスクの製造≫
本発明の生分解性積層マスクは、少なくとも一部、通常は主要部である被覆部の一部又は全部が、上記の様にして製造された積層物で構成される。積層物を含む被覆部に耳掛け部材やバンド部材等を付し、本発明の生分解性マスクとすることができる。マスクの形状に特に制限はなく、フラット型、カップ型、折り畳み型等の任意の形状が採用できる。サイズにも制限はなく、使用者や使用目的に応じ、例えば被覆部の有孔面積を約100〜300cmに設定することができる。
本発明の生分解性マスクにおいては、被覆部は上記の積層物1体で構成されていても良いが、複数枚の積層物、あるいは他の布帛、不織布、フィルム等を積層しても良い。例えば上記の様にして製造された積層物及び酢酸セルロース不織布の間に他の布帛や多孔質高分子フィルム、さらには粒子状の吸着剤等を挟み、特殊なフィルタ効果を有するマスクとすることも可能である。
≪繊維への添加物≫
本発明の第1の層及び第2の層を構成する繊維は、無機物質粉末等の樹脂以外の成分を含んでいても良い。無機物質粉末を、樹脂に対して例えば等質量以上、あるいは樹脂に対して1.5〜5倍の質量充填することにより、酢酸セルロースやポリ乳酸の生分解性をさらに高めることも可能である。無機物質粉末としては、特に限定されず、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛などの炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、若しくはこれらの水和物の粉末状のものが挙げらる。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、ウォラストナイト、ドロマイト、黒鉛等が挙げられる。これらは、合成のものであっても天然鉱物由来のものであっても良く、また、これらは単独で又は2種類以上併用して使用され得る。
これらの無機物質粉末として、好ましくは、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等であり、特に炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムの充填により、繊維の、従ってマスクの白色度が増すので、清潔感の重視される医療・衛生用のマスクとして好適である。また、マスク表面への印刷も容易になるので、ファッション性が要求される分野にも有用である。炭酸カルシウムとしては、合成法により調製されたもの、いわゆる軽質炭酸カルシウムと、石灰石などCaCOを主成分とする天然原料を機械的に粉砕分級して得られる、いわゆる重質炭酸カルシウムの何れであっても良く、これらを組合わせることも可能であるが、重質炭酸カルシウムを用いることがより好ましい。
本発明で使用する無機物質粉末は、JIS M−8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した平均粒子径が、1.0μm以上10.0μm以下、特に1.0μm以上5.0μm以下のものであることが好ましい。特に、その粒径分布において、粒子径50.0μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。他方、粒子が細かくなり過ぎると、樹脂成分と混練した際に粘度が著しく上昇し、紡糸性が悪化するおそれがある。空気透過法による測定には、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置SS−100型等の機器を好ましく用いることができる。無機物質粉末の上記平均粒子径は、より好ましくは1.5μm以上4.5μm以下、さらに好ましくは2.0μm以上4.0μm以下である。
また、無機物質粉末は、BET吸着法による比表面積が、0.1m/g以上10.0m/g以下であることが好ましい。ここでいうBET吸着法とは、窒素ガス吸着法によるものである。比表面積がこの範囲内にあると、得られる不織布の物性が改善される一方で、無機物質粉末を配合することによる紡糸性の低下もあまり生じない。無機物質粉末の比表面積は、より好ましくは0.2m/g以上5.0m/g以下、特に好ましくは1.0m/g以上3.0m/g以下である。
また、無機物質粉末は、ある程度不定形である、すなわち粒子形状の球形化の度合いが低いことが好ましい。具体的には、真円度が0.50以上0.95以下、より好ましくは0.55以上0.93以下、更に好ましくは0.60以上0.90以下であることが望まれる。本発明においては、使用される無機物質粉末の真円度がこの範囲内にあると、不織布の強度や紡糸性も適度なものとなる。
尚、無機物質粉末の分散性を高めるために、粒子表面を予め常法に従い表面改質しておいても良い。表面改質法としては、プラズマ処理等の物理的な方法や、カップリング剤や界面活性剤で表面を化学的に表面処理するものなどが例示できる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性の何れのものであっても良く、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。また、重質炭酸カルシウムを使用する場合、重質炭酸カルシウムの粒子表面が部分的に酸化され、一部に酸化カルシウムの組成を含むものとなっていても良い。
[その他の添加剤]
第1の層及び第2の層の繊維には、必要に応じて、補助剤としてその他の添加剤を配合することも可能である。また、その他の添加剤として、例えば、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤等を配合しても良い。これらの添加剤は、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これら添加剤は、混練工程において配合しても良く、混練工程の前に予め樹脂等の他成分に配合していても良い。
添加剤の添加量としては、特に限定されるものではないが、例えば、繊維全体を100質量%としたとき、それぞれの添加剤の含有量が0〜5.0質量%程度、好ましくは0.1〜3.0質量%程度、特に0.5〜2.0質量%程度の割合となるように添加し、添加剤全体で10.0質量%以下となる割合で添加することが望まれる。
以下に、これらのうち、重要と考えられるものについて例を挙げて説明するが、以下に例示されるものに限定されない。
色剤としては、公知の有機顔料又は無機顔料あるいは染料の何れをも用いることができる。具体的には、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオオサジン系、ペリノン系、キノフタロン系、ペリレン系顔料等の有機顔料や群青、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ペンタエリスリトール系酸化防止剤が使用できる。リン系、より具体的には亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系酸化防止剤が好ましく用いられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。これらリン系酸化防止剤は単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
フェノール系の酸化防止剤としては、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネイト、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネイトジエチルエステル、及びテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等が例示され、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン系難燃剤や、あるいはリン系難燃剤や金属水和物等の非リン系ハロゲン系難燃剤を用いることができる。ハロゲン系難燃剤としては、具体的には例えば、ハロゲン化ビスフェニルアルカン、ハロゲン化ビスフェニルエーテル、ハロゲン化ビスフェニルチオエーテル、ハロゲン化ビスフェニルスルフォン等のハロゲン化ビスフェノール系化合物、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールS、塩素化ビスフェノールA、塩素化ビスフェノールS等のビスフェノール−ビス(アルキルエーテル)系化合物等が、またリン系難燃剤としては、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、リン酸トリアリールイソプロピル化物、クレジルジ2、6−キシレニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル等が、金属水和物としては、例えば、アルミニウム三水和物、二水酸化マグネシウム又はこれらの組み合わせ等がそれぞれ例示でき、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。さらに、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミ、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等を難燃助剤として併用することも可能である。
これら添加剤は、紡糸の際に上記繊維原料に混錬することができる。混練法に特に制限はなく、紡糸方法に応じて適宜設定することができる。例えば各原材料を紡糸成形前に混練溶融しても良く、混練装置と紡糸装置を一体化した成形機で原料を混練溶融すると同時に紡糸しても良い。溶融混練は、各成分を均一に分散させる傍ら、高い剪断応力を作用させて混練することが好ましく、例えば二軸混練機で混練することが好ましい。紡糸成形前に上記原材料を混練溶融する場合、樹脂組成物を一旦ペレットの形態に成形しても良い。
≪繊維の二次加工処理≫
本発明の生分解性積層マスクを構成する積層物、それに含まれる各層の繊維、織布、不織布等は、ギア加工、印刷、塗布、ラミネート、熱処理、賦型加工、親水加工、撥水加工、プレス加工などの二次加工を施されたものであっても良い。
繊維等に抗菌性を付すこともできる。抗菌性の付与方法としては、汎用の抗菌剤を塗布する方法、銀イオンを担持したゼオライト等の抗菌性無機物質を繊維に配合して紡糸する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
繊維等に撥水等の加工処理を施すこともできる。撥水処理により、水、アルコール、油などが浸透しにくくなり、アルコール消毒した場合や血液等が付着した場合でもバリア性の高いものとなる。撥水処理は、例えばフッ素系もしくはシリコーン系撥水剤等の加工剤を塗布することにより、又は予め撥水剤を添加剤として混ぜ合わせて紡糸することにより行うことができる。撥水剤の付着量(含有量)は0.5〜10.0質量%、特に1.0〜5.0質量%の範囲とするのが好ましい。同様の方法で、撥アルコ−ル性等の加工処理を行うことも可能である。付着方法にも制限はなく、例えばスプレーで吹きつける方法、加工剤浴に浸漬してマングルで絞る方法、コーティングによる方法等があり、乾燥方法としては、熱風乾燥器を用いる方法、テンターを用いる方法、発熱体に接触させる方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
繊維等に制電性を付すこともできる。制電性を付すことにより、マスクの着心地を改善することができる。また、工場等、特に溶剤を多用する塗装工場等での使用に、より適したものとすることができる。制電性の付与方法としては、脂肪酸エステルや第4級アンモニウム塩等の制電性付与剤を塗布する方法、または添加剤として樹脂原料に混ぜ合わせて紡糸する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。こうした方法により、積層物の制電性を、例えば20℃、40%RHの雰囲気でJIS L1094C法に示す綿布摩擦法で1000V以下とすることができる。
本発明の生分解性積層マスクは非石油原料に基づく生分解性の繊維で構成されているため、その使用によって石油資源を浪費することがなく、廃棄後に容易に分解されるのでトータルでの二酸化炭素排出量を抑制することができる。そのため、衛生上の理由から使い捨て資材として用いられるマスクとして好適である。
以下、本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本明細書に開示され、また添付の請求の範囲に記載された、本発明の概念及び範囲の理解を、より容易なものとする上で、特定の態様及び実施形態の例示の目的のためにのみ記載するのであって、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
セルロースジアセテート樹脂(酢化度55%、6%粘度70mPa・s)100質量部、重質炭酸カルシウム粒子(平均粒径:2.2μm、BET比表面積:1.0m/g、真円度:0.85)100質量部、及び可塑剤クエン酸トリエチル2質量部を、同方向回転二軸混練押出機(φ25mm、L/D=41)を用い180℃で混練、水中にストランドで押出し、冷却、カットし、ペレットを作製した。このペレットから、二軸混練押出機を用いて180℃で溶融紡糸を行った。得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径10μm、厚さ約0.2mm、目付が20g/mのスパンボンド不織布−1を作製した。
ポリL−乳酸(重量平均分子量100,000〜200,000)100質量部、及び重質炭酸カルシウム粒子(平均粒径:2.2μm、BET比表面積:1.0m/g、真円度:0.85)100質量部を、上記と同様に混練してペレットを作製し、溶融紡糸を行った。得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径25μm、厚さ約0.05mm、目付が15g/mのスパンボンド不織布−2を作製した。
作製した各スパンボンド不織布を180×150mmサイズに切断し、その四隅の各1cmほどの領域にデンプン糊を付し、スパンボンド不織布−1及び2を積層した。この積層物を、中央部付近3か所で折り畳み、長手方向に延びる折り畳み箇所を設けた。次に積層物の両短辺周辺部に耳掛け部を付し、縫合して180×90mmサイズのマスクを作製した。マスクは5個作製し、それぞれを5人のモニターに試着させ、下記の性能を評価した。
[性能評価項目]
・柔軟性:硬く、ごわごわした感じがないかを各モニターに判定させた。
・装着性:周辺部からの通気や漏れがないか、口等を動かしてもマスクがフィットしているかについて各モニターに判定させた。
・装着感:モノマーやオリゴマー等のブリードによる滑り、繊維の毛羽立ちによる刺激等の不快感がないか、各モニターに判定させた。
上記評価項目について、モニターの評価をまとめた結果を、後記する表1に示す。なお、いずれの評価項目も、5人のモニター全員が良好と評価した試料を◎、4名が良好と判定した試料を〇、3名が良好と判定した試料を△とし、モニターの過半数が問題を感じた試料を×として表示した。
[比較例1]
実施例1で作成したスパンボンド不織布−2から180×150mmサイズの切片を切り出し、その切片5枚を実施例1と同様にして貼り合わせ、マスクを作製した。マスクは5体作成し、実施例1と同様の評価に付した。評価結果を、表1に示す。
Figure 0006782507
表1から明らかな様に、本発明に従いセルロースジアセテート繊維からなる第1の層と可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層とで構成される積層物を含む実施例1のマスクは、柔軟で装着性に優れ、装着時に不快感を生じなかった。一方、ポリ乳酸繊維層のみで作製された比較例1のマスクは、柔軟性に欠けて装着性に劣り、モニターの数名が皮膚への物理的な刺激感を訴えた。
[実施例2]
セルローストリアセテート樹脂(酢化度61%、6%粘度95mPa・s)100質量部、重質炭酸カルシウム粒子(実施例1で使用したもの)150質量部、及び可塑剤クエン酸トリエチル2質量部を、同方向回転二軸混練押出機(φ25mm、L/D=41)を用い180℃で混練、水中にストランドで押出し、冷却、カットし、ペレットを作製した。このペレットから、二軸混練押出機を用いて180℃で溶融紡糸を行った。得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径10μm、厚さ約0.1mm、目付が22g/mのスパンボンド不織布−3を作製した。
上記と同一のセルローストリアセテート樹脂を、同方向回転二軸混練押出機(φ25mm、L/D=41)を用い230℃で吐出し、吐出物を180℃の熱風でスパンボンド不織布−3上へと移送し、綿状物を形成して第1の層とした。第1の層の厚さは約1.5mm、目付は3g/mであった。尚、この綿状物を顕微鏡で観察したところ、直径は1〜25μm前後であった。ピンセットを用いて、長さが1000μm程度以上ある繊維を分離し計量したところ、観察に用いた綿状物の10%程度の質量であった。
上記の様にして得られた第1の層に、第2の層として実施例1で作製したスパンボンド不織布−2を貼り合わせ、実施例1と同様にしてマスクを作製し、5名のモニターによる官能試験を行った。試験後のマスクを恒湿オーブンに入れ、温度50℃、湿度80%の条件で24時間放置し、カビの発生を観察した。その結果を、官能試験の結果と共に後記する表2に示す。
[比較例2]
実施例2で作製した第1の層に、第2の層として実施例1で作製したスパンボンド不織布−1を貼り合わせ、実施例1と同様にしてマスクを作製した。このマスク5体について、実施例2と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006782507
表2から明らかな様に、セルローストリアセテート繊維からなる第1の層と可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層とで構成される積層物を含む実施例2のマスクは、柔軟性、装着性、装着感に優れていた。比較例2のマスクも官能試験では同様の結果であったが、その後の50℃高湿度での放置後に、5体共カビが発生してしまった。同試験において、実施例2のマスクでは2体でカビが生じたのみであり、ポリ乳酸繊維からなる第2の層による防カビ効果が示された。
[実施例3]
セルローストリアセテート樹脂(酢化度61%、6%粘度95mPa・s)100質量部、及び可塑剤クエン酸トリエチル1質量部を、同方向回転二軸混練押出機(φ25mm、L/D=41)を用い180℃で混練、水中にストランドで押出し、冷却、カットし、ペレットを作製した。このペレットから、二軸混練押出機を用いて180℃で溶融紡糸を行った。得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径10μm、厚さ約0.1mm、目付が22g/mのスパンボンド不織布−4を作製した。
上記と同一のセルローストリアセテート樹脂を、同方向回転二軸混練押出機(φ25mm、L/D=41)を用い230℃で吐出し、吐出物を180℃の熱風でスパンボンド不織布−4上へと移送し、綿状物を形成して第1の層とした。第1の層の厚さは約2.0mm、目付は6g/mであった。尚、この綿状物を顕微鏡で観察したところ、直径は1〜25μm前後であった。ピンセットを用いて、長さが1000μm程度以上ある繊維を分離し計量したところ、観察に用いた綿状物の10%程度の質量であった。
ポリL−乳酸(重量平均分子量100,000〜200,000)を、上記と同様に混練してペレットを作製し、溶融紡糸を行った。得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径25μm、厚さ約0.05mm、目付が15g/mのスパンボンド不織布−5を作製した。
上記の様にして得られた第1の層(170×80mmサイズ)の両面に、第2の層としてスパンボンド不織布−5(180×90mmサイズ)で挟み込み、端部で重なり合ったスパンボンド不織布−5を熱融着させた上で、積層物の両短辺周辺部に耳掛け部を熱融着で付し、180×90mmサイズのマスクを作製した。マスクは5体作成し、実施例1と同様の評価に付した。評価結果を、表3に示す。
Figure 0006782507

Claims (7)

  1. セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートからなる群より選択される少なくとも1つの繊維からなる第1の層、及び
    可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層
    を含む積層物を、少なくとも一部に含む生分解性積層マスクであって、
    前記第1の層を構成する前記繊維が、直径0.1μm以上500μm以下、長さ10μm以上10mm以下のフィブリル状物であり、前記フィブリル状物の5質量%以上が1000μm以上の長さを有し、かつ分岐構造を含んでいる、生分解性積層マスク
  2. 前記第1の層と、前記第2の層の厚さの比が、99:1〜80:20である請求項1記載の生分解性積層マスク。
  3. セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートからなる群より選択される少なくとも1つの繊維からなる第1の層、及び
    可塑剤を含有しないポリ乳酸繊維からなる第2の層
    を含む積層物を、少なくとも一部に含む生分解性積層マスクであって、
    前記第1の層と、前記第2の層の厚さの比が、99:1〜80:20である、生分解性積層マスク。
  4. 前記第1の層において、前記繊維が綿状態を形成している請求項1〜3の何れか1つに記載の生分解性積層マスク。
  5. 前記第2の層が、前記ポリ乳酸繊維の織布又は不織布で構成されている請求項1〜4の何れか1つに記載の生分解性積層マスク。
  6. 前記セルローストリアセテート又は前記セルロースジアセテートの酢化度が、50以上65以下である請求項1〜の何れか1つに記載の生分解性積層マスク。
  7. 前記第1の層の端部が、前記第2の層で封止されている請求項1〜6の何れか1つに記載の生分解性積層マスク。
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