JP6774894B2 - 電磁界共鳴型カップラ - Google Patents

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本発明は、電界または磁界共鳴によってワイヤレスで電力伝送を行う装置に用いる電磁界共鳴型カップラに関するものである。
ワイヤレス電力伝送は、有線による送電が困難、または利便性が低い場合に有力な電力伝送手段であり、その用途には、電気自動車等の移動体や回転体等が挙げられる。ワイヤレス電力伝送方式としては、主に電磁誘導、電磁界共鳴(電界共鳴、磁界共鳴の総称)、電界結合等があるが、そのうち電磁界共鳴方式は、電磁誘導方式より距離を離して電力伝送できる利点がある。
電磁界共鳴を用いたワイヤレス電力伝送装置は、電界共鳴または磁界共鳴を用いた方式により、ワイヤレス(無線、非接触)で交流電力を伝送する装置であり、この装置には、交流電源から給電された交流電力を受電側に送電する送電用カップラと、送電用カップラから送電された交流電力を受電する受電用カップラが用いられる。電界共鳴方式または磁界共鳴方式を用いたワイヤレス電力伝送装置の送電用カップラ、及び受電用カップラを電磁界共鳴型カップラと言う。
一般に、送電用カップラは、給電される交流電力の周波数で共振する送電用LC共振回路を備え、受電用カップラは、送電用LC共振回路から交流電力を受電する受電用LC共振回路を備えており、この送電用、受電用LC共振回路が電界共鳴または磁界共鳴することによって、LC共振する周波数成分の交流電力をワイヤレスで伝送することができる。ここで、送受電用LC共振回路のキャパシタ(電極等)間の電界共鳴を用いるのが電界共鳴方式、インダクタ(コイル等)間の磁界共鳴を用いるのが磁界共鳴方式である。
現実の電磁界共鳴型カップラにおいては、交流電力のワイヤレス伝送に用いられる上記LC共振(ノーマル共振と言う)以外に、ノイズ源となるコモンモード共振と呼ばれる不要共振が発生する問題がある。コモンモード共振の発生原因の一つには、送受電用カップラに接続される給受電ケーブル(一般的には同軸ケーブル)の外導体がグランド(以下GNDと記す)に接続された時、このGNDと各カップラの電極が電界で容量結合されるため、コモンモード共振が発生することが挙げられる。また、送受信用カップラが収納されるシールドケース(以下ではケースと記す)と電極間が電界で容量結合されたり、一定の線径以上のコイルが有する容量成分によって、ケースとコイル間が電界で容量結合されると、コモンモード共振が引き起こされる。
このコモンモード共振は、不要放射波となって漏れ電界を生じ、他の電子機器の誤動作を誘発したり、人体にも悪影響を及ぼす恐れがあるため、極力抑えることが好ましい。そこで本発明者らは、先の特許出願(特許文献1)において、コモンモード共振に対する対応策として主に四つの手段を提案している。
1)同軸ケーブルとカップラとの電界的な接続を切り離し、同軸ケーブルの先端にリンクコイルを配設することによって、リンクコイルと共振コイルとの磁界結合を用いて、電磁誘導により間接的に同軸ケーブルとカップラを電気的に接続する。電界的な接続を切り離すことによって、コモンモード共振による電流(コモンモード電流)を抑制し、漏れ電界を抑制する。
2)同軸ケーブルの外導体とケースを導通させることにより、ケースと電極間、ケースとコイル間で発生した浮遊容量によるコモンモード電流を、ケースを通じて外導体に集中して流出させる。
3)同軸ケーブルの外導体の周囲にフェライトコアを装着し、上記2)によってケースから外導体に流出したコモンモード電流をフェライトコアを通過させて低減させ、漏れ電界を抑制する。
4)共振コイルの一端部をケースと導通させ、この経路からもコモンモード電流をケースに流出させる。これによって、電極とケース間の浮遊容量結合を弱め、コモンモード電流を低減し、漏れ電界を抑制する。
特開2016−174522号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載された対応策は、安定的に漏れ電界を抑制することが難しい場合がある。例えば、ノーマル共振の高調波(スイッチング電源の動作周波数の高調波)とコモンモード共振の周波数が略一致する場合には、上記対応策3)によってフェライトコアで低減すべき電流値が大きくなるため、フェライトコア周辺の温度が高温になってしまう。フェライトコアは、通過電流を熱エネルギーに変換するため通過電流値が大きくなると発熱量も大きくなり、例えば、一般的な普及品を用いると、通過電流100mA程度においてフェライトコアは60〜70℃程度にも達してしまう。フェライトコアは同軸ケーブルの根元(ケースとの接続コネクタ付近)に装荷されるため、設計によっては使用者が操作する接続コネクタ付近がこのような高温になると使用上の障害となる可能性がある。
また例えば、ケースを小型化してカップラを高密度化した場合には、上記対応策4)を用いても、コモンモード電流が期待したようにケースに流出しないことがある。この場合には、共振コイルの一端部とケースを導通させる経路を形成する隙間が狭くなるため、この経路を構成する導線の配置場所や長さ等に求められる精度が高くなり、設計からの僅かなずれが生じると、期待したコモンモード電流の低減効果が得られず、漏れ電界を抑制できない課題がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、コモンモード共振周波数を変化させることにより安定的に漏れ電界を抑制できる電磁界共鳴型カップラを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係る電磁界共鳴型カップラは、交流電源から給電された交流電力を送電する送電用カップラと、前記送電用カップラから送電された交流電力を受電する受電用カップラとを有し、前記送電用カップラは、前記給電された交流電力の周波数で共振する送電用LC共振回路と、前記交流電源に第1の同軸ケーブルで接続され、磁界結合によって前記送電用LC共振回路に交流電力を給電する第1のリンクコイルと、前記送電用LC共振回路と前記第1のリンクコイルを収納する第1のシールドケースとを備え、前記受電用カップラは、前記送電用LC共振回路から送電された交流電力を受電する受電用LC共振回路と、第2の同軸ケーブルで負荷に接続され磁界結合によって前記受電用LC共振回路から交流電力を受電する第2のリンクコイルと、前記受電用LC共振回路と前記第2のリンクコイルを収納する第2のシールドケースとを備え、前記送電用LC共振回路と前記受電用LC共振回路が電界共鳴または磁界共鳴することによって、前記送電用カップラから前記受電用カップラにワイヤレスで電力伝送する電磁界共鳴型カップラであって、前記第1のシールドケースは、前記第1の同軸ケーブルの外導体と導通しており、前記第2のシールドケースは、前記第2の同軸ケーブルの外導体と導通しており、前記送電用LC共振回路内の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間、及び前記受電用LC共振回路内の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間の少なくとも一方に、当該LC共振回路と当該シールドケースとを接続する付加容量が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る電磁界共鳴型カップラは、前記送電用LC共振回路内の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間には、コモンモード共振周波数を変化させる第1の付加容量が設けられており、前記受電用LC共振回路内の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間には、コモンモード共振周波数を変化させる第2の付加容量が設けられていることが好ましい。
また、本発明に係る電磁界共鳴型カップラは、前記送電用LC共振回路は、所定の間隔を隔てて配置された第1の電極及び第2の電極、並びに前記第1の電極に接続された第1の共振コイル及び前記第2の電極に接続された第2の共振コイルを具備し、 前記受電用LC共振回路は、所定の間隔を隔てて配置された第3の電極及び第4の電極、並びに前記第3の電極に接続された第3の共振コイル及び前記第4の電極に接続された第4の共振コイルを具備し、前記第1の付加容量は、前記第1の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間、及び前記第2の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間にそれぞれ配置されており、前記第2の付加容量は、前記第3の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間、及び前記第4の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間にそれぞれ配置されていることが好ましい。
また、本発明に係る電磁界共鳴型カップラは、前記第1の付加容量は、前記第1の共振コイルの前記第1の電極と接続されていない端部と前記第1のシールドケースとの間、及び前記第2の共振コイルの前記第2の電極と接続されていない端部と前記第1のシールドケースとの間にそれぞれ配置されており、前記第2の付加容量は、前記第3の共振コイルの前記第3の電極と接続されていない端部と前記第2のシールドケースとの間、及び前記第4の共振コイルの前記第4の電極と接続されていない端部と前記第2のシールドケースとの間にそれぞれ配置されていることが好ましい。
また、本発明に係る電磁界共鳴型カップラは、前記付加容量は可変コンデンサを含むことが好ましい。
また、本発明に係る電磁界共鳴型カップラは、前記第1の同軸ケーブルの外導体及び前記第2の同軸ケーブルの外導体にはフェライトコアが設けられていることが好ましい。
本発明によれば、コモンモード共振周波数を変化させることにより、安定的に漏れ電界を抑制できる電磁界共鳴型カップラを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る電界共鳴型カップラについて、基本的な動作原理を説明するための図であり、(A)は斜視図、(B)は部分斜視図である。 従来技術の電磁界共鳴型カップラの断面模式図であり、(A)は電界共鳴型カップラの例、(B)は磁界共鳴型カップラの例を示す。 本発明の一実施形態に係る電磁界共鳴型カップラの断面模式図であり、(A)は電界共鳴型カップラの例、(B)は磁界共鳴型カップラの例を示す。 本発明の一実施形態に係る電磁界共鳴型カップラにおける電極の別の実施例を示す。 電界共鳴型カップラの伝送効率の周波数特性を示すグラフであり、従来技術(容量拡大なし)と本発明の一実施形態(容量拡大例1及び2)についての測定結果を示す。 図3(A)の構成で示す電界共鳴型カップラにおけるノーマル共振点での主たる電流及び電界のパス(電流の経路及び電界の方向)を示す。 図3(A)の構成で示す電界共鳴型カップラにおけるコモンモード共振点での主たる電流及び電界のパスを示す。 図2(A)の構成で示す従来技術の電界共鳴型カップラにおけるコモンモード共振点での主たる電流及び電界のパスを示す。 給電線からなるモノポールアンテナの給電線長と共振周波数の関係を示す。 電子情報通信学会編「アンテナ工学ハンドブック(第1版第7刷)」に記載のアマチュア無線用頂部装荷アンテナを示す。 本発明の一実施形態に係る電界共鳴型カップラの電界強度の周波数特性を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施の形態における電磁界共鳴型カップラについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
まず、図1を用いて、従来技術の電界共鳴型カップラ900および本発明の一実施形態に係る電界共鳴型カップラ100に共通する基本的な動作原理を説明する。両者の基本的な動作原理は共通することから、以下では主に本実施形態に係る電界共鳴型カップラ100として説明する。
図1は、本実施形態に係る電界共鳴型カップラ100の基本的な構成の一部を抜き出して示した斜視図であり、(A)はその全体斜視図、(B)はそのうちの送電側を拡大した部分斜視図である。電界共鳴型カップラ100は、送電用カップラ110と受電用カップラ120とを有し、送電用カップラ110が第1の同軸ケーブル11で交流電源(図示せず)に接続され、受電用カップラ120が第2の同軸ケーブル21で負荷(図示せず)に接続されている。
同軸ケーブル11、21は、それぞれケーブル中央に中心導体11a、21aを貫通させ、中心導体11a、21aをそれぞれ囲うようにケーブル周縁に外導体11b、21bを敷設しており、それぞれ所定の固有インピーダンスを有している。
送電用カップラ110は、2つの電極(第1の電極と第2の電極)111、112と2つの共振コイル(第1の共振コイルと第2の共振コイル)113、114を備えている。2つの電極111、112は、ここでは一例として矩形状の平板電極としているが、これに限定されるものではない。電極111の電極112に近接する側の長辺とこれに対向する電極112の長辺とを所定の間隔を設けて平行に配置することで、電極111、112はキャパシタを形成している。共振コイル113、114は、それぞれの一端が電極111、112の端部にそれぞれ接続されている。これにより、2つの電極111、112と2つの共振コイル113、114は共振回路(送電用LC共振回路)130(図1(B)の点線で囲まれた部分)を形成している。送電用LC共振回路130の共振周波数は、給電される交流電力の周波数と略一致するように設計されている。
同様に受電用カップラ120も、2つの電極121、122(第3の電極と第4の電極)と2つの共振コイル(第3の共振コイルと第4の共振コイル)123、124を備えており、電極121と電極122の対向する2つの長辺を所定の間隔を設けて平行に配置することで、電極121、122はキャパシタを形成している。そして、共振コイル123、124のそれぞれの一端が電極121、122の端部にそれぞれ接続されて共振回路(受電用LC共振回路)140を形成している。受電用LC共振回路130の共振周波数は、受電する交流電力の周波数と略一致するように設計されている。すなわち、受電用LC共振回路130の共振周波数は、送電用LC共振回路130の共振周波数と略一致する。
同軸ケーブル11と21、及び送電用カップラ110と受電用カップラ120は、それぞれ同様の構成を有していることから、以下では主として同軸ケーブル11及び送電用カップラ110について説明し、同軸ケーブル21及び受電用カップラ120については必要に応じて括弧内に対応する符号を記載することとする。なお、電極111と電極112の間隔、及び電極121と電極122の間隔については、両者を必ずしも一致させる必要はない。また、電極111と電極112の寸法、及び電極121と電極122の寸法についても、それらを必ずしも一致させる必要はない。
図1(A)で示すように、電界共鳴型カップラ100は、送電用LC共振回路130の2つの電極111、112と、受電用LC共振回路140の2つの電極121、122とを略平行に対向配置することによって、送電用LC共振回路130と受電用LC共振回路140との間で電界共鳴させることができる。すなわち、電極111と121及び電極112と122とをそれぞれ所定の間隔を設けて対向配置させ、送電用LC共振回路130に所定周波数の交流電力が供給されると、送電用LC共振回路130の電極111、112と受電用LC共振回路140の電極121、122との間で電界共鳴が行われて、送電用カップラ110から受電用カップラ120に電力が供給される。
図1(B)で示すように、電界共鳴型カップラ100は、送電用カップラ110の共振コイル113と114との間、及び受電用カップラ120の共振コイル123と124との間のそれぞれに、リンクコイル(第1のリンクコイル)115及びリンクコイル(第2のリンクコイル)125を備える。同軸ケーブル11及び21は、共振コイル113、114及び共振コイル123、124に接続されるのではなく、それぞれリンクコイル115及びリンクコイル125に接続される。
このようにリンクコイル115を備えることにより、同軸ケーブル11からリンクコイル115に交流電力が供給されたとき、リンクコイル115と共振コイル113、114との間を磁界結合させることができ、これにより間接的に送電用カップラ110に交流電力を供給することができる。また、送電用カップラ110から受電用カップラ120にワイヤレス送電された交流電力は、共振コイル123、124とリンクコイル125との間の磁界結合によりリンクコイル125に供給することができ、さらに同軸ケーブル21を伝送させて負荷に供給することができる。
従って、従来技術の電界共鳴型カップラ900および本発明の一実施形態に係る電界共鳴型カップラ100に共通する基本的な動作原理は次のような一連の流れとなる。同軸ケーブル11からリンクコイル115に交流電力が供給されると、リンクコイル115と共振コイル113、114との間の磁界結合により、送電用LC共振回路130に交流電力が供給され、電極111、112(送電用LC共振回路LC130)と電極121、122(受電用LC共振回路140)の電界共鳴によって、受電用LC共振回路140にワイヤレス送電される。そして、共振コイル123、124とリンクコイル125との間の磁界結合により、リンクコイル125に供給された交流電力は、さらに同軸ケーブル21を伝送させて負荷に供給される。
一方、磁界共鳴型カップラ(従来技術の磁界共鳴型カップラ900及び本発明の一実施形態に係る磁界共鳴型カップラ200)の場合には、送電用LC共振回路130の共振コイル113、114と受信用LC共振回路の共振コイル123、124を対向配置することによって、送電用LC共振回路130と受電用LC共振回路140との間で磁界共鳴させるようにする。すなわち、共振コイル113、114及び共振コイル123、124とをそれぞれ所定の間隔を設けて対向配置させ、送電用LC共振回路130に所定周波数の交流電力が供給されると、送電用LC共振回路130の共振コイル113、114と受電用LC共振回路140の共振コイル123、124との間で磁界共鳴が行われて、送電用カップラ110から受電用カップラ120に電力を供給することができる。リンクコイル115、125を用いて、磁界結合により、同軸ケーブル11、21と間接的に交流電力を送電、受電する構成及び動作原理は、上記した電界共鳴型カップラの場合と同様である。
このように、送電用、受電用LC共振回路130、140がリンクコイル115、125を含む系と磁界のみで結合し、電界的に切り離されていることによって、ワイヤレス電力伝送を実現しつつ、コモンモード電流の発生を抑制可能となる。同軸ケーブル11、21の外導体がGND接続された時であっても、コモンモード電流が抑制され、漏れ電界を抑制可能となる。この抑制手段は、特許文献1の従来技術にて提案した上述の対応策1)と同様である。
次に図2を参照し、従来技術の電磁界共鳴型カップラ(電界共鳴型カップラ800、磁界共鳴型カップラ900)に発生するコモンモード電流ついて、より詳しく説明する。図2(A)は、従来技術の電界共鳴型カップラ800のうち、送電用カップラ810について、送電用LC共振回路130及びリンクコイル115をケース550に収納し、同軸ケーブル11に接続した状態を示す断面模式図である。受電用カップラ820は、送電用カップラ810と同様の構成を有していることから、以下では送電用カップラ810について説明し、同軸ケーブル21及び受電用カップラ820については必要に応じて括弧内に対応する符号を記載する。
図2(A)のように、電極111(121)、112(122)及び共振コイル113(123)、114(124)、リンクコイル115(125)は、外部への不要放射波をシールドする効果のあるケース550内に収納される。ケース550は、一部が開放されており、この開放部に電極111(121)、112(122)が配置され、開放部を通じて、送電用カップラ810の電極111、112と、受電用カップラ820の電極121、122が電界共鳴を行う。従って、送電用カップラ810と受電用カップラ820は、開放部及び電極が対向するように所定の間隔をおいて配置される。
同軸ケーブル11(21)の中心導体11a(21a)は、ケース550とは電気的に絶縁しつつ、ケース550を貫通してリンクコイル115(125)の一方の端部と接続されている。GND接続された同軸ケーブルの外導体11b(21b)はケース550と導通しており、リンクコイル115(125)の他方の端部もケース550と導通している。従って、同軸ケーブルの外導体11b(21b)はリンクコイル115(125)と導通接続されている。
このように同軸ケーブル11(21)の外導体11b(21b)とケース550を導通させることにより、ケースと電極間、ケースとコイル間で発生した浮遊容量によるコモンモード電流を、ケース550を通じて外導体11b(21b)に集中させることができる。図2(A)で示されるように、ケース550と電極111(121)、112(122)間は浮遊容量結合が生じ、また共振コイル113(123)と114(124)が有する容量成分によって共振コイル113(123)、114(124)とケース550間に浮遊容量結合が生じており、これらがコモンモード電流の発生原因となっている。
同様に、従来技術の磁界共鳴型カップラ900について示したものが図2(B)である。図2(B)は磁界共鳴型カップラ900のうち、送電用カップラ910について、送電用LC共振回路230及びリンクコイル115をケース550に収納し、同軸ケーブル11に接続した状態を示す断面模式図である。なお、受電用カップラ920は、送電用カップラ910と同様の構成を有していることから、以下では主として送電用カップラ910について説明し、同軸ケーブル21及び受電用カップラ920については必要に応じて括弧内に対応する符号を記載する。
図2(B)のように、電極111(121)、112(122)及び共振コイル113(123)、114(124)、リンクコイル115(125)は、外部への不要放射波をシールドする効果のあるケース550内に収納される。ケース550は、一部が開放されており、この開放部に共振コイル113(123)、114(124)が配置され、開放部を通じて、送電用カップラ910の共振コイル113、114と、受電用カップラ920の共振コイル123、124が磁界共鳴を行う。従って、送電用カップラ910と受電用カップラ920は、開放部及び共振コイルが対向するように所定の間隔をおいて配置される。
同軸ケーブル11(21)、リンクコイル115(125)、及びケース550は、上記した図2(A)の電界共鳴型カップラの場合と同様に接続され、導通しており、これによって、ケースと電極間、ケースとコイル間で発生した浮遊容量によるコモンモード電流を、ケース550を通じて外導体11b(21b)に集中させることができる。
次に図3を参照し、本発明の一実施形態に係る電磁界共鳴型カップラ(電界共鳴型カップラ100、磁界共鳴型カップラ200)について説明する。図3(A)は、電界共鳴型カップラ100のうち、送電用カップラ110について、送電用LC共振回路130及びリンクコイル115をケース(第1のシールドケース)550に収納し、同軸ケーブル11に接続した状態を示す断面模式図である。なお、受電用カップラ120は、送電用カップラ110と同様の構成を有し、受電用LC共振回路140及びリンクコイル125がケース(第2のシールドケース)550に収納されることから、以下では主として送電用カップラ110について説明し、同軸ケーブル21及び受電用カップラ120については必要に応じて括弧内に対応する符号を記載する。
送電用カップラ110(120)は、図2(A)で示した従来技術の送電用カップラ810(820)に対して、共振コイル113(123)、114(124)とケース550との間に付加容量C1(C2)が追加されている。上述したようにコモンモード共振の発生原因となる浮遊容量は、ケース550と電極111(121)、112(122)間、及び共振コイル113(123)、114(124)とケース550間に発生するが、これらに加えて付加容量C1(C2)を人為的に追加すると、コモンモード電流の経路が変更され、コモンモード共振の共振周波数を変化させることができる。付加容量C1(C2)の追加によるコモンモード共振周波数の変化のメカニズムについては後述する。
同様に、本発明の一実施形態に係る磁界共鳴型カップラ200ついて示したものが図3(B)である。図3(B)は、磁界共鳴型カップラ200のうち、送電用カップラ210について、送電用LC共振回路230及びリンクコイル115をケース550に収納し、同軸ケーブル11に接続した状態を示す断面模式図である。なお、受電用カップラ220は、送電用カップラ210と同様の構成を有し、受電用LC共振回路140及びリンクコイル125がケース(第2のシールドケース)550に収納されることから、以下では主として送電用カップラ210について説明し、同軸ケーブル21及び受電用カップラ220については必要に応じて括弧内に対応する符号を記載する。
送電用カップラ210(220)は、図2(B)で示した従来技術の送電用カップラ910(920)に対して、共振コイル113(123)、114(124)とケース550との間に付加容量C1(C2)が追加されている。図3(A)の電界共鳴型カップラの場合と同様に、付加容量C1(C2)によって、共振コイル113(123)、114(124)とケース550との間の電界的な容量結合を追加することにより、コモンモード電流の経路が変更され、コモンモード共振の共振周波数を変化させることができる。
なお、本実施形態の電磁界共鳴型カップラ(電界共鳴型カップラ800及び磁界共鳴型カップラ900)に設けられる付加容量C1(C2)は、コモンモード電流の経路を変更し、コモンモード共振の共振周波数を変化させることができれば、共振コイル113(123)、114(124)とケース550との間における配置場所は、特に限定されない。
ただし、以下の理由から付加容量C1(C2)は、GND電位近傍、少なくとも共振コイル113(123)、114(124)の中間領域に配置することが好ましい。一つには、共振コイル113(123)、114(124)の端部のうち、電極111(121)、112(122)と接続される端部は、ノーマル共振状態において昇圧される(例えば1kW送電においては数kVの電圧になる)ため、このような高圧部に付加容量C1(C2)配設すると、大電流が付加容量C1(C2)に流れ、電極111(121)、112(122)に本来の電流が流れ難くなり、電力伝送効率の低下を招きうることがある。また、付加容量C1(C2)はコンデンサ等で実現されることを考慮すると、コンデンサの耐圧性能の点からも電位の低い場所に配置することが好ましい。
このため、図3に示す本実施形態においては、このような配置場所として、共振コイル113(123)の電極111(121)と接続されてない端部とケース550との間、共振コイル114(124)の電極112(122)と接続されていない端部とケース550との間に配置されている。この配置場所は、理想動作におけるGND電位点Xに近いため、電位が低い。
また、付加容量C1(C2)は複数箇所にわけて配置してもよく、図3に示す本実施形態においては2箇所に配置されている。複数箇所に配置する場合、図示するように、理想動作におけるGND電位点Xに対して位置対称かつ容量対称となるように配置されることが好ましい。これはGND電位点Xの電位変動を抑えるための処置である。
次に図5を参照し、電磁界共鳴型カップラに付加容量C1、C2を追加した効果(コモンモード共振周波数のシフト効果)を説明する。図5は、図2(A)のように構成された従来技術の電界共鳴型カップラ800(容量拡大なし)、図3(A)のように構成された本実施形態の電界共鳴型カップラ100(容量拡大例1、2)をそれぞれ周波数13.56MHzのスイッチング電源と同軸ケーブル11、12で接続し、それらの伝送効率の周波数特性を測定した結果である。縦軸は、送受電カップラ間の伝送効率η21を、スイッチング電源の周波数13.56MHzにおける測定値を基準(0dB)として相対値で示したものであり、横軸は周波数である。ここでη21は送受電カップラ間のSパラメータのうち伝送特性を示すS21の絶対値の二乗で定義される。尚、Sパラメータの基準インピーダンスは50Ωとしている。
その他主要パラメーターは以下の通りである。但し電極111、112、121、122は電極間容量を確保するため、図4に示すようにそれぞれ2層構造としている。電極111(112)は、上層111a(112a)とこれに対向する下層111b(112b)と、上下層間の導通を確保する金属支柱111c(112c)とを具備し、電極121、122も同様の構造を有する。

・送受電カップラ間距離 70mm
・電極111、112、121、122
形状:2層平板、
上層:電極間距離=15mm、長手方向の長さ=455mm、幅=220mm、電極厚さ2mm
下層:電極間距離=145mm、長手方向の長さ=455mm、幅155mm、電極厚さ2mm
上層と下層の距離:55mm(上層下端から下層上端までの距離)
・共振コイル113、114、123、124
巻き数N1=7、コイル長H1=34mm、コイル径D1=32mm、コイル間距離L=13.5mm
・リンクコイル115、125
巻き数N2=3、コイル長H2=7.5mm、コイル径D2=32mm
・シールドケース550
外形寸法=480mm×480mm×80mm
・付加容量C1、C2
容量拡大例1:3.55pF
容量拡大例2:7.1pF
図5に示すように、従来技術の電界共鳴型カップラ800(容量拡大なし)の場合、スイッチング電源の周波数である13.56MHz付近にノーマル共振点があり、それより高周波である72.28MHz付近に不要共振であるコモンモード共振点が発生している。これに対して、図3(A)に示すように、GND電位点Xに対して位置対称となるように2箇所に付加容量C1、C2=3.55pFを配設した本実施形態の電界共鳴型カップラ800(容量拡大例1)では、ノーマル共振点は13.56MHz付近のままで、コモンモード共振点のみが51.4MHzに変化している。さらに、この付加容量C1、C2をそれぞれ7.1pFと増大させると、ノーマル共振点は一定のまま、コモンモード共振点のみが45.46MHzに減少していることがわかる。
このように付加容量C1、C2を増大すると、ノーマル共振周波数は一定のまま、コモンモード共振周波数のみが減少する理由について、以下説明する。
図6は図3(A)の構成で示す電界共鳴型カップラ100におけるノーマル共振点での主たる電流及び主たる電界のパス(電流Iの経路及び電界Eの方向)を示している。ノーマル共振点では基本的にはケース550及び同軸ケーブル外導体11b(21b)には電流はほとんど流れない。GND電位点X近傍に付加された付加容量C1(C2)のインピーダンスZは、周波数ωの関数としてωC1(ωC2)で表されるため、周波数が電源の高調波に比べて低いノーマル共振点においては、C1(C2)の容量の影響が無視できる。従って付加容量C1及びC2によるノーマル共振点の変動を起こさず共振による電力伝送を行うことができる。
図7は図3(A)の構成で示す電界共鳴型カップラ100におけるコモンモード共振点での主たる電流及び主たる電界のパスを、図8は図2(A)の構成で示す従来技術の電界共鳴型カップラ800におけるにコモンモード共振点での主たる電流及び主たる電界のパスを示している。コモンモード共振点ではケース550及び同軸ケーブル外導体11b(21b)に電流が流れる。
コモンモード共振の本質は同軸ケーブル11、21が1/4波長モノポールアンテナとして共振することにある。図9は給電線(単純な給電同軸ケーブル)がモノポールアンテナとして機能した場合の共振周波数と給電線長との関係を示したグラフである。共振周波数が高くなるにつれて給電線長が短くなることが分かる。すなわち電源の基本周波数、具体的には図5で示す測定で用いられたスイッチング電源の周波数13.56MHzでは給電線が5.5m程度なければモノポールアンテナとしての共振は発生しないが、より高い周波数、具体的には67.8MHzでは1.2m弱の給電線長で共振してしまう。従って、一般的に使用される1m程度の短い同軸ケーブル11、21を用いると高周波数帯でモノポール共振、言い換えるとコモンモード共振が発生し易くなる。
図10は電子情報通信学会編「アンテナ工学ハンドブック 第1版第7刷」のP406に記載のアマチュア無線用頂部装荷アンテナ(以下頂部装荷アンテナと記す)700の図である。頂部装荷アンテナ700は、ケーブル701に装荷したコイル702、及びアンテナ頂部に装荷した容量冠703により、アンテナ700の波長短縮を実現している。この場合、図9で示した単純なモノポールアンテナに比べて同じアンテナ長でより低い共振点で共振することが知られている。すなわち、装荷コイル702、容量冠703を配設することによって、コモンモード共振周波数を下げることができる。容量冠703の寸法、もしくは装荷コイル702のインダクタンスを調整することで共振周波数の調整が可能である。
このような頂部装荷アンテナ700を、図7に示す本発明に係る電界共鳴型カップラ100及び図8に示す従来型の電界共鳴型カップラ800と対比させると、コモンモード電流のパスにおいて、ケーブル701が同軸ケーブル11(21)及びケース550に、装荷コイル701が共振コイル113(123)、114(124)に、容量冠702が電極111(121)、112(122)にそれぞれ対応する。付加容量C1(C2)は、装荷コイル701のインダクタンスを調整することと同義であり、従って付加容量C1(C2)の増加によりコモンモード共振周波数を低下することができる。図7と図8におけるコモンモード電流のパスを比較すると、図7の場合は図8の場合に対し付加容量C1(C2)分の経路が増えており、これによりコモンモード共振周波数のシフトが発生することになる。なお、図7、8では電極、コイル、付加容量が対称的に配置されるため、電気的な動作としては図10の頂部装荷アンテナ700が2本近接する形態となる。
次に図11を用いて、本実施形態の電界共鳴型カップラについて、漏れ電界強度の抑制効果を示す。図11は、図2(A)のように構成された従来技術の電界共鳴型カップラ800、図3(A)のように構成された本実施形態の電界共鳴型カップラ100をそれぞれ周波数13.56MHzのスイッチング電源と同軸ケーブル11、12で接続し、それらの電界強度の周波数特性を測定した結果である。縦軸は、スイッチング電源の周波数13.56MHzにおける測定値を基準(0dB)として電界強度を相対値で示したものであり、横軸は周波数である。
その他主要パラメーターは以下の通りである。但し電極111、112、121、122は電極間容量を確保するため図4に電極111、112を例として示すようにそれぞれ2層構造としている。電極111(112)は、上層111a(112a)とこれに対向する下層111b(112b)と、上下層間の導通を確保する金属支柱111c(112c)とを具備し、電極121、122も同様の構造を有する。

・送受電カップラ間距離 70mm
・電極111、112、121、122
形状:2層平板、
上層:電極間距離=15mm、長手方向の長さ=455mm、幅=220mm、電極厚さ2mm
下層:電極間距離=145mm、長手方向の長さ=455mm、幅155mm、電極厚さ2mm
上層と下層の距離:55mm(上層下端から下層上端までの距離)
・共振コイル113、114、123、124
巻き数N1=7、コイル長H1=34mm、コイル径D1=32mm、コイル間距離L=13.5mm
・リンクコイル115、125
巻き数N2=3、コイル長H2=7.5mm、コイル径D2=32mm
・シールドケース550
外形寸法=480mm×480mm×80mm
・付加容量C1、C2 1.2pF
図11(A)は従来技術の電界共鳴型カップラ800の測定データであり、スイッチング電源の周波数である13.56MHz付近のノーマル共振点において、電界強度が最大(0dB)となっている。スイッチング電源は通常、動作周波数(基本波)の他に、その定数倍の高調波がノイズとして発生し、特に奇数倍の高調波は大きいことが知られている。図11(A)においては、3次高調波が発生する40.68MHz付近、5次高調波が発生する67.8MHz付近、7次高調波が発生する94.92MHz付近に、それぞれ電界強度のピークが発生している(丸印と数字で図示)。それぞれのピークにおける電界強度の測定値は表1の通りである。
表1および図11(A)に示すように、5次高調波の帯域である67.8MHz付近における電界強度が特に大きい。これは、コモンモード共振がこの帯域に発生していることに起因する。コモンモード共振と、スイッチング電源の5次高調波の発生周波数がほぼ一致していることから、67.8MHz付近で大きな漏れ電界が生じてしまっている。
図11(B)は本実施形態の電界共鳴型カップラ800の測定データであり、付加容量C1、C2によってコモンモード共振の周波数を67.8MHz付近から62.5MHz付近に減少させることによって、67.8MHz付近の電界強度を抑制した実施例である。丸印と数字で図示したピークにおいて、それぞれの電界強度の測定値は表2の通りである。
5次高調波の周波数帯である67.8MHz付近において、表2で示す本実施形態の電界強度相対値は−23dBと、表1で示した従来技術の−8dBに比べて15dB抑制できていることがわかる。付加容量C1、C2によって、コモンモード共振の共振周波数を、ノーマル共振の高調波と一致しない周波数にずらすことができ、その結果、漏れ電界のピーク値を減少する結果が得られた。
さらに、上述した特許文献1の対応策3)と同様に、同軸ケーブルの外導体の周囲にフェライトコアを装荷することによって、本発明によりピーク値が減少された漏れ電界を、フェライトコアによってさらに低減することも可能である。本発明によって、漏れ電界のピーク値は減少しているため、従来技術のようにフェライトコアで低減すべき電流値が大き過ぎて、フェライトコア周辺の温度が高温になり過ぎることもない。
付加容量C1、C2の具体的部材としては、電極またはコンデンサ等、容量を生じるものであれば特に限定されない。付加容量C1、C2のいずれか一方または両方に、可変コンデンサを含めた構成とすると、可変コンデンサを含む付加容量C1、C2の容量値を可変とすることができる利点がある。付加容量C1、C2の容量値を調整することによって、同軸ケーブル11、12の長さや種類等によって固有インピーダンスが変化したり、構成部材(共振コイル等)のケース550への取付寸法のばらつきによって浮遊容量が変化したり、交流電源から給電される周波数が多少変化した場合にでも、コモンモード共振周波数を適宜調整可能となり、安定的に漏れ電界を抑制可能となる。
なお、図11(A)及び図5(容量拡大なし)で示された従来技術の電界共鳴型カップラ800は、上述の通り主要パラメーターが同一であるところ、コモンモード共振点が図11(A)においては67.8MHz付近、図5においては72.28MHz付近と異なっている。これは主に同軸ケーブル11、21の長さとその配置方法(弛ませ方や這わせ方)に僅かな違いがあることに起因する。
以上のように、本発明に係る電磁界共鳴型カップラによれば、不要共振であるコモンモード共振の共振周波数を付加容量C1、C2によって変化させることができる。これによって、他の電子機器の誤動作を回避可能な周波数帯や、法的規制が緩やかなISM(Industry Science Medical)周波数帯にコモンモード共振周波数をずらすことができる。また、コモンモード周波数が、交流電源の高調波と略一致し大きな漏れ電界を発生している場合には、当該高調波と一致しない周波数帯にコモンモード共振周波数をずらすことによって、漏れ電界を抑制可能となる。また、付加容量C1、C2として可変コンデンサを用いると、同軸ケーブルのインピーダンスや交流電源の動作周波数が変化したり、ケースと電極、共振コイルの間に自然発生する浮遊容量がケースの形状変化等によって変化した場合であっても、付加容量C1、C2の容量値を調整することによって、コモンモード共振周波数を適宜調整可能となり、安定的に漏れ電界を抑制可能となる。さらに、本発明によりピーク値が減少された漏れ電界を、フェライトコアによって一層低減することも可能である。
以上、本発明に係る電磁界共鳴型カップラの一例を示したが、本実施の形態における記述は、これに限定されるものではない。本実施の形態における電磁界共鳴型カップラの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、リンクコイル115(125)には、これと直接または並列に接続するインピーダンス調整用のキャパシタを含んでいても良い。また例えば、同軸ケーブル11、21に流れるコモンモード電流値を測定し、その測定値から付加容量C1、C2を構成する可変コンデンサの容量値を調整するような機構を含んでいても良い。この他、送電用カップラおよび受電用カップラの双方が付加容量を具備する構成を示したが、送電用カップラおよび受電用カップラのいずれか一方のみが付加容量を有する構成としてもよい。
11、21 同軸ケーブル
13 フェライトコア
100 電界共鳴型カップラ(電磁界共鳴型カップラ)
200 磁界共鳴型カップラ(電磁界共鳴型カップラ)
110、210 送電用カップラ
120、220 受電用カップラ
130、230 送電用LC共振回路
140、240 受電用LC共振回路
111、112、121、122 電極
113、114、123、124 共振コイル
115、125 リンクコイル
550 シールドケース
C1、C2 付加容量

Claims (6)

  1. 交流電源から給電された交流電力を送電する送電用カップラと、前記送電用カップラから送電された交流電力を受電する受電用カップラとを有し、
    前記送電用カップラは、前記給電された交流電力の周波数で共振する送電用LC共振回路と、前記交流電源に第1の同軸ケーブルで接続され、磁界結合によって前記送電用LC共振回路に交流電力を給電する第1のリンクコイルと、前記送電用LC共振回路と前記第1のリンクコイルとを収納する第1のシールドケースとを備え、
    前記受電用カップラは、前記送電用LC共振回路から送電された交流電力を受電する受電用LC共振回路と、第2の同軸ケーブルで負荷に接続され磁界結合によって前記受電用LC共振回路から交流電力を受電する第2のリンクコイルと、前記受電用LC共振回路と前記第2のリンクコイルを収納する第2のシールドケースとを備え、
    前記送電用LC共振回路と前記受電用LC共振回路が電界共鳴または磁界共鳴することによって、前記送電用カップラから前記受電用カップラにワイヤレスで電力伝送する電磁界共鳴型カップラであって、
    前記第1のシールドケースは、前記第1の同軸ケーブルの外導体と導通しており、
    前記第2のシールドケースは、前記第2の同軸ケーブルの外導体と導通しており、
    前記送電用LC共振回路内の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間、及び前記受電用LC共振回路内の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間の少なくとも一方に、当該LC共振回路と当該シールドケースとを接続する付加容量が設けられている
    ことを特徴とする電磁界共鳴型カップラ。
  2. 前記送電用LC共振回路内の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間には、コモンモード共振周波数を変化させる第1の付加容量が設けられており、
    前記受電用LC共振回路内の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間には、コモンモード共振周波数を変化させる第2の付加容量が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁界共鳴型カップラ。
  3. 前記送電用LC共振回路は、所定の間隔を隔てて配置された第1の電極及び第2の電極、並びに前記第1の電極に接続された第1の共振コイル及び前記第2の電極に接続された第2の共振コイルを具備し、
    前記受電用LC共振回路は、所定の間隔を隔てて配置された第3の電極及び第4の電極、並びに前記第3の電極に接続された第3の共振コイル及び前記第4の電極に接続された第4の共振コイルを具備し、
    前記第1の付加容量は、前記第1の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間、及び前記第2の共振コイルと前記第1のシールドケースとの間にそれぞれ配置されており、
    前記第2の付加容量は、前記第3の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間、及び前記第4の共振コイルと前記第2のシールドケースとの間にそれぞれ配置されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の電磁界共鳴型カップラ。
  4. 前記第1の付加容量は、前記第1の共振コイルの前記第1の電極と接続されていない端部と前記第1のシールドケースとの間、及び前記第2の共振コイルの前記第2の電極と接続されていない端部と前記第1のシールドケースとの間にそれぞれ配置されており、
    前記第2の付加容量は、前記第3の共振コイルの前記第3の電極と接続されていない端部と前記第2のシールドケースとの間、及び前記第4の共振コイルの前記第4の電極と接続されていない端部と前記第2のシールドケースとの間にそれぞれ配置されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の電磁界共鳴型カップラ。
  5. 前記容量は可変コンデンサを含む
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁界共鳴型カップラ。
  6. 前記第1の同軸ケーブルの外導体及び前記第2の同軸ケーブルの外導体にはフェライトコアが設けられている
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電磁界共鳴型カップラ。
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