本発明によるFO−WLP用反り矯正材は、活性エネルギー線の照射により体積が収縮し、さらに、前記活性エネルギー線照射後の加熱によりさらに体積が収縮する。このような反り矯正材を用いて、FO−WLPの再配線層が設けられている面とは反対の面に反り矯正層を形成し、再配線層の収縮応力と同程度の収縮応力が作用するように反り矯正層の体積収縮率を調整することで、半導体パッケージ実装時の温度でもウエハ搬送等の室温でも反り量を抑制することができる。即ち、FO−WLPの製造時に、擬似ウエハの回路形成面に再配線層とともに絶縁層が設けられるが、その絶縁膜の材料、厚さ、パターンによって、擬似ウエハの反り量も変化するが、本発明のように、活性エネルギー線の照射により体積が収縮し、さらに、前記活性エネルギー線照射後の加熱によりさらに体積が収縮する反り矯正材は、活性エネルギー線照射および加熱の順序やその程度を調整することにより、反り矯正材の体積収縮率を制御することができるため、FO−WLPに作用する応力と同程度の収縮応力を、反り矯正層によって発生させることができる。そのため、半導体パッケージ実装時の温度でもウエハ搬送等の室温でも反り量を抑制できるとともに、ウエハないしパッケージの反り量を調整しながらウエハないしパッケージの反りを低減でき、その結果、品質信頼性の高い半導体パッケージを得ることができるものと考えられる。これはあくまでも本発明者らの推測であり、本発明が当該論理に拘束されるものではない。以下、本発明による反り矯正材を構成する各成分について説明する。
本発明によるFO−WLP用反り矯正材は、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分と、加熱により体積が収縮する硬化性成分とを含むことが好ましい。このような2成分が含まれることにより、上記のように活性エネルギー線照射および加熱の順序やその程度を調整することにより、反り矯正材の体積収縮率を制御することができる。
<加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)>
加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)としては、加熱による硬化反応で体積が収縮する硬化性を有していれば、特に制限なく従来公知の材料を用いることができるが、好ましくは、イオン性の開環重合反応または重付加の重合反応性の硬化成分であることが好ましい。本明細書中において、イオン性の開環重合とは、開環して重合する単量体を用いて重合反応を進行させた際に、成長鎖がイオンである重合を意味するものとする。また、重付加反応とは、環状構造を有する官能基を2個以上有する単量体と、両末端に当該環状構造を有する官能基と反応し得る官能基を有する単量体とが、付加反応を繰り返しながら重合が進行する反応を意味するものとする。このようなイオン性の開環重合反応または重付加の重合反応性硬化成分としては、エポキシやオキセタン等の環状エーテル類が好ましく、その中でもエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂には反応前の形状から固形、半固形、液状のエポキシ樹脂がある。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような環状エーテル類を加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)として含有することにより、後記するように加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)が硬化した際に擬似ウエハとの密着性が向上し、より一層、FO−WLPの反りを抑制することができる。
固形エポキシ樹脂としては、DIC社製HP−4700(ナフタレン型エポキシ樹脂)、DIC社製EXA4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬社製NC−7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬社製EPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC社製エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000L等のビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN660、エピクロンN690、日本化薬社製EOCN−104S等のノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製YX−4000等のビフェニル型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製TX0712等のリン含有エポキシ樹脂;日産化学工業社製TEPIC等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
半固形エポキシ樹脂としては、DIC社製エピクロン860、エピクロン900−IM、エピクロンEXA―4816、エピクロンEXA−4822、旭チバ社製アラルダイトAER280、東都化成社製エポトートYD−134、三菱化学社製jER834、jER872、住友化学工業社製ELA−134等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN−740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
さらに、体積が収縮する硬化性成分として、光硬化性熱硬化性成分(AB)を用いることもできる。かかる光硬化性熱硬化性成分(AB)とは、その分子中に環状エーテル類と後記する分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を同時に有するものである。その分子中に環状エーテル類と後記する分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を同時に有する化合物を用いることもできる。このような化合物としてはグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジアクリレートモノグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、後記するように活性エネルギー線の照射により体積収縮し、さらに加熱によっても体積収縮するため、FO−WLPの反りを収縮により効果的に矯正できることから好ましい。
上記した加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明によるFO−WLP用反り矯正材は、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)を硬化させ得る硬化剤成分(A2)を含むことが好ましい。硬化剤成分(A2)としては、熱により硬化性成分(A1)をイオン性の開環重合または重付加の重合反応させ得る硬化剤成分(A2−1)好適に使用することができる。
加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)をイオン性の開環重合させ得る硬化剤成分(A2−1)としては、イミダゾール類、ベンジルスルホニウム塩、ルイス酸−アミン錯体などを用いることができる。その中でも、擬似ウエハとの密着力や保存安定性、耐湿信頼性などの観点から、イミダゾール類を用いることが望ましい。
イミダゾール類としては、例えば、2MZ、C11Z、2PZ、2E4MZ、2P4MZ、1B2MZ、1B2PZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、2PZ−CN、C11Z−CN、2PZ−CNS、C11Z−CNS、2MZ−A、C11Z−A、2E4MZ−A、2P4MHZ、2PHZ、2MA−OK、2PZ−OK(四国化成工業株式会社製、製品名)などや、これらのイミダゾール類をエポキシ樹脂と付加させた化合物が挙げられる。また、これら硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは可使時間が延長されるために好ましい。これらは単独または2種以上を混合して使用することもできる。
イミダゾール類の配合量としては、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)に対して0.1〜10質量%配合することが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。イオン性の開環重合させ得る硬化剤成分(A2−1)であるイミダゾール類を上記範囲で配合することにより、硬化性と保存安定性とを両立させることができる。
ベンジルスルホニウム塩としては三新化学サンエイドシリーズである、SI−45,SI−60,SI−80,SI−100,SI−150、SI−110,SI−360,SI−360,SI−B2A,SI−B3A,SI−B3,SI−B4,SI−B5を用いることができる。これらは単独または2種以上を混合して使用することもできる。
ベンジルスルホニウム塩の配合量としては、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)に対して0.1〜10質量%配合することが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。イオン性の開環重合させ得る硬化剤成分(A2−1)であるベンジルスルホニウム塩を上記範囲で配合することにより、硬化性と保存安定性とを両立させることができる。
また、ルイス酸−アミン錯体としては、BF3−トリエチルアミン錯体やBF3−ピリジン錯体等の公知のものを使用することができる。
ルイス酸−アミン錯体等の硬化剤成分(A2−1)の配合量としては、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)に対して0.1〜10質量%配合することが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。イオン性の開環重合させ得る硬化剤成分(A2−1)であるルイス酸−アミン錯体等上記範囲で配合することにより、硬化性と保存安定性とを両立させることができる。
加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)は重付加の重合反応により硬化させてもよい。加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)を重付加の重合反応させ得る硬化剤成分(A2−1)としては、酸無水物類、カルボン酸類、アミン類、フェノール類、ヒドラジド類、ポリメルカプタン類などを用いることができる。その中でも、擬似ウエハとの密着力や保存安定性、耐湿信頼性などの観点から、カルボン酸類、アミン類、フェノール類を用いることが望ましい。
酸無水物類としては、例えば、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1−イソプロピル−4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物などを用いることができる。これらは単独または2種以上を混合して使用することもできる。
酸無水物の配合量としては、たとえば加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ化合物の場合、硬化官能基(エポキシ基)の数と酸無水物基から発生するカルボン酸の数の比(加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)の硬化官能基の数/カルボン酸の数)が0.2〜20となるように配合することが好ましく、より好ましくは0.4〜16である。酸無水物の配合量を上記範囲とすることにより、硬化反応を効果的に進行させることができる。一方、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ基以外の場合、その硬化反応に関与する硬化官能基の数と酸無水物基から発生するカルボン酸の数の比(加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)の硬化官能基の数/カルボン酸の数)から同様に算出できる。
カルボン酸類としてはアジピン酸、マレイン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、1−イソプロピル−4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂などを用いることができる。
カルボン酸の配合量としては、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ化合物の場合、硬化官能基(エポキシ基)の数とカルボキシル基の数の比(加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)の硬化官能基の数/カルボキシル基の数)が0.2〜20となるように配合することが好ましく、より好ましくは0.4〜16である。カルボン酸の配合量を上記範囲とすることにより、硬化反応を効果的に進行させることができる。一方、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ基以外の場合、その硬化反応に関与する硬化官能基の数とカルボキシル基の数の比(加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)の硬化官能基の数/カルボキシル基の数)から同様に算出できる。
アミン類としては、1級または2級アミノ基を分子内に少なくとも一つ以上有している化合物であれば特に限定されないが、保存安定性及び硬化物の耐熱性の観点から芳香族アミン類が望ましい。芳香族アミン類としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルフィド、メタキシレンジアミン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルトルエンジアミン、アニリン類、アルキル化アニリン類、N−アルキル化アニリン類、などを用いることができる。これらは単独または2種以上を混合して使用することもできる。
アミン類の配合量としては、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ化合物の場合、硬化官能基(エポキシ基)の数と活性水素の数の比(エポキシ基の数/活性水素の数)が0.2〜20になるように配合することが望ましく、より好ましくは0.4〜16である。アミン類の配合量を上記範囲とすることにより、硬化反応を効果的に進行させることができる。一方、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ基以外の場合、その硬化反応に関与する硬化官能基の数と活性水素の数の比(硬化性成分(A1)の硬化官能基の数/活性水素の数)から同様に算出できる。
フェノール類としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂、各種多官能フェノール樹脂等を使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用することができる。
フェノール類の配合量としては、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ化合物の場合、硬化官能基(エポキシ基)の数とフェノール性水酸基の数の比(エポキシ基の数/フェノール性水酸基の数)が0.2〜20になるように配合することが望ましく、より好ましくは0.4〜16である。フェノール類の配合量を上記範囲とすることにより、硬化反応を効果的に進行させることができる。一方、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)がエポキシ基以外の場合、その硬化反応に関与する硬化官能基の数とフェノール性水酸基の数の比(加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)の硬化官能基の数/フェノール性水酸基の数)から同様に算出できる。
上記した以外にも、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)を重付加の重合反応により重合させ得る硬化剤成分(A2−1)してはシアネートエステル樹脂や活性エステル樹脂を用いることもできる。シアネートエステル樹脂は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(−OCN)を有する化合物である。シアネートエステル樹脂は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
活性エステル樹脂は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂である。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
カルボン酸、酸無水物類、アミン類、フェノール類、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂を、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)を重付加の重合反応により重合させ得る硬化剤成分(A2−1)として用いる場合、硬化促進剤を併用してもよい。硬化促進剤としては前記イミダゾール類を用いることができる。さらに、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類の有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物が挙げられる。これら1種を単独または2種以上混合して用いることができる。
硬化促進剤成分は必須ではないが、特に硬化反応を促進したい場合には、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)を重付加の重合反応により重合させ得る硬化剤成分(A2−1)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部の範囲で用いることができる。硬化促進剤成分として金属触媒を使用する場合、その含有量は、硬化性成分100質量部に対して金属換算で10〜550ppmが好ましく、25〜200ppmが好ましい。
<活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)>
本発明によるFO−WLP用反り矯正材は、上記した加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)とは異なる硬化反応、すなわち、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)を含むことが好ましい。本明細書において、活性エネルギー線とは、硬化剤成分が基底状態から遷移状態に励起するのに必要なエネルギーを有する電磁波を意味し、例えば電子線、紫外線、可視光線等を意味する。活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)としては、活性エネルギー線の照射による硬化反応で体積が収縮する硬化性を有していれば、特に制限なく従来公知の材料を用いることができるが、例えば、ラジカル性の付加重合反応により硬化し得る硬化性成分(B1−1)を好ましく使用することができる。本明細書において、ラジカル性の付加重合とは、ラジカルにより重合が開始され、二重結合あるいは三重結合をもった不飽和化合物が付加して重合体になる反応を意味するものとする。このようなラジカル性付加重合反応により硬化し得る硬化性成分としては、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。
FO−WLP用反り矯正材中に、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分と、加熱により体積が収縮する硬化性成分とが含まれることにより、反り矯正材を硬化させる際に、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)と活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)とをそれぞれ別個に硬化させることができる。そのため、当該反り矯正材を用いてFO−WLPの反り矯正層を形成すると、擬似ウエハの反り量(即ち、絶縁層の体積収縮によりFO−WLPに作用する応力)に応じて、個々の硬化性成分の硬化反応を制御でき、擬似ウエハが内在する反り応力と同程度の収縮応力を反り矯正層に発生させることができる。その結果、絶縁膜の材料、厚さ、パターンが異なるようなFO−WLPを製造する場合であっても、反りが低減されたFO−WLPを得ることができる。
分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有するラジカル性の付加重合反応性成分の具体例としては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げることができる。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物等の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール等のポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか一種等が挙げられる。また、マレイミドも用いることができる。
上記した以外にも、ラジカル性の付加重合反応により硬化し得る硬化性成分としては、以下の(1)〜(11)のような化合物を使用してもよい。
(1)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られる不飽和基含有ポリマー、
(2)2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたアクリル含有ポリマー、
(3)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたアクリル含有ポリマー、
(4)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物と環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られる不飽和基含有ポリマー、
(5)ジイソシアネートと、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物との重付加反応によるアクリル含有ウレタン樹脂、
(6)不飽和カルボン酸と、不飽和基含有化合物との共重合により得られる不飽和基含有ポリマー、
(7)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物との重付加反応による樹脂の合成中に、分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したアクリル含有ウレタン樹脂、
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物との重付加反応による樹脂の合成中に、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したアクリル含有ウレタン樹脂、
(9)前記(5)の樹脂の合成中に、分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したアクリル含有ウレタン樹脂、
(10)前記(5)の樹脂の合成中に、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したアクリル含有ウレタン樹脂、および
(11)上記(1)〜(10)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるアクリル含有ポリマー、
等を単独でまたは2種以上を組み合わせて、あるいは上記した分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと併用して、用いることができる。
さらに、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)として、光硬化性熱硬化性成分(AB)を用いることもできる。光硬化性熱硬化性成分(AB)とは、その分子中に1個以上のエチレン性不飽和基と前記した環状エーテル類を同時に有する化合物である。このような化合物としてはグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジアクリレートモノグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、後記するように活性エネルギー線の照射により体積収縮し、さらに加熱によっても体積収縮するため、FO−WLPの反りを収縮により効果的に矯正できることから好ましい。
本発明によるFO−WLP用反り矯正材は、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)を硬化させ得る硬化剤成分(B2)を含むことが好ましい。硬化剤成分(B2)としては、活性エネルギー線により硬化性成分(B1)をラジカル重合させ得る硬化性成分(B2−1)が好ましい。
活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)をラジカル性の付加重合反応により重合させ得る硬化剤成分(B2−2)としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン社製IRGACURE 819)、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン社製IRGACURE TPO)等のアシルホスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
上記した活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)をラジカル性の付加重合反応により重合させ得る硬化剤成分(B2−2)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、オキシムエステル類(以下「オキシムエステル系光重合開始剤」と称する)、アセトフェノン類の1つであるα−アミノアセトフェノン類(以下、「α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤」と称する)、およびアシルホスフィンオキサイド類(以下、「アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤」と称する)からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を用いることが好ましい。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、ADEKA社製N−1919等が挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
上記式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルを表し、nは0または1の整数である。
上記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物として特に好ましくは、式中、X、Yが、それぞれ、メチル基またはエチル基であり、Zがメチルまたはフェニルであり、nが0であり、Arが、フェニレン、ナフチレン、チオフェンまたはチエニレンであるオキシムエステル化合物である。
オキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、分子中にエチレン性不飽和基を含有するポリエーテル化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のIRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、上記の化合物が挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のIRGACURE TPO、IRGACURE 819等が挙げられる。
オキシムエステル系光重合開始剤を除く光重合開始剤の配合量は、分子中にエチレン性不飽和基を含有するポリエーテル化合物100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましい。0.1質量部以上の場合、反り矯正材の光硬化性が良好となり、塗布膜が剥離しにくく、耐薬品性等の塗布膜の特性も良好となる。一方、30質量部以下の場合、アウトガスの低減効果が得られ、さらに塗布膜表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。より好ましくは0.5〜15質量部である。
活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)をラジカル性の付加重合反応により重合させ得る硬化剤成分(B2−2)としてオキシムエステル系光重合開始剤を用いると、少量でも十分な感度を得ることができるだけでなく、熱硬化性成分を配合した場合の熱硬化時、および実装の際の後熱工程での光重合開始剤の揮発が少ないため、乾燥炉等の装置の汚染を少なくすることができる。
また、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いると、光反応時の深部硬化性を向上させるため、解像性において良好な開口形状が得られる。
オキシムエステル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤のどちらを用いても効果的であるが、上述のようなレジストのライン形状および開口のバランス、光硬化性の点からは、オキシムエステル系光重合開始剤とアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の併用が更に好適である。
また、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)をラジカル性の付加重合反応により重合させ得る硬化剤成分(B2−2)として市販のものを使用してもよく、例えば、BASFジャパン社製のIRGACURE 389、IRGACURE 784を好適に使用することができる。
活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)をラジカル性の付加重合反応により重合させ得る硬化剤成分(B2−2)の配合量は、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)100質量部に対して、好ましくは1〜25質量部、より好ましくは5〜20質量部、更に好ましくは10〜20質量部である。
本発明においては、硬化剤成分として光硬化剤成分が含まれる場合、FO−WLP用反り矯正材中に光開始助剤または増感剤が含まれていてもよい。光開始助剤および増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物等を挙げることができる。光開始助剤および増感剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上の混合物として使用してもよい。上記した中でも、チオキサントン化合物および3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることが、樹脂組成物の深部硬化性の面から好ましい。中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を含むことが好ましい。
上記した硬化性成分と硬化剤成分との組合せを例示すると、例えば、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)および硬化性成分(A1)を硬化させ得る硬化剤成分(A2)として熱硬化剤成分(A2−1)と、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)および硬化性成分(B1)を硬化させ得る硬化剤成分(B2)として光硬化剤成分(B2−2)との組合せが挙げられる。
本発明によるFO−WLP用反り矯正材は、加熱による体積収縮率をαH(%)とした場合に、下記式(1):
0<αH≦5 (1)
を満たすことが好ましい。αHはFO−WLP用の反り矯正材の加熱前後の密度を測定し、下記式により算出することができる。
体積収縮率αH(%)=(1−(加熱前の硬化性成分の密度/加熱後の硬化性成分の密度))×100
例えば、硬化前のFO−WLP用の反り矯正材の密度が1.0g/cm3であり、加熱によって硬化した後のFO−WLP用の反り矯正材の密度が1.2g/cm3であったとすると、体積収縮率(%)は約17%となる。FO−WLP用の反り矯正材が液状の場合の密度は、例えば25℃の雰囲気下での一定の体積をはかりとり、その質量から密度を測定できる。FO−WLP用の反り矯正材が固形物の場合や硬化後の硬化性成分の場合は、水中置換法(アルキメデス法)により密度を測定できる。より具体的には、例えばメトラー社製XS205分析天秤と密度測定キット「固体及び液体の密度測定キット」を用い、置換液として蒸留水を用いて、下記式にて密度(ρS)を求めることができる。
ρS=(α×ρ0)/(α―β)
(上記式中、ρSは固形物の密度、αは大気中での固形物の質量、βは置換液中での固形物の質量、ρ0は測定温度での蒸留水の密度、を表す。)
また、FO−WLP用反り矯正材は、活性エネルギー線照射による体積収縮率をαI(%)とした場合に、下記式(2):
2≦αI≦20 (2)
を満たすことが好ましい。より好ましくは、2≦αI≦15である。αIはFO−WLP用の反り矯正材の活性エネルギー線照射前後の密度を測定し、上記と同様にして算出することができる。
さらに、本発明においては、FO−WLP用の反り矯正材が、加熱による体積収縮率(αH)および活性エネルギー線照射による体積収縮率(αI)が、下記式(3):
αH<αI (3)
を満たすことが好ましい。上記式(1)ないし(3)を満たすような反り矯正材とすることにより、FO−WLPの製造時および実装時によって生じる反りを、より一層効果的に抑制することができる。
本発明においては、FO−WLP用の反り矯正材に含まれる硬化性成分(A1)および(B1)の配合割合は、質量基準として、0.05≦(A1)/(B1)≦20の範囲であることが好ましく、0.07≦(A1)/(B1)≦15の範囲であることがより好ましい。硬化性成分(A1)および(B1)が上記の比率で配合されることにより、両方の硬化性成分の硬化反応は一応に進行し、その結果、より優れた反り矯正効果が得られる。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材は、フィルム(ないしシート)状に加工する場合にはフィルム(ないしシート)形状の維持が容易となるフィルム性付与ポリマー成分(C1)を含んでもよい。このようなフィルム性付与ポリマー成分(C1)としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂またはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリマーは1種を単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。フィルム(ないしシート)形状を維持できるためには、これらポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常2×104以上であり、2×104〜3×106であることが好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により、下記測定装置、測定条件にて測定できる。
測定装置:Waters製「Waters 2695」
検出器:Waters製「Waters2414」、RI(示差屈折率計)
カラム:Waters製「HSPgel Column,HR MB−L,3μm,6mm×150mm」×2+Waters製「HSPgel Column,HR1,3μm,6mm×150mm」×2
測定条件:
カラム温度:40℃
RI検出器設定温度:35℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/分
サンプル量:10μl
サンプル濃度:0.7wt%
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドでアセタール化することで得られる。上記アルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等が挙げられる。
フェノキシ樹脂の具体例としては東都化成社製FX280、FX293、三菱化学社製YX8100、YL6954、YL6974等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、積水化学工業社製エスレックKSシリーズ、ポリアミド樹脂としては日立化成社製KS5000シリーズ、日本化薬社製BPシリーズ等が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂としては日立化成社製KS9000シリーズ等が挙げられる。
熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、フルオレン骨格を有する場合、高いガラス転移点を有し耐熱性に優れるため、半固形または固形エポキシ樹脂による低い熱膨張率を維持すると共にそのガラス転移点を維持し、得られる硬化皮膜は低い熱膨張率と高いガラス転移点をバランス良く併せ有するものとなる。また、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は水酸基を有するため、擬似ウエハに対して良好な密着性を示す。
フィルム性付与ポリマー成分(C1)は、上記した成分を構成するモノマーがブロック共重合したものであってもよい。ブロック共重合体とは、性質の異なる二種類以上のポリマーが、共有結合で繋がり長い連鎖になった分子構造の共重合体のことである。ブロック共重合体としてはX−Y−X型またはX−Y−X’型ブロック共重合体が好ましい。X−Y−X型およびX−Y−X’型ブロック共重合体のうち、中央のYがソフトブロックでありガラス転移温度(Tg)が低く、その両外側XまたはX’がハードブロックでありガラス転移温度(Tg)が中央のYブロックよりも高いポリマー単位により構成されているものが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
また、X−Y−X型およびX−Y−X’型ブロック共重合体のうち、XまたはX’が、Tgが50℃以上のポリマー単位からなり、Yのガラス転移温度(Tg)が、XまたはX’のTg以下であるポリマー単位からなるブロック共重合体がさらに好ましい。また、X−Y−X型およびX−Y−X’型ブロック共重合体のうち、XまたはX’が、硬化性成分(A1)または硬化性成分(B1)との相溶性が高いものが好ましく、Yが硬化性成分(A1)または硬化性成分(B1)との相溶性が低いものが好ましい。このように、両端のブロックがマトリックス(硬化性成分)に相溶であり、中央のブロックがマトリックス(硬化性成分)に不相溶であるブロック共重合体とすることで、マトリックス中において特異的な構造を示しやすくなると考えられる。
上記した種々のフィルム性付与ポリマー成分(C1)のなかでも、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フルオレン骨格を有する熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ブロック共重合体が好ましい。
本発明のFO−WLP用の反り矯正材にフィルム性付与ポリマー成分(C1)を添加する場合、 FO−WLP用の反り矯正材を構成する全成分占めるフィルム性付与ポリマー成分(C1)の割合は、特に限定されるものではなく、全成分の合計を100質量部としたときに2〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜35質量部である。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材には、無機フィラー成分(D)が含まれていてもよい。無機フィラー成分(D)が含有されることによりたとえばFO−WLPの個片化(ダイシング)での切断が容易になる。また、保護膜にレーザーマーキングを施すことにより、レーザー光により削り取られた部分に無機フィラー成分(D)が露出して、反射光が拡散するために白色に近い色を呈する。これにより、FO−WLP用反り矯正材が後述する着色剤成分(E)を含有する場合、レーザーマーキング部分と他の部分とでコントラスト差が得られ、マーキング(印字)が明瞭になるという効果がある。
無機フィラー成分(D)としては、従来公知のものを制限なく使用することができ、例えばシリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ノイブルグ珪土、ガラス粉末、クレー、炭酸マグネシウム、天然マイカ、合成マイカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、フィルムの中の比誘電率を制御するためにシリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましい。
無機フィラー成分(D)は、平均粒子径は、好ましくは0.01〜15μm、より好ましくは0.02〜12μm、特に好ましくは0.03〜10μmのものを使用することが好ましい。なお、本明細書中、平均粒子径は、電子顕微鏡で無作為に選んだ無機フィラー(C)20個の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径とする。
無機フィラー成分(D)の含有量は、FO−WLP用の反り矯正材の硬化性成分(A1)および(B1)と、硬化剤成分(A2)および(B2)と、反応性のフィルム付与性ポリマー成分(C1)と反応性のフィルム付与性ポリマー成分(C2)の合計を100質量部とした場合、これに対して好ましくは10〜400質量部、より好ましくは20〜350質量部、特に好ましくは30〜300質量部である。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材には、着色剤成分(E)が含まれていてもよい。着色剤成分(E)が含まれることにより、FO−WLP用の反り矯正材を配置した半導体チップを機器に組み込んだ際に、周囲の装置から発生する赤外線等による半導体装置の誤作動を防止することができる。また、レーザーマーキング等の手段により硬化剤お組成物に刻印を行った場合に、文字、記号等のマークが認識しやすくなる。すなわち、反り矯正層が形成された半導体チップでは、保護膜の表面に品番等が通常レーザーマーキング法(レーザー光により保護膜表面を削り取り印字を行う方法)により印字されるが、FO−WLP用の反り矯正材が着色剤を含有することで、保護膜のレーザー光により削り取られた部分とそうでない部分のコントラスト差が充分に得られ、視認性が向上する。
着色剤成分(E)として、有機または無機の顔料および染料を1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、ペリレンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置の誤作動防止の観点からはカーボンブラックが特に好ましい。また、カーボンブラックに代えて、赤、青、緑、黄色などの顔料または染料を混合し、黒色またはそれに近い黒色系の色とすることもできる。
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。Pigment Red 1, 2, 3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等のモノアゾ系赤色着色剤、PigmentRed37,38,41等のジスアゾ系赤色着色剤、PigmentRed48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等のモノアゾレーキ系赤色着色剤、PigmentRed171、PigmentRed175、PigmentRed176、PigmentRed185、PigmentRed208等のベンズイミダゾロン系赤色着色剤、SolventRed135、SolventRed179、PigmentRed123、PigmentRed149、PigmentRed166、PigmentRed178、PigmentRed179、PigmentRed190、PigmentRed194、PigmentRed224等のぺリレン系赤色着色剤、PigmentRed254、PigmentRed255、PigmentRed264、PigmentRed270、PigmentRed272等のジケトピロロピロール系赤色着色剤、PigmentRed220、PigmentRed144、PigmentRed166、PigmentRed214、PigmentRed220、PigmentRed221、PigmentRed242等の縮合アゾ系赤色着色剤、PigmentRed168、PigmentRed177、PigmentRed216、SolventRed149、SolventRed150、SolventRed52、SolventRed207等のアンスラキノン系赤色着色剤、PigmentRed122、PigmentRed202、PigmentRed206、PigmentRed207、PigmentRed209等のキナクリドン系赤色着色剤が挙げられる。
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には:PigmentBlue15、PigmentBlue15:1、PigmentBlue15:2、PigmentBlue15:3、PigmentBlue15:4、PigmentBlue15:6、PigmentBlue16、PigmentBlue60等が挙げられる。染料系としては、SolventBlue35、SolventBlue63、SolventBlue68、SolventBlue70、SolventBlue83、SolventBlue87、SolventBlue94、SolventBlue97、SolventBlue122、SolventBlue136、SolventBlue67、SolventBlue70等を使用することができる。また、これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系などがあり、具体的にはPigmentGreen7、PigmentGreen36、SolventGreen3、SolventGreen5、SolventGreen20、SolventGreen28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。SolventYellow163、PigmentYellow24、PigmentYellow108、PigmentYellow193、PigmentYellow147、PigmentYellow199、PigmentYellow202等のアントラキノン系黄色着色剤、PigmentYellow110、PigmentYellow109、PigmentYellow139、PigmentYellow179、PigmentYellow185等のイソインドリノン系黄色着色剤、PigmentYellow93、PigmentYellow94、PigmentYellow95、PigmentYellow128、PigmentYellow155、PigmentYellow166、PigmentYellow180等の縮合アゾ系黄色着色剤、PigmentYellow120、PigmentYellow151、PigmentYellow154、PigmentYellow156、PigmentYellow175、PigmentYellow181等のベンズイミダゾロン系黄色着色剤、PigmentYellow1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等のモノアゾ系黄色着色剤、PigmentYellow12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等のジスアゾ系黄色着色剤等を使用することができる。
また、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。具体的に例示すれば、PigmentViolet19、23、29、32、36、38、42、SolventViolet13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
なお、FO−WLPのファンアウト領域に貫通電極を形成する場合は、ファンアウト領域とFO−WLP用反り矯正層とを同時にレーザー加工する必要があるため、アライメント用に反り矯正層も光透過性を有していることが好ましい。このような場合も適宜考慮して着色剤成分(E)を選択することができる。
着色剤成分(E)の配合量は、深部への光透過性に優れ、その結果、より好ましい反り矯正層が得られる観点から、FO−WLP用の反り矯正材の硬化性成分(A1)および(B1)と、硬化剤成分(A2)および(B2)と、反応性のフィルム付与性ポリマー成分(C1)と反応性のフィルム付与性ポリマー成分(C2)の合計を100質量部とした場合、これに対して好ましくは0.1〜35質量部、より好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜15質量部の範囲である。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材には、FO−WLPに反り矯正層を設けた場合の反り矯正層の被着体(擬似ウエハ)に対する接着性、密着性および反り矯正層の凝集性の少なくとも何れか一方を向上させるため、無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有するカップリング剤成分(F1)が含まれていてもよい。また、カップリング剤成分(F1)が含まれることにより、FO−WLPにFO−WLP用の反り矯正材の塗布膜を形成し、当該FO−WLP用の反り矯正材を硬化させて反り矯正層を形成した場合に、反り矯正層の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上させることができる。このようなカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらのうちでも、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤に含有される有機基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、ポリスルフィド基、イソシアネート基などが挙げられる。シランカップリング剤として市販されているものを使用することができ、例えば、KA−1003、KBM−1003、KBE−1003、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−6123、KBE−585、KBM−703、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007(いずれも商品名;信越シリコーン社製)などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材には、上記した成分以外に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤、剥離剤、防錆剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、熱重合禁止剤、増粘剤、消泡剤等の電子材料の分野において公知慣用の添加剤を含有してもよい。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材には、有機溶剤を含有することができる。有機溶剤は、分子中にエチレン性不飽和基を含有するポリエーテル化合物の合成、各成分の混合、および得られたFO−WLP用の反り矯正材を基板や支持体フィルムに塗布する際の、粘度調整のために使用できる。
有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤等が挙げることができる。
より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材は、可視光線および紫外線の少なくとも何れか1種の透過性を示す尺度である、波長300〜800nmにおける最大透過率は20%以下であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0%〜10%であることがさらに好ましく、0.001〜8%であることが特に好ましい。
一方、擬似ウエハからFO−WLPを製造する際にアライメントを行う必要がある場合、FO−WLP用の反り矯正材は、赤外線の透過性を示す尺度である、波長800〜1200nmにおける透過率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、65%以上であることが特に好ましい。
波長300〜800nmおよび波長800〜1200nmにおける、FO−WLP用の反り矯正材の透過率を上記範囲とすることで、半導体装置のアライメント性向上や印字の視認性向上といった効果が得られる。
FO−WLP用の反り矯正材の波長300〜800nmおよび波長800〜1200nmにおける最大透過率は、上記した着色剤成分(E)の種類および含有量により調整できる。なお、本明細書において、FO−WLP用の反り矯正材の最大透過率は、UV−visスペクトル検査装置(株式会社島津製作所製)を用いて、FO−WLP用の反り矯正材を硬化させた後の硬化物(反り矯正層(厚み25μm))の300〜1200nmでの全光線透過率を測定し、透過率の最も高い値(最大透過率)をいうものとする。
本発明のFO−WLP用の反り矯正材は、フィルム(ないしはシート状)形状とする場合、その厚さは特に限定されないが、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜250μm、特に好ましくは7〜200μmである。
本発明によるFO−WLP用の反り矯正材は、例えば、加熱により体積が収縮する硬化性成分(A1)として環状エーテル類化合物を含み、活性エネルギー線の照射により体積が収縮する硬化性成分(B1)として分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む場合、初期密着性を有するため、未硬化状態では擬似ウエハやチップ等に押圧することで容易に接着する。また押圧する際にFO−WLP用の反り矯正材に対して、加熱および加圧の何れかの手段を実施してもよい。そして異なる硬化反応を経て最終的には密着性と反り矯正力の高い硬化膜(反り矯正層)を形成することができる。本発明によるFO−WLP用の反り矯正材を用いて形成された硬化膜(反り矯正層)は、接着強度にも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な保護機能を保持し得る。なお、FO−WLP用の反り矯正材を硬化させて得られる反り矯正層は単層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
本発明のFO−WLP用の反り矯正材は、ドライフィルム化して用いてもよく、液状のまま用いても良い。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
ドライフィルム化に際しては、FO−WLP用の反り矯正材を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等で支持体フィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。
塗布膜厚については特に制限はないが、より好ましい反り矯正層が得られる点で、一般に、乾燥後のドライフィルムの膜厚で、5〜150μm、好ましくは10〜60μmの範囲で適宜選択される。
支持体フィルムとしては、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の従来公知のものを好適に使用できる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムからなる離型紙用基材の片面または両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
支持体フィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
支持体フィルム上にFO−WLP用の反り矯正材を成膜した後、さらに、膜の表面への塵の付着防止等の目的で、膜の表面に剥離可能なカバーフィルムを積層してもよい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムの剥離を考慮して、膜と支持体フィルムとの接着力よりも、膜とカバーフィルムとの接着力が小さくなるようにする。
本発明のFO−WLP用の反り矯正材は、例えば有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、インクジェット印刷法等の方法により塗布し、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、フィルム形状を形成できる。
本発明のFO−WLP用の反り矯正材を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
本発明のFO−WLP用の反り矯正材を液状として用いる場合、インクジェット印刷により、FO−WLP擬似ウエハの所望の領域に塗布膜を形成してもよい。その場合、たとえば擬似ウエハ上に形成されている電極パッドや電極ビアやアライメントマークの部分を避けて塗布することにより、反り矯正力を発現しつつその後の電極部分を開口させる工程を省略したりアライメントマークを認識しやすくしたりすることもできる。
また、インクジェット印刷を行う場合、FO−WLP擬似ウエハの特に反りを矯正したい領域のみに塗布して硬化反応を行うことにより、特に反りを矯正したい領域を強く矯正せしめ、FO−WLP擬似ウエハ面内の反りや歪みを効率よく抑制することもできる。
また、インクジェット印刷により反り矯正層を形成する場合、複数回の印刷により行ってもよい。例えば、1回目のインクジェット印刷によりFO−WLP擬似ウエハの全面に塗布膜を形成し、その後の2回目のインクジェット印刷により、反り矯正を施したい領域のみに重ねて塗布膜を形成し、擬似ウエハ面内において塗布膜の厚みを不均一に形成して、面内で反り矯正力の強弱をつけることもできる。
本発明におけるFO−WLP用の反り矯正材をインクジェット用で液状として用いる場合、その好ましい粘度は25℃で10〜1000(Pa・s)であり、好ましい表面張力は10〜50mN/mである。上記のように調整することにより擬似ウエハ上にFO−WLP用の反り矯正材を効率よく形成できることから好ましい。粘度や表面張力の調整は、上記した配合される材料の種類や含有量により適宜行うことができる。
<FO−WLP用反り矯正材の用途>
上記した反り矯正材を用いてFO−WLPの反り矯正層を形成する場合について説明する。
先ず、半導体ウエハを準備し、一方の面に回路形成を行う。半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素(GaAs)などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。半導体ウエハはダイシング工程を経て、個々の半導体チップに切り分けておいてもよい。
上記のようにして得た半導体チップを、粘着層を介して表面が平滑な板状のキャリアに載置する。キャリアとしては特に限定されないが、円形や四角形のシリコンウエハや金属板を用いることができる。また、粘着層としては、半導体チップを仮固定でき、擬似ウエハ作製後に剥離が可能なものを用いる。このような粘着層材料としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、スチレン・共役ジエンブロック共重合体などを用いることができる。また、粘着層材料として、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂と、上記したようなラジカル重合開始剤を含有させることもでき、このような樹脂を含有させることにより、加熱または活性エネルギー線の照射により、粘着層の粘着性を変化させることもできる。
粘着層上に半導体チップを載置する際は、複数の半導体チップを離間して載置する。載置される半導体チップは平面視において、縦横方向における配置数が同一でも異なってもよく、また、密度の向上や単位半導体チップ当たりの端子面積を確保する等の各種の観点から、点対称や格子状等に配置されてもよい。隣接する半導体チップ間の離間部の距離は、特に限定されないが、最終的に得られるFO−WLPの接続端子を形成するために必要なファンアウト(FO)領域が得られるように配置することが望ましい。
続いて、板状のキャリア上に粘着層を介して載置した半導体チップを封止材により封止する。半導体チップの側壁面および上面が封止材で封止されるように、半導体チップが載置されキャリア上に封止材を塗布ないし貼り合わせる。この際、半導体チップ間の離間部にも封止材が埋め込まれるように成形する。このような封止材を用いた封止工程は、液状、顆粒、シート状である公知の半導体封止用樹脂組成物を用い、圧縮成形を行うことによって形成することができる。公知の半導体封止用樹脂組成物には主にエポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、硬化促進剤、球状フィラー等が用いられる。
封止材を硬化させた後、板状のキャリアを剥離する。剥離は、封止材および半導体チップと粘着層の間で行う。剥離方法としては、加熱処理を行い粘着層の粘着力を変化(低下)させてはく離する方法、先に板状のキャリアと粘着層の間で剥離を行い、そののちに粘着層に加熱処理または電子線や紫外線などの照射処理を施したのちにはく離する方法等が挙げられる。
このようにして得られた擬似ウエハは、ポストキュアを実施してもよい。ポストキュアとしては、例えば、150〜200℃の温度範囲で、10分〜8時間の範囲で行う。続いて、得られた擬似ウエハの半導体が埋め込まれている面の反対側を研磨して、擬似ウエハを薄くすることもできる。研削する方法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。擬似ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は50〜500μm程度である。
続いて、擬似ウエハの半導体チップの回路が露出している面側に、再配線層を形成する。先ず、擬似ウエハの半導体チップの回路が露出している面の全面にスピンコート法等を用いて再配線用絶縁樹脂を塗布し、100℃程度でプリベークを行い、再配線用絶縁樹脂層を形成する。次に、半導体チップの接続パッドを開口させるために、フォトリソグラフィー法等を用いて、再配線用絶縁樹脂層にパターンを形成して加熱処理(キュア)を行う。加熱処理の条件としては、例えば、150〜250℃の温度範囲で、10分〜5時間の範囲で行う。再配線用絶縁樹脂としては、特に限定されないが、耐熱性及び信頼性の観点から、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサイド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などが用いられる。上記したように、再配線用絶縁樹脂を加熱処理する際に、絶縁樹脂の加熱収縮により擬似ウエハに反りが生じる場合がある。
擬似ウエハの再配線層面の全面に給電層をスパッタ等の方法で形成し、次いで、給電層の上にレジスト層を形成し、所定のパターンに露光、現像した後、電解銅メッキにてビアおよび再配線回路を形成する。再配線回路を形成した後、レジスト層を剥離し、給電層をエッチングする。
続いて、再配線回路上に設けたランドにフラックスを塗布し、半田ボールを搭載したのち加熱溶融することにより、半田ボールをランドに取り付ける。また、再配線回路および半田ボールの一部を覆うようにソルダーレジスト層を形成してもよい。塗布されるフラックスは、樹脂系や水溶系のものを使用することができる。加熱溶融方法としては、リフロー、ホットプレート等が使用できる。このようにしてFO−WLPの擬似ウエハが得られる。
この後、ダイシング等の方法により、FO−WLPの擬似ウエハを個片化することでFO−WLPが得られる。
このようにして得られた擬似ウエハの再配線層が形成されている面の反対側の面に、FO−WLP用反り矯正材を塗布して塗布膜を形成する。液状の反り矯正材により塗布膜を形成する場合の塗布方法としては、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法等が挙げられる。また、FO−WLP用反り矯正材を上記したようなドライフィルム化したものを用いる場合は、ドライフィルムを貼り合わせる。貼着方法としては、ハンドローラ、ラミネータ、真空ラミネータ、圧縮成形等の公知の方法を用いることができる。
貼着工程で加熱してもよいが、加熱しながらドライフィルムを貼着する場合は、FO−WLP用反り矯正材の熱硬化反応が進行しない範囲での加熱が望ましい。熱硬化反応が開始する温度としては、たとえばDSC測定での反応熱が観察されるONSET温度を確認し、その温度以下に設定することができる。DSC測定は、たとえばTA Instruments社 DSC Q100を用い、FO−WLP用反り矯正材を窒素雰囲気化で昇温速度5℃/minにて30〜300℃まで昇温することで、ONSET温度、Peak top温度、OFFSET温度を求めることができる。
その後、ドライフィルムから支持体フィルムを剥離し、擬似ウエハとドライフィルムとの積層体を得る。
次いで、ドライフィルムを硬化させて反り矯正層を形成する。FO−WLP用反り矯正材中に、活性エネルギー線により硬化反応が進行する硬化性成分が含まれている場合、活性エネルギー線の照射を行うことにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)を硬化させることができる。反応前のドライフィルムの全面に活性エネルギー線を照射し露光してもよく、パターンを形成したフォトマスクを通して、接触式または非接触方式により活性エネルギー線による露光を行ってもよい。このほか、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光することにより、露光部分を光硬化させることもできる。
パターンを形成したフォトマスクでの露光やレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する場合で、部分的に露光する場合においては、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3〜3wt%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液や0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像して、反り矯正層の感光パターンを形成してもよいし、現像せずに光硬化部分と未硬化部分を形成してもよい。
フォトマスクでの露光やレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する場合のパターン形状としてはたとえば格子模様、市松模様、水玉模様などの繰り返し模様から選択することもできる。開口部・遮光部の模様の繰り返し単位は最終的に得られる半導体パッケージのサイズよりも小さいことが好ましい。またFO−WLPの擬似ウエハで半導体チップが存在する領域と擬似ウエハを形成する樹脂の領域で異なるパターンを用いてもよい。
露光する際、ウエハ中央部分から周辺部分にむかって、フォトマスクの開口部/遮光部から計算される開口率や模様を連続的/非連続的に変化させて活性エネルギー線を照射することにより、反り矯正層の反応状態を面内で変化させることもできる。レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する場合は全面を均一パターンで露光してもよいし、不均一に露光してもよい。さらに露光する模様を連続的/非連続的に変化させてもよい。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置を用いてもよい。
直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のレーザー光源としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれであってもよい。
露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10〜10000mJ/cm2、好ましくは20〜8000mJ/cm2の範囲内とすることができる。
現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
本発明においては、活性エネルギー線の照射量や全面照射と部分照射の選択や、部分照射の場合の現像処理により、擬似ウエハの反り矯正層の硬化度を適宜調整することにより、FO−WLPの反り具合によって、矯正量を簡便に調整することができる。
FO−WLP用反り矯正材中に、熱により硬化反応が進行する硬化性成分が含まれている場合、加熱を行って硬化反応を進行させることができる。加熱の方法としてはオーブン加熱、ホットプレート加熱高温空気加熱、赤外線加熱、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
FO−WLP用反り矯正材を熱により硬化させて反り矯正層とする際の温度は、たとえばDSC測定での反応熱が観察されるONSET温度を確認し、その温度以上に設定することができる。さらにPeak Top温度以上でOFFSET温度以下に設定することが望ましい。DSC測定は、たとえばTA Instruments社 DSC Q100を用い、FO−WLP用反り矯正材を窒素雰囲気化で昇温速度5℃/minにて30〜300℃まで昇温することで、ONSET温度、Peak top温度、OFFSET温度を求めることができる。
本発明においては、熱により硬化させる際の温度や時間を調整したり、目標の温度まで一段階で温度を上げる方法や中間温度を経て最終温度に加熱するステップ加熱を行うことにより、擬似ウエハの反り矯正層の硬化度を適宜調整し、FO−WLPの反り具合によって、矯正量を簡便に調整することができる。FO−WLP用反り矯正材を加熱により硬化させる時間は30秒〜3時間が望ましい。
FO−WLP用反り矯正材の硬化方法としては、活性エネルギー線の照射と加熱は同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。また、活性エネルギー線の照射は1回または2回以上行ってもよい。また、熱硬化のための加熱も1回または2回以上行ってもよい。本発明においては、活性エネルギー線の照射と加熱を同時に行う方法、活性エネルギー線の照射の後に加熱を行う方法、加熱の後に活性エネルギー線を照射する方法、活性エネルギー線の照射の後に加熱を行い、さらに活性エネルギー線を照射する方法が、硬化反応の反応性の観点から好ましい。
また、活性エネルギー線の照射や加熱によりFO−WLP用反り矯正材を硬化させて反り矯正層を形成した後であっても、反り矯正量が不足する場合には、追加の活性エネルギー線の照射や加熱を行い、さらに反応を促進させて反り矯正力を高めることもできる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのないかぎり、「部」、「%」は質量部を意味するものとする。
<硬化性成分(B1)1の調製>
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置、および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(昭和電工社製、ショーノールCRG951、OH当量:119.4)119.4部、水酸化カリウム1.19部およびトルエン119.4部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部およびトルエン252.9部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部およびトリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、冷却後、固形物の酸価88mgKOH/g、固形分70.9%の硬化性成分(B1)1であるアクリル含有ポリエーテル化合物溶液を得た。
<硬化性成分(B1)2の調製>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、EOCN−104S、エポキシ当量220g/eq)220部(1当量)、カルビトールアセテート140.1部、およびソルベントナフサ60.3部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルホスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約12時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸80.6部(0.53モル)を加え、90℃に加熱し、約6時間反応させ、固形分の酸価85mgKOH/g、固形分64.9%の硬化性成分(B1)2であるアクリル含有ポリエーテル化合物溶液を得た。
<フィルム性付与ポリマー(C1)の調製>
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(CA)75gに、Y−X−Y型ブロック共重合体(アルケマ社製M52N)を25gを加え、攪拌し、80℃にて加熱することにより溶解させた。これをフィルム性付与ポリマーC1とした。
<反り矯正材1〜7の調製>
下記の表1中に示す配合に従い、各成分を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで分散させ、混練して、それぞれ反り矯正材を調製した。なお、表中の配合量は、質量部を示す。なお、表中の硬化性成分(B1)、硬化剤成分(A2−1)およびフィルム性付与ポリマ(C1)は固形分としての値である。
なお、表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
N−770:DIC社製 フェノールノボラック型エポキシ エピクロンN−770
EP−828:三菱化学製基本液状タイプエポキシ“828”
EP1007:三菱化学製基本固形タイプエポキシ“1007”
1B2PZ:四国化成製1B2PZ 1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール
GMA:共栄社化学製 ライトエステルG グリシジルメタクリレート
DPGDA:ダイセル・オルネクス株式会社製DPGDA ジプロピレングリコールジアクリレート
HDDA:ダイセル・オルネクス株式会社製HDDA 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
TPGDA:ダイセル・オルネクス株式会社製TPGDA トリプロピレングリコールジアクリレート
TMPEOTA:ダイセル・オルネクス株式会社製TMPEOTA トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート
DPHA:ダイセル・オルネクス株式会社製DPHA ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
DCPA:共栄社化学製 ライトアクリレートDCPA
IRGACURE 819:BASFジャパン社製 IRGACURE 819
IRGACURE TPO:BASFジャパン社製 IRGACURE TPO M52N:アルケマ社製 ナノストレングスM52N Y−X−Y型ブロック共重合体
シリカ:アドマテックス社製 アドマファインSO−E2 青色着色剤:C.I.Pigment Blue 15:3
黄色着色剤:C.I.Pigment Yellow 147
赤色発色剤:BASFジャパン社製 Paliogen Red K3580
なお、表中の硬化剤成分(A2−1)1、硬化性成分(B1)1、および硬化性成分(B1)2の値は固形分換算の値を表す。
<ドライフィルムの作製>
上記のようにして得られた反り矯正材のうち、反り矯正材1,2および5はそのままインクジェット印刷用に用いた。一方、反り矯正材3,4,6および7を用いてドライフィルムを作製した。まず、反り矯正材をメチルエチルケトンで適宜希釈した後、アプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が40μmになるようにPETフィルム(東レ社製、FB−50:16μm)に塗布し、80℃で30分乾燥させドライフィルム3,4,6および7を得た。
<反り矯正材の加熱による体積収縮率の測定>
上記のようにして調製した反り矯正材が25℃で液状である場合は、当該反り矯正材を10mLメスシリンダーに加え25℃の部屋に6時間放置し、その後に質量を測定し、実測体積と質量から加熱硬化前の密度(ρ0−H)を求めた。一方、ドライフィルムのように25℃で固体である場合は、この固形物の密度をメトラー・トレド株式会社製,XS−205分析天秤と密度測定キット「固体及び液体の密度測定キット」を用い、置換液として蒸留水を用いて、下記式により加熱硬化前の密度(ρ0−H)を算出した。
ρ0−H=(α×ρH2O)/(α―β)
(上記式中、ρ0−Hは加熱硬化前の固形物の密度、αは大気中での固形物の質量、βは置換液中での固形物の質量、ρH2Oは測定温度での蒸留水の密度、を表す。)
続いて、反り矯正材が液状の場合は、内径49mmφのPTFE容器に2g程度充填し、100℃に加熱したオーブンに60分間投入し、その後150℃に加熱したオーブンに60分間投入することで熱硬化させた。一方、ドライフィルムのように25℃で固体である場合は、厚みが200μm程度となるようにドライフフィルムを重ねてラミネートして、100℃に加熱したオーブンに60分間投入し、その後150℃に加熱したオーブンに60分間投入することで熱硬化させた。得られた硬化物(以下、加熱硬化物という)の密度を、上記と同様にして分析天秤を用いて測定した。
上記のようにして求めた反り矯正材の熱硬化前の密度(ρ0−H)と熱硬化後の密度ρHとから、下記式により反り矯正材の加熱による体積収縮率(αH)を算出した。
αH=(1−ρ0−H/ρH)×100(%)
反り矯正材の加熱による体積収縮率(αH)は、表3に示される通りであった。
<反り矯正材の活性エネルギー線照射による体積収縮率の測定>
上記のようにして調製した反り矯正材が25℃で液状である場合は、当該反り矯正材を10mLメスシリンダーに加え25℃の部屋に6時間放置し、その後に質量を測定し、実測体積と質量から活性エネルギー線照射前の密度(ρ0−I)を求めた。一方、ドライフィルムのように25℃で固体である場合は、この固形物の密度をメトラー・トレド株式会社製,XS−205分析天秤と密度測定キット「固体及び液体の密度測定キット」を用い、置換液として蒸留水を用いて、下記式により活性エネルギー線照射前の密度(ρ0−I)を算出した。
ρ0−I=(α×ρH2O)/(α―β)
(上記式中、ρ0−Iは活性エネルギー線照射前の固形物の密度、αは大気中での固形物の質量、βは置換液中での固形物の質量、ρH2Oは測定温度での蒸留水の密度、を表す。)
続いて、反り矯正材が液状の場合は、内径49mmφのPTFE容器に2g程度充填し、メタルハライドランプにて活性エネルギー線を照射(露光量:5000mJ/cm2)することで硬化させた。一方、ドライフィルムのように25℃で固体である場合は、厚みが200μm程度となるようにドライフフィルムを重ねてラミネートして、メタルハライドランプにて活性エネルギー線を照射(露光量:5000mJ/cm2)することで硬化させた。活性エネルギー線を照射して得られた硬化物の密度(ρI)は、上記と同様にして分析天秤を用いて測定した。
上記のようにして測定した活性エネルギー線照射前の反り矯正材の密度(ρ0−I)と活性エネルギー線照射後の硬化物の密度(ρI)とから、下記式により反り矯正材の活性エネルギー線照射による体積収縮率(αI)を算出した。
αI=(1−ρ0―I/ρI)×100(%)
反り矯正材の活性エネルギー線照射による体積収縮率(αI)は、下記表3に示される通りであった。
<擬似ウエハの準備>
キャノシス株式会社製の片面に100nmのSiO2膜が形成された4inch、厚み150umのP型シリコンウエハを、ダイシング装置を用いてダイシングを行い、10mm×10mm角の半導体チップを得た。SUS製平面基板上に仮固定フィルムを配置し、上記半導体チップをSiO2面が仮固定フィルムと接触し、半導体チップの間が上下左右で10mm間隔となるように縦横5×5個配置した。この上に100mm×100mm角シート状の半導体用封止材を中心位置がおよそ一致するように積層し、加熱式プレス圧着機を用いて150℃で1時間圧縮成形させた。半導体用封止材としては、下記の組成を有する混練物を2枚の50umのカバーフィルム(帝人ピューレックスフィルム)に挟むように配置し、平板プレス法により混練物をシート状に形成し、厚さ200umのシート状に形成したものを用いた。
<半導体用封止材組成物の調製>
以下の成分を配合し、ロール混練機で70℃4分間、続いて120℃6分間加熱し、合計10分間、減圧(0.01kg/cm2)しながら溶融混練し、混練物を作製した。
・ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製NC−7000) 30部
・ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製 YX−4000) 10部
・フェノール樹脂(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・アントラキノン 2部
・カーボンブラック(三菱化学社製 カーボンMA−100) 10部
・球状シリカ(アドマテックス社製 アドマファインSO−E2) 500部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製 2PZ) 2部
次いで、得られた積層体から仮固定フィルムをはがし、裏側を研磨して、100mm×100mm角、厚み200umの擬似ウエハを得た。
得られた擬似ウエハの半導体回路面側に、下記組成を有するポジ型の再配線形成用樹脂組成物をスピンコートで塗布し、100℃で20分間加熱してプリベークを行った。プリベーク後の擬似ウエハ上に形成された感光性再配線形成用樹脂層の厚みは10umであった。
<再配線形成用樹脂組成物の調製>
まず、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンを、N−メチルピロリドンに溶解させ、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドのN−メチルピロリドンを滴下しながら0〜5℃で反応させて、重量平均分子量1.3×104のポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)樹脂を合成した。
次いで、ポリヒドロキシアミド樹脂を含む下記の成分を配合し、この混合溶液を3μm孔のテフロン(登録商標)フィルタを用いて加圧ろ過して、再配線用樹脂組成物を調製した。
・ポリヒドロキシアミド樹脂(Z2) 100部
・フェノール樹脂(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニ−製 DEN−431) 10部
・1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル
(AZエレクトロニックマテリアルズ社製商品名TPPA528) 10部
・Y−X−Y型ブロック共重合体
(アルケマ社製 ナノストレングスM52N) 5部
・シランカップリング剤(信越化学社製 KBM−403) 2部
・γ−ブチロラクトン 30部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部
続いて、100umの円形の開口パターンが400umピッチで縦横に連続して形成されているフォトマスクを介して、ORC社製のHMW680GW(メタルハライドランプ)を用いて、露光量500mJ/cm2で、ポジ型のパターン状に光照射を行い、TMAH2.38wt%水溶液を用いて、25℃で2分間現像を行って丸型開口パターンが形成された再配線樹脂層を形成した。その後、200℃で1時間ベーク処理を行い室温まで冷却した。こうして得られた擬似ウエハは、再配線樹脂層側が凹となるような反りが発生していた。反り量は、100mm×100mm角の周辺部を基準として中央部が6mm凹んだ状態であった。
擬似ウエハの回路形成面(再配線樹脂層を形成した面)とは反対側の面の全面に、上記で得られた各反り矯正材1,2および5を用いてピエゾ型インクジェット印刷機により塗布後の厚みが20μmとなるように塗布膜を形成した。この時、印刷直後にインクジェットヘッドに付帯する高圧水銀灯にて活性エネルギー線硬化を行い(工程1)、さらに工程2の加熱を行って塗布膜を硬化させた。表2の工程3に条件が記載されている反り矯正材2では、さらに活性エネルギー線の照射を行った。硬化反応は表2に示す通りとした。
また、各ドライフィルム3,4,6および7を擬似ウエハの回路形成面とは反対側の面に真空ラミネータを用いて貼り合わせ、続いて、表2に示す露光条件と加熱条件の組合せにて、ドライフィルムを硬化させた。露光工程が加熱工程よりも先に実施されたものにおいては、露光工程の後に支持体フィルムを剥離し、加熱工程を実施した。なお、硬化反応は表2の工程1,2,3の順に行った。
なお、表2中、横線(−)はその工程を実施しなかったことを表す。また、UV1、UV2、UV3、UV4およびK1は、それぞれ以下の硬化条件を示す。
UV1:25℃下で、インクジェット印刷装置に付属する高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2で着弾した液滴に照射
UV2:25℃下で、インクジェット印刷装置に付属する高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2で半導体チップが埋め込まれている位置にのみ照射
UV3:25℃下で、メタルハライドランプを用いて3000mJ/cm2で全面照射
UV4:25℃下で、メタルハライドランプを用いて2000mJ/cm2で全面照射
K1:170℃で1時間の加熱
<擬似ウエハの反り測定>
上記のようにして反り矯正層を形成した擬似ウエハの反り量を測定した。反り量は、25℃においてロングジョウノギスを用いて測定した。擬似ウエハの周辺部の2点を基準として中心部の反りが±2mm以下であれば良好(〇)とした。±2〜3mmは△、±3mmを超えるときは不良(×)と判定した。×判定のものはそのあとの評価を行わなかった。評価結果は下記の表3に示される通りであった。
<擬似ウエハの信頼性試験>
上記の反り評価において良好な結果が得られたウエハはダイシングしてチップ形状に切り出し、1つの条件に付き10個のサンプルについて半田耐熱性(260℃で10秒間を3回)、冷熱サイクル500回(−40℃で15分間放置した後に125℃で15分間放置するのを1サイクルとする)の信頼性試験を行った。その後、擬似ウエハの断面の顕微鏡観察を行い、反り矯正材が密着している境界部分を観察して、はく離が生じている不良品の有無を確認した。10個中はく離が0個のとき合格(〇)、1つ以上で剥離が生じていた場合は不合格(×)とした。評価結果は下記の表3に示される通りであった。
表3からも明らかなように、活性エネルギー線の照射により体積が収縮し、前記活性エネルギー線照射後の加熱によりさらに体積が収縮する反り矯正材1,2,3,4を用いて形成された反り矯正層を備えたFO−WLP擬似ウエハは、反り矯正力が高く、かつその後の半導体実装時の熱履歴や信頼性評価でもはく離不良が発生せず良好な結果であった。
一方、活性エネルギー線の照射により体積が収縮するが、さらなる加熱によっては体積が収縮しない反り矯正材5および7を用いて形成された反り矯正層を備えたFO−WLP擬似ウエハは、反り矯正力が不十分であり、反り矯正力時に剥離が生じたり、半導体実装時の熱履歴や信頼性評価ではく離が生じたりした。また、加熱により体積が収縮するが、活性エネルギー線の照射によっては体積が収縮しない反り矯正材6を用いて形成された反り矯正層を備えたFO−WLP擬似ウエハは、反り矯正力が不十分であった。