本発明の第1及び第2実施形態係るハイブリッド車両は、エンジンとモータジェネレータとの動力を、動力伝達機構を介して車輪の駆動軸(以下、「駆動軸」という。)に出力するハイブリッド車両において、エンジンまたは動力分割機構の温度に基づいて前記エンジンの回転速度変化率を制限する制御部を有する。
このハイブリッド車両においては、エンジンと、モータジェネレータと、駆動軸とがそれぞれ動力伝達機構の異なる回転軸に接続されている。動力伝達機構の異なる回転軸のそれぞれにおける回転速度の関係は、動力伝達機構を構成する遊星歯車機構に設けられる複数のギヤ間におけるギヤ比により一意に決定される。このため、本ハイブリッド車両においては、モータジェネレータから出力されるトルクはエンジンの出力軸と駆動軸に伝達され、エンジンの回転速度は、モータジェネレータから出力されたトルクの影響を受けるものである。
制御部は、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けるため、モータジェネレータを制御する。具体的には、制御部は、エンジンの回転速度と目標回転速度との差に基づいて、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けるためにモータジェネレータが出力するトルク成分(以下、「フィードバックトルク」という。)を算出し、モータジェネレータがフィードバックトルクを出力するよう制御する。
制御部は、エンジンまたは動力伝達機構の温度に基づいてエンジンの回転速度変化率の制限値を算出する。更に、制御部は、エンジンの回転速度変化率が制限値を超過することなく、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けるようにフィードバックトルクを算出する。
したがって、本実施の形態に係るハイブリッド車両は、パワートレインの温度に関わらず、バッテリの充放電電力が充放電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。
(第1実施形態)
図1から図11を用いて、本発明の第1実施形態にかかるハイブリッド車両について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るハイブリッド車両1は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5と、駆動輪6と、駆動輪6に動力を伝達可能に連結された駆動軸7と、第1遊星歯車機構8と、第2遊星歯車機構9と、第3遊星歯車機構10と、第1インバータ19と、第2インバータ20と、ケース36と、油温センサ37と、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)52と、エンジンECU53と、モータECU54と、バッテリECU55とを含んで構成される。本実施形態に係るハイブリッド車両1は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5の少なくとも1つのモータジェネレータとの動力を、後述する動力伝達機構11を介して駆動軸7に出力するようになっている。
ハイブリッドECU52は、本発明における制御部に相当する。このハイブリッドECU52は、後述する方法を用いて制限前エンジンの回転速度を算出する機能を有する。また、ハイブリッドECU52は、エンジンECU53からエンジン水温情報やエンジン油温情報を取得し、取得した情報からエンジンの回転速度変化率の制限値を算出する機能を有する。さらに、ハイブリッドECU52は、上述した制限前エンジン回転速度と制限値とを比較して、エンジン回転速度が該制限値を超過して変化することのないよう、エンジン回転速度を算出する機能を有する。
(エンジン)
エンジン2は、吸気行程と、圧縮行程と、膨張行程と、排気行程と、からなる一連の4行程を行う4サイクルのエンジンである。エンジン2の出力軸3は、第1遊星歯車機構8と第2遊星歯車機構9とに連結されている。
(第1モータジェネレータ)
第1モータジェネレータ4は、ロータ軸13と、ロータ14と、ケース36に固定されるステータ15とを有している。ロータ14には、複数の永久磁石が埋め込まれている。ステータ15は、ステータコア及びステータコアに巻き掛けられた三相コイルを有している。ステータ15の三相コイルは、第1インバータ19に接続されている。
このように構成された第1モータジェネレータ4において、ステータ15の三相コイルに三相交流電力が供給されると、ステータ15によって回転磁界が形成される。この回転磁界にロータ14に埋め込まれた永久磁石が引かれることにより、ロータ14がロータ軸13を中心に回転する。すなわち、第1モータジェネレータ4は、電動機として機能し、ハイブリッド車両1を駆動する駆動力を生成することができる。
また、ロータ14がロータ軸13を中心に回転すると、ロータ14に埋め込まれた永久磁石によって回転磁界が形成され、この回転磁界によりステータ15の三相コイルに誘導電流が流れることにより、三相の交流電力が発生する。すなわち、第1モータジェネレータ4は、発電機としても機能する。
(第1インバータ)
第1インバータ19は、モータECU54の制御により、バッテリ21などから供給された直流の電力を三相の交流電力に変換する。この三相の交流電力は、第1モータジェネレータ4のステータ15の三相コイルに供給される。
第1インバータ19は、モータECU54の制御により、第1モータジェネレータ4によって生成された三相の交流電力を直流の電力に変換する。この直流の電力は、例えば、バッテリ21を充電する。
(第2モータジェネレータ)
第2モータジェネレータ5は、ロータ軸16と、ロータ17と、ケース36に固定されるステータ18とを有している。ロータ17には、複数の永久磁石が埋め込まれている。ステータ18は、ステータコア及びステータコアに巻き掛けられた三相コイルを有している。ステータ18の三相コイルは、第2インバータ20に接続されている。
このように構成された第2モータジェネレータ5において、ステータ18の三相コイルに三相交流電力が供給されると、ステータ18によって回転磁界が形成される。この回転磁界にロータ17に埋め込まれた永久磁石が引かれることにより、ロータ17がロータ軸16を中心に回転する。すなわち、第2モータジェネレータ5は、電動機として機能し、ハイブリッド車両1を駆動する駆動力を生成することができる。
また、ロータ17がロータ軸16周りに回転すると、ロータ17に埋め込まれた永久磁石によって回転磁界が形成され、この回転磁界によりステータ18の三相コイルに誘導電流が流れることにより、三相の交流電力が発生する。すなわち、第2モータジェネレータ5は、発電機としても機能する。
(第2インバータ)
第2インバータ20は、モータECU54の制御により、バッテリ21などから供給された直流の電力を三相の交流電力に変換する。この三相の交流電力は、第2モータジェネレータ5のステータ18の三相コイルに供給される。
第2インバータ20は、モータECU54の制御により、第2モータジェネレータ5によって生成された三相の交流電力を直流の電力に変換する。この直流の電力は、例えば、バッテリ21を充電する。
(動力伝達機構)
動力伝達機構11は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5と、駆動軸7との間で駆動力を伝達させるようになっている。例えば、動力伝達機構11は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5とによって生成された動力を駆動軸7に伝達するようになっている。
また、動力伝達機構11は、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5と共に、ケース36に格納されている。ケース36は、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ内で撹拌されるミッションオイルの受け皿として機能するオイルパン38を底部に備えている。さらに、ケース36内部には、オイルパン38に溜まるミッションオイルの油温(以下、「動力伝達機構油温」という。)を検出する油温センサ37が配置されている。
動力伝達機構11は、エンジン2の出力軸3と、第1モータジェネレータ4の出力軸としてのロータ軸13と、第2モータジェネレータ5の出力軸としてのロータ軸16と、駆動軸7と、に連結されている。ここで、駆動軸7は、ギヤ機構35を介して動力伝達機構11に連結されている。また、動力伝達機構11は、第1遊星歯車機構8と、第2遊星歯車機構9と、第3遊星歯車機構10と、を備えている。
(第1遊星歯車機構)
第1遊星歯車機構8は、サンギア22と、サンギア22の外歯に噛み合う複数のプラネタリギア23と、複数のプラネタリギア23に内歯が噛み合うリングギア25と、プラネタリギア23を自転可能に支持するプラネタリキャリア24とを備えている。
(第2遊星歯車機構)
第2遊星歯車機構9は、サンギア26と、サンギア26の外歯に噛み合う複数のプラネタリギア27と、複数のプラネタリギア27に内歯が噛み合うリングギア29と、プラネタリギア27を自転可能に支持するプラネタリキャリア28とを備えている。
(第3遊星歯車機構)
第3遊星歯車機構10は、サンギア30と、サンギア30の外歯に噛み合う複数のプラネタリギア31と、複数のプラネタリギア31に内歯が噛み合うリングギア32と、プラネタリギア31を自転可能に支持するプラネタリキャリア33とを備えている。
(第1〜第3遊星歯車機構の関係)
第1遊星歯車機構8のサンギア22は、第1モータジェネレータ4のロータ14と一体に回転するように、中空のロータ軸13に連結されている。第1遊星歯車機構8のプラネタリキャリア24と、第2遊星歯車機構9のサンギア26とは、エンジン2の出力軸3と一体に回転するように連結されている。
第1遊星歯車機構8のリングギア25には、第2遊星歯車機構9のプラネタリギア27がロータ軸13周りに公転するようにプラネタリキャリア28を介して連結されている。また、第1遊星歯車機構8のリングギア25は、デファレンシャルギア及びその他のギアを含むギア機構35を介して駆動軸7を回転させるように設けられている。
第2遊星歯車機構9のリングギア29には、第3遊星歯車機構10のプラネタリギア31がロータ軸16周りに公転するようにプラネタリキャリア33を介して連結されている。第3遊星歯車機構10のリングギア32は、ケース34に固定されている。第3遊星歯車機構10のサンギア30は、第2モータジェネレータ5のロータ17と一体に回転するようにロータ軸16に連結されている。
(回転速度間の関係)
次に、図2を用いて動力伝達機構11における各回転軸の回転速度の関係を説明する。第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度と、第2遊星歯車機構9のリングギア29の回転速度と、第3遊星歯車機構10のリングギア32の回転速度との関係は、共線図で表すことができる。図2に示す共線図において、縦軸は、各回転要素の回転速度を表し、横軸は各回転要素を表すものである。本図中において、縦軸は、横軸における回転要素の回転速度を表し、具体的には左から第3遊星歯車機構10のリングギア32の回転速度(図中、R3)、第2遊星歯車機構9のリングギア29の回転速度(図中、R2)、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度(図中、MG2)をそれぞれ表している。
第3遊星歯車機構10のリングギア32は、ケース36に固定されているため、第3遊星歯車機構10は、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の駆動力を減速して第2遊星歯車機構9のリングギア29に伝達するリダクションギアを構成する。
第3遊星歯車機構10のリングギア32の歯数をZR3とし、第3遊星歯車機構10のサンギア30の歯数をZS3とすると、第3遊星歯車機構10のレバー比、すなわち、リダクションギア比Krは、ZR3/ZS3となる。
以上より、第2遊星歯車機構9のリングギア29の回転速度N2rと、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度N2との関係は、以下の式(1)で表すことができる。
N2r=N2/(1+Kr)・・・(1)
図3に示すように、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度と、エンジン2の出力軸3の回転速度と、ギア機構35を介して駆動輪6に動力を伝達する第1遊星歯車機構8のリングギア25の回転速度と、第2遊星歯車機構9のリングギア29の回転速度との関係は、共線図で表すことができる。
図3に示す共線図において、縦軸が表す回転速度は、図中、左から第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度(図中、MG1)と、エンジン2の出力軸3の回転速度(図中、ENG)と、第1遊星歯車機構8のリングギア25の回転速度(図中、OUT)と、第2遊星歯車機構9のリングギア29の回転速度(図中、R2)である。
第1遊星歯車機構8のサンギア22の歯数をZS1とし、第1遊星歯車機構8のリングギア25の歯数をZR1とすると、第1遊星歯車機構8のレバー比K1は、ZR1/ZS1となる。
第2遊星歯車機構9のサンギア26の歯数をZS2とし、第2遊星歯車機構9のリングギア29の歯数をZR2とすると、第2遊星歯車機構9のレバー比K2は、ZS2/ZR2となる。
以上より、駆動軸7の回転速度に比例する第1遊星歯車機構8のリングギア25の回転速度(以下、駆動回転速度Ntという。)と、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度N1と、第2遊星歯車機構9のリングギア29の回転速度N2rとの関係は、以下の式(2)で表すことができる。
Nt=(K2×N1+(1+K1)×N2r)/(1+K1+K2)・・・(2)
また、エンジン2の出力軸3の回転速度Neoと、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度N1と、第2遊星歯車機構9のリングギア29の回転速度N2rとの関係は、以下の式(3)で表すことができる。
Neo=((1+K2)×N1+K1×N2r)/(1+K1+K2)・・・(3)
(各ECUについて)
ハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによってそれぞれ構成されている。
これらのコンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55としてそれぞれ機能させるためのプログラムが格納されている。
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、これらのコンピュータユニットは、本実施の形態におけるハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55としてそれぞれ機能する。
ハイブリッド車両1には、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内LAN(Local Area Network)を形成するためのCAN通信線39が設けられている。ハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55は、CAN通信線39を介して制御信号等の信号の送受信を相互に行う。
ハイブリッドECU52は、主として、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55などの各種ECUから情報を取得し、各種ECUを統括的に制御する。
ハイブリッドECU52の入力ポートには、アクセルペダル61の操作量(以下、単に「アクセル開度」という)を検出するアクセル開度センサ62と、動力伝達機構油温を検出する油温センサ37とが接続されている。
ハイブリッドECU52は、後述する方法で算出した駆動回転速度から車速を算出する。また、ハイブリッドECU52は、バッテリECU55から後述するバッテリ21の充放電制限値に関する情報を取得する。なお、上述のように、本実施形態におけるハイブリッドECU52は、本発明における制御部に相当する。
エンジンECU53は、主としてエンジン2を制御する。また、エンジン2は、水温センサ2aとエンジン油温センサ2bとを備えており、エンジンECU52は、水温センサ2aと油温センサ2bとから送信される情報に基づいてエンジン冷却水の温度とエンジンオイルの油温とを取得する機能を有する。
モータECU54は、主として、第1インバータ19を介して第1モータジェネレータ4を制御し、第2インバータ20を介して第2モータジェネレータ5を制御する。バッテリECU55は、主として、バッテリ21の状態を管理する。
また、モータECU54は、第1インバータ19及び第2インバータ20を介して実際の第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度N1及び実際の第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度N2を算出する。
ハイブリッドECU52は、モータECU54によって算出された実際の第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度N1及び実際の第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度N2から式(1)及び(2)を用いて実際の駆動回転速度(以下、「実駆動回転速度」という)Ntを算出する。さらに、ハイブリッドECU52は、算出した実駆動回転速度Ntとタイヤ外径とギア機構35のギア比とを乗算することにより車速を算出する。
ハイブリッドECU52は、モータECU54によって算出された実際の第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度N1及び実際の第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度N2から式(1)及び式(3)を用いて実際のエンジン回転速度Neoを算出する。
バッテリECU55の入力ポートには、バッテリ状態検出センサ60が接続されている。バッテリ状態検出センサ60は、バッテリ21の充放電電流、電圧及びバッテリ温度を検出する。バッテリECU55は、バッテリ状態検出センサ60から入力される充放電電流の値、電圧の値及びバッテリ温度の値に基づき、バッテリ21の充電率(以下、「SOC」という)などを算出する。
また、バッテリECU55は、バッテリ21のSOCやバッテリ温度等に基づいてバッテリ21の充放電制限値を算出する。ここで、充放電制限値とは、バッテリ21の充放電電力の上限値及び下限値である。具体的に、充放電制限値は、バッテリ21の放電制限値A1とバッテリ21の充電制限値A2とを示すが、バッテリ21の放電制限値A1を正の値、バッテリ21の充電制限値A2を負の値として定義する。ここで、充放電制限値は、放電制限値A1の値が小さいほどバッテリ21の放電が制限され、充電制限値A2の値が大きいほどバッテリ21の充電が制限されるよう算出されるものである。
放電制限値A1は、バッテリ21のSOCが小さいほど小さくなるよう算出される。また、充電制限値A2は、バッテリ21のSOCが大きいほど大きくなるよう算出される。さらに、充放電制限値は、バッテリ21の温度が正常な範囲から遠ざかるほど、バッテリ21の充放電が制限されるよう算出される。すなわち、バッテリ21の温度が所定範囲の上限値よりも大きい場合においてはバッテリ21の温度が大きくなるほど、またはバッテリ21の温度が所定範囲の下限値よりも小さい場合においてはバッテリ21の温度が小さくなるほど、放電制限値A1は小さくなるよう算出される。また、バッテリ21の温度が所定範囲の上限値よりも大きい場合においてはバッテリ21の温度が大きくなるほど、またはバッテリ21の温度が所定範囲の下限値よりも小さい場合においてはバッテリ21の温度が小さくなるほど、充電制限値A2は大きくなるよう算出される。
バッテリ状態検出センサ60は、例えば、バッテリ21の充放電電流を検出する電流センサと、バッテリ21の電圧を検出する電圧センサと、バッテリ温度を検出する温度センサとを含んで構成される。なお、電流センサと電圧センサと温度センサとは、個別に設けてもよい。
(エンジンの出力制御)
次に、図4から図8を用いて、エンジン2、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5の出力制御について説明する。
図4に示すように、ハイブリッドECU52は、アクセル開度センサ62によって検出されたアクセル開度と、上述の通り算出した車速と、バッテリ21のSOCとに基づいて、エンジン動作点の目標値(以下、「エンジン目標動作点」という)である目標エンジン回転速度Negと目標エンジントルクTeとを算出する。
なお、本実施形態において、パワーとは、トルクに回転速度を乗算した値に比例し、エンジン2、第1モータジェネレータ4、第2モータジェネレータ5及び駆動軸7のトルク及び回転速度の組み合わせによって一意に決まるものを示す。
ハイブリッドECU52のROM又はフラッシュメモリには、図6に示すような目標駆動トルク検索マップが格納されている。目標駆動トルク検索マップでは、アクセル開度と車速とに応じて車両1の目標駆動トルクが設定されている。具体的には、アクセル開度に応じて、車速と目標駆動トルクとの関係を示すマップが複数設定されている。
ハイブリッドECU52は、アクセル開度センサ62によって検出されたアクセル開度と、算出された車速とを用いて、この目標駆動トルク検索マップを参照することにより目標駆動トルクTaを算出する(目標駆動トルク算出部101)。ハイブリッドECU52は、特定した目標駆動トルクTaと車速とギア機構35のギア比を乗算することにより、目標駆動パワーPdを算出する(目標駆動パワー算出部102)。ギア機構35のギア比は、ハイブリッドECU52のROM又はフラッシュメモリに格納されている。
また、ハイブリッドECU52のROM又はフラッシュメモリには、図7に示すような目標充放電パワー検索マップが格納されている。目標充放電パワー検索マップでは、バッテリ21のSOCに応じて、目標充放電パワーPcが設定されている。ハイブリッドECU52は、バッテリECU55から送信されたバッテリ21のSOCに対して、目標充放電パワー検索マップによって対応付けられた目標充放電パワーPcを特定する(目標充放電パワー算出部103)。なお、目標充放電パワーPcは、放電側が正の値であり、充電側が負の値となるよう設定される。
ハイブリッドECU52は、目標駆動パワーPdから目標充放電パワーPcを減算し、フィードバックパワーPfとインバータロスパワーPlとを加算した値を目標エンジンパワーPeとして算出する(目標エンジンパワー算出部104)。このとき、算出された目標エンジンパワーPeが、ハイブリッド車両1の運転状態に応じたエンジンパワーの最大値より大きい値である場合は、ハイブリッド車両1の運転状態に応じたエンジンパワーの最大値を目標エンジンパワーPeとする。ここで、フィードバックパワーPfとは、実際のエンジン回転速度Neoが目標エンジン回転速度Negに近づくよう第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5がフィードバックトルクを出力するために消費される電力を示す。また、インバータロスパワーPlとは、第1インバータ19及び第2インバータ20で消費される損失電力を示す。
ハイブリッドECU52は、算出された車速と目標エンジンパワーPeに基づいて図8に示すような目標動作点検索マップを参照してエンジン目標動作点を算出する(目標エンジン動作点算出部105)。ここでいう動作点とは、エンジン2の回転速度とエンジントルクの組み合わせを表すものである。具体的には、等パワーラインと車速に応じた動作点ラインとの交点をエンジン目標動作点とし、制限前目標エンジン回転速度Ndと目標エンジントルクTeとを算出する。なお、上述したエンジン目標動作点の算出方法は、エンジン2を駆動して走行する走行モードにおけるものである。エンジン2を停止して走行する走行モードにおいては、ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndと目標エンジントルクTeとのいずれも零(0)として算出する。
ハイブリッドECU52は、エンジンECU55から送信されたエンジン水温と放電制限値A1に基づいて図9(a)の上昇率制限マップを参照して目標エンジン回転速度の変化率の上限値ΔNhを算出する(目標エンジン回転速度変化率制限値算出部106)。また、ハイブリッドECU52は、エンジンECU55から送信されたエンジン水温と充電制限値A2とに基づいて図9(b)の下降率制限マップを参照して目標エンジン回転速度の変化率の下限値ΔNlを算出する(目標エンジン回転速度変化率制限値算出部106)。
ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndと上限値ΔNhまたは下限値ΔNlとに基づいて目標エンジン回転速度Negを算出する(目標エンジン回転速度算出部107)。具体的には、目標エンジン回転速度Negが上昇する場合は制限前目標エンジン回転速度Ndと上限値ΔNhとに基づいて目標エンジン回転速度Negを算出し、目標エンジン回転速度Negが下降する場合は制限前目標エンジン回転速度Ndと下限値ΔNlとに基づいて目標エンジン回転速度Neを算出する。なお、目標エンジン回転速度の変化率とは、単位時間当たりの目標エンジン回転速度の変位を表すものである。また、上限値ΔNh及び下限値ΔNlについては後述する。なお、本発明における制限値とは、これら上限値ΔNh及び下限値ΔNlを含むものである。
上述したように、ハイブリッドECU52は、目標駆動トルク算出部101、目標駆動パワー算出部102、目標充放電パワー算出部103、目標エンジンパワー算出部104、目標エンジン動作点算出部105、目標エンジン回転速度変化率制限値算出部106及び目標エンジン回転速度算出部107としての機能を有する。
(第1及び第2モータジェネレータの出力制御)
また、図5に示すように、ハイブリッドECU52は、実際の第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度N1と、実際の第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度N2と、目標電力Pmgと、目標エンジントルクTeとに基づいて、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5のトルク指令値を算出する。
ハイブリッドECU52は、モータECU54によって算出された実際の第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度N1と、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度N2と、目標電力Pmg及び目標エンジントルクTeとに基づいて、第1モータジェネレータ4の基本トルクTi1、第2モータジェネレータ5の基本トルクTi2を算出する(Ti1算出部111、Ti2算出部112)。具体的な算出方法については以下に示す。
ハイブリッドECU52は、目標エンジンパワーPeと、目標駆動パワーPdとの差を目標電力Pmgとして算出する。なお、算出された目標エンジンパワーPeが、車両の運転状態に応じたエンジンパワーの最大値以下である場合、目標電力Pmgは、フィードバックパワーPfとインバータロスパワーPlとの合算値と目標充放電パワーPcとの差と同値になる。目標電力Pmgは、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5の出力により充電または消費される電力を表すものであり、以下の電力バランス式として式(4)で表すことができる。
Pmg=N1×Ti1+N2×Ti2・・・(4)
また、図2の共線図を参照したときの、駆動軸を基準とするトルクバランス式として、エンジン2、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5のトルクと回転速度の関係を以下の式(5)で表すことができる。なお、Krは上述した図2におけるリダクションギア比であるZR3/ZS3を示す値である。また、K1は図3における第1遊星歯車機構8のレバー比であるZR1/ZS1を示す値であり、K2は第2遊星歯車機構9のレバー比であるZS2/ZR2を示す値である。
Te+Ti1×(1+K1)=Ti2×(1+Kr)×K2・・・(5)
ハイブリッドECU52は、式(4)、(5)を用いて第1モータジェネレータ4の基本トルクTi1、第2モータジェネレータ5の基本トルクTi2を算出する。
ハイブリッドECU52は、目標エンジン回転速度Negと実際のエンジン回転速度Neoとに基づいて、第1モータジェネレータ4のフィードバックトルクTf1及び第2モータジェネレータ5のフィードバックトルクTf2を算出する(Tf1算出部113、Tf2算出部114)。フィードバックトルクとは、実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けるためにモータジェネレータが出力するトルクである。
ハイブリッドECU52は、基本トルクTi1にフィードバックトルクTf1を加算した値を第1モータジェネレータ4のトルク指令値T1、基本トルクTi2にフィードバックトルクTf2を加算した値を第2モータジェネレータ5のトルク指令値T2として算出する(T1算出部115、T2算出部116)。
上述したように、ハイブリッドECU52は、Ti1算出部111、Ti2算出部112、Tf1算出部113、Tf2算出部114、T1算出部115及びT2算出部116としての機能を更に有する。
(マップ)
ハイブリッドECU52のROM又はフラッシュメモリには、図9(a)に示すような上昇率制限マップ及び図9(b)に示すような下降率制限マップが格納されている。このマップは、エンジン水温と放電制限値A1とに基づいてエンジン2の回転速度変化率を制限する上限値ΔNh、エンジン水温と充電制限値A2とに基づいてエンジン2の回転速度変化率を制限する下限値ΔNlを算出するためのものである。
図9(a)のマップにおける上限値ΔNhは正の値であり、エンジン水温が低くなるほど小さくなり、正の値である放電制限値A1が大きくなるほど大きくなる。
具体的には、図9(a)の上昇率制限マップには、ラインa、ラインb、ラインc、の順に大きくなる放電制限値A1に応じて複数の上限値ΔNhが設定されている。上限値ΔNhは、エンジン水温が低温側領域である場合は、エンジン水温が低くなるほど小さくなり、エンジン水温が高温側領域である場合は一定となる。また、この上昇率制限マップにおいて、上限値ΔNhは、放電制限値A1が大きくなるほど大きくなるよう設定されている。
図9(b)のマップにおける下限値ΔNlは負の値であり、エンジン水温が低くなるほど大きくなり、負の値である充電制限値A2が小さくなるほど小さくなる。
具体的には、図9(a)の下降率制限マップには、ラインa、ラインb、ラインc、の順に小さくなる充電制限値A2に応じて複数の下限値ΔNlが設定されている。下限値ΔNlは、エンジン水温が低温側領域である場合は、エンジン水温が低くなるほど大きくなり、エンジン水温が高温側領域である場合は一定となる。また、この下降率制限マップにおいて、下限値ΔNlは、充電制限値A2が小さくなるほど小さくなるように設定されている。
なお、図9(a)及び(b)において、低温側領域とはエンジン水温が制限値切り替え閾値T1よりも小さい領域を表し、高温側領域とはエンジン水温が制限値切り替え閾値T1よりも大きい領域を表すものと定義する。
ここで、上述した制限値切り替え閾値T1は、実験や適合試験により好適に設定される正の値である。例えば、制限値切り替え閾値T1は、エンジン2の水温がこのT1を越えると、エンジン2の摩擦抵抗を考慮する必要がない程度にエンジン2の温度が上昇しているものと判断できる値に設定されてもよい。一例として、T1は20〜40℃の範囲で任意の値に設定されるものであってもよい。
なお、図9(a)に示す上昇率制限マップにおいては、3種類の放電制限値A1に応じた上限値ΔNhが設定されているが、放電制限値A1が大きいほど上限値ΔNhが大きくなるようなマップであればこれに限定されることはない。例えば、上昇率制限マップは、より多くの種類の放電制限値A1に応じた上限値ΔNhを設定するマップであったり、放電制限値A1に応じて無段階に上限値ΔNhが設定されるようなマップであったりしてもよい。また、上昇率制限マップは、放電制限値A1に応じて複数種類用意されていてもよい。
また、図9(b)に示す下降率制限マップにおいては、3種類の充電制限値A2に応じた下限値ΔNlが設定されているが、充電制限値A2が小さいほど下限値ΔNlが小さくなるようなマップであればこれに限定されることはない。例えば、下降率制限マップは、より多くの種類の充電制限値A2に応じた下限値ΔNlを設定するマップであったり、充電制限値A2に応じて無段階に加減値ΔNlが設定されるようなマップであったりしてもよい。また、下降率制限マップは、充電制限値A2に応じて複数種類用意されていてもよい。
(エンジン回転速度を上げる場合の制限方法)
ハイブリッドECU52は、エンジン2の回転速度を上げる場合、すなわち目標エンジン回転速度Negが実際のエンジン回転速度Neoよりも大きい場合は、図9(a)に示すようなマップを参照して算出した上限値ΔNhを用いて、制限前目標エンジン回転速度Ndを制限する。
具体的には、ハイブリッドECU52は、エンジン水温と放電制限値A1とに基づいて図9(a)に示すマップを参照して上限値ΔNhを算出する。さらに、ハイブリッドECU52は、上限値ΔNhを用いて、以下の方法で制限前目標エンジン回転速度Ndを制限した値である目標エンジン回転速度Negを算出する。
ハイブリッドECU52は、エンジン2の回転速度を上げる場合、制限前目標エンジン回転速度Ndと、前回の制御周期で算出された目標エンジン回転速度Neg(以下、「Neg前回値」という。)と、を用いて目標エンジン回転速度Negを算出する。
ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNh×t」以上である場合には、「Neg前回値+ΔNh×t」を目標エンジン回転速度Negとして算出する。これにより、制限前目標エンジン回転速度Ndが上限値ΔNhによって制限される。なお、tとは、後述する所定の制御周期を示すものである。
ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNh×t」以上でない場合には、制限前目標エンジン回転速度Ndを目標エンジン回転速度Negとして算出する。
このように、ハイブリッドECU52は、エンジンの回転速度を上げる場合、目標エンジン回転速度の変化率が上限値ΔNhを越えないように目標エンジン回転速度Negを算出する。
(エンジン回転速度を下げる場合の制限方法)
また、ハイブリッドECU52は、エンジン2の回転速度を下げる場合、すなわち目標エンジン回転速度Negが実際のエンジン回転速度Neoよりも小さい場合は、図9(b)に示すようなマップを参照して算出した下限値ΔNlを用いて、制限前目標エンジン回転速度Ndを制限する。
具体的には、ハイブリッドECU52は、エンジン水温と充電制限値A2とに基づいて図9(b)に示すマップを参照して下限値ΔNlを算出する。さらに、ハイブリッドECU52は、下限値ΔNlを用いて、以下の方法で制限前目標エンジン回転速度Ndを制限した値である目標エンジン回転速度Negを算出する。
ハイブリッドECU52は、エンジン2の回転速度を下げる場合、制限前目標エンジン回転速度Ndと、Neg前回値に下限値ΔNlと制御周期tとを乗算した値を加算した値(以下、「Neg前回値+ΔNl×t」と示す。)と、を用いて目標エンジン回転速度Negを算出する。
ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNl×t」以下である場合には、「Neg前回値+ΔNl×t」を目標エンジン回転速度Negとして算出する。これにより、制限前目標エンジン回転速度Ndが下限値ΔNlによって制限される。
ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNl×t」以下でない場合には、制限前目標エンジン回転速度Ndを目標エンジン回転速度Negとして算出する。
このように、ハイブリッドECU52は、エンジンの回転速度を下げる場合、目標エンジン回転速度の変化率が下限値ΔNlを越えないように目標エンジン回転速度Negを算出する。
(エンジン回転速度を上げる場合の目標エンジン回転速度の算出処理)
次に、図10を参照して、上述するように構成された本実施形態に係るハイブリッド車両における、エンジン回転速度を上げる場合の目標エンジン回転速度Negの算出処理について説明する。なお、以下に説明する目標エンジン回転速度Negの算出処理は、ハイブリッドECU52及びモータECU54が作動している間、所定の制御周期t[sec]毎に繰り返し実行される。
図10に示すように、まず、ハイブリッドECU52は、エンジン水温、実際のエンジン回転速度Neo、実駆動回転速度Nt、アクセル開度、バッテリ21の充電率(SOC)の各種情報を、エンジンECU53、モータECU54、アクセル開度センサ62、バッテリECU55から取得する(ステップS1)。
ステップS1の処理を実行した後、ハイブリッドECU52は、実駆動回転速度Ntから算出した車速と、アクセル開度と、バッテリ21SOCとの情報に基づいて、制限前目標エンジン回転速度Ndを算出する。(ステップS2)
ステップS2の処理を実行した後、ハイブリッドECU52は、エンジンECU53から取得したエンジン水温と、バッテリECU55から取得した放電制限値A1とに基づいて図9(a)のマップを参照して上限値ΔNhを算出する(ステップS3)。
ステップS3の処理を実行した後、ハイブリッドECU52は、今回の制御周期における制限前目標エンジン回転速度Ndが、「Neg前回値+ΔNh×t」以上であるか否かを判別する(ステップS4)。このとき、Neg前回値を保有していない初回の算出時においては、ハイブリッドECU52は、実際のエンジン回転速度NeoをNeg前回値に代入して判別する。
ステップS4で制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNh×t」以上であると判別した場合、ハイブリッドECU52は、「Neg前回値+ΔNh×t」を今回の制御周期における目標エンジン回転速度Negとして算出し、本算出処理を終了する(ステップS5)。
ステップS4で制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNh×t」未満であると判別した場合、ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndを今回の制御周期における目標エンジン回転速度Negとして算出し、本算出処理を終了する(ステップS6)。
このように、本実施形態では、エンジン回転速度を上げる場合は、ハイブリッドECU52が、エンジン水温と放電制限値A1とに基づいて算出される上限値ΔNhを用いて目標エンジン回転速度Negを算出する。
このため、エンジン回転速度を上げる場合、エンジン2の温度によって変動する摩擦抵抗の影響を受けることを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることができる。すなわち、エンジン2の温度が低下して摩擦抵抗が増大しても、バッテリ21の放電電力が放電制限値A1を超過することを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることができる。
(エンジン回転速度を下げる場合の目標エンジン回転速度の算出処理)
次に、図11を参照して、上述するように構成された本実施形態に係るハイブリッド車両における、エンジン回転速度を下げる場合の目標エンジン回転速度Negの算出処理について説明する。なお、以下に説明する目標エンジン回転速度Negの算出処理は、ハイブリッドECU52及びモータECU54が作動している間、所定の制御周期t[秒]毎に繰り返し実行される。
図11に示すように、まず、ハイブリッドECU52は、エンジン水温、実際のエンジン回転速度Neo、実駆動回転速度Nt、アクセル開度、バッテリ21のSOCの各種情報を、エンジンECU53、モータECU54、アクセル開度センサ62、バッテリECU55から取得する(ステップS11)。
ステップS11の処理を実行した後、ハイブリッドECU52は、実駆動回転速度Ntから算出した車速と、アクセル開度と、バッテリ21のSOCとの情報に基づいて、制限前目標エンジン回転速度Ndを算出する。(ステップS12)
ステップS12の処理を実行した後、ハイブリッドECU52は、エンジンECU53から取得したエンジン水温と、バッテリECU55から取得した充電制限値A2とに基づいて図9(b)のマップを参照して下限値ΔNlを算出する(ステップS13)。
ステップS13の処理を実行した後、ハイブリッドECU52は、今回の制御周期における制限前目標エンジン回転速度Ndが、「Neg前回値+ΔNl×t」以下であるか否かを判別する(ステップS14)。このとき、Neg前回値を保有していない初回の算出時においては、ハイブリッドECU52は、実際のエンジン回転速度NeoをNeg前回値に代入して判別する。
ステップS14で制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNl×t」以下であると判別した場合、ハイブリッドECU52は、「Neg前回値+ΔNl×t」を今回の制御周期における目標エンジン回転速度Negとして算出し、本算出処理を終了する(ステップS15)。
ステップS14で制限前目標エンジン回転速度Ndが「Neg前回値+ΔNl×t」より大きいと判別した場合、ハイブリッドECU52は、制限前目標エンジン回転速度Ndを今回の制御周期における目標エンジン回転速度Negとして算出し、本算出処理を終了する(ステップS6)。
本実施形態では、エンジン回転速度を下げる場合は、ハイブリッドECU52が、エンジン水温と充電制限値A2とに基づいて算出される下限値ΔNlを用いて目標エンジン回転速度Negを算出する。
このため、エンジン回転速度を下げる場合、エンジン2の温度によって変動する摩擦抵抗の影響を受けることを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることができる。すなわち、エンジン2の温度が低下して摩擦抵抗が増大しても、バッテリ21の充電電力が充電制限値A2を超過することを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることができる。
(第2実施形態)
次に、図12(a)及び(b)を用いて、本発明の第2実施形態に係るハイブリッド車両について説明する。本実施形態は、本発明の第1実施形態における図1から図3に示すハイブリッド車両の構成及び各軸の関係と、図4から図5に示すエンジン及びモータジェネレータの制御に関する機能ブロック図と、図6から図8に示すマップと、図10から図11に示すフローチャートと、について共通している。すなわち、本実施形態は、ハイブリッド車両の構成、モータジェネレータの制御処理、目標エンジン回転速度Negの算出処理は本発明の第1実施形態と同一のものである。本実施形態は、本発明の第1実施形態において参照される図9(a)及び(b)のマップが、それぞれ図12(a)及び(b)のマップに置き換わったものである。すなわち、本実施形態は、目標エンジン回転速度変化率制限値算出部106によって参照されるマップのみ第1実施形態と異なる。
本実施形態において、ハイブリッドECU52は、目標エンジン回転速度変化率制限値算出部106によって、エンジンECU55から送信されたエンジン水温と、放電制限値A1とに基づいて図12(a)の上昇率制限マップを参照して目標エンジン回転速度の変化率の上限値ΔNhを算出する。また、ハイブリッドECU52は、目標エンジン回転速度変化率制限値算出部106によって、エンジンECU55から送信されたエンジン水温と、充電制限値A2とに基づいて図12(b)の下降率制限マップを参照して目標エンジン回転速度の変化率の下限値ΔNlを算出する。
ハイブリッドECU52のROM又はフラッシュメモリには、図12(a)に示すような上昇率制限マップ及び図12(b)に示すような下降率制限マップが格納されている。このマップは、エンジン水温と放電制限値A1とに基づいてエンジン2の回転速度変化率を制限する上限値ΔNh、エンジン水温と充電制限値A2とに基づいてエンジン2の回転速度変化率を制限する下限値ΔNlを算出するためのものである。
(マップ)
図12(a)のマップにおける上限値ΔNhは正の値であり、エンジンの水温の制限値切り替え閾値T2を境に異なる値を持つ。
具体的には、図12(a)の上昇率制限マップには、ラインa、ラインb、ラインc、の順に大きくなる放電制限値A1に応じて複数の上限値ΔNhが設定されている。ΔNhは、エンジン水温が低温側領域である場合は第1の値で一定となり、エンジン水温が高温側領域である場合は第1の値よりも大きい第2の値で一定となる。また、この上昇率制限マップにおいて、上限値ΔNhは、放電制限値A1が大きくなるほど大きくなるように設定されている。
図12(b)のマップにおける下限値ΔNlは負の値であり、エンジンの水温の制限値切り替え閾値T2を境に異なる値を持つ。
具体的には、図12(b)の下降率制限マップには、ラインa、ラインb、ラインc、の順に小さくなる充電制限値A2に応じて複数の下限値ΔNlが設定されている。ΔNlは、エンジン水温が低温側領域である場合は第1の値で一定となり、エンジン水温が高温側領域である場合は第1の値よりも小さい第2の値で一定となる。また、この下降率制限マップにおいて、下限値ΔNlは、充電制限値A2が大きくなるほど大きくなるように設定されている。
なお、図12(a)及び(b)において、低温側領域とはエンジン水温が制限値切り替え閾値T1よりも小さい領域を表し、高温側領域とはエンジン水温が制限値切り替え閾値T1よりも大きい領域を表すものと定義する。
ここで、上述した制限値切り替え閾値T2は、実験や適合試験により好適に設定される正の値である。例えば、制限値切り替え閾値T2は、エンジン2の水温がこの所定値T2を超えると、エンジン2の摩擦抵抗を考慮する必要がない程度にエンジン2の温度が上昇しているものと判断できる値に設定される。すなわち、一例として、T2は20〜40℃の範囲で任意の値に設定されるものであってもよい。
なお、図12(a)に示す上昇率制限マップにおいては、3種類の放電制限値A1に応じた上限値ΔNhが設定されているが、放電制限値A1が大きいほど上限値ΔNhが大きくなるようなマップであればこれに限定されることはない。例えば、上昇率制限マップは、より多くの種類の放電制限値A1に応じた上限値ΔNhを設定するマップであったり、放電制限値A1に応じて無段階に上限値ΔNhが設定されるようなマップであったりしてもよい。また、上昇率制限マップは、放電制限値A1に応じて複数種類用意されていてもよい。
また、図12(b)に示す下降率制限マップにおいては、3種類の充電制限値A2に応じた下限値ΔNlが設定されているが、充電制限値A2が小さいほど下限値ΔNlが小さくなるようなマップであればこれに限定されることはない。例えば、下降率制限マップは、より多くの種類の充電制限値A2に応じた下限値ΔNlを設定するマップであったり、充電制限値A2に応じて無段階に加減値ΔNlが設定されるようなマップであったりしてもよい。また、下降率制限マップは、充電制限値A2に応じて複数種類用意されていてもよい。
また、図12(a)のマップにおいて、エンジン水温の制限値切り替え閾値T2を境に2つの異なる上限値ΔNhが設定されているが、エンジン水温が低下するにつれて上限値ΔNhが小さくなるものであれば、これに限定されることはない。例えば、上昇率制限マップは、エンジン水温が制限値切り替え閾値T2未満の範囲、すなわち低温側領域において、エンジン水温にさらに複数の閾値を有しており、エンジン水温が低下するにつれて該閾値を境に段階的に上限値ΔNhが小さくなるものであってもよい。
また、図12(b)のマップにおいて、エンジン水温の制限値切り替え閾値T2を境に2つの異なる下限値ΔNlが設定されているが、エンジン水温が低下するにつれて下限値ΔNlが小さくなるものであれば、これに限定されることはない。例えば、下降率制限マップは、エンジン水温が制限値切り替え閾値T2未満の範囲、すなわち低温側領域において、エンジン水温に複数の閾値を有しており、エンジン水温が低下するにつれて該閾値を境に段階的に下限値ΔNlが小さくなるものであってもよい。
(エンジン回転速度を上げる場合の制限方法)
ハイブリッドECU52は、エンジン2の回転速度を上げる場合、すなわち目標エンジン回転速度Negが実際のエンジン回転速度Neoよりも大きい場合は、図12(a)に示すようなマップを参照して算出した上限値ΔNhを用いて、制限前目標エンジン回転速度Ndを制限した値である目標エンジン回転速度Negを算出する。
このように、本実施形態では、エンジン回転速度を上げる場合において、エンジン2の温度が充分上昇しておらず、摩擦抵抗が大きい場合には上限値ΔNhを第1の値に設定し、エンジン2の温度が充分上昇しており、摩擦抵抗による影響を考慮する必要がない場合は上限値ΔNhを第1の値よりも大きい第2の値に設定される。
(エンジン回転速度を下げる場合の制限方法)
ハイブリッドECU52は、エンジン2の回転速度を下げる場合、すなわち目標エンジン回転速度Negが実際のエンジン回転速度よりも小さい場合は、図12(b)に示すようなマップを参照して算出した上限値ΔNlを用いて、制限前目標エンジン回転速度Ndを制限した値である目標エンジン回転速度Negを算出する。
また、本実施形態では、エンジン回転速度を下げる場合において、エンジン2の温度が充分上昇しておらず、摩擦抵抗が大きい場合には下限値ΔNlを第1の値に設定し、エンジン2の温度が充分上昇しており、摩擦抵抗による影響を考慮する必要がない場合は下限値ΔNlを第1の値よりも小さい第2の値に設定される。
このため、本実施形態に係るハイブリッド車両は、エンジンの温度が低下していることによる摩擦抵抗の影響を受けることを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることができる。すなわち、エンジン2の温度が低下して摩擦抵抗が増大しても、バッテリ21の充放電電力が放電制限値A1及び充電制限値A2を超過することを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることが出来る。
(変形例)
上述の第1実施形態及び第2実施形態において、ハイブリッドECU52は、目標エンジン回転速度変化率制限値算出部106によって参照される図9及び図12のマップは、エンジン水温に基づいて上限値ΔNh及び下限値ΔNlが設定されている。これは、パワートレインにおける摩擦抵抗に影響を与える要因の一つである、エンジン2の温度を推定するパラメータとしてエンジン水温を用いているものである。すなわち、図9及び図11のマップは、エンジン水温以外であっても、ハイブリッド車両1のパワートレインの温度を推定するためのパラメータに基づいて上限値ΔNh及び下限値ΔNhを設定するものであってもよい。
例えば、図9及び図12のマップは、エンジン水温に代わってエンジン油温や動力伝達機構油温に基づいて上限値ΔNh及び下限値ΔNlを設定するマップであってもよい。
具体的には、図9及び図12のマップにおいて、エンジン水温に代わってエンジンECU55から送信されるエンジン油温情報を用いるものであってもよい。このとき、マップの形状は第1実施形態または第2実施形態と同様のものであればよい。この場合、エンジン油温の制限値切り替え閾値T1または制限値切り替え閾値T2は、エンジン油温がこのT1またはT2を超えると、エンジン2の摩擦抵抗を考慮する必要がない程度にエンジン2の温度が上昇しているものと判断できる値に設定されてもよい。一例として、エンジン油温の制限値切り替え閾値T1または制限値切り替え閾値T2は、0〜20℃の範囲で任意の値に設定されるものであってもよい。
このような構成によっても、エンジンの回転速度を上げるまたは下げる場合、エンジン2の温度によって変動する摩擦抵抗の影響を受けることを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることができる。すなわち、エンジン2の温度が低下して摩擦抵抗が増大しても、バッテリ21の充放電電力が放電制限値A1及び充電制限値A2を超過することを抑制しつつ実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けることが出来る。
また、具体的には、図9及び図12のマップは、エンジン水温に代わって油温センサ37によって検出される動力伝達機構油温情報を用いても良い。このとき、マップの形状は第1実施形態または第2実施形態と同様のものであればよい。この場合、エンジン動力伝達機構油温の制限値切り替え閾値T1または制限値切り替え閾値T2は、動力伝達機構油温がこのT1またはT2を超えると、動力伝達機構11の摩擦抵抗を考慮する必要がない程度にエンジン2の温度が上昇しているものと判断できる値に設定されていてもよい。すなわち、実験や適合から、動力伝達機構油温の制限値切り替え閾値T1または制限値切り替え閾値T2は、動力伝達機構11のミッションオイルが充分に暖められ、ミッションオイルが撹拌される際の抵抗を考慮する必要がない値に設定されるものであればよい。一例として、T1またはT2は、0〜20℃の範囲で任意の値に設定されるものであってもよい。
上述の第1実施形態及び第2実施形態において、ハイブリッドECU52が実駆動回転速度Ntとタイヤ外径とギア機構35のギア比とを乗算して車速を算出したが、例えば図示しない車速センサから送信される情報を車速として使用してもよい。
さらに、上述の第1実施形態及び第2実施形態において、ハイブリッドECU52が本発明における制御部に相当するものであるが、制御部は、ハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54、バッテリECU55の全て、またはこれらECUの組み合わせによって構成されてもよい。
ここで、本発明を含むハイブリッド車両において、エンジンまたは動力伝達機構が低温である場合に、バッテリの充放電電力が増大する原理について詳述する。ハイブリッド車両1において、各モータジェネレータを動作させるためには、バッテリ21から各モータジェネレータに電力が供給される。すなわち、供給される電力が正の値であればバッテリ21は電力を消費し、供給される電力が負の値であればバッテリ21は電力を充電する。
第1モータジェネレータ4と第2モータジェネレータ5とは実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けるためにそれぞれフィードバックトルクTf1とTf2とを出力する。
このとき、各モータジェネレータを動作させてエンジン2の回転速度を制御する際の機械的な摩擦抵抗は、パワートレイン、すなわちエンジン2や動力伝達機構11の温度によって変動する。
エンジン2や動力伝達機構11の温度が高いほど、エンジン2や動力伝達機構11における摩擦抵抗が減少する。そのため、各モータジェネレータを動作させてエンジン2の回転速度を制御する際の摩擦抵抗は減少する。反対に、エンジン2や動力伝達機構11の温度が低いほど、摩擦抵抗が増大するため、各モータジェネレータを動作させてエンジン2の回転速度を制御する際の摩擦抵抗は増大する。
この摩擦抵抗が増大すると、実際のエンジン回転速度Neoを目標エンジン回転速度Negに近付けるために各モータジェネレータを制御する際に、バッテリ21で消費または充電される電力が増大し、バッテリ21の充放電電力が充放電制限値を超過してしまうおそれがある。
具体的には、エンジン2の回転速度を上げる場合、すなわち目標エンジン回転速度Negが実際のエンジン回転速度Neoよりも大きい場合において、エンジン2や動力伝達機構11の温度が低いと、バッテリ21で消費される電力が増大し、バッテリ21の放電電力が放電制限値A1を超過するおそれがある。
エンジン2の回転速度を下げる場合、すなわち目標エンジン回転速度Negが実際のエンジン回転速度Neoよりも小さい場合において、エンジン2や動力伝達機構の温度が低いと、バッテリ21に充電される電力が増大し、バッテリ21の充電電力が充電制限値A2を超過するおそれがある。
そこで、第1実施形態及び第2実施形態のハイブリッド車両は、上述したように目標エンジン回転速度Negを算出することにより、バッテリ21の消費電力が放電制限値A1を超過すること、及びバッテリ21の充電電力が充電制限値A2を超過することを抑制することを可能にした。
ここで、本発明の各態様と、それに対応する作用効果について記載する。本発明の第1の態様は、エンジンとモータジェネレータとの動力を、動力伝達機構を介して車輪の駆動軸に出力するハイブリッド車両において、エンジンまたは動力伝達機構の温度に基づいて前記エンジンの回転速度変化率を制限する制御部を有することを特徴とする。
本態様によれば、エンジンまたは動力伝達機構の温度によって変動する摩擦抵抗による機械損失を考慮してエンジン回転速度変化率が算出される。このため、摩擦抵抗を考慮してモータジェネレータが出力制御され、バッテリの充放電電力が充放電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に記載のハイブリッド車両において、前記エンジンの温度が制限値切り替え閾値よりも大きい高温側領域における前記回転速度変化率の制限値の絶対値が、前記制限値切り替え閾値よりも小さい低温側領域における前記制限値の絶対値よりも大きくなるように前記制限値を算出し、算出された前記制限値に基づいて前記エンジンの回転速度を制御することを特徴とする。
本態様によれば、エンジンの温度が高温側領域である場合よりも、低温側領域である場合の方が、エンジン回転速度の変動が抑制されるように制限値が算出される。このような構成により、エンジンにおける摩擦抵抗が大きい低温側領域において、バッテリから出力または充電される電力が大きくなることを抑制することができる。このため、バッテリの充放電電力が充放電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。
本発明の第3の態様は、前記第2の態様に記載のハイブリッド車両において、前記制限値は、正の値である上限値を含み、前記制御部は、前記低温側領域において、前記エンジンの温度が低いほど小さくなるよう前記上限値を算出し、前記上限値に基づいて前記エンジンの回転速度を制御することを特徴とする。
本態様によれば、エンジンにおける摩擦抵抗が大きくなるほどエンジン回転速度が緩やかに上昇することとなる。このような構成により、モータジェネレータがエンジン回転速度を上げるようトルクを出力する際に、エンジンにおける摩擦損失の影響によってバッテリから放電される電力が大きくなることを抑制することができる。このため、バッテリの放電電力が放電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。
本発明の第4の態様は、前記第2の態様に記載のハイブリッド車両において、前記制限値は、負の値である下限値を含み、前記制御部は、前記低温側領域において、前記エンジンの温度が低いほど大きくなるよう前記下限値を算出し、前記下限値に基づいて前記エンジンの回転速度を制御することを特徴とする。
本態様によれば、エンジンにおける摩擦抵抗が大きくなるほどエンジン回転速度が緩やかに下降することとなる。このような構成により、モータジェネレータがエンジン回転速度を下げるようトルクを出力する際に、エンジンにおける摩擦損失の影響によってバッテリに充電される電力が大きくなることを抑制することができる。このため、バッテリの充電電力が充電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。
本発明の第5の態様は、前記第1の態様に記載のハイブリッド車両において、前記制御部は、前記動力伝達機構の温度が制限値切り替え閾値よりも大きい高温側領域における前記回転速度変化率の制限値の絶対値が、前記制限値切り替え閾値よりも小さい低温側領域における前記制限値の絶対値よりも大きくなるように前記制限値を算出し、算出された前記制限値に基づいて前記エンジンの回転速度を制御することを特徴とする。
本態様によれば、動力伝達機構の温度が高温側領域である場合よりも、低温側領域である場合の方が、エンジン回転速度の変動が抑制されるように制限値が算出される。このような構成により、動力伝達機構における摩擦抵抗が大きい低温側領域において、バッテリから出力または充電される電力が大きくなることを抑制することができる。このため、バッテリの充放電電力が充放電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。
本発明の第6の態様は、前記第5の態様に記載のハイブリッド車両において、前記制限値は、正の値である上限値を含み、前記制御部は、前記低温側領域において、前記動力伝達機構の温度が低いほど小さくなるよう前記上限値を算出し、前記上限値に基づいて前記エンジンの回転速度を制御することを特徴とする。
本態様によれば、動力伝達機構における摩擦抵抗が大きくなるほどエンジン回転速度が緩やかに上昇することとなる。このような構成により、モータジェネレータがエンジン回転速度を上げるようトルクを出力する際に、動力伝達機構における摩擦損失の影響によってバッテリから放電される電力が大きくなることを抑制することができる。このため、バッテリの放電電力が放電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。
本発明の第7の態様は、前記第5の態様に記載のハイブリッド車両において、前記制限値は、負の値である下限値を含み、前記制御部は、前記低温側領域において、前記動力伝達機構の温度が低いほど大きくなるよう前記下限値を算出し、前記下限値に基づいて前記エンジンの回転速度を制御することを特徴とする。
本態様によれば、本態様によれば、動力伝達機構における摩擦抵抗が大きくなるほどエンジン回転速度が緩やかに下降することとなる。このような構成により、モータジェネレータがエンジン回転速度を下げるようトルクを出力する際に、動力伝達機構における摩擦損失の影響によってバッテリに充電される電力が大きくなることを抑制することができる。このため、バッテリの充電電力が充電制限を超過することを抑制しつつ、エンジンの回転速度を目標回転速度に近付けることができる。