JP6769849B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話機などの各種の電子機器の表示装置として好適に実施することができる液晶表示装置に関する。
従来から、アクティブマトリクス型液晶表示装置において、黒表示時の液晶表示パネルの光透過率が極小にならず、表示品位の高いノーマリブラックの黒レベルが得られない、いわゆる黒浮きの問題を解決する技術が求められている。
このような問題を解決する従来技術は、たとえば特許文献1に記載されている。この従来技術では、一対の基板の外面にそれぞれ1/4波長板と直線偏光板とを設け、一対の基板のうち少なくとも一方の基板において、1/4波長板と直線偏光板との間に複屈折素子が設けられる。複屈折素子は、平面内で互いに直交する方位角方向の屈折率をnx,ny、厚さ方向の屈折率をnz、複屈折率をΔnとしたとき、nx>ny、Δn=nz−nyの関係を満足し、複屈折素子の厚みをdとしたとき、80nm≦Δn・d≦180nmの関係を満足するように、複屈折率Δnを含む位相差Δn・d(=(nz−ny)・d)を制御することによって、斜め方向での黒浮きを抑制している。
特開2005−300736号公報
上記の特許文献1に記載されている従来技術は、厚み方向(z方向)の複屈折率を含む位相差Δn・d(=(nz−ny)・d)を制御する垂直配向(Vertical Alignment;略称VA)制御型の液晶表示装置を対象としている。垂直配向制御型の液晶表示装置は、初期配向状態の液晶分子の配向方向が各基板の表面と垂直(垂直配向)であり、従来技術は、電界印加によって液晶分子を傾けて液晶の複屈折率Δnを変化させて透過光が変化する液晶表示装置についての斜め方向での黒浮きを改善する技術を提案するものであり、複屈折制御(Electrically Controlled Birefringence;略称ECB)型の液晶表示装置に対する黒浮きを防止する技術については、提案されていない。
複屈折制御型の液晶表示装置では、液晶層に電界を印加しない状態(初期配向状態)で液晶分子が基板の表面と平行であり、この液晶層に印加する電界を徐々に高くすると、ある閾値電界を超えたときに、液晶分子が基板の表面に対して徐々に立ち上がり始め、高電圧で分子配向方向が基板の表面に対して垂直になる動作モードで駆動される。このような複屈折制御型の液晶表示装置においても、上記の垂直配向制御型の液晶表示装置と同様に、黒浮きを抑制する技術が求められている。
本発明の目的は、ノーマリブラックで表示を行う複屈折制御型の液晶表示装置において、表示品位の高い黒レベルを実現して黒浮きを抑制することができる液晶表示装置を提供することである。
本発明は、ノーマリブラックで表示を行う複屈折制御型の液晶表示装置であって、
液晶層を有するとともに、表示面側から入射して前記液晶層を通過した光を反射する光反射部を有する液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの前記表示面側に配置される第1の偏光板と、
前記液晶表示パネルと前記第1の偏光板との間に、前記第1の偏光板の側から順に設けられる第1の1/4波長板および第2の1/4波長板と、を備え、
前記液晶層は、その位相差が前記第2の1/4波長板の位相差よりも小さく、
前記第2の1/4波長板は、その遅相軸が電界無印加時の液晶分子の配向軸と直交しており、
前記第1の1/4波長板の遅相軸と前記第2の1/4波長板の前記遅相軸とが交差していることを特徴とする液晶表示装置である。
また本発明は、前記第1の1/4波長板の遅相軸と、前記第2の1/4波長板の遅相軸とは、5°以上25°以下の第1の交差角度で交差していることを特徴とする。
また本発明は、前記液晶表示パネルは、反表示面側から入射した光を、前記液晶層を透過させる光透過部を有し、
前記液晶表示パネルの前記反表示面側に配置される第2の偏光板と、
前記液晶表示パネルと前記第2の偏光板との間に配置される第3の1/4波長板と、をさらに備え、
前記第3の1/4波長板の遅相軸と前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とが交差していることを特徴とする。
また本発明は、前記第3の1/4波長板の前記遅相軸と、前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とは、95°以上115°以下の第2の交差角度で交差していることを特徴とする。
また本発明は、前記光透過部の位相差は、前記光反射部の位相差よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、ノーマリブラックで表示を行う複屈折制御型の液晶表示装置において、第2の1/4波長板は、その遅相軸が電界無印加時の液晶分子の配向軸と直交していることによって、液晶層の位相差を打ち消す。これによって、第2の1/4波長板および液晶層は、第1の1/4波長板から出射した円偏光に対して位相差の変化、すなわち偏光の変化が互いに相殺され、その結果、第1の1/4波長板から出射した円偏光は、第2の1/4波長板に入射し、円偏光のまま液晶層から出射する。
液晶層に電界が印加された状態では、液晶層の位相差が第2の1/4波長板の位相差よりも小さく設定されるので、第1の1/4波長板から出射した円偏光は、第2の1/4波長板と液晶層を通って楕円偏光となり、光反射部で反射される。楕円偏光の反射光は、再び液晶層と第2の1/4波長板と第1の1/4波長板とを通過し楕円偏光となり、第1の偏光板の偏光方向の光だけが通過して、白表示となる。
また、液晶層に電界が印加されない状態では、液晶層に入射した第2の1/4波長板からの光は、第2の1/4波長板の位相差と液晶層の位相差とで相殺され、円偏光のまま光反射部で反射されて反射光となる。円偏光の反射光は、再び液晶層と第2の1/4波長板と第1の1/4波長板を通過し、第1の偏光板の偏光方向に直交する直線偏光となり、ノーマリブラックの色味、すなわち表示品位の高い、いわゆる黒浮きが抑制された黒表示となる。
また本発明によれば、第1の1/4波長板の遅相軸と第2の1/4波長板の遅相軸との交差角度を、5°以上25°以下とすることによって、表示品位の高いノーマリブラックの黒表示を実現することができる。
また本発明によれば、液晶表示パネルは反表示面側から入射した光は光透過部を有する液晶層を透過するので、液晶表示パネルの反表示面の側から入射した光は、第2の偏光板によって直線偏光となるが、この直線偏光は、第3の1/4波長板を通過すると円偏光となる。この円偏光は、液晶層および第2の1/4波長板をそのまま通過し、第1の1/4波長板を通過した後、直線偏光となる。この直線偏光の偏光方向は、第1の偏光板の偏光方向に直交する。これによって、直線偏光は、第1の偏光板から外部に出射せず、表示品位の高いノーマリブラックの黒表示が得られる、いわゆる半透過反射型の液晶表示装置の実現することができる。
また本発明によれば、第3の1/4波長板の遅相軸と第1の1/4波長板の遅相軸との第2の交差角度が95°以上115°以下であるので、第1の1/4波長板の残留位相差、すなわち第2の1/4波長板の位相差に対して5°以上25°以下のずれた分を相殺することができ、表示品位の高いノーマリブラックの黒表示を実現することができる。
また本発明によれば、光透過部の位相差が光反射部の位相差よりも大きいので、液晶層の光透過部と光反射部の位相差を調整するためのマルチギャップとすること、すなわち液晶層の層厚調整層を設けることが可能となり、これによって反射表示および透過表示共に高いコントラストを実現することができる。
本発明の一実施形態の液晶表示装置の構成を示す断面図である。 液晶表示装置の電界無印加時および電界印加時の動作を説明するための図である。 液晶表示装置の軸配置および位相差値を示す図である。 本発明の他の実施形態の液晶表示装置の構成を示す断面図である。 他の実施形態の液晶表示装置の電界無印加時および電界印加時の動作を説明するための図である。 他の実施形態の液晶表示装置の軸配置および位相差値を示す図である。
図1は本発明の一実施形態の液晶表示装置の構成を示す断面図であり、図2は液晶表示装置の電界無印加時および電界印加時の動作を説明するための図であり、図3は液晶表示装置の軸配置および位相差値を示す図である。
本実施形態の液晶表示装置1は、ノーマリブラックで表示を行う複屈折制御型の反射型液晶表示装置である。この液晶表示装置1は、液晶層2を有するとともに、表示面3側から入射して液晶層2を通過した光を反射する光反射部である光反射層4を有する液晶表示パネル5と、液晶表示パネル5の表示面3側に配置される第1の偏光板6と、液晶表示パネル5と第1の偏光板6との間の、第1の偏光板6側に配置される第1の1/4波長板7と、液晶表示パネル5と第1の偏光板6との間の、液晶表示パネル5側に配置される第2の1/4波長板8と、を含む。
液晶層2は、その位相差が第2の1/4波長板8の位相差よりも小さく、第2の1/4波長板8は、その遅相軸が電界無印加時の液晶分子の配向軸と直交している。第1の1/4波長板7の遅相軸と第2の1/4波長板8の遅相軸とは、交差している。
液晶表示パネル5は、第1の基板10、遮光層11、カラーフィルタ層12、共通電極13、第1の配向層14、柱状部15、液晶層2、第2の配向層16、透明電極17、第5の層間絶縁層18、光反射層4、第4の層間絶縁層19、ドレイン電極20、ソース電極21、層間接続部22、第3の層間絶縁層23、第2の層間絶縁層24、第1の層間絶縁層25、第2のゲート絶縁層26、第1のゲート絶縁層27、第2の基板28、チャネル部29、半導体層30およびゲート電極31を備える。
前述のドレイン電極20、ソース電極21、層間接続部22、チャネル部29、半導体層30およびゲート電極31は、アクティブ素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;略称TFT)を構成する。ドレイン電極20は、画素電極である光反射層4に層間接続部22などによって接続される。ゲート電極31に接続されるゲート信号線は、画素の行ごとに設けられ、ソース電極21に接続されるソース信号線は、画素の列ごとに設けられ、ゲート信号線とソース信号線との各交差部に画素がそれぞれ形成される。
第1の基板10および第2の基板28は、ガラス基板によって実現される。遮光層11は、ブラックマトリクスを構成し、図1の上方から見た平面視において画素間に設けられ、各画素を区画している。共通電極13は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide;略称ITO)等から成り、透明電極層を構成している。第1の配向層14および第2の配向層16は、ポリイミド等から成る。第4の層間絶縁層19は、アクリル系樹脂等から成る。第1〜第3の層間絶縁層25,24,23ならびに第1および第2のゲート絶縁層26,27は、酸化珪素(SiO)または窒化珪素(SiN)から成る。光反射層4は、モリブデン(Mo),アルミニウム(Al)等から成り、例えばMo層上にAl層を積層した構成等である。
薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン(a-Si)、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon;LTPS)などから成る半導体層30を有し、ゲート電極31、ソース電極21、ドレイン電極20の3端子素子であって、ゲート電極31に所定電位の電圧(例えば、3V,6V)を印加することによって、ソース電極21とドレイン電極20との間の半導体層30(チャネル)に電流を流す、スイッチング素子(ゲートトランスファ素子)として機能する。
第1の偏光板6は、直線偏光板であって、外部から表示面3に入射するランダム偏光(楕円偏光)の光から光透過軸(以下、透過軸ともいう)に一致する直線偏光の光だけを透過させる。第1の偏光板6の光透過軸(または光吸収軸(以下、吸収軸ともいう))と後述の第2の偏光板44(図4を参照)の光透過軸(または光吸収軸)との交差角度は、必ずしも90°でなくてもよい。本実施形態において、交差角度は65°以上85°以下に配置され、このましくは76°に配置される。なお、後述の他の実施形態では、78°に配置される。
第1および第2の1/4波長板7,8は、入射光の偏光面、すなわち電界振動方向の偏光面に1/4波長(λ/4)の位相差を与える。入射光の偏光面が1/4波長板7,8の進相軸(高速軸)または遅相軸(低速軸)に対して45°の方位角度で入射したときに、直線偏光を円偏光に変える。
液晶表示パネル5は、複屈折制御(Electrically Controlled Birefringence;略称ECB)型であり、液晶層2に電界が印加されていない初期配向状態で、液晶分子が第1および第2の基板10,28の互いに対向する各表面と平行になるように水平配向処理を施したものを用いる。この液晶表示パネル5に印加する電圧を徐々に高くしていくと、ある閾値電圧を超えたときに液晶分子は第1および第2の基板10,28の各表面に対して徐々に立ち上がり始め、規定値以上の高電圧で分子配向方向は各基板10,28の各表面に対して垂直になる。
液晶は屈折率異方性媒質であるので、液晶分子の配向軸方向(X軸)の光波と、液晶分子の配向軸と直交方向(Y軸)の光波では、進行速度が異なり、換言すると、X軸とY軸とでは光波の屈折率が異なる。X軸の屈折率(nx)とY軸の屈折率(ny)との差を複屈折率Δn(=nx−ny)という。
液晶層2に入射し、それから出射した光波は、X軸とY軸で速度が違うため、X軸とY軸で位相がずれ、この位相のずれを位相差またはリタデーション(Retardation)という。ここで、入射光の波長をλ、液晶層2の厚さをd、複屈折率をΔnとすると、位相差δは、次式(1)で表わされる。また、Δn・d(nm)でも表される。
δ=2・π・Δn・d/λ …(1)
垂直配向(Vertical Alignment;略称VA)方式は、ECB方式とは逆に、初期配向状態の液晶分子の配向方向が第1および第2の基板10,28の表面と垂直(垂直配向)となるような配向膜を配置し、電界が印加されることによって液晶分子を傾け、複屈折率Δnを変化させる。
本件発明者は、複屈折制御型であって、ノーマリブラックの液晶表示装置1において、液晶層2の位相差が第2の1/4波長板8の位相差(1/4波長である。例えば、波長が550nmである場合、約138nmの位相差となる。本実施形態では140nm)よりも小さい場合(例えば、本実施形態では115nm)に、ノーマリブラックの色味(黒さの程度)が良好である(真黒に近い)ことを見出した。そして、この液晶表示パネル5に付加される第1および第2の1/4波長板7,8の遅相軸を所定の方向に配置することによって、ノーマリブラックの色味を改善することができることを見出した。
本件発明者は、ノーマリブラックの視認性が改善されていることを確認するために、実施例1および比較例1の液晶表示装置サンプルを作製し、液晶層2の位相差値を、実施例1では、115nm、比較例1では140nmとし、コニカミノルタジャパン株式会社製の「CM−2600d」を用いて、黒表示の反射率、白表示の反射率、反射コントラスト比を計測した。第1の偏光板6として、日東電工株式会社製、製品名「TEG1465DUHC」の偏光板を使用した。また、第1および第2の1/4波長板7,8として、日本ゼオン株式会社製、製品名「ゼオノアフィルム」の位相差値が140nmを使用した。
実験の結果、実施例1では、黒表示の反射率が1.1%、白表示の反射率が21%、反射コントラスト比が19:1となり、黒表示において良好な視認性が得られることが確認された。これに対して比較例1では、黒表示の反射率が2.5%、白表示の反射率が20%、反射コントラスト比が8:1であることが確認された。このような実験によって、液晶層2の位相差を第2の1/4波長板8の位相差よりも小さくすると、表示品位の高い黒レベルにすることができ、黒表示の視認性を向上することが確認された。さらに、液晶層2の位相差値が150nmの場合も確認したが、比較例1の反射コントラスト比よりさらに低下し、反射コントラスト比は5:1であった。従って、液晶層2の位相差は、第2の1/4波長板8の位相差の3/5以上であって第2の1/4波長板8の位相差より小さいことが好ましい。液晶層2の位相差が第2の1/4波長板8の位相差の3/5よりも小さい場合として、液晶層2の位相差を80nmとすると、反射コントラスト比は6:1となり、黒表示の視認性が低下する傾向であった。
第2の1/4波長板8は、その遅相軸が電界無印加時の液晶分子の配向軸と直交していることによって、液晶層2の位相差を打ち消すことができる。すなわち、第2の1/4波長板8および液晶層2は、第1の1/4波長板7から出射した円偏光に対して、位相差の変化(偏光の変化)点で作用しないものとなる。その結果、第1の1/4波長板7から出射した円偏光は、第2の1/4波長板8および液晶層2において維持される。ただし、第1の1/4波長板7から出射した円偏光は、光反射層4で反射されると、回転方向が逆転した円偏光となる。
図2および図3をも参照して、液晶表示パネル5を表示面3側から見たとき、第2の1/4波長板8の遅相軸の方向、すなわち液晶分子の電界無印加時の初期配向方向(=ラビング方向)に直交する方向を基準軸(=0°)とし、その基準軸から各軸までの反時計まわりの角度を遅相軸またはラビング方向の角度とすると、第1の偏光板6の吸収軸の角度θp1は25°である。第1の波長板7の遅相軸の角度θf3は161°(位相差値Δnd=140nm)であり、第2の波長板8の遅相軸の角度θf2は0°(位相差値Δnd=140nm)である。
第1の1/4波長板7の遅相軸と第2の1/4波長板8の遅相軸とは第1の交差角度α1で交差している。第1の1/4波長板7の遅相軸と第2の1/4波長板8の遅相軸との第1の交差角度α1は、5°以上25°以下に選ばれ、好ましくは19°に選ばれる。第2の1/4波長板8の遅相軸と液晶層2の液晶分子の配向軸との交差角度α2は、ほぼ直交し、好ましくは90°である。これによって、表示品位の高い黒レベルの黒表示が得られ、ノーマリブラックの色味(黒さの程度)を改善することができる。
次に、液晶表示装置1の表示について説明すると、外部から液晶表示装置1の表示面3の側に入射したランダム偏光(楕円偏光)の光a1は、第1の偏光板6によって直線偏光(直線偏光a2とする)となる。直線偏光a2は、第1の1/4波長板7を通過すると円偏光(円偏光a3とする)となる。
液晶層2に電界が印加された状態では、液晶層2の位相差が第2の1/4波長板8の位相差よりも小さく設定されるので、第2の1/4波長板8へ入射した円偏光a3は液晶層2を通って楕円偏光a4となり、光反射層4で反射される。その楕円偏光a4の反射光b3は、再び液晶層2と第2の1/4波長板8と第1の1/4波長板7とを通過し、楕円偏光b4となり、第1の偏光板6の偏光方向の光だけが通過して、白表示となる。
また、液晶層2に電界が印加されない状態では、液晶層2に入射した第2の1/4波長板8からの円偏光a3は、第2の1/4波長板8の位相差と液晶層2の位相差とで相殺され、円偏光a3のまま光反射層4で反射されて反射光b1となる。円偏光の反射光b1は、液晶層2と第2の1/4波長板8と第1の1/4波長板7を通過し、第1の偏光板6の偏光方向に直交する直線偏光b2となり、ノーマリブラックの色味、すなわち表示品位の高い黒レベル、いわゆる黒浮きが抑制された黒表示を得ることができる。
図4は本発明の他の実施形態の液晶表示装置を示す断面図であり、図5は液晶表示装置の電界無印加時および電界印加時の動作を説明するための図であり、図6は液晶表示装置の軸配置を示す図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の液晶表示装置1aは、液晶表示パネル5の反表示面43側に配置される第2の偏光板44と、液晶表示パネル5と第2の偏光板44との間に配置される第3の1/4波長板45とをさらに備え、液晶表示パネル5の反表示面43の側から入射した光を透過させる光透過部46が設けられ、いわゆる半透過型(光反射部と光透過部との双方を備える)の液晶表示装置として実現される。基本的には、反表示面43側にバックライト装置は不要であるが、あってもよい。
第3の1/4波長板45は、その遅相軸と第1の1/4波長板7の遅相軸とが交差するので、第1の1/4波長板7の残留位相差、すなわち第2の1/4波長板8に対してずれた位相差分を打ち消すことができる。
次に、液晶表示装置1aの表示について説明すると、液晶表示パネル5は、反表示面43側から入射した光を透過させる光透過部46を液晶層2に有するので、液晶層2に電界が印加されていない状態では、液晶表示パネル5の反表示面43の側から入射した光は、第2の偏光板44によって直線偏光c1となるが、この直線偏光c1は、第3の1/4波長板45を通過すると円偏光c2となる。この円偏光c2は、液晶層2および第2の1/4波長板8をそのまま通過し、第1の1/4波長板7を通過した後、直線偏光c3となる。この直線偏光c3の偏光方向は、第1の偏光板6の偏光方向に直交する。これによって、直線偏光c3は、第1の偏光板6から外部に出射せず、表示品位の高いノーマリブラックの黒表示が得られる、いわゆる半透過反射型の液晶表示装置の実現することができる。
また、液晶層2に電界が印加された状態では、反表示面43側からの入射光は、第2の偏光板44を通過し、直線偏光d1となる。この直線偏光d1の光は、第3の1/4波長板45によって円偏光d2となる。この円偏光d2は、液晶層2、第2の1/4波長板8、第1の1/4波長板7を通過して楕円偏光d3となり、楕円偏光d3は第1の偏光板6の偏光方向の光だけが通過して、白表示となる。
図5および図6をも参照して、液晶表示パネル5を表示面3側から見たとき、第2の1/4波長板8の遅相軸の方向、すなわち液晶分子の電界無印加時の初期配向方向(=ラビング方向)に直交する方向を基準軸(=0°)とし、その基準軸から各軸までの反時計まわりの角度を遅相軸またはラビング方向の角度とすると、第1の偏光板6の吸収軸の角度θp1は35°である。第1の波長板7の遅相軸の角度θf3は170°(位相差値Δnd=140nm)であり、第2の波長板8の遅相軸の角度θf2は0°(位相差値Δnd=140nm)である。第3の波長板45の遅相軸の角度θf3は67°(位相差値Δnd=140nm)であり、第2の偏光板44の吸収軸の角度θp2は113°である。
第1の1/4波長板7の遅相軸と第2の1/4波長板8の遅相軸との第1の交差角度α1は、5°以上25°以下に配置され、好ましくは10°に配置される。第2の1/4波長板8と液晶層2の液晶分子の配向軸との交差角度は、90°であり、第3の1/4波長板45の遅相軸と第1の1/4波長板7の遅相軸との第2の交差角度(θf3−θf4)が95°以上115°以下、好ましく103°に配置される。さらに第1の偏光板6の吸収軸と第2の偏光板44の吸収軸との交差角度(θp2−θp1)は、65°以上85°以下、好ましくは78°に配置される。
これによって、第1の1/4波長板7の残留位相差、すなわち第2の1/4波長板7の位相差に対してずれた分を相殺することができ、黒レベルの表示品位が高いノーマリブラックの黒表示を実現することができる。
他の実施形態では、第1の1/4波長板7の遅相軸と第2の1/4波長板8の遅相軸との交差角度を5°以上25°以下とし、第2の1/4波長板8の遅相軸と液晶層2の液晶分子の配向方向との交差角度をほぼ直交、好ましくは90°とし、第1の1/4波長板7の遅相軸と第3の1/4波長板45の遅相軸との交差角度を95°以上115°以下、好ましくは105°とし、第1の偏光板6の吸収軸と第2の偏光板44の吸収軸との交差角度を65°以上85°以下、好ましくは76°としてもよい。
また、光透過部46の位相差が光反射部47の位相差よりも大きくし、液晶層2の光透過部46と光反射部47とをマルチギャップ化すること、すなわち液晶層の層厚調整層を設けることができる。これによって反射表示及び透過表示共に高いコントラストを実現することができる。
1,1a 液晶表示装置
2 液晶層
3 表示面
4 光反射層
5 液晶表示パネル
6 第1の偏光板
7 第1の1/4波長板
8 第2の1/4波長板
10 第1の基板
11 遮光層
12 カラーフィルタ層
13 共通電極
14 第1の配向層
15 柱状部
16 第2の配向層
17 透明電極
18 第5の層間絶縁層
19 第4の層間絶縁層
20 ドレイン電極
21 ソース電極
22 層間接続部
23 第3の層間絶縁層
24 第2の層間絶縁層
25 第1の層間絶縁層
26 第2のゲート絶縁層
27 第1のゲート絶縁層
28 第2の基板
29 チャネル部
30 半導体層
31 ゲート電極
43 反表示面
44 第2の偏光板
45 第3の1/4波長板
46 光透過部
47 光反射部

Claims (5)

  1. ノーマリブラックで表示を行う複屈折制御型の液晶表示装置であって、
    液晶層を有するとともに、表示面側から入射して前記液晶層を通過した光を反射する光反射部を有する液晶表示パネルと、
    前記液晶表示パネルの前記表示面側に配置される第1の偏光板と、
    前記液晶表示パネルと前記第1の偏光板との間に、前記第1の偏光板の側から順に設けられる第1の1/4波長板および第2の1/4波長板と、を備え、
    前記液晶層は、その位相差が前記第2の1/4波長板の位相差よりも小さく、
    前記第2の1/4波長板は、その遅相軸が電界無印加時の液晶分子の配向軸と直交しており、
    前記第1の1/4波長板の遅相軸と前記第2の1/4波長板の前記遅相軸とが交差していることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記第1の1/4波長板の前記遅相軸と、前記第2の1/4波長板の前記遅相軸とは、5°以上25°以下の第1の交差角度で交差していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記液晶表示パネルは、反表示面側から入射した光を、前記液晶層を透過させる光透過部を有し、
    前記液晶表示パネルの前記反表示面側に配置される第2の偏光板と、
    前記液晶表示パネルと前記第2の偏光板との間に配置される第3の1/4波長板と、をさらに備え、
    前記第3の1/4波長板の遅相軸と前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とが交差していることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第3の1/4波長板の前記遅相軸と、前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とは、95°以上115°以下の第2の交差角度で交差していることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
  5. 前記光透過部の位相差は、前記光反射部の位相差よりも大きいことを特徴とする請求項3または4に記載の液晶表示装置。
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