JP6776142B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタに関し、特にカード用コネクタに関する。
カード用コネクタとして、カードをトレイに乗せて収容するコネクタがある。この種のコネクタは、例えば、特許文献1に開示されている。図32を参照すると、開示されたカード用コネクタ80は、トレイ82をトレイ収容部84に収容するように構成されている。図33に示されるように、トレイ82は、二つのカード収容部86,88を有している。このため、特許文献1のコネクタ80は、二つのカードと接続可能である。
一方、特許文献2には、別のカード用コネクタが開示されている。開示されたコネクタ90は、図34に示されるように、イジェクト機構92を備えている。イジェクト機構92は、正規のICカードよりも小さいICカード94が誤って挿入された場合でも、そのICカード94を排出できるように構成されている。
特開2016−76379号公報 特開2008−140030号公報
例えば、特許文献1に開示されるカード用コネクタ80において、誤ってトレイ収容部84にカードが直接挿入される虞がある。このように収容部に対して、想定外の対象物が挿入されてしまったときに、その対象物を収容部から簡単に取り出したいとの要望がある。
本発明は、特許文献2とは異なるアプローチで、想定外の対象物が収容部に挿入された場合でも、特別な治具を用いることなく容易に収容部からその想定外の対象物を排出することができる排出機構を備えたコネクタを提供することを目的とする。
本発明は、第1のコネクタとして、ハウジングと、複数の端子と、排出部材とを備えるコネクタであって、
前記ハウジングは、収容部と前端とを有しており、
前記収容部は、前後方向において、前記前端において開口しており、
前記収容部は、前記前後方向に沿って挿入される第1対象物を抜去可能に収容するものであり、
前記端子は、前記ハウジングに保持されており、
前記端子の各々は、接点を有しており、
前記接点は、前記収容部内に位置しており、
前記排出部材は、前記ハウジングの所定位置に保持されており、
前記排出部材は、前記前後方向に沿って前記所定位置から前方へ移動可能であり、
前記排出部材は、引掛け部を有しており、
前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記引掛け部は前記前後方向において前記収容部の後ろ側に位置しており、
前記排出部材は、前記第1対象物の通常の抜去操作には使用されないものであり、
前記収容部に前記第1対象物とは外形の異なる第2対象物が挿入された際に、前記排出部材を前記前後方向において前方へ移動させると、前記引掛け部が前記第2対象物を前方へ押し、前記第2対象物を前記収容部から排出する
コネクタを提供する。
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記排出部材には、被抜け止め部が設けられており、
前記ハウジングには、抜け止め部が設けられており、
前記抜け止め部は、弾性変形可能であり、
前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記抜け止め部は、前記前後方向において、少なくとも部分的に前記被抜け止め部の前側に位置して前記被抜け止め部の前方への移動を規制し、それによって前記排出部材が前記ハウジングから抜け落ちることが防止される
コネクタを提供する。
また、本発明は、第3のコネクタとして、第2のコネクタであって、
前記第1対象物には、被仮止め部が設けられており、
前記ハウジングには、前記抜け止め部とは別の仮止め部が設けられており、
前記仮止め部は、弾性変形可能であり、
前記第1対象物が前記収容部に収容されたとき、前記仮止め部は、前記前後方向において、少なくとも部分的に前記被仮止め部の前側に位置して前記被仮止め部の前方への移動を規制し、それによって前記第1対象物は仮止めされている
コネクタを提供する。
また、本発明は、第4のコネクタとして、第2又は第3のコネクタであって、
前記被抜け止め部は、前記排出部材に形成された孔の縁部であり、
前記抜け止め部は、前記前後方向に対して傾きを持って後方へ延びる板ばねであり、
前記板ばねは、根元部と、先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置する曲げ部とを有しており、
前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記板ばねの前記根元部及び前記先端部は、前記孔の外側に位置しており、かつ前記板ばねの前記曲げ部は少なくとも部分的に前記孔の内側に位置している
コネクタを提供する。
また、本発明は、第5のコネクタとして、第1から第4までのコネクタのうちのいずれか一つであって、
前記排出部材は、主部と操作部とをさらに有しており、
前記主部は、前記引掛け部と前記操作部とを連結しており、
前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記操作部は、前記ハウジングの外側に位置している
コネクタを提供する。
また、本発明は、第6のコネクタとして、第5のコネクタであって、
前記主部は、平板形状を有し、かつ前記前後方向において後端を有しており、
前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記前後方向と直交する上下方向において、前記主部は前記収容部の上側に位置しており、
前記引掛け部は、前記主部の前記後端から下方へ突出している
コネクタを提供する。
また、本発明は、第7のコネクタとして、第6のコネクタであって、
前記主部は、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向において、両端を有しており、
前記排出部材は、前記主部の前記両端から夫々前記上下方向において下方へ延びる側壁部を有している
コネクタを提供する。
また、本発明は、第8のコネクタとして、第5から第7のコネクタのうちのいずれか一つであって、
前記操作部は、平板形状を有しており、
前記操作部には、前記前後方向と直交する上下方向に貫通する孔が形成されている
コネクタを提供する。
また、本発明は、第9のコネクタとして、第5から第8のコネクタのうちのいずれか一つであって、
前記排出部材は、一枚の金属板から構成されている
コネクタを提供する。
また、本発明は、第10のコネクタとして、第5から第9までのコネクタのうちのいずれか一つであって、
前記ハウジングには、第1押し上げばね部と第2押し上げばね部とが設けられており、
前記第1押し上げばね部は、前記前後方向において、前記第2押し上げばね部から離れて、且つ前記第2押し上げばね部の後ろ側に位置しており、
前記第1押し上げばね部と前記第2押し上げばね部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記排出部材を上方へ押し上げて前記ハウジングに押し当てており、
前記主部は、前記収容部の上面を形成している
コネクタを提供する。
また、本発明は、第11のコネクタとして、第10のコネクタであって、
前記排出部材は、前記上下方向において下方へ突出する突起部を有しており、
前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記突起部は前記第1押し上げばね部の上に位置しており、
前記排出部材が前記前後方向において前方へ移動すると、前記突起部が前記第2押し上げばね部に突き当たる
コネクタを提供する。
また、本発明は、第12のコネクタとして、第11のコネクタであって、
前記第2押し上げばね部は、斜め上後方へ延びる板ばねである
コネクタを提供する。
また、本発明は、第13のコネクタとして、第1から第12のコネクタのうちのいずれか一つであって、
前記前後方向と直交する上下方向において、前記収容部の下面から前記引掛け部までの寸法は、前記下面から前記端子の前記接点までの寸法よりも長い
コネクタを提供する。
また、本発明は、第14のコネクタとして、第1から第13のコネクタのうちのいずれか一つであって、
前記前後方向と直交する上下方向において、前記収容部の下面から前記引掛け部までの寸法は、前記収容部に収容された前記第2対象物の寸法よりも短い
コネクタを提供する。
また、本発明は、第15のコネクタとして、第1から第14のコネクタのうちのいずれか一つであって、
前記第1対象物は、トレイであり、
前記トレイには、カードが載せられる
コネクタを提供する。
本発明のコネクタは、引掛け部を有する排出部材を備えているので、収容部に収容されるべき第1対象物とは外形の異なる第2対象物が収容部に挿入された際に、排出部材を前方へ移動させるだけで、容易に第2対象物を収容部から排出することができる。
本発明の一実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。 図1のコネクタと第1対象物との組み合わせを示す斜視図である。第1対象物は、未だコネクタに挿入されていない。 図2のコネクタと第1対象物との組み合わせを示す別の斜視図である。第1対象物はコネクタに挿入されている。 図1のコネクタを示す分解斜視図である。 図4のコネクタに含まれるハウジングを示す分解斜視図である。 図5のハウジングに含まれる本体を示す平面図である。第1押し上げばね部の周辺及び仮止め部の周辺がそれぞれ拡大して示されている。 図6の本体を示す底面図である。 図6の本体を示す側面図である。第1押し上げ部及び仮止め部の周辺が拡大して示されている。 図6の本体を示す正面図である。側壁部の周辺が拡大して示されている。 図5のハウジングに含まれるカバーを示す平面図である。抜け止め部の周辺が拡大して示されている。 図10のカバーを示す底面図である。抜け止め部の周辺及び第2押し上げばね部の周辺がそれぞれ拡大して示されている。 図10のカバーを示す側面図である。抜け止め部の周辺及び第2押し上げばね部の周辺がそれぞれ拡大して示されている。 図10のカバーを示す正面図である。側壁部の周辺が拡大して示されている。 図4のコネクタに含まれる排出部材を示す平面図である。 図14の排出部材を示す底面図である。 図14の排出部材を示す側面図である。 図14の排出部材を示す正面図である。 図1のコネクタを示す正面図である。 図18のコネクタを示すA−A線断面図である。ストッパの周辺が拡大して示されている。 図18のコネクタを示すB−B線断面図である。第1押し上げばね部の周辺及び第2押し上げばね部の周辺がそれぞれ拡大して示されている。 図1のコネクタを示す平面図である。排出部材は停止位置まで引き出されている。 図21のコネクタを示すC−C線断面図である。第2押し上げばね部の周辺が拡大して示されている。 図2に示された第1対象物に含まれるトレイを示す平面図である。 図23のトレイを示す底面図である。 図23のトレイを示す側面図である。 図23のトレイを示す正面図である。 図3のコネクタと第1対象物との組み合わせを示す側面図である。 図27のコネクタと第1対象物との組み合わせを示すD−D線断面図である。抜け止め部の周辺が拡大して示されている。 図27のコネクタと第1対象物との組み合わせを示すE−E線断面図である。仮止め部の周辺が拡大して示されている。 図1のコネクタと第2対象物との組み合わせを示す斜視図である。第2対象物は、未だコネクタに挿入されていない。 図19のコネクタの一部を示す拡大断面図である。コネクタの収容部に挿入された第2対象物を破線で示している。 特許文献1に記載されたコネクタとトレイを示す斜視図である。トレイは部分的にコネクタに挿入されている。 図32に示されるトレイを示す斜視図である。 特許文献2に記載されたコネクタとカードを示す斜視図である。カードはコネクタに挿入されている。
図1を参照すると、本発明の一実施の形態によるコネクタ10は、平たい略直方体形状を有するカード用コネクタである。コネクタ10は、前後方向において前方に開口した収容部12を有している。本実施の形態において、前後方向はX方向であり、−X方向が前方、+X方向が後方である。
図2及び図3から理解されるように、コネクタ10の収容部12は、想定された対象物(第1対象物)を抜去可能に収容することができる。想定された対象物は、前後方向に沿って前方から後方へ向かってコネクタ10の収容部12に挿入され、収容部12に部分的に収容される。ここで、想定された対象物とは、予め規格等によって定められた形状を有しており、正常に収容部12へ挿入することができ、また正常に抜去することができるものを表す。本実施の形態において、想定された対象物はトレイ20である。トレイ20には、二つのカード22,24を載せることができる。本実施の形態において、カード22,24のいずれか一方又は両方を載せたトレイ20もまた想定された対象物である。カード22,24を載せたトレイ20が収容部12に収容されると、コネクタ10は、カード22,24と電気的に接続される。カード22は、例えばメモリカード(SDカード)であり、カード24は例えばSIM(Subscriber Identity Module)カードである。但し、本発明はこれに限られず、カード22,24はともにメモリカードであってもよいし、ともにSIMカードであってもよい。また、本実施の形態において、各カード22,24は、単体では想定外の対象物(第2対象物)である。ここで、想定外の対象物とは、想定された対象物とはその外形が異なるものであって、収容部12に挿入可能なものを表す。
図4を参照すると、コネクタ10は、ハウジング30と、複数の端子40と、排出部材50とを備えている。図5を参照すると、ハウジング30は、本体32とカバー34とからなる。図4及び図5に示されるように、端子40は、ハウジング30に保持されている。詳しくは、端子40は、ハウジング30の本体32に保持されている。図1及び図4から理解されるように、排出部材50は、前後方向において、前方から後方へ向かってハウジング30の内部空間36に挿入される。ハウジング30の内部空間36に挿入された排出部材50は、本体32とカバー34とによって所定位置に保持される。
図6から図9を参照すると、ハウジング30の本体32は、金属板からなるフレーム322と、絶縁樹脂からなる端子保持部324とを有している。フレーム322は、一対の側壁部326と、それらを連結する底板部328とを有している。側壁部326は、底板部328の横方向の両端に位置し、上方へ延びている。本実施の形態において、横方向はY方向である。また、上下方向はZ方向であり、+Z方向が上方、−Z方向が下方である。図8に示されるように、側壁部326の形状は、前後方向に長い略矩形である。図6から図9に示されるように、端子保持部324は、フレーム322に固定され、かつ端子40を保持している。端子40は、夫々接点42を有している。端子保持部324は、接点42がコネクタ10の収容部12内に位置するように、端子40を保持している。これにより、端子40の接点42は収容部12内に位置する。そして、端子保持部324は、フレーム322と端子40との間を絶縁するとともに端子40同士の間を絶縁している。ハウジング30の本体32は、インサート成形により製造することができる。
図6から図9までの図から理解されるように、フレーム322の後端330の近傍かつ横方向両端の近傍には、一対の第1押し上げばね部332が設けられている。本実施の形態において、第1押し上げばね部332は、弾性変形可能な板ばねである。これら第1押し上げばね部332は、フレーム322を構成する金属板を切断加工及び曲げ加工して形成される。第1押し上げばね部332は、底板部328から斜め上後方へ向かって延び、さらに後方へ延びている。また、フレーム322には、第1押し上げばね部332よりも前方かつ横方向内側の位置に、一対の仮止め部334が設けられている。本実施の形態において、仮止め部334は弾性変形可能な板ばねである。図5を参照すると、仮止め部334は、後述するカバー34の抜け止め部352とは別のものである。これら仮止め部334もまた、フレーム322を構成する金属板を切断加工及び曲げ加工して形成される。図5及び図6から理解されるように、これら仮止め部334は、底板部328から上方へ立ち上がり、後方へ向かって横方向内側へ延び、さらに、後方へ向かって横方向外側へ延びている。また、側壁部326には、横方向外側へ突出する複数の凸部336が設けられている。
図10から図13を参照すると、カバー34は、主部342と、一対の側壁部344と、後壁部346とを有している。一対の側壁部344は、主部342の横方向両端に位置し、下方へ延びている。側壁部344の形状は、概ね前後方向に長い略矩形である。後壁部346は、主部342の後端から下方へ延びている。後壁部346は、横方向に長い形状を有している。図10から図13に示されるように、主部342には、後壁部346の近くに、ストッパ348が形成されている。ストッパ348は、後壁部346の前方に位置し、後壁部346から離れている。本実施の形態では、ストッパ348の数は二つであるが、一つでも三つ以上でもよい。側壁部344には、夫々、抜け止め部352が設けられている。抜け止め部352は、前後方向において、側壁部344の上端近傍かつ後端近傍に位置している。抜け止め部352は、前後方向に対して傾きを持って後方へ延びる板ばねである。詳しくは、抜け止め部352は、根元部372と、先端部374と、根元部372と先端部374との間に位置する曲げ部376とを有している。抜け止め部352は、根元部372から曲げ部376まで、斜め後ろかつ横方向内側へ延びている。また、抜け止め部352は、曲げ部376から先端部374まで、斜め後ろかつ横方向外側へ延びている。加えて、側壁部344には、一対の第2押し上げばね部354が設けられている。第2押し上げばね部354は、斜め上後方へ延びる板ばねである。本実施の形態において、第2押し上げばね部354は、側壁部344の下端から横方向内側へ突き出した後、斜め上後方へ延び、さらに後方へ延びている。また、側壁部344には、本体32の凸部336に対応する複数の開口356が形成されている。カバー34は、金属板を切断加工及び曲げ加工して製造される。
図4及び図5から理解されるように、本体32とカバー34とは互いに上下方向に組み合わされてハウジング30を形成する。このとき、本体32とカバー34の少なくとも一方の弾性変形を利用して、本体32の凸部336は、カバー34の対応する開口356内に部分的に位置する。これによって、本体32とカバー34とが互いに固定される。ハウジング30は、前後方向において前端302を有し、前端302において開口する内部空間36を有している。内部空間36は、収容部12(図1参照)を含む空間である。換言すると、ハウジング30は、収容部12と前端302とを有しており、収容部12は前端302において開口している。また、図20から理解されるように、ハウジング30において、本体32に設けられた第1押し上げばね部332とカバー34に設けられた第2押し上げばね部354とは、前後方向に離れている。詳しくは、第1押し上げばね部332は、前後方向において、第2押し上げばね部354の後ろ側に位置している。前後方向に沿って見たとき、第1押し上げばね部332と第2押し上げばね部354とは、上下方向において少なくとも部分的に重なっている。
図14から図17を参照すると、排出部材50は、主部502と、操作部504と、一対の側壁部506と、一対の突起部508と、引掛け部510とを有している。主部502は、概ね矩形の平板形状を有している。主部502は、また、横方向において両端を有し、前後方向において後端512を有している。主部502は、その前部から延びる操作部504と、その後端512から延びる引掛け部510とを互いに連結している。操作部504は、角を丸めた矩形の平板形状を有している。操作部504は、横方向において排出部材50の中央に位置し、主部502から前方へ延びている。操作部504は、主部502よりも上下方向において上方に位置している。これは、操作部504を主部342よりも上下方向において上方へ突出させることにより、操作部502の操作性を向上させるためである。また、操作部504を収容部12の開口から遠ざけることにより、収容部12へのトレイ20の挿入を容易にするためでもある。また、操作部502は、主部342と平行に設けられている。これは、コネクタ10の厚みの増大を抑えつつ前述の操作性を向上させるためである。操作部504は、上下方向に貫通する孔520を有している。孔520は必ずしも必要ではないが、孔520の存在は操作性を向上させる。また、孔520を形成する代わりに操作部504の形状を立体的にしてもよい。例えば、横方向に沿って見たときの操作部504の形状をL字状にしてもよい。しかしながら、孔520を設けた方が、上下方向におけるコネクタ10の寸法に影響を与えないので好ましい。側壁部506は、主部502の横方向の両端からそれぞれ上下方向において下方へ延びている。側壁部506は、前後方向に長い形状を有している。突起部508は、側壁部506の後部から下方へ突出している。引掛け部510は、主部502の後端512から下方へ突出している。本実施の形態において、引掛け部510の数は二つである。各引掛け部510は、横方向に長い形状を有している。二つの引掛け部510は、横方向に並んでいる。横方向において、引掛け部510の合計の長さは長い方が望ましい。本実施の形態では、引掛け部510の数は二つであるが、一つでも三つ以上でもよい。引掛け部510の形状及び数は、ハウジング30の構成に応じて設定可能である。図14から図16に示されるように、排出部材50の後部において、主部502と側壁部506との境界部分には被抜け止め孔514が設けられている。被抜け止め孔514の縁の一部(縁部)が後述するように被抜け止め部516(図28参照)として機能する。本実施の形態において、排出部材50は、一枚の金属板を切断加工及び曲げ加工して製造される。
図1及び図4から理解されるように、排出部材50は、ハウジング30の内部空間36に部分的に挿入される。図18から理解されるように、横方向において、排出部材50の寸法は、ハウジング30の側壁部326間の寸法よりもわずかに小さい。これにより、排出部材50は、横方向において、ハウジング30に対して位置決めされる。また、図19に示されるように、排出部材50の引掛け部510がハウジング30のカバー34に形成されたストッパ348に突き当ることで、排出部材50は、前後方向において、ハウジング30に対して位置決めされる。さらに、図20に示されるように、突起部508は第1押し上げばね部332の上に位置し、側壁部326は第2押し上げばね部354の上に部分的に位置している。このとき、第1押し上げばね部332は突起部508を上下方向において上方へ押し上げ、第2押し上げばね部354は側壁部506の一部を上下方向において上方へ押し上げる。これにより、排出部材50は、カバー34に押し当てられる。その結果、排出部材50は、上下方向において、ハウジング30に対して位置決めされる。こうして、排出部材50は、ハウジング30の内部空間36(図4参照)において所定位置に位置する。図1に示されるように、排出部材50が所定位置にあるとき、操作部504は、収容部12の外側に位置している。また、図18から図20に示されるように、排出部材50が所定位置にあるとき、主部502は、上下方向において収容部12の上側に位置し、収容部12の上面を形成する。図18及び図19に示されるように、端子40の接点42は、収容部12内に位置しており、上下方向において排出部材50から離れている。また、図19に示されるように、排出部材50が所定位置にあるとき、引掛け部510は前後方向において収容部12の後ろ側に位置している。
図28に示されるように、排出部材50が所定位置しているとき、抜け止め部352が被抜け止め孔514内に少なくとも部分的に位置する。詳しくは、抜け止め部352の根元部372及び先端部374は、被抜け止め孔514の外側に位置しており、かつ曲げ部376は少なくとも部分的に被抜け止め孔514の内側に位置している。換言すると、抜け止め部352は、前後方向において、被抜け止め孔514の縁の一部である被抜け止め部516の前側に少なくとも部分的に位置する。排出部材50を前後方向において前方へ移動させようとすると、被抜け止め部516が抜け止め部352に突き当る。換言すると、抜け止め部352は、被抜け止め部516の前方への移動を規制する。こうして、排出部材50は、抜け止め部352によって前方への移動が規制される。これにより、排出部材50は、所定位置に保持され、ハウジング30から抜け落ちることが防止される。ここで、抜け止め部352は、弾性変形可能である。そのため、排出部材50を所定の力以上の力で前方へ移動させれば、抜け止め部352が弾性変形し、排出部材50は前方へ移動可能となる。即ち、排出部材50は、抜け止め部352の規制に抗して、前後方向に沿って、所定位置から前方へ移動可能である。
図21及び図22を参照すると、排出部材50は、停止位置に停止している。排出部材50は、停止位置よりも前方へ移動できない。図22に示されるように、排出部材50を前後方向において前方へ移動させようとすると、突起部508が、第2押し上げばね部354に突き当たるからである。こうして、排出部材50は、停止位置よりも前方へ移動することができない。排出部材50をハウジング30に挿入する際には、突起部508が第2押し上げばね部354を押し下げて第2押し上げばね部354を弾性変形させる。これにより、突起部508は第2押し上げばね部354を乗り越えて後方へ移動することができる。一旦、突起部508が第2押し上げばね部354よりも後方へ移動すると、第2押し上げばね部354が復元力により上昇するので、前述のように突起部508の前方への移動が規制される。こうして、排出部材50は、前後方向に沿って、所定位置と停止位置との間で移動可能である。
図23から図26を参照すると、トレイ20は、上下方向に沿って見た場合、略矩形の外形を有している。トレイ20は、また、第1カード収容部202と第2カード収容部204とを有している。第1カード収容部202と第2カード収容部204の形状は、それぞれ収容するカードの形状に対応している。本実施の形態において、第1カード収容部202は、マイクロSDカード及びナノSIMカードの双方に対応し、第2カード収容部204は、ナノSIMカードに対応している。トレイ20は、上下方向において上部210と下部212とを有しており、その形状の違いによって第1カード収容部202と第2カード収容部204に夫々カードを収容する。詳しくは、第1カード収容部202と第2カード収容部204は、上部210に形成されている。下部212は、第1カード収容部202及び第2カード収容部204の夫々の一部を上下方向において下方から覆っている。上下方向において下方から見ると、下部212はU字状の形状を有している。下部212は、横方向において上部210よりも小さい。また、下部212の側面には、横方向内側に凹む被仮止め凹部206が形成されている。被仮止め凹部206は、前後方向及び横方向の双方に対して傾きを有する後面208を有している。この後面208は、後述するように被仮止め部として機能する。このように、トレイ20には、被仮止め部が設けられている。
図3及び図27を参照すると、トレイ(第1対象物)20は収容部12(図2参照)に部分的に収容され、所定位置に位置している。図29に示されるように、トレイ20が所定位置に位置しているとき、仮止め部334が被仮止め凹部206内に少なくとも部分的に位置する。換言すると、仮止め部334は、少なくとも部分的に被仮止め凹部206の後面(被仮止め部)208の前側に位置する。これにより、仮止め部334は、トレイ20の前方への移動を規制し、トレイ20を仮止めする。仮止め部334は、弾性変形可能である。また、トレイ20が所定位置にあるとき、仮止め部334の先端は被仮止め凹部206の外側かつ後方に位置している。そのため、所定の力以上の力でトレイ20を前方へ移動させると、仮止め部334は弾性変形し、トレイ20の移動を許容する。これにより、トレイ20を収容部12から抜去することができる。
図30を参照すると、コネクタ10の収容部12には、トレイ20とは外形の異なるカード24が単体で挿入可能である。収容部12の寸法は、カード24全体を収容するのに十分な大きさを持っている。しかしながら、端子40がカード24の収容部12内での自由な移動を制限する。具体的には、カード24が収容部12に挿入されると、端子40の弾性変形による反発力によってカード24は排出部材50に押し付けられる。カード24はトレイ20よりも小さいので、カード24全体が収容部12内に入ってしまう。そうなると、通常の手で行う抜去操作では、カード24を収容部12の外へ排出することはできない。そのような場合に、操作部504を操作して排出部材50を前後方向において前方へ移動させると、引掛け部510がカード24を前方へ押し、カード24を収容部12の外へ排出することができる。このように、本実施の形態によれば、特別な治具を用いることなく、コネクタ10の収容部12に挿入されたカード24を容易に排出することができる。カード24以外の想定外の対象物(第2対象物)が収容部12に挿入された場合にも、同様に排出部材50を用いて第2対象物を収容部12の外へ排出することができる。なお、排出部材50は、トレイ20の通常の抜去操作には使用されないが、非常の場合には、トレイ20の排出にも使用することができる。
図31を参照すると、上下方向において、引掛け部510の先端は、端子40の接点42よりも上方に位置している。換言すると、上下方向において、収容部12の下面122から引掛け部510までの寸法D1は、収容部12の下面122から端子40の接点42までの寸法D2よりも長い。これは、排出部材50の前後方向の移動の際に、引掛け部510が端子40に接触するのを避けるためである。また、上下方向において、収容部12の下面122から引掛け部510までの寸法D1は、収容部12に収容された第2対象物(カード24)の寸法D3よりも短い。これにより、収容部12に収容された第2対象物が収容部12の下面122に接触した状態であっても、排出部材50を前方へ移動させると、引掛け部510がその第2対象物に引っ掛かり、第2対象物を確実に排出することができる。
以上、本発明についていくつかの実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明は、これらに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。例えば、本実施の形態では、第1対象物がトレイ20であり、第2対象部がカード22,24であったが、第1対象部が特性の外形を持つカードであり、第2対象物が第1対象物とは異なる外形を持つカードであってもよい。また、上記実施の形態によるコネクタ10は、トレイ20の挿入及び抜去を手で行うよう構成されているが、本発明は、イジェクト機構を備えたコネクタにも適用可能である。イジェクト機構としては、特許文献2に記載されているようなプッシュプッシュ機構のほか、ピンを用いて操作するイジェクト機構等がある。
10 コネクタ
12 収容部
122 下面
20 トレイ(第1対象物)
202 第1カード収容部
204 第2カード収容部
206 被仮止め凹部
208 後面(被仮止め部)
210 上部
212 下部
22,24 カード(第2対象物)
30 ハウジング
302 前端
32 本体
322 フレーム
324 端子保持部
326 側壁部
328 底板部
330 後端
332 第1押し上げばね部
334 仮止め部
336 凸部
34 カバー
342 主部
344 側壁部
346 後壁部
348 ストッパ
352 抜け止め部
354 第2押し上げばね部
356 開口
36 内部空間
372 根元部
374 先端部
376 曲げ部
40 端子
42 接点
50 排出部材
502 主部
504 操作部
506 側壁部
508 突起部
510 引掛け部
512 後端
514 被抜け止め孔
516 被抜け止め部
520 孔

Claims (15)

  1. ハウジングと、複数の端子と、排出部材とを備えるコネクタであって、
    前記ハウジングは、収容部と前端とを有しており、
    前記収容部は、前後方向において、前記前端において開口しており、
    前記収容部は、前記前後方向に沿って挿入される第1対象物を抜去可能に収容するものであり、
    前記端子は、前記ハウジングに保持されており、
    前記端子の各々は、接点を有しており、
    前記接点は、前記収容部内に位置しており、
    前記排出部材は、前記ハウジングの所定位置に保持されており、
    前記排出部材は、前記前後方向に沿って前記所定位置から前方へ移動可能であり、
    前記排出部材は、引掛け部を有しており、
    前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記引掛け部は前記前後方向において前記収容部の後ろ側に位置しており、
    前記排出部材は、前記第1対象物の通常の抜去操作には使用されないものであり、
    前記収容部に前記第1対象物とは外形の異なる第2対象物が挿入された際に、前記排出部材を前記前後方向において前方へ移動させると、前記引掛け部が前記第2対象物を前方へ押し、前記第2対象物を前記収容部から排出する
    コネクタ。
  2. 請求項1に記載されたコネクタであって、
    前記排出部材には、被抜け止め部が設けられており、
    前記ハウジングには、抜け止め部が設けられており、
    前記抜け止め部は、弾性変形可能であり、
    前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記抜け止め部は、前記前後方向において、少なくとも部分的に前記被抜け止め部の前側に位置して前記被抜け止め部の前方への移動を規制し、それによって前記排出部材が前記ハウジングから抜け落ちることが防止される
    コネクタ。
  3. 請求項2に記載されたコネクタであって、
    前記第1対象物には、被仮止め部が設けられており、
    前記ハウジングには、前記抜け止め部とは別の仮止め部が設けられており、
    前記仮止め部は、弾性変形可能であり、
    前記第1対象物が前記収容部に収容されたとき、前記仮止め部は、前記前後方向において、少なくとも部分的に前記被仮止め部の前側に位置して前記被仮止め部の前方への移動を規制し、それによって前記第1対象物は仮止めされている
    コネクタ。
  4. 請求項2又は請求項3に記載されたコネクタであって、
    前記被抜け止め部は、前記排出部材に形成された孔の縁部であり、
    前記抜け止め部は、前記前後方向に対して傾きを持って後方へ延びる板ばねであり、
    前記板ばねは、根元部と、先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置する曲げ部とを有しており、
    前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記板ばねの前記根元部及び前記先端部は、前記孔の外側に位置しており、かつ前記板ばねの前記曲げ部は少なくとも部分的に前記孔の内側に位置している
    コネクタ。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載されたコネクタであって、
    前記排出部材は、主部と操作部とをさらに有しており、
    前記主部は、前記引掛け部と前記操作部とを連結しており、
    前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記操作部は、前記ハウジングの外側に位置している
    コネクタ。
  6. 請求項5に記載されたコネクタであって、
    前記主部は、平板形状を有し、かつ前記前後方向において後端を有しており、
    前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記前後方向と直交する上下方向において、前記主部は前記収容部の上側に位置しており、
    前記引掛け部は、前記主部の前記後端から下方へ突出している
    コネクタ。
  7. 請求項6に記載されたコネクタであって、
    前記主部は、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向において、両端を有しており、
    前記排出部材は、前記主部の前記両端から夫々前記上下方向において下方へ延びる側壁部を有している
    コネクタ。
  8. 請求項5から請求項7までのいずれか一つに記載されたコネクタであって、
    前記操作部は、平板形状を有しており、
    前記操作部には、前記前後方向と直交する上下方向に貫通する孔が形成されている
    コネクタ。
  9. 請求項5から請求項8までのいずれか一つに記載されたコネクタであって、
    前記排出部材は、一枚の金属板から構成されている
    コネクタ。
  10. 請求項5から請求項9までのいずれか一つに記載されたコネクタであって、
    前記ハウジングには、第1押し上げばね部と第2押し上げばね部とが設けられており、
    前記第1押し上げばね部は、前記前後方向において、前記第2押し上げばね部から離れて、且つ前記第2押し上げばね部の後ろ側に位置しており、
    前記第1押し上げばね部と前記第2押し上げばね部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記排出部材を上方へ押し上げて前記ハウジングに押し当てており、
    前記主部は、前記収容部の上面を形成している
    コネクタ。
  11. 請求項10に記載されたコネクタであって、
    前記排出部材は、前記上下方向において下方へ突出する突起部を有しており、
    前記排出部材が前記所定位置にあるとき、前記突起部は前記第1押し上げばね部の上に位置しており、
    前記排出部材が前記前後方向において前方へ移動すると、前記突起部が前記第2押し上げばね部に突き当たる
    コネクタ。
  12. 請求項11に記載されたコネクタであって、
    前記第2押し上げばね部は、斜め上後方へ延びる板ばねである
    コネクタ。
  13. 請求項1から請求項12までのいずれか一つに記載されたコネクタであって、
    前記前後方向と直交する上下方向において、前記収容部の下面から前記引掛け部までの寸法は、前記下面から前記端子の前記接点までの寸法よりも長い
    コネクタ。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれか一つに記載されたコネクタであって、
    前記前後方向と直交する上下方向において、前記収容部の下面から前記引掛け部までの寸法は、前記収容部に収容された前記第2対象物の寸法よりも短い
    コネクタ。
  15. 請求項1から請求項14までのいずれか一つに記載されたコネクタであって、
    前記第1対象物は、トレイであり、
    前記トレイには、カードが載せられる
    コネクタ。
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