JP6775996B2 - 合成樹脂製容器蓋 - Google Patents

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本発明は、タンパーエビデント特性を備えた合成樹脂製容器蓋、更に詳しくは円形天面壁とこの天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されていて、スカート壁は周方向破断ラインよりも上方の主部と周方向破断ラインよりも下方のタンパーエビデント裾部とに区画されており、スカート壁の主部の内周面には雌螺条が形成されており、タンパーエビデント裾部の内周面には周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個の係止突起が配設されており、係止突起の各々は半径方向内方に延出する係止上面を有する形態の合成樹脂製容器蓋に関する。
飲料用容器として、ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂、ガラス或いは金属薄板から形成され、円筒形口頸部の外周面には雄螺条とこの雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている形態の容器が広く実用に供されている。そして、かような容器の口頸部に装着される容器蓋として、下記特許文献1及び2に開示されている如く、上述したとおりの形態の合成樹脂製容器蓋が採用されている。そして、かような容器蓋においては、成形に必要な合成樹脂材料量を低減して製造価格を低減するために、また軽量化のために、当業者には周知の如く、天面壁及びスカート壁の厚さを可及的に薄くすると共に、スカート壁の主部の内周面に形成されている雌螺条を、周方向に間隔をおいて配設された複数個の中断領域によって中断された複数個の雌螺条部によって構成している。
特開2011−143942号公報 特開2015−93704号公報
而して、本発明者等の経験によれば、上述したとおりの従来の容器蓋においては、タンパーエビデント裾部の内周面に配設されている複数個の係止突起のうちの幾つかにおいて成形不良が発生する、即ち所要とおりの形態に充分正確に成形されず変形が発生する、ことが少なくないことが判明している。係止突起は容器の口頸部を開封する際に口頸部の係止あご部に確実に係止することが重要であり、それ故に係止突起が変形されてしまうと口頸部の開封の際に不都合が発生する虞がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、成形に必要な合成樹脂材料の量を増大させることなくタンパーエビデント裾部の内周面に配設される複数個の係止突起における成形不良を充分確実に回避することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、上述した係止突起の成形不良は、軸線方向において雌螺条の中断領域に対応して位置する係止突条に発生する(その理由は後述する)ことを知見した。そして、かかる知見に基づき、全ての係止突起の方向中間部の軸線方向の上方には、雌螺条の中断領域ではなくて雌螺条部が存在するように構成することによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成することができる合成樹脂製容器蓋として、円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、該スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されていて、該スカート壁は該破断ラインよりも上方の主部と該破断ラインよりも下方のタンパーエビデント裾部とに区画されており、該スカート壁の該主部の内周面には雌螺条が形成されており、該タンパーエビデント裾部の内周面には周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個の係止突起が配設されており、該係止突起の各々は半径方向内方に延出する係止上面を有する合成樹脂製容器蓋において、
該雌螺条は周方向に間隔をおいて配設された複数個の中断領域によって中断された複数個の雌螺条部によって構成されており、
該係止突起の周方向中間部における該係止上面の半径方向延出長さは、該係止突起の周方向両側部における該係止上面の半径方向延出長さよりも大きく、
全ての該係止突起の周方向中間部の軸線方向上方には該雌螺条部が存在する、
ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
係止突起の該周方向中間部における該係止上面の半径方向延出長さは周方向中心から周方向両側に向かって漸次低減されており、該係止突起の該周方向両側部における該係止上面の半径方向延出長さは周方向両側に向かって漸次低減されていて、周方向両端においては零であり、該周方向中間部の周方向両端における該係止上面の半径方向延出長さと該周方向両側部の周方向内側端における該係止上面の半径方向延出長さは同一である、のが好都合である。好ましくは、該係止突起は周方向に等間隔をおいて奇数であるN個配設されており、該係止突起の各々の周方向長さは同一であり、該雌螺条の該中断領域は周
方向に等間隔をおいて2N個配設されており、該係止突起の周方向中心は該雌螺条部の周方向中心と軸線方向において整合している。Nは5であるのが好適である。
本発明の合成樹脂容器蓋によれば、雌螺条は周方向に間隔をおいて配設された複数個の中断領域によって中断された複数個の雌螺条部によって構成されているが、全ての係止突起の方向中間部の軸線方向上方には雌螺条の中断領域ではなくて雌螺条部が存在する故に、成形に必要な合成樹脂材料の量を増大させることなくタンパーエビデント裾部の内周面に配設される複数個の係止突起における成形不良を充分確実に回避することができる。
本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を、一部を断面で示す正面図。 図1に示す容器蓋の底面図。 図1に示す容器蓋の一部を切り欠いて示す斜面図。 図1に示す容器蓋におけるスカート壁内周面の展開図。
以下、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
図1を参照して説明すると、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形することができる容器蓋2は、円形天面壁4とこの天面壁4の周縁から垂下する円筒形スカート壁6とを具備する。天面壁4の内面外周縁部には、下方に垂下する比較的長い円筒形状の内側シール片8と共に下方に垂下する比較的短い円筒形状の外側シール片10が形成されている。内側シール片8と外側シール片10との中間には環状突出部12が形成されている。
スカート壁6には周方向に延びる破断ライン14が形成されており、スカート壁6は破断ライン14より上方の主部16と破断ライン14より下方のタンパーエビデント裾部18とに区画されている。図示の実施形態においては、破断ライン14は周方向に延びる複数個のスリット(切り溝)20とスリット20間に残留せしめられている複数個の橋絡部22とから構成されており、タンパーエビデント裾部18は複数個の橋絡部22を介して主部16に接続されている。
スカート壁6の主部20の外周面には、周方向に見て交互に存在する凹凸形状から構成された滑り止めローレット24が形成されている。図1と共に図2及び図4を参照して説明を続けると、スカート壁6の主部16の内周面には雌螺条26が形成されている。図示の実施形態においては、約720度(2巻)に渡って延びる1条の雌螺条26が形成されており、周方向のいずれの部位においても軸線方向下側に位置する下段雌螺条26aと軸線方向上側に位置する上段雌螺条26bが存在する。下段雌螺条26a及び上段雌螺条26bの各々は、成形に必要な合成樹脂材料量の低減の見地から、周方向に間隔をおいて配設された複数個の中断領域28a及び28b(後に言及する係止突起の数をNとすると、中断領域28a及び28bの数はNの整数倍、特に2N、であるのが好適である)によって中断された複数個の雌螺条部30a及び30bから形成されていることが重要である。図示の実施形態においては、下段雌螺条26a及び上段雌螺条26bの各々において、等間隔をおいて10個の中断領域28a及び28並びに10個の雌螺条部30a及び30bが配設されており、中断領域28a及び28bの各々の周方向長さは同一であり、雌螺条部30a及び30bの各々の周方向長さも同一である。下段雌螺条26aにおける中断領域28aの各々と上段雌螺条26bにおける中断領域28bの各々とは軸線方向に整合している、従って下段雌螺条26aにおける雌螺条部30aの各々と上段雌螺条26bにおける雌螺条部30bの各々とも軸線方向に整合している。1条の雌螺条を形成することに代えて複数の雌螺条を形成することもできる。この場合も、各雌螺条における中断領域の各々の周方向長さは同一であり、雌螺条部の周方向長さも同一であり、各雌螺条における中断領域の各々及び雌螺条部の各々は軸線方向に整合しているのが好適である。
図1乃至図4を参照して説明を続けると、タンパーエビデント裾部18の内周面には周方向に間隔をおいて奇数であるのが好適である複数個の係止突起32が配設されている。図示の実施形態においては、周方向に等間隔をおいて5個の係止突起32が配設されており、係止突起32の各々は実質上同一であり、周方向中間部32aと共に周方向両側部32bを有する。図2を参照することによって理解される如く、係止突起32の各々の周方向中間部32aの直径方向反対側には係止突起32が存在しない係止突起非存在部34(かかる係止突起非存在部34の各々には突出量が微小である弧状突条が配設されている)が位置する。図4を参照することによって明確に理解される如く、全ての係止突起32の方向中間部32aの軸線方向上方には雌螺条部30a及び30bが存在することが重要である(その理由は後述する)。図示の実施形態においては、係止突起32の周方向中間部32aと共に周方向両側部32bの周方向内側端及び外側端も、雌螺条部30a及び30bの軸線方向下方に位置する。
係止突起32の各々は、半径方向内方に延出する係止上面36、縦断面図において略半円弧形状である先端面38及び下方に向かって半径方向外方に傾斜して延在する案内下面40を有する。そして、周方向中間部32aにおける係止上面36の半径方向突出長さは周方向両側部32bにおける係止上面36の半径方向突出長さよりも大きく設定されている。更に詳述すると、図2を参照することによって明確に理解されるとおり、図示の実施形態においては、周方向中間部32aにおいては係止上面36の半径方向延出長さが周方向両側に向かって漸次低減されており、周方向両側部32bにおいても係止上面36の半径方向延出長さは周方向両側に向かって漸次低減されており、周方向両端においては実質上零である。そして、周方向両側部32bの周方向内側端における係止上面36の半径方向延出長さは周方向中央部32aの周方向両端における係止上面36の半径方向延出長さと実質上同一である。図示の実施形態においては、係止突起32の各々の案内下面40の下縁は周方向中間部32aから周方向両側部32bの一部(即ち周方向内側部)に渡って実質上水平に延在し、周方向両側部32bの周方向外側部においては案内下面40の下縁は周方向外側端に向かって軸線方向上方に傾斜せしめられている。
周方向に見て上記係止突起32が存在する領域においては、タンパーエビデント裾部18の上部内面は係止突起32の係止上面36から軸線方向上方に向かって半径方向外方に若干の角度で傾斜している、換言すれば軸線方向上方に向かって内径が漸次増大されている傾斜内面42である。一方、周方向に見て係止突起32が存在しない係止突起非存在部34においては、タンパーエビデント裾部18の内面は傾斜することなく、傾斜内面42よりも上方の部位と同一面をなしている。
而して、上述した如く、従来の容器蓋においては、タンパーエビデント裾部の内周面に形成されている複数個の係止突起の内の幾つかに成形不良が発生することが少なくなかった。本発明者等の検討によれば、係止突起の成形不良は、周方向に見て雌螺条部が存在しない領域において発生しており、特に係止突起32の係止上面36の半径方向突出長さが大きい箇所(内径の小さい箇所)である周方向中間32aと雌螺条部が存在しない領域とが合致した場合に顕著に発生していた。然るに、本発明従って構成された容器蓋2おいては、全ての係止突起32の方向中間部32aの軸線方向上方には雌螺条部30a及び30bが存在し、それ故に係止突起32に成形不良が発生することが可及的に回避される。その理由について、本発明者等は、成形された容器蓋を成形型から取り出す際に雌螺条部30a及び30b並びに係止突起32において所謂無理抜きが必要であるが、係止突起32の方向中間部32aの軸線方向上方には雌螺条部30a及び30bが存在する場合は、雌螺条部30a及び30bにおける無理抜きに起因してスカート壁6が下方に向かって半径方向外方に強制され、これによって係止突起32のおける無理抜きが緩和される故であると考えている。因みに、雌螺条部30a及び30bは、その形状に起因して無理抜きによる変形乃至損傷に対して比較的強い耐性を有するが、係止突起32は、その形状に起因して無理抜きによる変形乃至損傷に対する耐性が比較的小さい。
図1には容器蓋2と共に容器の口頸部44も図示されている。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂、ガラス或いは金属薄板から形成することができる容器の口頸部44は全体として円筒形状であり、口頸部44の外周面には約720度(2巻)に渡って延びる1条の雄螺条46、即ち軸線方向下側に位置する下段雄螺条46aと軸線方向上側に位置する上段雄螺条46bが存在する。また、下段雄螺条46aの下方に位置する係止あご部48が形成されている。口頸部44の外周面には、更に、係止あご部48の下方に位置するサポートリング50(かかるサポートリング50は当業者には周知の如く容器の搬送に利用される)も配設されている。
容器内に内容物を充填した後に口頸部44に容器蓋2を装着して口頸部44を密封する際には、口頸部44に容器蓋2を被嵌して容器蓋2を閉回転方向、図1において上方から見て時計方向、に回転せしめ、容器蓋2の雌螺条26を口頸部44の雄螺条46に螺合せしめる。図1に示す状態まで雌螺条26を雄螺条46に螺合せしめると、容器蓋2の内側シール片8が口頸部44内に侵入して口頸部44の内周面に密接され、環状突出部12が口頸部44の頂面に密接せしめられ、外側シール片10が口頸部44の外周面に密接乃至近接せしめられ、かくして口頸部44が密封される。
口頸部44に容器蓋2を装着して口頸部44を密封する際には、タンパーエビデンド裾部18の内周面に配設されている係止突起32は口頸部44の係止あご部48を弾性的に乗り越え、係止あご部48の下方に位置せしめられる。この際には係止突起32の案内下面40の案内作用によって係止突起32は漸次半径方向外方に変位せしめられて円滑に係止あご部48を乗り越える。そして、係止突起32の各々の係止上面36の周方向全体ではなくて周方向中間部32aのみにおいて係止上面36の半径方向内方への延出長さが比較的大きく設定されている故に、係止突起32が係止あご部48を弾性的に乗り越える際に破断ライン14が偶発的に破断されてしまうことが可及的に回避される。
内容物を消費するために口頸部44を開封する際には、容器蓋2を開方向、即ち図1において上方から見て反時計方向、に回転せしめる。かくすると、雄螺条46と雄螺条雌26の螺合が漸次解除され、スカート壁6の主部16は回転と共に軸線方向上方に移動せしめられる。一方、タンパーエビデント裾部18は係止突起32が係止あご部48に係止せしめられる故に軸線方向上方への移動が阻止され、かくして破断ライン14の橋絡部22に応力が生成されて橋絡部22が破断され、タンパーエビデント裾部18がスカート壁6の主部16から切り離される。破断ライン14が破断された後においては、タンパーエビデント裾部18を口頸部44に残留せしめて、容器蓋2の天面壁4及びスカート壁6の主部16は回転と共に軸線方向上方に自由に移動せしめられて口頸部44から離脱され、かくして口頸部44が開封される。所望ならば、タンパーエビデント裾部18に軸線方向破断ラインを形成し、容器の口頸部44を開封する際には上記軸線方向破断ラインが破断され、一方周方向に延在する破断ライン14はその一端が破断されることなく維持され、タンパーエビデント裾部18が無端環状から有端環状に展開され、タンパーエビデント裾部18と共に容器蓋2の全体が口頸部44から離脱されるようになすこともできる。
2:容器蓋
4:天面壁
6:スカート壁
14:破断ライン
16:スカート壁の主部
18:タンパーエビデント裾部
22:橋絡部
26:雌螺条
26a:下段雌螺条
26b:上段雌螺条
28a:下段雌螺条の中断領域
28b:上段雌螺条の中断領域
30a:雌螺条部
30b:雌螺条部
32:係止突起
32a:係止突起の周方向中間部
32b:係止突起の周方向両側部
34:係止突起非存在部
36:係止突起の係止上面
44:口頸部
46:雄螺条
46a:下段雄螺条
46b:上段雄螺条
48:係止あご部

Claims (4)

  1. 円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、該スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されていて、該スカート壁は該破断ラインよりも上方の主部と該破断ラインよりも下方のタンパーエビデント裾部とに区画されており、該スカート壁の該主部の内周面には雌螺条が形成されており、該タンパーエビデント裾部の内周面には周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個の係止突起が配設されており、該係止突起の各々は半径方向内方に延出する係止上面を有する合成樹脂製容器蓋において、
    該雌螺条は周方向に間隔をおいて配設された複数個の中断領域によって中断された複数個の雌螺条部によって構成されており、
    該係止突起の周方向中間部における該係止上面の半径方向延出長さは、該係止突起の周方向両側部における該係止上面の半径方向延出長さよりも大きく、
    全ての該係止突起の周方向中間部の軸線方向上方には該雌螺条部が存在する、
    ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
  2. 該係止突起の該周方向中間部における該係止上面の半径方向延出長さは周方向中心から周方向両側に向かって漸次低減されており、該係止突起の該周方向両側部における該係止上面の半径方向延出長さは周方向両側に向かって漸次低減されていて、周方向両端においては零であり、該周方向中間部の周方向両端における該係止上面の半径方向延出長さと該周方向両側部の周方向内側端における該係止上面の半径方向延出長さは同一である、請求項記載の合成樹脂製容器蓋。
  3. 該係止突起は周方向に等間隔をおいて奇数であるN個配設されており、該係止突起の各々の周方向長さは同一であり、該雌螺条の該中断領域は周方向に等間隔をおいてNの整数倍個配設されており、該係止突起の周方向中心は該雌螺条部の周方向中心と軸線方向において整合している、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
  4. Nは5である、請求項記載の合成樹脂製容器蓋。
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