JP6781594B2 - プラント監視装置及びプラント監視方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力プラントや火力プラント、化学プラント等のプラントを監視する装置及び方法に関する。
原子力プラントや火力プラント等の発電プラント及び化学プラントでは、信頼性の向上と保守作業の合理化を目的として、運転中の各種機器を監視する状態監視の導入が進められている。状態監視技術として、各種機器の温度や振動などを計測し、正常状態との比較により異常の有無を検知する方法が一般的に知られている。ただし、機器が異常状態であると判定されたとしても、直ちに故障してその機能を喪失するというわけではない。したがって、異常状態の機器に対して、プラントを停止して保守作業を行うか又はそのまま運転を継続するかについて判断が求められる。
また、機器に異常が発生したときに、異常機器がプラントにどのように影響を与えるかを評価することは、プラントの保全という観点から重要である。この手法として、フォルトツリーを利用してプラントへの影響の範囲を評価する方法や確率論的安全評価によってプラント全体のリスクを計算する手法などがある。
機器の状態監視を行い、機器が異常に至った際のプラントへの影響を評価して機器の点検時期を決定する技術として、例えば、特許文献1に記載の装置が挙げられる。特許文献1に記載のプラント機器の保守支援装置では、状態診断部が各種データベースの観測値及び情報を用いて任意時刻の機器の異常確率を算出し、プラント運転影響度評価部が各種データベースの情報と状態診断部で診断した情報とを用いてその機器が異常に至った際のプラント運転への影響度を評価し、点検方法/時期決定部が状態診断部及びプラント運転影響度評価部で得た結果を用いて機器の点検方法及び点検時期を決定している。
特開2004−240642号公報
特許文献1に記載のプラント機器の保守支援装置においては、主に、異常による故障モード(機器の機能障害を引き起こす不具合事象)の発生確率及び故障の影響度(例えば、5段階評価とし、プラント停止に至る故障を最も高い5に分類したもの)により決定されるプラント運転への影響度の評価値を用いて異常機器の点検時期を決定している。このように、プラントへの影響度の評価値を用いて異常機器の保守時期(点検時期)を決定する場合、異常状態の機器が故障したときの保守に与える影響について考慮がなされておらず、不合理な結果を招くおそれがある。
例えば、ある機器が異常に至った際のプラント運転への影響度の評価値が低い場合には、プラントを停止せずにプラントの運転を継続するように判断することが考えられる。このような場合であっても、その機器が故障した時の保守に与える影響が大きい場合、プラントを計画的に停止して当該機器の保守を行う方が合理的な場合がある。なぜなら、評価値が低い場合であっても、当該機器に予期しない故障が発生する可能性は残る。もし、当該機器に故障が発生した場合、計画的に保守を行う場合と比較して、例えば、保守の作業日数や諸経費等が膨大となる結果が生じる場合がある。つまり、正常状態から逸脱したプラント機器の保守を実施するか否かの判断指標として、プラント運転への影響度の評価では不十分である。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、プラント機器が正常状態から逸脱した際に、当該機器の保全計画の策定のためのより合理的な判断指標を提示することができるプラント監視装置及びプラント監視方法を提供することである。
上記課題を解決するため、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、プラントを構成する機器が正常状態のときの計測値のデータを予め格納する正常値データベースと、前記機器の故障により前記プラントが計画外で停止して保守を行う場合における前記機器の保守に関する所定の指標である第1指標を予め格納する機器保守指標データベースと、前記機器のプラント運転中の計測値及び前記正常値データベースに格納されている正常状態のときの計測値のデータに基づき、前記機器の異常度を計算する機器異常度計算部と、前記機器異常度計算部の計算結果に基づき、前記機器の故障確率を計算する機器故障確率計算部と、前記機器故障確率計算部の計算結果に基づき、前記プラントの停止確率を計算するプラント停止確率計算部と、前記プラント停止確率計算部の計算結果と前記機器保守指標データベースに格納されている前記第1指標とを積算することで、前記第1指標の期待値を計算する機器保守指標計算部とを備え、前記機器異常度計算部の計算結果の前記機器の異常度が予め設定された閾値を超えた場合に、前記機器故障確率計算部、前記プラント停止確率計算部、前記機器保守指標計算部の各計算を実行することを特徴とする。
本発明によれば、機器が正常状態から逸脱した際のプラントの停止確率を計算し、このプラント停止確率に基づき当該機器の保守に関する第1指標の期待値を計算するので、当該機器が故障したときの保守に与える影響を考慮した判断指標を提示することができる。つまり、機器が正常状態から逸脱した際に、より合理的な判断指標に基づいて当該機器の保全計画の策定が可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態を示す構成図である。 図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成する正常値データベースに格納されたデータの一例を示すテーブルである。 図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成する機器故障確率データベースに格納されたデータの一例を示すテーブルである。 図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成するイベントツリーデータベースに格納されたイベントツリーの一例を示す説明図である。 図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成するフォルトツリーデータベースに格納されたフォルトツリーの一例を示す説明図である。 図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成する機器保守指標データベースに格納された各種機器の保守に関する所定の指標のデータの一例を示すテーブルである。 本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態によるプラント監視方法を示すフローチャート図である。 本発明のプラント監視装置の第2の実施の形態を示す構成図である。
以下、本発明のプラント監視装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の構成を図1乃至図6を用いて説明する。
図1は本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態を示す構成図、図2は図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成する正常値データベースに格納されたデータの一例を示すテーブル、図3は図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成する機器故障確率データベースに格納されたデータの一例を示すテーブル、図4は図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成するイベントツリーデータベースに格納されたイベントツリーの一例を示す説明図、図5は図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成するフォルトツリーデータベースに格納されたフォルトツリーの一例を示す説明図、図6は図1に示す本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の一部を構成する機器保守指標データベースに格納された各種機器の保守に関する所定の指標のデータの一例を示すテーブルである。
図1において、プラント監視装置1は、原子力プラントや火力プラント、化学プラント等の複数の機器(図示せず)を有するプラントにおいて、運転中の各機器を監視するものである。さらに、機器が正常状態から逸脱した(異常の兆候が生じた)際に、プラントを計画的に停止して当該機器の保守を行う場合と当該機器の運転をそのまま継続して次回の定期検査で保守を行う場合のどちらが合理的かを判断するための判断指標を算出する。さらに、この判断指標に基づき、当該機器に対する保全優先度(保守又は継続運転)を判断する。本プラント監視装置1は、プラントを計画的に停止させた場合と計画外で停止した場合とで機器保守のための作業量や作業日数等に多大な差が生じることがある原子力プラントに特に好適なものである。
プラント監視装置1は、例えば、各機器の各種データや各種計算のための各種データ等を予め格納している正常値データベース3、機器故障確率データベース4、イベントツリーデータベース5、フォルトツリーデータベース6、及び、機器保守指標データベース7を備えている。また、各種の計算や比較判断を実行する機器異常度計算部11、機器故障確率計算部12、プラント停止確率計算部13、機器保守指標計算部14、及び、保全優先度評価部15を備えている。さらに、プラント運転中に計測された各機器の各種の計測値を取り込む計測値入力部21、各計算部11、12、13、14及び評価部15の各種結果を表示装置に出力する出力部22を備えている。
正常値データベース3には、プラントを構成する各機器の異常度を計算するために、各機器について、正常状態のときの過去の各種の計測値のデータが予め格納されている。例えば、図2に示すように、機器の温度や圧力、流量等の計測値の時系列のデータが記憶されている。計測項目(温度や圧力等)については、各機器に応じて異なっている。
機器故障確率データベース4には、各機器の故障確率を計算するために、各機器について、機器の異常度と故障確率との関係を示すデータが予め格納されている。機器の異常度は、詳細は後述するが、対象機器の運転中の計測値が過去の正常状態のときの計測値のデータに対してどの程度乖離しているかを所定の計算手法により定量化したものである。機器の異常度は、例えば図3に示すように、正常状態から乖離するほど大きくなり、機器の異常度の増加に応じて故障確率が上昇する。図3に示すデータにおいては、機器の異常度が1.0以下の場合、故障確率が一定の最小値であり、正常状態と規定する。なお、ここでの機器の故障確率とは、例えば、次回の定期検査までの運転期間中に故障してその機能が停止する確率を意味する。故障確率0.5は、対象機器の保守を実施しないで運転を継続した場合、次回の定期検査までに50%の確率で故障することを意味する。これらの関係を示すデータは、過去の運転実績や実験等の実測データに基づき決定されることが望ましい。しかし、確率分布等の統計学的な方法を用いた推定値により決定することも可能である。
イベントツリーデータベース5には、プラントの停止確率を計算するための各種のイベントツリーが予め格納されている。各イベントツリーは、プラント停止を引き起こす起因事象及びその起因事象の進展を阻止するための応答を系統的に列挙して最終的にプラントが停止する発生条件を示すものである。例えば、図4に示すイベントツリーは、起因事象Aが発生した場合にプラントが停止する発生条件を示すものであり、起因事象Aの進展を阻止するための応答として、出力制御、給水、及び減圧の動作が挙げられている。分岐の上側は応答動作に成功した場合、下側は応答動作に失敗した場合を示す。プラントの停止は、出力制御、給水、減圧の動作のいずれか1つの動作が失敗した場合に生じる。P0、P1、P2、P3はそれぞれ、起因事象A、出力制御失敗、給水失敗、減圧失敗の発生確率を示している。P0は運転実績に基づき予め設定されている。それに対して、P1、P2、P3は、詳細は後述するが、フォルトツリーデータベース6に格納されている後述のフォルトツリーを解析した結果に基づき計算されるものである。
フォルトツリーデータベース6には、プラントの停止確率を計算するための各種のフォルトツリーが予め格納されている。各フォルトツリーは、イベントツリーの起因事象の進展を阻止する応答の失敗事象を頂上事象とし、その頂上事象の発生に関与する要因事象を系統的に展開したものである。例えば、図5に示すフォルトツリーは、プラントの給水機能の喪失を頂上事象とするツリーであり、説明のために簡略化されたものである。この頂上事象は、図4に示すイベントツリーの給水失敗事象に相当するものである。ポンプA及びポンプBはプラントの給水機能を担う構成要素であり、ポンプA及びポンプBのいずれか一方に故障(要因事象)が発生した場合、プラントの給水機能が喪失する。フォルトツリーの要因事象としては、各機器の故障が挙げられる。つまり、ある機器が故障してその機能を喪失すると、それを要因として、プラント系統のある機能が喪失することがある。他の例として、図4に示すイベントツリーの出力制御失敗事象や減圧失敗事象を頂上事象とするフォルトツリー等がある。
機器保守指標データベース7には、機器の保全優先度を評価するための判断指標を計算するための第1指標が予め格納されている。第1指標は、機器の故障によりプラントが計画外で停止して保守を行う場合における当該機器の保守に関する所定の指標である。また、機器の保全優先度を評価するための比較指標としての第2指標が予め格納されている。第2指標は、プラントを計画的に停止して機器の保守を行う場合における当該機器の保守に関する所定の指標である。
機器の保守に関する所定の指標として、例えば図6に示すように、機器の保守に要する作業日数が挙げられる。図6の左欄に示す第2指標としての計画作業日数とは、対象機器の保守に関して、定期検査等でプラントを計画的に停止した場合に必要な作業日数を意味する。一方、図6の右欄に示す第1指標としての計画外作業日数とは、対象機器の故障により計画外にプラントが停止した場合に必要な作業日数を意味する。計画外の保守では、作業人員の確保、交換部品の調達、故障原因の究明や対策など、計画的な保守と比較して作業項目が追加されるので、計画外作業日数は計画作業日数に比べて増える。例えば、ポンプAについて、計画的な保守の場合、10日で作業を終了できる一方、計画外の保守の場合、作業に150日を要する。なお、機器が正常状態から逸脱して定期点検前に保守を行うと判断して保全計画を立案し、後日保守のためにプラントを停止する場合は、プラントを計画的に停止して保守する場合(計画作業日数の場合)に相当するものである。
機器異常度計算部11は、各機器のプラント運転中の計測値及び正常値データベース3に格納されている各機器の正常状態のときの過去の計測値のデータに基づき各機器の異常度を計算するものである。さらに、その計算結果を閾値と比較することで、後述する所定の計算フローを実行するか否かを判断するものである。この比較判断は、実質的に各機器の正常状態からの逸脱(異常の兆候)の有無を検知するものである。具体的には、計測値入力部21からプラント運転中に計測された各機器の各種の計測値を取り込むと共に、正常値データベース3から各機器の正常状態の各種の計測値のデータを取り込み、取り込んだ情報に基づき各機器の異常度を計算する。加えて、各計算結果を閾値と比較し、少なくとも1つの計算結果が閾値よりも大きい場合には、後述する所定の計算フローを実行する。また、計算結果及び比較判断結果を出力部22へ出力する。
機器の異常度の計算手法として、例えば、マハラノビス距離が挙げられる。マハラノビス距離は、多次元の情報の相関を考慮した距離である。多次元の情報として、機器の各種の計測値のデータ、例えば、図2に示す温度や圧力、流量等の複数種の計測値のデータを用いる。マハラノビス距離を用いることで、平均値や分散といった統計学の基本概念を通じて異常度の概念を定式化することができる。なお、後述する所定の計算フローを実行するか否かを判断するために、例えば図3に示すように、機器の異常度としてのマハラノビス距離が1以下の場合を正常状態と規定する。つまり、マハラノビス距離が閾値1よりも大きい場合、機器が正常状態から逸脱しているので、後述する所定の計算フローを実行し、プラントを停止させて当該機器を保守すべきか否かを判断する。
機器故障確率計算部12は、機器異常度計算部11の計算結果(機器の異常度)に基づき、各機器の故障確率を計算するものである。具体的には、少なくとも1つの機器の異常度が閾値より大きいと機器異常度計算部11が判断した場合に、機器異常度計算部11から各機器の機器異常度を取り込むと共に、機器故障確率データベース4から機器の異常度と故障確率との関係を示すデータを取り込む。取り込んだデータを参照することで、機器異常度計算部11の計算結果としての機器の異常度から各機器の故障確率を計算する。計算結果としての各機器の故障確率を出力部22へ出力する。
プラント停止確率計算部13は、イベントツリーデータベース5に格納されたイベントツリー及びフォルトツリーデータベース6に格納されたフォルトツリーに対して機器故障確率計算部12の計算結果を適用することで、プラントの停止確率を計算するものである。具体的には、イベントツリーデータベース5から各種のイベントツリーを、フォルトツリーデータベース6から各種のフォルトツリーを取り込むと共に、機器故障確率計算部12から計算結果としての各機器の故障確率を取り込む。取り込んだ各種のフォルトツリー(例えば、図5参照)の頂上事象の発生確率を計算する。フォルトツリーで展開されている各要因事象は各機器の故障に相当するので、フォルトツリーの頂上事象の発生確率は、フォルトツリーの各要因事象に対して機器故障確率計算部12の計算結果としての各機器の故障確率を割り当てることで計算することができる。さらに、取り込んだイベントツリーの各応答の失敗事象の発生確率(例えば、図4に示すP1、P2、P3を参照)を計算する。イベントツリーの各応答の失敗事象は各フォルトツリーの頂上事象に相当するので、各応答の失敗事象の発生確率は、上記計算により求めた各フォルトツリーの頂上事象の発生確率を割り当てることで計算することができる。最後に、すべての応答の失敗事象を考慮して各イベントツリーのプラントの停止確率を計算する。
例えば、図5に示すフォルトツリーではプラントの給水機能の喪失(頂上事象)は、ポンプA及びポンプBのいずれか一方の故障(要因事象)により発生するので、頂上事象の発生確率はポンプAの故障確率とポンプBの故障確率の和となる。さらに、図4に示すイベントツリーはプラントの給水失敗事象を含むものであり、その発生確率P2は図5に示すフォルトツリーの頂上事象の発生確率となる。つまり、ポンプAの故障確率とポンプBの故障確率の和である。また、出力制御失敗の発生確率P1及び減圧失敗の発生確率P3として、給水失敗の発生確率P2と同様に、各フォルトツリーの頂上事象の発生確率を割り当てる。図4に示すイベントツリーにおけるプラントの停止は、出力制御、給水、減圧の動作のいずれか1つが失敗した場合に生じるので、プラントの停止確率は、概略値として、P0×(P1+P2+P3)により計算できる。
機器保守指標計算部14は、プラント停止確率計算部13の計算結果及び機器保守指標データベース7に格納されている第1指標に基づき、第1指標の期待値を計算するものである。具体的には、機器保守指標データベース7から第1指標(例えば、図6の右欄参照)を取り込むと共に、プラント停止確率計算部13から計算結果としてのプラント停止確率を取り込む。取り込んだプラント停止確率と第1指標との積により第1指標の期待値を計算する。
例えば、ポンプAの異常度が閾値よりも上昇した場合、図6に示す機器保守指標データベース7では、ポンプAの計画外作業日数が第1指標となる。このポンプAの計画外作業日数とプラント停止確率計算部13の計算結果としてのプラント停止確率との積からポンプAの計画外作業日数の期待値を計算する。
保全優先度評価部15は、機器保守指標計算部14の計算結果を機器保守指標データベース7に格納されている第2指標と比較することで、対象機器の保全優先度を評価するものである。具体的には、機器保守指標データベース7から第2指標(例えば、図6の左欄参照)を取り込むと共に、機器保守指標計算部14から計算結果としての第1指標の期待値を取り込む。取り込んだ第1指標の期待値が第2指標よりも小さい場合には、保全優先度が低いと判断する。この場合、プラントの監視者等は、保全優先度評価部15のこの判断に基づき、プラント運転を継続させ、次回の定期検査において対象機器の保守を実施するような保全計画を策定することができる。それに対して、第1指標の期待値が第2指標以上である場合には、保全優先度が高いと判断する。この場合、プラントの監視者等は、定期検査の前に計画的にプラントを停止させて対象機器の保守を実施するような保全計画を策定することができる。
例えば、ポンプAの異常度が閾値よりも上昇した場合、図6に示す機器保守指標データベース7では、ポンプAの計画外作業日数が第1指標であり、ポンプAの計画作業日数が第2指標となる。保全優先度評価部15は、機器保守指標計算部14の計算結果としてのポンプAの計画外作業日数の期待値をポンプAの計画作業日数と比較することでポンプAの保全優先度を評価する。ポンプAの計画外作業日数の期待値がポンプAの計画作業日数よりも小さい場合には、ポンプAの保全優先度が低いと判断する。それに対して、ポンプAの計画外作業日数の期待値がポンプAの計画作業日数以上の場合には、ポンプAの保全優先度が高いと判断する。
計測値入力部21は、プラント運転中に計測された各機器の各種の計測値を機器異常度計算部11に入力するものである。各機器の計測項目は、正常値データベース3に格納されている計測項目と同じである。例えば、図2に示す正常値データベース3の場合では、温度や圧力、流量などである。計測値入力部21として、例えば、プラントのプロセス計算機を用いることが可能である。プロセス計算機は、プラントに関する各種の情報を常時収集するものであり、収集した各機器の各種の計測値に応じた信号を機器異常度計算部11に入力することが可能である。
出力部22は、上記の各種計算結果及び評価結果を表示装置に出力するものである。具体的には、機器異常度計算部11から計算結果としての各機器の機器異常度、機器故障確率計算部12から計算結果としての各機器の故障確率、プラント停止確率計算部13から計算結果としてのプラント停止確率、機器保守指標計算部14から計算結果としての第1指標の期待値、保全優先度評価部15から評価結果としての保全優先度の高低の判断を取り込み、これらの結果をディスプレイ等の表示装置(図示せず)に出力する。
次に、本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態によるプラント監視方法を図7のフローチャートを用いて説明する。図7は本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態によるプラント監視方法を示すフローチャート図である。以下の説明では、ポンプAの異常度が上昇した場合を例として説明する。
先ず、プラント監視装置1の計測値入力部21(図1参照)は、プラントを構成する各機器(図示せず)のプラント運転中の各種の計測値を取り込み、取り込んだ各種の計測値を機器異常度計算部11(図1参照)に入力する(ステップ110)。
次に、プラント監視装置1の機器異常度計算部11は、計測値入力部21から取り込んだ各機器のプラント運転中の計測値及び正常値データベース3(図1参照)から取り込んだ各機器の正常状態のときの計測値のデータに基づき、所定の計算方法により各機器の異常度を計算する(ステップ120)。さらに、機器異常度計算部11は、その計算結果を閾値と比較することで後続ステップの計算を実行するか否かを判断する(ステップ130)。
ステップ130において、すべての機器の異常度が閾値より大きくない場合(NOの場合)、ステップ110に戻る。つまり、すべての機器が正常状態にある場合、上記ステップ110、120、130を順に繰り返す。一方、ステップ130において、少なくとも1つの機器の異常度が閾値よりも大きくなった場合(YESの場合)、ステップ140に進む。なお、例えば前述した図3に示す機器故障確率データベース4では、ステップ130での閾値が1.0となる。
以下では、ポンプAの異常度のみが1.5に上昇した(ポンプAが正常状態から逸脱した)場合を想定する。この場合、プラント監視装置1は、ステップ130において、ステップ120で得られたポンプAの異常度の計算結果1.5を閾値1.0と比較した結果、ステップ140に進む。
ステップ140において、プラント監視装置1の機器故障確率計算部12(図1参照)は、機器異常度計算部11の計算結果としての各機器の異常度から故障確率を計算する。具体的には、機器故障確率データベース4(図1参照)から取り込んだ機器の異常度と故障確率との関係を示すデータを参照し、機器異常度計算部11から取り込んだ計算結果としての各機器の異常度に基づき各機器の故障確率を計算する。
例えば、図3に示す機器の異常度と故障確率との関係を示すデータを参照し、機器異常度1.5に対応する故障確率として0.5を得る。つまり、ポンプAの故障確率は、正常状態(異常度が1.0以下)のときの1.0×10^−2から0.5に上昇している。また、ポンプA以外の機器は正常状態にあるので、図3に示す関係のデータから、機器の異常度1.0以下に対応する故障確率として1.0×10^−2を得る。
次いで、プラント監視装置1のプラント停止確率計算部13(図1参照)は、プラント停止確率を計算する(ステップ150)。具体的には、フォルトツリーデータベース6(図1参照)から各種のフォルトツリーを取り込むと共に、取り込んだフォルトツリーと関連するイベントツリーをイベントツリーデータベース5(図1参照)から取り込む。さらに、機器故障確率計算部12から計算結果としての各機器の故障確率を取り込む。取り込んだ各フォルトツリーの頂上事象の発生確率を各機器の故障確率に基づいて計算する。上記計算により求めた各フォルトツリーの頂上事象の発生確率に基づいてイベントツリーのプラントの停止確率を計算する。
例えば前述した図4に示すイベントツリーにおいては、給水失敗の発生確率P2は、図5に示すフォルトツリーの頂上事象である給水機能の喪失の発生確率である。したがって、発生確率P2は、ポンプAの異常度が1.5に上昇した現時点では、0.51(0.5+1.0×10^−2)となる。ちなみに、ポンプA及びポンプBが正常状態の場合では、0.02(1.0×10^−2+1.0×10^−2)である。また、図4に示すイベントツリーにおいては、起因事象Aの発生確率P0が10^−1に設定されており、出力制御失敗の発生確率P1及び減圧失敗の発生確率P3がそれぞれ、発生確率P2の計算方法と同様な方法により、10^−2、10^−2を得た場合、プラント停止確率は、P0×(P1+P2+P3)=10^−2×(10^−2+0.51+10^−2)=5.3×10^−2となる。
その後、プラント監視装置1の機器保守指標計算部14(図1参照)は、プラント停止確率計算部13の計算結果及び機器保守指標データベース7(図1参照)に格納されている第1指標に基づき、第1指標の期待値を計算する(ステップ160)。例えば、図6に示す機器保守指標データベース7では、ポンプAの第1指標(ポンプAの計画外作業日数)が150日であるので、第1指標の期待値は、上記プラント停止確率の5.3×10^−2とポンプAの計画外作業日数の150との積により7.95日(約8日)となる。
次に、プラント監視装置1の保全優先度評価部15(図1参照)は、機器保守指標計算部14の計算結果としての第1指標の期待値を機器保守指標データベース7に格納されている第2指標と比較する(ステップ170)。ステップ170において、第1指標の期待値が第2指標よりも小さい場合(YESの場合)には、対象機器の保全優先度が低いと判断する(ステップ180)一方、それ以外の場合(NOの場合)には、対象機器の保全優先度が高いと判断する(ステップ190)。保全優先度が低いと判断された場合には、プラントの監視員等は、その判断に応じて、プラントの運転を継続して次回の定期検査で対象機器の保守を実施するような保全計画を策定することができる。それに対して、保全優先度が高いと判断された場合には、その判断に応じて、定期検査の前にプラントを計画的に停止させ、対象機器の保守を実施するような保全計画を策定することができる。
例えば、図6に示す機器保守指標データベース7では、ポンプAの第2指標(計画停止作業日数)は10日であり、上記ステップ160の計算結果としてのポンプAの第1指標の期待値が約8日である。したがって、保全優先度評価部15は、第1指標の期待値(約8日)が第2指標(10日)よりも小さいので、ポンプAの保全優先度は低いと判断する(ステップ180)。つまり、正常状態から逸脱した現状のポンプAの保守に与える影響は大きくなく、プラント運転を継続した方が合理的であると判断したものである。
もし、ポンプAの異常度が2.0まで上昇した場合、ポンプAの第1指標の期待値は、上記と同様な計算により約16日となり、第2指標の10日よりも大きくなる。この場合、保全優先度評価部15は、ポンプAの保全優先度が高いと判断する(ステップ190)。機器異常度が2.0まで上昇した状態のポンプAでは保守に与える影響が大きく、プラントを停止してポンプAの保守を実施した方が合理的であると判断したものである。
さらに、プラントの監視者等が各機器の監視を継続するか否かを決定する(ステップ200)。監視を終了する場合(YESの場合)には、プラント監視装置1による機器の監視を停止する。一方、監視を継続する場合(NOの場合)には、ステップ110に戻り、上記したステップ110〜ステップ200を繰り返し実行する。ステップ200においては、通常、プラント監視装置1が自動的に各機器の監視を継続するように設定される。
なお、表示装置(図示せず)には、プラント監視装置1の出力部22により、評価結果としての機器の保全優先度の高低に加えて、第1指標の期待値等の各計算部11、12、13、14の計算結果が表示される。さらに、複数機器の第1指標の期待値を高い順に表示するようにしてもよい。
上述した本発明のプラント監視装置及びプラント監視方法の第1の実施の形態によれば、機器が正常状態から逸脱した際のプラントの停止確率を計算し、このプラント停止確率に基づき当該機器の保守に関する第1指標の期待値を計算するので、当該機器が故障したときの保守に与える影響を考慮した判断指標を提示することができる。つまり、機器が正常状態から逸脱した際に、より合理的な判断指標に基づいて当該機器の保全計画の策定が可能となる。
また、本実施の形態によれば、プラントが計画外で停止して保守を行う場合における機器の保守に関する所定の指標(第1指標)の期待値を、プラントを計画的に停止して保守を行う場合における機器の保守に関する所定の指標(第2指標)と比較するので、対象機器の保全優先度を評価することができる。したがって、プラントの監視員等は、保全優先度の評価に応じて当該機器の保全計画を策定することができる。
さらに、本実施の形態によれば、プラント停止に関するイベントツリー及び当該イベントツリーに関連するフォルトツリーに対して機器の故障確率を割り当てることで、プラント停止確率を計算するので、精度の高いプラント停止確率を得ることができる。また、プラント停止確率を計算する際に、確率論的安全評価等において適用されるイベントツリー及びフォルトツリーの解析手法を用いているので、高い信頼性を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、機器故障確率データベース4に格納した機器の異常度と故障確率との関係のデータを過去の運転実績や実験等の実データに基づいて規定しているので、確率分布等の統計学的な手法を用いた推定値により上記関係を規定する場合と比較して、機器の故障確率やプラント停止確率の精度向上を図ることができると共に、これら計算結果の信頼性を高めることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明のプラント監視装置及びプラント監視方法の第2の実施の形態を図8を用いて説明する。図8は本発明のプラント監視装置の第2の実施の形態を示す構成図である。なお、図8において、図1乃至図7に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図8に示す本発明のプラント監視装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の構成から保全優先度評価部15を削除したものである。つまり、プラント監視装置1Aは、プラントを停止して対象機器の保守を行う場合と対象機器の運転をそのまま継続して次回の定期検査で保守を行う場合のどちらが合理的かを判断するための判断指標としての第1指標の期待値を提示するのみであり、第1の実施の形態の保全優先度評価部15が実行していた対象機器の保全優先度の評価を省略したものである。
また、本発明のプラント監視装置の第2の実施の形態においては、第1の実施の形態の機器保守指標データベース7に代えて、機器の故障によりプラントが計画外で停止して保守を行う場合における当該機器の保守に関する所定の指標(第1指標)のみを格納する機器保守指標データベース7Aに置換する。つまり、機器保守指標データベース7Aは、プラントを計画的に停止して保守を行う場合における機器の保守に関する所定の指標(第2指標)を格納する必要はない。
プラント監視装置1Aによるプラント監視方法では、図7に示すフローチャートのうち、ステップS170〜ステップS190を省略し、ステップS160からステップS200に進む。それ以外のステップは、第1の実施の形態による監視方法の場合と同様である。本実施の形態においては、機器が正常状態から逸脱した際に、プラントの監視員等が、機器保守指標計算部14の計算結果に基づいて、プラントを停止して当該機器の保守を行う場合と当該機器の運転をそのまま継続して次回検査で保守を行う場合のどちらが合理的かを判断する。
上述した本発明のプラント監視装置の第2の実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様に、当該機器が故障したときの保守に与える影響を考慮した判断指標を提示することができる。したがって、機器が正常状態から逸脱した際に、より合理的な判断指標に基づいて当該機器の保全計画の策定が可能となる。
[その他の実施の形態]
なお、上述した本発明のプラント監視装置及びプラント監視装置の第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、プラント監視装置1、1Aの計算機能を機器異常度計算部11、機器故障確率計算部12、プラント停止確率計算部13、機器保守指標計算部14の各部が実行する例を示したが、計算機のプログラムとして実行することも可能である。本発明のプラント監視装置の第1の実施の形態の保全優先度評価部15についても、計算機のプログラムとして実行することが可能である。また、プラント監視装置1、1Aが正常値データベース3、機器故障確率データベース4、イベントツリーデータベース5、フォルトツリーデータベース6、機器保守指標データベース7、7Aの各種データベースを備える構成の例を示したが、これらのデータベース4、5、6、7、7Aを計算機の記憶部として構成することも可能である。
また、上述した実施の形態においては、機器の保守に関する所定の指標(第1指標及び第2指標)として、機器の保守に要する作業日数(計画外作業日数及び計画作業日数)を用いた例を示したが、機器の保守に要する作業量、人員数、諸費用、及び、機器の保守により発生する損失額のうち、少なくとも1つを用いることもできる。すわなち、正常状態から逸脱した機器の保守に関する影響について考慮がなされた指標であればよい。この場合、機器保守指標データベース7には、プラントが計画外及び計画的に停止した場合における、機器の保守に要する作業量、人員数、諸費用、及び、機器保守により発生する損失額のデータの少なくとも1つを予め格納しておく。さらに、機器保守指標計算部14によりプラントの計画外停止時の機器保守に要する作業量、人員数、諸費用、及び、機器保守により発生する損失額の少なくとも1つの期待値が計算され、これらの期待値とプラントの計画的停止時のそれらに対応する指標とが保全優先度評価部15により比較されて対象機器の保全優先度が評価される。つまり、機器の保守に関する所定の指標として、上記指標を用いる場合であっても、機器の保全優先度の評価のための合理的な指標を提示することができる。
なお、上述した実施の形態においては、機器故障確率計算部12が機器故障確率データベース4から取り込んだ機器の異常度と故障確率との関係を示すデータを参照し、機器異常度計算部11の計算結果としての機器異常度から各機器の故障確率を計算する例を示した。しかし、機器故障確率計算部は、所定の確率分布を用いた計算手法や所定のモデルを構築して計算する手法等により、機器異常度計算部11の計算結果から各機器の故障確率を計算することも可能である。この場合、機器の異常度と故障確率との関係を示すデータを格納する機器故障確率データベース4が不要となる。
また、上述した実施の形態においては、プラント停止確率計算部13がイベントツリーデータベース5に格納されたイベントツリー及びフォルトツリーデータベース6に格納されたフォルトツリーに対して機器故障確率計算部12の計算結果を適用することで、プラントの停止確率を計算する例を示した。しかし、プラント停止確率計算部は、イベントツリー及びフォルトツリーの解析を用いることなく、プラントの停止確率を計算することも可能である。例えば、各機器の故障確率からプラントの停止確率を計算可能な独自のモデルを構築する場合、イベントツリー及びフォルトツリーが不要となる。この場合、イベントツリーを格納するイベントツリーデータベース5及びフォルトツリーを格納するフォルトツリーデータベース6が不要となる。ただし、独自のモデルを構築する場合、信頼性の観点から不利になる場合がある。また、プラント停止確率の計算結果の精度を高めるには、厳密なモデルが要求される。
また、故障事象がプラント停止に直結する機器のみを監視対象とする場合、イベントツリー又はフォルトツリーが不要となる場合がある。この場合、プラント停止確率計算部は、イベントツリー及びフォルトツリーの少なくとも一方に対して機器故障確率計算部12の計算結果を割り当てることで、プラントの停止確率を計算することが可能となる。
なお、上述した実施の形態においては、機器異常度計算部11の機器異常度の計算手法として、マハラノビス距離を例に示したが、サポートベクトルマシン等の各種の機器異常の検出手法を適用することも可能である。
また、上述した実施の形態においては、機器異常度計算部11が各機器の異常度を計算し、その計算結果を閾値と比較して後続の計算フローを実行するか否かを判断する構成の例を示した。しかし、機器異常度計算部11は、各機器の異常度のみを実行し、当該比較判断を実行しない構成も可能である。この場合、各機器が正常状態であっても、常に、後続の計算フローを実行してプラント停止確率及び第1指標の期待値を計算する。
なお、上述した実施の形態においては、出力部22が各種の計算部11、12、13、14の計算結果及び評価結果15を出力する例を示したが、異常機器の保全作業の実行の有無を判断する評価結果のみを出力するように出力部を構成することも可能である。
また、本発明は上述した第1及び第2の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を集積回路で設計することにより実現することが可能である。また、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
1、1A…プラント監視装置、 3…正常値データベース、 4…機器故障確率データベース、 5…イベントツリーデータベース、 6…フォルトツリーデータベース、 7、7A…機器保守指標データベース、 11…機器異常度計算部、12…機器故障確率計算部、 13…プラント停止確率計算部、 14…機器保守指標計算部、 15…保全優先度評価部

Claims (12)

  1. プラントを構成する機器が正常状態のときの計測値のデータを予め格納する正常値データベースと、
    前記機器の故障により前記プラントが計画外で停止して保守を行う場合における前記機器の保守に関する所定の指標である第1指標を予め格納する機器保守指標データベースと、
    前記機器のプラント運転中の計測値及び前記正常値データベースに格納されている正常状態のときの計測値のデータに基づき、前記機器の異常度を計算する機器異常度計算部と、
    前記機器異常度計算部の計算結果に基づき、前記機器の故障確率を計算する機器故障確率計算部と、
    前記機器故障確率計算部の計算結果に基づき、前記プラントの停止確率を計算するプラント停止確率計算部と、
    前記プラント停止確率計算部の計算結果と前記機器保守指標データベースに格納されている前記第1指標とを積算することで、前記第1指標の期待値を計算する機器保守指標計算部とを備え
    前記機器異常度計算部の計算結果の前記機器の異常度が予め設定された閾値を超えた場合に、前記機器故障確率計算部、前記プラント停止確率計算部、前記機器保守指標計算部の各計算が実行される
    ことを特徴とするプラント監視装置。
  2. 請求項1に記載のプラント監視装置において、
    前記機器保守指標データベースは、さらに、前記プラントを計画的に停止して保守を行う場合における前記機器の保守に関する所定の指標である第2指標を予め格納しており、
    前記機器保守指標計算部の計算結果を前記機器保守指標データベースに格納している前記第2指標と比較することで前記機器の保全優先度を評価する保全優先度評価部を更に備える
    ことを特徴とするプラント監視装置。
  3. 請求項1又は2に記載のプラント監視装置において、
    前記機器保守指標データベースに格納されている前記機器の保守に関する前記所定の指標として、前記機器の保守に要する作業量、作業日数、人員数、諸費用、及び、前記機器の保守により発生する損失額のうち、少なくとも1つが用いられる
    ことを特徴とするプラント監視装置。
  4. 請求項1又は2に記載のプラント監視装置において、
    前記プラントの停止に至る起因事象及びその起因事象の進展を阻止する応答を系統的に示すイベントツリーを格納するイベントツリーデータベース、及び、前記イベントツリーの応答の失敗事象を頂上事象とするフォルトツリーを格納するフォルトツリーデータベースの少なくとも一方を更に備え、
    前記プラント停止確率計算部は、前記イベントツリーデータベースに格納されている前記イベントツリー、及び、前記フォルトツリーデータベースに格納されている前記フォルトツリーの少なくとも一方に対して、前記機器故障確率計算部の計算結果を割り当てることで、前記プラントの停止確率を計算する
    ことを特徴とするプラント監視装置。
  5. 請求項4に記載のプラント監視装置において、
    前記機器の異常度と故障確率との関係を示すデータを予め格納する機器故障確率データベースを更に備え、
    前記機器故障確率計算部は、前記機器異常度計算部の計算結果及び前記機器故障確率データベースに格納されている前記データに基づいて、前記機器の故障確率を計算する
    ことを特徴とするプラント監視装置。
  6. 請求項5に記載のプラント監視装置において、
    前記機器故障確率データベースに格納されている前記データは、実測データに基づき決定される
    ことを特徴とするプラント監視装置。
  7. プラントを構成する機器のプラント運転中の計測値及び正常状態のときの計測値のデータに基づき、前記機器の異常度を計算する異常度計算工程と、
    前記機器の異常度に基づき、前記機器の故障確率を計算する故障確率計算工程と、
    前記機器の故障確率に基づき、前記プラントの停止確率を計算する停止確率計算工程と、
    前記機器の故障により前記プラントが計画外で停止して保守を行う場合における前記機器の保守に関する所定の指標である第1指標と前記プラントの停止確率とを積算することで、前記第1指標の期待値を計算する期待値計算工程と備え
    前記異常度計算工程で計算された前記機器の異常度が予め設定された閾値を超えた場合に、前記故障確率計算工程、前記停止確率計算工程、前記期待値計算工程の各工程を実行する
    ことを特徴とするプラント監視方法。
  8. 請求項7に記載のプラント監視方法において、
    前記第1指標の期待値を、前記プラントを計画的に停止して保守を行う場合における前記機器の保守に関する所定の指標である第2指標と比較することにより、前記機器の保全優先度を評価する工程を更に備える
    ことを特徴とするプラント監視方法。
  9. 請求項7又は8に記載のプラント監視方法において、
    前記機器の保守に関する前記所定の指標として、前記機器の保守に必要な作業量、作業日数、人員数、諸費用、及び、前記機器の保守により発生する損失額のうち、少なくとも1つを用いる
    ことを特徴とするプラント監視方法。
  10. 請求項7又は8に記載のプラント監視方法において、
    前記停止確率計算工程は、前記プラントの停止に至る起因事象及びその起因事象の進展を阻止する応答を系統的に示すイベントツリー、並びに、前記イベントツリーの応答の失敗事象を頂上事象とするフォルトツリーの少なくとも一方に対して、前記機器の故障確率を割り当てることで計算するものである
    ことを特徴とするプラント監視方法。
  11. 請求項10に記載のプラント監視方法において、
    前記故障確率計算工程は、前記機器の異常度と故障確率との関係を示すデータを参照することで、前記機器の異常度から計算するものである
    ことを特徴とするプラント監視方法。
  12. 請求項11に記載のプラント監視方法において、
    前記機器の異常度と故障確率との関係を示すデータは、実測データに基づき決定される
    ことを特徴とするプラント監視方法。
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