JP6442258B2 - カード保持部材及びカード用コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、カード保持部材及びカード用コネクタに関するものである。
従来、携帯電話機等の電子機器においては、SIM(Subscriber Identity Module)カード等の各種カードを利用するために、カード用コネクタを備えている。
近年、電子機器の急速な小型化に伴って、カード及びカード用コネクタは、急速に小型化される傾向にある。そのため、ユーザが手指によってカードを把持したり、カード用コネクタに適切に挿入したりすることが困難である。そこで、カードをあらかじめカード用トレイにセットしておき、該カード用トレイを挿入するカード用コネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図7は従来のカード用トレイを示す図である。
図において、967は、樹脂材料から成るカード用トレイの底板であり、964は一対の側壁であり、965は前壁である。そして、前記カード用トレイは、前記底板967、側壁964及び前壁965によって画定された凹部に図示されないカードを収容した状態で矢印Aで示される方向に移動させられて、図示されないカード用コネクタに挿入される。
前記側壁964の中間部分には半円形状に膨出する当接片968が形成され、前記側壁964の前端近傍には突起状の係合部969が形成されている。そして、カード用トレイがカード用コネクタに挿入される際には、前記当接片968が前記カード用コネクタが備える左右の案内壁に弾力的に当接しながら摺(しゅう)動するので、カード用トレイの幅方向のふらつきが防止される。また、前記係合部969は、前記案内壁の奥のロック部を乗越えて係止される。
特開2006−059660号公報
しかしながら、前記従来のカード用トレイにおいては、係合部969がカード用コネクタの案内壁の奥のロック部を乗越えて係止されることによってカード用コネクタ内に保持されるだけなので、保持力が弱く、使用中にカード用コネクタから抜出てしまう可能性がある。また、当接片968もカード用コネクタの案内壁に弾力的に当接するだけなので、カード用トレイをカード用コネクタ内に確実に保持する機能を発揮し得ない。
本発明は、前記従来の問題点を解決して、カード用コネクタに容易に挿入することができるとともに、カード用コネクタに確実に保持される信頼性の高いカード保持部材及びカード用コネクタを提供することを目的とする。
そのために、本発明のカード保持部材においては、端子部材を備えるカードを保持可能、かつ、カード用コネクタに挿入可能なカード保持部材であって、前記カードの側面と対向する枠部と、該枠部に配設され、前記カード用コネクタのロック部と係合及び係合解除可能な可動ロック部とを備え、該可動ロック部は、金属板から成るばね部材であり、少なくとも1つのコーナ部を含み、前記カード保持部材の幅方向に弾性的に変形可能であり、前記可動ロック部は、直線的に延在する本体部と、該本体部の中間に形成され、前記ロック部と係合可能な係合部とを含む両端が前記枠部に固定された帯状の部材であって、前記コーナ部が前記本体部の前端のみに連結され、前記本体部の後端は、前記枠部に固定されている。
本発明の更に他のカード保持部材においては、さらに、前記コーナ部は、前記金属板が前記カード保持部材の前後方向から該前後方向に交差する方向に曲げられた湾曲した部分である。
本発明の更に他のカード保持部材においては、さらに、前記係合部は、頂点の前後に形成された前方傾斜面及び後方傾斜面を含み、前記カード保持部材の幅方向外側を向いて膨出する凸部であり、前記ロック部は、前方傾斜面及び後方傾斜面を含む凹部である。
本発明のカード用コネクタにおいては、本願発明のカード保持部材を挿入可能なカード用コネクタであって、前記可動ロック部が係合及び係合解除可能なロック部を備える。
本発明の他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記カード保持部材を排出させる排出機構を更に備える。
本発明によれば、カード保持部材は、カード用コネクタに容易に挿入することができるとともに、カード用コネクタに確実に保持され、高い信頼性を得ることができる。
本発明の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入した状態を示す斜視図であって、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取外した状態を示す図である。 本発明の実施の形態におけるカード用トレイの斜視図である。 本発明の実施の形態におけるカード用トレイの五面図であって、(a)は前面図、(b)は上面図、(c)は後面図、(d)は側面図、(e)は下面図である。 本発明の実施の形態におけるカード用トレイの金属部を示す斜視図であって、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。 本発明の実施の形態におけるカード用コネクタの斜視図であって、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取外した状態を示す図である。 本発明の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入する途中の状態を示す図であって、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取外した状態を示す図である。 従来のカード用トレイを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入した状態を示す斜視図、図2は本発明の実施の形態におけるカード用トレイの斜視図、図3は本発明の実施の形態におけるカード用トレイの五面図、図4は本発明の実施の形態におけるカード用トレイの金属部を示す斜視図、図5は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタの斜視図である。なお、図1及び5において、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取外した状態を示す図であり、図3において、(a)は前面図、(b)は上面図、(c)は後面図、(d)は側面図、(e)は下面図であり、図4において、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。
図において、160は本実施の形態におけるカード保持部材としてのカード用トレイであり、図1に示されるように、カード101を収容して保持した状態で、図示されない電子機器に取付けられたカード用コネクタ1に挿入される。つまり、カード101は、その側面112と対向する枠部161によって前記側面112を囲繞(にょう)された状態でカード用トレイ160に収容され、カード用コネクタ1を介して、電子機器に装着される。なお、該電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、通信モデム、パッド型コンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
ところで、例えば、電子機器にカード用コネクタ1以外のカード用コネクタが実装されているような場合には、ユーザがカード用コネクタ1を使用しないこともあり得る。そして、このような場合に、ユーザは、カード101を収容していないカード用トレイ160、すなわち、空のカード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入した状態で保管することができる。
前記カード101は、例えば、SIMカード、マイクロSIMカード、ナノSIM(nanoSIM)カード、MMC(R)(Multi Media Card)、SD(R)(Secure Digital)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)(xD−Picture Card)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)、Trans−Flash(R)メモリカード等のメモリカードであり、いかなる種類のカードであってもよいが、本実施の形態においては、マイクロSD(R)カードであるものとして説明する。
本実施の形態において、前記カード101は、図1に示されるように、全体的に略矩(く)形の板状の形状を有し、その一面(図に示される例においては下面)に、端子部材である図示されない電極パッドが、複数、前端111fに沿って並ぶように配設されている。なお、他面、すなわち、下面の反対側の面である上面111bには、電極パッドが配設されていない。さらに、前端111fの左右両端と側端111sとを結合する角部の一方、具体的には、上面111bにおける前方右角部には、凹部としての切欠部111cが形成されている。該切欠部111cは、カード101の前端111fと前記一方の側端111sとの角部を所定範囲に亘(わた)って欠落させたものであり、略台形の形状を備える。
なお、本実施の形態において、カード用コネクタ1、カード用トレイ160及びカード101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ1、カード用トレイ160、カード101又はそれらの部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ1、カード用トレイ160、カード101又はそれらの部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
ここで、前記カード用トレイ160は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された金属部151と、該金属部151の周囲の少なくとも一部を被覆して一体化するように、インサートモールド成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって成形された絶縁性の樹脂から成る樹脂部169とを含む部材である。
前記カード用トレイ160の枠部161は、カード101を収容するカード収容空間としての空間部166の四辺を囲繞する略矩形の枠部材であって、幅方向に延在する互いに平行な後枠部162及び前枠部165と、前後方向に延在し、後枠部162の両端と前枠部165の両端とを連結する一対の側枠部164とを含んでいる。
なお、一方の側枠部164と前枠部165とが連結される角部、具体的には、前方右角部には、凸部164cが形成されている。該凸部164cは、カード姿勢規制部として機能し、図に示されるように、カード101が正規の姿勢である場合には、カード用トレイ160内へのカード101の収容を許容するが、カード101が非正規の姿勢である場合には、カード用トレイ160内へのカード101の収容を許容しない、すなわち、空間部166内へカード101を収容することができないようにする。具体的には、前記凸部164cは、略台形の形状を備え、正規の姿勢で空間部166内に収容されたカード101の切欠部111cに近接して対向するように形成される。したがって、非正規の姿勢、例えば、前後逆さま、表裏逆さま等の姿勢のカード101をカード用トレイ160の空間部166内へ挿入して収容することができない。
また、前記後枠部162の後方には、後板部163が接続されている。そして、該後板部163の一端には、前記後板部163を板厚方向に貫通する挿通孔(こう)163aが形成されている。該挿通孔163aは、カード用コネクタ1のプッシュロッド22の操作部22aを、ピン、ロッド等の補助部材を介して押圧操作する際に、該補助部材を挿通させる孔(あな)である。
前記後板部163を除き、後枠部162、側枠部164及び前枠部165は、上面が互いに面一であるが、前枠部165の下面は、側枠部164の下面よりも上方に位置することが望ましい。さらに、前枠部165の下面は、空間部166内に収容されて保持されたカード101の下面よりも上方に位置することが望ましい。これにより、カード用トレイ160がカード用コネクタ1に挿入される際に、前枠部165が第1端子51及び第2端子61に接触することが防止される。
そして、前記後枠部162及び左右の側枠部164の内側下端からは、庇(ひさし)部167が空間部166の内側に向けて延出する。前記庇部167は、空間部166内に収容されたカード101の下面の少なくとも一部、例えば、側端近傍等を支持するカード支持部として機能する。
また、前枠部165、後枠部162及び側枠部164における空間部166の内側に向いた側面、すなわち、内側面は、すべて絶縁性の樹脂で覆われており、金属部151は露出していない。したがって、空間部166内に収容されたカード101の下面に配設された電極パッドの周縁がカード101の側面112に露出していたとしても、金属から成る金属部151に当接することはない。
該金属部151は、図4(a)に示されるように、略矩形の枠部材であって、幅方向に延在する互いに平行な後金属枠部152及び前金属枠部155と、前後方向に延在し、後金属枠部152の両端と前金属枠部155の両端とを連結する一対の金属側枠部154とを含んでいる。なお、図に示される例において、後金属枠部152は、中間に欠落部152aを含み、左右に分割されているが、該欠落部152aを含まない1本の連続した部材であってもよい。
本実施の形態において、金属側枠部154は、中間にカード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160を保持するばね部材である可動ロック部としてのロックばね部175を含んでいる。該ロックばね部175は、カード用トレイ160の幅方向に弾性的に変位する板ばねとして機能するために、カード用トレイ160の厚さ方向(上下方向)に延在する板状の部材となっている。一方、前記金属側枠部154の他の部分は、後金属枠部152及び前金属枠部155と同様に、カード用トレイ160の上面又は下面に平行な方向に延在する板状の部材となっている。そのため、ロックばね部175の前後端は、前方折曲げ部154a1及び後方折曲げ部154a2を介して、金属側枠部154の他の部分に連結されている。なお、前記前方折曲げ部154a1及び後方折曲げ部154a2を統合的に説明する場合には、折曲げ部154aとして説明する。
前記ロックばね部175は、カード用トレイ160の厚さ方向に延在するとともに、概略カード用トレイ160の前後方向に延在する細長いばね性を備える帯状の部材であって、側枠部164の外側に露出し、カード用トレイ160の前後方向に直線的に延在する平板状の本体部175dを含み、両端が側枠部164に固定された両持ち梁(はり)状の板ばねとして機能する。なお、前記ロックばね部175は、金属部151が樹脂部169と一体化される前の状態において、図4(a)に示されるように、本体部175dの前端に連結された前方コーナ部175b1、及び、本体部175dの後端に連結された後方コーナ部175b2を含んでいる。前記前方コーナ部175b1及び後方コーナ部175b2は、カード用トレイ160の前後方向から該前後方向に交差する方向に、望ましくは、略90度に曲げられた湾曲した部分であり、統合的に説明する場合には、コーナ部175bとして説明する。両持ち梁状の板ばねとして機能するロックばね部175は、本体部175dの両端に連結された前方コーナ部175b1及び後方コーナ部175b2を含むことによって、柔軟性が増加し、弾性的な変位量が増加する。なお、弾性的な変位量を調整するために、前方コーナ部175b1又は後方コーナ部175b2のいずれかを省略することもできる。
図に示される例においては、後方コーナ部175b2が、側枠部164の後端近傍において、樹脂部169内に埋込まれている。したがって、図に示される例におけるロックばね部175は、側枠部164に固定された前方固定部175c1が前端となり、側枠部164に固定された後方固定部175c2が後端となる。すなわち、ロックばね部175は、前方固定部175c1から後方固定部175c2までの側枠部164の外側に露出した範囲であって、前方コーナ部175b1のみを含んでいる。図4(b)には、前端としての前方固定部175c1から後端としての後方固定部175c2までのロックばね部175が示されている。前記後方固定部175c2は、本体部175dでもある。
また、前記ロックばね部175は、中間に形成され、カード用トレイ160の幅方向内側に向けて弾性的に変位し得る係合部としてのロック凸部175aを備える。該ロック凸部175aは、カード用トレイ160の幅方向外側を向いて膨出する凸部であり、その頂点の前後には、傾斜が比較的緩やかな前方傾斜面175a1と、傾斜が比較的急な後方傾斜面175a2が形成されている。そして、カード用トレイ160のカード用コネクタ1内への挿入が完了した状態において、前記ロック凸部175aは、カード用コネクタ1のロック部としてのロック凹部75と係合する。
本実施の形態において、カード用コネクタ1は、図5に示されるように、主として合成樹脂等の絶縁性材料から成るハウジング11と、導電性の金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって一体的に成形され、ハウジング11の上側に取付けられたカバー部材としてのシェル65とを有する。該シェル65は、概略矩形の天板部62と、該天板部62の側縁から立設する側板部63とを備え、ハウジング11及びカード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ160の少なくとも一部の上方を覆うようになっている。そして、前記カード用コネクタ1は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、前記電子機器が備える、例えば、プリント配線基板等の基板の表面に取付けられ、後方(図5(a)における右下方)の挿入口18から、カード用トレイ160が挿入される。具体的には、ハウジング11とシェル65との間に形成されるカード挿入空間内にカード用トレイ160が挿入される。
また、前記ハウジング11は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された複数の第1端子51、第2端子61及び下側シェル12を含み、前記第1端子51、第2端子61及び下側シェル12の周囲の少なくとも一部を被覆して一体化するように、インサートモールド成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって成形された絶縁性の樹脂から成る樹脂部材を含む概略平板状の部材である。なお、前記下側シェル12は、ハウジング11を補強するフレーム部材であって、望ましくは、第1端子51及び/又は第2端子61と同じ部材から形成されるが、前記第1端子51及び第2端子61からは分離されて電気的に絶縁されている。
前記ハウジング11は、概略矩形の平板状の端子保持部としての底壁部11bと、ハウジング11におけるカード用トレイ160の挿入方向(前後方向)前方の前端部11fに沿って幅方向に延在し、底壁部11bより肉厚の奥壁部11aと、ハウジング11における左右両側縁に沿って挿入方向に延在し、底壁部11bより肉厚の一対の側壁部11eとを含んでいる。前記奥壁部11a及び側壁部11eは、その下面が底壁部11bの下面と面一であり、その上面が底壁部11bの上面よりも上方に位置する。なお、ハウジング11におけるカード用トレイ160の挿入方向後方の端部は、後端部11rと称する。
ここで、底壁部11bは、接続端子としての第1端子51及び第2端子61の露出部を収容保持する第1端子保持凹部11c及び第2端子保持凹部11g並びに第1端子ソルダーテール用開口11d及び第2端子ソルダーテール用開口11hを備える。前記第1端子保持凹部11c及び第2端子保持凹部11g並びに第1端子ソルダーテール用開口11d及び第2端子ソルダーテール用開口11hは、底壁部11bを板厚方向に貫通する開口である。
そして、第1端子保持凹部11c及び第1端子ソルダーテール用開口11dは、それぞれ、単数であり、第1端子51は、ハウジング11の幅方向に延在する1本の列を成すように、並んで配設されている。前記第1端子51は、少なくとも一部が底壁部11bに埋込まれ、また、少なくとも接触部51aが第1端子保持凹部11c内に露出し、はんだ付部としてのソルダーテール部51dが第1端子ソルダーテール用開口11d内に露出する。前記接触部51aは、第1端子51の腕部が備えるばね性によって上方に向けて付勢され、カード用コネクタ1内に保持されたカード用トレイ160内のカード101の電極パッドの各々に接触する。また、前記ソルダーテール部51dは、前記基板に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等に、はんだ付等によって電気的に接続される。
また、第2端子保持凹部11g及び第2端子ソルダーテール用開口11hは、ハウジング11の前後方向に延在する列を成すように、並んで配設されている。図に示される例では、3つずつ、2列に並ぶように配設されている。前記第2端子61の各々は、少なくとも一部が底壁部11bに埋込まれ、また、少なくとも接触部61aが各第2端子保持凹部11g内に露出し、はんだ付部としてのソルダーテール部61dが各第2端子ソルダーテール用開口11h内に露出する。したがって、各第2端子保持凹部11g内に1つずつ保持される第2端子61も、ハウジング11の前後方向に延在する2本の列を成すように配列されている。前記第2端子61は、少なくとも一部が底壁部11bに埋込まれ、また、少なくとも接触部61aが第2端子保持凹部11g内に露出している。前記接触部61aは、第2端子61の腕部が備えるばね性によって上方に向けて付勢され、カード用コネクタ1内に保持されたカード用トレイ160内のカード101の電極パッドの各々に接触する。また、前記ソルダーテール部61dは、前記基板に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等に、はんだ付等によって電気的に接続される。
前記第1端子51は、例えば、マイクロSD(R)カードの電極パッドに適合するように配置されたものであり、前記第2端子61は、例えば、ナノSIMカードの電極パッドに適合するように配置されたものである。つまり、前記カード用コネクタ1は、カード用トレイ160に収容されるカード101の種類が異なる場合、例えば、前記カード101がマイクロSD(R)カードである場合にも、ナノSIMカードである場合にも適合するものである。なお、第1端子51及び第2端子61の数及び配置の形態は、カード101の電極パッドの数及び配置の形態に適合するように、適宜変更される。また、カード用トレイ160に収容されるカード101の種類が1つのみである場合には、第1端子51又は第2端子61を省略することもできる。
前記底壁部11bと左右の側壁部11eとの間には、下側シェル12が露出している。そして、各側壁部11eの内側面には、カード用トレイ160のロックばね部175に形成されたロック凸部175aと係合し、カード用トレイ160を保持して固定するためのロック凹部75が形成されている。なお、該ロック凹部75は、傾斜が比較的緩やかな前方傾斜面75a1と、傾斜が比較的急な後方傾斜面75a2とを含む凹部である。
また、前記側壁部11eの一方の内側には、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160を排出するためのトレイ排出機構におけるトレイ排出操作部材としてのプッシュロッド22が前後方向にスライド可能に取付けられている。該プッシュロッド22は、概略直線的な棒状又は帯板状の部材であるが、その後端部には、屈曲した操作部22aが一体的に接続されている。前記プッシュロッド22の前端部には、イジェクトレバー21の力点部21bと係合する係合部22bが形成されている。前記イジェクトレバー21は、奥壁部11aの近傍に配設されたレバー状の部材であってトレイ排出機構におけるトレイ排出梃子(てこ)部材として機能する。そのため、イジェクトレバー21は、支点部21cにおいて枢動可能に底壁部11bに取付けられている。そして、イジェクトレバー21における前記支点部21cを挟んで力点部21bと反対側の端部は、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160の前枠部165に当接して、カード用トレイ160に排出方向の力を付与する作用点部21aとして機能する。
前記シェル65は、天板部62の側縁から立設する側板部63を有する。該側板部63には、複数の掛止開口63aが形成され、シェル65をハウジング11の上側に取付けると、該ハウジング11の側壁部11eの外側面に形成された掛止突起13に前記掛止開口63aが掛止され、これにより、シェル65がハウジング11に固定される。また、前記側板部63の下端の任意の箇所には、側板部63から立設し、シェル65の幅方向外側に向けて延出する基板接続部としてのソルダーテール部64が形成されている。該ソルダーテール部64は、前記基板の表面に形成された固定用パッド等に、はんだ付等によって固定される。
さらに、ハウジング11には、カード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ160が、カード用コネクタ1内の所定位置(カード用トレイ160の挿入が完了してロックされる位置)に到達したことを検出する検出スイッチの可動部材17及び固定部材16が配設されている。カード用トレイ160が前記所定位置に到達していない場合には、可動部材17と固定部材16とが離間しているので、検出スイッチは非導通状態、すなわち、オフ(OFF)になっている。しかし、カード用トレイ160が前記所定位置に到達すると、可動部材17がカード用トレイ160の前枠部165に当接して押され、これにより、可動部材17が変位して固定部材16と接触する。したがって、検出スイッチが導通状態、すなわち、オン(ON)になるので、カード用トレイ160が前記所定位置に到達したことが検出される。
次に、前記構成のカード用コネクタ1の動作について説明する。まず、カード用トレイ160を挿入する場合の動作について説明する。
図6は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入する途中の状態を示す図である。図において、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取外した状態を示す図である。
ユーザは、手指等によって、カード101が収容されたカード用トレイ160をカード用コネクタ1の後方から挿入口18に挿入する。ここで、カード用トレイ160は、その上面が上を向き、すなわち、シェル65の天板部62と向合い、その下面が下を向き、すなわち、ハウジング11の底壁部11bと向合い、前枠部165がハウジング11の前端部11fの方を向くような姿勢、すなわち、正規姿勢で挿入される。そのため、空間部166に収容されているカード101は、電極パッドが配設されていない上面111bが上を向き、電極パッドが配設された下面がカード用トレイ160の下面に露出した状態で下を向く姿勢となっている。なお、カード用トレイ160は、カード101を収容していない状態であっても、カード101を収容した状態であっても、カード用コネクタ1に挿入し、カード用コネクタ1から排出することができるが、ここでは、カード101を収容している場合についてのみ説明する。また、該カード101は、前述のように、マイクロSD(R)カードであるものとする。
カード用トレイ160が挿入口18からハウジング11とシェル65との間に形成されるカード挿入空間内に挿入されると、側枠部164の下面が、下側シェル12の上面と近接又は接触した状態で、カード用トレイ160はカード挿入空間内を進行する。続いて、図6(b)に示されるように、カード用トレイ160の側枠部164の外側に露出したロックばね部175のロック凸部175aが、ハウジング11の側壁部11eの内側面に当接し、カード用トレイ160の幅方向内側へ向けて弾性的に変位させられる。
この場合、前方傾斜面175a1が側壁部11eにおける後端部11r側の端に当接することによってロック凸部175aが変位を開始するので、前記ロックばね部175においては、主としてロック凸部175aより前方の部分、すなわち、前半部が弾性的に変形することになるところ、前記ロックばね部175は、前端近傍に形成された前方コーナ部175b1を含んでいるので、前半部の柔軟性が高く(剛性が低く)なっている。したがって、ロック凸部175aが側壁部11eの内側面に当接して変位を開始する際に、ロックばね部175が発揮するばね力としての反発力があまり大きくないので、ユーザは、カード用トレイ160をプッシュして押込むために大きな力を発揮する必要がなく、スムーズにカード用トレイ160を押込むことができる。そして、カード用トレイ160が前端部11fに向って進行すると、ロック凸部175aは側壁部11eの内側面上を摺動する。
続いて、ユーザがカード用トレイ160をプッシュして更に押込むと、図1に示されるように、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達する。このとき、前枠部165に押され、可動部材17が固定部材16と接触し、検出スイッチがオンになるので、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達したことが検出される。
また、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置にまで前進することによって、イジェクトレバー21の作用点部21aが、前枠部165に押されて前端部11fの方向に向けて更に変位するので、イジェクトレバー21の力点部21bは、後端部11rの方向に向けて更に変位し、プッシュロッド22は、後方に最も突出した位置にまでスライドした状態となる。
そして、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達すると、イジェクトレバー21の作用点部21aは、ハウジング11の奥壁部11aと干渉するので、それ以上前端部11fの方向に向けて変位不能となる。したがって、カード用トレイ160も、それ以上前進不能となる。
さらに、該カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達すると、左右一対のロックばね部175のロック凸部175aは、ロックばね部175が発揮するばね力によって付勢され、カード用トレイ160の幅方向外側へ向けて弾性的に変位し、側壁部11eの内側面に形成されたロック凹部75と係合する。この場合、前方傾斜面175a1が前方傾斜面75a1と対向し、後方傾斜面175a2が後方傾斜面75a2と対向する。これにより、カード用トレイ160は、所定位置において安定的に保持されてロックされ、該所定位置から後方に向けて変位することが防止される。
そして、カード用トレイ160内に収容されているカード101は、カード用トレイ160とともに、所定位置に保持されることによって、カード用コネクタ1が実装された電子機器の演算手段等との間でデータの送受信を行うことができる状態となる。なお、カード101が所定位置に保持されているとき、カード用コネクタ1の第1端子51は、その接触部51aが、カード101の電極パッドの各々に接触して導通している。
次に、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。
まず、ユーザが手指等によって、ピン、ロッド等の補助部材を、カード用トレイ160の後方から、後板部163に形成された挿通孔163aに挿通させ、前記補助部材の先端をプッシュロッド22の操作部22aに当接させる。そして、ユーザが補助部材を介してプッシュロッド22を押込むと、該プッシュロッド22の係合部22bと係合するイジェクトレバー21の力点部21bが前方に変位する。そのため、イジェクトレバー21の作用点部21aに前枠部165が押され、カード用トレイ160は、所定位置から後方に向けて移動し、それに伴って、検出スイッチがオフになり、カード用トレイ160が所定位置から後方に移動したことが検出される。また、ロックばね部175のロック凸部175aと側壁部11eの内側面に形成されたロック凹部75との係合が解除される。この際、該ロック凹部75と係合しているロック凸部175aは、カード用トレイ160の幅方向内側へ向けて弾性的に変位させられる。
この場合、後方傾斜面175a2がロック凹部75の後方傾斜面75a2と当接することによってロック凸部175aが変位を開始するので、前記ロックばね部175においては、主としてロック凸部175aより後方の部分、すなわち、後半部が弾性的に変形することになるところ、前記ロックばね部175は、後方にはコーナ部175bを含んでいないので、後半部の柔軟性が低く(剛性が高く)なっている。したがって、ロック凸部175aがロック凹部75の後方傾斜面75a2に当接して変位を開始する際に、ロックばね部175が発揮するばね力としての反発力は大きい。そのため、プッシュロッド22は、カード用トレイ160及びイジェクトレバー21を介して、弾性的に変形させられるロックばね部175が発揮するばね力を主因とする抵抗を受けるが、該抵抗がユーザの手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記抵抗に抗して前方に移動する。また、イジェクトレバー21がトレイ排出梃子部材として機能するので、ユーザの手指等が発揮する押圧力が比較的小さくても、カード用トレイ160に排出方向への大きな力を付与することができる。
これにより、カード用トレイ160の後板部163は、カード用コネクタ1の挿入口18から十分に大きく後方へ突出した状態となる。したがって、ユーザは、手指等によって後板部163を把持することにより、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から引出して排出させることができる。
なお、ここでは、ロックばね部175が前方コーナ部175b1のみを含んでいる場合についてのみ説明したが、必要に応じて、前記ロックばね部175を、前方コーナ部175b1及び後方コーナ部175b2を含むものに変更することも、後方コーナ部175b2のみを含むものに変更することもできる。
このように、本実施の形態において、カード用トレイ160は、電極パッドを備えるカード101を保持可能、かつ、カード用コネクタ1に挿入可能である。そして、カード用トレイ160は、カード101の側面112と対向する枠部161と、枠部161に配設され、カード用コネクタ1のロック凹部75と係合及び係合解除可能なロックばね部175とを備え、ロックばね部175は、金属板から成るばね部材であり、少なくとも1つのコーナ部175bを含み、カード用トレイ160の幅方向に弾性的に変形可能である。
これにより、ロックばね部175のばね性が向上し、カード用トレイ160は、カード用コネクタ1に容易に挿入することができるとともに、カード用コネクタ1に確実に保持される。したがって、カード用コネクタ1に衝撃が加えられたり、カード用トレイ160にカード用コネクタ1から引出す方向の外力が付与されたりした場合であっても、カード用トレイ160が排出されることがない。しかも、ロックばね部175は、コーナ部175bを含むことによって、弾性的な変形量が大きくなるので、塑性変形したり、破損したりすることがない。したがって、高い信頼性を得ることができる。
また、ロックばね部175は、直線的に延在する本体部175dと、本体部175dの中間に形成され、ロック凹部75と係合可能なロック凸部175aとを含む両端が枠部161に固定された帯状の部材であって、コーナ部175bが本体部175dの両端の少なくとも一方に連結されている。したがって、ロックばね部175は、シンプルな構成でありながら、ロック凸部175aの変位量を大きくすることができるので、ロック凹部75との係合及び係合解除を容易かつ確実に行うことができる。また、ロックばね部175の製造コストを低減し、その結果、カード用トレイ160の製造コストを低減することができる。
さらに、コーナ部175bは、金属板がカード用トレイ160の前後方向から該前後方向に交差する方向に曲げられた湾曲した部分である。したがって、コーナ部175bの弾性的な変形量が大きく、その結果、ロックばね部175の弾性的な変形量が大きくなる。
さらに、ロック凸部175aは、頂点の前後に形成された前方傾斜面175a1及び後方傾斜面175a2を含み、カード用トレイ160の幅方向外側を向いて膨出する凸部であり、ロック凹部75は、前方傾斜面75a1及び後方傾斜面75a2を含む凹部である。したがって、カード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入し、カード用コネクタ1から排出する際に、ロック凸部175aがスムーズに変位するので、カード用トレイ160の挿入及び排出をスムーズに行うことができる。
さらに、コーナ部175bは、本体部175dの前端のみに連結され、本体部175dの後端は、枠部161に固定されている。したがって、カード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入する際には、ロック凸部175aが柔軟に変位するのでカード用トレイ160の挿入を容易に行うことができる。また、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出する際には、ロック凸部175aは、変位しにくくなり、ロック凹部75との係合解除がしにくくなるので、カード用トレイ160はカード用コネクタ1に確実に保持され、カード用コネクタ1に衝撃が加えられたり、カード用トレイ160にカード用コネクタ1から引出す方向の外力が付与されたりした場合であっても、カード用トレイ160が排出されることがない。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、カード保持部材及びカード用コネクタに適用することができる。
1 カード用コネクタ
11 ハウジング
11a 奥壁部
11b 底壁部
11c 第1端子保持凹部
11d 第1端子ソルダーテール用開口
11e 側壁部
11f 前端部
11g 第2端子保持凹部
11h 第2端子ソルダーテール用開口
11r 後端部
12 下側シェル
13 掛止突起
16 固定部材
17 可動部材
18 挿入口
21 イジェクトレバー
21a 作用点部
21b 力点部
21c 支点部
22 プッシュロッド
22a 操作部
22b、969 係合部
51 第1端子
51a、61a 接触部
51d、61d、64 ソルダーテール部
61 第2端子
62 天板部
63 側板部
63a 掛止開口
65 シェル
75 ロック凹部
75a1、175a1 前方傾斜面
75a2、175a2 後方傾斜面
101 カード
111b 上面
111c 切欠部
111f 前端
111s 側端
112 側面
151 金属部
152 後金属枠部
152a 欠落部
154 金属側枠部
154a1 前方折曲げ部
154a2 後方折曲げ部
155 前金属枠部
160 カード用トレイ
161 枠部
162 後枠部
163 後板部
163a 挿通孔
164 側枠部
164c 凸部
165 前枠部
166 空間部
167 庇部
169 樹脂部
175 ロックばね部
175a ロック凸部
175b1 前方コーナ部
175b2 後方コーナ部
175c1 前方固定部
175c2 後方固定部
175d 本体部
964 側壁
965 前壁
967 底板
968 当接片

Claims (5)

  1. (a)端子部材を備えるカードを保持可能、かつ、カード用コネクタに挿入可能なカード保持部材であって、
    (b)前記カードの側面と対向する枠部と、該枠部に配設され、前記カード用コネクタのロック部と係合及び係合解除可能な可動ロック部とを備え、
    (c)該可動ロック部は、金属板から成るばね部材であり、少なくとも1つのコーナ部を含み、前記カード保持部材の幅方向に弾性的に変形可能であり、
    (d)前記可動ロック部は、直線的に延在する本体部と、該本体部の中間に形成され、前記ロック部と係合可能な係合部とを含む両端が前記枠部に固定された帯状の部材であって、前記コーナ部が前記本体部の前端のみに連結され、前記本体部の後端は、前記枠部に固定されていることを特徴とするカード保持部材。
  2. 前記コーナ部は、前記金属板が前記カード保持部材の前後方向から該前後方向に交差する方向に曲げられた湾曲した部分である請求項に記載のカード保持部材。
  3. 前記係合部は、頂点の前後に形成された前方傾斜面及び後方傾斜面を含み、前記カード保持部材の幅方向外側を向いて膨出する凸部であり、前記ロック部は、前方傾斜面及び後方傾斜面を含む凹部である請求項又はに記載のカード保持部材。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のカード保持部材を挿入可能なカード用コネクタであって、前記可動ロック部が係合及び係合解除可能なロック部を備えるカード用コネクタ。
  5. 前記カード保持部材を排出させる排出機構を更に備える請求項に記載のカード用コネクタ。
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