JP6776781B2 - 操舵制御装置 - Google Patents
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Description
1.操舵制御装置は、ステアリングから転舵輪への動力の伝達状態および遮断状態の一方を他方に切り替える切替装置と、前記遮断状態において前記ステアリングに操舵反力を付与可能な操舵側アクチュエータと、前記転舵輪を転舵させる転舵側アクチュエータと、を備えた操舵装置を操作対象とし、前記遮断状態において前記転舵輪の転舵角および該転舵角の変化速度である転舵角速度の少なくとも一方を制御量とし、前記転舵側アクチュエータを操作することによって前記制御量を前記ステアリングの操作に応じた指令値となるように制御する転舵処理と、前記転舵処理がなされているときに前記制御量と前記指令値との差の絶対値が閾値以上となる状態が継続することを条件に、前記切替装置を操作して前記遮断状態から前記伝達状態に切り替える伝達切替処理と、を実行する。
以下、操舵制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる操舵装置10においては、ステアリングホイール(ステアリング12)が、ステアリング12の操作に抗する力である反力を付与する操舵側アクチュエータ20に接続されている。操舵側アクチュエータ20は、ステアリング12に固定されたステアリングシャフト22、反力側減速機24、反力側減速機24に回転軸26aが連結された操舵側モータ26、および操舵側モータ26を駆動するインバータ28を備えている。なお、本実施形態では、操舵側モータ26として表面磁石同期電動機(SPMSM)を想定している。
転舵側アクチュエータ40は、第1ラックアンドピニオン機構48、第2ラックアンドピニオン機構52、転舵側減速機54、転舵側減速機54に回転軸56aが連結された転舵側モータ56、および転舵側モータ56を駆動するインバータ58を備えている。なお、本実施形態では、転舵側モータ56として、SPMSMを想定している。
制御装置60は、操舵側アクチュエータ20および転舵側アクチュエータ40を備えた操舵装置10を操作することにより、ステアリング12の操作に応じて転舵輪30を転舵させる制御を実行する。すなわち、本実施形態では、操舵側アクチュエータ20および転舵側アクチュエータ40によってステアバイワイヤシステムを実現しており、制御装置60は、通常、クラッチ14を解放状態に維持しつつ、ステアリング12の操作に応じて転舵輪30を転舵させる制御を実行する。この際、制御装置60は、ステアリングシャフト22に加わるトルク(操舵トルクTrqs)を検出するトルクセンサ70の出力値や、操舵側モータ26の回転軸26aの回転角度θs0を検出する操舵側角度センサ72の出力値、操舵側モータ26に流れる電流Isを検出する操舵側電流センサ74の出力値を取り込む。また、制御装置60は、回転軸56aの回転角度θt0を検出する転舵側角度センサ76の出力値や、転舵側モータ56を流れる電流Itを検出する転舵側電流センサ78の出力値、車速Vを検出する車速センサ68の出力値を取り込む。
図2に、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することで実現される処理のうち、クラッチ14が解放状態にあるときに実行される処理の一部を示す。
操舵角指令値算出処理部M20は、偏差算出処理部M12の出力値に基づき、操舵角指令値θh*を設定する。ここでは、偏差算出処理部M12の出力値Δと、操舵角指令値θh*とを関係づける以下の式(c1)にて表現されるモデル式を利用する。
上記の式(c1)にて表現されるモデルは、ステアリング12と転舵輪30とが機械的に連結されたものにおいて、ラック軸46の軸力と操舵角θhとの関係を定めるモデルである。上記の式(c1)において、粘性係数Cは、操舵装置10の摩擦等をモデル化したものであり、慣性係数Jは、操舵装置10の慣性をモデル化したものである。ここで、粘性係数Cおよび慣性係数Jは、車速Vに応じて可変設定される。
ここで本実施形態の作用を説明する。
(1)クラッチ14を締結状態に切り替える場合、切り替える時点において転舵角フィードバック処理部M36の積分要素が保持していた値を、転舵側アクチュエータ40の操作信号MStに反映させなかった(S28)。これにより、クラッチ14が締結状態とされた後の転舵側モータ56のトルクが適切な値(転舵トルク指令値Trqt*)から過度にずれたものとなる事態を抑制することができる。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記処理によれば、クラッチ14が締結状態とされる場合、転舵側モータ56のトルクと操舵側モータ26のトルクと操舵トルクTrqsとの協働で転舵輪30を転舵させることができる。したがって、転舵側モータ56のトルクをゼロに制御する場合と比較してアシストトルクTrqa*の最大値を大きい値に設定することも可能である。
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
一方、CPU62は、仮判定フラグFが「1」であると判定する場合(S10:YES)、転舵角θpの変化速度と転舵角指令値θp*の変化速度との差の絶対値が閾値Δth未満であるか否かを判定する(S16a)。そしてCPU62は、閾値Δth未満であると判定する場合(S16a:YES)、仮判定フラグFをゼロとする(S18)。一方、CPU62は、閾値Δth以上であると判定する場合(S16a:YES)、S20の処理に移行する。
上記実施形態を特定する事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。
3.図3、図5においては、転舵トルク指令値Trqt*をゼロとすることにより、積分要素が保持していた値を反映させない処理を実現しており、図4においては、積分要素の出力値とは独立にS28aの処理によって転舵トルク指令値Trqt*を算出していることに対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
操舵角指令値θh*から操舵角θhを減算した値を入力とする比例要素、積分要素および微分要素のそれぞれの出力値の和によって、フィードバックトルクTrqr1*を算出するものに限らない。たとえば、操舵角指令値θh*から操舵角θhを減算した値を入力とする比例要素および微分要素のそれぞれの出力値の和によって、フィードバックトルクTrqr1*を算出するものであってもよい。
操舵角指令値算出処理部M20において、上記の式(c1)にて表現されるモデル式を用いて操舵角指令値θh*を設定する代わりに、以下の式(c2)にて表現されるモデル式を用いてもよい。
ここで、バネ係数Kは、車両の影響をモデル化したものであり、サスペンションやホールアラインメント等の仕様によって決定される。また、たとえば「転舵角指令値設定処理について」の欄に記載したように転舵角指令値算出処理部を設ける場合、操舵角指令値算出処理部M20等を削除して転舵角指令値θp1*から目標動作角θa*を減算したものを操舵角指令値θh*としてもよい。
たとえば、偏差算出処理部M12の出力値に基づき、操舵角指令値算出処理部M20の処理と同様の処理によって転舵角指令値θp1*を算出する転舵角指令値算出処理部を設けてもよい。
転舵角指令値θp*から転舵角θpを減算した値を入力とする比例要素、積分要素および微分要素のそれぞれの出力値の和によって、転舵側アクチュエータ40の操作量(転舵トルク指令値Trqt*)を算出するものに限らない。たとえば、転舵角指令値θp*から転舵角θpを減算した値を入力とする比例要素および微分要素のそれぞれの出力値の和によって、転舵側アクチュエータ40の操作量を算出するものであってもよい。
制御量を転舵角とすることは必須ではない。たとえば、転舵角速度としてもよい。この場合の制御器は、たとえば図2において、転舵角フィードバック処理部M36の比例要素および積分要素を削除したものであってもよい。なお、この場合であっても、操舵角θhと転舵角θpとが整合しなくなる高負荷状態の判定を、図5のS12aの処理によって行ってもよい。
「制御量と指令値との差の絶対値が閾値以上となる状態が継続することの判定について」
たとえば、転舵側モータ56に流れるq軸の電流の絶対値が所定値以上であるにもかかわらず、転舵角θpの変化速度の絶対値が所定値以下(ゼロに近い)である状態が継続する場合に、転舵角θpと転舵角指令値θp*との差の絶対値が閾値以上となる状態が継続すると判定してもよい。また、この処理において、q軸電流をその指令値としてもよく、またたとえばq軸電流に代えて転舵トルク指令値Trqt*としてもよい。
(a)転舵角フィードバック処理部M36の積分要素について
上記実施形態では、アシスト処理時に図2に示した処理を実行しないこととしたが、これに限らない。たとえば図3、図5の処理において、転舵トルク指令値Trqt*をゼロとする代わりに、転舵角フィードバック処理部M36の積分要素を初期化して且つ、転舵角フィードバック処理部M36に入力される転舵角指令値θp*に、計量単位設定処理部M4が出力する都度の転舵角θpを継続的に代入してもよい。
クラッチ14が締結状態である場合に、転舵トルク指令値Trqt*についてはゼロとしつつ、図2の処理を実行してもよい。この場合、反力指令値Trqr*がアシストトルクTrqa*相当となりうるため、操舵側モータ26のトルクがアシストトルクTrqa*相当となりうる。
転舵側モータ56としては、SPMSMに限らず、たとえばIPMSMを用いてもよく、さらに同期機にも限らず、たとえば誘導機であってもよい。また、アクチュエータが備える転舵機構としては、ラックアンドピニオン型のものに限らない。たとえば、ラッククロス型のものや、ラックパラレル型(登録商標)、ラック同軸型のものなどを採用してもよい。
CPU62とメモリ64とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、操舵制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するメモリとを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラムを記憶するメモリと、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。
操舵側モータ26としては、SPMSMに限らず、たとえばIPMSMを用いてもよく、さらに同期機にも限らず、たとえば誘導機であってもよい。
Claims (2)
- ステアリングから転舵輪への動力の伝達状態および遮断状態の一方を他方に切り替える切替装置と、前記遮断状態において前記ステアリングに操舵反力を付与可能な操舵側アクチュエータと、前記転舵輪を転舵させる転舵側アクチュエータと、を備えた操舵装置を操作対象とし、
前記遮断状態において前記転舵輪の転舵角および該転舵角の変化速度である転舵角速度の少なくとも一方を制御量とし、前記転舵側アクチュエータを操作することによって前記制御量を前記ステアリングの操作に応じた指令値となるように制御する転舵処理と、
前記転舵処理がなされているときに前記制御量と前記指令値との差の絶対値が閾値以上となる状態が継続することを条件に、前記切替装置を操作して前記遮断状態から前記伝達状態に切り替える伝達切替処理と、
前記伝達切替処理によって前記伝達状態に切り替えられる場合、前記操舵側アクチュエータおよび前記転舵側アクチュエータの少なくとも一方によって、前記ステアリングの操作による前記転舵輪の転舵をアシストするアシスト処理と、を実行し、
前記転舵処理は、前記制御量と前記指令値との差を入力とする積分要素の出力値に基づき前記転舵側アクチュエータを操作するものであり、
前記アシスト処理は、前記伝達切替処理によって前記伝達状態に切り替えられる場合、前記伝達状態に切り替えられる時点において前記積分要素が保持していた値を前記転舵側アクチュエータの操作に反映させない操舵制御装置。 - 前記転舵処理は、前記制御量を前記転舵角とするものであり、
前記転舵角の検出値および前記転舵角の指令値を入力として前記転舵処理がなされているときに前記制御量と前記指令値との差の絶対値が前記閾値以上となる状態が継続するか否かを判定する判定処理を実行し、
前記伝達切替処理は、前記判定処理の結果に基づき前記伝達切替処理を実行する請求項1記載の操舵制御装置。
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