JP6767977B2 - 金属イオン含有セルロース繊維、それを用いた衛生薄葉紙及び吸収性物品 - Google Patents
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Description
この酸化セルロース繊維は表面にカルボキシル基又はカルボキシレート基が局在化しており、様々な用途への展開が期待されている。具体的な利用については、特許文献1にはTEMPO酸化パルプの消臭剤への利用、特許文献2には補強材としての利用が開示されている。
前記金属イオン含有セルロース繊維の平均繊維長が0.5〜2.5mm、平均繊維径が10〜40μmであることが好ましい。
前記金属含有セルロース繊維の絶乾質量に対する前記金属元素イオンの含有量が10〜60mg/gであることが好ましい。
本発明の衛生薄葉紙は、前記金属イオン含有セルロース繊維を2〜30質量%含有することが好ましい。
本発明において、酸化セルロース繊維の製造方法は限定されるものではなく、木材パルプなどのセルロース原料(セルロース繊維)を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する製造方法、又はオゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する製造方法などを例示することができる。
酸基の含有量は、特開2008−001728号公報の段落0021に開示されている方法によって測定できる。すなわち、精秤した乾燥セルロース試料を用いて0.5〜1質量%のスラリー60mLを調製し、0.1mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約2.5とする。その後、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階を示すまでに消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下式を用いて酸基量X1を求める。
X1(mmol/g)=V(mL)×0.05/セルロースの質量(g)
オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
本発明において、酸化セルロース繊維の絶乾質量に対するカルボキシル基又はカルボキシレート基量が0.1〜2.0mmol/gである。
酸基の量が0.1mmol/g未満であると、セルロース繊維表面に存在する後述の金属イオンの量が十分でなく、消臭機能に劣る。酸基の量が2.0mmol/gを超えると、酸化セルロース繊維を用いた抄紙の際のろ水性が悪化し、脱水負荷が大きくなる。
本発明の金属イオン含有セルロース繊維は、上記酸化セルロース繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属元素のイオンを含有し、該金属イオン含有セルロース繊維のカナダ標準濾水度(CSF)が30 〜400mlである。
上述の金属イオンを用いることにより、抗菌機能が付与される。一方、酸化セルロース繊維の酸基のすべてに金属イオンが結合しなくても良く、残存した酸基も臭い成分であるアンモニア等を中和することができ、消臭機能が発揮される。
金属含有イオンセルロース繊維に対する上記金属元素のイオンの含有量の合計が10〜60mg/gであることが好ましい。金属元素のイオンの含有量の合計が10mg/g未満であると、セルロース繊維表面に存在する後述の金属イオンの量が十分でなく、消臭機能に劣ることがある。金属元素のイオンの含有量の合計が60mg/gを超えると、コストアップになることがある。
このように、金属イオン含有セルロース繊維のろ水度(CSF)を30〜400mlとすることで、消臭効果や抗菌効果が向上し、特に、湿潤状態での消臭効果が向上する。
金属イオン含有セルロース繊維のろ水度(CSF)を50〜200mlとすると、消臭効果や抗菌効果が向上し、特に、湿潤状態での消臭効果が向上するので特に好ましい。
金属イオン含有セルロース繊維のろ水度は、叩解処理を施した酸化セルロース繊維に金属イオンを含有させるか、又は金属イオンを含有させたセルロース繊維に叩解処理を施すことによって調整することができる。
平均繊維長、平均繊維径は、金属イオン含有セルロース繊維0.1gを離解し、L&W社製Fiber Testerを用いて長さ加重平均繊維長と、長さ加重平均繊維径を算出して求める。
本発明の衛生薄葉紙は、上記した金属イオン含有セルロース繊維を含有する。本発明の衛生薄葉紙が上記した金属イオン含有セルロース繊維を2〜30質量%含有することが好ましい。
上記したように、金属イオン含有セルロース繊維のろ水度(CSF)を30〜400mlとすることで、消臭効果や抗菌効果が向上する。このため、衛生薄葉紙中の金属イオン含有セルロース繊維の含有割合を少なくしても、消臭機能が低下しないので、高価な金属イオン含有セルロース繊維を低減してコストダウンを図ることができる。
衛生薄葉紙中の金属イオン含有セルロース繊維の割合が2質量%未満であると、消臭機能が低下する場合がある。金属イオン含有セルロース繊維の割合が30質量%を超えるとコストアップとなる場合がある。
DMD及びDCDは、それぞれ衛生薄葉紙の乾燥時のMD方向及びCD方向の引張り強さであり、JIS P8113に従って測定する。但し、測定時の試料幅は25mmとし、DMD及びDCDの単位は「N/m」とする。
ヤンキードライヤーとリールの速度差に基づくクレープ率は次式により定義される。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
クレープの品質やクレーピングの操業性は、クレープ率によってほぼ決まり、本発明において、クレープ率は10〜50%の範囲が好適である。
次に、本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品(パンツ型紙おむつ)200の外観図である。吸収性物品200は、吸水性を有する吸水性物品本体部20と、吸水性物品本体部20を内部に保持してパンツ形状をなす外装体100とを備えている。
外装体100には、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなり、スパンボンドやエアースルー製法で製造された不織布を用いることができる。又、外装体100は、少なくとも外装シートと内装シートとを有する2枚以上のシートを積層して構成することが好ましい。
吸水性物品本体部20は細長く、長手方向中央部付近がやや幅狭になっていて、吸収性物品200の股間に配置されている。
1つの吸水性物品本体部20につき、吸収コアとそれを包むコアラップシートは1つでもよく、複数でもよい。
バックシート6は、吸水性物品本体部20内において保持している液体などが下着に漏れないような防水性を有する液不透過性の材料から形成されていればよく、通気性のポリエチレンフィルムなどの薄いプラスチックフィルムとすることができる。また、バックシート6として透湿性のフィルムを用い、ムレを低減してもよい。
上記した実施形態では、金属イオン含有セルロース繊維を衛生薄葉紙に抄紙したが、他の各種紙(段ボール、コピー用紙、印刷用紙等)を抄紙してもよく、紙の種類は限定されない。
又、上記コアラップシートは、吸収コアを被覆するものにかぎらず、吸収コアの表面に積層して使用してもよい。又、吸収コアを複数積層する場合には、各吸収コアの間にコアラップシートを介装してもよい。
[実施例1]
セルロース原料(針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプを分離・水洗することで酸価1.6mmol/gの酸化セルロース繊維を得た。
なお、図3に示すように、実施例1の叩解後の酸化セルロース繊維を透過型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維の一部がナノファイバー化され、この微細なナノファイバーが矢印の領域で分散して(広がって)、表面積が増大していることが確認された。
金属イオン含有セルロース繊維0.1gを離解し、L&W社製Fiber Testerを用いて長さ加重平均繊維長と、長さ加重平均繊維径を算出した。
酸化パルプのカルボキシル基量は、次の方法で測定した:
酸化パルプの0.5質量%スラリーを60ml調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:カルボキシル基量〔mmol/g酸化パルプ〕= a〔ml〕× 0.05/酸化パルプ質量〔g〕。
セルロース原料(針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプを分離・水洗することで酸価1.6mmol/gの酸化セルロース繊維を得た。
次に上記で得られた酸化セルロース繊維を、ナイアガラビーターを用いて、カナダ標準濾水度(CSF)が230mlになるまで叩解処理を行った。叩解処理を施した後の酸化セルロース繊維の繊維長/繊維径は、0.8mm/20μmであった。
参考例1の叩解処理後の酸化セルロース繊維(濾水度230ml)を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.0mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させ後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、32mgであった。
金属イオン酸化セルロース繊維を、60℃にて絶乾とした。その後、乾燥させたこの試料0.04gを採取し、濃硝酸を10mL加えた。この抽出液を10倍希釈し、誘導結合プラズマ発行分光分析法(ICP−OES、島津製作所製:ICPE-9000)を用いて金属イオン含有量を測定した。
金属塩水溶液としてCuCl2をAgNO3水溶液、pH7に変更した以外は実施例2と同様にして金属イオン含有セルロース繊維を得た。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、20mgであった。
参考例1で得られた酸化セルロース繊維(叩解処理前)を、ナイアガラビーターを用いて、カナダ標準濾水度(CSF)が35mlになるまで叩解処理を行った。叩解処理を施した後の酸化セルロース繊維の繊維長/繊維径は、0.6mm/18μmであった。
この酸化セルロース繊維を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.6mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させた後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、33mgであった。
参考例1で得られた酸化セルロース繊維(叩解処理前)を、ナイアガラビーターを用いて、カナダ標準濾水度(CSF)が380mlになるまで叩解処理を行った。叩解処理を施した後の酸化セルロース繊維の繊維長/繊維径は、2.2mm/25μmであった。
上記で得られた酸化セルロース繊維を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.6mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させ後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、30mgであった。
参考例1の叩解処理後の酸化セルロース繊維(濾水度230ml)を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.6mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させ後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、50mgであった。
参考例1の叩解処理後の酸化セルロース繊維(濾水度230ml)を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり0.5mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させ後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、15mgであった。
参考例1で得られた酸化セルロース繊維(叩解処理前)を、ナイアガラビーターを用いて、カナダ標準濾水度(CSF)が50mlになるまで叩解処理を行った。叩解処理を施した後の酸化セルロース繊維の繊維長/繊維径は、0.7mm/18μmであった。
上記で得られた酸化セルロース繊維を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.6mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させ後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、30mgであった。
参考例1で得られた酸化セルロース繊維(叩解処理前)を、ナイアガラビーターを用いて、カナダ標準濾水度(CSF)が180mlになるまで叩解処理を行った。叩解処理を施した後の酸化セルロース繊維の繊維長/繊維径は、0.8mm/20μmであった。
上記で得られた酸化セルロース繊維を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.6mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させ後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、30mgであった。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプを用いた。金属イオンは含有させなかった。
参考例1で得られた酸化セルロース繊維(叩解処理前)を、ナイアガラビーターを用いて、カナダ標準濾水度(CSF)が550mlになるまで叩解処理を行った。叩解処理を施した後の酸化セルロース繊維の繊維長/繊維径は、3.0mm/29μmであった。
この酸化セルロース繊維を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.6mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させ後に、洗浄して未反応の金属塩を除去した。得られた金属イオン含有セルロース繊維の金属イオン含有量は金属イオン含有セルロース繊維1g当たり、31mgであった。
セルロース原料(針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプを分離・水洗することで酸価1.6mmol/gの酸化セルロース繊維を得た。
さらに、上記で得られた酸化セルロース繊維を、pH9にし、酸化セルロース繊維1g当たり1.6mmolの金属塩(CuCl2)水溶液を加えて撹拌し酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させた後に、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えて還元して粒子を生成させた。洗浄して未反応の金属塩を除去し、金属粒子が30mg/gの金属粒子担持セルロース繊維を得た。
なお、金属粒子の存在は走査型電子顕微鏡像で確認した。また、金属粒子担持量は上述の金属イオン含有量と同様の測定で得られた値である。
酸化セルロース繊維、金属イオン含有セルロース繊維、金属粒子担持セルロース繊維、クラフトパルプをそれぞれ10g(絶乾)コック付きガスバッグに、アンモニア水溶液(アンモニア水2mL:水2mL)の飽和ガスを1.2mL注射器で挿入し、さらにエアーポンプにて空気を1.5L充填した。上記飽和ガスは、アンモニア水溶液が入っている密閉容器の気相から採取した。飽和ガス及び空気を充填後のガスバッグ中のアンモニアガス濃度は80〜90ppmであった。次に、検知管に吸引器とゴムチューブを繋ぎ、ゴムチューブをガスバッグに繋いだ。そして、空気を充填してから50分経過後のガスバッグ内のアンモニアガス濃度を測定した。
○:消臭効果が良い
△:消臭効果がわずかにある
×:消臭効果がほとんどない
一方、酸化セルロース繊維を用いず、金属元素のイオンも含有しない比較例1の場合、消臭効果がほとんど無かった。
カナダ標準濾水度が400mlを超えた比較例2、及び金属元素のイオンの代わりに金属粒子を含有した比較例3の場合、消臭効果が十分ではなかった。
なお、金属元素のイオンを含有しないが、カルボキシル基を有し、濾水度が30〜400mlである酸化セルロース繊維を用いた参考例の場合、消臭効果がわずかに見られた。これは、酸化セルロース繊維の一部が叩解でナノファイバー化され、ナノファイバー化した部位では表面積が増大し、消臭効果を生じたためと考えられる。
乾燥重量で5.00gの未乾燥の針葉樹漂白クラフトパルプ、39mgの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)及び514mgの臭化ナトリウムを水500mlに分散させた後、15質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプ(絶乾)に対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.5mmolとなるように加えて反応を開始した。反応中は3MのNaOH水溶液を滴下してpHを10.0に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を2回繰り返し、固形分量15質量%の水を含浸させたTEMPO酸化セルロース繊維を得た。
このTEMPO酸化セルロース繊維はその表面にカルボキシル基またはカルボキシレート基を有する。金属イオンを含有する前のTEMPO酸化セルロース繊維の酸基量(酸化セルロース繊維1g当たり)を表2に示す。
なお、図3に示すように、実施例14の叩解後の金属イオン含有セルロース繊維を透過型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維の一部がナノファイバー化され、この微細なナノファイバーが矢印の領域で分散して(広がって)、表面積が増大していることが確認された。
次に、叩解後の金属イオン含有セルロース繊維と、パルプ(NBKP及びLBKP)とを、表3に示す配合比で配合してパルプスラリーを調製し、抄紙して各実施例及び比較例のコアラップシートを製造した。
比較例13として、市販の金属(Cu及びAg)イオン担持ゼオライト高密度結晶化パルプ(商品名セルガイア(登録商標))を配合し、抄紙してコアラップシートを製造した。
<坪量>
得られたコアラップシートの坪量を、JIS P 8124に従って測定した。
<強度>
得られたコアラップシートを、吸収性物品加工機に装入して吸収性物品を製造する際、コアラップシートの紙切れの有無を検査し、強度を評価した。評価が◎か○であれば、実用上問題はない。
◎:非常に良い(12時間製造の間、紙切れ発生なし)
〇:良い(12時間製造の間、紙切れ2回以下)
×:悪い(12時間製造の間、紙切れ3回以上)
5cm×5cmの試験片が4枚入ったコック付きガスバッグに、アンモニア水溶液(アンモニア水2mL:水2mL)の飽和ガスを1.2mL注射器で挿入し、さらにエアーポンプにて空気を1.5L充填した。上記飽和ガスは、アンモニア水溶液が入っている密閉容器の気相から採取した。飽和ガス及び空気を充填後のガスバッグ中のアンモニアガス濃度は80〜90ppmであった。次に、検知管に吸引器とゴムチューブを繋ぎ、ゴムチューブをガスバッグに繋いだ。そして、空気を充填してから50分経過後のガスバッグ内のアンモニアガス濃度を測定した。
◎:非常に良い 残存濃度が初期の1/5以下
○:良い 残存濃度が初期の1/5を超え1/4以下
△:普通 残存濃度が初期の1/4を超え1/3以下
×:悪い 残存濃度が初期の1/3超え
また、試験片1gに対して5gの割合で精製水を滴下した後、同様に評価して湿潤状態の消臭効果を評価した。
評価が◎か○であれば、実用上問題はない。
JIS B9923(タンブリング法)に準じてコアラップシートの発塵試験を行い、パーティクルカウンター(リオン製、製品名「KC−01D1」)にて測定を行った。次の基準で評価した。評価が良いほど紙粉やゼオライト等の微粉の落下が少ない。評価が◎か○であれば、実用上問題はない。
◎:非常に良い
○:普通
×:悪い
一方、金属イオン含有セルロース繊維のろ水度が50ml未満である比較例11の場合、金属イオン含有セルロース繊維が完全にナノファイバー化(完全離解)して紙中に残る割合が少なく、消臭機能が各実施例よりも大幅に劣った。
金属イオン含有セルロース繊維のろ水度が200mlを超えた比較例12,14の場合も、金属イオン含有セルロース繊維の割合が少ない(10質量%)ことと相俟って、湿潤状態での消臭機能が各実施例よりも大幅に劣った。なお、比較例14は、金属イオン含有セルロース繊維を叩解せずに用いた。
金属担持ゼオライト高密度結晶化パルプ(商品名セルガイア(登録商標))を配合して抄紙した比較例13の場合、紙粉等の微粉の落下が顕著であり、強度が低下した。又、湿潤状態でゼオライトが水分を吸着してしまい、消臭機能が各実施例よりも大幅に劣った。
4a、4b 吸収コア
20 吸水性物品本体部
10a、10b コアラップシート
200 吸水性物品
Claims (7)
- 酸化セルロース繊維の絶乾質量に対するカルボキシル基又はカルボキシレート基量が0.1〜2.0mmol/gである酸化セルロース繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属元素のイオンを含有し、
前記金属元素のイオンが、前記カルボキシレート基又はカルボキシレート基とイオン結合を形成、または配位し、
前記金属イオン含有セルロース繊維のカナダ標準濾水度が30〜400mlである金属イオン含有セルロース繊維。 - 前記金属イオン含有セルロース繊維のカナダ標準濾水度が50〜200mlである請求項1記載の金属イオン含有セルロース繊維。
- 前記金属イオン含有セルロース繊維の平均繊維長が0.5〜2.5mm、平均繊維径が10〜40μmである請求項1又は2に記載の金属イオン含有セルロース繊維。
- 前記金属イオン含有セルロース繊維の絶乾質量に対する前記金属元素イオンの含有量が10〜60mg/gである請求項1又は2記載の金属イオン含有セルロース繊維。
- 請求項2、又は請求項2に従属する請求項3若しくは4記載の金属イオン含有セルロース繊維を含有する衛生薄葉紙。
- 前記金属イオン含有セルロース繊維を2〜30質量%含有する請求項5記載の衛生薄葉紙。
- 吸収コアと、前記吸収コアを被覆し、又は前記吸収コアに積層されるコアラップシートと、前記コアラップシートの少なくとも一方の面を覆う液透過性の外層シートと、を有する吸収性物品であって、
前記コアラップシートは、請求項5又は6に記載の衛生薄葉紙である、吸収性物品。
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