JP6776121B2 - エアゾール製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、液化石油ガスを含む噴射剤中に水を連続相とする原液を容易に分散し、分散された状態を維持することができるエアゾール製剤に関する。
エアゾール製剤は、手を汚さずに対象部位に製剤を塗布することができるため、種々の用途に用いられている。容器中のエアゾール製剤を均一に吐出するために、振とう等により容器内の原液と噴射剤とが容易に均一になり、その状態が維持されるという性質が要求される。
特許文献1に記載のエアゾール組成物は、吐出物から発泡させる目的で噴射剤が配合されている。このため、水を含む含水原液の連続相中に噴射剤の分散相が乳化又は分散されており、噴射剤の中に原液が分散されたものではない。水を連続相とする原液と噴射剤とを相溶させる場合、特許文献2のヘアトリートメント組成物のように、水との親和性が良いジメチルエーテルが噴射剤の主成分として用いられる。
特許第4173034号公報 特開平11−222417号公報
エアゾール製剤の噴射剤として用いられる液化石油ガス(以下、適宜「LPG」という)は、広い範囲で噴射力を調整できるという特長がある。しかし、水との親和性が低いため、液化石油ガス中に水を連続相とする原液を均一に分散し、その状態を維持することが難しいという問題がある。
そこで、本発明は、振とうによって、液化石油ガスを含む噴射剤中に水を連続相とする原液を容易に分散し、分散された状態を維持することができるエアゾール製剤の提供を目的としている。
上記の課題を解決するために提供される本発明は次のとおりである。
[1]水を連続相とする原液と噴射剤とからなるエアゾール製剤であって、前記原液は、水酸基を有する乳化剤を含有しており、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルを、前記乳化剤として、前記原液100質量部中に2.5質量部以上含有しており、前記乳化剤が含有する親水基として水酸基のみを有する乳化剤のHLB値が1.8以上10以下であり、前記噴射剤100質量部における液化石油ガスの含有量が40質量部以上であり、容器を振とうすることで前記噴射剤からなる連続相中に前記原液が分散した状態となり、振とうして前記噴射剤中に前記原液を均一に分散させた後に静置してから10秒経過した時点において、前記原液が前記噴射剤中に分散したコロイド状態を維持していることを特徴とするエアゾール製剤。
[2]前記原液100g中の前記乳化剤の含有量が、水酸基換算で1mmol以上である[1]に記載エアゾール製剤。
[3]前記乳化剤が室温において液体である[1]または[2]に記載のエアゾール製剤。
[4]前記乳化剤がソルビタン脂肪酸エステルである[1]〜[3]のいずれか1項に記載のエアゾール製剤。
[5]前記ソルビタン脂肪酸エステルは、親水基としてオキシアルキレンを有していない[4]に記載のエアゾール製剤。
[6]前記原液100質量部における前記水の含有量が50質量部以上である[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
[7]前記原液がさらに油剤を含有しており、前記原液100質量部における前記油の含有量が50質量部以下である請求項[1]〜[6]のいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
[8]前記原液が、水中油滴型乳化系である[7]に記載のエアゾール製剤。
本発明のエアゾール製剤は、水酸基を有する乳化剤により、水を連続相とする原液が噴射剤の連続相中に分散したコロイド状態を形成し、原液が噴射剤中に沈降して、噴射剤の上澄みが生じた状態においてもコロイド状態を維持することができる。したがって、振とうなどにより容易に原液と噴射剤とを均一にできるとともに、均一な吐出状態を長い間維持することが可能である。
エアゾールの状態に関する評価基準を説明する図面代用写真であり、(A)振とう直後において、均一に分散してコロイド状態となった状態、(B)振とう後に噴射剤の上澄みが生じ、原液が噴射剤に沈降したときにもコロイド状態を維持している状態 エアゾールの状態に関する評価基準を説明する図面代用写真であり、(A)振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散したコロイド状態を形成しない状態の一例(エアゾール製剤13)、(B)振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散したコロイド状態を形成しない状態の他の一例(エアゾール製剤14)
(エアゾール製剤)
本発明に係るエアゾール製剤の実施形態について、以下に説明する。
エアゾール製剤は、噴射剤と原液とが充填された容器のボタンを押すことにより、容器内の噴射剤と原液が噴射(吐出)されるものである。本実施形態のエアゾール製剤は、水を連続相とする原液が水酸基を有する乳化剤を含有しているから、容器の振とうによって噴射剤中に原液を分散させてコロイド状態とすることができる。また、その後に静置されて原液が噴射剤中に沈降した状態においても、コロイド状態を維持することができる。
本発明において「容器を振とうする」とは、本実施形態のエアゾール製剤の噴射剤と原液とを均一に分散させるに十分な力、回数で、噴射剤と原液とが充填された容器を振ることをいう。十分な力および回数は、容器の大きさや充填された噴射剤および原液の量にもよるが、100mlの容器に、噴射剤および原液を各20g入れた場合、10秒間に、40〜50cm程度の振幅で、5〜10回程度、容器を振ることによって、本発明のエアゾール製剤の噴射剤と原液とを均一に分散することができる。
本発明において「噴射剤中に原液を均一に分散させた」とは、噴射剤からなる連続相中に、原液が分散相として均一に分散した状態をいい、例えば、噴射剤を連続相、原液を分散相として乳化した状態が該当する。また、「原液が噴射剤中に沈降した状態」とは、表面に過剰な噴射剤の透明層(上澄み)が形成された状態をいう。本発明のエアゾール製剤の原液は、噴射剤中に沈降した状態においても、コロイド状態を維持する。ここで、「原液が噴射剤中に分散したコロイド状態」とは、噴射剤全体に原液が均一に分散してはいないものの、噴射剤と原液とが均一に分散している領域が存在することをいう。照射したレーザ光を分散する性質により、噴射剤と原液とが均一に分散したコロイド状態が形成されていることを確認できる。
エアゾール製剤を構成する原液および噴射剤について、以下に説明する。
(原液)
原液は、水を連続相とするものであり、乳化剤を含有している。原液中の乳化剤および油剤について、以下に説明する。
(乳化剤)
原液は、親水基として水酸基(OH基)を有する乳化剤(界面活性剤)を含有している。乳化剤の親水基として作用する水酸基は、液化石油ガス(LPG)等の水との親和性が低い噴射剤に対する溶解度が低い。このため、水酸基を有する乳化剤を用いることにより、噴射剤中における原液の臨界ミセル濃度が低くなり、効率良くミセルを形成することができる。したがって、原液と噴射剤とのコロイド状態(以下、適宜、「コロイド状態」という。)を容易に形成することができ、原液が噴射剤中に沈降した状態でも、当該コロイド状態を長時間安定的に維持することが可能となる。
原液と噴射剤とのコロイド状態を安定にするという観点から、室温において液体状態である乳化剤を用いることが好ましい。
コロイド状態を容易に形成し、維持する観点から、原液は親水基として水酸基のみを有する乳化剤を含有していることが好ましい。当該親水基として水酸基のみを有する乳化剤のHLB値は、15以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。原液100質量部中の乳化剤の含有量は、0.01〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、3〜10質量部がさらに好ましい。
水酸基を有する乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。コロイド状態の形成を容易かつ安定にするという観点から、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、特に、親水基としてポリオキシエチレン等のポリオキシアルキレンを有しておらず、親水基として水酸基のみを有しているものがより好ましい。
水酸基を有する乳化剤の含有量は、コロイド状態の形成を容易かつ安定にするという観点から、原液100g中において、水酸基換算で0.5mmol以上であることが好ましく、20mmol以上であることがより好ましく、40mmol以上であることがさらに好ましい。
上述したように、本発明のエアゾール製剤は、水酸基を有する乳化剤を含有しているが、これ以外の乳化剤を含有していてもよい。含有することができる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル(非イオン性界面剤、ノニオン乳化剤)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(非イオン性界面剤、ノニオン乳化剤)、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等(陰イオン性界面剤、アニオン性乳化剤)等が挙げられる。これら乳化剤を配合する場合、水酸基を有する乳化剤による原液と噴射剤とのコロイド状態形成作用を阻害しない範囲の配合量とする。
(油剤)
原液は、水と乳化剤に加えて油剤を含有していてもよい。油剤を含有する場合、原液が、水中油滴(O/W)型乳化系となる。安定な水中油滴(O/W)型乳化系とする観点から、原液100質量部における油剤の含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。
油剤としては、例えば、常温(25℃)において液体であるオイル成分や、常温において固体である固体ワックスが挙げられる。
オイル成分としては、動植物油、鉱物油、エステル油、シリコーンオイルなどが挙げられる。
固体ワックスとしては、例えば、原油の精製により得られる分岐炭化水素(イソパラフィン)、直鎖状炭化水素、飽和環状炭化水素、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの石油由来ワックス、蜜蝋(ミツロウ)、羊毛蝋などの動物由来ワックス、カルナバロウ(カルナバワックス)、キャンデリラロウ(キャンデリラワックス)、ライスワックス等の植物由来ワックス、高級脂肪酸および高級アルコールなどが挙げられる。固体ワックスは、1種のみを含有しても、複数種を混合したものとして含有してもよい。上述したとおり、エアゾール製剤の使用感を調整する観点から、複数種を混合して用いることが好ましい。
(噴射剤)
本実施形態のエアゾール製剤は、噴射剤として、液化石油ガス(以下、適宜「LPG」ともいう)を含有している。親水基として水酸基を有する乳化剤を含有する原液を用いているから、水との親和性が低いLPG中に水を連続相とする原液を分散させて、コロイド状態を形成することができる。噴射剤としてLPGを使用することにより、水を連続相とする原液の噴射剤として一般に用いられているジメチルエーテルと比較して、広い範囲で噴出圧力(内圧)を調整可能となる。
噴射剤100質量部中のLPGの含有量は、コロイド状態の安定的な形成および噴出圧力の調整の観点から、40質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がさらに好ましい。
エアゾール製剤は、LPG以外の噴射剤を含むものであってもよい。LPGと併用される噴射剤としては、一般に用いられている、液化ガス、圧縮ガスおよびこれらの混合物等を用いることができる。液化ガスとしては、ジメチルエーテルなどが挙げられ、圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素、亜酸化窒素、圧縮空気などが挙げられる。また、HFC−152a、HFO−1234ze(E)などを用いることもできる。エアゾール製剤中における、噴射剤と原との質量比は、噴射剤/原が10/90〜90/10の範囲内にすればよい。
(容器)
本実施形態のエアゾール製剤の原液および噴射剤を充填する容器としては、一般に用いられている耐圧容器を用いることができる。耐圧容器を構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ブリキ、鋼等が挙げられる。
水を含有する原液中に噴射剤が分散した従来のエアゾール製剤の容器としてブリキ製の容器を用いる場合、水による容器の腐食を防ぐ防錆剤が配合されている。本実施形態のエアゾール製剤は、原液が噴射剤中に沈降した状態において、原液が噴射剤中に分散したコロイド状態を維持するため、従来のエアゾール製剤と比較して、原液に含有されている水と容器との接触を抑制する効果を有するといえる。したがって、本実施形態のエアゾール製剤は、従来のエアゾール製剤よりも、容器の腐食を抑制する効果があると考えられる。
(任意成分)
本実施形態のエアゾール製剤の原液は、上述した成分以外に、医薬品や化粧品の分野において一般に用いられている成分を含有してもよい。このような成分としては、水;クエン酸およびクエン酸ナトリウム等のpH調整剤;フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウムおよびパラベンなどの防腐剤;ビーズポリマー等の滑材;ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩、グリセリンなどの保湿剤;ビタミン類;無機フィラー;紛体;香料;などが挙げられる。これら成分の含有量は、本実施形態のエアゾール製剤の特性に悪い影響を与えない範囲とすればよい。
以上説明した実施形態に関する記載は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。したがって、実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[原液の調製]
下記の表1に示した各成分および含有量により、エアゾール製剤1〜14を調製した。
表1に示す乳化剤として以下を用いた。
[乳化剤]
トリオレイン酸ソルビタン:ソルボンS−85(東邦化学工業株式会社製)またはNIKKOL SO−30V(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=1.8、一分子中の水酸基数=1
セスキオレイン酸ソルビタン:NIKKOL SO−15V(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=4.0、一分子中の水酸基数=2.5(平均値)
モノオレイン酸ソルビタン:NIKKOL SO−10V(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=4.3、一分子中の水酸基数=3
モノステアリン酸ソルビタン:ソルボンS−60(東邦化学工業株式会社製)またはNIKKOL SS−10V(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=4.7、一分子中の水酸基数=3
イソステアリン酸ソルビタン:NIKKOL SI−10RV(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=5.0、一分子中の水酸基数=3
モノラウリン酸ソルビタン:NIKKOL SL−10(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=8.6、一分子中の水酸基数=3
ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10:NIKKOL DECAGLYN 5−SV(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=3.5、一分子中の水酸基数=7
モノステアリン酸グリセリル:NIKKOL MGS−BV2(日光ケミカルズ株式会社製)、HLB=3.0、一分子中の水酸基数=2
PEG−5 水添ヒマシ油:NIKKOL HCO−5(日光ケミカルズ株式会社製)
ステアリン酸 PEG−2:NIKKOL MYS−2V(日光ケミカルズ株式会社製)
[評価方法]
[エアゾール製剤の状態]
[室温(25℃)]
容器に充填されたエアゾール製剤1〜10、13および14について、室温(25℃)において、10秒間に、約40〜50cmの振幅で、5〜10回振とうし、その後の原液と噴射剤(LPG)との分散状態を以下の基準を用いて評価した。
◎:振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散してコロイド状態となる。振とう後10秒間経過時点でコロイド状態の層の上に噴射剤の上澄みが生じない。振とう後に噴射剤の上澄みが生じ、原液が噴射剤に沈降したときにもコロイド状態を維持する。
〇:振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散してコロイド状態となるが、振とう後10秒間経過時点でコロイド状態の層の上に噴射剤の上澄みが生じる。振とう後に噴射剤の上澄みが生じ、原液が噴射剤に沈降したときにもコロイド状態を維持する。
×:振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散したコロイド状態を形成しない。
[加温(50℃)]
エアゾール製剤11および12は、乳化剤が室温で液体ではなかったため、50℃に加温して、10秒間に、約40〜50cmの振幅で、乳化剤が溶解するまで振とうし、その後の原液と噴射剤(LPG)との分散状態を以下の基準を用いて評価した。
〇:振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散してコロイド状態となり、室温となったときにコロイド状態を維持する。
△:振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散してコロイド状態となるが、室温になったときにコロイド状態を維持せず、原液と噴射剤とが分離する。
図1および図2はエアゾール製剤の状態に関する評価基準を説明する図面代用写真である。図1(A)は振とう直後において、均一に分散してコロイド状態となった状態(◎、〇)、図1(B)は振とう後に噴射剤の上澄みが生じ、原液が噴射剤に沈降したときにもコロイド状態を維持している状態(◎、〇)を示している。なお、振とう後5分間経過後においては、◎および〇のいずれに評価されたエアゾール製剤も、図1(B)に示すように、噴射剤の上澄みが生じ原液が噴射剤に沈降した状態となった。
図2(A)および図2(B)は、振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散したコロイド状態を形成しない状態の例(エアゾール製剤13およびエアゾール製剤14)を示している。
表1に示すように、水酸基を含有する乳化剤を含有しない原液を用いたエアゾール製剤13および14は、振とうによってコロイド状態となることはなかった。したがって、水酸基を含有する乳化剤を原液に配合することがコロイド状態の形成、維持に有効であるといえる。
エアゾール製剤1〜12の結果から、(1)水酸基を含有する乳化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステルを用いること、(2)常温で液体状態の乳化剤を用いること、がコロイド状態の形成、維持に好ましいといえる。エアゾール製剤1〜10の結果から、コロイド状態を形成した原液の噴射剤中の分散安定性の観点から、(3)水酸基を含有する乳化剤の水酸基換算の量が大きいことが好ましいといえる。
[噴射剤の検討]
エアゾール製剤10の噴射剤であるLPGを、表2に示すLPGとジメチルエーテル(以下、適宜「DME」という。)との混合物に変更したエアゾール製剤15〜19を作製し、上述した基準を用いて室温における分散状態を評価した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、噴射剤50質量部におけるDMEの含有量が15〜30質量部であるエアゾール製剤15〜18は、噴射剤としてLPGのみを配合したエアゾール製剤同様、振とうによってコロイド状態となり、振とう後に噴射剤の上澄みが生じ、原液が噴射剤に沈降したときにもコロイド状態を維持した。対して、噴射剤50質量部中におけるDMEの含有量が35質量部であるエアゾール製剤19は、水が連続相となり、振とうによって原液が噴射剤中に分散したコロイド状態とはならなかった。したがって、噴射剤50質量部中におけるLPGの含有量は20質量部以上が好ましいといえる。また、エアゾール製剤15および16が、エアゾール17および18よりもコロイド状態の均一性が良好であったことから、噴射剤50質量部中におけるLPGの含有量は30質量部以上が好ましいといえる。
[原液の調製]
表3は、各原液100質量部の各成分の含有量(質量部)を示したものである。表3に示した各成分および含有量により、原液20〜25を調製した。
表3の各成分の配合目的は以下のとおりであり、それぞれ以下のものを用いた。
[油相]
[固体ワックス]
マイクロクリスタリンワックス
キャンデリラロウ
パラフィンワックス
硬化ヒマシ油
[オイル成分]
ヒマシ油:ヒマシ油マルトクA(伊藤製油製)
流動パラフィン:モレスコホワイトP−70(株式会社MORESCO製)
コハク酸ジエチルへキシル:CRODAMOL OSU−LQ−(JP)(クローダジャパン株式会社)
ジメチコン:SH200C Fluid 100 CS(東レ・ダウコーニング株式会社製)
[乳化剤]
ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10:NIKKOL DECAGLYN 5−SV(日光ケミカルズ株式会社製)
モノオレイン酸ソルビタン:NIKKOL SO−10V(日光ケミカルズ株式会社製)
モノパルミチン酸ソルビタン:ソルボンS−40(東邦化学工業株式会社製)
ポリソルベート−60:モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ソルボンT−60(東邦化学工業株式会社製)
セテス−6:セタノールのポリエチレングリコールエーテル
セテス−10:セタノールのポリエチレングリコールエーテル
オレス−7リン酸Na:オレス−7(オレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテル)のリン酸エステルのナトリウム塩、フォスファノールRD−720N(東邦化学工業株式会社製)
ラウレス−9:ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、NIKKOL BL−9EX(日光ケミカルズ株式会社製)
セテス−20:セタノールのポリエチレングリコールエーテル
EASYNOV:オクチルドデカノール、オクチルドデシルキシロシドおよびジポリヒドリキシステアリン酸PEG−30を含むW/O型の乳化剤(SEPPIC S.A製)
ペリセアL−30:ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの水溶液(旭化成株式会社製)
[消泡剤、感触改良剤]
疎水性シリカ:AEROSIL R972(日本アエロジル株式会社製、シリル化無水ケイ酸の粉体)
[乳化助剤]
セタノール(セチルアルコール):NAA−44(日本油脂株式会社製)
ステアリン酸
パルミチン酸
[水相]
[アルカリ]
トリエタノールアミン(日光ケミカルズ株式会社製)
[保湿剤、静菌剤]
1,3−ブチレングリコール
[防腐剤]
フェノキシエタノール
[感触改良剤・乳化助剤]
高重合ポリエチレンオキシド:PEO−18P(住友精化株式会社製)
[評価方法]
原液の乳化状態、および、噴射状態を以下の基準を用いて評価した。
[原液の乳化状態]
○:調製直後に乳化し、室温になっても乳化状態が維持されている。
×:乳化しない。
[エアゾール製剤20〜25]
噴射剤としてLPGを用い、原液20と噴射剤とを40:60の割合(質量比)で充填してエアゾール製剤20を作製した。原液21〜25についても同様にして、エアゾール製剤21〜25を作製した。
[エアゾール製剤の状態]
エアゾール製剤20〜25について、室温(25℃)において、10秒間に、約40〜50cmの振幅で、5〜10回、振とうした後における原液と噴射剤(LPG)との、室温における分散状態を評価した。
◎:振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散してコロイド状態となる。
×:振とうによって原液が噴射剤中に均一に分散したコロイド状態とならない。
表4に評価結果を示す。
表4に示す結果から、以下のことが分かった。
水酸基を有する乳化剤を含有しない原液25は、LPG中に均一に分散しなかった。これに対して、水酸基を有する乳化剤を含有する原液21〜24はLPG中に均一に分散し、室温(25℃)において、コロイド状態を維持した。この結果から、原液をLPG中に均一に分散させて、コロイド状態を形成し維持するためには、水酸基を有する乳化剤を配合することが有効であるといえる。
また、原液20〜24の結果に照らし、LPGとの乳化を安定的に実現する観点から、水酸基を有する乳化剤の含有量は、原液100質量部中に、2質量部以上であることが好ましく、2.5質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましいといえる。
[コロイド状態の評価]
エアゾール製剤24を用いて、振とう直後および振とう後30秒間静置した後において、容器(ビーカー)中に10秒間、エアゾール製剤を噴射した。吐出前後のエアゾール製剤の重量の差により、吐出されたエアゾール製剤の量を測定した。また、塗布直後および容器を45℃条件下で3日間保存し噴射剤を十分に乾燥させた後における、容器中に残った成分の重量を測定した。結果を表5に示す。
表5に示すように、噴射されたエアゾール製剤量、噴射直後および噴射3日後におけるエアゾール製剤量はいずれも、振とう直後と振とう後30秒経過後との間で違いが認められなかった。この結果から、本発明のエアゾール製剤は、振とうにより生じた原液とLPGとのコロイド状態を長時間保持することができ、エアゾール製剤を安定して均一な内容で噴射できることが分かった。
本発明は、水を連続相とする原液とLPGを含む噴射剤とを含有するエアゾール製剤として実施することができる。

Claims (8)

  1. 水を連続相とする原液と噴射剤とからなるエアゾール製剤であって、
    前記原液は、水酸基を有する乳化剤を含有しており、
    グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルを、前記乳化剤として、前記原液100質量部中に2.5質量部以上含有しており、
    前記乳化剤が含有する親水基として水酸基のみを有する乳化剤のHLB値が1.8以上10以下であり、
    前記噴射剤100質量部における液化石油ガスの含有量が40質量部以上であり、
    容器を振とうすることで前記噴射剤からなる連続相中に前記原液が分散した状態となり、振とうして前記噴射剤中に前記原液を均一に分散させた後に静置してから10秒経過した時点において、前記噴射剤中に分散したコロイド状態を維持していることを特徴とするエアゾール製剤。
  2. 前記原液100g中の前記乳化剤の含有量が、水酸基換算で1mmol以上である請求項1に記載のエアゾール製剤。
  3. 前記乳化剤が室温において液体である請求項1または2に記載のエアゾール製剤。
  4. 前記乳化剤がソルビタン脂肪酸エステルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール製剤。
  5. 前記ソルビタン脂肪酸エステルは、親水基としてオキシアルキレンを有していない請求項4に記載のエアゾール製剤。
  6. 前記原液100質量部における前記水の含有量が50質量部以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
  7. 前記原液がさらに油剤を含有しており、前記原液100質量部における前記油の含有量が50質量部以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
  8. 前記原液が、水中油滴型乳化系である請求項7に記載のエアゾール製剤。
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