JP4805592B2 - コークスブリケットの製造方法および該方法によって製造されるコークスブリケット - Google Patents

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Description

本発明は、コークスブリケットの製造方法および該方法によって製造されるコークスブリケットに関する。
電気製錬炉等の高炉型冶金炉または高炉などにおいては、還元剤としてコークスが用いられている。上記のような鉛直方向に比較的高く延びるタイプの炉では、炉内に装入される製錬素材とコークスとの間で通風性を確保するために、たとえば径が10〜30mm程度の塊状のコークスが用いられる。塊状コークスには、炉内で通風性を確保し得る適度の大きさと、炉内に装入される製錬素材とコークスとの重さに耐え得る強度とが必要とされる。このような特性を備える塊状コークスは、極めて多くの需要があるにも関らず、需要量に対して供給量が追随していないので、入手が困難な状況にある。
一般的に、塊状コークスは、炉内へ装入されるまでに重機などで取扱われ、またコンベア等で搬送されるので、その途上において、小塊に損壊するものもあり、また機器との摺擦およびコークス同士の摺擦によって粉コークスを発生させる。ここでは、これらの小塊コークスと粉コークスとを含めて粉粒状コークスと総称する。
上記のように塊状コークスは入手が困難なので、一つの手段として安価で容易に入手できる粉粒状コークスを塊状コークスに代えて用いることが考えられる。しかしながら、粉粒状コークスを用いると、炉内の通風性が悪くなるので炉況が悪化するとともに、集塵および酸化消耗によりコークス原単位が悪くなるという問題がある。
そこで従来、粉粒状コークスを塊状化して有効利用する試みがなされている。たとえば、粉粒状コークスに、硬化剤としてセメントと微粉鉄鉱石またはガラスのいずれか一方または両方を配合して転動造粒する方法が提案される(特許文献1参照)。また粉粒状コークスに、結合剤として転炉スラグを添加する方法が提案される(特許文献2参照)。
粉粒状コークスを製団して得られるコークスブリケットは、製団後養生または乾燥されるまでの間にも重機で取扱われ、コンベア等で搬送されるので、これらの取扱いおよび搬送時に損壊しないように製団後の初期強度が必要とされる。また炉内へ装入され、たとえば700〜800℃の高温に曝される製錬時においても、損壊せずに炉内通風性を確保するための熱間強度も必要とされる。
本発明者らの調査によれば、特許文献1および特許文献2に開示される方法によって製造されるコークスブリケットは、特に初期強度が充分ではないという問題がある。
特開平6−299177号公報 特開2000−290663号公報
本発明の目的は、初期強度と熱間強度との両方に優れるコークスブリケットの製造方法および該方法によって製造されるコークスブリケットを提供することである。
本発明は、粉粒状コークスと、ベントナイトと、粘結剤とを混合する混合工程と、
混合工程において混合された混合物を混練する混練工程と、
混練工程において混練された混練物をブリケットに製団する製団工程と、
製団されたブリケットを養生する養生工程とを含み、
ベントナイト6〜10重量%を用い、結合剤としてデンプン1〜3重量%を用いるかまたはデンプンとパルプ廃液とを両者の合計が1〜3重量%となるよう用いることを特徴とするコークスブリケットの製造方法である。
また本発明は、粉粒状コークスと、ベントナイトと、粘結剤とを混合する混合工程と、
混合工程において混合された混合物を混練する混練工程と、
混練工程において混練された混練物をブリケットに製団する製団工程と、
製団されたブリケットを強制乾燥する乾燥工程とを含み、
ベントナイト6〜10重量%を用い、結合剤としてデンプン1〜3重量%を用いるかまたはデンプンとパルプ廃液とを両者の合計が1〜3重量%となるよう用いることを特徴とするコークスブリケットの製造方法である。
また本発明は、前記いずれかの製造方法によって製造されることを特徴とするコークスブリケットである。
本発明によれば、粉粒状コークスに、ベントナイトと粘結剤とを混合し、さらに混練し、混練物をブリケットに製団して養生することによって、初期強度と熱間強度との両方に優れたコークスブリケットを製造することができる。
また本発明によれば、粉粒状コークスに、ベントナイトと粘結剤とを混合し、さらに混練し、混練物をブリケットに製団して強制乾燥することによって、初期強度とさらなる熱間強度とに優れたコークスブリケットを製造することができる。
た、ベントナイトと粘結剤とを好適範囲に含有させるので、初期強度と熱間強度とに一層優れたコークスブリケットを製造することができる。
た、粘結剤として、デンプンまたはデンプンとパルプ廃液とを用いるので、優れた初期強度を有するコークスブリケットを得ることができる。
本発明は、電気製錬炉等の高炉型冶金炉または高炉などの竪型炉の操業において還元剤として用いられるコークスブリケットの製造方法であって、粉粒状コークスと、ベントナイトと、粘結剤とを混合する混合工程と、混合工程において混合された混合物を混練する混練工程と、混練工程において混練された混練物をブリケットに製団する製団工程と、製団されたブリケットを養生する養生工程とを含むことを特徴とするコークスブリケットの製造方法である。
粉粒状コークスは、前述のように小塊コークスと粉コークスとを含み、おおよそ粒径が10mm未満のものが用いられる。
結合剤として用いられるベントナイトは、混合物全体に対して重量%以上含有されることが好ましい。ベントナイトは、コークスブリケットが炉内に装入されて700〜800℃の高温に曝されるときに熱間強度を発現するために含有される。ベントナイトの含有量が重量%未満では、充分な熱間強度が得られない。一方、ベントナイトの含有量の上限は、特に限定されるものではないけれども、ベントナイトが比較的高価格であり、また過剰に含有すると肝心のコークスの還元作用が低減されるので、10重量%以下に設定される。
粘結剤は、コークスブリケットが製団された後、養生または乾燥されるまでの間の強度である初期強度を発現するために含有される。粘結剤としては、デンプン単独またはデンプンとパルプ廃液とを複合したものが好適に用いられる。ここで、パルプ廃液とは、木材チップまたは廃紙を薬剤で蒸解してパルプを製造する際に発生する廃液を言う。
粘結剤は、混合物全体に対して1〜3重量%含有されることが好ましい。含有量が1重量%未満では、充分な初期強度を得ることができない。含有量が3重量%を超えると、熱間強度を低下させる。粘結剤は、700〜800℃の高温では燃焼して消失するので、コークスブリケットにおける粘結剤の充填部分が空所になる。したがって、粘結剤が過剰に含有されると、高温に曝されたとき、コークスブリケットの空所部分の容積が増大するので、熱間強度が低下する。したがって、粘結剤の好ましい含有量を、1重量%以上3重量%以下とした。
混合工程では、前述した好適範囲の含有量になるように計量されたベントナイト、粘結剤および粉粒状コークスが、たとえばアイリッヒミキサーで混合され、混合物に生成される。混練工程では、混合工程で生成された混合物が、たとえばミックスマーラー(浸透工業製)などの混練機によって混練される。
製団工程では、混練工程で生成された混練物が、たとえば加圧ロール型製団機などの製団機によってブリケットに製団される。製団されるブリケットの大きさを例示すると、たとえば30mm×30mm×12mmのひし形である。養生工程において、製団されたブリケットが養生される。
なお、養生工程に代えてまたは養生工程の後に、製団されたブリケットを熱風乾燥機などによって、強制乾燥する乾燥工程を実行することも本発明の態様に含まれる。強制乾燥することによって、コークスブリケットの含有水分を一層低減することができるので、熱間強度をさらに向上することができる。
以下本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
本実施例1では、ベントナイトおよび粘結剤であるデンプンまたはデンプンとパルプ廃液との含有量が種々に異なるコークスブリケットを作製し、作製したコークスブリケットの特性を評価した。
(混合物の材料)
粉粒状コークスとしては、粒径が10mm未満の大きさのものの混入率が95重量%であるものを使用した。ベントナイトは、7号品を使用し、混合物全体に対する含有量を3〜10%の範囲で変化させた。デンプンは、混合物全体に対する含有量を0〜3%の範囲で変化させた。またデンプンとパルプ廃液との複合については、混合物全体に対する含有量を、デンプン2重量%とパルプ廃液1重量%との組合せ、デンプン1重量%とパルプ廃液2重量%との組合せとした。
(混合)
上記の材料を各組成比になるように準備し、アイリッヒミキサーで3分間それぞれ混合した。
(混練)
混合工程で生成された混合物を、ミックスマーラーで3分間混練した。
(製団)
混練工程で生成された混練物を、加圧ロール型製団機で、30mm×30mm×12mmサイズのひし形形状を有するブリケットに製団した。
(養生)
製団したブリケットを、3日間、天日乾燥して養生した。
(乾燥)
製団したブリケットを、温度を60℃に設定した熱風乾燥機で10時間かけて強制乾燥した。
なお、本実施例では、養生または強制乾燥のいずれか一方の方法で、製団したブリケットの水分除去を行った。
(評価方法)
(a)初期強度:加圧ロール製団機から搬出されたブリケットのサンプルを5kgf採取し、初期強度の指標である塊状率を求めた。ここで、塊状率とは、採取したサンプル5kgfを篩いにかけ、大きさが5mm以下である粒子の重量w[kgf]を測定し、該重量wを用いて式(1)で得られる百分率を言う。
塊状率[%]=100×(1−w/5) …(1)
塊状率の大きい方が、初期強度に優れると評価した。
(b)圧壊強度:養生または強制乾燥後のコークスブリケットを、圧縮強度試験機(島津製作所製)にて破壊試験し、圧壊強度を測定した。圧壊強度は、10個のコークスブリケットについて測定し、10個の算術平均値をその試片ブリケットの圧壊強度値とした。測定された圧壊強度が、40kgf/cmを超えるものについて、特性が良好と評価した。
(c)熱間強度:養生または強制乾燥後のコークスブリケットを5kgf採取し熱間強度の指標である対崩壊率を求めた。ここで、対崩壊率とは、採取して容器に入れたサンプル5kgfを、700℃の炉内に入れて30分間保持した後、取出して自然放冷し、この放冷したサンプル全量を篩いにかけ、大きさが10mm以下である粒子の重量wb[kgf]を測定し、該重量wbを用いて式(2)で得られる百分率を言う。
対崩壊率[%]=100×(1−wb/5) …(2)
対崩壊率の大きい方が、熱間強度に優れると評価した。なお、対崩壊率90%超えを熱間強度の品質目標値とした。
(試験結果)
混合物生成材料の配合比および試験結果を合わせて表1に示す。ベントナイトが5重量%以上およびデンプンが1〜3重量%の範囲で含有されるコークスブリケット、またベントナイトが5重量%以上およびデンプンとパルプ廃液との合計量が3重量%含有されるコークスブリケットは、初期強度、圧壊強度および熱間強度のいずれにおいても優れた特性を有する。
一方、デンプンまたはデンプンとパルプ廃液とのいずれをも含有しないコークスブリケットは、初期強度が劣るという結果であった。またベントナイトの含有量が5重量%未満のコークスブリケットでは、圧壊強度および熱間強度が劣るという結果であった。
[実施例2]
本実施例2では、還元剤として、本発明のコークスブリケットと塊状コークスとを混在(コークスブリケットの混在率が約30重量%)させたものと、塊状コークス100%のものとを使用して製鋼工程で発生する副生品の電気製錬を行った。各製錬チャージ毎に硫黄(S)の分析を行い、該分析値によって還元度合いを比較した。還元度合いは、脱硫度合いによって推定できるので、Sの分析を行うことによって、還元の度合いを知ることができる。
(コークスブリケット)
配合割合が、粉粒状コークス;90重量%、ベントナイト;8重量%、デンプン;2重量%、すなわち表1に示す試験番号5のコークスブリケットを使用した。
(塊状コークス)
塊状コークスとして、6mm以下の粒径の含有比;3重量%、6mm超え15mm以下の粒径の含有比;62重量%、15mm超えの粒径の含有比;35重量%のものを使用した。
(原料ブリケット)
製鋼工程の副生品である原料ブリケットとして、表2に示すものを使用した。
(電気製錬)
原料ブリケットとコークスとを、ゼータベルグ型の電気抵抗炉へ装入し、電気製錬を行い、溶湯からSを分析した。
(試験結果)
コークス投入量の内訳と、Sの分析結果とを合わせて表3に示す。表3に示すように、本発明のコークスブリケットを約30重量%混在させた場合でも、塊状コークス100%の場合とS分析値に全く差異がなく、還元度合いに差がなかった。またコークス原単位も同等であった。このことから、本発明のコークスブリケットは、充分に塊状コークスの代替が可能である。
以上に述べたように、本実施の形態では、製団後、養生または強制乾燥を行うけれども、これに限定されることなく、養生と強制乾燥とを重ねて実施しても良い。

Claims (3)

  1. 粉粒状コークスと、ベントナイトと、粘結剤とを混合する混合工程と、
    混合工程において混合された混合物を混練する混練工程と、
    混練工程において混練された混練物をブリケットに製団する製団工程と、
    製団されたブリケットを養生する養生工程とを含み、
    ベントナイト6〜10重量%を用い、結合剤としてデンプン1〜3重量%を用いるかまたはデンプンとパルプ廃液とを両者の合計が1〜3重量%となるよう用いることを特徴とするコークスブリケットの製造方法。
  2. 粉粒状コークスと、ベントナイトと、粘結剤とを混合する混合工程と、
    混合工程において混合された混合物を混練する混練工程と、
    混練工程において混練された混練物をブリケットに製団する製団工程と、
    製団されたブリケットを強制乾燥する乾燥工程とを含み、
    ベントナイト6〜10重量%を用い、結合剤としてデンプン1〜3重量%を用いるかまたはデンプンとパルプ廃液とを両者の合計が1〜3重量%となるよう用いることを特徴とするコークスブリケットの製造方法。
  3. 前記請求項1または2に記載の製造方法によって製造されることを特徴とするコークスブリケット。
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