JP6766674B2 - リチウム箔の圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム箔を圧延する方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量が高く、高出力化が可能な二次電池である。リチウムイオン二次電池は、現在、主として携帯電子機器用の電源として用いられており、更に、今後普及が予想される電気自動車用の電源として期待されている。リチウムイオン二次電池は、リチウムを吸着及び放出できる活物質を正極及び負極にそれぞれ有する。そして、両極間に存在する電解液中を電荷担体であるリチウムイオンが移動することにより、リチウムイオン二次電池は動作する。
ところで、必要に応じて、活物質、電極、リチウムイオン二次電池等の対象物にリチウムイオンを導入する場合がある。以下、当該対象物にリチウムイオンを導入することを、リチウムをドープするという。
リチウムのドープ方法として、リチウムのドープ対象となる電極と、対極としての金属リチウムと、を用いたドープ用のリチウム電池を製造し電極にリチウムをドープする方法が知られている。以下、このドープ方法を電気的ドープ法という。当該電気的ドープ法においては、上記したドープ用のリチウム電池を充電又は放電することで、対極のリチウムイオンを電極に移動させて、電極にリチウムをドープする。リチウムがドープされた電極は、ドープ用のリチウム電池から取り外されて、リチウムイオン二次電池用の電極として用いられる。
このような電気的ドープ法は、リチウムのドープ方法として有効ではあるが、多大な工数を要するため、リチウムイオン二次電池を工業的に生産するための方法としては現実的でない。
他のリチウムドープ方法として、電極における活物質層にリチウム箔を積層したものをリチウムイオン二次電池の電極に用い、当該リチウムイオン二次電池内でリチウム箔から活物質にリチウムイオンを直接ドープする方法も提案されている。以下、このドープ方法を直接的ドープ法と呼ぶ。当該直接的ドープ法を採用すれば、リチウムのドープに要する工数を低減できる可能性がある。
ところで、直接的ドープ法用のリチウム箔としては、比較的薄いものを用いる必要がある。厚いリチウム箔を直接的ドープ法に用いると、余分なリチウムがリチウムイオン二次電池内で異物となるおそれがあり、また、リチウムイオン二次電池のコストが高くなるためである。
リチウムは比較的柔らかく延び易い性質を有する。しかしながら、柔らかいリチウム箔は圧延時に過剰に変形するために、圧延後のリチウム箔には型崩れや破損が生じ易い。このため実際には、薄くかつ良好な形状のリチウム箔を圧延により製造することは容易ではない。以下、必要に応じて、圧延前或いは圧延中のリチウム箔をリチウム原箔といい、圧延されたリチウム箔を製品リチウム箔という。
製品リチウム箔の変形の原因の1つは、以下のように予想される。圧延時においては、圧延用のロールからリチウム原箔に大きな力が作用する。すると、ロールとリチウム原箔とが強く接触し、場合によってはリチウム原箔がロールに圧着される。既述したように、リチウム箔は柔らかく延び変形し易いので、一旦リチウム原箔がロールに圧着されると、圧延後のリチウム箔つまり製品リチウム箔を変形や破損なくロールから剥がすのは困難であり、結果的に製品リチウム箔には型崩れや破損が生じると考えられる。特に、圧延によって薄い製品リチウム箔を製造するためには、上記の型崩れや破損がより生じ易くなると考えられる。
特許文献1には、リチウム電池の負極活物質用の製品リチウム箔を製造するにあたり、ロールの表面に電解液用の有機溶媒を塗布し圧延する方法が提案されている。特許文献1には、当該有機溶媒が潤滑剤として機能する旨が開示されている。また、特許文献2には、潤滑剤をリチウム原箔の表面に供給しつつ圧延する方法が提案されている。特許文献1及び特許文献2には、リチウム原箔とロールとの間に潤滑剤を介在させることで、上記した製品リチウム箔の破損等を抑制できる旨が記載されている。
特開平10−58008号公報 特開2011−11250号公報
特許文献1及び特許文献2には、リチウム原箔とロールとの間に潤滑剤を介在させる方法として、スポンジ等の塗布材により、ロール及び/又はリチウム原箔の表面に潤滑剤を塗布する方法が提案されている。しかし、このような塗布方法によってロール等の表面に満遍なく潤滑剤を塗布するためには非常に煩雑な工程が必要となる。ロール等の表面に満遍なく潤滑剤が塗布されなければ、圧延時においてリチウム原箔とロールとの間に潤滑剤が充分に行き渡らず、その結果リチウム原箔がロールに圧着されることは想像に難くない。
つまり、特許文献1及び特許文献2に紹介されている圧延方法によっても、薄くかつ良好な形状の製品リチウム箔を圧延により製造することは容易ではない。したがって、本発明の発明者は、直接的ドープ法に用いる薄い製品リチウム箔を製造するためには、従来の方法とは異なる新規なリチウム箔の圧延方法が必要だと考えた。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、薄いリチウム箔を製造できる新規なリチウム箔の圧延方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、リチウム原箔の両面と、当該リチウム原箔に接触する2つのロールの表面と、の両方に潤滑剤を塗布することで、圧延時においてロールとリチウム原箔との間に潤滑剤が充分に行き渡ることに想到した。そして、リチウム原箔の両面と2つのロールの表面との両方に潤滑剤を塗布する新規な方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記課題を解決する本発明のリチウム箔の圧延方法は、第1ロール及び第2ロールの間でリチウム箔を圧延するリチウム箔の圧延方法であって、
前記第1ロール及び前記第2ロールで区画された潤滑剤貯留部にある潤滑剤に、前記リチウム箔の両面を触れさせて、前記リチウム箔を圧延する、リチウム箔の圧延方法である。
本発明のリチウム箔の圧延方法は、薄いリチウム箔を製造できる新規なリチウム箔の圧延方法である。
実施例1のリチウム箔の圧延装置を模式的に表す説明図である。 実施例1のリチウム箔の圧延装置を図1中左側から見た要部拡大図である。 実施例2のリチウム箔の圧延装置における第1ロール、第2ロール及び壁部を模式的に表す説明図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
本発明のリチウム箔の圧延方法は、第1ロール及び第2ロールの間でリチウム箔を圧延するリチウム箔の圧延方法であって、
前記第1ロール及び前記第2ロールで区画された潤滑剤貯留部にある潤滑剤に、前記リチウム箔の両面を触れさせて、前記リチウム箔を圧延する、リチウム箔の圧延方法である。
また、本発明のリチウム箔の圧延装置は、
リチウム箔を上方から下方に搬送しつつ第1ロール及び第2ロールの間で前記リチウム箔を圧延するロールプレス部を有し、
前記ロールプレス部は、前記第1ロールの表面及び前記第2ロールの表面の距離が最短となる近接箇所と、前記近接箇所の上側に連続する前記第1ロールの表面及び前記第2ロールの表面と、で区画された潤滑剤貯留部を有する、リチウム箔の圧延装置である。
以下、本発明のリチウム箔の圧延方法及び圧延装置を、リチウム箔の圧延方法に沿って説明する。
本発明のリチウム箔の圧延方法は、2つのロールすなわち第1ロール及び第2ロールの間でリチウム原箔を圧延する点においては従来の圧延方法と同様であるが、第1ロール、第2ロール及びリチウム原箔の両面に潤滑剤を付着させる方法において従来の圧延方法と大きく異なる。
実施例1のリチウム箔の圧延装置の要部を模式的に表す図2を用い、本発明のリチウム箔の製造方法を以下に説明する。
本発明のリチウム箔の圧延方法においては、第1ロール11及び第2ロール21で潤滑剤貯留部40を区画形成し、当該潤滑剤貯留部40に潤滑剤90を貯留する。第1ロール11及び第2ロール21はロールプレス用の圧延ロールであるため、第1ロール11の表面12と第2ロール21の表面22とは所定箇所において互いに近接する。この第1ロール11と第2ロール21との近接箇所30と、第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22のうち当該近接箇所30に連続する部分とで、潤滑剤貯留部40が区画形成される。
ここで、第1ロール11及び第2ロール21はリチウム原箔91を圧延すべく回転し、かつ潤滑剤貯留部40を区画しているのであるから、第1ロール11及び第2ロール21の回転に伴い第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22は順繰りに潤滑剤貯留部40を構成する。このため第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22には、当該潤滑剤貯留部40にある潤滑剤90が満遍なく付着する。言い換えると、潤滑剤貯留部40を区画する第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22は、全周にわたって潤滑剤90によって満遍なく濡れる。リチウム原箔91は第1ロール11と第2ロール21との間で圧延されるため、潤滑剤貯留部40を通過する。このときリチウム原箔91の両面には潤滑剤貯留部40にある潤滑剤90が満遍なく付着する。また、上記の第1ロール11及び第2ロール21の近接箇所30は潤滑剤貯留部40の一部を構成するため、リチウム原箔91は、潤滑剤貯留部40にある潤滑剤90が付着した直後、つまり充分な量の潤滑剤90が付着した状態のままで圧延される。
このように、本発明のリチウム箔の圧延方法によると、塗布材を用いてロール及び/又はリチウム箔に潤滑剤を塗布する従来の方法とは異なり、潤滑剤の塗布に従来必要と考えられていた、塗布材、及び塗布材を用いてロール及び/又はリチウム箔に潤滑剤を塗布する装置が不要になる。
さらに、本発明のリチウム箔の圧延方法によると、リチウム原箔91と第1ロール11との間、及び、リチウム原箔91と第2ロール21との間に、潤滑剤90が充分に存在する状態で圧延が行われるために、リチウム原箔91は第1ロール11及び第2ロール21に圧着し難い。
しかも、リチウム原箔の両面に同時にかつ全く同じ方法で潤滑剤を付着させることができるため、リチウム原箔に作用する荷重や摩擦力を均一にでき、リチウム原箔を均一に圧延することが可能である。
これらの協働によって、本発明のリチウム箔の圧延方法によると、直接的ドープ法に使用し得る薄い製品リチウム箔95を容易かつ安価に製造することが可能である。以下、必要に応じて、第1ロール11及び第2ロール21を総称してロールという。
本発明のリチウム箔の圧延方法によって製造された製品リチウム箔の用途は特に限定されないが、本発明のリチウム箔の圧延方法によると薄い製品リチウム箔を製造でき、当該製品リチウム箔は上述した直接的ドープ法に用いるリチウム箔として好適である。なお、製品リチウム箔を直接的ドープ法用のリチウム箔として使用する場合、本発明のリチウム箔の圧延方法をリチウムイオン二次電池用負極の製造方法、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法又はリチウムイオン二次電池の製造方法の一工程とみなし得る。
本発明のリチウム箔の圧延方法において、リチウム原箔の厚さ及び製品リチウム箔の厚さは特に問わない。ただし製品リチウム箔を直接的ドープ法用のリチウム箔として用いる場合、製品リチウム箔の厚さは5〜90μmであるのが好ましく、6〜50μm以下であるのがより好ましく、8〜20μmであるのが更に好ましい。
リチウム原箔の厚さは、圧延により製造する製品リチウム箔の厚さ、第1ロール及び第2ロールの形状および配置に応じて適宜設定できる。リチウム原箔としては、厚さ150μm以下のものを用いるのが好ましく、厚さ100μm以下のものを用いるのがより好ましい。
圧延時にロールからリチウム原箔に作用する荷重は0.1kN〜3.0kNであるのが好ましい。当該荷重がこの範囲を超えると、既述したように圧延時にリチウム原箔がロールに圧着してしまい、製品リチウム箔に変形又は破損が生じるおそれがある。また、当該荷重がこの範囲を下回る場合には、何度もロールプレスを行う必要があり、製品リチウム箔の製造コストが高くなる可能性がある。なお、圧延時にロールからリチウム原箔に作用する荷重は0.5kN〜2.0kNであるのがより好ましく、1.0kN〜1.5kNであるのが更に好ましい。
ロールの材料は特に限定されないが、リチウム原箔に充分な荷重を作用させるためには、硬い材料を用いるのが好ましい。第1ロール及び第2ロールは異なる材料で構成されても良いし異なる大きさであっても良いが、荷重やロールの回転速度等の設定を容易に行うためには同じ材料で構成され同じ大きさであるのが好ましい。
具体的にはロールの材料は、ビッカース硬さ50HV以上であるのが好ましく、70HV以上であるのがより好ましく、100HV以上であるのが更に好ましく、150HV以上であるのがなお好ましい。ビッカース硬さ50HV以上の材料を例示すると、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル鋼、ニッケルモリブデンクロム系合金、ニッケルクロム鉄系合金、タングステン、タングステン鋼、モリブデン、チタン、チタン合金、アルミニウム青銅、真鍮、銅合金、炭素鋼等が挙げられる。価格、加工性等を勘案すると、このうちステンレス鋼を用いるのが特に好ましい。
本発明のリチウム箔の圧延方法においては、第1ロール及び第2ロールだけで潤滑剤貯留部を区画しても良いが、第1ロール及び第2ロールとともに潤滑剤貯留部を区画する壁部を設けるのが好ましい。壁部については実施例の項で詳説する。
潤滑剤には、ロールへのリチウム原箔の圧着を抑制できるものが用いられる。また潤滑剤は、潤滑剤貯留部に貯留されかつ圧延時にはロールとリチウム原箔との間に留まる程度に揮発性が低く、かつ、製品リチウム箔から容易に除去できる程度に揮発性の高い性質を有するのが好ましい。これらを満たす潤滑剤としては、非プロトン性有機溶媒が挙げられる。具体的には、20℃における蒸気圧が0.3〜65.0kPaの範囲にあるか、又は、25℃における蒸気圧が0.5〜100kPaの範囲にあるものを用いるのが好ましい。
潤滑剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、N,N−ジメチルアセトアミド、イソプロピルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、クロロメチルイソシアネート、ジメチルアセタール、ジエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメチルエーテル、エポキシブタン、2−エチルオキシラン、オキサゾール、2−エチルオキサゾール、オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、無水酢酸、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、フラン、γ−ブチロラクトン、チオフェン、ピリジン、1−メチルピロリジン、N−メチルモルフォリン等が挙げられる。本発明のリチウム箔の圧延方法においては、これらの非プロトン性有機溶媒を1種又は2種以上組み合わせて、潤滑剤として用いれば良い。
潤滑剤としては、上記の非プロトン性有機溶媒のうち、20℃における蒸気圧が0.5〜10kPaの範囲にあるか、又は、25℃における蒸気圧が1.0〜20kPaの範囲にあるものを用いるのが特に好ましい。潤滑剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートから選ばれる少なくとも1種を用いるのが特に好ましい。なお、これらの非プロトン性有機溶媒は、上記の条件を満たすだけでなく、リチウムイオン二次電池の電解液に用いられているものであるか、或いは、充分に揮発せずリチウムイオン二次電池に持ち込まれたとしてもリチウムイオン二次電池の性能を悪化させ難い利点がある。
また、潤滑剤には、上記した第1ロールと第2ロールとの近接箇所においてロールとリチウム原箔との間に一様に広がることができる程度の流動性を示すことが期待される。本明細書においては、当該潤滑剤の流動性を潤滑剤の粘度によって規定する。潤滑剤は、20℃における粘度が2.00パスカル秒以下であるのが好ましく、1.00パスカル秒以下であるのがより好ましい。なお、20℃におけるヘキサンの粘度は0.0003パスカル秒程度、20℃におけるエチルメチルカーボネートの粘度は0.0007パスカル秒程度とされている。
ところで、一般的なリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液及び必要に応じてセパレータを具備する。正極は、正極用集電体と、当該正極用集電体上に設けられた正極活物質層と、を有する。負極は、負極用集電体と、当該負極用集電体上に設けられた負極活物質層と、を有する。
本発明のリチウム箔の圧延方法で製造された製品リチウム箔を用いる直接的ドープ法としては、当該製品リチウム箔を、正極活物質層及び/又は負極活物質層の表面に載置、積層、貼付等することで、製品リチウム箔と正極活物質層及び/又は負極活物質層と一体化すれば良い。そして、製品リチウム箔と正極及び/又は負極との一体品を、電解液及び必要に応じて他の電極及びセパレータとともに電池用ケースに収容してリチウムイオン二次電池とすれば、何れかの段階において製品リチウム箔のリチウムイオンが隣接する正極活物質層及び/又は負極活物質層に移動し、リチウムイオン二次電池へのリチウムのドープが為される。
リチウムイオン二次電池用の一般的な正極活物質として、層状岩塩構造の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
リチウムイオン二次電池用の一般的な負極活物質としては、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素の少なくとも1種を単体、化合物または合金で用いるのが一般的である。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb、TiO、LiTi12、WO、MoO、Fe等の酸化物、又は、Li3−xN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらの一種以上を使用することができる。更には、ケイ素系材料として、国際公開第2014/080608号に開示されるシリコン材料を用いることも好ましい。国際公開第2014/080608号には、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料が開示されている。そして国際公開第2014/080608号には、CaSiと酸とを反応させてCaを除去したポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成し、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させたシリコン材料を製造したこと、及び、当該シリコン材料を活物質として具備するリチウムイオン二次電池が記載されている。
上記した各種の正極活物質にはリチウムを含有するものが多い。それに対して、上記した各種の負極活物質にはリチウムを含有しないものが多い。このため、直接的ドープ法において、製品リチウム箔は負極活物質層に載置等するのが合理的である。特に、不可逆容量の大きなケイ素系材料を負極活物質として用いる場合には、直接的ドープ法により負極活物質にリチウムイオンをドープすることで、当該不可逆容量を打ち消し得る利点がある。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。また、実施形態及び以下の実施例を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施することができる。
以下に、試験例及び実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1のリチウム箔の圧延方法に用いる実施例1のリチウム箔の圧延装置を模式的に表す説明図を図1に示し、実施例1のリチウム箔の圧延装置を図1中左側から見た要部拡大図を図2に示す。以下、上、下、左、右、先、後とは、図1に示す上、下、左、右、先、後を指す。なお、このうち左右方向は、後述するリチウム原箔の幅方向及びロールの軸方向と一致する。
なお、図1に当てはめると、本発明のリチウム箔の圧延装置における各構成要素は以下のように表現できる。
本発明のリチウム箔の圧延装置は、リチウム箔91を上方から下方に搬送しつつ第1ロール11及び第2ロール21の間で前記リチウム箔91を圧延するロールプレス部10を有し、
前記ロールプレス部10は、前記第1ロール11の表面12及び前記第2ロール21の表面22の距離が最短となる近接箇所30と、前記近接箇所30の上側に連続する前記第1ロール11の表面12及び前記第2ロール21の表面22と、で区画された潤滑剤貯留部40を有する。
図1に示すように、実施例1のリチウム箔の圧延装置は、ロールプレス部10と搬送部50と循環部70とを備える。
ロールプレス部10は、第1ロール11及び第2ロール21と、第1ロール11及び第2ロール21を回転駆動する図略のプレス駆動部と、第1ロール11と第2ロール21との間に配置されている一対の壁部35と、潤滑剤貯留部40と、を有する。
第1ロール11及び第2ロール21は、ステンレス鋼製であり、ともに回転軸を水平にし、かつ、上下方向の位置が同じである。第1ロール11の回転軸13と、第2ロール21の回転軸23と、は平行である。以下、必要に応じて、第1ロール11の回転軸13の方向と第2ロール21の回転軸23の方向とを総称して、ロールの軸方向という。近接箇所30における第1ロール11と第2ロール21との距離は可変する。
第1ロール11及び第2ロール21には、各々、図略のプレス駆動部が取り付けられている。実施例1のリチウム箔の圧延装置におけるプレス駆動部は、電動モータで構成されている。当該プレス駆動部に駆動されて、第1ロール11は図1中時計回りに回転し、第2ロール21は図1中反時計回りに回転する。
潤滑剤貯留部40は、第1ロール11及び第2ロール21で区画され、近接箇所30を含み当該近接箇所30の上側に広がる空間である。詳しくは、実施例1のリチウム箔の圧延装置における潤滑剤貯留部40は、第1ロール11、第2ロール21及び一対の壁部35によって区画されている。
各々の壁部35は、シール部36及びシール支持部37で構成される。シール部36は、ゴムスポンジ製であり、第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22に沿う弧状の当接面38を有する略板状をなす。シール支持部37は、シール部36よりもやや小形の2枚のステンレススチール板からなる。シール部36は2枚のシール支持部37によって挟み込まれ、シール部36の当接面38はシール支持部37の外部に露出する。二つの壁部35は、第1ロール11及び第2ロール21の上側に配置され、ロールの軸方向に離間している。一対の壁部35は図略の保持部によって保持され、第1ロール11及び第2ロール21の回転に抗し第1ロール11及び第2ロール21の上側に固定されている。
潤滑剤貯留部40には、潤滑剤90が貯留される。
搬送部50は、巻き出しロール51と、巻き取りロール52と、第1送りロール53と、第2送りロール54と、巻き出しロール51及び巻き取りロール52を回転駆動する図略の搬送駆動部と、を有する。
巻き出しロール51にはリチウム原箔91が巻かれている。巻き取りロール52は、後述するようにロールプレス部10を経て圧延された製品リチウム箔95を巻き取る。つまり、巻き出しロール51及び巻き取りロール52には、リチウム箔が架け渡されている。当該リチウム箔のうち、第1ロール11及び第2ロール21から巻き出しロール51側までの区間に位置する部分がリチウム原箔91であり、第1ロール11及び第2ロール21よりも巻き取りロール52側に位置する部分が製品リチウム箔95である。
巻き出しロール51及び巻き取りロール52に接続されている図略の搬送駆動部は、電動モータで構成されている。巻き出しロール51及び巻き取りロール52は、図略の搬送駆動部により駆動されて図1中時計回りに回転する。つまり、巻き出しロール51は図1中後側から先側に向けてリチウム原箔91を巻き出し、巻き取りロール52は後側から先側に向けて製品リチウム箔95を巻き取る。
第1送りロール53は、巻き出しロール51と第1ロール11及び第2ロール21との間に配置される。リチウム原箔91は、巻き出しロール51から第1送りロール53に至るまで後方から先方に向けて送られ、第1送りロール53から第1ロール11及び第2ロール21に至るまで上方から下方に向けて送られる。つまりリチウム原箔91の搬送方向は、第1送りロール53を境として、先後方向から上下方向に略直角に方向転換される。第1送りロール53は、第1ロール11及び第2ロール21に供給されるリチウム原箔91に対して、その搬送方向を上下方向に調整するとともに、所定の張力を付与する機能を有する。その結果、第1ロール11及び第2ロール21には皺のない状態のリチウム原箔91が供給される。
第2送りロール54は、第1ロール11及び第2ロール21と巻き取りロール52との間に配置される。第1ロール11及び第2ロール21で圧延された製品リチウム箔95は、第1ロール11及び第2ロール21から第2送りロール54に至るまで上方から下方に向けて送られ、第2送りロール54から巻き取りロール52に至るまで後方から先方に向けて送られる。つまり製品リチウム箔95の搬送方向は、第2送りロール54を境として、上下方向から先後方向に略直角に方向転換される。第2送りロール54は、製品リチウム箔95を通じてリチウム原箔91の搬送方向を上下方向に調整するとともに、製品リチウム箔95に所定の張力を付与する機能を有する。その結果、巻き取りロール52には皺のない状態の製品リチウム箔95が供給される。
巻き出しロール51、巻き取りロール52、第1送りロール53、第2送りロール54及び図略の搬送駆動部を有する搬送部50は、リチウム箔すなわちリチウム原箔91及び製品リチウム箔95を、全体として、後方から先方に向けて搬送しかつ上方から下方に向けて搬送する。特に第1ロール11及び第2ロール21の近傍において、搬送部50は、リチウム原箔91及び製品リチウム箔95を上方から下方に向けて搬送する。
循環部70は、回収部71、輸液部72で構成されている。回収部71は液槽であり、第1ロール11及び第2ロール21の下側に配置され、潤滑剤貯留部40から漏出した潤滑剤90を受け止めて収容する。輸液部72は管状をなす輸液経路部73と輸液ポンプ74とで構成されている。輸液経路部73の一端部73aは回収部71の内部に配置され、輸液経路部73の他端部73bは潤滑剤貯留部40の上側に配置されている。輸液ポンプ74は輸液経路部73内の流体を一端部73a側から他端部側に輸送する。したがって、潤滑剤貯留部40から漏出し回収部71に回収された潤滑剤90は、輸液経路部73を経由して潤滑剤貯留部40に戻される。
以下、実施例1のリチウム箔の圧延装置を用いた実施例1のリチウム箔の圧延方法を説明する。
先ず、巻き出しロール51に巻かれたリチウム原箔91を、第1送りロール53、第1ロール11及び第2ロール21、第2送りロール54を経由して巻き取りロール52に取り付ける。このとき、潤滑剤貯留部40に潤滑剤90を貯留し、かつ、第1ロール11及び第2ロール21によってリチウム原箔91を所定の荷重で挟み込む。実施例1のリチウム箔の圧延方法においては、リチウム原箔91として厚さ100μmのリチウム箔を用い、潤滑剤90としてヘキサンを用いる。なお、リチウム原箔91の幅は、一対の壁部35の距離、つまり、ロールの軸方向における潤滑剤貯留部40の長さと略同じであり、第1ロール11及び前記第2ロール21の軸方向長さよりも小さい。この状態で図略の搬送駆動部及びプレス駆動部を起動して、第1ロール11及び第2ロール21にてリチウム原箔91を圧延して製品リチウム箔95とする。
このとき並行して、潤滑剤貯留部40から漏出した潤滑剤90を回収部71で回収する。回収部71に回収された潤滑剤90は、輸液ポンプ74によって輸液経路部73に吸い込まれ、当該輸液経路部73を経由して、潤滑剤貯留部40に吐出される。循環部70は潤滑剤90のフィーダーを兼ねる。つまり、潤滑剤貯留部40に貯留されている潤滑剤90の量が少ない場合に、新たな潤滑剤90を回収部71に供給すれば、輸液ポンプ74及び輸液経路部73を介して、潤滑剤90を潤滑剤貯留部40に供給できる。
実施例1のリチウム箔の圧延装置及び圧延方法では、図2に示すように、第1ロール11及び第2ロール21で区画した潤滑剤貯留部40に潤滑剤90が貯留されるため、近接箇所30を含む第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22は潤滑剤90に浸る。このためリチウム原箔91を圧延する部分、すなわち近接箇所30の近傍には、充分な量の潤滑剤90が供給される。またリチウム原箔91は、圧延される前に潤滑剤貯留部40を通過する。このためリチウム箔の両面は潤滑剤貯留部40に貯留される潤滑剤90に浸る。したがって、圧延される直前のリチウム原箔91には、充分な量の潤滑剤90が供給される。このように、実施例1のリチウム箔の圧延方法によると、圧延直前及び圧延時において、リチウム原箔91、第1ロール11及び第2ロール21に充分に潤滑剤90が供給されるため、第1ロール11及び第2ロール21へのリチウム原箔91の圧着を抑制でき、ひいては第1ロール11及び第2ロール21と製品リチウム箔95と圧着を抑制できるために、薄い製品リチウム箔95を容易に製造できる。
また、実施例1のリチウム箔の圧延装置及び圧延方法では、第1ロール11及び第2ロール21に加えて、潤滑剤貯留部40を区画する壁部35を設けている。このことにより、潤滑剤貯留部40の潤滑剤90は、潤滑剤貯留部40の外部に漏出し難く、リチウム原箔91、第1ロール11及び第2ロール21に効率良く供給される。このため、リチウム原箔91の両面、第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22にさらに信頼性高く潤滑剤90を付着させることができ、上記したリチウム原箔91及び製品リチウム箔95の第1ロール11及び第2ロール21への圧着をより信頼性高く抑制できる。
なお、壁部35は弾性変形可能なゴムスポンジ製であるため、第1ロール11及び第2ロール21の表面形状に沿って変形し得る。このため、潤滑剤貯留部40における潤滑剤90の漏出は更に抑制され、潤滑剤貯留部40の潤滑剤90はリチウム原箔91、第1ロール11及び第2ロール21により効率良く供給される。なお、潤滑剤貯留部40における潤滑剤90の漏出を抑制するためには壁部35は弾性変形可能であるのが好ましいが、耐久性を考慮すると壁部35は弾性変形し難くても良いし弾性変形可能でなくても良い。
実施例1のリチウム箔の圧延方法では、粘度の低いヘキサンを潤滑剤90として用いることで、圧延直前から圧延時にかけて、リチウム原箔91の両面、第1ロール11の表面12及び第2ロール21の表面22に潤滑剤90を満遍なく行き渡らせることができる。つまり、リチウム原箔91と第1ロール11との間、及びリチウム原箔91と第2ロール21との間は非常に狭いため、潤滑剤90の種類によっては、潤滑剤90が充分に行き渡らない可能性がある。しかし、粘度の低い潤滑剤90は、リチウム原箔91と第1ロール11との間、及びリチウム原箔91と第2ロール21との間に行き渡り得る。その結果、第1ロール11とリチウム原箔91との隙間、及び、第2ロール21とリチウム原箔91との隙間において潤滑剤90が信頼性高く機能し、第1ロール11及び第2ロール21へのリチウム原箔91の圧着を信頼性高く抑制できる。さらに、当該圧着に起因して生じるリチウム原箔91及び製品リチウム箔95の好ましくない変形、つまり、リチウム箔の完成形状を損なう変形を抑制しつつ、薄く圧延されたリチウム箔を得ることが可能となる。
本発明のリチウム箔の製造装置において、第1ロール11と第2ロール21との間に大きな容積の潤滑剤貯留部40を形成する為には、第1ロール11の回転軸13及び第2ロール21の回転軸23はともに水平であり、かつ、第1ロール11の回転軸13と第2ロール21の回転軸23とは上下方向の位置が同じであるのが良い。換言すると、第1ロール11の回転軸13と第2ロール21の回転軸23とを含む平面は、略水平方向に延びるのが良い。ここでいう略水平方向とは、水平方向±30°を許容し、上記平面の向きがこの範囲内であれば、充分な容積の潤滑剤貯留部40を確保できる。第1ロール11の回転軸13と第2ロール21の回転軸23とを含む平面の延びる方向は、水平方向±15°の範囲内であるのが好ましく、水平方向±5°の範囲内であるのがより好ましい。
(実施例2)
実施例2のリチウム箔の圧延装置は、壁部の形状、及び、第1ロール及び第2ロールに対する壁部の位置以外は実施例1のリチウム箔の圧延装置と概略同じである。実施例2のリチウム箔の圧延方法は、実施例2のリチウム箔の圧延装置を用いたこと以外は、実施例1のリチウム箔の圧延方法と概略同じである。
実施例2のリチウム箔の圧延装置における第1ロール、第2ロール及び壁部を模式的に表す説明図を図3に示す。
図3に示すように、実施例2のリチウム箔の圧延装置における壁部35は、略矩形の板状をなし、第1ロール11の側面14及び第2ロール21の側面24に当接している。換言すると、壁部35は第1ロール11及び第2ロール21の軸方向の端面に当接している。壁部35をこのように配置することで、第1ロール11及び第2ロール21の回転に壁部35が巻き込まれ難くなり、壁部35の耐久性を向上させ得る。
また、壁部35が第1ロール11の側面14及び第2ロール21の側面24に当接する場合にも、実施例2のリチウム箔の圧延装置は、実施例1のリチウム箔の圧延装置と同様に第1ロール11、第2ロール21及び壁部35によって潤滑剤貯留部40を区画形成することが可能である。
なお、実施例2のリチウム箔の圧延装置は、壁部35以外は実施例1のリチウム箔の圧延装置と概略同じであるため、実施例1のリチウム箔の圧延装置と同様に、薄い製品リチウム箔を容易かつ安価に製造し得る。
以下、試験例に基づき、本発明のリチウム箔の圧延方法及びリチウム箔の圧延装置の有用性を検証する。
(試験例1)
リチウム原箔の両面に潤滑剤を塗布した。潤滑剤を塗布したリチウム原箔を2枚の離型フィルムで挟み、ロールプレス装置によって圧延した。リチウム原箔としては厚さ100μmのものを用いた。潤滑剤としてはヘキサンを用いた。離型フィルムとしてはリンテックス社製、厚さ25μmのポリエチレンフィルムを用いた。ロールプレス装置における2つのロールの隙間は初期状態で50μmとした。
圧延後、得られた製品リチウム箔から離型フィルムを剥がし、製品リチウム箔に変形や破損のない場合に、製品リチウム箔の厚さを計測した。製品リチウム箔に変形や破損があれば、ロールプレス装置における2つのロールの隙間を徐々に大きく変更し、当該変更点以外は同じ条件で新たなリチウム箔につき圧延を行った。変形や破損のない製品リチウム箔が得られるまでこれを繰り返し、変形や破損のない製品リチウム箔の厚さを測定した。試験例1の結果を表1に示す。
(試験例2)
リチウム原箔の片面に潤滑剤を塗布したこと以外は、試験例1と同じ方法によって圧延を行い、変形や破損のない製品リチウム箔の厚さを測定した。
(試験例3)
リチウム原箔の両面に潤滑剤を塗布したこと及び潤滑剤としてエチルメチルカーボネートを用いたこと以外は、試験例1と同じ方法によって圧延を行い、変形や破損のない製品リチウム箔の厚さを測定した。
(試験例4)
リチウム原箔の片面に潤滑剤を塗布したこと以外は試験例3と同じ方法によって圧延を行い、変形や破損のない製品リチウム箔の厚さを測定した。
(比較試験例)
リチウム原箔に潤滑剤を塗布しなかったこと以外は、試験例1と同じ方法によって圧延を行い、変形や破損のない製品リチウム箔の厚さを測定した。
Figure 0006766674
圧延前の厚さとはリチウム原箔の厚さを意味し、圧延後の厚さとは製品リチウム箔の厚さを意味する。
表1に示すように、潤滑剤を塗布しなかった比較試験例では、変形や破損なしではリチウム原箔の厚さ100μm以下に圧延できなかった。潤滑剤を片面にのみ塗布した試験例2及び試験例4では、変形や破損無しで80μmにまで圧延された製品リチウム箔が得られた。これに対して、潤滑剤を両面に塗布した試験例1及び試験例3では、変形や破損無しで30μmにまで圧延された製品リチウム箔が得られた。
上記各試験例及び比較試験例の結果から、潤滑剤を用いることで厚さ100μm以下の製品リチウム箔を得ることはできるが、圧延時にリチウム原箔とロール(試験例及び比較試験例においては実際には離型フィルム)との間に存在する潤滑剤の量によって、製造可能な製品リチウム箔の厚さに違いがあることが判る。
つまり、試験例1及び試験例3のように、リチウム原箔の両面に潤滑剤を塗布し、リチウム原箔とロールとの間に充分な量の潤滑剤が存在する場合には、厚さ30μmという薄い製品リチウム箔を製造することが可能である。これに対して、試験例2及び試験例4のように、リチウム原箔の片面にのみ潤滑剤を塗布し、リチウム原箔とロールとの間に充分な量の潤滑剤が存在しない場合には、製造可能な製品リチウム箔の厚さは80μmにとどまり、薄い製品リチウム箔は製造できない。この結果は、リチウム原箔の両面が潤滑剤に触れ、第1ロールとリチウム原箔との間、及び、第2ロールとリチウム原箔との間の両方に潤滑剤が介在することで初めて薄い製品リチウム箔を製造できることを裏付ける。それだけでなく、この結果から、圧延時において、第1ロールとリチウム原箔との間、及び、第2ロールとリチウム原箔との間に潤滑剤が存在しない箇所があれば、薄い製品リチウム箔の製造が困難になることも示唆される。
本発明のリチウム箔の圧延方法及び圧延装置を用いれば、リチウム原箔の両面に充分な量の潤滑剤を付着させた状態で圧延を行うことができる。また、リチウム原箔の両面に潤滑剤を付着させるための塗布材等も不要であり、かつ、リチウム原箔の両面に充分な量の潤滑剤を容易に付着させ得る。このため、本発明のリチウム箔の圧延方法及び装置によると、試験例1及び試験例3の状態を非常に容易かつ安価に再現でき、薄い製品リチウム箔を容易に製造できるといい得る。
10:ロールプレス部 11:第1ロール 12:第1ロールの表面
13:第1ロールの回転軸 21:第2ロール 22:第2ロールの表面
23:第2ロールの回転軸 30:近接箇所 35:壁部
36:シール部 37シール支持部 38:当接面
40:潤滑剤貯留部 50:搬送部
51:巻き出しロール 52:巻き取りロール 53:第1送りロール
54:第2送りロール 70:循環部 71:回収部
72:輸液部 73:輸液経路部 73a:輸液経路部の一端部
73b:輸液経路部の他端部 74:輸液ポンプ
91:リチウム原箔(リチウム箔) 95:製品リチウム箔

Claims (5)

  1. 第1ロール及び第2ロールの間でリチウム箔を圧延するリチウム箔の圧延方法であって、
    前記第1ロール及び前記第2ロールで区画された潤滑剤貯留部にある潤滑剤に、前記リチウム箔の両面を触れさせて、前記リチウム箔を圧延する、リチウム箔の圧延方法。
  2. 前記潤滑剤は非プロトン性有機溶媒である、請求項1に記載のリチウム箔の圧延方法。
  3. リチウム箔を上方から下方に搬送しつつ第1ロール及び第2ロールの間で前記リチウム箔を圧延するロールプレス部を有し、
    前記ロールプレス部は、前記第1ロールの表面及び前記第2ロールの表面の距離が最短となる近接箇所と、前記近接箇所の上側に連続する前記第1ロールの表面及び前記第2ロールの表面と、で区画された潤滑剤貯留部を有する、リチウム箔の圧延装置。
  4. 前記第1ロール及び前記第2ロールとともに前記潤滑剤貯留部を区画する壁部を有する、請求項3に記載のリチウム箔の圧延装置。
  5. 請求項1又は請求項2に記載のリチウム箔の圧延方法によりリチウム箔を圧延する工程と、
    圧延後の前記リチウム箔を電極における活物質層に一体化する工程と、を有する、電極の製造方法。
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