JP6782506B1 - 生分解性マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟で装着性が高いマスクを提供すること。【解決手段】生分解性樹脂組成物からなる繊維を少なくとも一部に含む生分解性マスクであって、前記生分解性樹脂組成物が、ポリ乳酸を含む樹脂成分と、乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤とを含有するものであり、かつ、前記可塑剤が、前記生分解性樹脂組成物全体の質量を100%とした場合に1〜5質量%の割合で含有されていることを特徴とする生分解性マスク。【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性を有する材料を含むマスクに関する。
疾患の原因となる細菌、ウイルス、真菌や、気管支炎・喘息・アレルギー性疾患等の原因となる花粉、ハウスダスト、さらには粉塵や排気ガス中の浮遊粒子状物質を遮断する上で、マスクの着用が有効である。マスクの主材は各種繊維からなる織布や不織布であり、それら繊維の多くは、石油由来の原料から製造されている。近年、環境保護の観点から、こうした石油由来の原料を非石油由来の原料に置き換える検討が各分野で進められており、ポリ乳酸を始めとする生分解性樹脂をマスク等の原料として活用することも検討されている(例えば、特許文献1、2等参照)。また、石油由来の原料の消費量を低減する上で、熱可塑性樹脂中に無機物質粉末、特に自然界に豊富に存在する炭酸カルシウムを高充填した組成物も提唱され、実用化されている(例えば、特許文献3等参照)。
生分解性樹脂を用いた製品の普及においては、未だ数多くの課題が残されている。例えばポリ乳酸繊維は柔軟性に乏しく、当該繊維にて製造されたマスクは装着性に劣るため、装着時に顔面との間に隙間が生じる場合がある。しかも生分解性樹脂は一般に高価で、石油由来の樹脂から代替されて普及していくには、この点も大きな課題である。また、条件によっては生分解に長期間を要するといった実用上の問題も抱えており、生分解性の更なる向上も求められている。
ポリ乳酸はまた、未反応のモノマー、オリゴマーをしばしば含有しており、これらがブリードする問題も有する。特許文献2では、ブリードによる製造装置の汚染を防止するために、これらモノマーやオリゴマーの量は0.01〜0.3重量%とすることが好ましいとされ、これらの除去工程を設けることが好ましいとも記載されている。ポリ乳酸からなる繊維をマスクに使用する場合、こうしたブリードは単に製造装置を汚染するだけでは済まず、装着感の悪化にも直結する重大な問題であり、解決が求められる。
特開2008−188082号公報 特開2006−274481号公報 特開2013−010931号公報
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、ポリ乳酸等の生分解性樹脂を主原料としながらも、柔軟で装着性が高いマスクを提供することを目的とする。本発明はまた、ポリ乳酸本来の生分解性がさらに改善され、装着感にも優れ、コストも低減されたマスクを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリ乳酸等の生分解性樹脂に、乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤を、特定の割合で含有することで、良好な生分解性を維持したまま、良好な柔軟性、装着性が得られる知見を得て本発明を完成させた。
本発明者らはまた、生分解性樹脂と特定の重質炭酸カルシウム粒子とを特定の割合で配合することで、コストが抑制されるだけでなく生分解性がさらに向上し、乳酸モノマーやオリゴマー等のブリードも防止できるという知見を得た。
具体的に、本発明は以下を提供する。
(1) 生分解性樹脂組成物からなる繊維を少なくとも一部に含む生分解性マスクであって、
前記生分解性樹脂組成物が、
ポリ乳酸を含む樹脂成分と、
乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤とを含有するものであり、かつ、
前記可塑剤が、前記生分解性樹脂組成物全体の質量を100%とした場合に1〜5質量%の割合で含有されていることを特徴とする生分解性マスク。
(2) 前記生分解性樹脂組成物が、重量平均分子量(Mw)50,000以上300,000以下のポリL−乳酸を、前記樹脂成分全体の10〜100質量%の割合で含むものである(1)に記載の生分解性マスク。
(3) 前記繊維の織布又は不織布を少なくとも一部に含む(1)又は(2)に記載の生分解性マスク。
(4) 前記生分解性樹脂組成物が、さらに重質炭酸カルシウム粒子を含有する重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物であり、前記樹脂成分と前記重質炭酸カルシウム粒子とが、質量比50:50〜10:90の割合で含有され、
前記重質炭酸カルシウム粒子のJIS M−8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した平均粒子径が、1.0μm以上10.0μm以下であり、かつ、
前記重質炭酸カルシウム粒子のBET比表面積が、0.1m/g以上10.0m/g以下である(1)〜(3)の何れか1つに記載の生分解性マスク。
(5) 前記重質炭酸カルシウム粒子の真円度が、0.50以上0.95以下である(4)に記載の生分解性マスク。
(6) 第1繊維の織布又は不織布と第2繊維の織布又は不織布とが積層され、
前記第1繊維が、前記重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物からなり、
前記第2繊維が、重質炭酸カルシウム粒子不含の前記生分解性樹脂組成物からなる、(4)又は(5)に記載の生分解性マスク。
本発明によれば、生分解性を有するだけでなく、柔軟で装着性が高いマスクを提供することができる。本発明のマスクはまた、生分解性がさらに改善され、装着感にも優れ、コストも低減されたものとすることが可能である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれに特に限定されない。
本発明に係るマスクは、生分解性樹脂組成物からなる繊維を少なくとも一部に含む生分解性マスクであって、
前記生分解性樹脂組成物が、
ポリ乳酸を含む樹脂成分と、
乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤とを含有するものであり、かつ、
前記可塑剤が、前記生分解性樹脂組成物全体の質量を100%とした場合に1〜5質量%の割合で含有されていることを特徴とする。
≪生分解性樹脂組成物≫
本発明に係る生分解性マスク(以後、単に「マスク」という場合がある。)は、少なくとも一部、通常は主要部である被覆部の一部又は全部が、生分解性樹脂組成物からなる繊維で構成される。この生分解性樹脂組成物は、ポリ乳酸を含む樹脂成分と、乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤とを含有する。
[生分解性樹脂]
生分解性樹脂は、ポリ乳酸を含有すること以外は特に限定されるものではなく、マスクの用途、機能等に応じて、各種のものを使用することができる。例えば、ポリ乳酸ホモポリマー単品であっても良く、乳酸と他の単量体との共重合体、さらには酢酸セルロース系樹脂やデンプン等の他の生分解性樹脂との混合物を用いることもできる。
しかしながら本発明における生分解性樹脂成分は、ポリ乳酸を10質量%以上の割合で含有することが好ましい。ポリ乳酸は種々の生分解性樹脂の中でも生分解性が高く、量産されているので入手が容易である。強度や耐熱性等の物性とのバランスにも優れ、またそうした物性を改善するための検討結果も報告されている。そのため、マスクの用途等に応じた好ましい物性の樹脂へと改質することも容易である。樹脂成分中のポリ乳酸の含有量は、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、中でも100質量%とすることが好ましい。
ポリ乳酸の好ましい重量平均分子量(Mw)は、一般に50,000以上300,000以下、特に100,000以上200,000以下である。分子量がこの範囲のポリ乳酸は、概して生分解性や成形性、強度等の物性バランスに優れる。中でも、こうした分子量のポリL−乳酸が好ましい。本発明の好ましい態様においては、生分解性樹脂組成物が、重量平均分子量50,000以上300,000以下のポリL−乳酸を、樹脂成分全体の10〜100質量%の割合で含有する。
ポリL−乳酸は、L−乳酸を主たる構成成分とするポリマーである。ポリL−乳酸は、L−乳酸の光学異性体であるD−乳酸を含有するが、本発明においては、ポリ乳酸重合体の全乳酸成分中のL−乳酸ユニットの含有割合が90モル%以上、特に95モル%以上であることが好ましい。ポリL−乳酸はまた、他の単量体を例えば3モル%以下、特に2モル%程度以下含んでいても良い。他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール類、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトンなどのラクトン類を使用することができる。
[可塑剤]
本発明においては、ポリ乳酸繊維の柔軟性を改善するために、乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤が配合される。これらの可塑剤は公知であり、例えば、国際公開WO2010/082639号明細書等に記載されている。これらの他に、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチル・トリエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアリール、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−2−メトキシエチル、酒石酸ジブチル、o−ベンゾイル安息香酸エステル、ジアセチン、エポキシ化大豆油等を使用することもできるが、ポリ乳酸との相溶性の観点から、乳酸系の可塑剤が最適である。これら可塑剤は、生分解性樹脂組成物全体の質量を100%とした場合に1〜5質量%の割合で含有される。含有量が1質量%未満では、ポリ乳酸繊維の柔軟性改善が成され難く、5質量%を超えるとブリードしてマスクの装着感を悪化させる場合がある。これら可塑剤の含有量は、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは2〜4質量%、特に好ましくは2〜3質量%である。
≪重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物≫
本発明においては、上記の生分解性樹脂組成物が、特定の重質炭酸カルシウム粒子を含有する、重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物であることが好ましい。炭酸カルシウム粒子、特に特定の重質炭酸カルシウム粒子を含有することによって、ポリ乳酸等の生分解性樹脂本来の生分解性をさらに高めることができる。また、例えば特開2017−221160号公報に記載されているような、防カビ性や抗菌性等の発現も期待できる。コスト低減にも有効で、含有量によっては紡糸性を改善する効果もある。
[重質炭酸カルシウム粒子]
ここで、重質炭酸カルシウムとは、天然の石灰石などを機械的に粉砕・加工して得られるものであって、化学的沈殿反応等によって製造される合成炭酸カルシウムとは明確に区別される。なお、粉砕方法には乾式法と湿式法とがあるが、経済性の観点で、乾式法が好ましい。重質炭酸カルシウム粒子は、例えば、合成法による軽質炭酸カルシウムとは異なり、粒子形成が粉砕処理によって行われたことに起因する、表面の不定形性、比表面積の大きさに特徴を有する。重質炭酸カルシウム粒子がこの様に不定形性、比表面積の大きさを有するため、樹脂成分中に配合した場合に重質炭酸カルシウム粒子は、樹脂成分に対してより多くの接触界面を有し、均一分散に効果がある。
本発明で使用する重質炭酸カルシウム粒子は、JIS M−8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した平均粒子径が、1.0μm以上10.0μm以下のものである。特に、その粒径分布において、粒子径50.0μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。他方、粒子が細かくなり過ぎると、樹脂成分と混練した際に粘度が著しく上昇し、紡糸性が悪化するおそれがある。空気透過法による測定には、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置SS−100型等の機器を好ましく用いることができる。重質炭酸カルシウム粒子の上記平均粒子径は、好ましくは1.5μm以上8.0μm以下、より好ましくは2.0μm以上7.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以上5.0μm以下である。
また、重質炭酸カルシウム粒子は、BET吸着法による比表面積が、0.1m/g以上10.0m/g以下であることが望まれる。ここでいうBET吸着法とは、窒素ガス吸着法によるものである。比表面積がこの範囲内にあると、得られる不織布の物性が改善される一方で、重質炭酸カルシウム粒子を配合することによる紡糸性の低下もあまり生じない。重質炭酸カルシウム粒子の比表面積は、0.2m/g以上5.0m/g以下、特に1.0m/g以上3.0m/g以下とすることが好ましい。
また、重質炭酸カルシウム粒子は、ある程度不定形である、すなわち粒子形状の球形化の度合いが低いことが好ましい。具体的には、真円度が0.50以上0.95以下、より好ましくは0.55以上0.93以下、更に好ましくは0.60以上0.90以下であることが望まれる。本発明においては、使用される重質炭酸カルシウム粒子の真円度がこの範囲内にあると、不織布の強度や紡糸性も適度なものとなる。
ここで、真円度とは、(粒子の投影面積)/(粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積)で表せるものである。真円度の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば、顕微鏡写真から粒子の投影面積と粒子の投影周囲長とを測定し、各々(A)と(PM)とし、粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の半径を(r)、粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積を(B)とすると、
真円度=A/B=A/πr=A×4π/(PM)
となる。これらの測定は走査型顕微鏡や実体顕微鏡などで得られる各粒子の投影図を一般に商用されている画像解析ソフトによって真円度を求めることが可能である。
尚、重質炭酸カルシウム粒子の分散性を高めるために、粒子表面を予め常法に従い表面改質しておいても良い。表面改質法としては、プラズマ処理等の物理的な方法や、カップリング剤や界面活性剤で表面を化学的に表面処理するものなどが例示できる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性の何れのものであっても良く、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。また、重質炭酸カルシウムの粒子表面が部分的に酸化され、一部に酸化カルシウムの組成を含むものとなっていても良い。
[樹脂成分と重質炭酸カルシウム粒子との比率]
重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物に含まれる樹脂成分と重質炭酸カルシウム粒子との割合(配合比)は、50:50〜10:90の質量比であればよく、48:52〜10:90の比率であることが好ましく、45:55〜20:80の比率であることがより好ましく、40:60〜25:75の比率であることがさらに好ましい。重質炭酸カルシウム粒子含有を50質量%以上とすることによって、生分解性樹脂組成物の生分解性をさらに高めることができ、また、防カビ性や抗菌性等の物性改善効果も大となる。一方、重質炭酸カルシウム粒子の割合が90質量%以下であれば、紡糸が困難となることもない。
[その他の添加剤]
生分解性樹脂組成物及び重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物(以下で、これらを併せて「樹脂組成物」という場合がある。)は、少量、例えば樹脂成分の20質量%以下、特に10質量%程度以下の量であれば、上記生分解性樹脂以外の樹脂を含有することもできる。例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂を混合しても良い。特に、植物原料由来のいわゆるバイオポリオレフィンの混合は、環境保護という本発明の目的とも合致する。同様に、重質炭酸カルシウム粒子以外の無機物質粉末、例えば軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、ウォラストナイト、ドロマイト、黒鉛等を、樹脂組成物全体の1〜20質量%程度、より好ましくは1〜10質量%程度の量含有することもできる。
[その他の添加剤]
生分解性樹脂組成物及び重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物においては、必要に応じて、補助剤としてその他の添加剤を配合することも可能である。また、その他の添加剤として、例えば、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤等を配合しても良い。これらの添加剤は、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これら添加剤は、混練工程において配合しても良く、混練工程の前に予め樹脂等の他成分に配合していても良い。
添加剤の添加量としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、それぞれの添加剤の含有量が0〜5.0質量%程度、好ましくは0.1〜3.0質量%程度、特に0.5〜2.0質量%程度の割合となる様に添加し、添加剤全体で10.0質量%以下となる割合で添加することが望まれる。
以下に、これらのうち、重要と考えられるものについて例を挙げて説明するが、以下に例示されるものに限定されない。
色剤としては、公知の有機顔料又は無機顔料あるいは染料の何れをも用いることができる。具体的には、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオオサジン系、ペリノン系、キノフタロン系、ペリレン系顔料等の有機顔料や群青、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ペンタエリスリトール系酸化防止剤が使用できる。リン系、より具体的には亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系酸化防止剤が好ましく用いられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。これらリン系酸化防止剤は単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
フェノール系の酸化防止剤としては、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネイト、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネイトジエチルエステル、及びテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等が例示され、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン系難燃剤や、あるいはリン系難燃剤や金属水和物等の非リン系ハロゲン系難燃剤を用いることができる。ハロゲン系難燃剤としては、具体的には例えば、ハロゲン化ビスフェニルアルカン、ハロゲン化ビスフェニルエーテル、ハロゲン化ビスフェニルチオエーテル、ハロゲン化ビスフェニルスルフォン等のハロゲン化ビスフェノール系化合物、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールS、塩素化ビスフェノールA、塩素化ビスフェノールS等のビスフェノール−ビス(アルキルエーテル)系化合物等が、またリン系難燃剤としては、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、リン酸トリアリールイソプロピル化物、クレジルジ2、6−キシレニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル等が、金属水和物としては、例えば、アルミニウム三水和物、二水酸化マグネシウム又はこれらの組み合わせ等がそれぞれ例示でき、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。さらに、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミ、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等を難燃助剤として併用することも可能である。
≪樹脂組成物の製造≫
本発明のマスクに含まれる繊維は、上記の原材料を所定の配合比で混練して得られる樹脂組成物から成る。混練法は特に制限はなく、紡糸方法に応じて適宜設定してよく、例えばポリ乳酸を含む樹脂成分と可塑剤、必要に応じて重質炭酸カルシウム及びその他の添加剤を紡糸成形前に混練溶融してもよく、混練装置と紡糸装置を一体化した成形機で原料を混練溶融すると同時に紡糸しても良い。溶融混練は、各成分を均一に分散させる傍ら、高い剪断応力を作用させて混練することが好ましく、例えば二軸混練機で混練することが好ましい。
紡糸成形前に上記原材料を混練溶融する場合、樹脂組成物を一旦ペレットの形態に成形しても良い。その場合、ペレットの形状は特に限定されず、例えば、円柱、球形、楕円球状等のペレットとすることができる。ペレットのサイズは、形状や紡糸成形機の種類に応じて適宜設定すれば良いが、例えば、球形ペレットの場合、直径1〜10mmであって良い。楕円球状のペレットの場合、縦横比0.1〜1.0の楕円状とし、縦横1〜10mmであって良い。円柱ペレットの場合は、直径1〜10mmの範囲内、長さ1〜10mmの範囲内であって良い。
≪樹脂組成物の繊維≫
上記の樹脂組成物を紡糸することにより、本発明のマスクを構成する繊維を得ることができる。
紡糸法としては、特に制限はないが、溶融紡糸法が好ましく、通常の公知の方法を用いることができる。上述した構成からなる樹脂組成物は、紡糸性に優れるため、汎用の紡糸装置を用いて所望の繊維を製造することが可能である。例えば繊維の断面形状を、丸型、楕円型、三角型、四角型、五角型などの多角型、星型、中空型などの種々の形状とすることができる。また、本発明の目的を損なわない範囲で、組成の異なる樹脂組成物や他種の樹脂組成物を含むサイドバイサイド、芯鞘構造を有する複合繊維であっても良い。
繊維の平均繊維径は、目的とするマスクに応じて任意に設定できるが、0.1〜30μmの範囲であることが好ましい。平均繊維径は、より好ましくは25μm以下、特に好ましくは20μm以下である。20μm程度以下であると、マスクに含まれる繊維は十分に細いものとなり、特に医療用資材として好適に使用できる。また、平均繊維径が例えば1μm以上、特に10μm以上であると、強度に優れたものが得られる。
≪織布・不織布≫
上記の様にして紡糸された繊維は、好ましくは織布又は不織布に成形される。すなわち、本発明のマスクは、好ましくは生分解性樹脂からなる繊維の織布又は不織布で構成される。織布及び不織布は特に制限はなく、種々の公知の方法で製造することができる。例えば、上記樹脂組成物からなる繊維を平織、斜文織、朱子織、二重織、しゃ織、ろ織等の織り方で織布にしても良く、静電紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラシュ紡糸法等によって不織布としても良い。複数種の上記樹脂組成物から得られた繊維、例えば重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物からなる繊維と、重質炭酸カルシウム粒子不含の生分解性樹脂組成物からなる繊維とを併用することもできる。また、合成繊維等の他の繊維と組み合わせることも可能であり、例えば複数種の繊維が混紡されていても良い。
これら織布又は不織布の形状に特に制限はないが、マスクとして十分な捕集効率と通気性を確保する上で、最少孔径が0.10μm以下、最大孔径が0.10μm超であることが好ましい。より好ましくは、最少孔径を0.01〜0.10μm、特に0.03〜0.08μm、最大孔径を0.20〜1.00μm、特に0.50〜0.80μmとする。その厚みも特に限定されず、例えば1〜500μm程度、等に10〜100μm程度とすることができる。本発明のマスクにおいては、製造が容易で使用に便利なことから、不織布、特にスパンボンド不織布が好ましい。
[不織布の製造方法]
スパンボンド不織布の製造においては、紡糸された繊維は直接シート状物(ウェブ)に加工される。通常は、このウェブの繊維を結合し、不織布とする。不織布の目付は特に制限はなく、目的に応じた所望の値とすることができる。但し、重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物を用いた場合、繊維中に無機物質粉末が高充填されているため、汎用の不織布に比べて目付は一般に大きくなる。例えば、5〜200g/m、特に10〜100g/mの範囲とすることができるが、これらに限定されない。
スパンボンド法は特に制限はなく、種々の公知の方法を用いることができる。例えば、予め樹脂組成物を紡糸ノズルから紡糸し、紡出された長繊維フィラメントを冷却流体などにより冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所定の繊度とする。そして、得られたフィラメントを移動する捕集ベルト上に集めて、所定の厚さに堆積させてスパンボンド不織布とすることができる。
上記の様にして得られたウェブを、結合・交絡処理するのが好ましい。これはウェブを構成する繊維間を結合する方法であり、代表的なものとしてバインダーを用いる化学的結合法、熱による結合法、及び機械的結合法等が挙げられるが、これらに限定されない。複数の方法を併用することもできる。化学的結合に用いられるバインダーとしては、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、ブタジエン系等のエマルジョンや、ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低融点ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体等のホットメルトタイプの粉末樹脂が挙げられる。これらをウェブに浸透、スプレー、プリント等することにより、繊維間を化学的に結合することができる。エポキシ基等を含有するバインダーを用い、メラミン等の硬化剤を加えて結合させても良い。熱による結合法としては、2本の熱ロールの接合部にウェブを通すカレンダー法、ウェブの一方から熱風を送るエアスルー法、高周波音波で繊維中に熱を生じさせて樹脂を溶融する超音波接着法、高温高圧の蒸気をウェブに噴射するスチームジェット法等が挙げられる。機械的結合法としては、ウェブにニードルを突き刺して繊維同士を絡合させるニードルパンチ法、高圧の水流で繊維同士を絡ませる水流交絡法、ウェブを縫い合わせるステッチボンド法等が挙げられる。一般的なスパンボンド不織布の製造法はカレンダー法であり、これはエリアボンド法(全面接着法)、ポイントボンド法(点接着法)、エンボス法等を包含する。本発明において、スパンボンド不織布は、これらのどの方法によっても製造することができる。複数の方法を併用することも可能である。
上記の内、最も一般的な結合法はエンボス法であり、本発明においても、エンボス加工等によって部分的に熱圧着されていても良い。熱圧着により、スパンボンド不織布の強度等を向上させ、柔軟性や通気性のバランスを改善することができる。熱圧着する場合、エンボス面積率(熱圧着部)は5〜30%、特に7〜20%とするのが好ましい。刻印形状にも制限はなく、例えば円、楕円、長円、正方、菱、長方、四角、キルト、格子、亀甲やそれら形状を基本とする連続した形とすることができる。
織布又は不織布は、ギア加工、印刷、塗布、ラミネート、熱処理、賦型加工、親水加工、撥水加工、プレス加工などの二次加工を施されたものであっても良い。特に重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物の繊維からなる織布又は不織布は、白色度が高く、印刷等の後加工を施し易い利点がある。
織布又は不織布に、抗菌性を付すこともできる。抗菌性の付与方法としては、汎用の抗菌剤を塗布する方法、銀イオンを担持したゼオライト等の抗菌性無機物質を樹脂組成物に配合して紡糸する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂組成物として重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物を用いた場合、本発明のマスクは防カビ性・抗菌性を備えたものとなるが、それらマスクを構成する織布又は不織布にも、上記のような抗菌性付与操作を追加することができる。
織布又は不織布に、撥水等の加工処理を施すこともできる。撥水処理により、水、アルコール、油などが浸透しにくくなり、アルコール消毒した場合や血液等が付着した場合でもバリア性の高いものとなる。撥水処理は、例えばフッ素系もしくはシリコーン系撥水剤等の加工剤を塗布することにより、又は予め撥水剤を添加剤として樹脂原料に混ぜ合わせて不織布を成形することにより行うことができる。撥水剤の付着量(含有量)は0.5〜10.0質量%、特に1.0〜5.0質量%の範囲とするのが好ましい。同様の方法で、撥アルコ−ル性等の加工処理を行うことも可能である。付着方法にも制限はなく、例えばスプレーで吹きつける方法、加工剤浴に浸漬してマングルで絞る方法、コーティングによる方法等があり、乾燥方法としては、熱風乾燥器を用いる方法、テンターを用いる方法、発熱体に接触させる方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
織布又は不織布に、制電性を付すこともできる。制電性を付すことにより、マスクの着心地を改善することができる。また、工場等、特に溶剤を多用する塗装工場等での使用に、より適したものとすることができる。制電性の付与方法としては、脂肪酸エステルや第4級アンモニウム塩等の制電性付与剤を塗布する方法、または添加剤として樹脂原料に混ぜ合わせて不織布を成形する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。こうした方法により、不織布の制電性を、例えば20℃、40%RHの雰囲気でJIS L1094C法に示す綿布摩擦法で1000V以下とすることができる。
≪マスクの製造≫
本発明の生分解性マスクは、少なくとも一部、通常は主要部である被覆部の一部又は全部が、上記の様にして製造された繊維で、好ましくはそれら繊維の織布又は不織布で構成される。上記の様にして製造された織布又は不織布を含む被覆部に耳掛け部材やバンド部材等を付し、本発明の生分解性マスクとすることができる。マスクの形状に特に制限はなく、フラット型、カップ型、折り畳み型等の任意の形状が採用できる。サイズにも制限はなく、使用者や使用目的に応じ、例えば被覆部の有孔面積を約100〜300cmに設定することができる。
本発明の生分解性マスクにおいては、被覆部は上記の織布又は不織布1枚で構成されていても良いが、好ましくは複数枚の織布又は不織布を積層して構成される。複数枚の織布又は不織布を積層する場合、同一の種類のものを用いても良いが、異種の織布又は不織布を積層することも可能である。他の汎用の繊維、織布、不織布、又は多孔質高分子のフィルム等が積層されていても良い。積層する場合、複数の織布又は不織布等を単に重ね合わせるだけでも良いが、これらを縫合又は熱融着して一体化しても良い。例えば、生分解性でない汎用の不織布2枚に、生分解性樹脂組成物からなる繊維を挟み込んだ構成とすることもできる。あるいは、上記の様にして製造された生分解性の織布又は不織布と、他の布帛又は多孔質高分子フィルム等とを積層し、特殊なフィルター性能を有するマスクとすることも可能である。
しかしながら本発明の生分解性マスクは、被覆部の殆ど、面積にして例えば90%以上が、上記したような生分解性の織布又は不織布で構成されていることが好ましい。より好ましくは、重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物からなる第1繊維の織布又は不織布と、重質炭酸カルシウム粒子不含の生分解性樹脂組成物からなる第2繊維の織布又は不織布とが、積層された構成とする。このことによって、重質炭酸カルシウム粒子の含有に起因する防カビ・抗菌性と、重質炭酸カルシウム粒子不含であることによる柔軟性・装着性とを兼ね備えた生分解性マスクとすることができる。
本発明のマスクは非石油原料に基づく生分解性の繊維で構成されているため、その使用によって石油資源を浪費することがなく、廃棄後に容易に分解されるのでトータルでの二酸化炭素排出量を抑制することができる。そのため、衛生上の理由から使い捨て資材として用いられるマスクとして好適である。特に、重質炭酸カルシウム粒子含有生分解性樹脂組成物からなる繊維を含むマスクは、廃棄する場合にも廃プラスチック量が大幅に減じられ、この点からも環境面に貢献することができる。また、印刷等の後加工が容易なため、ファッション性を要求される生活資材としての使用にも好適である。
以下、本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本明細書に開示され、また添付の請求の範囲に記載された、本発明の概念及び範囲の理解を、より容易なものとする上で、特定の態様及び実施形態の例示の目的のためにのみ記載するのであって、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例1〜4はそれぞれ、参考実施例1〜4と読み替えるものとする。
[実施例1〜4、比較例1〜4]
ポリL−乳酸と下記の各種可塑剤とを表1に示す配合割合にて用い、さらに帯電防止剤及び酸化防止剤を含有率が各1.0質量%となる様に用いて、スパンボンド不織布を作製した。使用した原材料の詳細を、下記に示す。
・ポリL−乳酸:Nature Works LLC製、重量平均分子量100,000〜200,000
・乳酸:武蔵野化学研究所製
・乳酸オリゴマー:(株)ラクティブジャパン製の商品名「CPL」、重量平均分子量:3,000以下
・分岐状ポリ乳酸:Bio-energy(株)製、重量平均分子量:3,000以下
・DOP:三協化学(株)製のフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)
・DBA:大八化学工業(株)製のジブチルアジペート
・帯電防止剤:ラウリン酸ジエタノールアミド
・酸化防止剤:ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
上記の原材料を、同方向回転二軸混練押出機(φ25mm、L/D=41)を用い180℃で混練、水中にストランドで押出し、冷却、カットし、ペレットを作製した。このペレットから、二軸混練押出機を用いて180℃で溶融紡糸を行った。得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径10μm、目付が20g/mのスパンボンド不織布を作製した。
作製した各スパンボンド不織布を180×150mmサイズに切断し、同一種類の不織布を3枚重ねて長辺の周辺部を縫合した後、中央部付近3か所に、長手方向に延びる折り畳み箇所を設けた。この両短辺周辺部に耳掛け部を付し、縫合して180×90mmサイズのマスクを作製した。マスクは、各試料について各5個作製し、それぞれを5人のモニターに試着させ、下記の性能を評価した。
[性能評価項目]
・柔軟性:硬く、ごわごわした感じがないかを各モニターに判定させた。
・装着性:周辺部からの通気や漏れがないか、口等を動かしてもマスクがフィットしているかについて各モニターに判定させた。
・装着感:モノマーやオリゴマー等のブリードによる滑り、繊維の毛羽立ちによる刺激等の不快感がないか、各モニターに判定させた。
上記評価項目について、モニターの評価をまとめた結果を、各試料の配合と共に表1に示す。なお、表1中に示す配合割合の単位は「質量%」である。また、いずれの評価項目も、5人のモニター全員が良好と評価した試料を◎、4名が良好と判定した試料を〇、3名が良好と判定した試料を△とし、モニターの過半数が問題を感じた試料を×として表示した。
Figure 0006782506
表1から明らかな様に、本発明に従い乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸より選択される可塑剤を1〜5質量%の割合で含有する樹脂組成物からなる繊維で構成されたマスクは、可塑剤不含の比較例1のマスクに比べて柔軟で装着性に優れていた。また、繊維の毛羽立ちによる刺激も、可塑剤のブリードによる滑りも殆どなく、モニターの多くが装着感良好と評価した。特に、乳酸オリゴマー含有量を5質量%とした実施例3のマスクは、極めて柔軟で装着性も良く、モニターの1名が多少の滑り感を訴えたのみであった。一方、乳酸オリゴマーを8質量%含有する比較例2のマスクについては、殆どのモニターが滑りによる不快感を訴えた。可塑剤として汎用品のDOP又はDBAを使用した比較例3及び4のマスクも、同様であった。
[実施例5]
実施例1で用いたポリL−乳酸93質量部、乳酸オリゴマー15質量部、帯電防止剤1質量部、及び酸化防止剤1質量部と、下記の重質炭酸カルシウム190質量部とを混練し(樹脂組成物全体における可塑剤量=5質量%、樹脂成分:重質炭酸カルシウムの質量比=33:67)、実施例1と同様にして、繊維径15μm、目付が40g/mのスパンボンド不織布を作製した。
・重質炭酸カルシウム粒子:平均粒径:2.2μm、BET比表面積:1.0m/g、真円度:0.85
作製したスパンボンド不織布を180×150mmサイズに切断し、この内の2枚に、実施例1で作製した同サイズのスパンボンド不織布1枚を挟み、実施例1と同様にしてマスクを作製した。得られたマスクについて実施例1と同様に評価したところ、5名のモニター中1名が多少のごわごわ感を訴えたのみで、可塑剤が5質量%含有されているにも拘らずブリードによる不快感を訴えたモニターはおらず、装着性・装着感共に良好なマスクであることが判明した。本発明のマスクを装着した場合、マスクと顔面との間に隙間が生じ難く、ウイルスや粉塵が透過する可能性も低減できると考えられる。
[参考例1〜4]
実施例3及び実施例5で得られたスパンボンド不織布について、生分解性を評価した。各不織布から30mm×30mmのシートを切り出し、室温(25℃±5℃)下に汲み置きした海水10mlとともに25mlのバイアル瓶内に入れ、2週間放置した。同様の操作を、市販のマスクの両表面から切り出した30mm×30mmの綿及びポリプロピレン製不織布についても行った。各試料を取り出した後、不織布シートの状態観察を目視にて行い、以下の評価基準によって評価した。試験結果を、表2に示す。
〇:不織布シートが分解されている。
△:不織布シートが部分的に分解されている。
×:不織布シートに変化は見られない。
Figure 0006782506
表2に示す様に、本発明の生分解性マスクは生分解性を示し、環境保護の観点から有用であることが判明した。特に、繊維を構成する樹脂組成物が特定の重質炭酸カルシウムを含有する実施例5のマスクでは、ポリ乳酸の生分解性がさらに改善されていることが示された。このマスクについてはまた、繊維中に炭酸カルシウムが多量に充填されているので、防カビ性や抗菌性等の発現も期待できる。

Claims (5)

  1. 生分解性樹脂組成物からなる繊維を少なくとも一部に含む生分解性マスクであって、
    前記生分解性樹脂組成物が、
    ポリ乳酸を含む樹脂成分と、
    乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤と
    重質炭酸カルシウム粒子と、を含有するものであり
    記可塑剤が、前記生分解性樹脂組成物全体の質量を100%とした場合に1〜5質量%の割合で含有され、
    前記生分解性樹脂組成物において、前記樹脂成分と前記重質炭酸カルシウム粒子とが、質量比50:50〜10:90の割合で含有され、
    前記重質炭酸カルシウム粒子のJIS M−8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した平均粒子径が、1.0μm以上10.0μm以下であり、かつ、
    前記重質炭酸カルシウム粒子のBET比表面積が、0.1m /g以上10.0m /g以下である、
    分解性マスク。
  2. 前記生分解性樹脂組成物が、重量平均分子量(Mw)50,000以上300,000以下のポリL−乳酸を、前記樹脂成分全体の10〜100質量%の割合で含むものである請求項1に記載の生分解性マスク。
  3. 前記繊維の織布又は不織布を少なくとも一部に含む請求項1又は2に記載の生分解性マスク。
  4. 前記重質炭酸カルシウム粒子の真円度が、0.50以上0.95以下である請求項1〜3の何れか1つに記載の生分解性マスク。
  5. 第1繊維の織布又は不織布と第2繊維の織布又は不織布とが積層され、
    前記第1繊維が、前記生分解性樹脂組成物からなり、
    前記第2繊維が、重質炭酸カルシウム粒子不含樹脂組成物からなり、
    前記重質炭酸カルシウム粒子不含樹脂組成物が、ポリ乳酸を含む樹脂成分と、乳酸、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、及び分岐状ポリ乳酸からなる群より選択される可塑剤と、を含有し、
    前記重質炭酸カルシウム粒子不含樹脂組成物中の前記可塑剤の含有量が、1〜5質量%である、
    請求項1〜4の何れか1つに記載の生分解性マスク。
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