JP6778863B2 - アロフェン膜複合体、それを用いたシート、及びアロフェン膜複合体の製造方法 - Google Patents

アロフェン膜複合体、それを用いたシート、及びアロフェン膜複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エアロゾルデポジション法により形成させた粘土鉱物アロフェン膜が基材との密着性を備えるアロフェン膜複合体に関する。
アロフェンは、軽石や火山灰など火山噴出物に由来する土壌に多く賦存する低結晶性アルミニウムケイ酸塩および非晶質アルミニウムケイ酸塩である。アロフェンはケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)および水素(H)(水酸基(OH))からなる。その形態は直径3.5nm〜5nmの中空球で、比表面積(〜900m2/g)を有し、1層のギブサイト八面体シートを球壁とし、SiO4四面体がその内側に結合した構造を有し、球壁に0.3nm〜0.5nmの貫通孔が多く存在する。このような特徴的構造のためアロフェンは大きな表面積を持ち、表面に水酸基を持つことから、水、有機物質、各種ガス成分等を吸着できる。これらの特性から、アロフェンは、天然ガス等の燃料貯蔵媒体や生活環境の湿度を自律的に制御する湿度調整材等の様々な分野で応用されている。
しかしながら、アロフェンはナノ粒子であるため、工業的な利用にあたってはハンドリングを容易にするため、様々な形状に成形されて使用されている。アロフェン製品の主な形状には、粉末状、顆粒状、タブレット状、膜状がある。このうち、粉末状、顆粒状、タブレット状のアロフェン製品は、使用の際に小分けに包装するか、専用のケースに充填する必要がある。そのため、それぞれの使用空間に余分な容積が必要となり、使用できる領域が限られる。
一方、そのような制限がない膜状のアロフェンは、より広い領域で使用でき、これまで無かった応用も期待できる。例えば、包装資材にアロフェンをコーティングすれば、包装資材自体に乾燥特性を付加できるため、別途の乾燥剤を同封する必要がなくなるなど、自由な形状の乾燥剤、吸着剤として様々な産業分野に応用できる。
膜状にアロフェンを成形する方法として、以下のような結合材を用いた塗料・コーティング材が提案されている。例えば、特許文献1には、アロフェンの付着した固相被覆体の表面に常温硬化性ガラスを塗布して、アロフェンの空隙をガラスで結合した複合体を形成して被覆する方法が記載されている。また、特許文献2には、白色顔料、シラン化合物および溶媒を含有する塗布液が記載されている。
特許文献3及び4には、アロフェンがコーティングされたアロフェン−酸化チタン複合粒子と樹脂成分とを含む耐候性・耐汚染性エマルション塗料を製造する方法が記載されている。また、特許文献5には、調湿・ガス吸着性を有する多孔質の連続皮膜を形成するためのアロフェンと樹脂からなるコーティング剤が記載されている。また、特許文献6には、合成樹脂が配合された水性エマルジョンにアロフェン粒子が配合された透明塗材の塗膜が記載されている。また、特許文献7には、無機調湿材を5〜95重量%と、樹脂バインダー(固形分)を1〜25重量%と、透湿性付与剤(固形分)を0.1〜15重量%と含む塗壁材が記載されている。特許文献8には、アロフェンとスラグ、セメント等の水硬性物質ならびに有機質補強繊維および無機質繊維の何れか一方または双方を含む吸放湿性基材の表面に、吸放湿性材料粒粉が添加された塗料による塗膜層を形成してなる吸放湿性防火建材が記載されている。また、特許文献9には、アロフェンをラテックス等の水性結合媒体や膜形成性のある塗料等と混合し、薄片又は処理基材上に均一に形成されたアロフェン膜が記載されている。
アロフェンを練り込んだ繊維を布上に加工する、以下のような方法も提案されている。例えば、特許文献10及び11には、アロフェンを合成繊維中に練り込まれ、繊維構造体として膜体の形態で利用することが記載されている。また、特許文献12には、合成繊維からなる構造体の表面に、アロフェンを含有するコーティング剤を付与することが記載されている。
また、特許文献13には、アロフェンを紙への透き込む方法が提案されている。
特開2014−226632号公報 特開2014−141626号公報 特開2010−150434号公報 特開2010−058994号公報 特開2008−138167号公報 特開2007−063779号公報 特開2006−002407号公報 特開2003−155786号公報 特開2001−047493号公報 特開2006−218403号公報 特開2005−105447号公報 特開2005−105448号公報 特開2003−073997号公報
これら膜状アロフェンを提供する先行技術は、結合材や繊維・紙の内部にアロフェンが埋没し、その細孔が少なからず閉塞することで、吸着等の特性低下が避けられない。本発明は、従来の欠点を鑑みてなされたもので、アルミ基材、不織布等の基材にアロフェン単味の膜を形成したアロフェン膜複合体を提供するとともに、その密着強度を高めることを目的とする。また、アロフェン膜複合体の製造方法を提供する。さらに、アルミ基材、不織布等の基材にアロフェン単味の膜を形成したアロフェン膜複合体を用いたシートを提供する。
本発明の一実施形態に係るアロフェン膜複合体は、基材と、平均直径が3.5nm以上10nm以下を備えるアロフェンが前記基材上に堆積したアロフェン膜と、を備え、前記基材と前記アロフェン膜との密着力が4N/10mm以上、90度の曲げ試験を繰り返して前記アロフェン膜が前記基材から剥離する回数が1回以上である。
前記アロフェン膜は、厚さが5μm以上70μm以下、吸湿率が10%以上30%以下、表面硬度がH以上を備える。
前記基材は、ガラス、アルミニウム、アルミナ、不織布、ポリエチレンフィルムでコーティングされた不織布又はアルミナシート、シリカ含有ポリエチレンフィルムでコーティングされたアルミナシート、及びPETシートの群から選ばれる1つである。
前記不織布は、24時間での透湿度が9500g/m2以上1100g/m2以下、通気度が10ml/cm2以上25cc/cm2以下、密度が65g/m2以上80g/m2以下、厚さが0.14mm以上0.25mm以下を備える。
本発明の一実施形態に係るアロフェン膜複合体の製造方法は、前記何れか1項に記載のアロフェン膜複合体の製造方法において、アロフェン原料微粒子を搬送ガスと混合してエアロゾル化し、エアロゾル化した原料微粒子を、該搬送ガスと共に、ノズルを通して加速して前記基材の表面に向けて噴射せしめることにより、減圧チャンバ内で前記基材にアロフェン膜を形成する。
本発明の一実施形態において、吸水シートは、前記基材が不織布であるアロフェン膜複合体を備える。
本発明の一実施形態において、吸着シートは、前記基材が不織布であるアロフェン膜複合体を備える。
本発明の一実施形態において、調湿シートは、前記基材が不織布であるアロフェン膜複合体を備える。
本発明のアロフェン膜は、結合材を含まないアロフェン単味からなることに特徴がある。結合材によるアロフェン細孔の閉塞がないことから吸着能の低下がない。アロフェン粉末と比較して、アロフェン膜の吸着能の低下がない。また、膜状であるためアロフェン単味のバルク体と比較して、吸着速度が速いという優位点も発現した。
本発明の一実施形態に係るアロフェン膜複合体10を示す模式図であり、(a)はアロフェン膜複合体10の斜視図を示し、(b)はアロフェン膜複合体10の断面図を示す。 本発明の一実施形態に係るアロフェン原料微粒子17を示し、(a)はアロフェン原料微粒子17の模式図であり、(b)はアロフェン原料微粒子17のSEM像である。 本発明の一実施形態に係るアロフェン膜複合体の製造方法に用いるAD法による製造装置1の一例を示す模式図である。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜複合体10を示し、(a)はアロフェン膜複合体10の断面の電界放射型電子顕微鏡像を示し、(b)はFIBを用いたアロフェン膜複合体20の断面像を示す。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜複合体10のアロフェン膜13の透過型電子顕微鏡像である。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜の相対湿度と吸湿率との相関曲線である。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜の重量に対して吸湿量をプロットした図である。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜複合体の脂肪酸吸着試験の結果を示す。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜複合体の油分吸着試験の結果を示す。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜複合体のリン酸イオンの吸着試験結果を示す。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜複合体の調湿試験の結果を示す。 本発明の一実施例に係るアロフェン膜複合体の吸湿時間に対して吸湿率をプロットした図である。
以下、図面を参照して本発明に係るアロフェン膜複合体、それを用いたシート、及びアロフェン膜複合体の製造方法について説明する。なお、本発明のアロフェン膜複合体、それを用いたシート、及びアロフェン膜複合体の製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアロフェン膜複合体10を示す模式図である。図1(a)はアロフェン膜複合体10の斜視図を示し、図1(b)はアロフェン膜複合体10の断面図を示す。アロフェン膜複合体10は、基材11と、基材11上にアロフェン微粒子15が堆積されたアロフェン膜13と、を備える。アロフェン膜複合体10は、結合材を含まないアロフェン単味(アロフェン微粒子15のみ)からなるアロフェン膜13を備える。このため、アロフェン単味のバルク体に匹敵する従来にない吸着能の有する。また、アロフェン膜13は、アロフェン単味のバルク体と比較して、吸着速度が速い。
アロフェン(粘土鉱物アロフェンとも称する。)は、国内外から天然に産するものを採用することができる。また、アロフェンはケイ酸とアルミニウムイオンの共存溶液を水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いた中和反応により合成することもできる。本発明に係るアロフェン膜複合体には、この合成アロフェンを採用してもよい。天然のアロフェンをそのまま使用することもできるが、好ましくは、含まれる石英や火山ガラスなどの不純物を水ヒ等の分離方法をもってアロフェン純度を高めた原料を用いることで、形成されるアロフェン膜の純度を高めることができる。
図2にアロフェン原料微粒子17を示す。図2(a)はアロフェン原料微粒子17の模式図であり、図2(b)はアロフェン原料微粒子17の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。アロフェン原料微粒子17は、複数のアロフェン微粒子15が凝集した構造を有する。アロフェン原料微粒子17は数μm〜数十μmの粒径を有する不定形の粒子である。
アロフェン膜13は、空孔を備え、基材11側からアロフェン膜13の表面に向けてアロフェン微粒子15が密から疎の堆積状態を備え、かつ基材11とアロフェン膜13との密な状態である。アロフェン膜13は、厚さが5μm以上70μm以下、吸湿率が10%以上30%以下、表面硬度がH以上を備える。一実施形態において、アロフェン膜13は、基材11側では数十nmの空隙が存在するアロフェン微粒子15が密な状態であり、表面近傍では1μm以下の比較的大きな空隙が存在するアロフェン微粒子15が疎となる状態である。
アロフェン膜13は、中空状のアルミニウムシリケート(SiO2/Al23)であるアロフェンを備える。アロフェンは、平均直径が3.5nm以上10nm以下である。アロフェン膜13は、吸湿性があり、アロフェン膜13の重量が増えると吸湿量も増える。アロフェン膜13は、水中においても、その形態を保持することができる。
基材11は、ガラス、アルミニウム、アルミナ、不織布、ポリエチレンフィルムでコーティングしてなる不織布又はアルミナシート、シリカ含有ポリエチレンフィルムでコーティングしてなるアルミナシート及びPETシートの群から選ばれる1つである。
基材11として不織布を選択する場合、不織布は、24時間での透湿度が9500g/m 2以上1100g/m2以下、通気度が10ml/cm2以上25ml/cm2以下、質量が65g/m2以上80g/m2以下、厚さが0.14mm以上0.25mm以下を備える。
[製造方法]
本発明の一実施形態に係るアロフェン膜複合体10の形成には、エアロゾルデポジション法(AD法)を使用することが好ましい。図3は、本発明の一実施形態に係るアロフェン膜複合体の製造方法に用いるAD法による製造装置1の一例を示す模式図である。AD法については、例えば、特許第3265481号を参照することができる。製造装置1は、例えば、減圧チャンバ2内に基材11と、ノズル4とを配設している。基材11は形成されたアロフェン膜13を支持する。
ノズル4はアロフェン原料微粒子17を基材11上に供給し、アロフェン微粒子圧粉体12を形成するものである。アロフェン微粒子圧粉体12はノズル4からアロフェン微粒子15が基材11上に吹き付けられ、この吹き付けによってアロフェン微粒子15に機械的衝撃力が作用してアロフェン微粒子15の間に接合状態が生じた状態である。基材11は基板駆動装置6に取り付けられ、基板駆動装置6に駆動されてチャンバ2内で変位可能である。ノズル4もチャンバ内で変位可能に構成してもよい。
アロフェン原料微粒子17を搬送ガスと混合してエアロゾル化し、該搬送ガスと共に、アロフェン微粒子15を、ノズル4を通して加速して被堆積基材11の表面に向けて噴射せしめることにより、減圧チャンバ2内で基材11にアロフェン膜13を形成させる。このとき、搬送ガスの流量は、2L/min〜7L/min程度とすることが好ましく、基板駆動装置6のスピードは4mm/sec〜10mm/secとすることが好ましい。また、チャンバ2内の圧力を100Pa〜90Paであることが好ましい。搬送ガスとしては、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスや乾燥した空気等を用いることができる。
また、一実施形態において、ノズル4からの吹き付けによる衝撃力に応じて、使用するアロフェン微粒子材料の機械的強度(脆性破壊強度)などの破壊強度を上述の衝撃力で粉砕が容易に起こるように、長時間ボールミルやジェットミルなどの粉砕機にかけ、クラックなどを予め形成しておいてもよい。
この様なアロフェン粒子材料を使用することで、アロフェン原料微粒子17を少なくとも100nm以下に粉砕し、清浄な新生表面を形成し、低温接合を生じさせ、室温で微粒子同士の接合を実現することができる。この時、使用する元のアロフェン原料微粒子17の粒子径が、50nm以下の場合は、上述した衝撃粉砕は生じにくいと考えられる。また、基板に吹き付ける方法の場合、粒子径が大きすぎると、粉砕に必要な衝撃力を与えることが困難になる。従って、上述したそれぞれの成形方法に対して、適切な粒径範囲(おおよそ、50nm〜5μm)が存在するものと考えられる。
粘土鉱物としては、ゼオライト、カオリナイト、タルク等が知られているが、アロフェンは、これらの粘土鉱物とはその構造が大きく異なる。ゼオライト、カオリナイト、タルク等の一般的な粘土鉱物は原子配列の長距離秩序を持つ結晶構造を有する。一方、アロフェンは、上述した中空状の球形の構造を有し、球形粒子内の原子配列における短距離秩序を持つものの、一般的な結晶のように原子配列に長距離秩序は有していない。上述したAD法は、従来、結晶性の高い原料微粒子を用いる成膜方法であり、その成膜機構には結晶の塑性変形が寄与していると考えられているため、アロフェンのような結晶性が低い(非晶質)材料に適用することがなかった。
本発明者らは、本発明に係るアロフェン膜複合体の製造方法に類似した成膜方法を用いて、結晶性の多孔質材料であるゼオライトを原料微粒子とする成膜を行ったが、結晶性が低い中空状の球形の構造を有するアロフェンを原料微粒子とする成膜が可能であることは、これまでに予期することはできず、仮に成膜出来たとしても中空構造が潰れ、吸湿特性等が失われると予期された。本発明により吸湿特性等を保持したままの成膜を実現し、初めて報告するものである。
また、ゼオライトが低湿度条件下での吸湿特性を有するのに対して、アロフェンは中湿度条件下での吸湿特性を有する点で、アロフェン膜複合体は有意な効果を奏する。さらに、アロフェンは、リン酸や有機酸の吸着能を有することから、アロフェン膜複合体を脱臭剤等に利用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1として、不織布(表面をポリエチレンフィルムでコートした不織布)基材にアロフェン原料微粒子17を噴射してアロフェン膜をAD法で形成した。整粒したアロフェン粉末を流量2.5L/minの窒素ガスでエアロゾル化し、開口幅30mm×0.2mmのノズルを通して、20Paの真空雰囲気のチャンバ内に置いた不織布(表面をポリエチレンフィルムでコートした不織布)基材に噴射してアロフェン膜を形成し、アロフェン膜−不織布複合体を作製した。基材はノズルに対して4mm/sのスピードで変位させながら往復させ、成膜時間500秒、成膜面積は30×100mm2とした。
アロフェン膜−不織布複合体の重さを測定し、成膜前の不織布の重さとの差からアロフェン膜の重さを算出した。その結果、アロフェン膜の重さは0.09gであった。
アロフェン膜−不織布複合体の断面をクロスセクションポリッシャで作製し、電界放射型電子顕微鏡で観察した。図4(a)は、実施例1に係るアロフェン膜複合体10の断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。図4(a)において、不織布基材11上にアロフェン膜13が形成されていることが確認できた。アロフェン膜13の厚みは22μm程度であった。
装置:
クロスセクションポリッシャ:SM−09010
電界放射型電子顕微鏡:JSM−7400F
アロフェン膜−不織布複合体を透過型電子顕微鏡で観察した。図5は、実施例1に係るアロフェン複合体10のアロフェン膜13の透過型電子顕微鏡像を示す。図5において、アロフェン膜は、直径5〜10nmの球状粒子が緻密化しており、アロフェンの中空構造が潰れることなく膜化していることが確認できた。
装置:
透過型電子顕微鏡:JEM−2010
アロフェン膜−不織布複合体のアロフェン膜の表面硬度を引っかき硬度試験(手掻き鉛筆法)で評価した。その結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。
アロフェン膜−不織布複合体を折り曲げ、アロフェン膜の不織布基材に対する密着性を評価した。90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。
アロフェン膜−不織布複合体に粘着力4.01N/10mmのセロハン粘着テープを貼り付けて剥がし、膜の密着性を評価した。その結果、アロフェン膜はセロハン粘着テープを剥がしても剥離せず、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。
アロフェン膜−不織布複合体について、相対湿度と吸湿率の関係を検証した。130℃で乾燥後、40℃において、相対湿度を変更して、アロフェン膜−不織布複合体及びアロフェン原料微粒子について相関曲線を得た(図6)。本実施例のアロフェン膜−不織布複合体は、アロフェン原料微粒子と同等の吸湿性能を有している。また、130℃で乾燥後のアロフェン膜−不織布複合体を温度40℃、相対湿度80%の雰囲気に48時間静置し、吸湿特性を評価した。アロフェン膜−不織布複合体の重量増加分を吸湿量、アロフェン膜−不織布複合体のアロフェン1gあたりの吸湿量を吸湿率として評価した結果、吸湿量は0.023g、吸湿率は25.3%であった。
アロフェン膜−不織布複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(実施例2)
基材へのエアロゾル噴射時間を100秒程度とした以外は実施例1と同様にアロフェン膜−不織布複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の重さを算出した結果、0.16gであった。実施例1と同様にアロフェン膜の厚みを測定した結果、38μm程度であった。実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜−不織布複合体の吸湿特性を評価した結果、吸湿量は0.033g、吸湿率は20.6%であった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(実施例3)
基材へのエアロゾル噴射時間を1250秒程度とした以外は実施例1と同様に成膜試料を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の重さを算出した結果、0.21gであった。実施例1と同様にアロフェン膜の厚みを測定した結果、50μm程度であった。実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜−不織布複合体の吸湿特性を評価した結果、吸湿量は0.041g、吸湿率は19.5%であった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(実施例4)
基材へのエアロゾル噴射時間を1500秒程度とした以外は実施例1と同様に成膜試料を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の重さを算出した結果、0.26gであった。実施例1と同様にアロフェン膜の厚みを測定した結果、62μm程度であった。実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜−不織布複合体の吸湿特性を評価した結果、吸湿量は0.053g、吸湿率は20.4%であった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
実施例1〜5のアロフェン膜複合体の吸湿量を評価した。図7は、アロフェン膜の重量に対して吸湿量をプロットした図である。図7より、アロフェン膜の重量が増加するとともに、吸湿量も増加することが確認された。
(実施例5)
整粒したアロフェン粉末を流量2.1L/minの圧縮空気でエアロゾル化し、開口幅7mm×0.4mmのノズルを通して、15Paの真空雰囲気のチャンバ内に置いた不織布(表面をポリエチレンフィルムでコートした不織布)基材に噴射してアロフェン膜を形成し、アロフェン膜−不織布複合体を作製した。基材をXYステージにより10mm/sのスピードで変位させ、成膜面積は350×350mm2の大面積化した複合体を得た。
実施例1と同様にアロフェン膜の重さを算出した結果、3.27gであった。実施例1と同様にアロフェン膜の厚みを測定した結果、19μm程度であった。実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(実施例6)
基材をガラス板、成膜面積を30×20mm2とした以外は実施例1と同様にアロフェン膜を成膜し、アロフェン膜−ガラス複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(実施例7)
基材をフレキシブルアルミニウムシートとし、アロフェン粉末を流量3.5L/minの窒素ガスでエアロゾル化し、開口幅30mm×0.2mmのノズルを通して、20Paの真空雰囲気のチャンバ内に置いた基材に噴射してアロフェン膜を形成し、アロフェン膜−アルミニウム複合体を作製した。基材はノズルに対して往復に変位させ、成膜時間50秒、成膜面積は30×100mm2とした。
図4(b)に、実施例7のフレキシブルアルミニウムシート基材21上にアロフェン膜13を成膜したアロフェン膜−アルミニウム複合体20のFIBを用いた断面像を示す。図4(b)から、アロフェン膜13が、基材21側からアロフェン膜13の表面に向けてアロフェン微粒子が密から疎の堆積状態を備えることが明らかとなった。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(実施例8)
基材をシリカ含有ポリエチレンフィルムでコートされたフレキシブルアルミニウムシート、成膜面積を11×22mm2とした以外は実施例1と同様にフィルム面にアロフェン膜を成膜し、アロフェン膜−アルミニウム複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(実施例9)
基材をポリエチレンテレフタレート(PET)シート、成膜面積を9×28mm2とした以外は実施例1と同様にアロフェン膜を成膜し、アロフェン膜−PET複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜はH以上の表面硬度を有していた。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離しなかった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、4.0N/10mm以上の密着力があることが分かった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊することなく形態を保持していた。
(比較例1)
整粒したアロフェン粉末30gに、水70mlを加えて調製した30%スラリーを、ガラス板上にアプリケーターを用いて厚さ50μm塗布した後、130℃で1時間乾燥することで、アロフェン膜−ガラス複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜の表面硬度は4Bであった。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、アロフェン膜はセロハン粘着テープに付着し基材から剥離したことから、4.0N/10mm未満の密着力であった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊した。
(比較例2)
整粒したアロフェン粉末30gに、水70mlを加えて調製した30%スラリーを、不織布(表面をポリエチレンフィルムでコートした不織布)上にアプリケーターを用いて厚さ50μm塗布した後、130℃で1時間乾燥することで、アロフェン膜−不織布複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜の表面硬度は4Bであった。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離した。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、アロフェン膜はセロハン粘着テープに付着し基材から剥離したことから、4.0N/10mm未満の密着力であった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊した。
(比較例3)
整粒したアロフェン粉末30gに、エチルアルコール70mlを加えて調製した30%スラリーを、不織布(表面をポリエチレンフィルムでコートした不織布)上にアプリケーターを用いて厚さ50μm塗布した後、130℃で1時間乾燥することで、アロフェン膜−不織布複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜の表面硬度は4Bであった。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離した。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、アロフェン膜はセロハン粘着テープに付着し基材から剥離したことから、4.0N/10mm未満の密着力であった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊した。
(比較例4)
整粒したアロフェン粉末30gに、2−プロピルアルコール70mlを加えて調製した30%スラリーを、不織布(表面をポリエチレンフィルムでコートした不織布)上にアプリケーターを用いて厚さ50μm塗布した後、130℃で1時間乾燥することで、アロフェン膜−不織布複合体を作製した。
実施例1と同様にアロフェン膜の表面硬度を評価した結果、アロフェン膜の表面硬度は4Bであった。実施例1と同様にアロフェン膜の密着性を評価した結果、90°に一回折り曲げたときアロフェン膜は剥離した。実施例1と同様にセロハン粘着テープでアロフェン膜の基材への密着性を評価した結果、アロフェン膜はセロハン粘着テープに付着し基材から剥離したことから、4.0N/10mm未満の密着力であった。実施例1と同様にアロフェン膜複合体を水中に投入したところ、アロフェン膜は崩壊した。
(実施例10)
アロフェン膜複合体について人工汚染液(ソルベントナフサ、アスファルト、オレイン酸の混合溶液)の吸着能の評価を行った。流量2.1L/minの窒素ガスでエアロゾル化し、開口幅7mm×0.4mmのノズルを通して、15Paの真空雰囲気のチャンバ内で不織布基材に噴射してアロフェン膜を形成した。アロフェン膜の重さは0.4g、100×80mm2のアロフェン膜複合体を作成した。
[脂肪酸吸着能]
汚染物の脂肪酸としてオレイン酸を用いて脂肪酸吸着能を評価した。110℃で3時間乾燥したアロフェン膜複合体を人工汚染液100mlに含浸させ1分間攪拌後、25℃に保持したインキュベータ内で72時間放置・吸着させ、定量濾紙で濾過することで測定試料を得た。次に、水酸化カリウムのエタノール溶液(0.02mol/L)により中和滴定を行い、脱脂肪酸率を算出した。また、比較には成膜に用いた原料のアロフェン粉体を使用した。
[油分吸着能]
汚染物の油分としてアスファルトを用いて油分吸着能を評価した。脂肪酸吸着能の試験と同様に吸着後に試験液を得て、透過率測定を行った。吸着試験前の試験液の透過率は0%で、吸着試験後の透過率によって吸着能の程度を評価した。
測定波長:420nm
脂肪酸吸着試験の結果を図8に示す。また、油分吸着試験の結果を図9に示す。これらの結果から、実施例10のアロフェン膜複合体が人体や自然環境から出る汚れ成分を吸着する能力がアロフェン粉体以上であることがわかった。また、実施例10のアロフェン膜複合体は石油系溶媒中でも膜の剥離がなく基板と密着性が高いことも確認できた。更に、成膜することで吸着性能が向上することが判明した。
(実施例11)
アロフェン膜複合体の臭い成分の吸着能について評価した。臭い成分は、アンモニア、トリメチルアミン、および酢酸とした。実施例11と同様に作成したアロフェン膜複合体(アロフェン膜のみの重量として1g)をポリ袋に入れ、シールを施した後、9Lの空気を封入し、設定したガス濃度になるように試験対象ガスを添加し、3時間静置後のガス濃度を測定した。この結果を表1に示す。試験後の濃度はいすれも検出定量下限以下となり、いずれの臭い成分においてもアロフェン膜複合体は吸着能が高いことを確認できた。
(実施例12)
整粒したアロフェン粉末を流量2.5L/minの窒素ガスでエアロゾル化し、開口幅30mm×0.2mmのノズルを通して、20Paの真空雰囲気のチャンバ内に置いたアルミ基材に噴射して、成膜面積30mm×100mmのアロフェン膜複合体を得た。所定濃度に調整したリン酸イオン水溶液中に、アロフェン膜複合体を23℃で6時間浸漬して調べた結果を図10に示す。リン酸吸着量は、基材上に成膜したアロフェン膜の重量に対して算出した。また比較として、アロフェン粉末0.2gを用いて同様に試験した結果も図10に示す。図10の結果のとおり、アロフェン膜複合体は、アロフェン粉末と同等のリン酸イオン吸着能を有する。
(実施例13)
実施例1と同様に作成したアロフェン膜複合体の調湿性能について、調湿試験を行うことにより評価した。図11は、調湿試験の結果を示す図である。130℃で乾燥後に、40℃、相対湿度80%で吸湿した後、40℃、相対湿度20%で放湿を行った結果、アロフェン膜複合体は、調湿作用を有していることが分かった。
(実施例14)
実施例1と同様に作製したアロフェン膜複合体を130℃で乾燥した後、温度40℃、相対湿度40%における吸湿試験において、吸湿時間に対する吸湿率の変化を評価した。
(比較例5)
また、比較例5として、アロフェン粉体を成形したアロフェン錠剤を作製した。成形機(株式会社菊水製作所、No.8−F−3)を用い、アロフェン粉体を0.6MPa〜0.8MPaで一軸加圧し、直径:15mm、高さ:5.5mm、重量:1.0gのアロフェン錠剤を作製した。比較例5のアロフェン錠剤についても、実施例14のアロフェン膜複合体と同様の評価を行った。
吸湿時間に対して吸湿率をプロットした結果を図12に示す。実施例14のアロフェン膜複合体は、比較例5のアロフェン錠剤と比較して、吸湿速度が速い特性を有することが確認できた。
アロフェン膜複合体は、強い基板との密着力と高い自由度(変形性)を持つことに加え、極薄で手軽に鋏やカッターナイフで切断ができるので形状(袋状なども含む)、大きさを自由に選択加工、必要量、枚数なども自由に選ぶことができることから、狭い空間、隙間などを含めたあらゆる空間での使用、及び梱包形状に合わせた形状で使用できる包装材、吸水剤であり、薬、食品、機械装置、ガス体、有機溶媒などの乾燥に用いる。また、吸着及び調湿の特性を活かした利用分野では、皮脂や油を吸着する衛生紙、室内の有害化学分子を吸着し調湿機能も有する壁紙、マスクの内張りに成膜した菌吸着マスク、窓の結露防止膜、曇り防止膜、自動車室内の調湿及び有害成分を吸着する自動車室内用内貼りシート、カーエアコンの内部又は外部又はその両方に装着し、エアーを通過させて不快な臭いを取る吸着フィルター、室内の空調設備に用いる空気清浄膜、液相において魚類から排出されるアンモニアや生臭物質を吸着する魚類飼育用吸着膜、野菜保存シート・袋、成膜時のマスキングにより文字や絵を表現した機能性インテリア、透明なビニールに塗布することで適度な透過性を得られることから機能性プライベートシート及び機能性防犯シート、機能性テープ、機能性保護シート、可燃物質を膜分子内や膜の空隙に貯蔵させた積層型燃料貯蔵膜、更にはイオン及び配位子交換膜、放射能元素除去膜、吸水シート、吸着シート、調湿シートなどが上げられる。
1 製造装置、2 チャンバ、4 ノズル、6 基板駆動装置、10 アロフェン膜複合体、11 基材、12 アロフェン微粒子圧粉体、13 アロフェン膜、15 アロフェン微粒子、17 アロフェン原料微粒子、19 観察用保護膜、20 アロフェン膜複合体、21 基材

Claims (8)

  1. 基材と、平均直径が3.5nm以上10nm以下を備えるアロフェンが前記基材上に堆積したアロフェン膜と、を備え、
    前記基材と前記アロフェン膜との密着力が4N/10mm以上、90度の曲げ試験を繰り返して前記アロフェン膜が前記基材から剥離する回数が1回以上であることを特徴とするアロフェン膜複合体。
  2. 前記アロフェン膜は、厚さが50μm以上70μm以下、吸湿率が10%以上30%以下、表面硬度がH以上を備えることを特徴とする請求項1記載のアロフェン膜複合体。
  3. 前記基材は、ガラス、アルミニウム、アルミナ、不織布、ポリエチレンフィルムでコーティングされた不織布又はアルミナシート、シリカ含有ポリエチレンフィルムでコーティングされたアルミナシート、及びPETシートの群から選ばれる1つであることを特徴とする請求項1に記載のアロフェン膜複合体。
  4. 前記基材は、不織布であり、前記不織布は、24時間での透湿度が9500g/m2以上1100g/m2以下、通気度が10ml/cm2以上25ml/cm2以下、密度が65g/m2以上80g/m2以下、厚さが0.14mm以上0.25mm以下を備えることを特徴とする請求項3に記載のアロフェン膜複合体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアロフェン膜複合体の製造方法において、
    アロフェン原料微粒子を搬送ガスと混合してエアロゾル化し、
    エアロゾル化した原料微粒子を、該搬送ガスと共に、ノズルを通して加速して前記基材の表面に向けて噴射せしめることにより、減圧チャンバ内で前記基材にアロフェン膜を形成することを特徴とするアロフェン膜複合体の製造方法。
  6. 前記基材が不織布である請求項4に記載のアロフェン膜複合体を備えることを特徴とする吸水シート。
  7. 前記基材が不織布である請求項4に記載のアロフェン膜複合体を備えることを特徴とする吸着シート。
  8. 前記基材が不織布である請求項4に記載のアロフェン膜複合体を備えることを特徴とする調湿シート。
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