[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機を、図面に基づき詳細に説明する。なお実施例において「左」又は「右」とは、パチンコ機の表側(前面側)から見たときの「左」又は「右」を示すものとする。まず本実施形態のパチンコ機の基本的構成を簡単に説明する。
実施例1のパチンコ遊技機Pは、図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠(遊技盤取付枠)Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されている。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。打球発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし打球発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。
[2 遊技盤の概要]
本実施例において、遊技盤1は光透過性を有する合成樹脂板で構成され、図2に示す様に、羽根物タイプのセンター役物10を取り囲む様に形成された遊技領域2の下部に取り付けられた始動入賞口31〜33と、左右の装飾体40,50と、下部装飾体60と、障害釘や風車などを備えている。この左右の装飾体40,50には普通入賞口34,35が備えられ、下部装飾体60の左右にに位置する普通入賞口36,37も備えられている。また、センター役物10自体も入賞口として機能する。遊技盤1の裏面には、これら入賞口31〜37及びセンター役物10と連絡して球排出通路113を形成する裏ユニット100が取り付けられている。
裏ユニット100は、遊技盤1の内側に収まる縁枠111が前方に突設形成された裏ユニット本体110の前面側に、左右の装飾体40,50及び下部装飾体60の背後に位置するLED基板120,130,140を装着したものとなっている。また、裏ユニット本体110には、センター役物10の背後にあたる部分に後方へ窪んだ収納凹所112が形成されると共に、球排出通路113が設けられている。LED基板120等は、裏ユニット本体110の収納凹所112と縁枠111との間で球排出通路113を避ける位置に取り付けられる。なお、図示の状態は、LED基板120等の前面側に透明な合成樹脂で成形された前面カバーが装着され、基板前面に配置されたLEDが保護された状態を示している。上述の装飾体40,50,60は光透過性を有し、背面のLED基板120等による発光演出は、これら装飾体40等を介して視認可能となっている。また、左右の装飾体40,50の背後位置に取り付けられるLED基板120,130は、前面側にマトリクス状に縦横ほぼ等間隔で設置されたLED群を備え、単なる発光だけでなく文字情報等を表示する機能も備えている。
[3 センター役物の概要]
センター役物10は、図3〜図6に示す様に、一般入賞領域11aと特定入賞領域11vとを備えた入賞空間11と、この入賞空間11への遊技球の進入口をソレノイド駆動による回動動作によって開閉する開閉部材12a,12bと、入賞空間11の最下部に備えられ、特定入賞領域11vへの受入通路を形成すると共にモータ駆動によって所定の揺動範囲内で左右方向に揺動される樋部材13と、樋部材13の上面よりやや上方に設置された底面形成部材14と、この底面形成部材14の中央に前後方向に伸びる様に設置され、モータ駆動により、傾きを変える傾動動作を実行する傾斜板15とを備えている。
底面形成部材14の後端部には上方に上がった段差部14aが形成されている。この段差部14aは中央から左右に下がる屋根状に緩く傾斜し、中央前面には遊技球1個を受け入れることが可能な窪み14bが形成されている。また、傾斜板15の後端付近には、その先端を持ち上げる方向に傾動したときに突出するストッパ部材15aが備えられている。
入賞空間11の中央には人形16が備えられ、人形16の前方で幅方向に伸びる中間床形成部材17も備えられている。中間床形成部材17の左右の端には、後方に向かって遊技球を転動させる様に後下がりに傾斜した転動面を備える前後方向誘導路形成部材18a,18bが備えられ、この前後方向誘導路形成部材18a,18bの後端から転がり出した遊技球を受け止めて中央に向かって転動させる様に、右下がり傾斜の転動面を備えた左奥傾斜路形成部材21が入賞空間11の下部左側最奥部に、左下がり傾斜の転動面を備えた右奥傾斜路形成部材22が入賞空間11の下部右側最奥部に、それぞれ設置されている。また、人形16の背面には、ソレノイド駆動によって回動動作する2枚の振り分け部材19a,19bも設置されている。
左奥傾斜路形成部材21及び右奥傾斜路形成部材22は、底面形成部材14の段差部14aに底面を当接させると共に、入賞空間本体を形成する入賞空間ベース部材23の後壁23aに背面を当接させる様にして設置されている。
センター役物10は、遊技領域2に備えられた始動入賞口31〜33に遊技球が入賞した場合に開閉部材12a,12bを1回又は2回開放する始動口入賞時制御と、この始動口入賞時制御の実行に伴って入賞空間11内に進入できた遊技球が特定入賞領域11vに入賞した場合に特別遊技制御を開始する入賞装置として機能する。
特別遊技制御においては、始動口入賞時制御の際よりも長い開放時間にて、開閉部材12a,12bの開閉を繰り返し、繰り返し回数が18回になるか、この間の入賞球個数が10個となるまでを1ラウンドとする特別遊技が実行される。また、この特別遊技のラウンド数は、始動口入賞時に既に抽選されて決まっており、抽選の結果に対応して、最終ラウンドまでの継続性を高めるための高継続制御も実行される。
高継続制御では、傾斜板15を、その後端を持ち上げる方向に傾動させると共に、振り分け部材19a,19bを前方へ回動させ、中間床形成部材17上の遊技球を、左右の端に向かって誘導し、前後方向誘導路形成部材18a,18bを経由して、左奥傾斜路形成部材21及び右奥傾斜路形成部材22へと誘導し易い状態を形成する。また、樋部材13を傾斜板15の正面にあたる中央において停止した状態とする。
この結果、高継続制御中は、入賞空間11内に進入した遊技球は、中間床形成部材17の上面に当たって後方に転動しつつ振り分け部材19a,19bに沿って左方又は右方に転動し、前後方向誘導路形成部材18a,18bへと導かれる。そして、前後方向誘導路形成部材18a,18bを経由して、左奥傾斜路形成部材21又は右奥傾斜路形成部材22へと誘導され、中央に向かって転動し、段差部14a中央の窪み14bに向かって放出され、傾斜板15の後端側で突出したストッパ部材15aによって邪魔されて窪み14b内に貯留される。なお、貯留される遊技球は1個だけで、その他の遊技球は窪み14bの左右から段差部14aへと転がり出し、底面形成部材14上を前方へと転がって一般入賞領域11aから裏ユニット100の球排出通路113へと排出されていく。
そして、特別遊技中の所定のタイミングになると、傾斜板15の先端が下方に向かって傾動され、後端位置に貯留されていた遊技球はストッパ部材15aの没入動作に伴って傾斜板15へと転がり出し、傾斜板15の上を転がって正面に停止している樋部材13の受入口から特定入賞領域11vへと入賞し、裏ユニット100の球排出通路113へと排出されていく。
こうして高継続制御では、貯留機能を作動させることによって、特別遊技ラウンドが継続され易い状態を形成している。
なお、樋部材13は、特別遊技状態であっても高継続制御を行わない状態や通常時(始動口入賞時制御を含む)においては、「(イ)中央→左端→中央」と「(ロ)中央→右端→中央」の揺動動作を、(イ)と(ロ)の動作が切り替わる際に中央で一旦停止する動作となる様に揺動動作を繰り返し実行している。また、この動作は、ギヤとカムの組み合わせにより、モータの正転→停止→逆転→停止→正転→…を切り替えることで実現され、停止から正転又は逆転の間に一旦停止となる時間が設定されている。
また、傾斜板15は、特別遊技状態であっても高継続制御を行わない状態においては、「先端下げ→停止→先端上げ→停止→先端下げ→停止→…」と先端を上げ下げする動作を所定のインターバルにて繰り返し実行している。この傾動動作は、ギヤとカムの組み合わせにより、モータの正転→停止→逆転→停止→正転→…を切り替えることで実現されている。また、後述する様に、小当たり遊技状態においても、先端の上げ下げを実行する。
この結果、特別遊技状態の高継続制御中以外や小当たり遊技中にあっては、樋部材13の揺動動作と傾斜板15の傾動動作は、少なくとも動作の一部が重複した状態となる。そして、これら重複した動作により、また、振り分け部材19a,19bの回動動作の影響も受け、センター役物10に入賞した遊技球は、入賞空間11内における転がり方や転がる方向が変化し、特定入賞領域11vへの入球可能性を変化させられることとなる。
[4 センター役物の組み立て]
センター役物10の組み立てにおいては、図7に示す様に、まず、入賞空間本体を形成する入賞空間ベース部材23の後壁23aに背面を当接させると共に、後壁23aに交差して前方へ伸びる様に一体成形されている段差部14aに底面を当接させる様にして、左奥傾斜路形成部材21及び右奥傾斜路形成部材22を取り付ける。
次に、中間床形成部材17及び前後方向誘導路形成部材18a,18bが一体成形された入賞空間仕切部材24が入賞空間ベース部材23の前面側に取り付けられる。そして、前面側の飾り部材25、背面側の役物制御基板装着部材26及び底面側のモータ取り付け部材27が組み付けられる。なお、樋部材13、傾斜板15、人形16は、入賞空間仕切部材24を取り付ける前に入賞空間ベース部材23に対して組み付けられる。
[5 樋部材の駆動機構と動作]
樋部材13は、図8に示す様に、ステッピングモータ71、ギヤ72a,72b,72c、円盤カム73、及び窓付きカムプレート74を介して前述の揺動動作を行う様に構成されている。
樋部材13は、上下方向に開口する入賞枠13aと、この入賞枠13aの後端から後方に向かって伸びる作動バー13bとを備え、作動バー13bの前端付近を揺動中心13cとする様に、モータ取り付け部材27に対して軸支されている。また、樋部材13の作動バー13bの下面には軸方向にカム溝13dが形成されている。
円盤カム73には、円の中心よりも外側の上面側に係合軸73aが突設されると共に、この係合軸73aに対して中心角及び半径をずらした位置の裏面側にピン嵌合部73bが形成されている。また、最終ギヤ72cにも、回転中心の外側に位置するピン嵌合孔72dが穿設されている。そして、最終ギヤ72cのピン嵌合孔72dと円盤カム73のピン嵌合孔73bとにピン72eが嵌合されている。
窓付きカムプレート74には、左右方向に長くなる長円形窓74aが形成されている。そして、円盤カム73は、窓付きカムプレート74の長円形窓74a内に組み付けられると共に、その係合軸73aを、樋部材13のカム溝13d内に挿入した状態となる様に組み付けられている。
また、窓付きカムプレート74は、その下面に突設された2条の前後方向リブ74b,74bを、モータ取り付け部材27の縦溝27a,27aに係合させた状態に組み付けられている。
この結果、ステッピングモータ71を回転させると、ギヤ72a,72b,72cが回転し、円盤カム73が、最終ギヤ72cの回転中心を中心とする円形の軌道上を周回しつつ自転する運動を行い、この円盤カム73の運動に伴って、窓付きカムプレート74は前後方向に進退動作を行い、樋部材13は左右方向に揺動動作を行う。
このとき、前述の様に、円盤カム73の係合軸73aとピン嵌合部73bが、当該円盤に対して中心角及び半径をずらした位置関係とされ、窓付きカムプレート74に左右方向に長い長円形窓74aが形成され、窓付きカムプレート74のリブ74b,74bをモータ取り付け部材27の縦溝27a,27aと係合させた状態に組み付け、樋部材13の揺動中心を作動バー13bの前端位置としてある結果、円盤カム73が平面視時計回りに回転するとき、図8(C)に示す様に、樋部材13は先端を左方向へ振る様に揺動し、左へ振り切った後に中央に向かって先端を振り、円盤カム73が1回転したときに正面を向いた図8(D)の状態となる。逆に、円盤カム73が平面視時反計回りに回転するとき、図8(E)に示す様に、樋部材13は先端を右方向へ振る様に揺動し、右へ振り切った後に中央に向かって先端を振り、円盤カム73が1回転したときに正面を向いた図8(D)の状態となる。この間、窓付きカムプレート74は、樋部材13が左右に振り切った状態を最前進位置とし、樋部材13が中央に戻った状態を最後退位置とする範囲で前後方向に進退動作する。
このとき、窓付きカムプレート74の後端側に後方へ向かって突設された切り欠き付きバー74cの切り欠き部分74dが光センサ75によって検出されることで、窓付きカムプレート74が最後退位置(原位置)へと移動したことを検知し、これによって樋部材13が中央に戻ったことを検知する様に構成されている。本実施例では、この光センサ75による原位置復帰を検知したらステッピングモータ71を所定時間停止、次にステッピングモータ71の回転方向を切り替えて再び原位置復帰を検知するまで駆動して所定時間停止するという動作を繰り返すことにより、図8(F)に示す様に、樋部材13を「中央→左端→中央」、「停止」、「中央→右端→中央」、「停止」、「中央→左端→中央」、「停止」、…という樋部材13の揺動動作を繰り返し実行できる様になっている。
なお、窓付きカムプレート74の上面左右には、底面形成部材14の段差部14aから飛び出している上面屋根面とされた流路変更部材76,76が取り付けられている。このため、樋部材13が中央から左又は右へ1回揺動して中央に戻ってくる間に、流路変更部材76,76が1回前後動作を行い、段差部14aから転がり出る遊技球の動きに対して変化を与える役割を果たしている。
ここで、本実施例においては、ステッピングモータ71を正転又は逆転させて原位置から遠ざかる動作を実行させている際に駆動方向を反転させて原位置に近付く動作を開始してから切り欠き部分74dが光センサ75によって検出されるまでの時間について「原位置内確認条件t1」を、原位置で停止しているステッピングモータ71を正転又は逆転させて原位置から遠ざかる動作を開始してから切り欠き部分74dが光センサ75によって検出されなくなるまでの時間について「原位置外確認条件t2」を、それぞれ異なる時間値として設定している。そして、原位置内確認条件t1として設定した時間内に光センサ75による切り欠き部分74dの検出がなされない場合、又は、原位置外確認条件t2として設定した時間内に光センサ75が切り欠き部分74dを検出しなくならない場合は、「原位置エラー」の発生となる。
[6 傾斜板の駆動機構と動作]
傾斜板15は、図3〜図6に示した様に、入賞空間11の底面形成部材14の中央に前後方向に伸びる様に設置されている。そして、図9に示す様に、ステッピングモータ81、ギヤ82、スライドプレート83、及びカム部材84を介して前述の傾動動作を行う様に構成されている。
傾斜板15は、後端下部の支軸15bを回動中心としてモータ取り付け部材27に軸支されている。また、貯留動作時に突出するストッパ部材15aも、この支軸15bを回動中心として傾斜板15の下側を前方へ伸びるストッパアーム15cの先端に形成されている。そして、傾斜板15には、このストッパ部材15aを出没させる角孔15dが形成されると共に、この角孔15dから先端に向かって傾斜板15の中心を通る凹溝15eが上面側に形成されている。
カム部材84は、第1カム84aと第2カム84bとを備えている。第1カム84aは傾斜板15の下面に、第2カム84bは、ストッパアーム15cの下面に、それぞれ当接する。
ステッピングモータ81を駆動し、ギヤ82と噛み合う外向きラックギヤ83aに動力を伝達してスライドプレート83を後退動作させると、このスライドプレート83の上向きラックギヤ83bに対して上方から噛み合っているギヤ84cを介してカム部材84が回転し、ストッパアーム15c及び傾斜板15が下面から押し上げられることによってそれぞれの先端を上方に回動させる。このとき、第2カム84bのカム面を図9(C)〜(E)に示す様な形状としてあるので、傾斜板15よりもストッパアーム15cの方が大きく回動し、角孔15dからストッパ部材15aを突出させる。
この状態から、ステッピングモータ81を逆転させてスライドプレート83を前進動作させるときは、まず、傾斜板15が元の傾斜状態へと先端を下げ切った後に、ストッパ部材15aが没入する様に、第1カム84a及び第2カム84bのカム面が設計されている。
なお、スライドプレート83には上向きのフィン83cが突設されており、光センサ85によって原位置(傾斜板15が先端を下に下げ、ストッパ部材15aが没入した図9(C),(F)の状態)を検出できる様になっている。なお、高継続制御中にあっては、スライドプレート83を後退端まで動作させ、図9(E),(H)に示した様にストッパ部材15aが突出した状態とするが、それ以外の状態にあっては、スライドプレート83は図9(D),(G)の状態を後退端とする様にステッピングモータ81の正転時駆動量を異ならせてある。そして、いずれの状態においても、スライドプレート83の前進端は図9(C),(F)の状態としている。これにより、高継続制御中はストッパ部材15aによる保留機能が発揮されるが、それ以外の状態ではストッパ部材15aを突出させることなく傾斜板15の先端を上げ下げする動作を繰り返し実行することとなる。
ここで、本実施例においては、スライドプレート83が前進端にある状態からステッピングモータ81を正転させて原位置から遠ざかる動作を開始した後、フィン83cが光センサ85によって検出されなくなるまでの時間について「原位置外確認条件t3」を、スライドプレート83が後退側所定位置にある状態からステッピングモータ81を逆転させて原位置に近付く動作を開始した後、フィン83cが光センサ85によって検出されるまでの時間について「原位置内確認条件t4」を、それぞれ異なる時間値として設定している。そして、原位置内確認条件t4として設定した時間内に光センサ85によるフィン83cの検出がなされない場合、又は、原位置外確認条件t3として設定した時間内に光センサ85がフィン83cを検出しなくならない場合は、「原位置エラー」の発生となる。
また、本実施例においては、樋部材13に対する原位置内確認条件t1,原位置外確認条件t2、傾斜板15に対する原位置外確認条件t3,原位置内確認条件t4の各時間値は、全て異なる値を設定している。
[7 制御装置の構成]
次に、本実施例のパチンコ機Pにおける制御装置について図11に基づき説明する。パチンコ機Pの裏ユニット100の裏面側には、制御装置として、主制御基板310と、演出制御基板320とが備えられている。
制御装置においては、CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、各入賞口31〜37への遊技球の入賞を検知する入賞検知センサSE1〜SE7、センター役物10内への遊技球の入賞を検知するために開閉部材12a,12bの近傍に設置された入賞検知センサSE8,SE9、特定入賞領域11vへの遊技球の入賞を検知するVゾーンセンサSE10、球排出通路113へと遊技球が排出されたことを検知する排出球検知センサSE11〜SE13からの検知信号が入力される様になっている。排出球検知センサSE13は、センター役物10からの排出球を検知するためのものであり、他の排出球検知センサSE11,SE12は、入賞口31〜37からの排出球を検知するものである。なお、主制御基板310には、樋部材13の原位置を検出する光センサ75、傾斜板15の原位置を検出する光センサ85からの検知信号も入力される構成となっている。
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、発射制御基板330、賞球払出装置99へとコマンドが出力される様になっている。発射装置Gは、主制御基板310から制御コマンドを受けた発射制御基板330による駆動制御信号に基づいて、打球の発射・停止を実行する。打球の停止は、例えば、何らかのエラーが発生したときなどに指令される。賞球払出装置99は、主制御基板310からの払出コマンドに従って、賞球の払出を実行する。賞球払出個数は、入賞口31〜37、センター役物10のそれぞれどこに入賞したかによって予め定められている。演出制御基板320は、LED基板120〜140による発光演出、ドット表示器93による表示演出、スピーカ96による音声演出を実行している。
実施例1のパチンコ機における特徴的な動作を実行するために、主制御基板310によって動作制御される部材は、開閉部材12a,12b、樋部材13、傾斜板15、及び振り分け部材19a,19bである。このため、主制御基板310は、開閉部材12a,12bに開閉動作を実行させるソレノイドSOL1,SOL2、振り分け部材19a,19bに回動動作を実行させるソレノイドSOL3、樋部材13に揺動動作を実行させるモータ71、傾斜板15に傾動動作を実行させるモータ85に対して制御信号を出力する様に構成されている。また、これら以外にも、センター役物10の上部左右に設けられている7セグ表示器91,92を用いたラウンド数表示・入球カウント表示や、下部装飾体60の左右に備えられているLED表示器94,95を用いた特別図柄表示も実行している。
[8 主制御基板による制御処理の概略]
主制御基板310は、図11(A)に示す制御系統により、入賞検知センサSE1〜SE9からの入賞検知信号が入力されると、各センサに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを賞球払出装置99に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、賞球払出装置99は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。
この賞球払出制御は、図11(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、入賞検知センサSE1〜SE9からの検知信号が入力されたか否かを判断し(S10)、「YES」と判定されたら、賞球払出装置99に対してセンサを特定した賞球払出信号を出力すると共に(S20)、抽選処理ルーチンを起動する(S30)。
また、主制御基板310は、図12(A)に示す制御系統により、始動入賞口31〜33の入賞検知センサSE1〜SE3からの入賞検知信号が入力されると、乱数抽選を実行し、小当たりパターンと、特別遊技パターンとを抽選し、その結果を保留球記憶情報としてRAMに記憶する乱数抽選処理を実行している。
この乱数抽選処理は、図12(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、今回検知信号を入力したセンサが始動入賞口31〜33のものか否かを判定し(S110)、「NO」であれば直ちに処理を終了する。一方、「YES」と判定された場合は、保留球個数Nが4以下か否かを判定する(S120)。N≦4ならば(S120:YES)、保留球個数Nをインクリメントし(S130)、小当たりパターンを乱数抽選すると共に(S140)、当該小当たりパターンの小当たり遊技を実行したときに特定入賞領域11vを遊技球が通過したときに実行する特別遊技の遊技パターンを乱数抽選し(S150)、始動口入賞時制御パターンと特別遊技制御パターンとを保留球抽選結果としてRAMに記憶する(S160)。なお、N>4ならば(S120:NO)、S130を飛ばしてS140に移行する。
ここで、小当たりパターンとは、始動入賞口31〜33への入賞を契機として、センター役物10の開閉部材12a,12bを1回又は複数回開閉動作させることにより、特定入賞領域11vへの入賞の機会を与える小当たり遊技における開閉回数、開閉タイミング、開放時間、遊技開始タイミングなどを特定するものである。特別遊技パターンとは、小当たり遊技に伴って実行された開閉部材12a,12bの開閉動作中にセンター役物10内に入賞した遊技球が、特定入賞領域11vを通過したときに大当たりとして確定される特別遊技のラウンド数、ラウンド継続の高低、チャレンジゲームによる途中昇格の有無などを特定するものである。なお、本実施例では、保留球記憶情報は最大4個分を保持でき、保留球記憶が何個あるかはセンター役物10の上部左側の7セグ表示器91に数字で表示する様に構成されている。
主制御基板310は、小当たりパターンの抽選結果に対応して、図13(A)に示す制御系統により、ソレノイドSOL1,SOL2を駆動して開閉部材12a,12bの1回又は複数回の開閉動作としての小当たり遊技を実行する。このとき、入賞空間11に遊技球が入賞し、特定入賞領域11vを通過したか否かが、入賞検知センサSE8,SE9及びVゾーンセンサSE10の検知信号によって判断される。VゾーンセンサSE10により特定入賞領域11vを遊技球が通過したことが検知されると、今回の小当たりパターンと対応して抽選されていた特別遊技パターンに基づく特別遊技が開始されることになる。また、図示の実線ブロックの様に、小当たり遊技の基本は開閉部材12a,12bの開閉動作であるが、小当たり遊技のパターンには、振り分け部材19a,19bの回動動作、傾斜板15の傾動動作に伴う流路変更部材76,76の前後動が組み合わされたパターンも存在し、その場合は、図示点線ブロックのソレノイドSOL3及びモータ85に対するコマンドも出力される。また、小当たり遊技特有の表示・発光・音声演出を実行させるため演出制御基板320に対してもコマンドが出力される。なお、本実施例では、樋部材13は、小当たり遊技中も通常時の揺動動作が繰り返されていて、小当たりパターン特有の動作は実行していない。
この小当たり遊技は、図13(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、保留球記憶の内の先頭の小当たりパターンを読み出し(S210)、保留球個数Nをデクリメントすると共に(S220)、読み出した小当たりパターンに対応する開閉部材制御パターン、振り分け部材制御パターン及び傾斜板制御パターンをROMから読み出す(S230)。そして、演出制御基板320に対して今回の小当たり遊技の最中に実行する演出パターンを指令し(S240)、小当たり遊技の実行開始タイミングを待ってから(S250)、S220でROMから読み出した制御パターンに基づく制御データをソレノイドSOL1,SOL2等の駆動回路に出力すると共に(S260)、残存球エラー判定ルーチンを起動する(S270)。そして、VゾーンセンサSE10からの検知信号が入力されたか否かを判定する(S280)。「YES」と判定された場合は、特別遊技開始コマンドを生成する(S290)。このS280の判定は、所定の有効時間が経過したときは(S300)、終了となる。特別遊技開始コマンドは、実行すべき特別遊技のパターン、開始タイミングなどの情報から構成される。
主制御基板310は、小当たり遊技において特定入賞領域11vを遊技球が通過した場合に、図14(A)に示す制御系統により、特別遊技を実行する。特別遊技においては、ソレノイドSOL1,SOL2,SOL3、モータ71,81が駆動制御され、開閉部材12a,12bの開閉動作、振り分け部材19a,19bの回動動作、傾斜板15の傾動動作及び樋部材13の揺動動作が特別遊技状態における各ラウンドに対応した動作状態に制御される。また、入賞検知センサSE8,SE9の検知信号に基づいて特別遊技中における入賞空間11への遊技球の入賞個数をカウントし、そのカウント結果をセンター役物10の上部右側の7セグ表示器92に数字で表示する様にも構成されている。さらに、VゾーンセンサSE10の検知信号から特定入賞領域11vを遊技球が通過したか否かにより、特別遊技における次のラウンドへの移行が成功したか否かの判断がなされる。また、小当たり遊技特有の表示・発光・音声演出を実行させるため演出制御基板320に対してもコマンドが出力される。
この特別遊技は、図14(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、S290で生成した特別遊技開始コマンドに従って今回実行すべき特別遊技パターンに対応する開閉部材制御パターン、振り分け部材制御パターン、傾斜板制御パターン及び樋部材制御パターンをROMから読み出す(S310)。ここで、傾斜板制御パターン及び樋部材制御パターンは、高継続制御を実行するか否かによって切り換えられる。既に述べた様に、高継続制御を実行する場合は、樋部材13を中央に停止させた状態とし、傾斜板15は、先端を持ち上げてストッパ部材15aを突出させた保留状態からストッパ部材15aを没入させると共に先端を下げる動作を実行するパターンとなる。ラウンド継続制御を行わない場合は、樋部材13は通常時と同様のパターンで揺動を繰り返し、傾斜板15はストッパ部材15aを没入させた状態での先端の上げ下げを繰り返し実行するパターンが選択されることになる。
ここで、特別遊技パターンは、特別遊技の継続可能ラウンド数、ラウンド継続性を高める高継続制御の有無、継続可能ラウンド終了後のチャレンジゲームの有無、チャレンジゲーム成功時の継続可能ラウンド数、実質的な出玉数の期待されない消化ラウンドの有無等の情報を含んでいる。
また、制御パターンは、これら特別遊技中のラウンド毎に、当該ラウンドの内容と対応する様に、通常ラウンド、高継続ラウンド、チャレンジゲームラウンド、消化ラウンド、最終ラウンドのそれぞれについて異ならせた制御パターンとなっている。
続いて、今回ラウンドRNをインクリメントする(S320)。本実施例では、特別遊技開始コマンドを生成した直前の小当たり遊技が特別遊技の1ラウンドとしてカウントされる構成となっているから、今回ラウンド「2」から実質的な特別遊技が開始される構成となっている。
次に、特別遊技の実行開始タイミングを待ってから(S330)、今回ラウンドRNに対応する演出コマンドを演出制御基板320に対して出力すると共に(S340)、S310でROMから読み出した制御パターンに基づく制御データをソレノイドSOL1,SOL2等の駆動回路に出力し(S350)、残存球エラー判定ルーチンを起動する(S360)。
そして、今回実施する特別遊技パターンにおいて、今回ラウンドが特定入賞領域11vへの入賞によって次のラウンドへ進むことのできる継続ラウンドあるいはチャレンジゲームとなっているか否かを判定する(S370)。「YES」ならば、VゾーンセンサSE10からの検知信号が入力されたか否かを判定する(S380)。ここで「YES」と判定された場合は、S330へ進み、次のラウンドを開始する。このとき、このラウンドにおいてS360で起動された残存球エラー判定ルーチンは一旦クリアされ、次のラウンドにおいてS360へ進んだときに再び残存球エラー判定ルーチンが新たに起動される。一方、S380の判定が「NO」のときは、所定の有効時間が経過したか否かを判定する(S390)。この有効時間は、開閉部材12a,12bが閉じた後の経過時間であって、特定入賞領域11vへの入賞を有効と判定することのできる時間として定められている。有効時間を経過するまでは、S380の判定へと戻ることとなる。そして、S380,S390共に「NO」のときは、次のラウンドには進まず、特別遊技を終了する。なお、S370が「NO」のとき、即ち最終ラウンドでは、S380,S390による「次ラウンド移行の可否判定」は行わない。
主制御基板310は、既に述べた様に、樋部材13の揺動動作と傾斜板15の傾動動作とをそれぞれのタイミングにおいて、それぞれのインターバルで実行している。そして、図15(A)に示す制御系統により、樋部材13に対する原位置内確認条件t1,原位置外確認条件t2、傾斜板15に対する原位置外確認条件t3,原位置内確認条件t4の各時間値に基づいて、樋部材13の揺動動作、傾斜板15の傾動動作において動作不良が発生しているか否かを判定している。
揺動部材13の動作不良の有無の判定は、図15(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、主制御基板310は、ステッピングモータ71に対して正転を指令すると共に計時を開始し(S410)、計測時間tがt2になったとき(S420:YES)、「原位置外」が確認できているか否か(光センサ75により切り欠き部分74dが検出されなくなっているか否か。以下同じ。)を判定する(S430)。主制御基板310は、S430の判定が「YES」の場合は、所定ステップ数の正転を完了したところでステッピングモータ71に対して逆転を指令すると共に計時を開始し(S440,S450)、計測時間tがt1になったとき(S460:YES)、「原位置内」が確認できているか否か(光センサ75により切り欠き部分74dが検出されているか否か。以下同じ。)を判定する(S470)。主制御基板310は、S470の判定が「YES」の場合は、所定ステップ数の逆転を完了したところでステッピングモータ71に対して所定時間の停止を指令する(S480,S490)。主制御基板310は、所定時間の停止の後、再び、ステッピングモータ71に対して逆転を指令すると共に計時を開始し(S510,S520)、計測時間tがt2になったとき(S520:YES)、「原位置外」が確認できているか否かを判定する(S530)。主制御基板310は、S520の判定が「YES」の場合は、所定ステップ数の逆転を完了した後、ステッピングモータ71に対して正転を指令すると共に計時を開始し(S540,S550)、計測時間tがt1になったとき(S560:YES)、「原位置内」が確認できているか否かを判定する(S570)。主制御基板310は、S570の判定が「YES」の場合は、所定ステップ数の正転を完了したところでステッピングモータ71に対して所定時間の停止を指令する(S590)。以上、主制御基板310は、S410〜S590の処理を繰り返し実行することにより、樋部材13を中央にて所定時間停止させつつ、左右に繰り返し揺動動作させる。本実施例では、中央の停止時間は0.5secとしている。なお、高継続制御中の停止時間は∞とされていて樋部材13を中央に停止した状態を維持し続ける。
一方、主制御基板310は、S430,S530の判定が「NO」の場合、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「樋部材原位置エラーコマンドER13A」を指定し(S610)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S620)。主制御基板310は、その後、所定時間△tの経過後に(S630=YES)、光センサ75の検出信号に基づき、再度、「原位置外」が確認できているか否かを判定する(S640)。主制御基板310は、S640の判定が「YES」となった場合は、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「樋部材原位置エラー解除コマンドER13B」を指定し(S650)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S660)。
また、主制御基板310は、S470,S570の判定が「NO」の場合、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「樋部材原位置エラーコマンドER13A」を指定し(S615)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S625)。主制御基板310は、その後、所定時間△tの経過後に光センサ75の検出信号を確認し、再度、「原位置内」が確認できているか否かを判定する(S635,S645)。主制御基板310は、S645の判定が「YES」となった場合は、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「樋部材原位置エラー解除コマンドER13B」を指定し(S655)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S665)。
傾斜板15の動作不良の有無の判定は、図15(C)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、主制御基板310は、ステッピングモータ81に対して逆転を指令すると共に計時を開始し(S710)、計測時間tがt3になったとき(S720:YES)、「原位置外」が確認できているか否か(光センサ85によりフィン83cが検出されなくなっているか否か。以下同じ。)を判定する(S730)。主制御基板310は、S730の判定が「YES」の場合は、所定ステップ数の逆転を実行した後(S740)、ステッピングモータ81に対して正転を指令すると共に計時を開始し(S750)、計測時間tがt4になったとき(S760:YES)、「原位置内」が確認できているか否か(光センサ85によりフィン83cが検出されているか否か。以下同じ。)を判定する(S770)。主制御基板310は、S770の判定が「YES」の場合は、所定ステップ数の正転を終えたところで(S780:YES)、S710へ戻る。以上、主制御基板310は、S710〜S780の処理を繰り返し実行することにより、傾斜板15に、先端を下げきった後に所定位置まで振り上げる動作を連続的に繰り返し実行させる。なお、高継続制御中は、傾斜板15をストッパ部材15aを突出させて先端を持ち上げた状態に所定時間保った後、ストッパ部材15aを没入させて先端を下げ切った状態へと動作させる制御を実行する。
一方、主制御基板310は、S830の判定が「NO」の場合、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「傾斜板原位置エラーコマンドER15A」を指定し(S810)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S820)。主制御基板310は、その後、所定時間△tの経過後に光センサ85の検出信号を確認し、再度、「原位置外」が確認できているか否かを判定する(S830,S840)。主制御基板310は、S840の判定が「YES」となった場合は、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「傾斜板原位置エラー解除コマンドER15B」を指定し(S850)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S860)。
また、主制御基板310は、S770の判定が「NO」の場合、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「傾斜板エラーコマンドER15A」を指定し(S815)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S825)。主制御基板310は、その後、所定時間経過後に光センサ85の検出信号を確認し、再度、「原位置内」が確認できているか否かを判定する(S835,S845)。主制御基板310は、S845の判定が「YES」となった場合は、可動部材エラー報知コマンドCMD1に「傾斜板エラー解除コマンドER15B」を指定し(S855)、当該可動部材エラー報知コマンドCMD1を演出制御基板320に対して出力する(S865)。
主制御基板310は、図16(A)に示す制御系統により、残存球エラー判定を実行している。残存球エラー判定は、入賞検知センサSE8,SE9から入力されるセンター役物10内への入球検知信号と、排出球検知センサSE13から入力されるセンター役物10からの排出球検知信号と、残存球エラー判定時間とから実行される。この残存球エラー判定時間は、主制御基板310のROM内に記憶されている残存球エラー判定テーブル中の設定時間を読み出してRAMに設定される。
本実施例においては、図示の様に、残存球エラー判定テーブルは、通常遊技時と電源復旧時に分けられている。また、通常遊技時と電源復旧時のそれぞれに対して、小当たり遊技における「1回開放」及び「2回開放」、特別遊技における「継続ラウンド」及び「最終ラウンド」と、遊技状態毎に設定時間を記憶できる様に構成されている。ここで、テーブルの「契機コマンド」の欄における「小当たり1」とは「1回開閉の小当たり遊技の開始コマンド」、「小当たり2」とは「2回開閉の小当たり遊技の開始コマンド」、「RN」は「2〜(最終−1)のラウンド指定コマンド」、「エンディング1」とは「18回開閉による最終ラウンドの開始コマンド」、「エンディング2」とは「消化ラウンドの開始コマンド」である。また、テーブルの「クリアコマンド」の欄における「デモ」とは「保留記憶もなく入賞もない状態が所定時間経過したときにデモ演出を指令するコマンド」、「変動」とは「次の抽選結果に対応する遊技状態の変更を指令するコマンド」、「次ラウンド」とは「特別遊技において次のラウンドへの移行指令時のコマンド」、「エンディング」とは「特別遊技の最終ラウンド・消化ラウンドへの移行を指令するコマンド」である。
また、通常遊技時用のテーブルにおいては、特別遊技の「最終ラウンド」を、二つに分けて設定時間を記憶できる構成となっている。これは、特別遊技には、途中のラウンドから後を、開閉部材12a,12bを開放時間の短い1回の開閉動作を1ラウンドとカウントする消化ラウンドとしてのエンディングが行われる場合を考慮したものである。
さらに、本実施例においては、残存球エラー判定を中止する条件となるクリアタイミングを、遊技状態毎に設定できる構成となっている。これにより、通常遊技時の「継続ラウンド」に対するクリアタイミングとして、「デモコマンド」「変動コマンド」「次ラウンド移行コマンド」「エンディング移行コマンド」の4種類が設定されるのに対し、電源復旧時の「継続ラウンド」に対するクリアタイミングとしては、「デモコマンド」「変動コマンド」「次ラウンド移行コマンド」の3種類の設定にするといった区別がなされている。また、小当たり遊技に対するクリアコマンドは、「デモコマンド」「変動コマンド」に加えて「オープニングコマンド」も設定されているが、特別遊技状態に対しては「オープニングコマンド」はクリアタイミングに設定されていない。これは、特別遊技状態の後にオープニングコマンドが指令されることがないのを考慮したものである。
この様に、本実施例においては、残存球エラー判定テーブルにおいて、遊技状態を考慮したきめ細かな設定が可能となっている。そして、テーブル中のどの行の設定時間、クリアタイミングを選択し、残存球エラー判定処理における判定時間及びクリアコマンドとして設定するかは、主制御基板310自身が決定した遊技状態に基づいて定まる。
また、主制御基板310は、通常遊技時用のテーブルを選択するか、電源復旧時用のテーブルを選択するかを、電源スイッチSW1の通電状態に基づいて判断し、決定している。
主制御基板310は、この残存球エラー判定を、図16(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行する。残存球エラー判定ルーチンでは、まず、現在が、停電から復電した直後か否かを判定する(S910)。復電直後でないときは(S910:NO)、ROMに記憶されている残存球エラー判定テーブルの内の通常時用の方を選択する(S920)。そして、契機コマンドの内容を確認し(S930)、この契機コマンドに基づいて残存球エラー判定テーブルの中から現在の遊技状態に対応する設定時間及びクリアタイミングを読み出し(S940)、RAMに判定時間及びクリアコマンドとして設定する(S945)。一方、復電直後であると判定されたときは(S910:YES)、S920に変えて、ROMに記憶されている残存球エラー判定テーブルの内の電源復旧時用の方を選択し(S925)、S930へと進む。
そして、入賞検知センサSE8,SE9によりセンター役物10への入球検知信号が入力されたか否かを判定する(S950)。入球検知信号が入力されたときは(S950:YES)、RAMに残存球個数として記憶すると共に(S960)、クロック信号を利用して計時を開始する(S970)。次に、主制御基板310自身の演算処理によってクリアコマンドに相当するコマンドが生成されたか否かを判定する(S980)。クリアコマンドが生成された場合は本ルーチンを終了する。
一方、クリアコマンドが生成されていないときは、排出球検知センサSE13からの排出球検知信号が入力されたか否かを判定する(S1010)。排出球検知信号が入力されたときは(S1010:YES)、RAMの残存球個数をデクリメントする(S1020)。
また、排出球検知信号の入力の有無に拘わらず、次の入球が検知されたか否かを判定し(S1030)、検知された場合はRAMの残存球個数をインクリメントする(S1040)。
そして、RAMの残存球個数がゼロになっているか否かを判定する(S1050)。ゼロではないときは(S1050:NO)、判定時間が経過したか否かを判定する(S1060)。判定時間が経過しているときは(S1060:YES)、残存球エラーが発生したと判定し(S1070)、残存球エラー報知処理を実行する(S1080)。残存球エラー報知処理としては、発射モータの停止による遊技の中断と共に、外部への表示・音声などによる報知、あるいはホールコンピュータへの報知等を実行する。表示・音声による報知は、演出制御基板320に対してエラー報知コマンドを出力して実行される。
一方、入球検知信号が入力されないとき(S950:NO)、及びRAMの残存球個数がゼロになっているときは(S950:YES)、今回の遊技状態における開閉部材12a,12bの開閉制御が完了しているか否かを判定する(S1090)。開閉制御が完了していると判定されたときは(S1090:YES)、本ルーチンを終了する。これに対し、開閉制御が完了していないときは(S1090:NO)、S950へと戻る。
演出制御基板320は、図17(A)に示す制御系統により、主制御基板310からの演出コマンドに対応する演出パターンに従って、LED基板120〜140、ドット表示器93及びスピーカ96に対して制御信号を出力して表示・発光・音声演出によりデモ演出、小当たり遊技演出、特別遊技演出をそれぞれ実行する。なお、主制御基板310からエラー報知が指令されたときは、エラー報知を実行する。
演出制御基板320は、図17(B)示す様な演算処理ルーチンにて演出制御を実行し、主制御基板310からの新たな演出指令コマンドが入力されたか否かを判定し(S1110)、「YES」の場合は、当該演出指令コマンドがエラー報知演出を指令するコマンドか否かを判定する(S1120)。ここで「YES」ならば、エラー報知演出ルーチンを起動する(S1200)。一方、エラー報知演出を指令するコマンドでないなら、演出の内容(デモ演出、小当たり遊技演出、特別遊技演出)を特定し(S1130)、対応する演出制御データをROMから読み出し(S1140)、LED基板120等に対して制御データを出力し(S1150)、本ルーチンを抜ける。
演出制御基板320は、図17(C)示す様な演算処理ルーチンにてエラー報知演出を実行する。演出制御基板320は、主制御基板310から受信したエラー報知演出コマンドが可動部材エラー報知演出コマンドCMD1であるか否かを判定する(S1210)。エラー報知演出コマンドが「CMD1」でない場合は(S1210:NO)、例えば、「残存球エラー報知」など、その他のエラー報知処理を実行する(S1300)。
一方、主制御基板310から受信したエラー報知演出コマンドが可動部材エラー報知演出コマンドCMD1である場合は(S1210:YES))、当該コマンドが「樋部材原位置エラーコマンドER13A」であるか否かを判定する(S1220)。CMD1=ER13Aである場合は(S1220:YES)、演出制御基板320は、左右のLED基板120,130に対して、例えば、「ERROR」の文字をブリンク表示させるなど、遊技者やホールスタッフが気付きやすい態様のエラー表示を実行させ(S1222)、下部のLED基板140を赤点灯状態に制御する(S1224)。
また、主制御基板310から受信した可動部材エラー報知演出コマンドCMD1が「傾斜板原位置エラーコマンドER15A」である場合は(S1230:YES)、演出制御基板320は、左右のLED基板120,130に対してエラー表示を実行させ(S1232)、下部のLED基板140を青点灯状態に制御する(S1234)。ここで、S1232によるエラー報知の態様は、S1222によるエラー報知の態様と同一であって、動作不良を生じたのが樋部材13であるか傾斜板15であるかを区別していない。その一方、S1234の処理では、下部LED基板140の点灯色をS1224とは異なる色とすることで、樋部材13と傾斜板15のいずれにおいて動作不良が発生したかを区別可能に表示する。なお、既に、S1224によって下部LED基板140が赤色点灯されている場合は、赤、青を切り換える点灯を繰り返すか、あるいは左右半分の一方を赤色、他方を青色といった点灯にすることができる。
一方、主制御基板310から受信した可動部材エラー報知演出コマンドCMD1が「樋部材原位置エラー解除コマンドER13B」である場合は(S1240:YES)、演出制御基板320は、下部のLED基板140の赤色点灯を消灯に切り換える(S1242)。また、主制御基板310から受信した可動部材エラー報知演出コマンドCMD1が「傾斜板原位置エラー解除コマンドER15B」である場合は(S1250:YES)、演出制御基板320は、下部のLED基板140の青色点灯を消灯に切り換える(S1252)。なお、これらS1242,S1252の処理を行うに当たって、樋部材13、傾斜板15の両方について原位置エラーが解消している場合は、これらの処理において左右のLED基板120,130に対するエラー報知表示を終了させることができる。その一方、この様な場合も左右のLED基板120,130に対するエラー報知表示を継続させ、樋部材13や傾斜板15において原位置エラーが発生した履歴を報知し続ける様にすることもできる。また、左右のLED基板120,130によるエラー報知を開始する際に、「係員をお呼び下さい」といった注意喚起のメッセージを音声により出力するなどしてもよい。また、可動部材エラー報知コマンドCMD1はホールコンピュータにも送信する様にしておいてもよい。
[9 実施例1の作用・効果]
本実施例によれば、主制御基板310は、特定入賞領域11vを備えた樋部材13の揺動動作と、傾斜板15の先端を上げ下げする傾動動作とを、それぞれ独立した動作として実行している。この結果、樋部材13の揺動動作と傾斜板15の傾動動作は、常に対応したものとなるわけではなく、高継続制御以外の特別遊技や小当たり遊技の最中における特定入賞領域11vへの入球可能性を、偶然性や予測困難性を高めつつ変化させることができいている。この結果、本実施例のパチンコ機Pは、遊技が単調になることがなく、遊技者に興趣を抱かせることができるものとなっている。
また、本実施例では、樋部材13に対する原位置内確認条件t1,原位置外確認条件t2、傾斜板15に対する原位置外確認条件t3,原位置内確認条件t4の各時間値として全て異なる値を設定している。これにより、樋部材13と傾斜板15のそれぞれについて、動作開始、動作停止、反転動作開始、反転動作停止、等の制御条件を個々独立のものとすることができている。この結果、樋部材13と傾斜板15の動作において、順序、インタバル等に対し、ズレや重なりを生じさせることが可能となっている。そして、主制御基板310は、全て異なる時間値を設定した確認条件t1,t2,t3,t4に基づいて、動作開始や動作完了を的確に把握しつつ樋部材13、傾斜板15の動作を制御するから、樋部材13、傾斜板15が正常に動作しているか否かを的確に把握しつつ、これら樋部材13と傾斜板15に独立の動作を的確に実行させることができる。また、これら確認条件t1,t2,t3,t4を設定し、図15(B),(C)に示した様に、動作不良の判定を実行しつつ樋部材13と傾斜板15の動作制御を実行している。この結果、本実施例のパチンコ機Pは、偶然性や予測困難性を高めた多彩な動作を確実に実行させ、動作不良の的確な判定を可能にしている。
また、本実施例においては、樋部材13については確認条件t1,t2に基づいて、傾斜板15については確認条件t3,t4に基づいて、それぞれの原位置内エラー、原位置外エラーを別個に判定することが可能となっている。樋部材13の様な一旦停止を伴う動作を繰り返し実行する可動部材にあっては、t1とt2を異ならせることにより、モータの駆動制御において動作に合致した減速制御等の設定を可能にし、特定入賞領域11vを王道ルートの中央に停止させる制御を的確に実行可能としている。また、傾斜板15についても、ストッパ部材15aを突出させる位置まで振り上げる動作と、ストッパ部材15aを突出させる前の位置まで振り上げる動作とを実行するに当たり、確認条件t3,t4を異なる値とすることで、それぞれの動作に適するモータ駆動方向の反転制御を安定して実行することができている。
さらに、本実施例においては、樋部材13について、「原位置に近付く動作」、「原位置から遠ざかる動作」のいずれについてエラーがあった場合も共通の「樋部材原位置エラーコマンドER13A」を指定する構成を採用している。同じく、傾斜板15についても、「原位置に近付く動作」、「原位置から遠ざかる動作」のいずれについてエラーがあった場合も共通の「傾斜板原位置エラーコマンドER15A」を指定する構成を採用している。そして、可動部材エラー報知コマンドCMD1としてER13A,ER15Aのいずれが指定された場合も、左右のLED基板120,130によるエラー報知表示を同一態様としている。これにより、可動部材エラーが発生した場合に、遊技者やホールスタッフに、煩雑な思考や考察を強いることなく、当該事実を確実に伝達することができる。特に、樋部材13と傾斜板15の動作エラーは、特定入賞領域11vへの入球可能性に対して大きく影響することから、単純明快な報知態様は、迅速な対処、例えば、遊技者によるホールスタッフの呼び出しや、動作エラーが発生したパチンコ機へのホールスタッフの誘導を迅速に実施可能とする。
また、樋部材13で一旦動作不良と判定された場合に、所定時間△tの間に当該動作不良が解消した場合には「樋部材原位置エラー解除コマンドER13B」を指定し、傾斜板15で一旦動作不良と判定された場合に、所定時間△tの間に当該動作不良が解消した場合には「傾斜板原位置エラー解除コマンドER15B」を指定し、演出制御基板320に対して出力する構成を採用したことにより、例えば、玉噛みの様な対処が不要な一過的な動作不良と、部品故障の様な対処が必要な本質的動作不良とを区別可能としている。
これら動作不良の報知において、原位置内エラーであるか原位置外エラーであるかを区別しないコマンドER13A,ER15Aを採用している。これもまた動作エラーに対処する際に煩雑な思考や考察を強いることなく、玉噛みしている遊技球を取り除いたり、挟み込んだ異物を取り除くといった対処を迅速に行わせるのに役立っている。樋部材13、傾斜板15は、いずれも「原位置に近付く動作」と「原位置から遠ざかる動作」とを所定のパターンにて繰り返し実行しているから、その動作のどの時点でエラーが発生しようとも、対処すべきは遊技球や異物の除去、部品の破損や緩み等の確認として同じ作業になる。従って、原位置内エラーか原位置外エラーかを区別しない報知態様とする方が、確認や対処を行うべき作業を単純化するメリットがあるといえる。
この様に、本実施例によれば、複数個の可動部材を備えた遊技機における可動部材の動作状態を的確に把握して的確な動作を実現すると共に、エラーの発生又はエラーの解消を特定することができる。
また、エラー解除コマンドER13B,ER15Bによって下部LED基板140の赤点灯や青点灯を消灯しているものの、左右のLED基板120,130による可動部材エラーの表示を残すことにより、頻繁に玉噛み等が発生する台を特定したり、不正行為への注意喚起を行うといった効果も発揮される。
本実施例では、残存球排出エラー報知も別途実施していることにより、左右のLED表示基板120,130へのエラー表示と残存球排出エラーとが共に発生しているか否かにより、残存球の玉噛みによる動作不良であったのか、振動や異物の挟み込みといった不成行為に起因した動作不良であったのか、といった原因についても、左右のLED表示基板120,130へのエラー表示と残存球排出エラーとが共に発生しているか否かにより、ある程度推定することができる。
[10 変形例]
第1種第2種混合機と称されるパチンコ機で、第2種大当たりを導出する入賞口の開閉羽根と特定入賞領域開閉部材の動作制御において、開閉羽根が的確な動作を実行しているか否か、特定入賞領域開閉部材が的確な動作を実行しているか否かを各独立に判定する技術として、各可動部材のそれぞれについて「原位置」を検出する光センサとシャッタ(又は窓)とを備えさせ、「原位置内への移動」「原位置外への移動」の異なる確認条件に基づいて動作不良か否かを判定する構成とすることで、これら複数の可動部材に独立の動作を実行させて偶然性や予測困難性を発揮させつつ、動作不良を的確に判別する手段として用いることができる。
V確変機と称されるパチンコ機で、V確変を確定させる特別入賞領域を備えた大入賞口の開閉扉と特定入賞領域開閉部材の動作制御において、開閉扉が的確な動作を実行しているか否か、特定入賞領域開閉部材が的確な動作を実行しているか否かを各独立に判定する技術として、各可動部材のそれぞれについて「原位置」を検出する光センサとシャッタ(又は窓)とを備えさせ、「原位置内への移動」「原位置外への移動」の異なる確認条件に基づいて動作不良か否かを判定する構成とすることで、これら複数の可動部材に独立の動作を実行させて偶然性や予測困難性を発揮させつつ、動作不良を的確に判別する手段として用いることができる。
以上、発明を実施するための実施例及び変形例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
例えば、複数の演出用可動体を備えるパチンコ機やスロットマシンにおいて、複数の演出用可動体を重複した期間に動作させる場合に、これら複数の演出用可動体の動作が正常に実行されているか否かを判定する技術として本発明を適用することができる。