JP6774248B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、外輪と内輪の間に複列に配置した複数の転動体が介装された転がり軸受を構成し、かかる転がり軸受をハウジングに収容したものである。例えば特許文献1および特許文献2に記載の如くである。
ところで、このような車輪用軸受装置は、外輪と内輪の間に形成される環状空間に泥水や砂塵、またはデフオイルが侵入すると、転動体等が破損して軸受寿命が短くなる。また、環状空間に封入されているグリースが漏出しても、転動体等が破損して軸受寿命が短くなる。このため、車輪用軸受装置は、泥水や砂塵、またはデフオイルの侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止すべく、環状空間を密封するシール部材(インナー側シール部材とアウター側シール部材)を備えている。
加えて、このような車輪用軸受装置は、ハウジングの穴に転がり軸受(以降「ベアリング」という)を圧入した後に、穴の内周に形成されたリング溝にスナップリングを嵌めて組み立てられる。しかし、かかる工程を経て完成される車輪用軸受装置においては、スナップリングを嵌める際に、このスナップリングを嵌めるための工具(プライヤなどである)がシール部材(アウター側シール部材)に接触して破損させてしまう場合があった。つまり、スナップリングの小孔に工具の先端を通し、スナップリングを把持しながらリング溝に嵌める工程において、工具の先端がシール部材(アウター側シール部材)に接触して破損させてしまう場合があったのである(図10参照)。そのため、スナップリングを嵌めた後でシール部材(アウター側シール部材)が破損しているか否かを確認する必要があり、工数やコストがかかっていた。
特開2009−208708号公報 特開2009−190655号公報
本発明は、スナップリングを嵌める際に工具の先端がシール部材に接触せず、シール部材を破損させてしまうことがない車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、本発明は、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に複列の外側転送面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、前記外輪と前記内輪のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複列の転動体と、前記外輪と前記内輪の間に形成される環状空間の両側開口部を塞ぐように配置されるシール部材と、でベアリングを構成するとともに、前記ベアリングを収容するハウジングと、前記ハウジングに前記ベアリングを掛止するスナップリングと、を備え、前記スナップリングには、その周方向一端部と周方向他端部との間に合口隙間が設けられ、前記スナップリングの周方向一端部と周方向他端部には、工具の先端が通される小孔がそれぞれ設けられ、前記ハウジングの穴に前記ベアリングを圧入した後に、前記小孔に先端が通された工具を用いて、前記穴の内周に形成されたリング溝に前記スナップリングを嵌めて組み立てられる車輪用軸受装置において、前記ベアリングのアウター側端部に取り付けられる保護具を具備するものとし、前記保護具は、前記シール部材のうちアウター側シール部材の一部又は全部を覆うことにより、前記スナップリングを嵌めるための前記工具の先端から前記アウター側シール部材を保護する、ものである。
本発明に係る車輪用軸受装置は、前記スナップリングが全収縮したときの内径寸法をAとし、前記保護具の外径寸法をBとし、前記ハウジングの内径寸法をCとし、前記スナップリングの径幅寸法をDとした場合、A<B<C−2Dの関係を満たす、ものである。
本発明に係る車輪用軸受装置は、前記保護具には、そのアウター側端面からインナー側へ向けて蓋部が設けられており、前記工具の先端は、所定の長さ寸法を有しており、前記蓋部の厚さ寸法をEとし、前記工具の先端の長さ寸法をFとした場合、E>Fの関係を満たす、ものである。
本発明に係る車輪用軸受装置は、前記保護具の内径寸法をGとし、前記ベアリングに挿通される車軸の外径寸法をHとした場合、G<Hの関係を満たす、ものである。
本発明に係る車輪用軸受装置は、前記保護具の外周にアウター側端面からインナー側へ向かうにつれて徐々に拡径していく傾斜面が形成されている、ものである。
本発明に係る車輪用軸受装置は、前記保護具には、その周方向一端部と周方向他端部との間に間隙が設けられている、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置は、ベアリングのアウター側端部に取り付けられる保護具を具備している。そして、保護具は、シール部材のうちアウター側シール部材の一部又は全部を覆うことにより、スナップリングを嵌めるための工具の先端からアウター側シール部材を保護している。これにより、本車輪用軸受装置は、スナップリングを嵌める際に工具の先端がアウター側シール部材に接触せず、アウター側シール部材を破損させてしまうことがない。ひいては、不良率が低減して信頼性が向上することとなる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、スナップリングが全収縮したときの内径寸法をAとし、保護具の外径寸法をBとし、ハウジングの内径寸法をCとし、スナップリングの径幅寸法をDとした場合、A<B<C−2Dの関係を満たしている。これにより、本車輪用軸受装置は、工具でスナップリングを把持しながらリング溝まで案内するのが困難となり、途中でスナップリングを拡張させてから工具で押してリング溝まで案内することとなるので、工具の先端がアウター側シール部材に接触せず、アウター側シール部材を破損させてしまうことがない。ひいては、更に不良率が低減して信頼性が向上することとなる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、保護具の厚さ寸法をEとし、工具の先端の長さ寸法をFとした場合、E>Fの関係を満たしている。これにより、本車輪用軸受装置は、工具でスナップリングを把持しながらリング溝まで案内するのが更に困難となり、途中でスナップリングを拡張させてから工具で押してリング溝まで案内することとなるので、工具の先端がアウター側シール部材に接触せず、アウター側シール部材を破損させてしまうことがない。ひいては、更に不良率が低減して信頼性が向上することとなる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、保護具の内径寸法をGとし、ベアリングに挿通される車軸の外径寸法をHとした場合、G<Hの関係を満たしている。これにより、本車輪用軸受装置は、インナー側から車軸を挿通すれば保護具が押し出されるので、保護具を取り外す工程が不要となって生産性が向上する。
本発明に係る車輪用軸受装置は、保護具の外周にアウター側端面からインナー側へ向かうにつれて徐々に拡径していく傾斜面が形成されている。これにより、本車輪用軸受装置は、スナップリングを全収縮若しくは全収縮に近い状態で保護具の外側を通し始めることができるので、スナップリングを嵌める作業が容易となって生産性が向上する。
本発明に係る車輪用軸受装置は、保護具の外周から内周までつながる間隙が設けられている。これにより、本車輪用軸受装置は、保護具の径方向への収縮および拡張についての弾性係数が小さくなるので、保護具を取り付ける作業および取り外す作業が容易となって生産性が向上する。
車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 保護具の形状を示す投影図。 スナップリングの形状を示す投影図。 車輪用軸受装置の組立順序を示す断面図。 スナップリングを嵌める工程を示す拡大断面図。 車輪用軸受装置の取付順序を示す断面図。 ベアリングに車軸を挿通する工程を示す拡大断面図。 従来の車輪用軸受装置においてスナップリングを嵌める工程を示す図。
図1から図5を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置1について説明する。図1は、車輪用軸受装置1の全体構成を示す断面図である。図2および図3は、車輪用軸受装置1の一部構造を示す拡大断面図である。また、図4は、保護具9の形状を示す投影図であり、図5は、スナップリング10の形状を示す投影図である。
車輪用軸受装置1は、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、ベアリング2と、ハウジング8と、保護具9と、スナップリング10と、で構成されている。
まず、ベアリング2について説明する。
ベアリング2は、外輪3と、一対の内輪4と、転動体5と、シール部材6(以降「インナー側シール部材6」とする)と、シール部材7(以降「アウター側シール部材7」とする)と、を具備する。なお、以下において、「一側」とは、車輪用軸受装置1の車体側、即ち、インナー側を表す。また、「他側」とは、車輪用軸受装置1の車輪側、即ち、アウター側を表す。
外輪3は、略円筒形状に形成されたSUJ2等の炭素0.95〜1.10wt%を含む高炭素クロム軸受鋼で構成されている。外輪3のインナー側端部には、封止面3aが形成されている(図2参照)。また、外輪3のアウター側端部には、封止面3bが形成されている(図3参照)。更に、外輪3の内周には、環状に外側転走面3cと外側転走面3dが形成されている。なお、外輪3はズブ焼き入れが施され、芯部まで硬化処理されている。外側転走面3cと外側転走面3dは、表面硬さが58〜64HRCの範囲である。
一対の内輪4は、それぞれコーン状に形成されたSUJ2等の炭素0.95〜1.10wt%を含む炭素鋼で構成されている。インナー側の内輪4のインナー側端部には、封止面4aが形成されている。また、アウター側の内輪4のアウター側端部には、封止面4bが形成されている。更に、一対の内輪4の外周には、それぞれ環状に内側転走面4cと内側転走面4dが形成されている。なお、一対の内輪4は、それぞれズブ焼入れが施され、芯部まで硬化処理されている。一対の内輪4は、表面硬さが62〜67HRCの範囲である。
転動体5は、外輪3と一対の内輪4の間に介装されているものである。転動体5は、インナー側の円錐ころ列5a(以降「一側円錐ころ列5a」とする)と、アウター側の円錐ころ列5b(以降「他側円錐ころ列5b」とする)と、を有している。一側円錐ころ列5aと他側円錐ころ列5bは、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。なお、一側円錐ころ列5aと他側円錐ころ列5bには、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。一側円錐ころ列5aは、図2に示すように、複数の円錐ころが保持器によって環状に保持されている。一側円錐ころ列5aは、外輪3に形成されている外側転走面3cと、それに対向するインナー側の内輪4の内側転走面4cと、の間に転動自在に収容されている。他側円錐ころ列5bは、図3に示すように、複数の円錐ころが保持器によって環状に保持されている。他側円錐ころ列5bは、外輪3に形成されている外側転走面3dと、それに対向するアウター側の内輪4の内側転走面4dと、の間に転動自在に収容されている。
インナー側シール部材6は、外輪3とインナー側の内輪4の間に形成される環状空間のインナー側端部を塞ぐように配置されるものである。図2に示すように、インナー側シール部材6は、円環状のスリンガ61と円環状のシールリング62で構成されている。
スリンガ61は、内輪4の封止面4aに圧入嵌合され固定されている。
スリンガ61は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。スリンガ61は、円環状の鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が略L字状に形成されている。これにより、スリンガ61は、円筒状の嵌合部61aと、その端部から外輪3に向かって延びる円板状の側板部61bと、が形成されている。嵌合部61aと側板部61bは、互いに垂直となっており、嵌合部61aは、内輪4の封止面4aに圧入嵌合され固定されている。また、側板部61bは、外輪3に向かって延び、その先端がシールリング62の嵌合部63aに近接している。
シールリング62は、外輪3の封止面3aに圧入嵌合され固定されている。シールリング62は、芯金63と弾性部材であるシールゴム64を有する。
芯金63は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金63は、円環状の鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が略L字状に形成されている。これにより、芯金63は、円筒状の嵌合部63aと、その一端から内輪4に向かって延びる円板状の側板部63bと、が形成されている。嵌合部63aと側板部63bは、互いに垂直となっており、嵌合部63aは、外輪3の封止面3aに圧入嵌合され固定されている。また、側板部63bは、内輪4に向かって延び、その先端がスリンガ61の嵌合部61aに近接している。なお、嵌合部63aと側板部63bには、弾性部材であるシールゴム64が加硫接着されている。
シールゴム64は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム64には、シールリップとして一つのラジアルリップ64aと二つのアキシアルリップ64b・64cが形成されている。ラジアルリップ64aは、油膜を介してスリンガ61の嵌合部61aに接触する。また、アキシアルリップ64b・64cは、油膜を介してスリンガ61の側板部61bに接触する。このようにして、インナー側シール部材6は、いわゆるパックシールを構成し、泥水や砂塵、またはデフオイルの侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止しているのである。
アウター側シール部材7は、外輪3とアウター側の内輪4の間に形成される環状空間のアウター側端部を塞ぐように配置されるものである。図3に示すように、アウター側シール部材7は、円環状のシールリング71で構成されている。
シールリング71は、外輪3の封止面3bに圧入嵌合され固定されている。シールリング71は、芯金72と弾性部材であるシールゴム73を有する。
芯金72は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金72は、円環状の鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面視で略L字状に形成されている。これにより、芯金72は、円筒状の嵌合部72aと、その一端から内輪4に向かって延びる円板状の側板部72bと、が形成されている。嵌合部72aと側板部72bは、互いに垂直となっており、嵌合部72aは、外輪3の封止面3bに圧入嵌合され固定されている。また、側板部72bは、内輪4に向かって延び、その先端が内輪4の封止面4bに近接している。なお、嵌合部72aと側板部72bには、弾性部材であるシールゴム73が加硫接着されている。
シールゴム73は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム73には、シールリップとして二つのラジアルリップ73a・73bが形成されている。ラジアルリップ73aは、油膜を介して内輪4の封止面4bに接触する。ラジアルリップ73aには、ガータスプリング74が嵌められており、ラジアルリップ73aと内輪4の封止面4bとの密封性を高めている。また、ラジアルリップ73bも、油膜を介して内輪4の封止面4bに接触する。このようにして、アウター側シール部材7は、泥水や砂塵、またはデフオイルの侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止しているのである。
次に、構成要素として含まれるハウジング8と保護具9とスナップリング10について説明する。
ハウジング8は、略円筒形状に形成されたFCD等の球状黒鉛鋳鉄で構成されている。ハウジング8には、そのアウター側端面からインナー側へ向けて大径の穴8aが設けられており、そのインナー側端部に小径の穴8bが設けられている。つまり、ハウジング8には、内径寸法が異なる穴8aと穴8bが軸方向に設けられており、これによって段差部分8c(図2参照)が形成されている。加えて、ハウジング8には、穴8aの内周にリング溝8d(図3参照)が形成されている。リング溝8dは、段差部分8cから所定寸法を離れた位置に形成されている。なお、穴8aと穴8bの内周面には、高周波焼入れが施され、表面硬さが13〜30HRCの範囲となるように硬化処理されている。
保護具9は、略円板形状に形成されたABS等の合成樹脂で構成されている。図4に示すように、保護具9には、そのアウター側端面からインナー側へ向けて大径の蓋部9aが設けられており、そのインナー側端部に小径の軸部9bが設けられている。つまり、保護具9には、外径寸法が異なる蓋部9aと軸部9bが軸方向に設けられており、これによって段差部分9cが形成されている。加えて、保護具9には、そのアウター側端面からインナー側端面まで貫通穴9dが形成されており、かつ外周から内周までつながる間隙9eが形成されている。なお、蓋部9aの外周には、アウター側端面からインナー側へ向かうにつれて徐々に拡径していく傾斜面9fが形成されている。
スナップリング10は、略円環形状に形成されたSK7等の工具鋼で構成されている。図5に示すように、スナップリング10には、外周から内周までつながる合口隙間10aが形成されている。そして、合口隙間10aをはさんで対向する両端部に小孔10b・10bが設けられている。そのため、スナップリング10は、それぞれの小孔10b・10bに通した工具11の先端11aを互いに近接させることにより、径方向に収縮するのである。なお、スナップリング10は、常に元の形状に戻るように弾性を有している。
次に、図6から図9を用いて、車輪用軸受装置1の組立順序と取付順序について詳細に説明する。図6は、車輪用軸受装置1の組立順序を示す断面図であり、図7は、スナップリング10を嵌める工程を示す拡大断面図である。また、図8は、車輪用軸受装置1の取付順序を示す断面図であり、図9は、ベアリング2に車軸12を挿通する工程を示す拡大断面図である。
まず、車輪用軸受装置1の組立順序について説明する。
図6の(A)は、ベアリング2のアウター側端部に保護具9を取り付ける工程である。つまり、ベアリング2の穴2aに保護具9の軸部9bを挿入することで、ベアリング2のアウター側端部に保護具9を取り付ける工程である。保護具9は、その段差部分9cがアウター側の内輪4のアウター側端面に当接するまで挿入される。
図6の(B)は、ハウジング8の穴8aにベアリング2を圧入する工程である。ベアリング2は、そのインナー側端面が段差部分8cに当接するまで圧入される。このとき、保護具9は、ベアリング2のアウター側端部に取り付けられた状態のままである。但し、ハウジング8の穴8aにベアリング2を圧入し、その後に保護具9を取り付けるとしてもよい。
図6の(C)は、ハウジング8のリング溝8dにスナップリング10を嵌める工程である。つまり、スナップリング10を適宜に収縮させながら保護具9の外側を通し、途中でスナップリング10を拡張させてから工具11で押してリング溝8dに嵌める工程である。スナップリング10は、回転軸Lに対して偏心したり傾いたりすることなく、保護具9の外周面に沿って案内される。
ここで、スナップリング10を嵌める工程について詳しく説明する。
まず、図7の(A)に示すように、スナップリング10を適宜に収縮させながら保護具9の外周にかける。このとき、スナップリング10の小孔10dから突き出ている工具11の先端11aは、後述する保護具9の傾斜面9fに当接する。
次に、図7の(B)に示すように、スナップリング10の小孔10dから工具11の先端11aを引き抜く。すると、スナップリング10は、自らの張力によって拡張し、ハウジング8の穴8aの内周面に接触する。
次に、図7の(C)に示すように、工具11の先端11aでスナップリング10を押していき、スナップリング10をリング溝8dに嵌める。なお、工具11の先端11aでスナップリング10を押すのではなく、スナップリング10を押すための専用工具を用いたほうが好ましい。
ところで、保護具9は、アウター側シール部材7を保護するという役割を有している。具体的に説明すると、図7に示すように、保護具9は、スナップリング10を嵌める工程で、スナップリング10を嵌めるための工具11の先端11aがアウター側シール部材7に接触するのを防ぎ、このアウター側シール部材7が破損しないように保護するという役割を有している。このため、保護具9は、蓋部9aが内輪4の封止面4bよりも径方向外側へ張り出し(図7の※印部参照)、アウター側シール部材7の一部を覆う形状となっているのである。但し、本車輪用軸受装置1のように、アウター側シール部材7の一部であるラジアルリップ73a・73bのみを覆うのではなく、蓋部9aの外径寸法Bを大径にしてラジアルリップ73a・73bを含む一帯を覆う形状となっていても良い。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、ベアリング2のアウター側端部に取り付けられる保護具9を具備している。そして、保護具9は、シール部材6・7のうちアウター側シール部材7の一部又は全部を覆うことにより、スナップリング10を嵌めるための工具11の先端11aからアウター側シール部材7を保護している。これにより、本車輪用軸受装置1は、スナップリング10を嵌める際に工具11の先端11aがアウター側シール部材7に接触せず、アウター側シール部材7を破損させてしまうことがない。ひいては、不良率が低減して信頼性が向上することとなる。
加えて、本発明に係る車輪用軸受装置1は、図6の(C)に示すように、スナップリング10が全収縮したときの内径寸法(ここでは径方向に最も収縮させたときの内径寸法を指す)をAとし、保護具9の外径寸法(ここでは蓋部9aの外径寸法を指す)をBとした場合、A<Bの関係を満たす。このようにすることで、スナップリング10を適宜に収縮して把持しながらリング溝8dまで案内するのが困難となる。なお、ハウジング8の内径寸法(ここでは穴8aの内径寸法を指す)をCとし、スナップリング10の径幅寸法(ここでは径方向に最も大きくなる部分の径幅寸法を指す)をDとした場合、B<C−2Dの関係を満たす必要がある。このようにして、穴8a(図6の(B)参照)の内側でスナップリング10を通していくのである。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、スナップリング10が全収縮したときの内径寸法をAとし、保護具9の外径寸法をBとし、ハウジング8の内径寸法をCとし、スナップリング10の径幅寸法をDとした場合、A<B<C−2Dの関係を満たしている。これにより、本車輪用軸受装置1は、工具11でスナップリング10を把持しながらリング溝8dまで案内するのが困難となり、途中でスナップリング10を拡張させてから工具11で押してリング溝8dまで案内することとなるので、工具11の先端11aがアウター側シール部材7に接触せず、アウター側シール部材7を破損させてしまうことがない。ひいては、更に不良率が低減して信頼性が向上することとなる。
更に加えて、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の厚さ寸法(ここでは蓋部9aの厚さ寸法を指す)をE(図4参照)とし、工具11の先端11aの長さ寸法をF(図5参照)とした場合、E>Fの関係を満たす。このようにすることで、スナップリング10を適宜に収縮して把持しながらリング溝8dまで案内するのが更に困難となる。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の厚さ寸法をEとし、工具11の先端11aの長さ寸法をFとした場合、E>Fの関係を満たしている。これにより、本車輪用軸受装置1は、工具11でスナップリング10を把持しながらリング溝8dまで案内するのが更に困難となり、途中でスナップリング10を拡張させてから工具11で押してリング溝8dまで案内することとなるので、工具11の先端11aがアウター側シール部材7に接触せず、アウター側シール部材7を破損させてしまうことがない。ひいては、更に不良率が低減して信頼性が向上することとなる。
次に、車輪用軸受装置1の取付順序について説明する。
図8の(A)は、ベアリング2の穴(内輪内径)2aに車軸12を挿通する工程である。車軸12は、その段差部分12aがベアリング2のインナー側端面に当接するまで挿通される。このとき、車軸12によって保護具9が押し出される。従って、かかる工程は、ベアリング2のアウター側端部から保護具9を取り外す工程でもある(図8の(A′)参照)。
図8の(B)は、車軸12の先端ネジ部12bにワッシャ13を嵌めるとともにナット14を締め付ける工程である。ナット14は、ワッシャ13を挟み込んだ状態で所定のトルクで締められる。
ここで、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の内径寸法(ここでは貫通穴9dの内径寸法を指す)をGとし、ベアリング2に挿通される車軸12の先端ネジ部12bの外径寸法(ここではベアリング2に挿通される部分の外径寸法を指す)をHとした場合、G<Hの関係を満たす。このようにすることで、インナー側から車軸12を挿通する際に、車軸12の先端面によって保護具9を押すこととなるので(図9の矢印P参照)、車軸12の挿通と同時に保護具9を取り外すことができる。これは、保護具9に貫通穴9dが設けられておらず、G=0であっても成立する。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の内径寸法をGとし、ベアリング2に挿通される車軸12の先端ネジ部12bの外径寸法をHとした場合、G<Hの関係を満たしている。これにより、本車輪用軸受装置1は、インナー側から車軸12を挿通すれば保護具9が押し出されるので、保護具9を取り外す工程が不要となって生産性が向上する。
以下に、本発明に係る車輪用軸受装置1における他の特徴点とその効果について説明する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の外周にアウター側端面からインナー側へ向かうにつれて徐々に拡径していく傾斜面9fが形成されている。このようにすることで、スナップリング10を全収縮若しくは全収縮に近い状態で保護具9の外側を通し始め、そこから傾斜面9fに沿って適宜に拡張させながらインナー側へ案内することができる(図7の(C)における矢印T参照)。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の外周にアウター側端面からインナー側へ向かうにつれて徐々に拡径していく傾斜面9fが形成されている。これにより、本車輪用軸受装置1は、スナップリング10を全収縮若しくは全収縮に近い状態で保護具9の外側を通し始めることができるので、スナップリング10を嵌める作業が容易となって生産性が向上する。
更に、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の外周から内周までつながる間隙9e(図4参照)が設けられている。このようにすることで、保護具9の径方向への収縮および拡張についての弾性係数が小さくなり、小さな力で保護具9を取り付けることができる。また、小さな力で保護具9を取り外すことができる(図9における矢印P参照)。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、保護具9の外周から内周までつながる間隙9eが設けられている。これにより、本車輪用軸受装置1は、保護具9の径方向への弾性係数が小さくなるので、保護具9を取り付ける作業および取り外す作業が容易となって生産性が向上する。
1 車輪用軸受装置
2 ベアリング
3 外輪
3c 外側転走面
3d 外側転走面
4 内輪
4c 内側転走面
4d 内側転走面
5 転動体
6 シール部材(インナー側シール部材)
7 シール部材(アウター側シール部材)
8 ハウジング
8a 穴
8b 穴
8c 段差部分
8d リング溝
9 保護具
9a 蓋部
9b 軸部
9c 段差部分
9d 貫通穴
9e 間隙
9f 傾斜面
10 スナップリング
10a 合口隙間
10b 小孔
11 工具
11a 先端
A スナップリングが全収縮したときの内径寸法
B 保護具の外径寸法
C ハウジングの内径寸法
D スナップリングの径幅寸法
E 保護具の厚さ寸法
F 工具の先端の長さ寸法
G 保護具の内径寸法
H 車軸の外径寸法

Claims (6)

  1. 内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、
    外周に前記複列の外側転送面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、
    前記外輪と前記内輪のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複列の転動体と、
    前記外輪と前記内輪の間に形成される環状空間の両側開口部を塞ぐように配置されるシール部材と、でベアリングを構成するとともに、
    前記ベアリングを収容するハウジングと、
    前記ハウジングに前記ベアリングを掛止するスナップリングと、を備え、
    前記スナップリングには、その周方向一端部と周方向他端部との間に合口隙間が設けられ、
    前記スナップリングの周方向一端部と周方向他端部には、工具の先端が通される小孔がそれぞれ設けられ、
    前記ハウジングの穴に前記ベアリングを圧入した後に、前記小孔に先端が通された工具を用いて、前記穴の内周に形成されたリング溝に前記スナップリングを嵌めて組み立てられる車輪用軸受装置において、
    前記ベアリングのアウター側端部に取り付けられる保護具を具備するものとし、
    前記保護具は、前記シール部材のうちアウター側シール部材の一部又は全部を覆うことにより、前記スナップリングを嵌めるための前記工具の先端から前記アウター側シール部材を保護する、ことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記スナップリングが全収縮したときの内径寸法をAとし、前記保護具の外径寸法をBとし、前記ハウジングの内径寸法をCとし、前記スナップリングの径幅寸法をDとした場合、A<B<C−2Dの関係を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記保護具には、そのアウター側端面からインナー側へ向けて蓋部が設けられており、
    前記工具の先端は、所定の長さ寸法を有しており、
    前記蓋部の厚さ寸法をEとし、前記工具の先端の長さ寸法をFとした場合、E>Fの関係を満たす、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記保護具の内径寸法をGとし、前記ベアリングに挿通される車軸の外径寸法をHとした場合、G<Hの関係を満たす、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記保護具の外周にアウター側端面からインナー側へ向かうにつれて徐々に拡径していく傾斜面が形成されている、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
  6. 前記保護具には、その周方向一端部と周方向他端部との間に間隙が設けられている、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
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