JP2012058937A - 原子力プラントの機器診断方法および機器診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原子力プラントの機器診断において、診断結果を提示する時期を決定するしきい値を適切に設定し、利用者にとって適切な時期に診断結果を提示可能な機器診断方法および診断装置を提供する。
【解決手段】原子力プラントの運転中に機器の状態を診断する機器診断方法および機器診断装置において、前記機器の状態量である計測データを計測し、前記計測データを用いて前記機器の機器異常度を計算し、前記機器の保守履歴情報を取得し、前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算し、前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定し、前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を提示する。
【選択図】図1
【解決手段】原子力プラントの運転中に機器の状態を診断する機器診断方法および機器診断装置において、前記機器の状態量である計測データを計測し、前記計測データを用いて前記機器の機器異常度を計算し、前記機器の保守履歴情報を取得し、前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算し、前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定し、前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を提示する。
【選択図】図1
Description
本発明は、原子力プラント機器の状態監視、異常診断を行う機器診断方法および機器診断装置に関する。
原子力プラントにおけるセンサ、回転機、弁などの機器は一定期間ごとに保守作業が行われている。保守作業は主に定期検査において行われ、機器の校正、分解点検、取替えなどによるこれらの作業量は膨大なものとなっている。
原子力プラントを安全かつ効率的に稼動させることを目的として、これまでの一定期間ごとに保守作業を行う時間保全に代わり、機器の状態を監視して必要な時期に保守作業を行う状態監視保全の導入が検討されている。
機器の状態監視は、機器に取り付けられたセンサで計測した振動、温度、音、潤滑油の物性値(色、粘度、含まれる粒子数)、機器に関連するプラントのプロセス量(圧力、流量、温度)などの状態量を用いて、統計解析やクラスタリングなどの手法によって正常時との差異を計算するのが一般的である。この結果得られた機器異常度があるしきい値を超えた場合に異常と診断される。さらに、異常種類、異常部位、余寿命を求める手法も知られている。
この機器診断を活用するには、利用者にとって適切な時期に情報を提示する必要がある。情報の提示は、機器異常度があらかじめ設定されたしきい値を超えたときに警報などによって行われるので、しきい値の設定が情報の提示時期を決めることになる。したがって、しきい値の設定は機器診断において非常に重要な要素である。
しかし、このしきい値を適切に設定することは難しい課題である。例えば、しきい値を低めに設定した場合、機器が異常であるのに異常と判定できない失報は減るが、異常が発生していないのに異常と診断する誤報が増える可能性がある。逆に、しきい値を高めに設定した場合、誤報は減るが失報が増える可能性がある。
一般的には、失報が多い機器診断システムは信頼性が低く実用的でないので、しきい値を低めに設定して運用する。しかしこの場合には必要以上に警報を発生させることになり、利用者にとって負担が大きく好ましくない。
また、しきい値の設定方法としては、大量生産品の場合は統計的な評価によって適切な値を得ることが可能であるが、プラント機器のようにサンプル数の少ない場合には、熟練者が経験的にしきい値を決めざるを得ないことがあり、多くの労力を必要とするなどの課題がある。
一方、適切なしきい値設定による診断精度向上を考えたとき、機器の個体差や運転実績を反映させることは有効である。同じ機器でも、いつも正常なものと頻繁に故障するものがあったり、新しいものと古いものがあったりと、それぞれ異常が発生するリスクは異なると考えられる。具体的には、機器の故障や保守の履歴情報を反映させることができる。しかし、上述のようなしきい値設定の困難さもあり、機器の個体差や運転実績を反映させることはこれまでほとんど考慮されていなかった。
機器の故障や保守の履歴情報を用いた機器診断方法として、特許文献1では、機器の点検・補修情報を用いて、故障可能性が高い機器の異常検知の間隔を短くすることにより異常を早期検知する方法が記載されている。ただし、異常検知をリアルタイムのように十分短い間隔で実施する場合には効果は限定的である。また、機器異常度に対するしきい値の設定方法は記載されていない。
このように機器診断技術の適用においては、利用者の負担軽減を考えると、異常と判定して情報を提示するしきい値を適切に設定する必要があるが、それには多くの労力を必要としている。
本発明の目的は、原子力プラントの機器診断において、診断結果を提示する時期を決定するしきい値を適切に設定し、利用者にとって適切な時期に診断結果を提示可能な機器診断方法および機器診断装置を提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、プラントの運転中に機器の状態を診断する原子力プラントの機器診断方法において、前記機器の状態量である計測データを計測し、前記計測データを用いて前記機器の機器異常度を計算し、前記機器の保守履歴情報を取得し、
前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算し、前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定し、前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を出力することを特徴とする。
前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算し、前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定し、前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を出力することを特徴とする。
また、原子力プラントの機器診断方法において、前記異常度しきい値の設定は、基準しきい値から、機器故障確率に応じた所定値を減じて決定することを特徴とする。
また、原子力プラントの機器診断方法において、前記異常度しきい値の設定は、基準しきい値から、機器連続稼働時間に応じた所定値を減じて決定することを特徴とする。
また、原子力プラントの機器診断方法において、前記計測データは、機器の振動、機器の温度、機器の音、潤滑油の物性値、プラントのプロセス量のうちの少なくとも1つの状態量であることを特徴とする。
また、原子力プラントの機器診断方法において、前記保守履歴情報は、機器の故障回数、故障日時、故障部位、保守作業回数、保守作業日時、保守対象部位、保守作業工数、交換部品名のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする。
また、原子力プラントの機器診断方法において、前記診断結果情報は、前記機器異常度、または前記機器異常度と異常種類、異常部位、余寿命のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする。
さらに、原子力プラントの運転中に機器の状態を診断する原子力プラントの機器診断装置において、前記機器診断装置は、前記機器の状態量である計測データを入力する計測データ入力手段と、前記計測データを用いて前記機器の機器異常度を計算する機器異常診断処理装置と、前記機器の保守履歴情報を格納した保守履歴データベースと、前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算する故障確率計算処理装置と、前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定するしきい値設定処理装置と、前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を提示することを決定する診断結果判定処理装置を備え、前記診断結果情報を診断結果表示装置へ出力するように構成したことを特徴とする。
さらに、原子力プラントの機器診断装置において、前記異常度しきい値を設定するしきい値設定処理装置は、基準しきい値から機器故障確率に応じた所定値を減じてしきい値を決定することを特徴とする。
さらに、原子力プラントの機器診断装置において、前記異常度しきい値を設定するしきい値設定処理装置は、基準しきい値から機器連続稼働時間に応じた所定値を減じてしきい値を決定することを特徴とする。
さらに、原子力プラントの機器診断装置において、前記計測データは、機器の振動、機器の温度、機器の音、潤滑油の物性値、プラントのプロセス量のうちの少なくとも1つの状態量であることを特徴とする。
さらに、原子力プラントの機器診断装置において、前記保守履歴情報は、機器の故障回数、故障日時、故障部位、保守作業回数、保守作業日時、保守対象部位、保守作業工数、交換部品名のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする。
さらに、原子力プラントの機器診断装置において、前記診断結果情報は、前記機器異常度、または前記機器異常度と異常種類、異常部位、余寿命のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする。
本発明は、原子力プラントの運転中に機器の状態を診断する原子力プラントの機器診断方法において、前記機器の状態量である計測データを計測し、前記計測データを用いて前記機器の機器異常度を計算し、前記機器の保守履歴情報を取得し、前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算し、前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定し、前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を提示することにより、診断結果を提示する時期を決定するしきい値を適切に設定し、利用者にとって最適な時期に診断結果を提示可能な機器診断方法および装置を提供することができる。
本発明の実施の形態について、以下、図を参照して説明する。
〔全体構成〕
本発明による機器診断装置の全体構成を図1に示す。原子力プラントに設置された機器1の状態を診断するために、計測器2は機器1の状態量を計測し、計測データ入力手段3により機器診断装置4に入力する。この状態量は、機器の振動、機器の温度、機器の音、潤滑油の物性値(色、粘度、含まれる粒子数)、プラントのプロセス量(流量、圧力、温度、水位)等から、あらかじめ設定した少なくとも1つの値を用いる。図2に入力した機器の状態量の計測値を示す。ここでは日単位に測定した機器振動振幅と、機器温度が計測される。機器の状態量はプラント運転中にオンラインで計測するのが望ましいが、オペレータによって計測した値を入力してもよい。
本発明による機器診断装置の全体構成を図1に示す。原子力プラントに設置された機器1の状態を診断するために、計測器2は機器1の状態量を計測し、計測データ入力手段3により機器診断装置4に入力する。この状態量は、機器の振動、機器の温度、機器の音、潤滑油の物性値(色、粘度、含まれる粒子数)、プラントのプロセス量(流量、圧力、温度、水位)等から、あらかじめ設定した少なくとも1つの値を用いる。図2に入力した機器の状態量の計測値を示す。ここでは日単位に測定した機器振動振幅と、機器温度が計測される。機器の状態量はプラント運転中にオンラインで計測するのが望ましいが、オペレータによって計測した値を入力してもよい。
機器診断装置4は、保守履歴データベース5、故障確率計算処理装置6、しきい値設定処理装置7、機器異常診断処理装置8および診断結果判定処理装置9を備えている。
保守履歴データベース5には、機器の故障回数、故障日時、故障部位、保守作業回数、保守作業日時、保守対象部位、保守作業工数、交換部品名のうちの少なくとも1つの情報が格納されている。図3に保守履歴データベース5の例を示す。ここでは、故障日時、故障機器、故障部位が記録される。
〔故障確率の計算〕
故障確率計算処理装置6では、保守履歴データベース5のデータを参照して機器の故障確率を計算する。例えば、図3のデータをもとに、図4と図5のような故障確率を作成する。
〔故障確率の計算〕
故障確率計算処理装置6では、保守履歴データベース5のデータを参照して機器の故障確率を計算する。例えば、図3のデータをもとに、図4と図5のような故障確率を作成する。
図4は、各機器について、総稼働時間、故障回数、1日あたりの故障確率を示したものである。総稼働時間は、機器が設置された日から故障確率を評価する対象日までの時間である。このデータを同じ種類のポンプについてまとめると、その機器の平均故障確率を得られる。なお、本実施例では、ポンプA〜Eは同じ種類の機器(あるいは同様の特徴を持つ機器)として説明する。図4の例では、ポンプAと同じ種類のポンプの平均故障確率は50/100000=0.0005(回/日)である。
図5は、ポンプAと同じ種類のポンプについて、連続稼働時間に対する1台あたりの故障回数と故障確率を示したものである。連続稼働時間は、機器が最後に保守作業を実施された日から故障確率を評価する対象日までの稼働時間である。
一般的には、故障確率は図6のような故障確率曲線を示すことが知られている。初期故障期には、製造時や保守作業に起因する故障が発生し、時間とともに減少していく。偶発故障期には、偶発的な故障が発生するが比較的安定している。摩耗故障期には、部品の劣化が進んで再び故障が発生しやすくなる。図6の例では、100日で偶発故障期、3000日で摩耗故障期に入っている。
〔しきい値設定処理〕
しきい値設定処理装置7では、故障確率計算処理装置6で得た機器の故障確率をもとに、機器異常度に対して警報を発生する基準となるしきい値を設定する。しきい値設定の詳細は図8に詳述する。
〔異常診断処理〕
機器異常診断処理装置8では、計測データ入力手段3で得られた機器の状態量をもとに、診断結果情報を出力する。診断結果情報は、機器異常度、異常種類、異常部位、余寿命などである。機器異常度は、正常時データと計測値との差異を計算して得ることができる。正常時データは図2のデータと同形式で、機器が正常なときにあらかじめ計測したものを用いる。異常種類、異常部位については、それぞれの異常事象が発生した時のデータを用いて、計測値がどの状態に最も近いかを計算することによって推定できる。余寿命は、機器異常度があらかじめ定めた基準値に達する時間を推定することによって求めることができる。これらの方法については多数の手法が知られているので、詳細な説明は省略する。図2のデータを用いて、機器異常診断処理装置8で得られた機器異常度、異常部位の例を図7に示す。
〔診断結果判定処理〕
診断結果判定処理装置9では、機器異常診断処理装置8で得られた機器異常度と、しきい値設定処理装置7で得られたしきい値を比較し、機器異常度がしきい値を超えた場合に情報を提示することを決定する。また、故障確率計算処理装置6から機器の故障確率を取得し、機器異常診断処理装置8から診断結果情報を取得し、診断結果表示手段10に出力する。
〔しきい値設定処理〕
しきい値設定処理装置7では、故障確率計算処理装置6で得た機器の故障確率をもとに、機器異常度に対して警報を発生する基準となるしきい値を設定する。しきい値設定の詳細は図8に詳述する。
〔異常診断処理〕
機器異常診断処理装置8では、計測データ入力手段3で得られた機器の状態量をもとに、診断結果情報を出力する。診断結果情報は、機器異常度、異常種類、異常部位、余寿命などである。機器異常度は、正常時データと計測値との差異を計算して得ることができる。正常時データは図2のデータと同形式で、機器が正常なときにあらかじめ計測したものを用いる。異常種類、異常部位については、それぞれの異常事象が発生した時のデータを用いて、計測値がどの状態に最も近いかを計算することによって推定できる。余寿命は、機器異常度があらかじめ定めた基準値に達する時間を推定することによって求めることができる。これらの方法については多数の手法が知られているので、詳細な説明は省略する。図2のデータを用いて、機器異常診断処理装置8で得られた機器異常度、異常部位の例を図7に示す。
〔診断結果判定処理〕
診断結果判定処理装置9では、機器異常診断処理装置8で得られた機器異常度と、しきい値設定処理装置7で得られたしきい値を比較し、機器異常度がしきい値を超えた場合に情報を提示することを決定する。また、故障確率計算処理装置6から機器の故障確率を取得し、機器異常診断処理装置8から診断結果情報を取得し、診断結果表示手段10に出力する。
診断結果表示手段10では、診断結果判定処理装置9で提示することを決定した情報をモニタ等の出力装置に出力する。
〔機器診断の手順〕
図8は本発明による機器診断の手順を示すフローチャートである。以下に各ステップについて説明する。
(S101)
S101では、保守履歴データベース5のデータから、機器の故障回数、故障日時、故障部位、保守作業回数、保守作業日時、保守対象部位、保守作業工数、交換部品名のうちの少なくとも1つの情報を故障確率計算処理装置6へ入力する。図3に入力したデータの例を示す。
(S102)
S102では、故障確率計算処理装置6により、機器の故障確率を計算する。図4に各機器についての故障確率の例を示す。この例では、ポンプAは同じ種類のポンプと比較して故障確率が高いことがわかる。また、図5に連続稼働時間に対する故障確率の例を示し、図6に故障確率曲線のグラフを示す。図6の例では、連続稼働時間が100日以下または3000日以上で故障確率が高いことがわかる。
(S103)
S103では、しきい値設定処理装置7により、故障確率計算処理装置6で得た機器の故障確率をもとに、機器異常度に対して警報を発生する基準となるしきい値を設定する。例えば、故障確率の高い状態にある機器はしきい値を下げて、異常検知の感度を向上させる。具体的には、しきい値の標準値を1.0とし、機器ごとの故障確率が平均故障確率より高い機器は0.2下げ、初期故障期または摩耗故障期にある機器は0.3下げる。この重み付けは、実際のプラント稼働条件をフィードバックすることにより最適な値に設定することができる。
〔機器診断の手順〕
図8は本発明による機器診断の手順を示すフローチャートである。以下に各ステップについて説明する。
(S101)
S101では、保守履歴データベース5のデータから、機器の故障回数、故障日時、故障部位、保守作業回数、保守作業日時、保守対象部位、保守作業工数、交換部品名のうちの少なくとも1つの情報を故障確率計算処理装置6へ入力する。図3に入力したデータの例を示す。
(S102)
S102では、故障確率計算処理装置6により、機器の故障確率を計算する。図4に各機器についての故障確率の例を示す。この例では、ポンプAは同じ種類のポンプと比較して故障確率が高いことがわかる。また、図5に連続稼働時間に対する故障確率の例を示し、図6に故障確率曲線のグラフを示す。図6の例では、連続稼働時間が100日以下または3000日以上で故障確率が高いことがわかる。
(S103)
S103では、しきい値設定処理装置7により、故障確率計算処理装置6で得た機器の故障確率をもとに、機器異常度に対して警報を発生する基準となるしきい値を設定する。例えば、故障確率の高い状態にある機器はしきい値を下げて、異常検知の感度を向上させる。具体的には、しきい値の標準値を1.0とし、機器ごとの故障確率が平均故障確率より高い機器は0.2下げ、初期故障期または摩耗故障期にある機器は0.3下げる。この重み付けは、実際のプラント稼働条件をフィードバックすることにより最適な値に設定することができる。
図7の計測時間0日目における、図4に示すポンプ故障確率と、ポンプの連続稼働時間と、設定されるしきい値の例を図9に示す。
ポンプAの故障確率0.005は同種類のポンプの平均故障確率0.0005より高く、連続稼働時間50日は故障確率曲線上では初期故障期にあるので、しきい値は1.0−0.2−0.3=0.5とする。
ポンプBの故障確率0は平均故障確率0.0005より低く、しかも連続稼働時間1000日は偶発故障期にあるので、しきい値は1.0とする。
ポンプCの故障確率0.0002は平均故障確率0.0005より低いが、連続稼働時間4000日は摩耗故障期にあるので、しきい値は1.0−0.3=0.7とする。なお、連続稼働時間は計測時間の増加に伴い増加する。
(S104)
S104では、前回のしきい値設定から連続稼働時間が更新されているかを判定する。例えば、日付が変わった場合には、初期故障期から偶発故障期に移ったり、偶発故障期から摩耗故障期に移ることがあるので、機器の故障確率としきい値を再度評価する。連続稼働時間が更新されていればS101に戻り、更新されていなければS105に進む。
(S105)
S105では、計測データ入力手段3により、機器1の状態量を機器診断装置4の機器異常診断処理装置8に入力する。
(S106)
S106では、機器異常診断処理装置8により、診断結果情報を出力する。得られた診断結果情報のうち、機器異常度と異常部位の例を図7に示す。
(S107)
S107では、診断結果判定処理装置9により、機器異常診断処理装置8で得られた機器異常度と、しきい値設定処理装置7で得られたしきい値を比較する。機器異常度がしきい値に達しない場合にはS104に戻る。機器異常度がしきい値を超えた場合にはS108に進む。
(S108)
S108では、診断結果判定処理装置9により、故障確率計算処理装置6から機器の故障確率を取得し、機器異常診断処理装置8から診断結果情報を取得し、診断結果表示手段10に出力する。診断結果表示手段10では、異常を知らせる警報を発生させ、例として図10に示す画面により利用者へ情報を提示する。この例では、ポンプAは計測時間5日目(機器異常度0.56)、ポンプBは計測時間7日目(機器異常度1.31)、ポンプCは計測時間6日目(機器異常度0.91)で警報と情報を提示する。
(S104)
S104では、前回のしきい値設定から連続稼働時間が更新されているかを判定する。例えば、日付が変わった場合には、初期故障期から偶発故障期に移ったり、偶発故障期から摩耗故障期に移ることがあるので、機器の故障確率としきい値を再度評価する。連続稼働時間が更新されていればS101に戻り、更新されていなければS105に進む。
(S105)
S105では、計測データ入力手段3により、機器1の状態量を機器診断装置4の機器異常診断処理装置8に入力する。
(S106)
S106では、機器異常診断処理装置8により、診断結果情報を出力する。得られた診断結果情報のうち、機器異常度と異常部位の例を図7に示す。
(S107)
S107では、診断結果判定処理装置9により、機器異常診断処理装置8で得られた機器異常度と、しきい値設定処理装置7で得られたしきい値を比較する。機器異常度がしきい値に達しない場合にはS104に戻る。機器異常度がしきい値を超えた場合にはS108に進む。
(S108)
S108では、診断結果判定処理装置9により、故障確率計算処理装置6から機器の故障確率を取得し、機器異常診断処理装置8から診断結果情報を取得し、診断結果表示手段10に出力する。診断結果表示手段10では、異常を知らせる警報を発生させ、例として図10に示す画面により利用者へ情報を提示する。この例では、ポンプAは計測時間5日目(機器異常度0.56)、ポンプBは計測時間7日目(機器異常度1.31)、ポンプCは計測時間6日目(機器異常度0.91)で警報と情報を提示する。
以上の処理の結果、監視を強化すべき機器については早めに異常を知らせ、安定した機器については異常の確からしさが高くなってから情報を提示する。その結果、必要以上の情報提示を抑制することによって利用者の負担を軽減可能である。
上記実施例により、原子力プラントの運転中に原子力プラントの機器の状態の診断に基づいて、機器の利用者にとって適切な時期に診断情報を提示できる。
原子力プラントの機器診断において、診断結果を提示する時期を決定するしきい値を適切に設定し、利用者にとって適切な時期に診断結果を提示可能な機器診断方法および装置を提供できる。その結果、必要以上の情報提示を抑制するので利用者の負担を軽減できる。また、しきい値設定における作業を低減できる。
1・・・機器
2・・・計測器
3・・・計測データ入力手段
4・・・機器診断装置
5・・・保守履歴データベース
6・・・故障確率計算処理装置
7・・・しきい値設定処理装置
8・・・機器異常診断処理装置
9・・・診断結果判定処理装置
10・・・診断結果表示手段
2・・・計測器
3・・・計測データ入力手段
4・・・機器診断装置
5・・・保守履歴データベース
6・・・故障確率計算処理装置
7・・・しきい値設定処理装置
8・・・機器異常診断処理装置
9・・・診断結果判定処理装置
10・・・診断結果表示手段
Claims (12)
- プラントの運転中に機器の状態を診断する原子力プラントの機器診断方法において、
前記機器の状態量である計測データを計測し、
前記計測データを用いて前記機器の機器異常度を計算し、
前記機器の保守履歴情報を取得し、
前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算し、
前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定し、
前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を出力する
ことを特徴とする原子力プラントの機器診断方法。 - 請求項1に記載の原子力プラントの機器診断方法において、前記異常度しきい値の設定は、基準しきい値から、機器故障確率に応じた所定値を減じて決定することを特徴とする原子力プラントの機器診断方法。
- 請求項1または2に記載の原子力プラントの機器診断方法において、前記異常度しきい値の設定は、基準しきい値から、機器連続稼働時間に応じた所定値を減じて決定することを特徴とする原子力プラントの機器診断方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の原子力プラントの機器診断方法において、前記計測データは、機器の振動、機器の温度、機器の音、潤滑油の物性値、プラントのプロセス量のうちの少なくとも1つの状態量であることを特徴とする原子力プラントの機器診断方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の原子力プラントの機器診断方法において、前記保守履歴情報は、機器の故障回数、故障日時、故障部位、保守作業回数、保守作業日時、保守対象部位、保守作業工数、交換部品名のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする原子力プラントの機器診断方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の原子力プラントの機器診断方法において、前記診断結果情報は、前記機器異常度、または前記機器異常度と異常種類、異常部位、余寿命のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする原子力プラントの機器診断方法。
- 原子力プラントの運転中に機器の状態を診断する原子力プラントの機器診断装置において、
前記機器診断装置は、前記機器の状態量である計測データを入力する計測データ入力手段と、前記計測データを用いて前記機器の機器異常度を計算する機器異常診断処理装置と、前記機器の保守履歴情報を格納した保守履歴データベースと、前記保守履歴情報から前記機器の機器故障確率を計算する故障確率計算処理装置と、前記機器故障確率をもとに異常度しきい値を設定するしきい値設定処理装置と、前記機器異常度が前記異常度しきい値を超えた場合に診断結果情報を提示することを決定する診断結果判定処理装置を備え、前記診断結果情報を診断結果表示装置へ出力するように構成したことを特徴とする原子力プラントの機器診断装置。 - 請求項7に記載の原子力プラントの機器診断装置において、前記異常度しきい値を設定するしきい値設定処理装置は、基準しきい値から機器故障確率に応じた所定値を減じてしきい値を決定することを特徴とする原子力プラントの機器診断装置。
- 請求項7または8に記載の原子力プラントの機器診断装置において、前記異常度しきい値を設定するしきい値設定処理装置は、基準しきい値から機器連続稼働時間に応じた所定値を減じてしきい値を決定することを特徴とする原子力プラントの機器診断装置。
- 請求項7乃至9のいずれかに記載の原子力プラントの機器診断装置において、前記計測データは、機器の振動、機器の温度、機器の音、潤滑油の物性値、プラントのプロセス量のうちの少なくとも1つの状態量であることを特徴とする原子力プラントの機器診断装置。
- 請求項7乃至9のいずれかに記載の原子力プラントの機器診断装置において、前記保守履歴情報は、機器の故障回数、故障日時、故障部位、保守作業回数、保守作業日時、保守対象部位、保守作業工数、交換部品名のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする原子力プラントの機器診断装置。
- 請求項7乃至9のいずれかに記載の原子力プラントの機器診断装置において、前記診断結果情報は、前記機器異常度、または前記機器異常度と異常種類、異常部位、余寿命のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とする原子力プラントの機器診断装置。
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