JP6772719B2 - 製鉄ダストの事前処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鉄工程で発生するダストを焼結工程でリサイクルするための製鉄ダストの事前処理方法に関する。
製鉄工程で発生するダストは一旦集積され、配合、混合されて、焼結機でリサイクルされている。このリサイクルされるダスト(以下、リサイクルダストとも記載)は微粉であり、少なからず焼結の生産性を低下させる影響がある。
そのため、従来より、ダストを事前造粒処理することで、生産性への影響を低減する方法が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、製鉄所で発生するダスト類と微粉鉄鉱石とを、高速回転と低速回転の撹拌型混合機を用いて2段階に分けて造粒することで、従来よりも大きな、粒径が数mmの焼結原料として有効な造粒物が得られることが開示されている。
特許文献2には、製鉄所で発生するダストをロータリードライヤーで乾燥造粒し、その乾燥度の調整によって造粒物粒度を調整し、他の焼結原料の粒度変動に合わせて、焼結原料全体の粒度を適正化する方法が開示されている。
特許文献3には、金属鉄を含有する製鉄ダストをシャフト炉等の製鉄原料として再利用するための塊成化方法として、事前養生(大気養生)等による脱水と造粒、塊成化後の金属鉄の酸化養生により、粒径5〜50mmの塊成化物を高歩留で得る方法が開示されている。
特開平1−312036号公報 特開平7−138660号公報 特開2011−149095号公報
しかしながら、前記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の技術では、造粒物の強度が十分ではなく、造粒や搬送の過程において、その一部が崩壊することから、生産性への影響を低減する効果が不十分であった。
特許文献2の技術では、乾燥によっても水分が10質量%前後残存しているため、造粒物の強度が十分ではなく、造粒や搬送の過程において、その一部が崩壊することから、生産性への影響を低減する効果が不十分であった。
特許文献3の技術で得られた粗粒の造粒物を焼結原料として用いた場合は、生産性への影響を低減する効果が不十分であった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、製鉄工程で発生するダストを焼結機でリサイクルした場合でも、焼結の生産性を確保しつつリサイクルすることが可能な製鉄ダストの事前処理方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る製鉄ダストの事前処理方法は、製鉄工程で発生するダストを焼結原料としてリサイクルするための製鉄ダストの事前処理方法において、
メタル鉄を5質量%以上含み、かつ、CaO及びCa(OH)のいずれか一方又は双方をCaO換算で5質量%以上含む前記ダストを、水分と共に造粒し、得られた造粒物のうち粒径7.5mm以上9.8mm以下の造粒物10個の圧壊強度の値から最大値と最小値を除いて平均して得られた圧壊強度が0.05MPa以上1.0MPa以下となるように前記得られた造粒物を酸化養生した後、該造粒物を他の焼結原料と共に焼結機に供給する。
本発明に係る製鉄ダストの事前処理方法において、前記平均して得られた圧壊強度が0.2MPa以上0.8MPa以下となるように前記造粒物を酸化養生することが好ましい。
本発明に係る製鉄ダストの事前処理方法において、前記酸化養生した後の前記造粒物のうち粒径3mm以上10mm以下の範囲内の予め設定した粒径を超えるものを、前記酸化養生した前記造粒物から除去した後、前記他の焼結原料と共に前記焼結機に供給することが好ましい。
本発明に係る製鉄ダストの事前処理方法は、メタル鉄を5質量%以上含むダストを水分と共に造粒し、この造粒物を酸化養生するので、酸化養生する過程でメタル鉄を酸化させて強度を発現させることができる。また、得られた造粒物のうち粒径7.5〜9.8mmの造粒物10個の圧壊強度の値から最大値と最小値を除いて平均して得られた圧壊強度が0.05〜1.0MPaとなるように、得られた造粒物を酸化養生するので、リサイクルするダストを未処理(未造粒)のまま使用する場合と比較して、焼結の生産性を改善できる。更に、上記したダストは、CaO及び/又はCa(OH)をCaO換算で5質量%以上含むので、酸化養生する過程での造粒物の強度を、安定して狙いの範囲に確保することが可能となる。
リサイクルダスト造粒物の強度及び粒径と焼結生産性との関係を検討した実験データを示すグラフである。 リサイクルダスト造粒物の酸化養生過程での圧壊強度の変化を示すグラフであり、ダストに含まれるメタル鉄の割合の影響を検討した実験データを示すグラフである。 リサイクルダスト造粒物の酸化養生過程での圧壊強度の変化を示すグラフであり、ダストに含まれるCaOの割合の影響を検討した実験データを示すグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
製鉄所(製鉄工程)で発生するダスト(製鉄ダスト)、例えば、高炉ダスト、集塵ダスト、ミルスケール、転炉ダスト等は、鉄源(焼結原料)としてリサイクルすることが志向されている。しかし、このリサイクルダストは、難造粒性であり、焼結の生産性を低下させることから、造粒物の強度を確保する造粒方法が必要となる。
本発明は、このダスト造粒物の強度をある範囲に確保する方法として、リサイクルダスト中に含まれるメタル鉄(金属鉄)の酸化作用を活用することで、焼結の生産性を改善できることの知見に基づくものである。
即ち、本発明の一実施の形態に係る製鉄ダストの事前処理方法は、ダスト中に、メタル鉄を5質量%以上確保し、かつ、CaO及び/又はCa(OH)をCaO換算で5質量%以上確保し、これに水分を添加しつつ(水分と共に)造粒し、得られた造粒物(ダスト造粒物)をその後、酸化養生する過程で、メタル鉄を酸化させて強度を発現させ、しかも、この強度を狙いの範囲に安定に維持させ、この造粒物の強度として、粒径7.5mm以上9.8mm以下の造粒物の圧壊強度を0.05MPa以上1.0MPa以下に確保(この圧壊強度となるように造粒物を酸化養生)し、この造粒物を他の焼結原料(例えば、鉄鉱石や返鉱、その他副原料等)と共に焼結機に供給することで、リサイクルダストを未処理(未造粒)のまま使用する場合に比較して、焼結の生産性を改善できる方法である。
以下、詳しく説明する。
焼結では、生産性確保のため、原料全体を水分調整しながら造粒を実施している。
また、焼結原料に製鉄工程で発生するダストを配合した場合、焼結の生産性が低下する。これは、ダストの造粒性が低位であり、造粒後も残存する微粉が増加するためである。
従って、ダストによる焼結の生産性への影響を軽減するためには、ダストのみを事前に適正な粒度に造粒することが有効と考えられるが、更にこれを他の焼結原料と共に造粒、あるいはコンベアによる搬送、焼結機への装入、を行う過程において、ダスト造粒物が崩壊しない強度が必要と考えられる。
本発明者らは、上記考えに基づき、ダストの事前処理における造粒物の粒径(粒度)や強度と、これを他の焼結原料に配合した場合の焼結生産性の関係について調査した。
また、ダストにはメタル鉄が含まれることから、造粒物の強度を確保し調整する方法として、このメタル鉄の酸化による結合作用を活用することとした。
即ち、ダスト配合における鉄分の調整、造粒条件、その後の酸化養生時間や、酸化に影響するCaO等の成分等によって、造粒物の強度を変化させ、これを他の焼結原料に配合した場合の焼結生産性を比較した。また、同時に、酸化養生における造粒物の強度発現挙動について、詳細に調査した。
<実験条件>
・配合
製鉄工程で発生する、高炉ダスト、集塵ダスト、ミルスケールに対し、メタル鉄を多量に含む転炉ダストの配合量を調整して、ダスト中のメタル鉄の割合を4質量%、5質量%、14質量%、30質量%に、それぞれ調整した。また、これらダスト中のCaOの割合が10質量%となるように調整した。なお、これらの配合調整したダストには、炭材も含まれていた。
・造粒
パドルミキサー(造粒機)を用い、水分を内数(内分:ダストと水分の質量も含んだ全質量に対する水分の質量)で12質量%に調整して、2分間造粒した。この造粒処理では、粒径が18mm以下(最大粒径が18mm)の造粒物を製造した。なお、本発明では、後述する造粒物の強度測定のため、粒径が7.5mm以上、好ましくは9.8mm以上のものを含む造粒物を製造すればよい。
・酸化養生
得られた造粒物をそのまま(有姿のまま)積層し、外気に蒸気を混合して通気しながら、酸化養生した。なお、養生時間は7〜240時間とした。
この酸化養生中に、随時サンプルを採取し、粒径7.5mm以上9.8mm以下の粒状の造粒物を選んで、この造粒物一個の圧壊強度を測定し、養生による造粒物の強度向上効果を確認した。このように、上記した粒径の造粒物を選んで圧壊強度を測定したのは、測定精度の向上(粒径の大きさによるバラツキの抑制)や測定のし易さに基づく。従って、後述するように、圧壊強度を測定した造粒物の一部又は全部が、焼結機に供給される造粒物から予め除去される場合もある。
なお、上記した粒径7.5mm以上9.8mm以下の造粒物とは、篩い目7.5mmの篩上で、かつ、篩い目9.8mmの篩下の造粒物である。
また、圧壊強度は、JIS Z 8841に則って測定し、得られた荷重の最大指示値を、造粒物の直径から計算した断面積で除して得られた値である。なお、造粒物の直径は、粒径7.5mmと粒径9.8mmの平均値である8.7mm(=(7.5mm+9.8mm)/2)を用いた。また、圧壊強度の値は、同一条件の試験を10回(10個について)実施し、その最大値と最小値を除いて平均して得られた値である。
同時に酸化養生の開始後、圧壊強度が0.05MPa、0.10MPa、0.20MPa、0.40MPa、0.80MPa、1.00MPa、1.50MPa、3.00MPaに到達した各条件のダスト造粒物を採取し、これらを他の焼結原料と混合し造粒して、鍋試験を実施した。
また、採取したダスト造粒物中の10mm、5mm、3mmの各粒径を超える粗粒部を除去して調整した造粒物を3種類用意し、上記した方法と同様、これらを他の焼結原料と混合し造粒して、鍋試験を実施した。
<造粒条件と鍋試験条件>
上記した各条件のダスト造粒物を他の焼結原料に、内数(ダスト造粒物と他の焼結原料の全質量に対するダスト造粒物の質量)で6質量%添加し、これをドラムミキサーで混合し造粒して、水分が内数(ダスト造粒物、他の焼結原料、及び、水分の全質量に対する水分の質量)で7質量%の焼成前の焼結原料とした。
この焼結原料を、直径300mmの焼成ポットに600mmの高さに積層し、ポット下部から空気を吸引することで、積層した原料層に通気し、原料層の上層からバーナーで点火して、その下層まで焼成した。
得られた焼成物を所定高さから数回落下させ、粒径5mm以上の焼成物の質量割合を歩留とし、焼成時間との積から焼結生産性を評価した。
更に、ダストを事前造粒しない(ダスト未処理の)場合、及び、焼結原料からダストを除去した(ダストカットの)場合の鍋試験を同様に実施し、焼結生産性を比較評価した。
<図1について>
図1は、鍋試験結果を示したものであり、酸化養生した造粒物から、粒径7.5mm以上9.8mm以下の造粒物を選定し、測定した造粒物の圧壊強度(造粒物強度)を横軸として、生産性指数を比較したものである。
ここで、生産性指数とは、ダストを事前造粒しないまま他の焼結原料と共に混合し造粒して、鍋試験を行った場合の焼結生産性を分母とし、前記した各条件で得られた鍋試験の焼結生産性との比をとったものであり、事前造粒による生産性改善の比率を示したものである。
また、図1中の「有姿」とは、ダストを造粒して酸化養生した造粒物をそのまま用いた場合(粗粒分やダストを除去していない造粒物)の結果を示しており、「−10mm」、「−5mm」、及び、「−3mm」とはそれぞれ、酸化養生した造粒物から、10mm、5mm、3mmの各粒径(直径)を超える粗粒部を除去した場合の結果を示している。
<結果>
いずれのダスト造粒物の粒度条件においても、強度の上昇に伴って生産性が改善する一方で、約0.80MPaを超える強度においては、生産性の改善代が低下する傾向となり、更に約1.5MPa以上の強度では、改善が見られない結果となった。
これは、1)微粉であるダストを事前造粒することで、造粒後の原料中に残存する微粉の量を低減でき、通気性の改善から生産性が改善されるが、一方で造粒物の強度が過大になると融液形成に影響する炭材が粗粒内に封じ込められ、これが融液形成に活用されず、また、2)原料粒子が密に充填され高強度の造粒物内の通液性が低下して、融液が造粒物内に浸透し難いとも推定され、これにより歩留が低下するためである。
これらの結果から、ダスト造粒物の強度として、0.05MPa以上1.00MPa以下を確保する必要性が判明した。
一方、造粒物中の粗粒部を除去した場合、規定した強度のほぼ全領域において、生産性が改善される傾向が見られる。これも、粗大粒ほど融液形成の成分を封じ込める作用が強くなるため、これを除去してより小さい造粒物の割合を増やすことで、歩留が改善されるためと推定される。
本検討においては、10mm(◆)、5mm(●)、3mm(■)の各粒径を超える造粒物を除去したいずれの条件においても、生産性の改善が確認された。このため、得られた(酸化養生した後の)造粒物のうち、粒径3mm以上10mm以下の範囲内の予め設定した粒径を超えるものを、酸化養生した造粒物から除去した後、この造粒物を他の焼結原料と共に焼結機に供給することが好ましい。
更に、焼結原料からダストをカットした場合の生産性指数は1.15程度であったが、圧壊強度が0.20MPa以上0.80MPa以下では、これを超える生産性指数が確認された。このため、更に圧壊強度を0.20MPa以上0.80MPa以下に調整することが好ましい。
<図2について>
図2は、生産性改善に必要なダスト造粒物の強度を確保する条件を検討した結果を示すものである。
ここでは、前記した通り、各配合のダストを、水分を内数で12質量%に調整し造粒した後、そのまま(有姿で)積層し、これに蒸気を混合した空気を通気しながら養生を開始した。
メタル鉄の割合が4質量%(▲)の条件では、酸化養生時間が経過しても圧壊強度の向上は見られないが、メタル鉄の割合が5質量%(■)、14質量%(◆)、30質量%(●)の各条件では、酸化養生時間の経過に伴い、造粒物の圧壊強度が上昇した。
なお、前述した0.05〜1.0MPaの圧壊強度を確保する条件は、メタル鉄の割合が5質量%においては、酸化養生時間50時間程度以上が必要である。
また、メタル鉄14質量%の場合では、酸化養生時間10時間程度で圧壊強度が0.05MPaに達するが、一方で圧壊強度が1.0MPaを超過しないように調整するためには、酸化養生時間を200時間程度以内にする必要がある。
同様にメタル鉄が30質量%の場合では、数時間の酸化養生で圧壊強度が0.05MPaに達し、1.0MPa以内とするための養生時間は70時間程度にする必要がある。なお、最終的には240時間で3.0MPa近くに達した。
以上の造粒物の強度向上は、リサイクルダストに含まれるメタル鉄が酸化養生時に酸化する際に、酸化鉄結合網が形成される作用であるが、メタル鉄5質量%未満では結合網の形成が不完全であり、強度が向上しないと考えられる。
この結果から、リサイクルダストに含まれるメタル鉄の割合は、5質量%以上(更には、10質量%以上)必要である。なお、ダストに含まれるメタル鉄の割合の上限値については、特に限定していないが、製鉄工程で発生するダストを利用することから、例えば、50質量%程度である。
<図3について>
図3は、生産性改善に必要なダスト造粒物の強度を安定に確保する条件を検討した結果を示すものである。
ここでは、前記した製鉄所で発生するダストを配合して、メタル鉄の割合を14質量%に調整し、更にCaOの割合を、3質量%、5質量%、10質量%、20質量%にそれぞれ調整した、合計4種類のダストを用意した。そして、この各配合のダストを、水分を内数で12質量%に調整し造粒した後、そのまま(有姿で)積層し、これに蒸気を混合した空気を通気しながら養生を開始した。
なお、図3には、圧壊強度の平均値に対するバラツキの範囲をエラーバーで示した。
また、図3の横軸に示す酸化養生時間の0〜20時間の範囲にあるプロットは全て7時間の条件であり、プロットの重なりを避けるため、便宜上、横軸方向の異なる位置にプロットを記載した。同様に、酸化養生時間の20〜40時間の範囲にあるプロットは全て24時間、40〜60時間の範囲にあるプロットは全て48時間、60〜80時間の範囲にあるプロットは全て72時間、90〜110時間の範囲にあるプロットは全て96時間、の条件である。
メタル鉄の割合が14質量%の条件では、酸化養生時間の経過に伴い、造粒物の圧壊強度が顕著に上昇したが、ダスト中のCaO割合によって上昇挙動に差異がみられた。
即ち、CaOの割合が3質量%(×)の条件では、全体的に強度上昇は速いものの、バラツキ(変動幅)が大きく、造粒物全体を狙いの強度範囲に確保するには、養生時間を30時間前後に厳密に管理せねばならず、取扱いが困難であった。
また、CaOの割合が5質量%(■)の条件では、上記条件と同様に強度上昇は速いものの、バラツキは少なくなっており、養生時間25〜75時間の比較的広い範囲において、造粒物全体の強度を狙いの範囲に確保することが可能となった。
更に、CaOの割合が10質量%(●)と20質量%(▲)の各条件では、強度の上昇が比較的緩慢となったが、バラツキは無く安定した強度となり、養生時間24〜100時間(100時間超)において、造粒物全体を狙いの強度範囲に確保できる結果となった。
CaOの配合割合に応じて強度発現に差異が生じる原因は、CaOが消石灰となって一部溶解し、メタル鉄の酸化が抑制されるためと考えられる。また、CaOの配合割合の増大に伴い、バラツキが低減されるのは、急激な酸化反応を抑えることで、造粒物全体に均一な酸化反応が進行するようになるためと推定される。
なお、CaOに代えてCa(OH)を用いた場合でも、同様の効果が得られることが確認された。
これらの結果から、ダスト中のCaO又は/及びCa(OH)の合計量をCaO換算で5質量%以上に確保することを規定した。このCaO換算の割合を確保するためには、各種ダストに含まれるCaOとCa(OH)の割合を勘案し、配合によって調整する方法や、新たにCaOとCa(OH)を添加して調整する方法を採ることができる。
なお、CaO換算の割合の上限は特に定めないが、メタル鉄の割合確保の観点から30質量%程度が上限である。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の製鉄ダストの事前処理方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
製鉄工程で発生するダストには、前記した、高炉ダスト、集塵ダスト、ミルスケール、及び、転炉ダストのいずれか1又は2以上を使用できるが、ダストに含まれるメタル鉄の割合を5質量%以上、かつ、CaO及び/又はCa(OH)をCaO換算で5質量%以上にでき、製鉄工程で発生するダストであれば、他のダストが含まれてもよい。
更に、酸化養生方法として、造粒物を積層したものに水蒸気を混合した外気(空気)を通気する方法を例示したが、本発明はこの形態に限らない。例えば、造粒物を積層したものを大気中で放置して養生する、単なる空気の通気等であって、メタル鉄が酸化する方法であれば、採用できる。

Claims (3)

  1. 製鉄工程で発生するダストを焼結原料としてリサイクルするための製鉄ダストの事前処理方法において、
    メタル鉄を5質量%以上含み、かつ、CaO及びCa(OH)のいずれか一方又は双方をCaO換算で5質量%以上含む前記ダストを、水分と共に造粒し、得られた造粒物のうち粒径7.5mm以上9.8mm以下の造粒物10個の圧壊強度の値から最大値と最小値を除いて平均して得られた圧壊強度が0.05MPa以上1.0MPa以下となるように前記得られた造粒物を酸化養生した後、該造粒物を他の焼結原料と共に焼結機に供給することを特徴とする製鉄ダストの事前処理方法。
  2. 請求項1記載の製鉄ダストの事前処理方法において、前記平均して得られた圧壊強度が0.2MPa以上0.8MPa以下となるように前記造粒物を酸化養生することを特徴とする製鉄ダストの事前処理方法。
  3. 請求項1又は2記載の製鉄ダストの事前処理方法において、前記酸化養生した後の前記造粒物のうち粒径3mm以上10mm以下の範囲内の予め設定した粒径を超えるものを、前記酸化養生した前記造粒物から除去した後、前記他の焼結原料と共に前記焼結機に供給することを特徴とする製鉄ダストの事前処理方法。
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