JP2541694Y2 - 抜出機構付きメモリーカード用コネクタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はプリント基板上に取り付
けられる等してメモリーカード（ＩＣメモリーカードも
しくは単にＩＣカードとも称される）を着脱自在に受容
し、メモリーカードをプリント基板の回路等に電気接続
させるために用いられるメモリーカード用コネクタに関
し、さらに詳しくは、受容したメモリーカードを抜出す
るための抜出機構を有したメモリーカード用コネクタに
関する。

【０００２】

【従来の技術】最近においては小型のコンピュータ（例
えば、ノート型、ラップトップ型のコンピュータ、電子
手帳等）用の記憶媒体等として、ＩＣ内蔵でほぼ名刺大
のメモリーカードが用いられるようになってきている。
このメモリーカードはコンピュータを構成するプリント
基板にコネクタを介して挿抜自在に取り付けられるもの
であり、メモリーカードの挿入側先端面にコネクタのピ
ンが挿入される複数のピン挿入孔が形成されている。

【０００３】このようなメモリーカードを挿抜自在に受
容するコネクタとしては、例えば、実開昭６３−６９３
７５号公報に開示のものがある。このコネクタにおいて
は、フレームに形成した挿入ガイド部に挿抜自在にメモ
リーカードの先端部を受容する。ここで、メモリーカー
ドが挿入されるとコネクタのピンがメモリーカード先端
面のピン挿入孔内に圧入され両者が接続されるのである
が、この後、メモリーカードをコネクタから容易に抜き
出すことができるように、抜出機構がこのコネクタに設
けられている。

【０００４】この抜出機構は、フレーム内に挿抜方向に
移動自在にガイドされて配設された左右一対の駆動部材
と、この駆動部材の内側端面に形成されたラック歯に噛
合する左右一対のピニオンと、両側面にこれらピニオン
にそれぞれ噛合するラック歯を有し、両ピニオンの間に
位置するとともにフレームに挿抜方向に移動自在に取り
付けられた操作部材とからなる。駆動部材はメモリーカ
ードの先端と当接し、メモリーカードが挿入されるとこ
れにより押し込まれるようになっている。メモリーカー
ドをコネクタから抜き出すときには、操作部材を内方に
手で押し込めばよく、これにより、ラック・ピニオンの
駆動により駆動部材が外方に押し出される。この駆動部
材にはメモリーカードの先端が当接しているため、駆動
部材とともにメモリーカードも一緒に押し出され、メモ
リーカードがコネクタから抜き出される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】上記従来のコネクタの
場合には、ラック・ピニオン機構がメモリーカードの上
側に位置するため、この機構が上方に突出し、コネクタ
の高さ（もしくは、厚さ寸法）が大きくなるという問題
がある。メモリーカードコネクタは、その配設スペース
等の理由からその厚さ寸法を所定値以下に抑えることが
要求されることが多く、上記従来のコネクタではこの要
求を満足させるのが難しいという問題に繋がる。

【０００６】本考案はこのような問題に鑑みたもので、
厚さ方向寸法（高さ）をできるかぎり小さく抑えること
ができるような構成の抜出機構付きメモリーカード用コ
ネクタを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本考案においては、メモリーカードの挿入ガイド部
を有するフレーム部材と、このフレーム部材にメモリー
カードの挿抜方向に移動自在に取り付けられるとともに
メモリーカードの挿入側先端面と係合する係合爪を有し
てなる抜出プレート部材と、フレーム部材における挿入
ガイド部のカード挿入用開口側端に設けられたイジェク
タ機構とからメモリーカード用コネクタが構成される。
イジェクタ機構は、フレーム部材に挿抜方向に移動自在
に取り付けられるとともに内側面に駆動ラック歯を有し
たイジェクタ部材と、フレーム部材に回転自在に支持さ
れるとともに駆動ラック歯に噛合するピニオンと、フレ
ーム部材に挿抜方向に移動自在に取り付けられるととも
に内側面にピニオンと噛合する被動ラック歯を有した連
結部材とからなり、駆動ラック歯と被動ラック歯とがピ
ニオンを挟んで対向し、連結部材は抜出プレート部材に
係止されている。

【０００８】

【作用】上記の構成のメモリーカード用コネクタにおい
ては、挿入ガイド部に挿入させてメモリーカードがフレ
ーム部材に取り付けられる。なお、このように挿入され
た状態では、コネクタのピンがメモリーカードのピン挿
入孔内に圧入され両者が接続される。この後、メモリー
カードをコネクタから抜き出すには、イジェクタ部材を
押し込めば良い。イジェクタ部材が押し込まれると、イ
ジェクタ部材の駆動ラック歯に噛合するピニオンが回転
されるとともにこれに噛合する被動ラック歯を有する連
結部材は抜出方向に移動される。この連結部材は抜出プ
レートに係止されているため、抜出プレートも抜出方向
に移動され、この抜出プレートの係合爪に係合したメモ
リーカードが一緒に抜き出される。なお、このコネクタ
では、イジェクタ機構はフレーム部材における挿入ガイ
ド部のカード挿入用開口側端に設けられるので、この機
構はメモリーカードの側部に位置し、コネクタの厚さ寸
法を大きくすることがない。

【０００９】

【実施例】以下、図面を用いて本考案の好ましい実施例
について説明する。本考案に係るメモリーカード用コネ
クタは、図１および図２に示すように、複数のコンタク
ト１８をインサートモールド等により固定保持する保持
フレーム１０と、この保持フレーム１０と結合されてメ
モリーカードの挿入ガイド部を構成するガイドフレーム
２０とからなるフレーム部材を有する。このフレーム部
材には金属板から形成された抜出プレート３０が取り付
けられる。

【００１０】保持フレーム１０は、図３にも示すよう
に、上面壁１１、下面壁１２、左右側壁１３，１４およ
び後壁１５を有して樹脂成形されており、これらの壁に
より囲まれて、前方に開口したカード受容空間１６が形
成されている。コンタクト１８は後壁１５において保持
され、先端１８ａがカード受容空間１６内に突出すると
ともに、後端１８ｂは下方に折り曲げられ、例えば図３
に示すように、プリント基盤６５のスルーホールに挿入
されてこれに接続される。

【００１１】メモリーカード６０は、図４に示すよう
に、その後端面６１に複数のピン挿入孔６２を有してい
る。上記コンタクト１８の先端１８ａはピン挿入孔６２
に対応して配設されており、カード受容空間１６内にメ
モリーカード６０が挿入されると、ピン挿入孔６２にコ
ンタクト１８の先端１８ａが挿入され、各先端１８ａが
ピン挿入孔６２内のレセプタクルと接続される。

【００１２】ガイドフレーム２０は、上面壁２１、下面
壁２２および左右側壁２３，２４を有して樹脂成形され
ており、これら壁に囲まれて、前後に延びるメモリーカ
ード用挿入ガイド空間が形成されている。左右側壁２
３，２４からは後方に延びて係止アーム２３ａ，２４ａ
が設けられており、その先端には係止突起２３ｂ，２４
ｂが形成されている。また、左側壁２３にはイジェクタ
取付部２６が一体に形成されており、この取付部２６内
にイジェクタ機構４０が配設されている。

【００１３】一方、保持フレーム１０の左右側壁１３，
１４の外側面には前後に延びる取付ガイド溝１３ａ，１
４ａ（１４ａは図示せず）が形成されている。これら取
付ガイド溝１３ａ，１４ａに係止アーム２３ａ，２４ａ
を入り込ませ、取付ガイド溝１３ａ，１４ａに形成した
段付き部１３ｂ，１４ｂに係止突起２３ｂ，２４ｂを係
止させ、保持フレーム１０とガイドフレーム２０とが図
１に示すように結合される。

【００１４】このように保持フレーム１０にガイドフレ
ーム２０が結合される際に、抜出プレート３０が一緒に
組み込まれる。このため、係止アーム２３ａ，２４ａの
上面に前後に延びる切り欠き２３ｃ，２４ｃ（２４ｃは
図示せず）が形成されており、係止アーム２３ａ，２４
ａが取付ガイド溝１３ａ，１４ａに取り付けられた状態
で図５に示すように、ガイド溝１３ａ，１４ａと切り欠
き２３ｃ，２４ｃとの間に前後に延びる係止溝が形成さ
れる。抜出プレート３０の本体部３１の後部左右側端に
はコ字状に曲げ成形されたガイドアーム３２，３３が形
成されており、このガイドアーム３２ａ，３３ａの先端
係止片３２ａ，３３ａが係止溝に入り込むようにして抜
出プレート３０が一緒に組み込まれる。なお、ガイドア
ーム３２ａ，３３ａの前後方向長さは係止溝の前後長さ
より短く、このため、ガイドアーム３２ａ，３３ａは係
止溝内で前後に移動自在となっている。

【００１５】抜出プレート３０の前部右端にも図示はし
ないがコ字状に曲げ成形されたガイドアーム３４が形成
されている。そして、保持フレーム２０の左壁２４の外
側面には前後に延びる係止溝が形成されており、ガイド
アーム３４の先端係止片がこの係止溝に入り込んで組み
付けられている。このため、抜出プレート３０は、３箇
所のガイドアーム３２，３３，３４によりフレーム１
０，２０に前後に移動自在に取り付けられる。

【００１６】抜出プレート３０の後端には、左右側端部
から若干内側において直角下方に折り曲げられて係合爪
３６が形成されている。この係合爪３６は、図３および
図４に示すように、コネクタ内に挿入されたメモリーカ
ード６０の後端面６１に係止されるようになっている。
なお、保持フレーム１０の上面壁１１には左右一対の切
り欠き１１ａ，１１ａが形成されており、上記係合爪３
６がこの切り欠き１１ａ内に入り込むようになってい
る。

【００１７】抜出プレート３０の本体部３１には、２箇
所において切込みが入れられ、図６に示すような下方に
突出する折り曲げ部３１ａが形成されている。この折り
曲げ部３１ａは、コネクタ内に挿入されたメモリーカー
ド６０の上面と当接し、その弾性力によりメモリーカー
ド６０を下方に押さえつけ、メモリーカード６０を保持
する。

【００１８】保持フレーム１０の後部左右には、上下に
貫通する一対の端子取付孔１７が形成されており、図７
に示すように、この取付孔１７内にアース端子５０が挿
入されて取り付けられる。このアース端子５０は、下方
に突出して取付孔１７内に挿入される脚部５２と、上端
部から保持フレーム１０の上面に沿って前方に延びる接
触部５１とから一体に構成される。なお、接触部５１の
前端は僅かに上方に曲げられてテーパ部５１ａが形成さ
れている。

【００１９】ガイドフレーム２０のイジェクタ取付部２
６内に配設されたイジェクタ機構４０は、イジェクタ取
付部２６内に形成された挿入空間２６ａ内に前後に移動
自在に配設されたるとともに前端が前方に突出したイジ
ェクタ部材４１と、挿入空間２６ａ内に位置してイジェ
クタ取付部２６により回転自在に支持されたピニオン４
３と、挿入空間２６ａからさらに奥に（後方に）延びて
形成されたガイド空間２６ｂ内に前後に移動自在に配設
された連結部材４４とからなる。イジェクタ部材４１の
先端（後端）の内側側面には駆動ラック歯４２ａが形成
されており、この駆動ラック歯４２ａはピニオン４３と
噛合する。連結部材４４の外側面には被動ラック歯４４
ａが形成されており、被動ラック歯４４ａもピニオン４
３と噛合する。

【００２０】但し、両ラック歯４２ａ，４４ａは間にピ
ニオン４３を挟んで対向しており、両ラック歯４２ａ，
４４ａはピニオン４３と両側から噛合する。このため、
イジェクタ部材４２が手で矢印Ａ方向に押し込まれる
と、ピニオン４３は図１において半時計方向に回転さ
れ、連結部材４４は矢印Ｂ方向に引き出される。連結部
材４４の上面には前後に延びる筋状の溝４４ｂが形成さ
れており、この溝４４ｂ内に、抜出プレート３０の前部
左端３５が直角に曲げられて入り込んであり、これによ
り抜出プレート３０が連結部材４４に係止されている。

【００２１】以上のように構成したコネクタへのメモリ
ーカード６０の挿入および抜出について説明する。この
コネクタにメモリーカード６０を取り付けるには、コネ
クタ前端部（ガイドフレーム２０の前端部）に開口する
挿入ガイド空間内にメモリーカード６０を手で押し込め
ば良い。これにより、メモリーカード６０の後部が挿入
ガイド空間を通って保持フレーム１０のカード受容空間
１６内に挿入され、この空間１６内に突出するコンタク
ト１８の先端１８ａをピン挿入孔６２内に入り込ませ
て、メモリーカード６０がコネクタに取り付けられる。
この状態で、抜出プレート３０の折り曲げ部３１ａがメ
モリーカード６０の上面に当接してその弾性力によりメ
モリーカード６０を下方に押さえつけ、これを固定保持
する。

【００２２】なお、このとき、メモリーカード６０の後
端面６１に抜出プレート３０の係合爪３６が図４に示す
ように係止され、メモリーカード６０とともに抜出プレ
ート３０も後方に押し込まれる。このように抜出プレー
ト３０が押し込まれた状態を図１に示している。このと
き、連結部材４４は抜出プレート３０とともに押し込ま
れ、ピニオン４３が時計回りに回転されイジェクタ部材
４１は図示のように突出する。

【００２３】また、このように抜出プレート３０が押し
込まれると、係合爪３６は保持フレーム１０の切り欠き
１１ａ内に入り込む。同時に、本体部３１の左右側端部
は、図７に示すように、アース端子５０の接触部５１の
先端テーパ部５１ａから接触部５１の下側に入り込み、
保持フレーム１０の上面と接触部５１との間に挟持され
る。抜出プレート３０の本体部３１はメモリーカード６
０の上面に位置し、折り曲げ部３１ａにおいてメモリー
カード６０の上面と接触する。一方、アース端子５０の
脚部５２は、プリント基板のアースパターンと接続され
るようになっている。このため、メモリーカード６０に
帯電した静電気を、抜出プレート３０およびアース端子
５０を介して外部へアースさせることができる。

【００２４】次いで、メモリーカード６０をコネクタか
ら抜き出す場合には、イジェクタ部材４１を矢印Ａ方向
に押し込む。これにより、駆動ラック歯４２ａを介して
ピニオン４３は半時計回りに回転され、被動ラック歯４
４ａを介して連結部材４４は矢印Ｂ方向に引き出され
る。ここで連結部材４４は抜出プレート３０に係止され
ているので、連結部材４４とともに抜出プレート３０も
矢印Ｂ方向に引き出される。また、前述のように抜出プ
レート３０には係合爪３６によりメモリーカード６０が
係止されているので、このように抜出プレート３０が引
き出されると、メモリーカード６０も一緒に引き出さ
れ、ピン挿入向６２からコンタクト１８の先端１８ａが
離れる。このため、この後は、メモリーカード６０を手
で簡単に抜き出すことができる。

【００２５】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
フレーム部材に挿抜方向に移動自在に取り付けられると
ともに内側面に駆動ラック歯を有したイジェクタ部材
と、フレーム部材に回転自在に支持されるとともに駆動
ラック歯に噛合するピニオンと、フレーム部材に挿抜方
向に移動自在に取り付けられるとともに内側面にピニオ
ンと噛合する被動ラック歯を有した連結部材とからなる
イジェクタ機構を、フレーム部材における挿入ガイド部
のカード挿入用開口側端に配設してメモリーカード用コ
ネクタを構成しているので、このイジェクタ機構をメモ
リーカードの側部に位置せしめて、コネクタの厚さ寸法
を小さくすることができる。このため、本考案によれ
ば、厚さの薄いメモリーカード用コネクタを得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るメモリーカード用コネクタを示す
平面図である。

【図２】上記コネクタを構成部品に分解して示す斜視図
である。

【図３】上記コネクタを構成する保持フレームをプリン
ト基板に取り付けた状態で、図２の矢印II-IIに沿って
示す断面図である。

【図４】上記コネクタを構成する抜出プレートとメモリ
ーカードとの位置関係を示す斜視図である。

【図５】図１の矢印V-Vに沿って上記コネクタの一部を
示す断面図である。

【図６】図２の矢印VI-VIに沿って上記コネクタの一部
を示す断面図である。

【図７】図１の矢印VII-VIIに沿って抜出プレートの一
部を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ 保持フレーム １８ コンタクト ２０ ガイドフレーム ２６ イジェクタ取付部 ３０ 抜出プレート ４１ イジェクタ部材 ４３ ピニオン ４４ 連結部材 ５０ アース端子 ６０ メモリーカード ６５ プリント基板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 メモリーカードを挿抜自在に受容するメ
   モリーカード用コネクタであって、 前記メモリーカードの挿入ガイド部を有するフレーム部
   材と、 このフレーム部材に前記メモリーカードの挿抜方向に移
   動自在に取り付けられるとともに、前記メモリーカード
   の挿入側先端面と係合する係合爪を有してなる抜出プレ
   ート部材と、 前記フレーム部材における前記挿入ガイド部のカード挿
   入用開口側端に設けられたイジェクタ機構とからなり、 このイジェクタ機構は、前記フレーム部材に前記挿抜方
   向に移動自在に取り付けられるとともに内側面に駆動ラ
   ック歯を有したイジェクタ部材と、前記フレーム部材に
   回転自在に支持されるとともに前記駆動ラック歯に噛合
   するピニオンと、前記フレーム部材に前記挿抜方向に移
   動自在に取り付けられるとともに内側面に前記ピニオン
   と噛合する被動ラック歯を有した連結部材とからなり、 前記駆動ラック歯と前記被動ラック歯とが前記ピニオン
   を挟んで対向し、前記連結部材が前記抜出プレート部材
   に係止されていることを特徴とする抜出機構付きメモリ
   ーカード用コネクタ。