以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入する直前の状態を示す斜視図であってシェルを取外した状態を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるカード用トレイの四面図、図2Aは本発明の第1の実施の形態におけるカード用トレイの変形例の四面図、図2Bは本発明の第1の実施の形態におけるカード用トレイの変形例の斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタの斜視図である。なお、図2及び2Aにおいて、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は後面図、(d)は下面図であり、図2Bにおいて、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図であり、図3において、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取外した状態を示す図である。
図において、160は本実施の形態におけるカード保持部材としてのカード用トレイであり、図1に示されるように、カード101を収容して保持した状態で、図示されない電子機器に取付けられたカード用コネクタ1に挿入される。つまり、カード101は、その側面112と対向する枠部161によって前記側面112を囲繞(にょう)された状態でカード用トレイ160に収容され、カード用コネクタ1を介して、電子機器に装着される。なお、該電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、通信モデム、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
ところで、例えば、電子機器にカード用コネクタ1以外のカード用コネクタが実装されているような場合には、ユーザがカード用コネクタ1を使用しないこともあり得る。そして、このような場合に、ユーザは、カード101を収容していないカード用トレイ160、すなわち、空のカード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入した状態で保管することができる。なお、図1においては、説明の都合上、カード用コネクタ1のシェル61を取外した状態が示されている。
前記カード101は、例えば、SIMカード、マイクロSIMカード、MMC(R)、SD(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)、Trans−Flash(R)メモリカード等のメモリカードであり、いかなる種類のカードであってもよいが、本実施の形態においては、4FF(4th Form Factor)カード、いわゆる、ナノSIM(nanoSIM)カードであるものとして説明する。なお、カードの規格であるETSI TS 102 221 V11.00によると、ナノSIMカードの大きさは、前後長12.3〔mm〕、幅8.8〔mm〕、厚さ0.67〔mm〕と規定されている。
本実施の形態において、前記カード101は、図1に示されるように、全体的に略矩(く)形の板状の形状を有し、その下面に、端子部材である図示されない電極パッドが、複数、前端111f及び後端111rに沿って並ぶように、例えば、3つずつ、2列に並ぶように配設されている。すなわち、電極パッドは、カード101の幅方向に延在する2本の列を成すように配列されている。なお、下面の反対側の面、すなわち、上面には、電極パッドが配設されていない。さらに、後端111rの左右両端と側端111sとを結合する角部の一方には、斜めに切欠かれた傾斜部としての切欠部111cが形成されている。
なお、本実施の形態において、カード用コネクタ1、カード用トレイ160及びカード101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ1、カード用トレイ160、カード101又はそれらの部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ1、カード用トレイ160、カード101又はそれらの部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
ここで、前記カード用トレイ160は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された金属部151と、該金属部151の周囲の少なくとも一部を被覆して一体化するように、インサートモールド成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって形成された絶縁性の樹脂から成る樹脂部169とを含む部材である。
前記金属部151は、図2に示されるように、カード101の電極パッドが露出可能な略矩形の開口156の四辺を囲繞する略矩形の枠部材であって、幅方向に延在する互いに平行な後金属枠部153及び前金属枠部152と、前後方向に延在し、後金属枠部153の両端と前金属枠部152の両端とを連結する第1金属側枠部154−1及び第2金属側枠部154−2とを含んでいる。なお、該第1金属側枠部154−1及び第2金属側枠部154−2を統合的に説明する場合には、金属側枠部154として説明する。
前記カード用トレイ160の枠部161は、カード101を収容するカード収容空間としての空間部166の四辺を囲繞する略矩形の枠部材であって、幅方向に延在する互いに平行な後枠部162及び前枠部165と、前後方向に延在し、後枠部162の両端と前枠部165の両端とを連結する第1側枠部164−1及び第2側枠部164−2とを含んでいる。なお、前記第1側枠部164−1及び第2側枠部164−2を統合的に説明する場合には、側枠部164として説明する。
また、前記後枠部162における第2側枠部164−2と連結される角部、具体的には、後方右角部には、傾斜部162cが形成されている。該傾斜部162cは、カード姿勢規制部として機能し、図1に示されるように、カード101が正規の姿勢である場合には、カード用トレイ160内へのカード101の収容を許容するが、カード101が非正規の姿勢である場合には、カード用トレイ160内へのカード101の収容を許容しない、すなわち、空間部166内へカード101を収容することができないようにする。
さらに、前記後枠部162の後方には、後板部163が接続されている。該後板部163は、カード用トレイ160の厚さ方向(図2(a)における左右方向)の寸法が、後枠部162、前枠部165及び側枠部164よりも大きく形成されている。さらに、前記後板部163の両端は、後枠部162及び前枠部165よりも、カード用トレイ160の幅方向外側に突出する。これにより、前記後板部163は、カード用トレイ160が前後逆さまの姿勢でカード用コネクタ1に挿入されること、すなわち、誤挿入を防止する機能を発揮するとともに、カード用コネクタ1のユーザがカード用トレイ160を手指等によって操作する際に、把持や操作を容易にする機能を発揮する。
また、前記後板部163の両端の一方には、前記後板部163を板厚方向に貫通する挿通孔163aが形成されている。該挿通孔163aは、カード用コネクタ1のプッシュロッド22の操作部22aを後述される補助部材181を介して押圧操作する際に、該補助部材181を挿通させる孔(あな)である。なお、前記補助部材181は、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる排出機構を作動させる補助部材として機能する。
前記後板部163を除き、後枠部162、側枠部164及び前枠部165は、上面が互いに面一であり、カード用トレイ160の厚さ方向(図2(a)における左右方向)の寸法が等しくなるように形成されている。そして、前記後枠部162及び左右の側枠部164の内側下端からは、庇(ひさし)部167が空間部166の内側に向けて延出する。前記庇部167は、空間部166内に収容されたカード101の下面の少なくとも一部、例えば、側端近傍等を支持するカード支持部として機能する。
また、前枠部165、後枠部162、側枠部164及び前枠部165における空間部166の内側に向いた側面、すなわち、内側面は、すべて絶縁性の樹脂で覆われており、金属部151は露出していない。したがって、空間部166内に収容されたカード101の下面に配設された電極パッドの周縁がカード101の側面112(下面及び上面と直交する方向に延在し、下面及び上面を連結する面)に露出していたとしても、金属から成る金属部151に当接することはない。
本実施の形態において、第1側枠部164−1における後方、すなわち、後枠部162寄りの部分には、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160を保持するばね部材である可動ロック部としての第1保持部材175−1が取付けられ、第2側枠部164−2における後方、すなわち、後枠部162寄りの部分には、ばね部材である補助可動ロック部としての第2保持部材175−2が取付けられている。
前記第1保持部材175−1は、カード用コネクタ1の固定的なロック部としての第1保持用係合片部75−1とロック及びロック解除可能、すなわち、係合及び係合解除可能な部材である。具体的には、前記第1保持部材175−1は、金属板等から成るばね性を備える帯板状の部材であって、前後方向に延在し、その基端が第1側枠部164−1の後端部分、すなわち、後枠部162との接続部分に固定されるとともに、その他の部分が第1側枠部164−1に形成された第1凹部164b1内に位置する。したがって、前記第1保持部材175−1は、基端が固定されたカンチレバー状の板ばねとして機能し、第1凹部164b1内に位置する部分は、カード用トレイ160の幅方向内側に向けて弾性的に変位し得る。
また、前記第1保持部材175−1は、カード用トレイ160の幅方向外側を向いて膨出し、カード用コネクタ1の第1保持用係合片部75−1と係合する第1保持用凸部175a1を、その自由端近傍に備える。より詳細には、前記第1保持用凸部175a1は、後方に位置する第1後方傾斜部175b1と、前方に位置する第1前方傾斜部175c1とを含み、カード用トレイ160のカード用コネクタ1内への挿入が完了した状態においては、前記第1後方傾斜部175b1が第1保持用係合片部75−1と係合する。
さらに、第1側枠部164−1における後方、すなわち、後枠部162寄りの部分には、第1保持部材175−1の第1保持用凸部175a1を弾性的に変位させてカード用コネクタ1の第1保持用係合片部75−1との係合を解除させる操作伝達部としての操作部168が取付けられている。
該操作部168は、樹脂部169と一体的に形成された樹脂から成る部材であって、第1保持部材175−1よりもカード用トレイ160の幅方向外側に位置して前後方向に延在し、その基端が第1側枠部164−1の後端部分、すなわち、後枠部162との接続部分と一体化されて固定されるとともに、その他の部分が、前後方向に関して、第1保持部材175−1の基端と第1保持用凸部175a1との間に位置する。そして、前記操作部168は、基端が固定されたカンチレバー状の板ばねとして機能し、カード用トレイ160の幅方向に弾性的に変位し得る。
さらに、前記操作部168は、カード用トレイ160の幅方向外側を向いて膨出し、カード用コネクタ1のプッシュロッド22の操作部22aを押圧操作する補助部材181と当接する係合解除操作用凸部168aを、その自由端近傍に備える。より詳細には、前記係合解除操作用凸部168aは、後方に位置する係合解除操作用傾斜部168bと、前方に位置し、カード用トレイ160の幅方向内側を向いている係合解除操作用先端部168cとを含み、カード用コネクタ1のプッシュロッド22の操作部22aを補助部材181を介して押圧操作する際に、該補助部材181の先端が係合解除操作用傾斜部168bに沿って前方に向けて移動すると、係合解除操作用先端部168cが第1保持部材175−1をカード用トレイ160の幅方向内側に向けて押圧し、第1保持用凸部175a1をカード用トレイ160の幅方向内側に向けて変位させ、カード用コネクタ1の第1保持用係合片部75−1との係合を解除させる。
なお、前記操作部168は、必ずしも樹脂部169と一体的に形成された樹脂から成る部材である必要はなく、図2A及び2Bに示されるように、樹脂部169と別個に形成され、該樹脂部169に取付けられた部材であってもよい。すなわち、第1保持部材175−1と同様に、金属、樹脂等から成るばね性を備える帯板状の部材であって、前後方向に延在し、その基端が第1側枠部164−1の後端部分、すなわち、後枠部162との接続部分に固定される部材であってもよい。図2A及び2Bに示される操作部168に関し、図1及び2に示される樹脂部169と一体的に形成された操作部168と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、動作についても、同様であるので、その説明を省略する。
また、前記第2保持部材175−2は、金属板等から成るばね性を備える帯板状の部材であって、前後方向に延在し、その基端が第2側枠部164−2の後端部分、すなわち、後枠部162との接続部分に固定されるとともに、その他の部分が第2側枠部164−2に形成された第2凹部164b2内に位置する。したがって、前記第2保持部材175−2は、基端が固定されたカンチレバー状の板ばねとして機能し、第2凹部164b2内に位置する部分は、カード用トレイ160の幅方向内側に向けて弾性的に変位し得る。
そして、前記第2保持部材175−2は、カード用トレイ160の幅方向外側を向いて膨出し、カード用コネクタ1の第2保持用係合片部75−2と係合する第2保持用凸部175a2を、その自由端近傍に備える。より詳細には、前記第2保持用凸部175a2は、後方に位置する第2後方傾斜部175b2と、前方に位置する第2前方傾斜部175c2とを含み、カード用トレイ160のカード用コネクタ1内への挿入が完了した状態においては、前記第2後方傾斜部175b2がカード用コネクタ1の第2保持用係合片部75−2と係合する。
本実施の形態において、カード用コネクタ1は、図3に示されるように、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されたハウジング11と、導電性の金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって一体的に成形され、ハウジング11の上側に取付けられたカバー部材としてのシェル61とを有する。該シェル61は、ハウジング11及びカード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ160の少なくとも一部の上方を覆うようになっている。そして、前記カード用コネクタ1は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、前記電子機器に取付けられ、後方(図3(a)における右下方)の挿入口18から、ハウジング11にカード用トレイ160が挿入される。具体的には、ハウジング11とシェル61との間に形成されるカード挿入空間内にカード用トレイ160が挿入される。
図3(b)に示されるように、ハウジング11は、略矩形の平板状部材である底壁部11b、及び、ハウジング11におけるカード用トレイ160の挿入方向前方の端部、すなわち、前端部11fに沿って延在し、底壁部11bから立設する奥壁部11aを有する。なお、ハウジング11におけるカード用トレイ160の挿入方向後方の端部は、後端部11rと称する。
また、ハウジング11は、底壁部11bの左右両側から幅方向外側に向けて延出する第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2を備える。該第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2は、底壁部11bよりも薄肉の平坦(たん)な金属板であって、その下面が底壁部11bの下面と面一となるように、前記底壁部11bと一体化されている。
ここで、底壁部11bは、接続端子としての端子51を保持する端子保持凹部11cを備える。該端子保持凹部11cは、底壁部11bを板厚方向に貫通する開口であり、ハウジング11の幅方向に延在する列を成すように、並んで配設されている。図に示される例では、3つずつ、2列に並ぶように配設されている。すなわち、端子保持凹部11c、及び、各端子保持凹部11c内に1つずつ保持される端子51は、ハウジング11の幅方向に延在する2本の列を成すように配列されている。前記端子51は、その基部51aの少なくとも一部が底壁部11bに埋込まれ、また、その他の部分が端子保持凹部11c内に露出している。
そして、端子51は、基部51aに基端が連結されたカンチレバー状の接触腕部51bと、該接触腕部51bの自由端、すなわち、先端に接続された接触部51cとを備える。そして、少なくとも接触部51cの上面は、カード挿入空間内にカード用トレイ160に収容されたカード101が挿入されていない状態では、底壁部11bの上面より上方に位置している。なお、前記端子51において、接触腕部51bと接触部51cとから成る部分は、前端部11fに近付くにつれて上昇するような、すなわち、後方に向けて斜め上方に延在するような側面形状を備える。また、接触腕部51b及び接触部51cは、平面視において、端子保持凹部11c内に位置する。前記端子51は、接触部51cが、カード用コネクタ1内に保持されたカード用トレイ160内のカード101の電極パッドの各々に接触するように、配設されている。したがって、端子51の数及び配置の形態は、カード101の電極パッドの数及び配置の形態に適合するように、適宜変更される。
また、底壁部11bには、該底壁部11bを板厚方向に貫通するソルダーテール用開口11dが形成されている。そして、該ソルダーテール用開口11dには、各端子51の基板接続部としてのソルダーテール部51dが露出している。該ソルダーテール部51dの各々は、底壁部11bに埋込まれた図示されない連結部を介して、各端子51の基部51aに連結されている。そして、ソルダーテール部51dは、前記電子機器における配線基板等に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部材に、はんだ付等によって電気的に接続される。
そして、ハウジング11は、側縁に沿って前後方向に延在する第1側壁部11s1及び第2側壁部11s2を有する。なお、該第1側壁部11s1及び第2側壁部11s2は、底壁部11b等と一体的に成形された絶縁性材料から成る部材であってもよいし、前記第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2の縁部を屈曲して成形された金属板から成る部材であってもよい。そして、前記第1側壁部11s1の内側には、トレイ排出ロッド収容部11gが形成されている。該トレイ排出ロッド収容部11gには、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160を排出するための排出機構における排出操作部材としてのプッシュロッド22が前後方向にスライド可能に取付けられている。これにより、該プッシュロッド22は、第1側壁部11s1に沿って前後方向にスライドすることができる。なお、第1側壁部11s1及び第2側壁部11s2を統合的に説明する場合には、側壁部11sとして説明する。
前記プッシュロッド22は、概略直線的な棒状又は帯板状の部材であるが、その後端部には、屈曲した操作部22aが一体的に接続されている。該操作部22aは、カード用コネクタ1のユーザが後述される補助部材181を介して操作する際に、操作が容易となるような形状を備える。なお、前記操作部22aの後面には、前記補助部材181の先端が係合しやすいように、凹部22cが形成されていることが望ましい。
また、前記プッシュロッド22の前端部には、イジェクトレバー21の力点部21bと係合する係合部22bが形成されている。前記イジェクトレバー21は、奥壁部11aの近傍に配設されたレバー状の部材であってトレイ排出機構におけるトレイ排出梃子(てこ)部材として機能する。そのため、イジェクトレバー21は、支点部21cにおいて枢動可能に底壁部11bに取付けられている。そして、イジェクトレバー21における前記支点部21cを挟んで力点部21bと反対側の端部は、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160の前端161fに当接して、カード用トレイ160に排出方向の力を付与する作用点部21aとして機能する。
さらに、前記第1フランジ部71−1には、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160の第1保持部材175−1における第1保持用凸部175a1と係合する第1保持用係合片部75−1が形成されている。より詳細には、該第1保持用係合片部75−1は、第1フランジ部71−1の一部を切起こすことによって成形された不動の固定的な部材であり、カード用トレイ160の挿入方向に関して前記プッシュロッド22の操作部22aよりも後方に位置する。
同様に、前記第2フランジ部71−2には、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160の第2保持部材175−2における第2保持用凸部175a2と係合する第2保持用係合片部75−2が形成されている。該第2保持用係合片部75−2は、第2フランジ部71−2の一部を切起こすことによって成形された不動の固定的な部材である。なお、カード用トレイ160が第2保持部材175−2を備えていない場合には、前記第2保持用係合片部75−2を省略することができる。
前記シェル61は、概略矩形の天板部62と、該天板部62の側縁から立設する側板部63とを有する。該側板部63には、複数の掛止開口63aが形成され、シェル61をハウジング11の上側に取付けると、該ハウジング11の側壁部11sの外側面に形成された掛止突起13に前記掛止開口63aが掛止され、これにより、シェル61がハウジング11に固定される。また、前記側板部63の下端の任意の箇所には、側板部63から立設し、シェル61の幅方向外側に向けて延出する基板接続部としてのソルダーテール部64が形成されている。該ソルダーテール部64は、前記電子機器における配線基板等の表面に形成された固定用パッド等に、はんだ付等によって固定される。なお、前記シェル61におけるカード用トレイ160の挿入方向前方及び後方の端部は、前端部61f及び後端部61rと称する。なお、第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2が第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2に形成される構造について説明したが、前記第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2は、シェル61の天板部62に入れたコ字状の切れ目を切起こすことによって形成されたものであってもよい。
さらに、カード用コネクタ1は、該カード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ160を検出する検出スイッチの端子を有する。具体的には、ハウジング11の前端部11fの近傍には、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置(カード用トレイ160が保持されるとともに、カード用トレイ160にカード101が収容されている場合に各電極パッドが対応する端子51の接触部51cと確実に接触する位置)にまで挿入されたことを検出する検出スイッチとしてのトレイ検出スイッチの端子が配設されている。前記トレイ検出スイッチは、前端部11f及びその近傍に取付けられたカンチレバー状の端子としての第1接点部材57と、底壁部11bに形成されたスイッチ保持凹部11jに保持された端子としての第2接点部材58とによって形成される。前記スイッチ保持凹部11jは、底壁部11bを板厚方向に貫通する開口である。
次に、前記構成のカード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入し、その後カード用コネクタ1から排出する動作について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入する動作を説明する図であってシェルを取外した状態を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入した状態を示す斜視図であってシェルを取外した状態を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタからカード用トレイを排出する操作直前の状態を示す部分断面上面図であってシェルを取外した状態を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタからカード用トレイを排出する動作を説明する部分断面上面図であってシェルを取外した状態を示す図である。なお、図4において、(a)は第1の工程を示す図、(b)は(a)の後面図であって部分断面を説明する図、(c)は第2の工程を示す図であり、図7において、(a)及び(b)は各工程を示す図である。
まず、カード用トレイ160を挿入する場合の動作について説明する。前述のように、カード用トレイ160は、カード101を収容していない状態であっても、カード用コネクタ1に挿入及び排出することができるが、ここでは、カード101を収容している場合についてのみ説明する。
まず、図1に示されるように、ユーザは、手指等によって、カード101が収容されたカード用トレイ160をカード用コネクタ1の後方から挿入口18に接近させる。なお、図1は、説明のためにシェル61を取外した状態を示している。
ここで、カード用トレイ160は、その上面が上を向き、すなわち、シェル61の天板部62と向合い、前枠部165がシェル61の前端部61fの方を向くような姿勢、すなわち、正規姿勢となっている。そのため、カード用トレイ160内に収容されているカード101は、コンタクトパッドが配設されている下面が開放された状態で下を向き、端子51が配設されているハウジング11の底壁部11bと向合い、前端111fがシェル61の前端部61fの方を向くような姿勢となっている。
そして、カード用トレイ160が挿入口18からハウジング11とシェル61との間に形成されるカード挿入空間内に挿入されると、第1側枠部164−1及び第2側枠部164−2の下面が、それぞれ、第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2の上面と近接又は接触した状態で、カード用トレイ160はカード挿入空間内を進行する。
続いて、図4(a)に示されるように、カード用トレイ160の第1保持部材175−1の第1保持用凸部175a1における第1前方傾斜部175c1及び第2保持部材175−2の第2保持用凸部175a2における第2前方傾斜部175c2が、それぞれ、カード用コネクタ1の第1フランジ部71−1の第1保持用係合片部75−1及び第2フランジ部71−2の第2保持用係合片部75−2に当接する。前記第1前方傾斜部175c1及び第2前方傾斜部175c2は、前方から後方へ進むにつれて幅方向外側へ向うように傾斜しているので、第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2に当接した状態でカード用トレイ160が前方に移動すると、図4(a)に示されるように、第1保持用凸部175a1及び第2保持用凸部175a2は、幅方向内側へ向けて弾性的に変位させられる。
この際、カード用トレイ160は、弾性的に変形させられる第1保持部材175−1及び第2保持部材175−2が発揮するばね力を主因とする抵抗を受けるが、該抵抗がユーザの手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記抵抗に抗して前方に移動する。
続いて、ユーザがカード用トレイ160をプッシュして更に押込むと、図4(c)に示されるように、第1保持用凸部175a1の頂部及び第2保持用凸部175a2の頂部が、それぞれ、第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2に当接した状態となり、第1保持用凸部175a1及び第2保持用凸部175a2の幅方向内側へ向けての変位量が最大となる。
なお、この状態では、図4(c)に示されるように、カード用トレイ160の前端161fは、イジェクトレバー21の作用点部21aに既に接触して該作用点部21aをある程度前方に変位させている。そのため、イジェクトレバー21の力点部21bは、後端部11rの方向に向けてある程度変位し、前記力点部21bと係合する係合部22bを備えるプッシュロッド22は、後端部11rの方向にある程度スライドした状態となっている。また、第1接点部材57の本体部57bの自由端も、カード用トレイ160の前端161fに接触している。
続いて、ユーザがカード用トレイ160をプッシュして更に押込むと、図5に示されるように、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達する。このとき、前端161fに押され、第1接点部材57の自由端が前端部11fの方向に向けて変位し、第1接点部材57が第2接点部材58に接触する。これにより、第1接点部材57と第2接点部材58とが接触し、トレイ検出スイッチがオンになるので、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達したことが検出される。
また、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置まで前進することによって、イジェクトレバー21の作用点部21aが、前端161fに押されて前端部11fの方向に向けて更に変位するので、イジェクトレバー21の力点部21bは、後端部11rの方向に向けて更に変位し、プッシュロッド22は、後端部11rに最も近付いた位置にまでスライドした状態となる。なお、図5に示されるように、プッシュロッド22が後端部11rに最も近付いても、操作部22aは、第1保持用係合片部75−1及びカード用トレイ160の第1保持用凸部175a1よりも前方、すなわち、前端部11f寄りに位置する。
そして、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達すると、イジェクトレバー21の作用点部21aは、ハウジング11の奥壁部11aと干渉するので、それ以上前端部11fの方向に向けて変位不能となる。したがって、カード用トレイ160も、それ以上前進不能となる。
さらに、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達すると、第1保持部材175−1の第1保持用凸部175a1における第1後方傾斜部175b1及び第2保持部材175−2の第2保持用凸部175a2における第2後方傾斜部175b2が、それぞれ、カード用コネクタ1の第1フランジ部71−1の第1保持用係合片部75−1及び第2フランジ部71−2の第2保持用係合片部75−2に当接する。前記第1後方傾斜部175b1及び第2後方傾斜部175b2は、前方から後方へ進むにつれて幅方向内側へ向うように傾斜しているので、第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2に当接した状態では、元の形状に復帰しようとする第1保持部材175−1及び第2保持部材175−2が発揮するばね力によって、前記第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2から前方に向けた押圧力を受けることとなる。したがって、カード用トレイ160は、所定位置において安定的に保持されてロックされ、該所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが防止される。
そして、カード用トレイ160内に収容されているカード101は、カード用トレイ160とともに、所定位置に保持されることによって、カード用コネクタ1が実装された電子機器の演算手段等との間でデータの送受信を行うことができる状態となる。なお、カード101が所定位置に保持されているとき、カード用コネクタ1の端子51は、その接触部51cが、カード101のコンタクトパッドの各々に接触して導通している。
なお、前記カード用コネクタ1は、前述のように、電子機器に取付けられて使用される。この場合、該電子機器の筐(きょう)体内にカード用コネクタ1を配設するとともに、前記筐体にカード用トレイ160を挿入するためのトレイ挿入開口を形成することが望ましい。これにより、前記カード用トレイ160を筐体の外部から、トレイ挿入開口を通して、筐体内にカード用コネクタ1に挿入することが可能となる。また、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達して挿入が完了した際に、後板部163の後面が前記筐体の外面とほぼ面一となるように構成することがより望ましい。さらに、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達する際に、後板部163の一部が前記筐体の一部と当接し、カード用トレイ160をそれ以上前進不能とするストッパとして機能するように構成することが更に望ましい。なお、カード用トレイ160の一部と当接して前記ストッパとして機能する部材を別途カード用コネクタ1に配設してもよい。
次に、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。
本実施の形態においては、ユーザは、プッシュロッド22の操作部22aを押圧操作するために、図6に示されるような補助部材181を使用するものとする。該補助部材181は、ピン、ロッド等の細長い棒状の部材であればいかなる部材であってもよいが、ここでは、金属から成る円柱状の直線的な棒状部材であるものとして説明する。
まず、ユーザは、図6に示されるように、手指等によって補助部材181を操作し、該補助部材181を、カード用トレイ160の後方から、後板部163に形成された挿通孔163aに挿通させる。
続いて、ユーザが補助部材181を前方に向けて押込むと、図6に示されるように、前記挿通孔163aとプッシュロッド22の操作部22aとを結ぶ直線上、すなわち、補助部材181の進路上に、カード用トレイ160の操作部168が張出しているので、前記補助部材181は、操作部168に当接して、その係合解除操作用凸部168aを幅方向内側に向けて変位させる。この際、後方に位置する係合解除操作用傾斜部168bが後方から前方へ進むにつれて幅方向外側へ向うように傾斜しているので、補助部材181が係合解除操作用傾斜部168bに当接した状態で前方に移動すると、係合解除操作用凸部168aは、幅方向内側に向けてスムーズに変位させられる。
そして、図7(a)に示されるように、補助部材181によって係合解除操作用凸部168aが幅方向内側に向けて変位させられると、幅方向内側を向いている係合解除操作用先端部168cが第1保持部材175−1に当接して該第1保持部材175−1を幅方向内側に向けて押圧し、第1保持用凸部175a1をカード用トレイ160の幅方向内側に向けて変位させる。これにより、第1保持用凸部175a1とカード用コネクタ1の第1保持用係合片部75−1との係合が解除され、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが可能となる。
なお、係合解除操作用凸部168aがプッシュロッド22の操作部22aよりも後方に位置するので、図7(a)に示されるように、補助部材181の先端が操作部22aに当接して該操作部22aを前方に向けて押圧を開始する時点では、既に、係合解除操作用凸部168aは、補助部材181によって幅方向内側に向けて変位させられ、第1保持用凸部175a1と第1保持用係合片部75−1との係合が解除された状態となっている。
また、補助部材181が当接して変位する操作部168、及び、該操作部168が当接して変位する第1保持部材175−1がカード用トレイ160に配設されているので、可動部材である操作部168及び/又は第1保持部材175−1が損傷を受けたり、破損したりしたような場合、カード用トレイ160を交換又は修理するだけでよいので、保守管理コストを低く抑えることができる。仮に、操作部168及び第1保持部材175−1がカード用コネクタ1に配設され、第1保持用係合片部75−1がカード用トレイ160に配設されていると仮定すると、操作部168及び/又は第1保持部材175−1が損傷を受けたり、破損したりしたような場合、カード用コネクタ1を電子機器から取外して交換又は修理する必要が生じるので、作業に手間と時間とがかかり、保守管理コストが高くなってしまう。
そして、ユーザが補助部材181をプッシュして更に押込むと、プッシュロッド22がその最も前進可能な位置に到達し、イジェクトレバー21の作用点部21aは、図7(b)に示されるような位置にまで変位する。これにより、イジェクトレバー21の作用点部21aに前端161fが押されて、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて、図7(b)に示されるような位置にまで変位する。
このとき、第1保持用凸部175a1と第1保持用係合片部75−1との係合が解除された状態となっているので、カード用トレイ160は、スムーズに所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することができる。なお、第2保持用凸部175a2と第2保持用係合片部75−2との係合は解除されていないが、カード用トレイ160をカード用コネクタ1に係合させる2箇所のうちの他の1箇所である第1保持用凸部175a1と第1保持用係合片部75−1との係合が解除されているので、イジェクトレバー21の作用点部21aから前端161fに付与される押圧力によって、前記第2保持用凸部175a2と第2保持用係合片部75−2との係合は容易に解除される。特に、第2保持用係合片部75−2に当接している第2後方傾斜部175b2の傾斜が、第1後方傾斜部175b1と比較して、緩やかなので、前記第2保持用凸部175a2と第2保持用係合片部75−2との係合を解除するために必要な力は、第1保持用凸部175a1と第1保持用係合片部75−1との係合を解除するために必要な力よりも小さくなっており、これにより、前記第2保持用凸部175a2と第2保持用係合片部75−2との係合は、容易に解除されるようになっている。
これにより、カード用トレイ160の後板部163は、カード用コネクタ1の挿入口18から十分に大きく突出した状態となる。したがって、ユーザは、手指等によって後板部163を把持することにより、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から引出して排出させることができる。
なお、ここでは、カード用トレイ160が補助保持ばね部としての第2保持部材175−2を備えている場合について説明したが、該第2保持部材175−2を省略することもできる。この場合には、カード用トレイ160が所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することを防止する能力が低下するが、一方において、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる際に、第2保持部材175−2と第2保持用係合片部75−2との係合を解除させるための力が不要となるので、より容易、かつ、スムーズに、カード用トレイ160を所定位置から後端部11rの方向に向けて変位させることが可能となる。
このように、本実施の形態において、カード用トレイ160は、電極パッドを備えるカード101を保持可能、かつ、カード用コネクタ1に挿入可能である。そして、カード用トレイ160は、カード101の側面112と対向する枠部161と、枠部161に配設され、カード用コネクタ1の第1保持用係合片部75−1と係合及び係合解除可能な第1保持部材175−1とを備え、第1保持部材175−1は、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる排出機構を作動させる補助部材181によって、第1保持用係合片部75−1との係合が解除させられる。
これにより、カード用トレイ160は、カード用コネクタ1に確実に保持されるとともに、カード用コネクタ1から容易に排出することができる。したがって、高い信頼性を得ることができる。
また、補助部材181は、第1保持部材175−1を作動させて第1保持用係合片75−1との係合を解除させた後に、排出機構を作動させる。したがって、排出機構が作動する時点では、カード用トレイ160のロックが解除されているので、カード用トレイ160は、スムーズに所定位置から後端部11rの方向に排出される。
さらに、排出機構は、カード用トレイ160の挿入及び排出方向にスライド可能なプッシュロッド22を含み、補助部材181は、挿入及び排出方向にスライド可能な棒状の部材であって、プッシュロッド22を挿入方向に移動させることによって排出機構を作動させ、第1保持部材175−1は、補助部材181の進路上に位置する操作部168に補助部材181が当接することによって、第1保持用係合片部75−1との係合が解除させられる。したがって、カード用トレイ160を排出させるための操作を行うだけで、ロックが解除されるので、カード用トレイ160を容易に排出させることができる。
さらに、枠部161の後方には後板部163が接続され、補助部材181は、後板部163に形成された挿通孔163aに挿通されて挿入方向に移動させられる。これにより、補助部材181は、挿通孔163aにガイドされることとなるので、確実に進路上を通過して操作部168に当接する。
さらに、枠部161はカード101の側端111sと対向する側枠部164を含み、第1保持部材175−1は、側枠部164に配設されたカンチレバー状の板ばねであり、第1保持用係合片部75−1と係合する第1保持用凸部175a1を含む。これにより、第1保持部材175−1は、簡素な構成でありながら、確実に第1保持用係合片部75−1と係合及び係合解除が可能となる。
さらに、枠部161は操作部168を備え、操作部168に補助部材181が当接することによって第1保持用凸部175a1が変位する。これにより、第1保持用凸部175a1を補助部材181の進路上以外の任意の箇所に配設することができ、設計の自由度が向上する。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図8は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入する直前の状態を示す斜視図である。
本実施の形態におけるカード101は、前記第1の実施の形態におけるカード101と同様であるので、その説明を省略する。
そして、本実施の形態におけるカード用コネクタ1においては、第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2に第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2が形成されておらず、シェル61の天板部62に固定的なロック部としての保持用係合開口部65が形成されている。該保持用係合開口部65は、カード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ160が備える可動ロック部としての保持部材176の上に位置し、前記天板部62を板厚方向に貫通する略矩形の開口である。そして、前記保持用係合開口部65の後端部61r寄りの縁辺は、係合縁部65aとして機能する。なお、本実施の形態におけるカード用コネクタ1のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
また、本実施の形態におけるカード用トレイ160は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された金属部151の周囲の少なくとも一部に、インサートモールド成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって、絶縁性の樹脂を一体的に被覆することで形成された部材である点においては、前記第1の実施の形態におけるカード用トレイ160と同様であるが、第1保持部材175−1及び第2保持部材175−2並びに操作部168を備えておらず、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160を保持する可動ロック部としての保持部材176を備える点で、前記第1の実施の形態におけるカード用トレイ160と相違する。
前記保持部材176は、金属板等から成るばね性を備える帯板状の部材であって、前後方向に延在し、その基端が第1側枠部164−1の後端部分、すなわち、後枠部162との接続部分に固定されるとともに、その他の部分が第1側枠部164−1の幅方向外側に位置する。なお、前記保持部材176は、その基端が金属部151に一体的に連結された部材であってもよい。したがって、前記保持部材176は、基端が固定されたカンチレバー状の板ばねとして機能し、第1側枠部164−1の幅方向外側に位置する部分は、カード用トレイ160の厚さ方向、すなわち、上下方向に弾性的に変位し得る。
そして、前記保持部材176は、上方を向いて膨出し、カード用コネクタ1の保持用係合開口部65と係合する保持用凸部176aを、その自由端近傍に備える。より詳細には、前記保持用凸部176aは、平板状の保持部材176の自由端近傍における前後方向に延在する側縁部分を上方に向けて折曲げることによって形成された三角片状の部材であって、後方に位置する後方傾斜部176bと、前方に位置する前方傾斜部176cとを含み、カード用トレイ160のカード用コネクタ1内への挿入が完了した状態においては、前記後方傾斜部176bが前記保持用係合開口部65の係合縁部65aと係合する。なお、前記保持用凸部176aの頂点は、カード用トレイ160がカード用コネクタ1に挿入される前の状態、すなわち、初期状態において、第1側枠部164−1の上面よりも上方に突出している。
また、前記保持部材176は、カード用トレイ160の幅方向外側に延出する平板状の操作伝達部としての操作部176dを含んでいる。該操作部176dは、保持用凸部176aを弾性的に変位させてカード用コネクタ1の保持用係合開口部65との係合を解除させる操作伝達部として機能する部材であり、補助部材181の進路上に位置する。なお、前記操作部176dを含む保持部材176は、初期状態において、基端よりも自由端の方が上方に位置するように傾斜している。したがって、前記操作部176dは、後方から前方へ進むにつれて上側へ向うように傾斜した傾斜部となっている。
なお、本実施の形態におけるカード用トレイ160のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態において、カード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入し、その後カード用コネクタ1から排出する動作について説明する。
図9は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタからカード用トレイを排出する動作を説明する斜視図である。なお、図において、(a)及び(b)は各工程を示す図である。
まず、カード用トレイ160を挿入する場合の動作について説明する。この場合、図8に示されるように、ユーザは、手指等によって、カード101が収容されたカード用トレイ160をカード用コネクタ1の後方から挿入口18に接近させる。
そして、カード用トレイ160が挿入口18からハウジング11とシェル61との間に形成されるカード挿入空間内に挿入されると、カード用トレイ160の保持部材176の保持用凸部176aにおける前方傾斜部176cが、カード用コネクタ1のシェル61の後端部61rにおいて天板部62に当接する。前記前方傾斜部176cは、前方から後方へ進むにつれて上方へ向うように傾斜しているので、前方傾斜部176cが天板部62に当接した状態でカード用トレイ160が前方に移動すると、保持用凸部176aは、下方へ向けて弾性的に変位させられる。
この際、カード用トレイ160は、弾性的に変形させられる保持部材176が発揮するばね力を主因とする抵抗を受けるが、該抵抗がユーザの手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記抵抗に抗して前方に移動する。
続いて、ユーザがカード用トレイ160をプッシュして更に押込むと、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達する。このとき、イジェクトレバー21の作用点部21aが、前端161fに押されて前端部11fの方向に向けて更に変位するので、イジェクトレバー21の力点部21bは、後端部11rの方向に向けて更に変位し、プッシュロッド22は、後端部11rに最も近付いた位置にまでスライドした状態となる。なお、プッシュロッド22が後端部11rに最も近付いても、操作部22aは、カード用トレイ160の操作部176dよりも前方、すなわち、前端部11f寄りに位置する。
また、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達すると、保持部材176の保持用凸部176aにおける後方傾斜部176bが、カード用コネクタ1の保持用係合開口部65の係合縁部65aに当接する。前記後方傾斜部176bは、前方から後方へ進むにつれて下方へ向うように傾斜しているので、係合縁部65aに当接した状態では、元の形状に復帰しようとする保持部材176が発揮するばね力によって、前記係合縁部65aから前方に向けた押圧力を受けることとなる。したがって、カード用トレイ160は、所定位置において安定的に保持され、該所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが防止される。
なお、カード用トレイ160を挿入する場合の動作におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。まず、ユーザは、図9(a)に示されるように、手指等によって補助部材181を操作し、該補助部材181を、カード用トレイ160の後方から、後板部163に形成された挿通孔163aに挿通させる。
続いて、ユーザが補助部材181を前方に向けて押込むと、該補助部材181の進路上に、カード用トレイ160の操作部176dが位置しているので、前記補助部材181は、操作部176dに当接して、該操作部176dを下方に向けて変位させる。この際、該操作部176dが後方から前方へ進むにつれて上方へ向うように傾斜しているので、補助部材181が操作部176dに当接した状態で前方に移動すると、操作部176dと一体の保持用凸部176aは、下方に向けてスムーズに変位させられる。これにより、保持用凸部176aとカード用コネクタ1の保持用係合開口部65との係合が解除され、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが可能となる。
なお、操作部176dがプッシュロッド22の操作部22aよりも後方に位置するので、図9(b)に示されるように、補助部材181の先端が操作部22aに当接して該操作部22aを前方に向けて押圧を開始する時点では、既に、操作部176dは、補助部材181によって下方に向けて変位させられ、保持用凸部176aと保持用係合開口部65との係合が解除された状態となっている。
そして、ユーザが補助部材181をプッシュして更に押込むと、プッシュロッド22がその最も前進可能な位置に到達し、イジェクトレバー21の作用点部21aに前端161fが押されて、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて変位する。このとき、保持用凸部176aと保持用係合開口部65との係合が解除された状態となっているので、カード用トレイ160は、スムーズに所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することができる。
これにより、カード用トレイ160の後板部163は、カード用コネクタ1の挿入口18から十分に大きく突出した状態となる。したがって、ユーザは、手指等によって後板部163を把持することにより、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から引出して排出させることができる。
なお、カード用トレイ160を排出する場合の動作におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
このように、本実施の形態において、枠部161はカード101の側端111sと対向する側枠部164を含み、保持部材176は、側枠部164に配設されたカンチレバー状の板ばねであり、保持用係合開口部65と係合する保持用凸部176aを含む。そして、板ばねは一体的に形成された操作部176dを含み、操作部176dに補助部材181が当接することによって保持用凸部176aが変位する。
これにより、保持部材176は、簡素な構成でありながら、確実に保持用係合開口部65と係合及び係合解除が可能となる。
なお、その他の点の効果については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図10は本発明の第3の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入する直前の状態を示す斜視図である。
本実施の形態におけるカード101は、前記第1の実施の形態におけるカード101と同様であるので、その説明を省略する。
そして、本実施の形態におけるカード用コネクタ1においては、第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2に第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2が形成されておらず、シェル61の天板部62に固定的なロック部としての保持用係合開口部65が形成されている。該保持用係合開口部65は、カード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ160が備える可動ロック部としての保持部材177の上に位置し、前記天板部62を板厚方向に貫通する略矩形の開口である。そして、前記保持用係合開口部65の後端部61r寄りの縁辺は、係合縁部65aとして機能する。なお、本実施の形態におけるカード用コネクタ1のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
また、本実施の形態におけるカード用トレイ160は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された金属部151の周囲の少なくとも一部に、インサートモールド成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって、絶縁性の樹脂を一体的に被覆することで形成された部材である点においては、前記第1の実施の形態におけるカード用トレイ160と同様であるが、第1保持部材175−1及び第2保持部材175−2並びに操作部168を備えておらず、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160を保持する可動ロック部としての保持部材177を備える点で、前記第1の実施の形態におけるカード用トレイ160と相違する。
前記保持部材177は、前記第2の実施の形態における保持部材176と同様の機能を発揮する部材であって、該保持部材176と似た構成を備える部材であるが、一部において相違する構成を備える部材である。具体的には、前記保持部材177は、金属板等から成るばね性を備える帯板状の部材であって、前後方向に延在し、その基端が第1側枠部164−1の後端部分、すなわち、後枠部162との接続部分に固定されるとともに、その他の部分は、第1側枠部164−1に形成されたスリット状の凹溝部164c内に位置する。該凹溝部164cは、前後方向に延在するとともに、第1側枠部164−1を上下方向に貫通するように形成された凹部である。なお、前記保持部材177は、その基端が金属部151に一体的に連結された部材であってもよい。したがって、前記保持部材177は、基端が固定されたカンチレバー状の板ばねとして機能し、カード用トレイ160の厚さ方向、すなわち、上下方向に弾性的に変位し得る。
そして、前記保持部材177は、上方を向いて膨出し、カード用コネクタ1の保持用係合開口部65と係合する保持用凸部177aを、その自由端近傍に備える。より詳細には、前記保持用凸部177aは、平板状の保持部材177の自由端近傍を上方に向けて湾曲させることによって形成された膨出部であって、後方に位置する後方傾斜部177bと、前方に位置する前方傾斜部177cとを含み、カード用トレイ160のカード用コネクタ1内への挿入が完了した状態においては、前記後方傾斜部177bが前記保持用係合開口部65の係合縁部65aと係合する。なお、前記保持用凸部177aの頂点は、カード用トレイ160がカード用コネクタ1に挿入される前の状態、すなわち、初期状態において、第1側枠部164−1の上面よりも上方に突出している。
また、前記保持部材177は、前記凹溝部164cを越えてカード用トレイ160の幅方向外側にまで延出する平板状の操作伝達部としての操作部177dを含んでいる。該操作部177dは、保持用凸部177aを弾性的に変位させてカード用コネクタ1の保持用係合開口部65との係合を解除させる操作伝達部として機能する部材であり、補助部材181の進路上に位置する傾斜部177eを含んでいる。該傾斜部177eは、後方から前方へ進むにつれて上側へ向うように傾斜した部分である。
なお、本実施の形態におけるカード用トレイ160のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態において、カード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入し、その後カード用コネクタ1から排出する動作について説明する。
図11は本発明の第3の実施の形態におけるカード用コネクタからカード用トレイを排出する動作を説明する斜視図である。なお、図において、(a)及び(b)は各工程を示す図である。
まず、カード用トレイ160を挿入する場合の動作について説明する。この場合、図10に示されるように、ユーザは、手指等によって、カード101が収容されたカード用トレイ160をカード用コネクタ1の後方から挿入口18に接近させる。
そして、カード用トレイ160が挿入口18からハウジング11とシェル61との間に形成されるカード挿入空間内に挿入されると、カード用トレイ160の保持部材177の保持用凸部177aにおける前方傾斜部177cが、カード用コネクタ1のシェル61の後端部61rにおいて天板部62に当接する。前記前方傾斜部177cは、前方から後方へ進むにつれて上方へ向うように傾斜しているので、前方傾斜部177cが天板部62に当接した状態でカード用トレイ160が前方に移動すると、保持用凸部177aは、下方へ向けて弾性的に変位させられる。
この際、カード用トレイ160は、弾性的に変形させられる保持部材177が発揮するばね力を主因とする抵抗を受けるが、該抵抗がユーザの手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記抵抗に抗して前方に移動する。
続いて、ユーザがカード用トレイ160をプッシュして更に押込むと、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達する。このとき、イジェクトレバー21の作用点部21aが、前端161fに押されて前端部11fの方向に向けて更に変位するので、イジェクトレバー21の力点部21bは、後端部11rの方向に向けて更に変位し、プッシュロッド22は、後端部11rに最も近付いた位置にまでスライドした状態となる。なお、プッシュロッド22が後端部11rに最も近付いても、操作部22aは、カード用トレイ160の操作部177dよりも前方、すなわち、前端部11f寄りに位置する。
また、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達すると、保持部材177の保持用凸部177aにおける後方傾斜部177bが、カード用コネクタ1の保持用係合開口部65の係合縁部65aに当接する。前記後方傾斜部177bは、前方から後方へ進むにつれて下方へ向うように傾斜しているので、係合縁部65aに当接した状態では、元の形状に復帰しようとする保持部材177が発揮するばね力によって、前記係合縁部65aから前方に向けた押圧力を受けることとなる。したがって、カード用トレイ160は、所定位置において安定的に保持され、該所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが防止される。
なお、カード用トレイ160を挿入する場合の動作におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。まず、ユーザは、図11(a)に示されるように、手指等によって補助部材181を操作し、該補助部材181を、カード用トレイ160の後方から、後板部163に形成された挿通孔163aに挿通させる。
続いて、ユーザが補助部材181を前方に向けて押込むと、該補助部材181の進路上に、カード用トレイ160の操作部177dの傾斜部177eが位置しているので、前記補助部材181は、傾斜部177eに当接して、該傾斜部177eを含む操作部177dを下方に向けて変位させる。この際、傾斜部177eが後方から前方へ進むにつれて上方へ向うように傾斜しているので、補助部材181が傾斜部177eに当接した状態で前方に移動すると、操作部177dと一体の保持用凸部177aは、下方に向けてスムーズに変位させられる。これにより、保持用凸部177aとカード用コネクタ1の保持用係合開口部65との係合が解除され、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが可能となる。
なお、操作部177dの傾斜部177eがプッシュロッド22の操作部22aよりも後方に位置するので、図11(b)に示されるように、補助部材181の先端が操作部22aに当接して該操作部22aを前方に向けて押圧を開始する時点では、既に、操作部177dは、補助部材181によって下方に向けて変位させられ、保持用凸部177aと保持用係合開口部65との係合が解除された状態となっている。
そして、ユーザが補助部材181をプッシュして更に押込むと、プッシュロッド22がその最も前進可能な位置に到達し、イジェクトレバー21の作用点部21aに前端161fが押されて、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて変位する。このとき、保持用凸部177aと保持用係合開口部65との係合が解除された状態となっているので、カード用トレイ160は、スムーズに所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することができる。
これにより、カード用トレイ160の後板部163は、カード用コネクタ1の挿入口18から十分に大きく突出した状態となる。したがって、ユーザは、手指等によって後板部163を把持することにより、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から引出して排出させることができる。
なお、カード用トレイ160を排出する場合の動作におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
このように、本実施の形態において、枠部161はカード101の側端111sと対向する側枠部164を含み、保持部材177は、側枠部164に配設されたカンチレバー状の板ばねであり、保持用係合開口部65と係合する保持用凸部177aを含む。そして、板ばねは一体的に形成された操作部177dを含み、操作部177dに補助部材181が当接することによって保持用凸部177aが変位する。
これにより、保持部材177は、簡素な構成でありながら、確実に保持用係合開口部65と係合及び係合解除が可能となる。
なお、その他の点の効果については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図12は本発明の第4の実施の形態におけるカード用コネクタにカード用トレイを挿入する直前の状態を示す斜視図である。
本実施の形態におけるカード101は、前記第1の実施の形態におけるカード101と同様であるので、その説明を省略する。
そして、本実施の形態におけるカード用コネクタ1においては、第1フランジ部71−1及び第2フランジ部71−2に第1保持用係合片部75−1及び第2保持用係合片部75−2が形成されておらず、シェル61の天板部62に連結された庇部67に固定的なロック部としての保持用係合開口部65が形成されている。なお、前記庇部67は、シェル61の後端部61rよりも後方に突出するように天板部62に連結された部材である。前記保持用係合開口部65は、カード用コネクタ1に挿入されたカード用トレイ160が備える可動ロック部としての保持部材178の上に位置し、前記庇部67を板厚方向に貫通する略矩形の開口である。そして、前記保持用係合開口部65の後方の縁辺は、係合縁部65aとして機能する。なお、本実施の形態におけるカード用コネクタ1のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
また、本実施の形態におけるカード用トレイ160は、金属から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施して一体的に形成された金属部151の周囲の少なくとも一部に、インサートモールド成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって、絶縁性の樹脂を一体的に被覆することで形成された部材である点においては、前記第1の実施の形態におけるカード用トレイ160と同様であるが、第1保持部材175−1及び第2保持部材175−2並びに操作部168を備えておらず、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用トレイ160を保持する可動ロック部としての保持部材178を備える点で、前記第1の実施の形態におけるカード用トレイ160と相違する。
前記保持部材178は、前記第2の実施の形態における保持部材176及び前記第3の実施の形態における保持部材177と同様の機能を発揮する部材であって、前記保持部材176及び177と似た構成を備える部材であるが、一部において相違する構成を備える部材である。具体的には、前記保持部材178は、金属板等から成るばね性を備える帯板状の部材であって、幅方向に延在し、その基端が後枠部162における第2側枠部164−2寄りの部分に固定されるとともに、その他の部分は、後枠部162に形成された空間部162a内に位置する。該空間部162aは、幅方向に延在するとともに、後枠部162を板厚方向、すなわち、上下方向に貫通するように形成された略矩形の空間である。なお、前記保持部材178は、その基端が金属部151に一体的に連結された部材であってもよい。したがって、前記保持部材178は、基端が固定されたカンチレバー状の板ばねとして機能し、カード用トレイ160の厚さ方向、すなわち、上下方向に弾性的に変位し得る。
そして、前記保持部材178は、その中間付近から前方に向けて延出する突出部178f、及び、該突出部178fに形成され、上方を向いて膨出し、カード用コネクタ1の保持用係合開口部65と係合する保持用凸部178aを備える。より詳細には、該保持用凸部178aは、平板状の突出部178fの前後方向に延在する側縁部分を上方に向けて折曲げることによって形成された部材であって、後方に位置する後方傾斜部178bと、前方に位置する前方傾斜部178cとを含み、カード用トレイ160のカード用コネクタ1内への挿入が完了した状態においては、前記後方傾斜部178bが前記保持用係合開口部65の係合縁部65aと係合する。なお、前記保持用凸部178aの頂点は、カード用トレイ160がカード用コネクタ1に挿入される前の状態、すなわち、初期状態において、後枠部162の上面よりも上方に突出している。
また、前記保持部材178は、前記空間部162aを越えてカード用トレイ160の幅方向外側にまで延出する平板状の操作伝達部としての操作部178dを含んでいる。該操作部178dは、前記保持部材178の自由端に位置し、保持用凸部178aを弾性的に変位させてカード用コネクタ1の保持用係合開口部65との係合を解除させる操作伝達部として機能する部材であり、補助部材181の進路上に位置する傾斜部178eを含んでいる。該傾斜部178eは、後方から前方へ進むにつれて上側へ向うように傾斜した部分である。
なお、本実施の形態におけるカード用トレイ160のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態において、カード用トレイ160をカード用コネクタ1に挿入し、その後カード用コネクタ1から排出する動作について説明する。
図13は本発明の第4の実施の形態におけるカード用コネクタからカード用トレイを挿入し排出する動作を説明する斜視図である。なお、図において、(a)及び(b)は各工程を示す図である。
まず、カード用トレイ160を挿入する場合の動作について説明する。この場合、図12に示されるように、ユーザは、手指等によって、カード101が収容されたカード用トレイ160をカード用コネクタ1の後方から挿入口18に接近させる。
そして、カード用トレイ160が挿入口18からハウジング11とシェル61との間に形成されるカード挿入空間内に挿入されると、カード用トレイ160の保持部材178の保持用凸部178aにおける前方傾斜部178cが、カード用コネクタ1の庇部67に当接する。前記前方傾斜部178cは、前方から後方へ進むにつれて上方へ向うように傾斜しているので、前方傾斜部178cが庇部67に当接した状態でカード用トレイ160が前方に移動すると、保持用凸部178aは、下方へ向けて弾性的に変位させられる。
この際、カード用トレイ160は、弾性的に変形させられる保持部材178が発揮するばね力を主因とする抵抗を受けるが、該抵抗がユーザの手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記抵抗に抗して前方に移動する。
続いて、ユーザがカード用トレイ160をプッシュして更に押込むと、図13(a)に示されるように、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達する。このとき、イジェクトレバー21の作用点部21aが、前端161fに押されて前端部11fの方向に向けて更に変位するので、イジェクトレバー21の力点部21bは、後端部11rの方向に向けて更に変位し、プッシュロッド22は、最も後方にまでスライドした状態となる。なお、プッシュロッド22が最も後方にまでスライドした状態となっても、操作部22aは、カード用トレイ160の操作部178dよりも前方、すなわち、前端部11f寄りに位置する。
また、カード用トレイ160がカード用コネクタ1の所定位置に到達すると、保持部材178の保持用凸部178aにおける後方傾斜部178bが、カード用コネクタ1の保持用係合開口部65の係合縁部65aに当接する。前記後方傾斜部178bは、前方から後方へ進むにつれて下方へ向うように傾斜しているので、係合縁部65aに当接した状態では、元の形状に復帰しようとする保持部材178が発揮するばね力によって、前記係合縁部65aから前方に向けた押圧力を受けることとなる。したがって、カード用トレイ160は、所定位置において安定的に保持され、該所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが防止される。
なお、カード用トレイ160を挿入する場合の動作におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。まず、ユーザは、手指等によって補助部材181を操作し、該補助部材181を、カード用トレイ160の後方から、後板部163に形成された挿通孔163aに挿通させる。
続いて、ユーザが補助部材181を前方に向けて押込むと、該補助部材181の進路上に、カード用トレイ160の操作部178dの傾斜部178eが位置しているので、前記補助部材181は、傾斜部178eに当接して、該傾斜部178eを含む操作部178dを下方に向けて変位させる。この際、傾斜部178eが後方から前方へ進むにつれて上方へ向うように傾斜しているので、補助部材181が傾斜部178eに当接した状態で前方に移動すると、操作部178dと一体の保持用凸部178aは、下方に向けてスムーズに変位させられる。これにより、保持用凸部178aとカード用コネクタ1の保持用係合開口部65との係合が解除され、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することが可能となる。
なお、操作部178dの傾斜部178eがプッシュロッド22の操作部22aよりも後方に位置するので、図13(b)に示されるように、補助部材181の先端が操作部22aに当接して該操作部22aを前方に向けて押圧を開始する時点では、既に、操作部178dは、補助部材181によって下方に向けて変位させられ、保持用凸部178aと保持用係合開口部65との係合が解除された状態となっている。
そして、ユーザが補助部材181をプッシュして更に押込むと、プッシュロッド22がその最も前進可能な位置に到達し、イジェクトレバー21の作用点部21aに前端161fが押されて、カード用トレイ160は、所定位置から後端部11rの方向に向けて変位する。このとき、保持用凸部178aと保持用係合開口部65との係合が解除された状態となっているので、カード用トレイ160は、スムーズに所定位置から後端部11rの方向に向けて変位することができる。
これにより、カード用トレイ160の後板部163は、カード用コネクタ1の挿入口18から十分に大きく突出した状態となる。したがって、ユーザは、手指等によって後板部163を把持することにより、カード用トレイ160をカード用コネクタ1から引出して排出させることができる。
なお、カード用トレイ160を排出する場合の動作におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
このように、本実施の形態において、枠部161はカード101の後端111rと対向する後枠部162を含み、保持部材178は、後枠部162に配設されたカンチレバー状の板ばねであり、保持用係合開口部65と係合する保持用凸部178aを含んでいる。
これにより、保持部材178は、簡素な構成でありながら、確実に保持用係合開口部65と係合及び係合解除が可能となる。
なお、その他の点の効果については、前記第1〜第3の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。