JP6774394B2 - 転圧車両のキャノピー開閉装置 - Google Patents

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Description

本発明は、転圧車両のキャノピー開閉装置に関する。
タイヤローラやマカダムローラ等の転圧車両は、運転席に着座した作業者を日差しや降雨から守るために運転席を覆うキャノピー(天蓋)が設けられたものがある。この種の転圧車両はトレーラ等に積載して工事現場まで移送され、積載時のキャノピーはかなりの高所に位置するため、法規で定められた高さ制限を満たせない場合がある。そこで、特許文献1に記載のような開閉式のキャノピーが採用されている。
特許文献1の技術では、運転席を取り囲むように前後及び左右に立設した4本の支持バーにより、運転席に着座した作業者の頭上を覆う開位置でキャノピーを支持している。各支持バーは下端を中心として前方に傾動可能とされており、各支持バーを傾動させて所謂4節リンクとして作動させることにより、円弧軌跡を辿ってキャノピーを位置変位させて高さを低めた閉位置に切換可能としている。
移送中の風圧等でキャノピーが不用意に開くことを防止すべく、キャノピーを閉位置に保持するロック機構が設けられている。ロック機構は、キャノピーの左右両側に設けた回動可能な一対のフック部材、キャノピーの後側中央に設けた操作レバー、操作レバーの操作を各フック部材に伝達するために連動機構からなる。キャノピーを閉位置とした上で操作レバーを一方向に操作すると(以下、ロック操作と称する)、左右のフック部材が車両側に掛止されてキャノピーを閉位置に保持する。また、操作レバーを他方向に操作すると(以下、ロック解除操作と称する)、フック部材の掛止が解除されてキャノピーを開位置へと切り換えることができる。
特開2015−94131号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたキャノピー開閉装置は、キャノピーを開閉操作する際の操作性の面と車両への乗降性の面で問題があった。
操作性の面では、操作レバーのロック操作を要する点である。ロック解除操作に関しては、キャノピーの不用意な開位置への切換を防止するために作業者の意図的な手動操作を必要とすることで問題ないが、ロック操作に関してはその必要がない。しかし、特許文献1の技術ではロック操作についても手動で行うことから、作業者は、キャノピーを閉位置に保持しながら操作レバーをロック操作する必要が生じ、非常に操作性が悪かった。
また乗降性の面では、ロック機構により閉位置に保持されたキャノピーが障害物になって作業者の乗降が妨げられる点である。上記のように操作レバーはキャノピーの後側中央に配設されており、キャノピーの閉位置では運転席の直上に位置する。このため、ロック操作及びロック解除操作に何れも運転席付近で行う必要がある。
従って、例えば降車する際には、操作レバーのロック操作を行った後に降車することになり、乗車する際には、乗車した後に操作レバーのロック解除操作を行うことになる。何れの場合も、作業者の乗降経路上には閉位置に保持されたキャノピーが位置するため、作業者はキャノピーを乗り越える必要が生じることから車両への乗降性が非常に悪かった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、キャノピーを開閉操作する際の操作性が良好であると共に、閉位置に保持されたキャノピーに妨げられることなく車両に乗降することができる転圧車両のキャノピー開閉装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の転圧車両のキャノピー開閉装置は、車両のベース部材上に一対の支持バーの下部をそれぞれ軸支すると共に、前記各支持バーの上部をそれぞれキャノピーに軸支して4節リンクを形成し、前記各支持バーの下部の軸支箇所を中心とした傾動に応じて、前記車両の運転席に着座した作業者の頭上を覆う開位置と、前記開位置よりも高さが低められる閉位置との間で前記キャノピーを切換可能な変位機構と、前記変位機構により前記キャノピーが開位置に切り換えられたときに前記支持バーの傾動を規制して前記キャノピーを開位置に保持するロック溝、及び前記キャノピーが閉位置に切り換えられたときに前記支持バーの傾動を規制して前記キャノピーを閉位置に保持するロック溝を有する一方、前記開位置及び閉位置でのキャノピーの保持を解除操作する解除操作部材を有するロック機構とを備え、前記ロック機構と前記一方の支持バーの下端の軸支箇所とが、共通のロックブラケットに集約されて設けられ、前記ロックブラケットが、地表と前記車両の運転席との間に形成された乗降経路の途中に配設されていることを特徴とする。
本発明のキャノピー開閉装置によれば、キャノピーを開閉操作する際の操作性が良好であると共に、閉位置に保持されたキャノピーに妨げられることなく車両に乗降することができる。
実施形態のキャノピー開閉装置が適用されたタイヤローラを示す側面図である。 キャノピーを開位置としたタイヤローラを示す正面図である。 キャノピーを閉位置としたタイヤローラを示す正面図である。 ロック機構を示す斜視図である。 ロック機構を示す図2のV-V線断面図である。 ロックピンが開ロック溝に嵌り込んでいるときのロック機構を示す正面図である。 ロックピンを開ロック溝から離脱させたときのロック機構を示す正面図である。 各ガイド溝内でロックピンが摺動しているときのロック機構を示す正面図である。 外周ロックピンが閉ロック溝に到達したときのロック機構を示す正面図である。 外周ロックピンが閉ロック溝に嵌り込んでいるときのロック機構を示す正面図である。 キャノピーを前方且つ下方に位置変位させるようにした別例のキャノピー開閉装置を示すタイヤローラの側面図である。 別例のロック機構を示す図5に対応する断面図である。
以下、本発明をタイヤローラのキャノピー開閉装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のキャノピー開閉装置が適用されたタイヤローラを示す側面図、図2はキャノピーを開位置としたタイヤローラを示す正面図、図3はキャノピーを閉位置としたタイヤローラを示す正面図である。以下の説明では、車両に搭乗した運転者を主体として前後、左右及び上下方向を規定する。
タイヤローラ1(以下、車両と称する場合もある)の車体2の前部には走行輪を兼ねた3本のゴム製の前部転圧タイヤ3f(転圧輪)が設けられ、これらの前部転圧タイヤ3fは左右方向に並列配置されている。また、車体2の後部には走行輪を兼ねた4本のゴム製の後部転圧タイヤ3r(転圧輪)が設けられ、これらの後部転圧タイヤ3rは左右方向に並列配置されている。
車体2上にはステアリング4を備えた操作台5が設置されると共に、操作台5の後側には運転席6が設置され、車体2の左側面には乗降のための乗降ステップ7が設けられている。運転席6に着座した作業者は、ステアリング4及びフロア8上の図示しないアクセルペダルやブレーキペダルを操作してタイヤローラ1を走行させ、転圧作業中には前部及び後部転圧タイヤ3f,3rにより路面に敷きつめた舗装材を締め固める。
運転席6の直後にはキャノピースタンド9(本発明のベース部材に相当)が配設され、キャノピースタンド9上には左右方向に離間して一対の支持バー10r,10lが立設されている。右側の支持バー10rの下端は、キャノピースタンド9上のブラケット11に対し左右方向に回動可能にピン12で軸支されている。左側の支持バー10lの下端は、キャノピースタンド9上で後述するロック機構21を構成するロックブラケット22に対し左右方向に回動可能にピン14で軸支されている。
各支持バー10r,10lは平行を保ちつつ上方に延設され、その上端は平面視で略四角状をなすキャノピー15の下面後部に固定された左右一対のブラケット16に対して、それぞれ左右方向に回動可能にピン17で軸支されている。結果としてキャノピースタンド9、一対の支持バー10r,10l及びキャノピー15により4節リンクとして変位機構18が形成され、各支持バー10r,10lの左右方向への傾動に応じてキャノピー15が位置変位するようになっている。
支持バー10r,10lの傾動は、ロック機構21により2位置に制限される。その一方は、図2に示すように各支持バー10r,10lを直立させて、運転席に着座した作業者の頭上をキャノピー15が覆う開位置であり、通常時のキャノピー15は開位置に保持される。また他方は、開位置よりもキャノピー15の高さが低められる閉位置であり、図3に示すように開位置から支持バー10r,10lを左方(本発明の車両を基準とした一側方に相当)に傾動させることにより、円弧状の規制を辿ってキャノピー15を左方且つ下方に位置変位させる。トレーラ等によるタイヤローラ1の移送時には、法規で定められた高さ制限を満たすべくキャノピー15が閉位置に切り換えられる。
キャノピースタンド9の左側面にはダンパ19の基端が回動可能に連結され、ダンパ19の先端は左側の支持バー10lの中間部に回動可能に連結されている。ダンパ19の付勢力は支持バー10lを直立させる方向に作用し、キャノピー15及び支持バー10r,10lの重量を僅かに上回ることによりキャノピー15を開位置へと切換可能となっている。但し、ダンパ19の付勢力はこれに限ることはなく、任意に変更可能である。
次いで、ロック機構21の構成を説明する。
図4はロック機構21を示す斜視図、図5はロック機構を示す図2のV-V線断面図である。
ロック機構21は、キャノピースタンド9上に固定されるロックブラケット22と、ロックブラケット22のガイド溝に沿って移動するロックピンユニット23とからなる。
ロックブラケット22の下部には固定板22aが溶接され、この固定板22aが図示しないボルトでキャノピースタンド9上に締結されている。ロックブラケット22は、左右方向に面した連結面22bの前後両端に略扇状をなす前後一対のガイド面22cを溶接してなり、これにより両ガイド面22cは前後に所定間隔をおいて配設されている。
扇状をなす各ガイド面22cにおける扇の要に相当する箇所には上記したピン12が前後方向に挿通され、このピン12はガイド面22cの間に配設された支持バー10lの下端を貫通している。これにより支持バー10lがピン12を介してロックブラケット22に連結されると共に、ピン12を中心として左右方向への傾動を許容されている。
各ガイド面22cには、ピン12を中心とした内外2重の円弧状をなすガイド溝がそれぞれ形成され、以下、内周ガイド溝24及び外周ガイド溝25と称する。各内周ガイド溝24の右端、及び各外周ガイド溝25の左右両端には、それぞれ連続するようにロック溝が形成されている。
以下、内周ガイド溝24の右端及び外周ガイド溝25の右端のロック溝を開ロック溝24a,25aと称し、外周ガイド溝25の左端のロック溝を閉ロック溝25bと称する。開ロック溝24a,25aは下方に向けて屈曲した形状をなし、閉ロック溝25bは右斜め下方に向けて屈曲した形状をなし、それぞれ以下に述べるロックピン26,27が自重で嵌り込むようになっている。
ロックブラケット22内(両ガイド面22cの間)には、前後の内周ガイド溝24の間に架け渡すように内周ロックピン26が配設され、同様に、前後の外周ガイド溝25の間に架け渡すように外周ロックピン27が配設されている。各ロックピン26,27の外径は内周及び外周ガイド溝24,25の幅よりも僅かに小さく設定され、各ロックピン26,27が対応するガイド溝24,25内を摺動可能となっている。内周及び外周ロックピン26,27の前後両端は、それぞれガイド溝24,25から前後に突出して連結プレート28により互いに連結されている。
結果として、これらのロックピン26,27及び連結プレート28により略四角枠状をなすロックピンユニット23が形成され、前側の連結プレート28にはロックピンユニット23を操作(ロック解除操作)するための把持部29(本発明の解除操作部材に相当)が溶接されている。
そして、ロックブラケット22内において、内周ロックピン26は支持バー10lの左側に位置し、外周ロックピン27は支持バー10lの右側に位置し、これらのロックピン26,27により支持バー10lの下端はほとんど隙間なく挟まれている。このため支持バー10lが傾動すると、その傾動と対応する方向にロックピンユニット23も移動し、内周ガイド溝24内で内周ロックピン26が摺動し、外周ガイド溝25内では外周ロックピン27が摺動する。
次に、以上のように構成されたキャノピー開閉装置の作用を説明する。
図6〜10はキャノピー開閉時のロック機構21の作動状況を示す図であり、図6はロックピン26,27が開ロック溝24a,25aに嵌り込んでいるときのロック機構21を示す正面図、図7はロックピン26,27を開ロック溝24a,25aから離脱させたときのロック機構21を示す正面図、図8は各ガイド溝24,25内でロックピン26,27が摺動しているときのロック機構21を示す正面図、図9は外周ロックピン27が閉ロック溝25bに到達したときのロック機構21を示す正面図、図10は外周ロックピン27が閉ロック溝25bに嵌り込んでいるときのロック機構21を示す正面図である。
キャノピー15が開位置にあるときには、図6に示すように、内周及び外周ロックピン26,27がそれぞれのガイド溝24,25の開ロック溝24a,25aに自重で嵌り込んでいる。このときの内周及び外周ロックピン26,27は支持バー10lの下端を左右から挟み込んでいるため、支持バー10lは左右何れへの傾動も規制されて直立姿勢に保持されている。このため右側の支持バー10rも直立姿勢に保たれ、キャノピー15が開位置に保持されている。
一方、キャノピー15が閉位置にあるときには、図10に示すように、外周ロックピン27が外周ガイド溝25の閉ロック溝25bに自重で嵌り込んでいる。この外周ロックピン27に対してダンパ19の付勢力を受けた支持バー10lが左斜め下方から当接し、これにより支持バー10lは直立姿勢への傾動を規制されて左方に傾動した姿勢に保持されている。このため右側の支持バー10rも左方に傾動した姿勢に保たれ、キャノピー15が閉位置に保持されている。
例えば、開位置のキャノピー15を閉位置に切り換えるには、まずロック解除操作として、ロックピンユニット23の把持部29を持って上方に操作する。ダンパ19の付勢力を受けた支持バー10lにより外周ロックピン27が右方に押圧されているため、ロックピンユニット23を移動させ難いときには支持バー10lを軽く左方に傾動操作する。
このようにしてロックピンユニット23が上方に操作されると、図7に示すように、内周及び外周ロックピン26,27が各開ロック溝24a,25a内から上方に離脱する。この状態で支持バー10lを左方に傾動操作すると、図8に示すように、内周及び外周ロックピン26,27はそれぞれのガイド溝24,25内を左方へと摺動する。
図9に示すように、外周ロックピン27が外周ガイド溝25の左端に到達した時点で、外周ロックピン27は自重で閉ロック溝25bに嵌り込む。そして支持バー10lから手を放すと、ダンパ19の付勢力により支持バー10lが外周ロックピン27に左斜め下方から当接し、キャノピー15の閉位置への切換が完了する。
また、このように閉位置に保持されたキャノピー15を開位置に切り換えるには、まず図9に示すようにロック解除操作として、ロックピンユニット23の把持部29を左斜め上方に操作する。このときにも外周ロックピン27に対する支持バー10lの押圧を解除するために、支持バー10lを軽く左方に傾動操作してもよい。これにより外周ロックピン27は閉ロック溝25b内から離脱し、図8に示すように、ダンパ19の付勢力を受けて支持バー10lが右方に傾動する。無論、このとき積極的に支持バー10lを傾動操作してもよい。
内周及び外周ロックピン26,27は各ガイド溝24,25内を右方へと摺動し、図6,7に示すように、それぞれのガイド溝24,25の右端に到達した時点で開ロック溝24a,25aに嵌り込み、キャノピー15の開位置への切換が完了する。
以上のように本実施形態のキャノピー開閉装置では、特許文献1の技術のようにキャノピー15を開位置や閉位置に切り換える際にロック機構のロック操作を必要としない。即ち、ダンパ19の付勢力や支持バー10lの傾動操作によりキャノピー15が開位置に到達すると、各ロックピン26,27が開ロック溝24a,25aに嵌り込んで支持バー10lの傾動を規制し、キャノピー15が自動的に開位置に保たれる。
同様に、支持バー10lの傾動操作によりキャノピー15が閉位置に到達すると、外周ロックピン27が閉ロック溝25bに嵌り込んで支持バー10lの傾動を規制し、キャノピー15が自動的に閉位置に保たれる。従って、簡単にキャノピー15を開閉操作でき、その操作性が極めて良好である。
加えて、ロック解除操作に関してはキャノピー15の不用意な切換を防止するために作業者の意図的な手動操作を要するが、その操作は、ロック機構21把持部29を操作するだけの簡単なものであり、この点も良好な操作性に大きく貢献している。
一方、以上の説明から明らかなように、キャノピー15の開閉のためにはロック機構21の把持部29に対するロック解除操作及び支持バー10lの傾動操作を要する。キャノピーの閉位置で運転席の直上にロック機構の操作レバーが位置する特許文献1の技術に対して、本実施形態では地表と運転席との間に形成された乗降経路の途中にロック機構21が配設されている。必然的に、ロック機構21のロックブラケット22に下端を軸支された支持バー10lも乗降経路の途中に位置している。
より詳しく位置関係を述べると、図1,2に示すように、乗車の際の作業者は地表から車体2の左側面に設けられた乗降ステップ7を登り、フロア8を経て運転席6に到達する。また降車時には、逆の経路を辿る。キャノピースタンド9上の左側に配設されたロック機構21及び支持バー10lは、このような乗降経路の途中、即ち乗降ステップ7を登り切った位置にある。このため、乗降ステップ7を立ち位置としてロック機構21の把持部29にも支持バー10lにも容易に手が届き、これらを操作することができる。
このため降車の際には、キャノピー15を開位置としたまま運転席6からフロア8を経て乗降ステップ7上まで移動し、この乗降ステップ7上でキャノピー15を閉位置に切換した後に地表に降りる。また乗車の際には、地表から乗降ステップ7に登り、乗降ステップ7上でキャノピー15を開位置に切り換えた後に、フロア8を経て運転席6に至る。何れの場合もキャノピー15が開位置に切り換えられて妨げられることなく乗降できるため、その乗降性を格段に高めることができる。
加えて本実施形態では、ロック機構21と支持バー10lの下端の軸支箇所とを共通のロックブラケット22に設けている。詳しくは、ロックブラケット22の一対のガイド面22cを前後に所定間隔をおいて配設し、それらのガイド面22cの間に支持バー10lの下端を配設して軸支している。さらに、各ガイド面22cに内周側及び外周側ガイド溝24,25と開ロック溝24a,25a及び閉ロック溝25bとを形成して、両ガイド溝24,25の間に架け渡すようにロックピンユニット23の内周及び外周ロックピン26,27をそれぞれ配設している。
このようにロック機構21及び支持バー10lの下端の軸支箇所が、単一のロックブラケット22に集約されている。従って、その構成が簡素化されて製造コストを低減できると共に、キャノピー開閉装置が全体としてコンパクト化されて、キャノピースタンド9上の他の機器に制約を与えることなく設置することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、タイヤローラ1のキャノピー開閉装置に具体化したが、他の転圧車両にも適用可能であり、例えばマカダムローラ等に適用してもよい。
また上記実施形態では、支持バー10r,10lの左方への傾動により開位置のキャノピー15を左方且つ下方に位置変位した閉位置に切り換えたが、キャノピー15の閉位置はこれに限るものではない。例えば図11に示すように、支持バー10r,10lを前方に傾動させてキャノピー15を前方且つ下方に位置変位させてもよい。この場合にも実施形態と同一のロック機構21を利用可能であり、その配置を直交方向に変更すればよい。
また上記実施形態では、左右一対の支持バー10r、10lにより単一の4節リンクとして変位機構18を形成したが、これに限るものではない。例えば、キャノピー15の四隅を計4本の支持バーで支持することにより、前後一対の4節リンクとして変位機構18を形成してもよい。
また上記実施形態では、ロック機構として、ガイド溝24,25内で摺動するロックピン26,27をロック溝24a,25a,25bに嵌め込んで、キャノピー15を開位置及び閉位置に保持するロック機構21を備えたが、本発明のロック機構はこれに限るものではない。開位置や閉位置にキャノピー15を保持できれば任意に変更可能であり、例えば、図12に示す別例のようにロック機構31を構成してもよい。
この別例では、ロックピンユニット23に代えて、支持バー10lの内部に圧縮バネ32により前方に突出するロックピン33を設けている。また、両ガイド面22cのガイド溝24,25及びロック溝24a,25a,25bに代えて、前側のガイド面22cに、キャノピー15の開位置及び閉位置でロックピン33の先端と対応する開ロック孔34及び閉ロック孔(不図示)を貫設している。
支持バー10lの傾動に伴いロックピン33の先端は前側のガイド面22c上を摺接し、キャノピー15が開位置に到達すると、圧縮バネ32によりロックピン33の先端が開ロック孔34に嵌り込んで支持バー10lの傾動を規制する。ロックピン33の先端を押圧して没入させれば、傾動規制が解除されて閉位置へと支持バー10lを傾動できる。閉位置についても同様であり、閉ロック孔へのロックピン33の嵌合により傾動規制される。このようにロック機構31を構成した場合でも、上記実施形態と全く同様の作用効果を達成できる。
1 タイヤローラ(転圧車両)
6 運転席
7 乗降ステップ
9 キャノピースタンド(ベース部材)
10r 支持バー
10l 支持バー
15 キャノピー
18 変位機構
21,31 ロック機構
22 ロックブラケット
22c ガイド面
24 内周ガイド溝
24a 開ロック溝
25 外周ガイド溝
25a 開ロック溝
25b 閉ロック溝
26 内周ロックピン
27 外周ロックピン
29 把持部(解除操作部材)

Claims (5)

  1. 車両のベース部材上に一対の支持バーの下部をそれぞれ軸支すると共に、前記各支持バーの上部をそれぞれキャノピーに軸支して4節リンクを形成し、前記各支持バーの下部の軸支箇所を中心とした傾動に応じて、前記車両の運転席に着座した作業者の頭上を覆う開位置と、前記開位置よりも高さが低められる閉位置との間で前記キャノピーを切換可能な変位機構と、
    前記変位機構により前記キャノピーが開位置に切り換えられたときに前記支持バーの傾動を規制して前記キャノピーを開位置に保持するロック溝、及び前記キャノピーが閉位置に切り換えられたときに前記支持バーの傾動を規制して前記キャノピーを閉位置に保持するロック溝を有する一方、前記開位置及び閉位置でのキャノピーの保持を解除操作する解除操作部材を有するロック機構と
    を備え、
    前記ロック機構と前記一方の支持バーの下端の軸支箇所とは、共通のロックブラケットに集約されて設けられ
    前記ロックブラケットは、地表と前記車両の運転席との間に形成された乗降経路の途中に配設されている
    ことを特徴とする転圧車両のキャノピー開閉装置。
  2. 前記車両は、側面に乗降ステップが設けられ、
    前記ロック機構は、前記乗降ステップ上を立ち位置として操作可能な位置に配設されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両のキャノピー開閉装置。
  3. 前記ロック機構は、前記支持バーの下部の軸支箇所に設けられ、該軸支箇所を中心とした円弧状をなすガイド溝と、前記支持バーの傾動に応じて前記ガイド溝内を摺動するロックピンとを有すると共に、前記ロック溝が、前記ガイド溝の端部から連続して下方に屈曲した形状をなし、前記キャノピーの前記開位置及び閉位置において、それぞれ前記ロックピンが自重で嵌り込んで前記支持バーの傾動を規制するように構成され
    前記解除操作部材は、前記解除操作として前記ロック溝内に嵌り込んだ前記ロックピンを上方に離脱可能なように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両のキャノピー開閉装置。
  4. 前記ロックブラケットは、前後に所定間隔をおいて一対のガイド面を配設してな
    前記支持バーの下部は、前記ロックブラケットの両ガイド面の間に配設されて軸支され、
    前記ロック機構のガイド溝及びロック溝は、前記各ガイド面にそれぞれ形成され、
    前記ロック機構のロックピンは、前記両ガイド溝の間に架け渡すように配設されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の転圧車両のキャノピー開閉装置。
  5. 前記変位機構は、前記車両を基準とした一側方に前記各支持バーを傾動させることにより、前記開位置のキャノピーを前記一側方且つ下方に位置変位させた前記閉位置に切換可能とされている
    ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両のキャノピー開閉装置。
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