本発明の好ましい形態を以下に示す。
本発明において、複数の検出素子部は、被検出体の回転軸と直交する仮想平面上に配置されていてもよい。本明細書において、回転軸とは、被検出体が回転運動するときの、その中心となる固定した仮想直線を意味し、仮想平面は、回転軸と直交する仮想的な平面のうち、複数の検出素子部をいずれも通る平面を意味する。
この構成によれば、被検出体の回転軸の方向において、複数の検出素子部及び固定部材が一体化された部分のサイズが抑えられる。
本発明において、少なくとも2つの検出素子部が、被検出体の周方向において異なる位置に配置され且つ異なるタイミングでパルスを発生させる構成となっていてもよい。
このように、少なくとも2つの検出素子部において異なるタイミングでパルスが発生する構成となっていれば、車輪が所定の回転方向に回転する場合のパルスの発生順序と、それとは逆方向に回転する場合のパルスの発生順序とが異なるようになる。つまり、車輪の回転方向を特定し得る構成となる。
本発明において、複数の検出素子部は、被検出体の回転軸と平行な方向に並んでいてもよい。
この構成によれば、被検出体の回転軸と直交する方向において、複数の検出素子部及び固定部材が一体化された部分のサイズが抑えられる。
本発明は、複数の検出素子部をいずれも被覆する樹脂モールド部を有していてもよい。
このように樹脂モールド部内に複数の検出素子部がいずれも埋設された構成とすれば、車輪速センサをより小型化しやすくなる。
本発明において、検出素子部は、出力電線部に接続される端子部を備えていてもよい。更に、本発明は、複数の検出素子部を保持するとともに、各々の検出素子部に対応する端子部における出力電線部との接続面の向きを定めるホルダ部を有していてもよい。
この構成によれば、複数の検出素子部をホルダ部によってまとめて保持することができ、複数の検出素子部の保持構造をより簡素化、小型化することできる。更に、各々の端子部において接続面(出力電線部と接続する面)の向きを安定的に定めることができる。
本発明において、ホルダ部は、複数の検出素子部のうち一の検出素子部に設けられた端子部を、被検出体の回転軸と直交する所定方向の一方側に配置し、他の検出素子部に設けられた端子部を、所定方向の他方側に配置する構成であってもよい。更に、ホルダ部は、所定方向の一方側に配置された端子部における出力電線部との接続面を所定方向の一方側に向け、所定方向の他方側に配置された端子部における出力電線部との接続面を所定方向の他方側に向けた形態で、複数の検出素子部を保持する構成であってもよい。
この構成によれば、所定方向の一方側の端子部と他方側の端子部とで接続面の向きを異ならせることができる。これにより、複数の検出素子部をよりコンパクトに配置して端子部をより近い位置に密集させた構成であっても、端子部と出力電線部との接合が良好に行われやすくなる。
本発明において、固定部材は、当該固定部材を車両に連結するための連結部材が挿し通される挿通孔部を備え、複数の検出素子部は、被検出体の周方向において挿通孔部を挟んだ一方側に第1の検出素子部が配置され、挿通孔部を挟んだ他方側に第2の検出素子部が配置されていてもよい。
このように、固定部材に挿通孔部(車両に連結するための連結部材が挿し通される孔部)を設け、その両側に第1の検出素子部と第2の検出素子部を配置すれば、より一層のリスク分散が図られる。例えば、飛び石などによっていずれか一方の検出素子部に衝撃が加わっても、挿通孔部を挟んだ反対側の検出素子部には衝撃の影響が及びにくくなるため、2つの検出素子部が同時に故障する可能性をより低くすることができる。
<実施例1>
以下、実施例1を図1〜図10に基づいて説明する。
本実施例、及び本実施例以外のいずれの例の車輪速センサも、例えば、制動時の車輪のロックを防止するアンチロックブレーキシステムの一部として、車輪の回転速度を計測するために用いることができる。
図5で示されるように、車輪速センサ1は、車輪と共に回転するロータR(図3、図8)の回転による磁界変動を検出して電気信号に変換する複数の検出素子部11,12と、複数の検出素子部11,12の各々に対応する出力経路として構成され、各々の検出素子部11,12の出力に応じた信号を伝送する複数の出力電線部41,42と、車両に固定される部材として構成され、複数の検出素子部11,12を一体的に保持する固定部材3とを有する。出力電線部41は、具体的には2本の出力電線部41A,41Bによって構成され、出力電線部42は、具体的には2本の出力電線部42A,42Bによって構成される。以下では、これらの部品及びその他の部品について詳述する。
本構成では、固定部材3の長手方向を上下方向とし、樹脂モールド部5の長手方向を前後方向とする。そして、上下方向及び前後方向と直交する方向を左右方向とする。なお、以下では、ロータRの回転軸の方向が前後方向であり、複数の検出素子部11,12が並ぶ方向が左右方向である構成を代表例として説明する。前後方向については、検出素子部11,12が配置される側を前方、ワイヤハーネス40が配置される側を後方とする。上下方向については、樹脂モールド部5が配置される側を上側、挿通孔部3Aが配置される側を下側とする。
図3のように、車輪速センサ1は、車両本体に回転可能に保持された車輪(図示は省略)と一体的に回転するロータRに対向するように、車両本体に対して相対移動不能に固定される。車輪速センサ1の配置は、2つの検出素子部11,12のそれぞれがロータRの回転による磁気変動を検出し得る配置であればよい。例えば、図3において実線で示されるロータRの例のように、2つの検出素子部11,12の前面をロータRの板面(具体的には、板面の外縁部付近)に向けて配置する対向配置であってもよく、図3において二点鎖線で仮想的に示される例のように、ロータR2の外周面に対向するように2つの検出素子部11,12が配置される対向配置であってもよい。以下では、図3、図8で示されるロータRの例を代表例として説明する。
ロータRは、被検出体の一例に相当し、図3にはその一部のみが概略的に図示されている。このロータRは、例えば、環状又は円板状等の形状をなしており、厚さ方向の回転軸を中心として回転する。ロータRは、例えば外周縁が回転軸を中心とする円形状の外縁となっており、この外周縁に沿ってS極磁性部RAとN極磁性部RBとが同サイズで交互に配列されている。そして、車両の走行により車輪が回転した場合、車輪と一体的にロータRが回転し、ロータRにおいて、検出素子部11に対向する部分の磁性がN極とS極とに交互に切り替わり、検出素子部12に対向する部分の磁性もN極とS極とに交互に切り替わる。なお、図2〜図4では、ロータRの回転軸の方向と平行な方向を矢印F1で示す。
車輪速センサ1は、図1〜図3のような外観をなし、図4のような内部構成となっている。図4のように、車輪速センサ1は、主として、検出信号を発生させる電気部品である検出ユニット10と、検出ユニット10を保持する部分であるホルダ部7と、検出ユニット10を覆うカバーとしての樹脂モールド部5と、図示しない車両側に固定される固定部材3とを含んで構成されている。樹脂モールド部5の一端側には検出素子部11,12が埋め込まれ、樹脂モールド部5の他端側からはワイヤハーネス40が延出している。
図5のように、検出ユニット10は、検出素子部11を含んでなる第1検出ユニット10Aと、検出素子部12を含んでなる第2検出ユニット10Bとを備える。第1検出ユニット10Aは、矩形状且つ板状の検出素子部11と、この検出素子部11に接続される2本の端子部21A,21B(図7)と、この2本の端子部21A,21Bに跨って接続された略直方体形状のコンデンサ15A(図4)とを有する。第2検出ユニット10Bは、矩形状且つ板状の検出素子部12と、この検出素子部12に接続される2本の端子部22A,22B(図7)と、この2本の端子部22A,22Bに跨って接続された略直方体形状のコンデンサ15B(図8)とを有する。
図5、図6で示される検出素子部11,12は、それぞれがホール素子を含んだホールICとして構成され、いずれも磁界変動を電気信号に変換して出力する素子部として構成される。検出素子部11,12は、いずれも略板状に構成され、板厚方向を前後方向とするように配置される。更に、これら検出素子部11,12は、ロータRの回転軸と直交する仮想平面Z上に位置し、ロータRの周方向に沿って並んでいる。
図7で示される端子部21A,21Bは、図6で示される検出素子部11に対応して設けられ、各々の一端側が検出素子部11に接続され、各々の他端側は、出力電線部41A,41Bにそれぞれ接続されている。図4のように、端子部21Bは、板状のリード部材として構成され、その一端寄り(前端寄り)の部分は上下方向に沿って下方側に延びる下方延出部23Bとして構成され、この下方延出部23Bから折れ曲がるように前後方向に対して傾斜した傾斜延出部24Bが構成されている。端子部21Aも同様であり、板状のリード部材として構成され、図示はしていないが一端寄り(前端寄り)の部分が下方延出部23Bと略平行に下方側に延びる下方延出部として構成され、この下方延出部ら折れ曲がるように前後方向に対して傾斜した傾斜延出部24A(図7)が傾斜延出部24Bと略平行に構成されている。
そして、端子部21A,21Bの両下方延出部に検出素子部11が接続され、端子部21A,21Bの両傾斜延出部に跨ってコンデンサ15A(図4)が設けられている。図4のように、コンデンサ15Aは端子部21A,21Bよりも上方に突出している。図7のように、端子部21A,21Bにおいて、傾斜延出部24A,24Bのそれぞれの後端寄り部分の上面は、出力電線部41A,41Bと接続される接続面31A,31Bとして構成される。接続面31A,31Bは、上方側且つ後方側を向くような斜め上向きの配置であり、これら接続面31A,31Bに対して、出力電線部41A,41Bがそれぞれ半田付けなどにより接続されている。2本の出力電線部41A,41Bは、いずれも導体である銅やアルミニウムその他の金属線の複数を束ね合わせた芯線44がエチレン系樹脂やスチレン系樹脂等の電気絶縁性を有する被覆部材46で覆われた構造とされており、各々の芯線44が端子部21A,21Bにそれぞれ半田付けされている。
図7で示される端子部22A,22Bは、図6で示される検出素子部12に対応して設けられ、各々の一端側が検出素子部12に接続され、各々の他端側は、出力電線部42A,42Bにそれぞれ接続されている。図9のように、端子部22Bは、板状のリード部材として構成され、その一端寄り(前端寄り)の部分は上下方向に沿って下方側に延びる下方延出部26Bとして構成され、この下方延出部26Bから折れ曲がるように前後方向に対して傾斜した傾斜延出部27Bが構成されている。端子部22Aも同様であり、板状のリード部材として構成され、図示はしていないが一端寄り(前端寄り)の部分が下方延出部26Bと略平行に下方側に延びる下方延出部として構成され、この下方延出部ら折れ曲がるように前後方向に対して傾斜した傾斜延出部27A(図7)が傾斜延出部27Bと略平行に構成されている。
そして、端子部22A,22Bの両下方延出部に検出素子部12が接続され、端子部22A,22Bの両傾斜延出部に跨ってコンデンサ15B(図9)が設けられている。コンデンサ15Bは端子部22A,22Bよりも上方に突出している。図7のように、端子部22A,22Bにおいて、傾斜延出部27A,27Bのそれぞれの後端寄り部分の上面は、出力電線部42A,42Bと接続される接続面32A,32Bとして構成される。接続面32A,32Bは、上方側且つ後方側を向いた斜め上向きの配置となっており、これら接続面32A,32Bに対して、出力電線部42A,42Bがそれぞれ半田付けなどにより接続されている。2本の出力電線部42A,42Bは、出力電線部41A,41Bと同様に構成され、芯線44が被覆部材46で覆われた構造とされており、各々の芯線44が端子部22A,22Bにそれぞれ半田付けされている。
ホルダ部7は、複数の検出素子部11,12を保持するとともに、検出素子部11に対応する端子部21A,21Bの接続面31A,31B(出力電線部41A,41Bと接続する面)の向きを定め、検出素子部12に対応する端子部22A,22Bの接続面32A,32B(出力電線部42A,42Bと接続する面)の向きを定めるように機能する。具体的には、ホルダ部7は、前端部に検出素子部11,12を配置し、検出素子部11,12のぞれぞれの板面を前方側に向けた状態でこれらを保持し、検出素子部11に接続される端子部21A,21Bと、検出素子部12に接続される端子部22A,22Bとを上述した配置状態で保持している。このホルダ部7は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により形成されている。このホルダ部7は、例えば、検出ユニット10を所定の配置に保った状態で射出成形等がなされることにより検出ユニット10と一体的に形成される。
図4のように、樹脂モールド部5は、上述した検出ユニット10とワイヤハーネス40の端部を覆うように配置され、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により形成されている。具体的には、例えば射出成形等によって検出ユニット10とホルダ部7とが一体化された成形体2が構成され、この成形体2に対して出力電線部41A,41B,42A,42Bが接合された後に、上述の成形体2と出力電線部41A,41B,42A,42Bとを接合してなる構造体(図6、図7の構成)に対し、射出成形等がなされることによって形成される。
具体的には、成形体2と出力電線部41A,41B,42A,42Bとを接合してなる構造体(図6、図7の構成)の一部を、図5のように、固定部材3の貫通孔部3Bに挿し通した状態で維持し、この状態で射出成形等がなされることによって図4のような樹脂モールド部5が形成される。このような樹脂モールド部5により、複数の検出素子部11,12がいずれも被覆され、複数の検出素子部11,12は樹脂モールド部5内に埋設される。
ワイヤハーネス40は、図6、図7で示す4本の出力電線部41A,41B,42A,42Bを束ねて樹脂被覆などを行うことにより、1本のワイヤとしたものである。このワイヤハーネス40は、出力電線部41を構成する2本の出力電線部41A,41Bと、出力電線部42を構成する2本の出力電線部42A,42Bとがそれぞれまとめられ、それぞれがシース電線として構成されていてもよく、4本の出力電線部41A,41B,42A,42Bが一括して樹脂被覆されていてもよい。図1等の例では、出力電線部41,42をそれぞれ構成する2本のシース電線51,52がゴムチューブ60でまとめられた形となっている。出力電線部41を構成するシース電線51は、コネクタ71に接続され、出力電線部42を構成するシース電線51は、コネクタ72に接続される。コネクタ71,72は、車両に搭載された制御装置などに接続するためのものである。
図1、図4等のように、固定部材3は、長手状且つ板状に構成されており、長手方向の一方側には板厚方向に貫通した孔部である挿通孔部3Aが形成されている。一方、長手方向の他方側には板厚方向に貫通した孔部である貫通孔部3Bが形成されている。挿通孔部3Aは、ボルト等の連結部材を挿し通す孔部として構成され、内周部にはC字形状の金属製の保持リング3Cが嵌め込まれている。図4のように、貫通孔部3B内には上述した成形体2が挿し通されており、貫通孔部3Bの周辺と成形体2とが樹脂モールド部5によって固定され、一体化されている。このように構成される固定部材3は、挿通孔部3A内に挿し通され且つ車両側に連結されるボルトによって車両の適所に固定される。
このように構成される車輪速センサ1では、複数の検出素子部11,12がいずれも、ロータR(被検出体)の回転軸と直交する所定の仮想平面Z上に配置される。図2〜図4では、この仮想平面Zの位置を二点鎖線にて概念的に示している。
具体的には、検出素子部11,12は、いずれもS極とN極の磁界の切り替わりを検出し、検出素子部11の位置の磁界がS極からN極に切り替わったときに一定電圧以上のHレベル信号を出力し、そのHレベル信号をN極からS極に切り替わるまで維持する。また、検出素子部11の位置の磁界がN極からS極に切り替わったときに一定電圧未満のLレベル信号を出力し、そのLレベル信号をS極からN極に切り替わるまで維持する。検出素子部11から出力されるHレベル信号及びLレベル信号は、図7で示される端子部21A,21Bを介して出力電線部41A,41Bに出力され、出力電線部41A,41Bにおいて信号に応じた電位差となる。検出素子部12から出力されるHレベル信号及びLレベル信号は、図7で示される端子部22A,22Bを介して出力電線部42A,42Bに出力され、出力電線部42A,42Bにおいて信号に応じた電位差となる。
2つの検出素子部11,12は、ロータRの周方向において異なる位置に配置され且つ異なるタイミングでパルスを発生させる構成となっている。例えば、ロータRが所定の正方向に回転している正転状態では、検出素子部11,12から出力されるパルスの波形は図10(A)のようになり、検出素子部12(第2検出素子部)からHレベル信号が出力された後に、検出素子部11(第1検出素子部)からHレベル信号が出力される出力順序となる。具体的には、検出素子部12から出力されるHレベル信号の立ち上がりタイミングの後に、検出素子部11から出力されるHレベル信号の立ち上がりタイミングが到来し、その後、検出素子部12から出力されるHレベル信号の立ち下がりタイミング、検出素子部11から出力されるHレベル信号の立ち下がりタイミングが順次到来する。本構成の車輪速センサ1では、このような順序で各信号が発生した場合に、ロータRの回転方向、即ち車輪の回転方向が正方向であると判定することができる。
一方、ロータRが上記正方向とは反対の逆方向に回転している逆転状態では、検出素子部11,12から出力されるパルスの波形は図10(B)のようになり、検出素子部11(第1検出素子部)からHレベル信号が出力された後に、検出素子部12(第2検出素子部)からHレベル信号が出力される出力順序となる。具体的には、検出素子部11から出力されるHレベル信号の立ち上がりタイミングの後に、検出素子部12から出力されるHレベル信号の立ち上がりタイミングが到来し、その後、検出素子部11から出力されるHレベル信号の立ち下がりタイミング、検出素子部12から出力されるHレベル信号の立ち下がりタイミングが順次到来する。本構成の車輪速センサ1では、このような順序で各信号が発生した場合に、ロータRの回転方向、即ち車輪の回転方向が逆方向であると判定することができる。つまり、本構成によれば、ロータRの回転方向、即ち車輪の回転方向の正逆判定が可能となる。
以上の通り、本構成は、車輪と共に回転するロータR(被検出体)の回転による磁界変動を検出し得る複数の検出素子部11,12が設けられ、それら検出素子部11,12の各々に対応する出力経路として出力電線部41,42が設けられている。よって、車輪速を反映した検出信号を複数系統で出力させることができる。更に、車両に固定される部材として固定部材3が設けられ、この固定部材3は、複数の検出素子部11,12を一体的に保持する構成をなす。この構成によれば、複数の車輪速センサを別個に車両に取り付けて多重化を図る構成と比較して、部品点数、取付工数、取付スペースを抑えることができる。
本構成では、複数の検出素子部11,12が、ロータR(被検出体)の回転軸と直交する仮想平面Z上に配置されている。よって、ロータR(被検出体)の回転軸の方向において、複数の検出素子部11,12及び固定部材3が一体化された部分のサイズが抑えられる。
本構成では、少なくとも2つの検出素子部11,12が、ロータR(被検出体)の周方向において異なる位置に配置され且つ異なるタイミングでパルスを発生させる構成となっている。よって、車輪が所定の回転方向に回転する場合のパルスの発生順序と、それとは逆方向に回転する場合のパルスの発生順序とが異なるようになる。つまり、車輪の回転方向を特定し得る構成となる。
本構成は、樹脂モールド部5が、複数の検出素子部11,12をいずれも被覆する構成となっている。このように樹脂モールド部5内に複数の検出素子部11,12がいずれも埋設された構成とすれば、車輪速センサをより小型化しやすくなる。
本構成では、検出素子部11,12は、出力電線部41,42に接続される端子部21A,21B,22A,22Bを備えており、ホルダ部7は、複数の検出素子部11,12を保持するとともに、検出素子部11,12の各々に対応する端子部における出力電線部41,42との接続面31A,31B,32A,32Bの向きを定める構成となっている。この構成によれば、複数の検出素子部11,12をホルダ部7によってまとめて保持することができ、複数の検出素子部11,12の保持構造をより簡素化、小型化することできる。更に、端子部21A,21B,22A,22Bの各々において接続面31A,31B,32A,32B(出力電線部と接続する面)の向きを安定的に定めることができる。
<実施例2>
実施例2を図11〜図20に基づいて説明する。なお、以下では、実施例1と同様の構成の部分については、実施例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施例2の車輪速センサ201は、図11〜図13のような外観をなし、図14のような内部構成となっている。なお、図14は、図12のC−C断面が概略的に示されているが、樹脂モールド部205の内部については側面図を示している。図14で示されるように、車輪速センサ201は、車輪と共に回転するロータR(図13、図18)の回転による磁界変動を検出して電気信号に変換する複数の検出素子部211,212と、複数の検出素子部211,212の各々に対応する出力経路として構成され、各々の検出素子部211,212の出力に応じた信号を伝送する複数の出力電線部41,42(図16)と、車両に固定される部材として構成され、複数の検出素子部211,212を一体的に保持する固定部材203とを有する。
本構成では、固定部材203の長手方向を左右方向とし、樹脂モールド部205の長手方向を前後方向とする。そして、左右方向及び前後方向と直交する方向を上下方向とする。以下では、ロータRの回転軸の方向が前後方向であり、複数の検出素子部211,212が並ぶ方向が前後方向である構成を代表例として説明する。前後方向については、検出素子部211,212が配置される側を前方、ワイヤハーネス40が配置される側を後方とする。なお、図18は、車輪速センサ201の左右方向(固定部材203の長手方向)が、ロータRの回転半径方向(図面上下方向)となるように取り付けた例を示すものである。
図13のように、車輪速センサ201は、車輪と一体的に回転するロータRに対向するように、車両本体に対して相対移動不能に固定される。車輪速センサ201の配置は、例えば、図13において実線で示されるロータRの例のように、2つの検出素子部211,212の重なる方向(前後方向)が、ロータRの回転軸と平行な方向となるような対向配置であってもよく、図13において二点鎖線で仮想的に示される例のように、ロータR2の外周面と対向するように2つの検出素子部211,212が配置され、ロータR2の回転軸と直交する半径方向に2つの検出素子部11,12が並ぶような対向配置であってもよい。以下では、図13、図18で示されるロータRの例を代表例として説明する。なお、ロータRそのものの構成は実施例1と同様である。図12〜図14では、ロータRの回転軸の方向と平行な方向を矢印F1で示す。
図14のように、車輪速センサ201は、主として、検出信号を発生させる電気部品である検出ユニット210と、検出ユニット210を保持する部分であるホルダ部207と、検出ユニット210を覆うカバーとしての樹脂モールド部205と、図示しない車両側に固定される固定部材203とを含んで構成されている。樹脂モールド部205の一端側には検出素子部211,212が埋め込まれ、樹脂モールド部205の他端側からはワイヤハーネス40が延出している。
図17のように、検出ユニット210は、検出素子部211を含んでなる第1検出ユニット210Aと、検出素子部212を含んでなる第2検出ユニット210Bとを備える。図18のように、第1検出ユニット210Aは、矩形状且つ板状の検出素子部211と、この検出素子部211に接続される2本の端子部221A,221Bと、この2本の端子部221A,221Bに跨って接続された略直方体形状のコンデンサ215Aとを有する。第2検出ユニット210Bは、矩形状且つ板状の検出素子部212と、この検出素子部212に接続される2本の端子部222A,222Bと、この2本の端子部222A,222Bに跨って接続された略直方体形状のコンデンサ215Bとを有する。
検出素子部211,212は、実施例1の検出素子部11,12と同様のホールICであり、それぞれが検出素子部11,12と同様に機能し、いずれもS極とN極の磁界の切り替わりを検出し、配置位置の磁界がS極からN極に切り替わったときに一定電圧以上のHレベル信号を出力し、N極からS極に切り替わったときに一定電圧未満のLレベル信号を出力する。検出素子部211,212は、いずれも略板状に構成され、板厚方向を前後方向とするように配置される。これら検出素子部211,212は、ロータRの回転軸と平行な方向(即ち前後方向)に並んでいる。
図17、図18のように、端子部221A,221Bは、検出素子部211に対応して設けられ、各々の一端側が検出素子部211に接続され、各々の他端側は、出力電線部41A,41B(図16)にそれぞれ接続されている。端子部221Aは、板状のリード部材として構成され、その一端寄り(前端寄り)の部分は左右方向に延びる左右延出部223Aとして構成され、この左右延出部223Aの端部から折れ曲がるように前後方向に延びる前後延出部224Aが構成されている。端子部221Bも同様であり、板状のリード部材として構成され、その一端寄り(前端寄り)の部分は左右延出部223Aと略平行に左右方向に延びる左右延出部223Bとして構成され、この左右延出部223Bの端部から折れ曲がるように、前後延出部224Aと略平行に前後方向に延びる前後延出部224Bが構成されている。
端子部221A,221Bの両左右延出部223A,223Bに検出素子部211が接続され、両前後延出部224A,224Bに跨ってコンデンサ215Aが設けられている。端子部221A,221Bにおいて、前後延出部224A,224Bのそれぞれの後端寄り部分の側面は、出力電線部41A,41Bと接続される接続面231A,231Bとして構成される(図17、図20参照)。接続面231A,231Bは、左右方向一方側(端子部222A,222Bの接続面232A,232Bとは反対側)を向くような横向きの配置であり、これら接続面231A,231Bに対して、出力電線部41A,41Bの各々の芯線44がそれぞれ半田付けされている。
図17、図18のように、端子部222A,222Bは、検出素子部212に対応して設けられ、各々の一端側が検出素子部212に接続され、各々の他端側は、出力電線部42A,42B(図16)にそれぞれ接続されている。端子部222Aは、板状のリード部材として構成され、その一端寄り(前端寄り)の部分は左右方向に延びる左右延出部226Aとして構成され、この左右延出部226Aの端部から折れ曲がるように前後方向に延びる前後延出部227Aが構成されている。端子部222Bも同様であり、板状のリード部材として構成され、その一端寄り(前端寄り)の部分は左右延出部226Aと略平行に左右方向に延びる左右延出部226Bとして構成され、この左右延出部226Bの端部から折れ曲がるように、前後延出部227Aと略平行に前後方向に延びる前後延出部227Bが構成されている。
端子部222A,222Bの両左右延出部226A,226Bに検出素子部212が接続され、両前後延出部227A,227Bに跨ってコンデンサ215Bが設けられている。端子部222A,222Bにおいて、前後延出部227A,227Bのそれぞれの後端寄り部分の側面は、出力電線部41A,41Bと接続される接続面232A,232Bとして構成される(図17、図20参照)。接続面232A,232Bは、左右方向他方側(接続面231A,231Bとは反対側)を向くような横向きの配置であり、これら接続面232A,232Bに対して、出力電線部42A,42Bの各々の芯線44がそれぞれ半田付けされている。
図17〜図20で示すホルダ部207は、複数の検出素子部211,212を保持するとともに、検出素子部211に対応する端子部221A,221Bの接続面231A,231B(出力電線部41A,41Bと接続する面)の向きを定め、検出素子部212に対応する端子部222A,222Bの接続面232A,232B(出力電線部42A,42Bと接続する面)の向きを定めるように機能する。ホルダ部207は、前端部に検出素子部211,212を配置し、検出素子部211,212のぞれぞれの板面を前方側に向けた状態でこれらを保持し、検出素子部211に接続される端子部221A,221Bと、検出素子部212に接続される端子部222A,222Bとを上述した配置状態で保持している。ホルダ部207は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により形成されている。ホルダ部207は、例えば、検出ユニット210を所定の配置に保った状態で射出成形等がなされることにより検出ユニット210と一体的に形成される。
より具体的には、ホルダ部207は、検出素子部211(一の検出素子部)に設けられた端子部221A,221Bを、ロータRの回転軸と直交する所定方向(具体的には左右方向)の一方側に配置し、検出素子部212(他の検出素子部)に設けられた端子部222A,222Bを、所定方向(左右方向)の他方側に配置した状態でこれらを保持する。更に、ホルダ部207は、左右方向一方側に配置された端子部221A,221Bの接続面231A,231B(出力電線部41A,41Bと接続する面)を左右方向一方側に向け、左右方向他方側に配置された端子部222A,222Bの接続面232A,232B(出力電線部42A,42Bと接続する面)を左右方向他方側に向けた形態で第1検出ユニット210A、第2検出ユニット210Bを保持する構成となっている。
図14のように、樹脂モールド部205は、上述した検出ユニット210とワイヤハーネス40の端部を覆うように配置され、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により形成されている。具体的には、図17〜図20のように、例えば射出成形等によって検出ユニット210とホルダ部207とが一体化された成形体202が構成され、この成形体202に対して出力電線部41A,41B,42A,42Bが接合された後に、上述の成形体202と出力電線部41A,41B,42A,42Bとを接合してなる構造体(図16の構成)に対し、射出成形等がなされることによって形成される。
具体的には、成形体202と出力電線部41A,41B,42A,42Bとを接合してなる構造体(図16の構成)の一部を、図15のように、固定部材203の貫通孔部203Bに挿し通した状態で維持し、この状態で射出成形等がなされることによって図14のような樹脂モールド部205が形成される。このような樹脂モールド部205により、複数の検出素子部211,212がいずれも被覆され、複数の検出素子部211,212は樹脂モールド部205内に埋設される。
ワイヤハーネス40は、実施例1と同様の構成をなし、例えば、図16のように、出力電線部41を構成する2本の出力電線部41A,41Bと、出力電線部42を構成する2本の出力電線部42A,42Bとがそれぞれまとめられ、それぞれがシース電線51,52として構成されている。なお、この例に限られず、4本の出力電線部41A,41B,42A,42Bが一括して樹脂被覆されていてもよい。この構成でも、出力電線部41,42をそれぞれ構成する2本のシース電線51,52がゴムチューブ60でまとめられた形となっている。
図11、図14等のように、固定部材203は、長手状且つ板状に構成されており、長手方向の一方側には板厚方向に貫通した孔部である挿通孔部203Aが形成され、その内周部にはC字形状の金属製の保持リング203Cが嵌め込まれている。一方、長手方向の他方側には板厚方向に貫通した孔部である貫通孔部203Bが形成されている。図14のように、貫通孔部203B内には上述した成形体202が挿し通されており、貫通孔部203Bの周辺と成形体202とが樹脂モールド部205によって固定され、一体化されている。このように構成される固定部材203は、挿通孔部203A内に挿し通され且つ車両側に連結されるボルトによって車両の適所に固定される。
以上のような本構成でも、実施例1と同様の効果が得られる。
本構成では、複数の検出素子部211,212がロータR(被検出体)の回転軸と平行な方向に並んでいるため、ロータR(被検出体)の回転軸と直交する方向において、複数の検出素子部211,212及び固定部材203が一体化された部分のサイズが抑えられる。
更に、本構成によれば、所定方向(左右方向)の一方側の端子部221A,221Bと他方側の端子部222A,222Bとで接続面の向きを異ならせることができる。これにより、複数の検出素子部211,212をよりコンパクトに配置して端子部221A,221B,222A,222Bをより近い位置に密集させた構成であっても、端子部221A,221B,222A,222Bと出力電線部41A,41B,42A,42Bとの接合が良好に行われやすくなる。
<実施例3>
実施例3を図21〜図29に基づいて説明する。なお、以下では、実施例1と同様の構成の部分については、実施例1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施例3の車輪速センサ301は、図21、図22のような外観をなし、図23のような内部構成となっている。車輪速センサ301は、車輪と共に回転するロータR(図22、図24)の回転による磁界変動を検出して電気信号に変換する複数の検出素子部311,312と、複数の検出素子部311,312の各々に対応する出力経路として構成され、各々の検出素子部311,312の出力に応じた信号を伝送する複数の出力電線部41,42(図26)と、車両に固定される部材として構成され、複数の検出素子部311,312を一体的に保持する固定部材303とを有する。
検出素子部311,312は、実施例1の検出素子部11,12と同様のホールICであり、それぞれが検出素子部11,12と同様に機能し、いずれもS極とN極の磁界の切り替わりを検出し、配置位置の磁界がS極からN極に切り替わったときに一定電圧以上のHレベル信号を出力し、N極からS極に切り替わったときに一定電圧未満のLレベル信号を出力する。検出素子部311,312は、いずれも略板状に構成され、板厚方向を前後方向とするように配置される。これら検出素子部311,312はいずれも、ロータRの回転軸と直交する所定の仮想平面Z上に配置され、ロータRの周方向に沿って並んでいる。
本構成でも、ワイヤハーネス40は、実施例1と同様の構成をなし、例えば、図26のように、出力電線部41を構成する2本の出力電線部41A,41Bと、出力電線部42を構成する2本の出力電線部42A,42Bとがそれぞれまとめられ、それぞれがシース電線51,52として構成されている。この構成でも、出力電線部41,42をそれぞれ構成する2本のシース電線51,52がゴムチューブ60でまとめられた形となっている。
本構成では、樹脂モールド部305A,305Bの各々の長手方向を前後方向とし、複数の検出素子部311,312が並ぶ方向を左右方向とし、前後方向及び左右方向と直交する方向を上下方向とする。以下では、ロータRの回転軸の方向が前後方向である構成を代表例として説明する。前後方向については、検出素子部311,312が配置される側を前方、ワイヤハーネス40が配置される側を後方とする。上下方向については、樹脂モールド部305A,305Bが配置される側を下側、挿通孔部303Aが配置される側を上側とする。
図22のように、車輪速センサ301は、車輪と一体的に回転するロータRに対向するように、車両本体に対して相対移動不能に固定される。図22、図24の例では、2つの検出素子部311,312の前面をロータRの板面(具体的には、板面の外縁部付近)に向けて配置した対向配置となっている。図22、図23では、ロータRの回転軸の方向と平行な方向を矢印F1で示す。
図21で示される車輪速センサ301は、主として、検出信号を発生させる電気部品である2つの検出ユニット310A,310B(図26)と、それぞれの検出ユニット310A,310Bを保持する部分であるホルダ部307A,307B(図26)と、それぞれの検出ユニット310A,310Bを覆うカバーとしての樹脂モールド部305A,305Bと、図示しない車両側に固定される固定部材303とを含んで構成されている。樹脂モールド部305Aの一端側には、図26で示される検出素子部311が埋め込まれ、樹脂モールド部305Aの他端側からは出力電線部41を構成するシース電線51が延出している。樹脂モールド部305Bの一端側には、図26で示される検出素子部312が埋め込まれ、樹脂モールド部305Bの他端側からは出力電線部42を構成するシース電線52が延出している。
本構成では、検出ユニット310Aが樹脂モールド部305Aによって被覆された部分である第1センサヘッド部309Aと、検出ユニット310Bが樹脂モールド部305Bによって被覆された部分である第2センサヘッド部309Bとが同一の構造となっている。よって、以下では、第2センサヘッド部309Bについて重点的に説明し、第1センサヘッド部309Aについては、第2センサヘッド部309Bと同一の構造であるとして詳細な説明を省略する。
図23のように、第2センサヘッド部309Bの一部をなす第2の検出ユニット310Bは、矩形状且つ板状の検出素子部312と、この検出素子部312に接続される2本の端子部322A,322B(図27)と、この2本の端子部322A,322Bに跨って接続された略直方体形状のコンデンサ315Bとを有する。端子部322A,322Bは、検出素子部312に対応して設けられ、各々の一端側が検出素子部312に接続され、各々の他端側は、出力電線部42A,42B(図26)にそれぞれ接続されている。端子部322Aは、板状のリード部材として構成され、その一端寄り(前端寄り)の部分は上下方向に沿って下方側に延びる下方延出部326Aとして構成され、この下方延出部326Aから折れ曲がるように前後方向に対して傾斜した傾斜延出部327Aが構成されている。端子部322Bも同様であり、板状のリード部材として構成され、一端寄り(前端寄り)の部分が下方延出部326Aと略平行に下方側に延びる下方延出部326B(図29)として構成され、この下方延出部ら折れ曲がるように前後方向に対して傾斜した傾斜延出部327B(図27、図29)が傾斜延出部327Aと略平行に構成されている。
そして、端子部322A,322Bの両下方延出部に検出素子部312が接続され、端子部322A,322Bの両傾斜延出部に跨ってコンデンサ315Bが設けられている。端子部322A,322Bにおいて、傾斜延出部のそれぞれの後端寄り部分の上面は、出力電線部42A,42Bと接続される接続面として構成される。端子部322A,322Bの接続面に対して、出力電線部42A,42Bがそれぞれ半田付けなどにより接続されている。
図27〜図29で示すホルダ部307Bは、前端部に検出素子部312を配置し、検出素子部312のぞれぞれの板面を前方側に向けた状態でこれらを保持し、検出素子部312に接続される端子部322A,322Bを、接続面が斜め上向きとなる配置で保持している。ホルダ部307Bは、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により形成され、例えば、検出ユニット310B(図29)を所定の配置に保った状態で射出成形等がなされることにより検出ユニット310Bと一体的に形成される。
図23のように、樹脂モールド部305Bは、上述した検出ユニット310Bとシース電線52の端部を覆うように配置され、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により形成されている。具体的には、まず、射出成形等によって検出ユニット310Bとホルダ部307Bとが一体化された成形体302B(図27〜図29)が構成され、この成形体302Bに対して出力電線部42A,42Bが接合された後に、上述の成形体302Bと出力電線部42A,42Bとを接合してなる構造体(図26の構成)に対し、射出成形等がなされることによって形成される。具体的には、成形体302Bと出力電線部42A,42Bとを接合してなる構造体(図26の構成)の一部を、図25のように、固定部材303の貫通孔部303Cに挿し通した状態で維持し、この状態で射出成形等がなされることによって図23のような樹脂モールド部305Bが形成される。
図21、図24のように、固定部材303は、当該固定部材303を車両に連結するための連結部材(ボルト等)が挿し通される挿通孔部303Aを備え、ロータRの周方向において挿通孔部303Aを挟んだ一方側に検出素子部311(第1の検出素子部)が配置され、挿通孔部303Aを挟んだ他方側に検出素子部312(第2の検出素子部)が配置される。固定部材303は、長手状且つ板状に構成されており、本構成では、ロータRの周方向が固定部材303の長手方向となっている。そして、固定部材303の長手方向の中央部付近には板厚方向に貫通した孔部である挿通孔部303Aが形成され、その内周部にはC字形状の金属製の保持リング303Dが嵌め込まれている。固定部材303において、挿通孔部303Aを中心とする長手方向一方側(周方向一方側)には板厚方向に貫通した孔部である貫通孔部303Bが形成され、長手方向他方側には板厚方向に貫通した孔部である貫通孔部303Cが形成されている。貫通孔部303C内には上述した成形体302Bが挿し通されており、貫通孔部303Cの周辺と成形体302Bとが樹脂モールド部305Bによって固定され、一体化されている。
成形体302Bを樹脂モールド部305Bで被覆してなる第2センサヘッド部309Bは以上のような構成で固定部材303に固定されている。そして、第1センサヘッド部309Aも第2センサヘッド部309Bと同様の構成をなし、同様の方法により、貫通孔部303Bに挿し通された形で固定部材303に固定されている。そして、この固定部材303は、挿通孔部303A内に挿し通され且つ車両側に連結されるボルトによって車両の適所に固定される。
本構成でも、図10のようにパルスが発生するようになっている。即ち、2つの検出素子部311,312は、ロータRの周方向において異なる位置に配置され且つ異なるタイミングでパルスを発生させる構成となっている。ロータRが所定の正方向に回転している正転状態では、検出素子部311,312から出力されるパルスの波形は図10(A)のようになり、このような順序で各信号が発生した場合に、ロータRの回転方向、即ち車輪の回転方向が正方向であると判定することができる。一方、ロータRが上記正方向とは反対の逆方向に回転している逆転状態では、検出素子部311,312から出力されるパルスの波形は図10(B)のようになり、このような順序で各信号が発生した場合に、ロータRの回転方向、即ち車輪の回転方向が逆方向であると判定することができる。このように、本構成でも、ロータRの回転方向、即ち車輪の回転方向の正逆判定が可能となる。
以上のような本構成でも、実施例1と同様の効果が得られる。
また、本構成のように、固定部材303に挿通孔部303A(車両に連結するための連結部材が挿し通される孔部)が設けられ、その両側に検出素子部311(第1の検出素子部)と検出素子部312(第2の検出素子部)とが配置されていれば、より一層のリスク分散が図られる。例えば、飛び石などによっていずれか一方の検出素子部に衝撃が加わっても、挿通孔部303Aを挟んだ反対側の検出素子部には衝撃の影響が及びにくくなるため、2つの検出素子部311,312が同時に故障する可能性をより低くすることができる。
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)上述した実施例では、検出素子部がホール素子を含んだホールICとして構成された例を示したが、磁気抵抗素子などによって構成されていてもよい。
(2)上述した実施例では、固定部材と一体化される検出素子部が2つの場合を例示したが、いずれの実施例でも、固定部材と一体化される検出素子部が3以上であってもよい。