JP6769754B2 - 可縮部材 - Google Patents
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Description
大土被りのトンネルでは、トンネル周辺の地山の変形量が増大し、トンネル支保工に対して大きな応力が発生する場合がある。断層破砕帯や膨張性地山を掘進することにより形成されたトンネル等でも同様である。
大きな応力が作用することが予想されるトンネルでは、トンネル支保工の剛性や強度を増加させる場合がある。
また、特許文献1には、トンネル支保工の一部に形成された隙間に、体積比1.0%近い鋼繊維と中空粒子とを含有する繊維補強セメント系材料からなる可縮部材を介設し、地山の変形をこの可縮部材により吸収するトンネルの安定化方法が開示されている。
また、特許文献1の可縮部材は、材料が高価であるとともに、鋼繊維と中空粒子とを特殊な配合で混合するため、製造に手間がかかる。
そのため、本発明は、簡易かつ安価に製造することができ、なおかつ、トンネル内空の安定を確保することを可能とした可縮部材を提案することを課題とする。
なお、前記補強体は、トンネル周方向に対して交差する方向で前記本体部に周設されているのが望ましい。また、前記補強体には、ポリプロピレン繊維からなる織布を使用すればよい。
本実施形態のトンネル支保工2は、図1(b)に示すように、吹付けコンクリート21、鋼製支保工22およびロックボルト23を備えている。
吹付けコンクリート21および鋼製支保工22は、アーチ状(馬蹄形状)に形成されている。なお、吹付けコンクリート21および鋼製支保工22の形状は限定されるものではなく、リング状であってもよい。
なお、トンネル支保工2の構成は、地山状況に応じて適宜変更することが可能である。例えば、吹付けコンクリート21の吹付け厚さや、鋼製支保工の配設ピッチや鋼材寸法等を適宜変更してもよい。また、ロックボルト23に代えてフォアポーリング工法やAGF工法等を採用してもよい。さらに、必要に応じて補助工法を組み合わせてもよい。また、吹付けコンクリート21は、必ずしも複数の層(一次吹付け21aおよび二次吹付け21b)に分ける必要はない。また、ロックボルト23は、一次吹付け21aの施工後に、鋼製支保工22の建て込みとともに打設してもよい。
図3に示すように、可縮部材3は、四角柱状に形成された本体部4と、本体部4に周設された繊維シート(補強体)5とを備えている。なお、可縮部材3の形状は限定されるものではなく、例えば、円柱状であってもよい。
本実施形態では、本体部4に繊維シート5を巻き付けた後、可縮部材3(繊維シート5)の外周囲にプライマーを塗布して繊維シート5に浸み込ませる。なお、プライマーは必要に応じて塗布すればよい。また、プライマーは吹付けてもよい。
また、骨材として、多孔質材(パーライト)を使用しているため、吹付けコンクリート21よりも低強度の本体部4を容易に形成することができる。
また、本体部4は、セメント系固化材と多孔質材との混合体により構成されているため、鋼繊維を多量に含むコンクリートと比較して容易に練り混ぜることができ、製造時の手間の低減化を可能としている。
さらに、可縮部材3は、設計上で必要とされる強度において、本体部4および繊維シート5(補強体)の剛性および強度を変更することができる。
まず、鋼繊維と中空粒子とを含有する繊維補強セメント系材料からなる9cm角のブロック体に、炭素繊維シート、アラミド繊維シートまたはポリエチレンテレフタレート繊維シートを周設した可縮部材(実施例1〜3)について、一軸圧縮試験を行った。表1に各実施例で使用した繊維シートを示す。また、比較例1として、鋼繊維と中空粒子とを含有する繊維補強セメント系材料からなる9cm角のブロック体について、一軸圧縮試験を実施した。図5に実験結果を示す。
本実験では、パーライトを骨材としたモルタルからなる本体部4に、ポリエチレン(PE)繊維シート、ポリエチレンテレフタレート繊維シートまたはポリプロピレン繊維シートが周設された可縮部材3(実施例4〜7)についてそれぞれ一軸圧縮試験を行い、繊維シート5による拘束効果の確認を行った。なお、ポリプロピレン繊維シートについては、引張強度が異なる2種類の繊維シートを使用した。また、本実験では、比較例2として本体部4にエポキシ樹脂のみを塗布した可縮部材に対しても一軸圧縮試験を行った。なお、実施例4〜7に使用した繊維シートを表2に示す。また、試験結果を図6に示す。
実施例4のポリエチレン繊維シートは、本体部の降伏後、7%程度のひずみまで拘束した後、破断して応力が低下する結果となった。
実施例5のポリエチレンテレフタレート繊維シートは、15%程度のひずみまで拘束した後、破断して応力が低下する結果となった。
実施例6の引張強度の低いポリプロピレン繊維シートを使用した場合は、長期間にわたって応力が急激に低下することがない結果が得られた。
実施例7の引張強度の高いポリプロピレン繊維シートを使用した場合は、18%程度から応力が低下する傾向にあるものの、30%程度のひずみで5MPa程度の応力を保つ結果となった。
このように、本体部4に繊維シート5が周設された本実施形態の可縮部材3によれば、本体部4の降伏後も拘束効果が得られることが確認できた。特にポリプロピレン繊維シートを使用すれば、長期間にわたって応力の急激な低下を抑えられることが確認できた。
例えば、補強体(繊維シート5)は、本体部4を拘束することが可能であれば、必ずしもトンネル周方向に対して交差する方向で本体部4に周設する必要はない。例えば、トンネル軸方向に対して交差する方向で本体部4に周設してもよい。
また、補強体を構成する材料は、本体部4の少なくとも1方向(前記実施形態ではトンネル周方向と交差する方向)を周設することが可能であればよく、シート状のものに限定されるものではない。例えば、筒状の部材であってもよいし、有底の容器や袋状の容器であってもよい。
2 トンネル支保工
21 吹付けコンクリート
22 鋼製支保工
3 可縮部材
4 本体部
5 繊維シート(補強体)
Claims (4)
- アーチ状あるいはリング状のトンネル支保工を横断するように当該トンネル支保工に介設された可縮部材であって、
セメントと、多孔質材と、水とを含むセメント系材料の硬化体からなる本体部と、
前記本体部に巻き付けられた補強体と、を備えており、
前記本体部の圧縮強度が、前記トンネル支保工の圧縮強度よりも低いことを特徴とする可縮部材。 - 前記補強体が、トンネル周方向に対して交差する方向で前記本体部に周設されていることを特徴とする、請求項1に記載の可縮部材。
- 前記補強体がポリプロピレン繊維からなる織布であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の可縮部材。
- 前記トンネル支保工が吹付けコンクリートまたは鋼製支保工であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の可縮部材。
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