JP6769337B2 - 誘電体組成物及び電子部品 - Google Patents

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本発明は、特に、たとえば車載用のような高温環境下で使用されるのに適した誘電体組成物及びその誘電体組成物を誘電体層として用いた電子部品に関する。
積層セラミックコンデンサは、その信頼性の高さやコストの安さから多くの電子機器に搭載されている。具体的な電子機器としては、携帯電話等の情報端末、家電、自動車電装品が挙げられる。この中でも車載用として使用される積層セラミックコンデンサは、家電や情報端末等に使用されている積層セラミックコンデンサに比べて、より高温域までの保証が求められることがあり、コンデンサとしての機能が劣化し難いという高い信頼性が必要となる。コンデンサの機能を劣化させないために必要な特性としては、連続使用する上で高温雰囲気下において直流電圧を長時間印加しても絶縁抵抗が劣化しにくい、つまり高い高温負荷寿命(温度及び電圧を印加した後、初期の絶縁抵抗値を基準として一桁低下するまでの時間)を有することが重要となる。
特に、150℃以上の高温域で使用が考えられているSiCまたはGaN等パワー半導体を用いたインバータ回路に搭載されるサージ電圧除去用の積層セラミックコンデンサは、−55℃〜200℃付近までの広範囲の温度において高い信頼性が要求されている。
特許文献1には、十分な誘電率を示しつつ、かつ、175℃程度の高温においても、安定した静電容量温度特性と高い抵抗率ρが得られる誘電体セラミック組成物である組成式(1−a)(K1−xNa)(Sr1−y−zBaCaNb15−a(Ba1−bCa)TiOで表されるタングステンブロンズ構造系化合物とペロブスカイト構造系化合物との混晶系を主成分として含み、且つ、上記主成分100モル部に対して0.1〜40モル部の副成分を含有する誘電体セラミック組成物を用いた積層セラミックコンデンサに関する技術が開示されている。
特許文献2には、化学式(K1−xNa)SrNb15(ただし、0≦x<0.2)で表されるタングステンブロンズ型複合酸化物を主成分として含む誘電体セラミック組成物において、0.05〜20mol部の希土類元素と、0.05mol〜40mol部のMn、V、Li等とを、副成分として含むことで、室温の抵抗率が高い誘電体セラミック組成物ついての技術が開示してある。
特許文献3には、チタン酸バリウムを含む主成分と、BaZrO、Mgの酸化物、 希土類元素、Alの酸化物等及びSi、Li、GeおよびBの副成分を含有することで、高温負荷寿命に優れ、中高圧用途に好適に用いることができる誘電体磁器組成物に関する技術が開示されている。
WO2008/155945号公報 WO2008/102608号公報 特開2008−162830号公報
しかしながら、前記特許文献1は、高温域において、測定時間が1分程度の比抵抗については良好な特性が得られているが、直流電圧を長時間連続して印加した高温負荷寿命については不十分である。また、前記特許文献2は、種々の副成分を含有することで、室温の絶縁性は改善されているが、高温域、例えば、250℃における高温負荷寿命については不十分である。また、前記特許文献3は、ペロブスカイト型のチタン酸バリウム系の材料にGe等の副成分を含有することで、150℃で使用する場合には高い高温負荷寿命を有しているが、主成分がチタン酸バリウムであるため、150℃を超えた温度域で得られる比誘電率が低く、所望の静電容量を得ることが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車載用及びSiCやGaN系の半導体を用いたパワーデバイス用に対応した250℃の高温雰囲気下において、比誘電率が比較的高く、良好な高温負荷寿命を有する誘電体組成物と、それを用いた電子部品を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の誘電体組成物は、化学式(K1−xNa)SrNb15(但し、0≦x≦0.40)で表されるタングステンブロンズ型複合酸化物を主成分として有する誘電体組成物において、第一の副成分としてGeの酸化物を含み、前記第一の副成分の含有量が主成分100molに対して、2.5molから20.0molであることを特徴とする。
誘電体組成物が上記の特徴を有することで、250℃程度の温度領域で使用されるのに適した比較的高い比誘電率と良好な高温負荷寿命を有する誘電体組成物を提供することが可能となる。
さらに、前記誘電体組成物からなる誘電体層を有する電子部品は、−55℃の低温領域から150℃程度の領域での使用が求められる車載用途の電子部品や、さらにより高温の250℃程度の領域まで求められているSiCやGaN系の半導体を用いたパワーデバイス用のスナバコンデンサや、自動車のエンジンルーム内のノイズ除去に用いるコンデンサ等に用いることができる。
本発明は、車載用及びSiCやGaN系の半導体を用いたパワーデバイス用に対応した250℃の高温雰囲気下において、比誘電率が比較的高く、良好な高温負荷寿命を有する誘電体組成物と、それを用いた電子部品を提供することが出来る。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
まず、本発明の電子部品として、積層セラミックコンデンサについて説明する。図1に、一般的な積層セラミックコンデンサの断面図を示す。
積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、コンデンサ素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
内部電極層3は、各端部がコンデンサ素子本体10の対向する2端面の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端面に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
誘電体層2の厚さは、特に限定されないが、一層あたり100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。厚さの下限は、特に限定されないが、たとえば0.5μm程度である。本発明の誘電体組成物によれば、層間厚みを0.5μm〜30μmとした場合であっても、高い高温負荷寿命を有する誘電体層を有する積層セラミックコンデンサ1を形成することが出来る。
誘電体層2の積層数は、特に限定されないが、20以上であることが好ましく、より好ましくは50以上である。
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、Ni、Ni系合金、CuまたはCu系合金が好ましい。なお、Ni、Ni系合金、CuまたはCu系合金中には、P等の各種微量成分が0.1質量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
より好ましくは、内部電極層3に含有される導電材は、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、NiまたはNi系合金である。このNiまたはNi系合金を主成分とし、これにAl、Si、Li、Cr、Feから選択された1種類以上の内部電極用副成分を含有していることが更に好ましい。
前記内部電極層3の主成分であるNiまたはNi系合金にAl、Si、Li、Cr、Feから選択された1種類以上の内部電極用副成分を含有させることで、Niが大気中の酸素と反応しNiOになる前に、上記内部電極用副成分と酸素が反応し、Niの表面に内部電極用副成分の酸化膜を形成する。これにより、外気中の酸素が前記内部電極用副成分の酸化膜を通過しないとNiと反応できなくなるため、Niが酸化され難くなる。これにより、250℃の高温下で連続使用しても、Niを主成分とする内部電極層の酸化による連続性、導電性の劣化が起り難くなる。
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi、Cu及び耐熱性の高いAu、Ag、Pdや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
次に、本実施形態に係る誘電体層を構成する誘電体組成物について詳細に説明する。
本実施形態に係る誘電体組成物は、化学式(K1−xNa)SrNb15(但し、0≦x≦0.40)で表されるタングステンブロンズ型複合酸化物を主成分として有する誘電体組成物において、第一の副成分としてGeの酸化物を含み、前記第一の副成分の含有量が主成分100molに対して、2.5molから20.0molであることを特徴とする。
誘電体組成物が上記の特徴を有することで、250℃で使用されるのに適した良好な比誘電率と高い高温負荷寿命とを有する誘電体組成物を提供することが可能となる。このような効果が得られた要因について以下に示す。
発明者等は、主成分である化学式(K1−xNa)SrNb15で表されるタングステンブロンズ型複合酸化物に、副成分としてGeの酸化物を含むことで、高温負荷寿命の劣化原因であると考えられる酸素欠陥の移動を抑制する作用が得られることを見出した。そのため、本実施形態における誘電体組成物では、250℃において比較的高い誘電率を有しつつ、直流耐電圧と高温負荷寿命を向上させることが可能となったものと考えている。一方で、Geの酸化物を副成分として含んでいない(K1−xNa)SrNb15ではこのような作用は得られない。
前記化学式中の(K1−xNa)SrNb15のKは、Naにより置換される。その置換量xは0≦x≦0.40である。前記置換量xの上限を0.40とすることで、本実施形態に係る誘電体組成物の特徴である第一の副成分であるGeの酸化物を含有する場合に、高温負荷寿命の劣化原因であると考えられる酸素欠陥の移動を抑制する作用が得られ、その結果、250℃における高温負荷寿命が向上する。
前記第一の副成分であるGeの酸化物は、前記主成分100molに対して、2.5molから20.0mol含有される。前記含有量の下限を2.5molとすることで、高温負荷寿命の劣化原因であると考えられる酸素欠陥の移動を抑制する作用が得られ、十分な高温負荷寿命が得られる。一方、前記含有量の上限を20.0molとすることで、比誘電率が向上する。
また、本発明の望ましい態様としては、第二の副成分として、Mn、Mg、Co、V、W、Mo、Si、Li、Bから選択される少なくとも一種の酸化物を前記主成分100molに対して、0.1mol〜15.0mol含むことが好ましい。前記第二の副成分を所定量含有することで、高温負荷寿命の劣化の原因と考えられている酸素欠陥の移動を抑制する作用が強くなり、250℃において、より高い高温負荷寿命が得られ易くなる傾向となる。
更に、本発明の望ましい態様としては、第三の副成分として、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群より選ばれた少なくとも1種の酸化物を、前記主成分100molに対して、0.5mol〜10.0mol含有していることが好ましい。前記第三の副成分を所定量含有することで、250℃における直流耐電圧(直流耐電圧とは、直流電圧を印加し、漏れ電流値が10mAに達した際の直流電圧値を誘電体層の厚みで割ったもの)を高める効果が得られる。その結果、250℃において、高い比誘電率を維持しつつ、高い高温負荷寿命と高い直流耐電圧とを有する誘電体組成物が得られ易くなる。
このように、本実施形態に係る誘電体組成物は、高温領域において良好な特性を示すため、SiCやGaN系のパワーデバイスの使用温度域(−55℃〜250℃)において好適に用いることができる。また、自動車のエンジンルームなど、過酷な環境下において、ノイズ除去用などの電子部品として好適に用いられることが出来る。
なお、前記化学式中の(K1−xNa)SrNb15は、各Kサイト、Srサイト、Nbサイト、Oサイトのモル比は基本的に1:2:5:15であるが、タングステンブロンズ構造を保持できる限りは、多少増減しても構わない。
また、本実施形態に係る誘電体組成物は、高温負荷寿命等の特性を大きく劣化させるものでなければ、微少な不純物や前記第一、第二、第三の副成分以外の副成分を含んでいてもかまわない。例えば、Ba、Ni、Cr、Zn、Cu、Ga等が誘電体組成物に含まれてもよい。よって、誘電体組成物全体に対する主成分の含有量は特に限定されるものではないが、たとえば前記主成分を含有する誘電体組成物全体に対して60モル%以上、97.5モル%以下である。
次に、図1示す本発明の実施形態の一つである積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を説明する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を塗布して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、主成分の仮焼き粉末を準備する。主成分である(K1−xNa)SrNb15について、出発原料として平均粒子径が1.0μm以下のKCO、NaCO、SrCO、Nb粉末を準備する。所定の割合に秤量した後、ボールミル等を用いて所定の時間、湿式混合を行う。混合粉を乾燥後、大気中において1000℃以下の熱処理を行い、主成分である(K1−xNa)SrNb15の仮焼き粉末を得る。
副成分の仮焼き粉末を準備する。第一の副成分は、出発原料として平均粒子径が2.0μm以下のGeO粉末を準備する。また、必要に応じて第二の副成分の出発原料であるMn、Mg、Co、V、W、Mo、Si、Li、Bの酸化物粉末、第三の副成分の出発原料であるY、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの酸化物粉末を準備する。これらを所定の割合に秤量した後、ボールミル等を用いて所定の時間、湿式混合を行う。その後、混合粉を乾燥させた後、大気中において、700℃〜800℃にて1時間〜5時間熱処理を行い、副成分の仮焼き粉末を得る。なお、熱処理を行わず、前記乾燥した混合粉末を使用しても良い。
その後、得られた(K1−xNa)SrNb15の仮焼き粉末と、副成分の仮焼き粉末または、副成分の混合粉末とを混合・解砕し、誘電体組成物原料を得る。誘電体組成物原料は、たとえば、平均粒子径が0.5μm〜2.0μmである混合粉末である。
上記で得られた誘電体組成物原料を塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。誘電体層用ペーストは、誘電体混合粉末と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、バインダは1質量%〜5質量%程度、溶剤は10質量%〜50質量%程度とすれば良い。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10質量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に印刷、積層し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ処理条件としては、昇温速度を好ましくは5℃/時間〜300℃/時間、保持温度を好ましくは180℃〜500℃、温度保持時間を好ましくは0.5時間〜24時間とする。また、脱バインダ処理の雰囲気は、空気もしくは還元雰囲気とする。また、上記した脱バインダ処理において、Nガスや混合ガス等を加湿するには、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5℃〜75℃程度が好ましい。
また、焼成時の保持温度は、好ましくは1100℃〜1400℃である。保持温度が上記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量変化率の悪化が生じやすくなる。また、前記範囲を超えると結晶粒子が粗大化して、高温負荷寿命を低下させてしまう恐れがある。
昇温速度を好ましくは、200℃/時間〜5000℃/時間とする。焼結後の粒度分布を0.5μm〜5.0μmの範囲内に制御するために、また、結晶粒子同士の体積拡散を抑制するため、温度保持時間を好ましくは0.5時間〜2.0時間、冷却速度を好ましくは100℃/時間〜500℃/時間とする。
また、焼成する雰囲気としては、加湿したNとHとの混合ガスを用い、酸素分圧10−2〜10−6Paで焼成することが好ましい。しかし、酸素分圧が高い状態での焼成を実施するとNiを含む内部電極層の場合、Niが酸化してしまい、電極としての導電性が低下してしまう。この場合は、本実施形態のより好ましい形態であるNiを主成分とする導電材に対し、Al、Si、Li、Cr、Feから選択された1種類以上の内部電極用副成分を含有させることで、Niの耐酸化性が向上し、酸素分圧が高い雰囲気においても、内部電極層として導電性を確保することが可能となる。
焼成後、得られたコンデンサ素子本体に対し、必要に応じてアニール処理を行う。アニール処理条件は、公知の条件とすればよく、たとえば、アニール処理時の酸素分圧を焼成時の酸素分圧よりも高い酸素分圧とし、保持温度を1000℃以下とすることが好ましい。
また、上記には脱バインダ処理、焼成およびアニール処理を独立して行う製造方法を記載しているが、連続して行なってもよい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4の表面に、めっき等により被覆層を形成する。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、表中において※印を付した試料は、本実施形態の範囲外である。
まず、主成分の出発原料として平均粒径1.0μm以下のKCO、NaCO、SrCO、Nb粉末を準備した。これらの原料を、化学式(K1−xNa)SrNb15において、表1の各試料番号のxを満足するように秤量した。その後、分散媒としてのエタノールを用いでボールミルにより24時間湿式混合した。その後、得られた混合物を乾燥して混合原料粉末を得た。その後、大気中で保持温度900℃、保持時間2時間の条件で熱処理を行い、主成分の仮焼き粉末を得た。
次に、第一の副成分の出発原料としてGeO粉末、第二の副成分の出発原料としてMn、Mg、Co、V、W、Mo、Si、Li、Bの酸化物粉末、第三の副成分の出発原料としてY、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの酸化物粉末を準備した。これらの原料を表1に記載の配合比となるように秤量した。その後、分散媒としてのエタノールを用いでボールミルにより24時間湿式混合した。その後、得られた混合物を乾燥して混合粉末を得た。その後、大気中で保持温度800℃、保持時間2時間の条件で熱処理を行い、副成分の仮焼き粉末を得た。
Figure 0006769337
上記で得られた主成分の仮焼き粉末と副成分の仮焼き粉末とを混合・解砕し、誘電体組成物原料を得た。この誘電体組成物原料1000gに対して、トルエン+エタノール溶液、可塑剤及び分散剤を90:6:4で混合した溶剤を700g入れ、通常の良く知られている分散方法であるバスケットミルを用いて2時間分散させ、誘電体層用ペーストを作製した。なお、これらのペーストの粘性はいずれも約200cpsに調整した。
内部電極層の原料として、平均粒径が0.2μmのNiと0.1μm以下のAl、Siの酸化物を準備し、Al、Siの総量がNiに対して5質量%となるように秤量した。その後、1200℃以上の加湿したNとHとの混合ガス中で熱処理し、ボールミル等を用いて解砕することで、平均粒径0.20μmの数種の原料粉末を準備した。
前記原料粉末100質量%と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8質量%をブチルカルビトール92質量%に溶解したもの)30質量%、及びブチルカルビトール8質量%とを、3本ロールにより混練、ペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。
そして、作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが12μmとなるようにグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、内部電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、内部電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成、アニール処理を行うことで積層セラミック焼成体を得た。なお、脱バインダ処理、焼成及びアニールの条件は、以下の通りである。また、それぞれの雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用いた。
(脱バインダ処理)
昇温速度:100℃/時間
保持温度:400℃
温度保持時間:8.0時間
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス
(焼成)
昇温速度:500℃/時間
保持温度:1200℃〜1350℃
温度保持時間:2.0時間
冷却速度:100℃/時間
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス
酸素分圧:10−5〜10−9Pa
(アニール処理)
保持温度:800℃〜1000℃
温度保持時間:2.0時間
昇温、降温速度:200℃/時間
雰囲気ガス:加湿したNガス
得られた各積層セラミック焼結体の誘電体層(誘電体組成物)について、ICP発光分光分析法を用いて、各試料の組成分析を行った結果、表1に記載されている誘電体組成物原料の組成とほぼ同等な値であることを確認した。また、X線回析パターンより、タングステンブロンズ型の結晶構造を有していることも確認した。
得られた積層セラミック焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Ga共晶合金を塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサと同形状の試料No.1から試料No.78の積層セラミックコンデンサ試料を得た。得られた積層セラミックコンデンサ試料のサイズは、いずれも3.2mm×1.6mm×1.2mmであり、誘電体層の厚み10μm、内部電極層の厚み2μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は50層とした。
得られた試料No.1から試料No.78の積層セラミックコンデンサ試料について、比誘電率、直流耐電圧、高温負荷寿命を下記に示す方法により測定、評価し、表2に示した。
[比誘電率]
積層セラミックコンデンサ試料に対し、250℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの信号を入力し、静電容量を測定した。そして、比誘電率(単位なし)を、誘電体層の厚みと、有効電極面積と、測定の結果得られた静電容量Cとに基づき算出した。比誘電率は高いほうが好ましく、1000以上を良好であると判断した。
[直流耐電圧]
積層セラミックコンデンサ試料に対し、250℃において、100V/sec昇圧速度で直流電圧を印加し、漏れ電流が10mAを超えたところを直流耐電圧とした。直流耐電圧は、60V/μm以上あることが好ましく、100V/μm以上あることを良好と判断した。
[高温負荷寿命]
高温負荷寿命試験は、各試料番号の試料200個について、温度250℃で、誘電体層の厚みに対し40V/μmとなるように直流電圧を印加して、絶縁抵抗の経時変化を測定した。絶縁抵抗が1桁劣化した試料を故障と判定し、故障時間のワイブル解析から50%の平均故障時間(MTTF)を求めた。本発明では、平均故障時間(MTTF)を高温負荷寿命とした。高温負荷寿命は長い方が好ましく、500時間以上、より好ましくは750時間以上を良好であると判断した。
Figure 0006769337
表2に示す結果によれば、試料No.1〜試料No.78のうち、本実施形態の範囲内にある積層セラミックコンデンサ試料は、250℃における比誘電率が1000以上であり、250℃において、誘電体層の厚みに対し40V/μmとなるように直流電圧を連続印加した際の高温負荷寿命が500時間以上であることが確認できた。
これに対し、第一の副成分であるGeOの含有量が2.5mol未満である試料No.1、No.8、No.11、No.19〜No.24、No.27〜No.30は、GeOの含有量が少ないため、高温負荷寿命の劣化原因であると考えられる酸素欠陥の移動を抑制する作用が十分得られず、高温負荷寿命が500時間未満と十分な高温負荷寿命が得られないことが確認できた。一方、GeOの含有量が20.0molを超えた試料No.6、No.10、No.15、No.25、No.26、No.31、No.32は、十分な高温負荷寿命は得られるものの、比誘電率が1000未満となり、高い比誘電率が得られないことが確認できた。
また、(K1−xNa)SrNb15のxが本実施形態の範囲外である試料No.16〜No.18、No.27〜No.32は、本実施形態に係る誘電体組成物の特徴である第一の副成分であるGeOを含有しても高温負荷寿命の劣化原因であると考えられる酸素欠陥の移動を抑制する作用が得られず、十分な高温負荷寿命が得られないことが確認できた。
また、第二の副成分としてMn、Mg、Co、V、W、Mo、Si、Li、Bから選択される少なくとも一種の酸化物を前記主成分100molに対して、0.1mol〜15.0mol含む試料No.33〜試料No.49、試料No.70〜試料No.78は、高温負荷寿命の劣化の原因と考えられている酸素欠陥の移動を抑制する作用が強くなり、250℃において、より高い高温負荷寿命(750時間以上)が得られることが確認できた。
また、第三の副成分として、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群より選ばれた少なくとも1種の酸化物を、前記主成分100molに対して、0.5mol〜10.0mol含有している試料No.53〜試料No.61、試料No.70〜試料No.78は、250℃における直流耐電圧を高める効果が得られるため、100V/μmのより高い直流耐電圧が得られることが確認できた。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものであることが意図される。
本発明の誘電体組成物は、250℃という高温領域において高い高温負荷寿命を有する為、車載用としてエンジンルームに近接する環境下で適用でき、さらに、SiCやGaN系の半導体を用いたパワーデバイス近傍に搭載される電子部品としての用途にも適用できる。
1 積層セラミックコンデンサ
2 誘電体層
3 内部電極層
4 外部電極
10 コンデンサ素子本体

Claims (4)

  1. 化学式(K1−xNa)SrNb15(但し、0≦x≦0.40)で表されるタングステンブロンズ型複合酸化物を主成分として有する誘電体組成物において、第一の副成分としてGeの酸化物を含み、前記第一の副成分の含有量が主成分100molに対して、2.5molから20.0molであることを特徴とする誘電体組成物。
  2. 第二の副成分として、Mn、Mg、Co、V、W、Mo、Si、Li、Bから選択される少なくとも一種の酸化物を前記主成分100molに対して、0.1mol〜15.0mol含むことを特徴とする請求項1に記載の誘電体組成物。
  3. 更に、第三の副成分として、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群より選ばれた少なくとも1種の酸化物を、前記主成分100molに対して、0.5mol〜10.0mol含有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘電体組成物。
  4. 誘電体層と内部電極層とを有する電子部品であって、前記誘電体層が、請求項1から請求項3のいずれかに記載の誘電体組成物より成ることを特徴とする電子部品。
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