JP6930142B2 - リチウムドープ負極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムがドープされた負極を製造する方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量が高く、高出力化が可能な二次電池である。リチウムイオン二次電池は、現在、主として携帯電子機器用の電源として用いられており、更に、今後普及が予想される電気自動車用の電源として期待されている。リチウムイオン二次電池は、リチウムを吸着及び放出できる活物質を正極及び負極にそれぞれ有する。そして、両極間に存在する電解液中を電荷担体であるリチウムイオンが移動することにより、リチウムイオン二次電池は動作する。
ところで、必要に応じて、活物質、電極、リチウムイオン二次電池等の対象物にリチウムイオンを導入する場合がある。以下、当該対象物にリチウムイオンを導入することを、リチウムをドープするという。
リチウムのドープ方法として、リチウムのドープ対象となる電極と、対極としての金属リチウムと、を用いたドープ用のリチウム電池を製造し電極にリチウムをドープする方法が知られている。以下、このドープ方法を電気的ドープ法という。当該電気的ドープ法においては、上記したドープ用のリチウム電池を充電又は放電することで、対極のリチウムイオンを電極に移動させて、電極にリチウムをドープする。リチウムがドープされた電極は、ドープ用のリチウム電池から取り外されて、リチウムイオン二次電池用の電極として用いられる。
このような電気的ドープ法は、リチウムのドープ方法として有効ではあるが、多大な工数を要するため、リチウムイオン二次電池を工業的に生産するための方法としては現実的でない。
他のリチウムドープ方法として、電極における活物質層にリチウム箔を積層したものをリチウムイオン二次電池の電極に用い、当該リチウムイオン二次電池内でリチウム箔から活物質にリチウムイオンを直接ドープする方法も提案されている。以下、このドープ方法を直接的ドープ法という。当該直接的ドープ法を採用すれば、リチウムのドープに要する工数を低減できる可能性がある。
ところで、直接的ドープ法用のリチウム箔としては、比較的薄いものを用いる必要がある。厚いリチウム箔を直接的ドープ法に用いると、余分なリチウムがリチウムイオン二次電池内で異物となるおそれがあり、また、リチウムイオン二次電池のコストが高くなるためである。
リチウムは比較的柔らかく延び易い性質を有する。しかしながら、柔らかいリチウム箔は圧延時に過剰に変形するために、圧延後のリチウム箔には型崩れや破損が生じ易い。このため実際には、薄くかつ良好な形状のリチウム箔を圧延により製造することは容易ではない。以下、必要に応じて、圧延前或いは圧延中のリチウム箔をリチウム原箔といい、圧延されたリチウム箔を圧延リチウム箔という。
圧延リチウム箔の変形の原因の1つは、以下のように予想される。圧延時においては、圧延用のロールからリチウム原箔に大きな力が作用する。すると、ロールとリチウム原箔とが強く接触し、場合によってはリチウム原箔がロールに圧着される。既述したように、リチウム箔は柔らかく延び変形し易いので、一旦リチウム原箔がロールに圧着されると、圧延後のリチウム箔つまり圧延リチウム箔を変形や破損なくロールから剥がすのは困難であり、結果的に圧延リチウム箔には型崩れや破損が生じると考えられる。特に、薄い圧延リチウム箔を製造するためには、上記の型崩れや破損がより生じ易くなると考えられる。
特許文献1には、リチウム電池の負極活物質用の圧延リチウム箔を製造するにあたり、ロールの表面に電解液用の有機溶媒を塗布し圧延する方法が提案されている。特許文献1には、当該有機溶媒が潤滑剤として機能する旨が開示され、リチウム原箔とロールとの間に潤滑剤を介在させることで、上記した圧延リチウム箔の破損等を抑制できる旨が記載されている。
特許文献2には、直接的ドープ法に用いる圧延リチウム箔を製造するにあたり、リチウム片に樹脂フィルムを重ねた状態で圧延する方法が提案されている。そして、特許文献2には、当該リチウム片とフィルムとの間に有機溶媒を介在させることも提案されている。
特開平10−58008号公報 特開2016−103503号公報
本発明の発明者は、上記の直接的ドープ法を用いて、負極活物質層にリチウムをドープしたリチウムドープ負極を製造することを志向した。そして、実際に様々な条件で当該リチウムドープ負極を製造した。その結果、上記した特許文献1や特許文献2に紹介されている製造方法によると、比較的厚い圧延リチウム箔が得られるに過ぎないことがわかった。したがって、当該方法で得られた厚い圧延リチウム箔を単に負極活物質層に積層することで得られたリチウムドープ負極は、過剰量のリチウムを含むものであった。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、比較的厚い圧延リチウム箔を用いる直接的ドープ法によって、適切な量のリチウムを負極活物質層にドープできる、リチウムドープ負極を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明のリチウムドープ負極の製造方法は、第1負極活物質層と第2負極活物質層とでリチウム箔を挟む、リチウムドープ負極の製造方法である。
本発明のリチウムドープ負極の製造方法によると、比較的厚い圧延リチウム箔を用いた直接的ドープ法によって、適切な量のリチウムを負極活物質層にドープできる。
実施例1のリチウムドープ負極の製造装置を模式的に表す説明図である。 実施例1のリチウムドープ負極の製造方法を模式的に表す説明図である。 実施例1のリチウムドープ負極の製造方法を模式的に表す説明図である。 実施例2のリチウムドープ負極の製造装置を模式的に表す説明図である。 実施例2のリチウムドープ負極の製造方法を模式的に表す説明図である。 実施例2のリチウムドープ負極の製造方法を模式的に表す説明図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
本発明のリチウムドープ負極の製造方法は、第1負極活物質層と第2負極活物質層とでリチウム箔を挟む、リチウムドープ負極の製造方法である。
つまり、本発明のリチウムドープ負極の製造方法においては、第1負極活物質層と第2負極活物質層との2つの負極活物質層でリチウム箔を挟んだ直接的ドープ法により、実質的に、リチウム箔の厚さ方向における半分量のリチウムが第1負極活物質層にドープされ、当該厚さ方向における他の半分量のリチウムが第2負極活物質層にドープされると考えられる。このため、本発明のリチウムドープ負極の製造方法によると、製造困難な薄いリチウム箔を用いずに比較的厚い圧延リチウムを用いる場合にも、第1負極活物質層及び第2負極活物質層のそれぞれに適切な量のリチウムをドープし得る。
以下、必要に応じて、本発明のリチウムドープ負極の製造方法を単に本発明の製造方法といい、本発明の製造方法で製造されたリチウムドープ負極を本発明のリチウムドープ負極という。また、特に説明のない場合、単に負極活物質層という場合には、第1負極活物質層と第2負極活物質層とを総称したものとする。
本発明の製造方法においては、第1負極活物質層と第2負極活物質層とでリチウム箔を挟めば良く、第1負極活物質層及び第2負極活物質層の組成は特に限定しない。また、集電体や正極活物質層等の他の電池構成要素と、第1負極活物質層及び第2負極活物質層と、の関係もまた特に限定しない。
例えば、集電体の一方の面に第1負極活物質層が形成され、他方の面に第2負極活物質層が形成された両面塗工型の負極を準備する。そして、当該両面塗工型の負極の第1負極活物質層上にリチウム箔を積層してリチウム負極複合体とし、当該リチウム負極複合体を更に巻回した巻回体とすることができる。この場合、巻回体において、リチウム箔は第1負極活物質層と第2負極活物質層とで挟まれるため、第1活物質層及び第2活物質層には各々適量のリチウムがドープされる。なお、この場合に同一のリチウム箔を挟む第1活物質層及び第2活物質層は、同一の負極に形成されたものである。このような方法によって、第1負極活物質層及び第2負極活物質層にリチウムをドープしても良い。
或いは、上記の両面塗工型の負極を複数準備し、当該複数の負極を、リチウム箔を挟んで第1負極活物質層と第2負極活物質層とが対面するように積層し、必要に応じてプレス等すれば、第1活物質層及び第2活物質層によってリチウム箔が挟まれる。したがって、この場合にも、第1活物質層及び第2活物質層には各々適量のリチウムがドープされる。なお、この場合、同一のリチウム箔を挟む第1活物質層及び第2活物質層は、各々、異なる負極を構成するものである。また、このとき合計3以上の負極を積層するのであれば、間に挟まれるリチウム箔は合計2以上となる。このような方法によって、第1負極活物質層及び第2負極活物質層にリチウムをドープしても良い。
或いは、第1負極活物質層が第1集電体に形成された片面塗工型の第1負極と、第2負極活物質層が第2集電体に形成された片面塗工型の第2負極と、を各々準備する。そして、リチウム箔を挟んで第1負極の第1負極活物質層と第2負極の第2負極活物質層が対面するように第1負極及び第2負極を積層し、必要に応じてプレス等して、第1負極活物質層及び第2負極活物質層にリチウムをドープしても良い。この場合、同一のリチウム箔を挟む第1活物質層及び第2活物質層は、各々、異なる負極を構成するものである。
以下、必要に応じて、上に例示したリチウム箔と負極との積層体を、本発明のリチウム負極複合体、或いは単にリチウム負極複合体という場合がある。
リチウム負極複合体は、単に平板状の負極とリチウム箔とを積層した平板状であっても良いが、ロール状に巻き取るのが好ましい。リチウム負極複合体をロール状に巻き取ることで、リチウム負極複合体の取り扱い性が向上する。
ところで、第1負極活物質層及び第2負極活物質層へのリチウムのドープは、本発明のリチウム負極複合体をそのまま放置しておくだけでも、徐々に進行する。しかし、後述するように、リチウム負極複合体を電解液に接触させることで、リチウムのドープ速度を早めることができる。
この電解液を用いたリチウムドープは、平板状のリチウム負極複合体に対して行っても良いし、ロール状のリチウム負極複合体に対して行っても良い。或いは、一旦ロール状に巻き取り、再度平板状に延ばしたリチウム負極複合体に対して行っても良い。何れの場合にも、比較的厚い圧延リチウム箔を用いた直接的ドープ法により負極活物質層に適切な量のリチウムをドープできるという、上記した本発明の効果に変わりはない。
なお、ロール状に巻き取ったリチウム負極複合体は取り扱い性に優れるため、電解液を用いたリチウムドープに適していると考えられる。また、後述するように、負極活物質の体積はリチウムドープの前後で変化する。このため、リチウム負極複合体の変形を規制するためには、リチウムドープの際に、リチウム負極複合体にある程度の外力が付与されるのが好ましいと考えられる。ロール状に巻き取ったリチウム負極複合体は、ある程度の張力を付与された状態にあるため、当該ロール状に巻き取ったリチウム負極複合体をリチウムドープに供することで、上記の変形を規制し得ると考えられる。
ところで、本発明の製造方法において、負極とリチウム箔とは、単に重ねるだけでリチウム負極複合体としても良い。或いは、負極とリチウム箔との積層体をプレスして密着させたものをリチウム負極複合体としても良いし、又は、当該積層体を強い張力を加えながら巻回し負極とリチウム箔とを密着させたものをリチウム負極複合体としても良い。負極活物質層へのリチウムのドープは、負極活物質層にリチウムが接触するだけでも徐々に進行するところ、負極とリチウム箔とが密着することで、第1負極活物質層及びリチウム箔、並びに、リチウム箔及び第2負極活物質層が密着すれば、第1負極活物質層及び第2負極活物質層に効率良くリチウムがドープされると考えられる。
負極とリチウム箔とをプレスする方法としては、既知のロールプレス法を用いれば良い。ロールプレス装置におけるロールの数や各ロールから上記の積層体に作用する荷重等は、製造対象である負極の仕様に応じて適宜設定すれば良く、本発明では特に限定しない。
但し、ロールから積層体に作用する荷重が過大であれば、負極活物質層に破損等が生じる可能性があるし、ロールから負極積層体に作用する荷重が過少であれば、プレスした効果が十分に発揮されない。このような事情を考慮すると、ロールから積層体に作用する荷重は0.01N/mm〜20N/mmの範囲内であるのが好ましく、0.1N/mm〜10N/mmの範囲内であるのがより好ましい。以下、必要に応じて、当該積層体をプレスする工程を、プレス工程といい、プレス後の積層体をプレス積層体という。
ところで、上記したように、リチウムは柔らかく変形し易い性質を有する。このようなリチウムを材料とするリチウム箔は取り扱い性に劣るため、薄いリチウム箔を負極活物質層上に変形や破損のない状態で積層することは、非常に困難である。例えば、負極活物質層上に積層するために薄いリチウム箔を搬送する際には、リチウム箔が自重により変形等する可能性がある。また、プレス工程においてリチウム箔がロールに付着した場合、薄いリチウム箔であれば、ロールがプレス積層体から剥がれる際にリチウム箔が変形又は破損する可能性がある。
リチウム箔が破損すると、負極活物質層上のリチウム箔の層の厚さにむらが生じたり、負極活物質層上に当該リチウム箔の層が形成されない部分が生じたりするため、このようなプレス積層体を直接的ドープ法に用いると、負極活物質層にリチウムが一様にドープされず、リチウムドープを好適に行い難い。
しかし、本発明の製造方法によると、上記したように比較的厚いリチウム箔を用い得るため、リチウムイオン二次電池に必要以上のリチウムが持ち込まれる等の薄いリチウム箔に起因する問題を抑制し得る。つまり、本発明の製造方法は、リチウムドープ負極の製造効率を高めるために、非常に有用である。
リチウム箔としては、市販のものを用いても良いし、或いは市販のリチウム箔を適宜圧延したものを用いても良い。つまり、本発明の製造方法は、リチウム原箔を圧延して圧延リチウム箔を製造する工程を有しても良い。当該工程を圧延工程という。本発明の製造方法が圧延工程を有する場合、圧延装置としては、上記のプレス工程同様に、既知のロールプレス装置を用いれば良い。リチウム原箔は単独で圧延しても良いが、フィルムに重ねた状態で圧延するのが好ましい。この場合、柔らかいリチウム原箔がフィルムで補強され、圧延時におけるリチウム箔の変形等を抑制できる利点がある。また、さらに、プレス工程に供するリチウム箔をフィルムと重ねた状態で取り扱えば、例えば上記した搬送時におけるリチウム箔の自重による変形等を抑制できる利点がある。リチウム箔に重ねたフィルムは、リチウム箔を第1負極活物質層と第2負極活物質層とで挟む前に、リチウム箔から剥がせば良い。
フィルムについては特に限定しないが、リチウム箔を補強するという目的では、強度及び剛性に比較的優れる材料を選択するのが好ましい。また、コスト及びリチウム箔との反応性を考慮すると、フィルムは樹脂フィルムであるのが好ましい。例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル等は、比較的安価であり、かつリチウム箔の補強用樹脂フィルムとして充分に機能し得るため、好ましく使用できる。
フィルムは、上記の樹脂フィルム上に剥離層及び/又は潤滑剤が形成されたものであるのがより好ましい。圧延時にリチウム箔と樹脂フィルムとが強固に付着することを回避するためである。
以下、剥離層及び潤滑剤について説明する。
本明細書において、剥離層とは剥離剤を含有する層であり、剥離剤とはある程度の潤滑機能を発揮し得る材料でありかつ層として形をなし得る程度に流動性の低いものを指す。潤滑剤とは、剥離剤よりも流動性の高いもの、層として形をなし得ない程度の流動性を有するものを指す。
剥離層及び潤滑剤は、圧延工程において、樹脂フィルムとリチウム箔との間に介在して、両者の強固な付着を抑制できれば良い。なお、フィルムを用いない場合にも、圧延工程において、剥離層及び/又は潤滑剤がロールとリチウム箔との間に介在すれば、リチウム箔とロールとの強固な付着を抑制でき、リチウム箔の破損等を抑制し得る。何れの場合にも、剥離層及び潤滑剤は上記の機能を発揮できれば良く、その材料は特に限定しない。
剥離層は、既知の剥離剤を含有するもので良く、特に限定しないが、シリコーンを含有する層であるのが好ましい。以下、必要に応じて、シリコーンを含有する剥離層をシリコーン層という。
シリコーン層を構成するシリコーンは、シロキサン結合による主骨格を持つ化合物であり、主として当該シロキサン結合に由来する各種の特性を有する。シリコーンの特性のうち、特に、相手材と固着し難い性質は、樹脂フィルム又はロールとリチウム箔とを圧着させることなくリチウム箔を圧延することに大きく寄与すると考えられる。本発明の発明者が、実際に、ロールとリチウム箔との間にシリコーン層を介在させた状態でリチウム箔の圧延を行ったところ、ロールとリチウム箔との間に他の剥離剤を介在させた場合に比べて、ロールとリチウム箔との強固な付着が大きく抑制された。また、樹脂フィルムとリチウム箔との間にシリコーン層と潤滑剤とを介在させてリチウム箔の圧延を行った場合には、樹脂フィルムとリチウム箔との間に潤滑剤のみを介在させた場合に比べて、樹脂フィルムとリチウム箔との強固な付着が大きく抑制された。
シリコーン層は、比較的変形し易く、相手材に対する一定程度の粘着性を示し、かつ、相手材に強固に固着し難いシリコーン材料で構成するのが好ましい。具体的には、シリコーン材料は、後述するシリコーンレジンでも良いが、付加硬化型又は過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤であるのが好ましい。この種のシリコーン粘着剤は、優れた感圧粘着作用を示すことから、ラベル及びマスキングテープに代表される粘着テープ用の粘着剤として用いられている。
付加硬化型のシリコーン粘着剤は、下記一般式(1)で表されるシロキサン単位を繰り返し単位とするものが好ましく、当該繰り返し単位を主鎖とする直鎖構造を有しても良い。
SiO(4−y)×0.5 (1)
(式中Rは、それぞれ独立に、置換されていても良い炭素数1〜20の一価又は二価の炭化水素基であり、yは1.0〜3.0である。)
上式(1)におけるyとしては1.5〜2.05が挙げられる。
上式(1)においてRで表される一価又は二価の炭化水素基の炭素数として、1〜14、1〜12の範囲を挙げることができる。当該炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルキレン基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。Rの2以上はアルケニル基であっても良い。当該アルキル基の具体例としてはメチル基が挙げられる。当該アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基又はヘプテニル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。当該アリール基の具体例としてはフェニル基が挙げられる。
付加硬化型のシリコーン粘着剤としては、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含むシリコーン粘着剤原料が付加反応により硬化したものが挙げられる。当該付加反応の速度を高めるため、付加反応触媒を用いても良い。
付加硬化型のシリコーン粘着剤が上式(1)で表されるシロキサン単位を繰り返し単位とする場合、オルガノポリシロキサンとしては下記一般式(1−1)で表されるシロキサン単位を含む化合物が挙げられる。
SiO(4−y)×0.5 (1−1)
(式中Rはそれぞれ独立にアルケニル基でありyは1.0〜3.0である。)
オルガノポリシロキサンとしては、上記一般式(1−1)で表されるシロキサン単位を繰り返し単位とするものが好ましく、当該繰り返し単位を主鎖とする直鎖構造を有しても良い。オルガノポリシロキサンは直鎖状であっても良いし、直鎖状の部分構造とともに分岐状及び/又は環状の部分構造を有しても良い。オルガノポリシロキサンの分子量は特に問わない。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中にSiH基を有するものであり、その有機基については特に限定されない。オルガノハイドロジェンポリシロキサン1分子中のSiH基の数は特に限定せず、2〜300、3〜200、4〜150の範囲を挙げることができる。当該SiH基はオルガノポリシロキサンにおけるRのアルケニル基と反応し、付加硬化型のシリコーン粘着剤の硬化に寄与する。このため、オルガノハイドロジェンポリシロキサン1分子中におけるSiH基の数は2以上であるのが好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは直鎖状であっても良いし分岐状であっても良い。
付加硬化型のシリコーン粘着剤の原料としては、KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KR3700、KR3701、X−40−3237−1、X−40−3240、X−40−3291−1、X−40−3229、X−40−3270、X−40−3306(以上、信越化学工業株式会社製)、SD4584、SD4585、SD4560、SD4570、SD4600PFC、SD4593、(以上、東レ・ダウコ−ニング株式会社製)、TSR1512、TSR1516、XR37−B9204(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。付加硬化型のシリコーン粘着剤としては、これらを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。2種以上のシリコーン粘着剤を併用する場合の具体的な組み合わせとして、信越化学工業株式会社製のKS−847Hと、東レ・ダウコ−ニング株式会社製のSD4584と、の組み合わせを挙げることができるが、これに限定されない。
また、後述するシリコーンレジンの原料をシリコーン粘着剤の原料と組み合わせてシリコーン層を形成しても良い。なお、東レ・ダウコ−ニング株式会社製のSD4584は3官能性又は4官能性のシロキサン単位を含むものであり、当該原料を用いて得られたシリコーン粘着剤は、シリコーンレジンと共通する特性を発揮し、粘着性と剥離性とのバランスの良いシリコーン層を形成し得ると考えられる。
付加反応触媒としては、上記の付加反応の触媒として機能し得るものを使用すれば良く、例えば、白金や白金化合物、白金の各種錯体等の各種白金系触媒、塩化ロジウム等のロジウム系触媒、パラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム系触媒等を例示できる。
過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤は、上記した付加硬化型のシリコーン粘着剤と異なり、有機過酸化物の存在下でオルガノポリシロキサンの硬化反応を行うものである。過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤の材料となるオルガノポリシロキサンは、上記した付加硬化型のシリコーン粘着剤で説明したオルガノポリシロキサンと同様のものを用いても良いが、Rがアルキル基のものが好ましい。
有機過酸化物としては、分解して遊離酸素ラジカルを発生するものを用いれば良く、特に限定はない。過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤の原料として使用可能な有機過酸化物の一例を挙げると、ジベンゾイルパーオキサイド、4,4’−ジメチルベンゾイルパーオキサイド、3,3’−ジメチルベンゾイルパーオキサイド、2,2’−ジメチルベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記の各シリコーン粘着剤により、シリコーン層を形成するためには、上記の各原料を必要に応じて有機溶媒等の溶剤とともに混合し、樹脂フィルムに塗布して硬化反応を行えば良い。硬化反応と前後して、樹脂フィルム上のシリコーン粘着剤又はシリコーン粘着剤の原料を加熱しても良い。加熱により、溶剤の除去や、硬化反応の促進が可能である。
樹脂フィルムに設けるシリコーン層の材料としては、上記のシリコーン粘着剤以外にも、以下のシリコーンレジンを用いることもできる。既述したように、シリコーンレジンはシリコーン粘着剤と併用しても良い。シリコーンレジンを含有するシリコーン層は、シリコーン粘着剤を含有するシリコーン層に比べて、変形し難く粘着性の低い剥離層を構成し得る。また、当該性質により、シリコーンレジンはロールに一体に設けるシリコーン層の材料として好適である。更には、シリコーンレジンを材料とするシリコーン層は、後述するリチウム箔圧延工程で用いるロールの表面に形成しても良い。ドープ用のリチウム箔には破損のないことが要求されるため、圧延リチウム箔やプレス積層体を得る際に、リチウム箔とロールとの強固な付着を抑制することは、リチウムドープ負極の製造上、非常に有用である。
以下、シリコーンレジンについて説明する。
シリコーンレジンは、既述したように、比較的変形し難く粘着性の低い特性を有する。具体的には、シリコーンレジンは、下記一般式(2)で表される2官能性のシロキサン単位、下記一般式(3)で表される3官能性のシロキサン単位、又は、下記一般式(4)で表される4官能性のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサン材料を含むのが好ましい。
SiO(0.5×2) (2)
SiO(0.5×3) (3)
SiO(0.5×4) (4)
(式中R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、ビニル基、及び、アミノ基の何れかである。R、Rは同一であっても良いし異なっていても良い。)
上記一般式(2)〜(4)のシロキサン単位の何れかを含むポリオルガノシロキサン材料は、三次元網目構造の比較的硬いシリコーン層を構成し得る。
上記一般式(2)〜(4)のシロキサン単位の何れかを含むポリオルガノシロキサン材料の原料としては、それぞれ、下記一般式(2−1)〜(4−1)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR (2−1)
Si(OR (3−1)
Si(OR (4−1)
(式中R、Rは、それぞれ独立に、H、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、ビニル基、及び、アミノ基の何れかである。Rは炭素数1〜3のアルキル基である。R〜Rはそれぞれ同一であっても良いし異なっていても良い。)
当該ポリオルガノシロキサン材料の原料としては、上記一般式(2−1)で表される2官能性の化合物、上記一般式(3−1)で表される3官能性の化合物、又は、上記一般式(4−1)で表される4官能性の化合物の何れを用いても良く、当該原料において2官能性の化合物、3官能性の化合物及び4官能性の化合物の占める割合は特に問わない。当該原料に含まれるこれらの化合物のうち、2官能性の化合物の占める割合が多いとシリコーン層の可撓性が高まり、3官能性の化合物の占める割合が多いとシリコーン層が硬くなり、4官能性の化合物の占める割合が多いとシリコーン層がより硬くなるとされている。
ロール用のシリコーンレジンは3官能性のシロキサン単位を含むのが好ましく、3官能性のシロキサン単位及び2官能性のシロキサン単位を含むのがより好ましい。R、R及びRとしては、それぞれ、メチル基、プロピル基又はフェニル基を挙げることができる。また、シリコーンレジンの質量平均分子量としては300以上30000以下の範囲を挙げることができ、シリコーンレジン中の残存アルコキシ量としては2質量%以上50質量%以下の範囲を挙げることができる。
上記一般式(2)のシロキサン単位を含むシリコーンレジンの原料としては、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等を例示できる。これらは2官能性のアルコキシシランである。
上記一般式(3)のシロキサン単位を含むシリコーンレジンの原料としては、KR220L、KR242A、KR271、KR282、KR300、KR311、KC89、KR500、KR212、KR213、KR9218、KR251、KR400、KR255、KR216、KR152(以上、信越化学工業株式会社製)、804RESIN、805RESIN、806ARESIN、840RESIN、SR2400、3037INTERMEDIATE、3074INTERMEDIATE、Z−6018、217FLAKE、220FLAKE、233FLAKE、249FLAKE、QP8−5314、SR2402、AY42−161、AY42−162、AY42−163(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)、SY231、SY550、SY300、SY409、SY430、IC836(以上、旭化成ワッカー株式会社製)を例示できる。これらは3官能性のアルコキシシラン及び/又はその誘導体を含有する。
上記一般式(4)のシロキサン単位を含むシリコーンレジンの原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランを例示できる。その他、Mシリケート51、シリケート35、シリケート45、FR−3(以上、多摩化学工業株式会社製)、MSI51、ESI40、ESI48、EMSi48(以上、コルコート社製)、MS51、MS56(以上、三菱化学株式会社製)を例示できる。これらは4官能性のアルコキシシラン及び/又はその誘導体を含有する。
シリコーン層を構成するシリコーンレジンは、シリコーンレジンの原料つまりアルコキシシラン及び/又はその誘導体が脱水縮合反応することで生成する。シリコーンレジンの原料としては、上記(2−1)〜(4−1)のアルコキシシラン及び/又はその誘導体を1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ロールや樹脂フィルムにシリコーン層を設ける方法は特に限定されず、既知のコート方法を用いれば良い。また、シリコーン層の厚さは、プレス時にリチウム箔に作用する応力に応じて適宜設定すれば良い。
本発明の製造方法において、負極活物質層上に積層するリチウム箔の厚さは特に問わないが、当該リチウム箔の厚さが過大であれば、余分なリチウムがリチウムイオン二次電池内で異物となるおそれがあり、また、リチウムイオン二次電池のコストが高くなる。Si含有負極活物質層の不可逆容量等を考慮し、かつ、余剰のリチウムをなるべく低減するためには、当該リチウム箔の厚さは10μm以上であるのが好ましく、20μm以上であるのがより好ましい。リチウム箔の厚さの範囲としては、10〜50μm、15〜45μm、20〜40μmが挙げられる。
圧延工程や上記したプレス工程に用いるロールの材料は特に限定されないが、積層体やリチウム箔等の対象物に充分な荷重を作用させるためには、硬い材料を用いるのが好ましい。2つのロールの各々は、異なる材料で構成されても良いし異なる大きさであっても良いが、荷重やロールの回転速度等の設定を容易に行うためには同じ材料で構成され同じ大きさであるのが好ましい。
具体的にはロールの材料は、ビッカース硬さ50HV以上であるのが好ましく、70HV以上であるのがより好ましく、100HV以上であるのが更に好ましく、150HV以上であるのがなお好ましい。ビッカース硬さ50HV以上の材料を例示すると、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル鋼、ニッケルモリブデンクロム系合金、ニッケルクロム鉄系合金、タングステン、タングステン鋼、モリブデン、チタン、チタン合金、アルミニウム青銅、真鍮、銅合金、炭素鋼等が挙げられる。価格、加工性等を勘案すると、このうちステンレス鋼を用いるのが特に好ましい。
なお、ここでいうロールの材料とは、ロールにシリコーン層等の剥離層を設ける場合には、剥離層以外の部分の材料を指す。つまり、剥離層を一体に有するロールは、ロール基材と当該ロール基材上に設けられた剥離層とで構成されるということができ、この場合、上記のロールの材料とはロール基材の材料を指す。
圧延工程において、上述した剥離層と併用するか或いは剥離層にかえて、潤滑剤を使用しても良い。潤滑剤は、ロールとリチウム箔との間、又は、樹脂フィルムとリチウム箔との間に介在するのが良く、何れの場合にも、剥離層とリチウム箔との間に介在するのが好ましい。剥離層と潤滑剤とを併用することで、ロールや樹脂フィルムへのリチウム箔の圧着を抑制でき、圧延工程やプレス工程におけるリチウム箔の変形や破損をさらに抑制できると考えられる。特に剥離層としてシリコーン層を用いる場合に、剥離層と潤滑剤とを併用することで、リチウム箔の破損抑制効果をより高め得る。潤滑剤としては、シリコーン層等の剥離層となじみが良く、かつ、リチウムに対する反応性の低いものを用いるのが好ましい。
潤滑剤には、剥離層、ロール及び樹脂フィルムへのリチウム箔の強固な付着を抑制できるものが用いられる。また潤滑剤は、プレス時には剥離層、ロール又はフィルムとリチウム箔との間に留まる程度に揮発性が低く、かつ、リチウム負極複合体又はリチウムドープ負極から容易に除去できる程度に揮発性の高い性質を有するのが好ましい。これらを満たす潤滑剤としては、非プロトン性有機溶媒が挙げられる。具体的には、20℃における蒸気圧が0.3〜65.0kPaの範囲にあるか、又は、25℃における蒸気圧が0.5〜100kPaの範囲にあるものを用いるのが好ましい。
潤滑剤として、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、N,N−ジメチルアセトアミド、イソプロピルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、クロロメチルイソシアネート、ジメチルアセタール、ジエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメチルエーテル、エポキシブタン、2−エチルオキシラン、オキサゾール、2−エチルオキサゾール、オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、無水酢酸、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、フラン、γ−ブチロラクトン、チオフェン、ピリジン、1−メチルピロリジン、N−メチルモルフォリン等が挙げられる。本発明の製造方法においては、これらの非プロトン性有機溶媒を1種又は2種以上組み合わせて、潤滑剤として用いれば良い。
潤滑剤としては、上記の非プロトン性有機溶媒のうち、20℃における蒸気圧が0.5〜10kPaの範囲にあるか、又は、25℃における蒸気圧が1.0〜20kPaの範囲にあるものを用いるのが特に好ましい。潤滑剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートから選ばれる少なくとも1種を用いるのが特に好ましい。なお、これらの非プロトン性有機溶媒は、上記の条件を満たすだけでなく、リチウムイオン二次電池の電解液に用いられているものであるか、或いは、充分に揮発せずリチウムイオン二次電池に持ち込まれたとしてもリチウムイオン二次電池の性能を悪化させ難い利点がある。
また、潤滑剤には、2つのロールが最も近接する箇所においてロールとリチウム箔との間又は樹脂フィルムとリチウム箔との間に一様に広がることができる程度の流動性を示すことが期待される。本明細書においては、当該潤滑剤の流動性を潤滑剤の粘度によって規定する。潤滑剤は、20℃における粘度が2.00パスカル秒以下であるのが好ましく、1.00パスカル秒以下であるのがより好ましい。なお、20℃におけるヘキサンの粘度は0.0003パスカル秒程度、20℃におけるエチルメチルカーボネートの粘度は0.0007パスカル秒程度とされている。
プレス工程に用いるリチウム箔としては、上記した圧延工程で圧延したものを用いても良いし、市販のものを用いても良い。
本発明のリチウムドープ負極は、リチウムイオン二次電池用の負極として使用できる。本発明のリチウムドープ負極を有する本発明のリチウムイオン二次電池は、当該リチウムドープ負極、正極、電解液及び必要に応じてセパレータを具備する。
上記したように、本発明の製造方法においてはリチウムドープを加速するために電解液を用いることができるが、このドープ用の電解液としては、有機溶媒とリチウム塩とを含むものを用いれば良い。有機溶媒及びリチウム塩については、後述するリチウムイオン二次電池用の電解液に使用できるものを用いれば良い。以下、必要に応じて、リチウム負極複合体を電解液に接触させる工程をドープ工程という。ドープ工程により、2つの負極活物質層に挟まれたリチウム箔のリチウムは負極活物質層に移行する。したがって、ドープ工程後のリチウムドープ負極においては、実質的に、リチウム箔が消失し、集電体上にはリチウムが一体化した一層構造の負極活物質層のみが残存する。このため、リチウム箔を挟んで配置した2つの負極活物質層は容易に分離する。したがって、ドープ前のリチウム負極複合体に含まれる複数の負極は、ドープ後に適宜分離して、リチウムイオン二次電池に用いることができる。
負極は、既述した片面塗工型の負極であっても良いし両面塗工型の負極であっても良い。何れの場合にも、負極は、集電体と、当該集電体上に形成された負極活物質層とを有する。
負極活物質層は、負極活物質、及び、必要に応じて、結着剤、導電助剤、分散剤及び増粘剤に代表される各種の添加剤を含み得る。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質としては、一般的なリチウムイオン二次電池用の負極活物質を使用できる。
具体的には、負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb、TiO、LiTi12、WO、MoO、Fe等の酸化物、又は、Li3−xN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
その他の負極活物質として、国際公開第2014/080608号に開示されるシリコン材料を用いることも好ましい。国際公開第2014/080608号には、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料が開示されている。そして当該国際公開第2014/080608号には、CaSiと酸とを反応させてCaを除去したポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成し、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させたシリコン材料を製造したこと、及び、当該シリコン材料を活物質として具備するリチウムイオン二次電池が記載されている。
上記した各種の負極活物質のうち、Siを含有する負極活物質、すなわちSi素含有負極活物質は、理論容量が大きく、リチウムイオン二次電池用の負極活物質として好適だと考えられる。しかしその反面、Si含有負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は不可逆容量が大きい問題がある。本発明のリチウムドープ負極の製造方法によると、予め負極活物質にリチウムをドープするために、当該不可逆容量をキャンセルすることができる。このため、本発明のリチウムドープ負極の製造方法は、負極活物質としてSi含有負極活物質を選択する場合に特に有用だと考えられる。なお、リチウム箔を挟む第1負極活物質層と第2負極活物質層とは、異種の負極活物質を含有するものであっても良いし同種の負極活物質を含有するものであっても良いが、当然乍ら、同種の負極活物質を含有するものであるのが好ましい。
負極活物質層は、負極活物質の他に、必要に応じて、導電助剤、結着剤、分散剤等の添加剤を適宜適切な量で含有し得る。なお、正極活物質層もまた同様に、後述する正極活物質の他に、これらの添加剤を適宜適切な量で含有し得るため、以下の項では負極活物質層及び正極活物質層を包括して説明する。以下、必要に応じて、負極及び正極を包括して電極といい、負極活物質及び正極活物質を包括して活物質といい、負極活物質層及び正極活物質層を包括して活物質層という。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤は化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。
結着剤は、活物質等を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸、ポリ(p−スチレンスルホン酸)を挙げることができる。
導電助剤及び結着剤以外の分散剤などの添加剤は、公知のものを採用することができる。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。
集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
また、集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。
集電体の表面に活物質層を形成するには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を有する電極合材を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を混合してスラリー状の電極合材とし、当該スラリー状の電極合材を集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
本発明のリチウムイオン二次電池の正極に用いる正極活物質については特に限定されず、リチウムイオン二次電池用の一般的な正極活物質を使用し得る。
リチウムイオン二次電池用の一般的な正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
本発明のリチウムドープ負極は正極及び必要に応じて既知のセパレータとともに電池容器に入れ、電解液を注入してリチウムイオン二次電池とすれば良い。
電解液は、有機溶媒と当該有機溶媒に溶解されたリチウム塩とを含む。
有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。電解液には、これらの有機溶媒を単独で用いてもよいし、又は、複数を併用してもよい。
リチウム塩としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(FSO等を例示できる。
電解液としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの有機溶媒に、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
以上、本発明のリチウムドープ負極の製造方法、当該製造方法で製造されたリチウムドープ負極、及び当該リチウムドープ負極を含む本発明のリチウムイオン二次電池について実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。また、実施形態及び以下の実施例を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施することができる。
以下に、試験例及び実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1のリチウムドープ負極の製造方法を模式的に表す説明図を図1に示し、図1におけるA部分の要部拡大図を図2に示す。実施例1のリチウムドープ負極の製造方法におけるドープ工程を模式的に表す説明図を図3に示す。以下、上、下、先、後とは、図1に示す上、下、先、後を指す。
(リチウム負極複合体の製造)
実施例1のリチウムドープ負極の製造方法は、図1に示すロールプレス装置1を用いて行う。
図1に示すように、ロールプレス装置1は、ロールプレス部2、搬送部3、及びリチウム箔供給部4を備える。
ロールプレス部2は、第1ロール21及び第2ロール22と、第1ロール21及び第2ロール22を回転駆動する図略のプレス駆動部とを有する。第1ロール21及び第2ロール22は、ステンレス鋼製であり、互いに平行になるよう上下に配列している。
図略のプレス駆動部は、電動モータで構成されている。当該プレス駆動部に駆動されて、第1ロール21は図1中反時計回りに回転し、第2ロール22は図1中時計回りに回転する。
搬送部3は、負極巻き出しロール31と、負極巻き取りロール32と、負極巻き出しロール31及び負極巻き取りロール32を回転駆動する図略の搬送駆動部と、3つの補助ロール(第1補助ロール33、第2補助ロール34及び第3補助ロール35)と、で構成されている。負極巻き出しロール31には負極90が巻かれている。負極巻き取りロール32は、後述するとおり、負極90を有するリチウム負極複合体95を巻き取る。したがって、負極巻き出しロール31と負極巻き取りロール32との間には、負極90が架け渡される。
図2に示すように、負極90は、負極用集電体91と、負極用集電体91の一方の面に形成されている第1負極活物質層92と、負極用集電体91の他方の面に形成されている第2負極活物質層93と、を有する。負極巻き出しロール31と負極巻き取りロール32との間に架け渡された負極90は、第1負極活物質層92を上に向け、第2負極活物質層93を下に向ける。
図1に示すように、負極巻き出しロール31はロールプレス部2よりも後側に配置され、負極巻き取りロール32はロールプレス部2よりも先側に配置されている。負極巻き出しロール31及び負極巻き取りロール32には、電動モータからなる図略の搬送駆動部が接続されている。負極巻き出しロール31は、負極巻き取りロール32よりも上側に位置する。そして、搬送駆動部に駆動され、負極巻き出しロール31は図1中の反時計回りに回転し、負極巻き取りロール32は図1中の時計回りに回転する。したがって、負極巻き出しロール31は図1中後側から先側に向けて負極90を巻き出し、負極巻き取りロール32は後側から先側に向けて後述するリチウム負極複合体95を巻き取る。より詳しくは、リチウム負極複合体95は、第1負極活物質層92を径方向外側に、第2負極活物質層93を径方向内側に向けたロール状となるように、負極巻き取りロール32に巻き取られる。第1補助ロール33〜第3補助ロール35については後述する。
負極巻き出しロール31とロールプレス部2との間には、リチウム箔供給部4が配置される。リチウム箔供給部4は、箔巻き出し部41と、第2フィルム巻き取りロール42と、図略の箔巻き出し駆動部と、で構成されている。箔巻き出し部41は、負極巻き出しロール31とロールプレス部2との間で負極90の上側に配置される。
箔巻き出し部41は、箔巻き出しロール41aと、第1フィルム巻き取りロール41bと、を有する。箔巻き出しロール41aにはフィルムリチウム積層体61が巻かれている。フィルムリチウム積層体61は、圧延リチウム箔65と、当該圧延リチウム箔65を挟むように圧延リチウム箔65の両面にそれぞれ重ねられた2つのフィルム68a及びフィルム68bと、で構成される。
図1に示すように、フィルムリチウム積層体61の一方のフィルム68aは、箔巻き出しロール41aの巻き出し方向の先側において、フィルムリチウム積層体61から剥がされ、第1補助ロール33を経由して第1フィルム巻き取りロール41bに巻き取られる。フィルムリチウム積層体61における当該フィルム68a以外の部分、つまり、図2に示すように他方のフィルム68bと圧延リチウム箔65とを有するフィルムリチウム積層本体61aは、第2補助ロール34を経由し、圧延リチウム箔65を下方に向けて負極90の上すなわち第1負極活物質層92の上に重ねられる。
フィルムリチウム積層本体61aは、負極90とともに、第1ロール21と第2ロール22との間に通され、さらに、フィルム68bが剥がされた圧延リチウム箔65の状態で、負極90とともに負極巻き取りロール32に巻き取られる。
図略の箔巻き出し駆動部は、電動モータからなり、箔巻き出しロール41a、及び第1フィルム巻き取りロール41bに接続されている。箔巻き出しロール41a及び第1フィルム巻き取りロール41bは各々同期して回転する。より具体的には、箔巻き出し駆動部に駆動され、箔巻き出しロール41aは図1中の反時計回りに回転し、第1フィルム巻き取りロール41bは図1中の時計回りに回転する。
以下、実施例1のリチウムドープ負極の製造装置を用いた実施例1のリチウムドープ負極の製造方法を工程毎に説明する。実施例1のリチウムドープ負極の製造方法は、リチウム箔圧延工程と、複合体形成工程と、ドープ工程と、を有する。複合体形成工程は、負極形成工程、積層工程、プレス工程、及び、巻回工程を有する。
(リチウム箔圧延工程)
圧延リチウム箔65の材料であるリチウム原箔としては、厚さ100μmのリチウム箔を用いる。リチウム箔圧延工程では、このリチウム原箔の両面に、各々潤滑剤を塗布し、更にその上に各々フィルム68a及びフィルム68bを重ね、図略のロールプレス装置で圧延して、厚さ約20μmの圧延リチウム箔65を得る。
具体的には、潤滑剤としてはヘキサンを用いる。
フィルム68a及びフィルム68bとしては、リンテック株式会社製、厚さ約25μmのものを用いる。当該フィルム68a及びフィルム68bは、ポリエチレンテレフタレート製の樹脂フィルム上に、シリコーン層が形成されたものである。当該シリコーン層の原料は、付加硬化型のシリコーン粘着剤であるKS−847H(信越化学工業株式会社製)を固形分換算で30質量部、同じく付加硬化型のシリコーン粘着剤であるSD4584(東レ・ダウコ−ニング株式会社製)を固形分換算で18質量部、及び白金触媒であるPL−50T(信越化学工業株式会社製)を1.6質量部に、溶剤としてのトルエンを加えて、固形分濃度を約30質量%としたものである。当該シリコーン層の原料を、上記した樹脂フィルム上に塗布し、130℃で2分間加熱し硬化させるとともに溶剤を揮発させることで、シリコーン層を形成する。シリコーン層の厚さは0.1〜0.5μm、樹脂フィルムの厚さは25μmである。このようにして得られるフィルム68a及びフィルム68bを、シリコーン層をリチウム原箔に向けて、潤滑剤を充分に塗布したリチウム原箔の両面にそれぞれ重ねることで、リチウム原箔、フィルム68a及びフィルム68bの積層体が得られる。
この状態で、図略のロールプレス装置の2つのロールによって、当該積層体を所定の荷重で挟み込んで圧延する。圧延後の当該積層体を、フィルムリチウム積層体61としてロール芯に巻き取り、リチウム箔供給部4の箔巻き出しロール41aに用いる。なお、フィルムリチウム積層体61は、圧延リチウム箔65と、当該圧延リチウム箔65の両面にそれぞれ重ねられたフィルム68a及びフィルム68bと、で構成される。
(複合体形成工程)
(負極形成工程)
(シリコン材料の製造)
1質量%のフッ化水素を含有する濃塩酸を準備し、0℃の氷浴下、20mlの当該濃塩酸に5gのCaSiを加えて1時間攪拌し、その後水を加えて更に5分間攪拌して反応液を得た。当該反応液を濾過して得られた黄色の固形分を、水及びエタノールで洗浄し、これを減圧乾燥することにより、層状ポリシランを得た。この層状ポリシランを、アルゴン雰囲気下、500℃で加熱することにより、ポリシランから水素が離脱したシリコン材料を得た。
当該シリコン材料を負極活物質として用い、以下の方法で負極90を製造する。
(負極の製造)
負極活物質として上記のシリコン材料を70質量部、その他の負極活物質として天然黒鉛を15質量部、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部、及び結着剤としてポリアミドイミド15質量部を混合するとともに、この混合物に適量のN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー状の負極合材を得る。次いで、負極用集電体91として、20μmの電解銅箔を準備し、ドクターブレードを用いて当該負極用集電体91の両面に各々負極合材を塗布し、負極合材を材料とする負極合材層と、負極用集電体91と、を有する負極前駆体を得る。この負極前駆体を乾燥させることで、負極合材中のN−メチル−2−ピロリドンが揮発する。
その後、乾燥後の負極前駆体を、図略のロールプレス装置により、負極合材層の厚さが70μmとなるように圧延する。なお、この圧延によって、負極合材層と負極用集電体91とが強固に一体化する。このときの負極合材層の密度は1.2g/cmとなる。圧延後の負極前駆体を更に減圧下にて200℃で2時間加熱することで、負極用集電体91と、負極用集電体91の一方の面に形成されている第1負極活物質層92と、負極用集電体91の他方の面に形成されている第2負極活物質層93と、を有する負極90が得られる。当該負極90については、ロール芯に巻き取って、負極巻き出しロール31に用いる。負極巻き出しロール31の負極90については、上記したフィルムリチウム積層体61とともに、以下の積層工程に供する。
(積層工程)
積層工程では、図1に示すロールプレス装置1を用い、以下の手順でリチウム負極複合体95を製造する。
先ず、負極巻き出しロール31から、上記の負極形成工程で得られた負極90を巻き出し、第1ロール21及び第2ロール22の間に通す。また、箔巻き出し部41の箔巻き出しロール41aから、フィルムリチウム積層体61の一方のフィルム68aを剥がして第1フィルム巻き取りロール41bに巻き取る。次いで、図1及び図2に示すように、残りのフィルムリチウム積層本体61aを、圧延リチウム箔65を第1負極活物質層92に向けつつ負極90の上面に重ねる。
(プレス工程)
プレス工程では、積層工程で得られた負極90とフィルムリチウム積層本体61aとの積層体を、第1ロール21と第2ロール22との間に通す。第1ロール21及び第2ロール22の間を通過する際に、負極90とフィルムリチウム積層本体61aとの積層体には、第1ロール21及び第2ロール22からの荷重が作用するため、フィルムリチウム積層本体61aの圧延リチウム箔65は、当該荷重によって第1負極活物質層92に圧着されて一体化する。
(巻回工程)
第1ロール21と第2ロール22との間を通過した後の負極90とフィルムリチウム積層本体61aとの積層体には、フィルム68bが重ねられているため、巻回工程においては、先ず、当該積層体からフィルム68bを剥がす。剥がしたフィルム68bは、第3補助ロール35を経由して、第2フィルム巻き取りロール42に巻き取る。残りの積層体は、負極巻き取りロール32に巻き取る。図3に示すように、巻き取られた積層体において、圧延リチウム箔65は第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93で挟まれる。したがって、当該巻回工程によって負極90及び圧延リチウム箔65で構成されるリチウム負極複合体95が得られる。なお、当該リチウム負極複合体95はロール状に巻き取られるため、本発明における巻回体に相当するといえる。
(ドープ工程)
上記の工程で得られたリチウム負極複合体95については、以下のドープ工程に供する。
ドープ工程においては、上記のリチウム負極複合体95をロールに巻き取ったままで電解液に接触させることで、第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93へのリチウムのドープを行う。ここで用いる電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で混合した混合溶媒に、LiPFを1Mの濃度で溶解させたものである。図3に示すように、圧延リチウム箔65に含まれるリチウムは、電解液の存在下で、当該圧延リチウム箔65を挟む第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93に急速にドープされると考えられる。ドープが完了すると、圧延リチウム箔65は消失するため、ドープ後のリチウム負極複合体95すなわちリチウムドープ負極においては、第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93は容易に分離できる。
なお、実施例1の製造方法のドープ工程においては、リチウム負極複合体95を電解液に接触させてリチウムドープを加速させるが、リチウム負極複合体95をそのまま放置してリチウムドープを進行させても良い。この場合、ドープ工程はリチウム負極複合体95をそのまま放置する工程となる。この場合の放置時間は、負極活物質層にドープすべきリチウムの量にもよるが、概ね半日〜2日程度とすれば良い。
実施例1の製造方法においては、圧延リチウム箔65を第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93で挟んだ状態でリチウムドープを行うことで、同一の圧延リチウム箔65の厚さ方向における約半分量のリチウムを第1負極活物質層92にドープし、かつ、当該圧延リチウム箔65の厚さ方向における他の約半分量のリチウムを第2負極活物質層93にドープすることができる。つまり、実施例1の製造方法によると、比較的厚い圧延リチウム箔65を用いつつ、直接的ドープ法により、適切な量のリチウムがドープされたリチウムドープ負極を製造し得る。
なお、既述したように、リチウムのドープは、リチウム負極複合体95をそのまま放置するだけでも進行する。したがって、第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93にリチウムを等量ずつドープするためには、圧延リチウム箔65を第1負極活物質層92に積層した後、なるべく早く、リチウム負極複合体95を巻き取って圧延リチウム箔65を第2負極活物質層93に接触させるのが好ましい。具体的には、フィルムリチウム積層本体61aの圧延リチウム箔65が負極90の第1負極活物質層92に積層された後、必要に応じてこの積層体を第1ロール21と第2ロール22とでプレスするプレス工程を経て、負極巻き取りロール32に巻き取られるまでの時間、すなわち積層工程から巻回工程までの時間は、10分以内であるのが好ましく、5分以内であるのがより好ましく、1分以内であるのが特に好ましい。実施例1の製造方法においては、当該時間は1分以内である。
なお、例えばフィルムリチウム積層体61にかえて、フィルムが重ねられていない圧延リチウム箔65を用いる場合にも、同様に、圧延リチウム箔65が負極90の第1負極活物質層92に積層される積層工程後、必要に応じてプレス工程を経て、巻き取り工程までの時間は、短い方が良く、10分以内であるのが好ましく、5分以内であるのがより好ましく、1分以内であるのが特に好ましい。
更に、第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93にリチウムを等量ずつドープするためには、負極巻き取りロール32に巻き取られた状態で、圧延リチウム箔65が、第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93の両方に強く密着するのが好ましい。このためには、例えば、負極巻き取りロール32に巻き取られた際のリチウム負極複合体95の張力をなるべく高くするのが好ましい。具体的には当該張力が10〜50Nの範囲内であれば、圧延リチウム箔65が、第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93の両方に強く密着するため、第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93にドープされるリチウムの量が、より厳密に等量に近づく。当該張力は、15〜45Nの範囲内であるのがより好ましく、20〜40Nの範囲内程度であるのが特に好ましい。なお、実施例1の製造方法においては、当該張力は20N程度である。
実施例1の製造方法によると、比較的厚い圧延リチウム箔65を使用でき、かつ、プレス工程に供する圧延リチウム箔65をフィルム68bで補強しつつ搬送することで、圧延リチウム箔65の破損等を抑制しつつリチウム負極複合体95を製造できる。このことによっても、実施例1の製造方法によるとリチウムが適切な量ドープされたリチウムドープ負極を製造し得る。
実施例1の製造方法においては、フィルム68a及びフィルム68bに剥離層であるシリコーン層を形成し、フィルム68aと圧延リチウム箔65との間、及び、フィルム68bと圧延リチウム箔65との間に、各々、剥離層と潤滑剤とを介在させている。このため、フィルム68a及びフィルム68bは圧延時に圧延リチウム箔65と強固に付着し難く、圧延リチウム箔65からフィルム68a及びフィルム68bを剥がす作業も容易である。そうすると、良好な形状の圧延リチウム箔65を積層工程以降に供することができるため、このことによっても、実施例1の製造方法によるとリチウムが適切な量ドープされたリチウムドープ負極を製造し得る。
(実施例2)
(リチウム負極複合体の製造)
実施例2のリチウムドープ負極の製造装置を用いる実施例2のリチウムドープ負極の製造方法を模式的に表す説明図を図4に示し、図4におけるA部分の要部拡大図を図5に示す。実施例2のリチウムドープ負極の製造方法におけるドープ工程を模式的に表す説明図を図6に示す。以下、上、下、先、後とは、図4に示す上、下、先、後を指す。
実施例2のリチウムドープ負極の製造方法に用いるロールプレス装置1は、図4に示すように、ロールプレス部2、搬送部3、及びリチウム箔供給部4を備える。このうちロールプレス部2については、実施例1のロールプレス装置1におけるロールプレス部2と概略同じであるため省略する。
搬送部3は、第1負極巻き出しロール31aと、第2負極巻き出しロール31bと、負極巻き取りロール32と、第1負極巻き出しロール31a、第2負極巻き出しロール31b及び負極巻き取りロール32を回転駆動する図略の搬送駆動部と、2つの補助ロール(第1補助ロール33及び第2補助ロール34)と、で構成されている。搬送駆動部については実施例1のロールプレス装置1における搬送駆動部と概略同じである。
第1負極巻き出しロール31aには第1負極90aが巻かれている。第2負極巻き出しロール31bには第2負極90bが巻かれている。第1負極90aは、第1集電体91a上に第1負極活物質層92が形成された片面塗工型の負極90であり、第2負極90bは、第2集電体91b上に第2負極活物質層93が形成された片面塗工型の負極90である。負極巻き取りロール32は、後述するとおり、第1負極90a及び第2負極90bを有するリチウム負極複合体95を巻き取る。したがって、第1負極巻き出しロール31a及び第2負極巻き出しロール31bと、負極巻き取りロール32と、の間には、負極90が架け渡される。図5に示すように、第1負極90aは第1負極活物質層92を下に向け、第2負極90bは第2負極活物質層93を上に向ける。
第1負極巻き出しロール31a及び第2負極巻き出しロール31bは、ロールプレス部2よりも後側に配置され、負極巻き取りロール32はロールプレス部2よりも先側に配置される。第1負極巻き出しロール31a、第2負極巻き出しロール31b及び負極巻き取りロール32は、図略の搬送駆動部が接続される。第1負極巻き出しロール31aは負極巻き取りロール32及び第1負極巻き出しロール31aよりも上側に位置する。そして、搬送駆動部に駆動されて、第1負極巻き出しロール31aは図4中の反時計回りに回転し、第2負極巻き出しロール31bは図4中の時計回りに回転し、負極巻き取りロール32は図4中の時計回りに回転する。したがって、第1負極巻き出しロール31a及び第2負極巻き出しロール31bは図4中の後側から先側に向けて第1負極90a及び第2負極90bを巻き出し、負極巻き取りロール32は後側から先側に向けてリチウム負極複合体95を巻き取る。より詳しくは、リチウム負極複合体95は、第1負極90aを径方向外側に、第2負極90bを径方向内側に向けたロール状をなすように、負極巻き取りロール32に巻き取られる。第1補助ロール33及び第2補助ロール34については後述する。
第1負極巻き出しロール31aは第2負極巻き出しロール31bとロールプレス部2との間に配置されている。更に、第1負極巻き出しロール31aと第2負極巻き出しロール31bとの間にはリチウム箔供給部4が配置されている。
実施例2のロールプレス装置1においては、リチウム箔供給部4は、箔巻き出しロール41a及び図略の箔巻き出し駆動部で構成されている。箔巻き出しロール41aは第2負極巻き出しロール31bと第1負極巻き出しロール31aとの間に配置され、図4中の反時計回りに回転する。
箔巻き出しロール41aには、圧延リチウム箔65が巻かれている。圧延リチウム箔65は、第2負極90bの上側かつ第1負極90aの下側に配置され、第1補助ロール33を経由して第2負極90bの上面に重ねられる。第1負極巻き出しロール31aに巻かれている第1負極90aは、第2補助ロール34を経由して、圧延リチウム箔65の上面に重ねられる。図4及び図5に示されるように、このようにして得られた第1負極90a、第2負極90b及び圧延リチウム箔65の積層体は、第1ロール21と第2ロール22との間に通され、更に、図1に示すように負極巻き取りロール32に巻き取られる。なお、図5に示すように、当該積層体における各要素は、上方から下方に向けて、第1集電体91a、第1負極活物質層92、圧延リチウム箔65、第2負極活物質層93、第2集電体91bの順に配列する。
実施例2のリチウムドープ負極の製造装置を用いる実施例2のリチウムドープ負極の製造方法を工程毎に説明する。実施例2のリチウムドープ負極の製造方法では、圧延リチウム箔65として市販の厚さ40μmリチウム箔を用いる。実施例2のリチウムドープ負極の製造方法は、複合体形成工程と、ドープ工程と、を有する。このうちドープ工程は、実施例1の製造方法におけるドープ工程と概略同じであるため省略する。
(複合体形成工程)
実施例2の製造方法においては、第1集電体91a及び第2集電体91bとして、実施例1の製造方法で用いた負極用集電体91と同じものを用いる。この第1集電体91a上に実施例1の製造方法と同様にして第1負極活物質層92を形成し、第1負極90aとする。同様に、第2集電体91b上に第2負極活物質層93を形成し、第2負極90bとする。実施例2の製造方法における積層工程では、第1負極90a及び第2負極90bで圧延リチウム箔65を挟んでリチウム負極複合体95とする。当該リチウム負極複合体95については、以下のプレス工程に供する。
(プレス工程)
プレス工程では、図4に示すロールプレス装置1を用いて、上記のリチウム負極複合体95をプレスする。プレス後のリチウム負極複合体95は、負極巻き取りロール32に巻き取り、実施例1の製造方法同様に、ドープ工程に供する。なお、実施例2の製造方法でロール状に巻き取られたリチウム負極複合体95においても、圧延リチウム箔65は第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93に挟まれる。したがって、当該ロール状に巻き取られたリチウム負極複合体95もまた、本発明における巻回体に相当する。
上記のロール状に巻き取られたリチウム負極複合体95において、各要素は、図6に示すように、第1集電体91a、第1負極活物質層92、圧延リチウム箔65、第2負極活物質層93、第2集電体91b、第1集電体91a、第1負極活物質層92…の順に配列する。このようにロール状に巻かれたリチウム負極複合体95においては、2つの集電体すなわち第1集電体91aと第2集電体91bの順とが隣り合うが、実施例1の製造方法と同様に、圧延リチウム箔65は第1負極活物質層92及び第2負極活物質層93で挟まれる。したがって、実施例2の製造方法においても、実施例1の製造方法と同様に、比較的厚い圧延リチウム箔65を用いつつ、直接的ドープ法により、適切な量のリチウムがドープされたリチウムドープ負極を製造し得る。
以下、試験例を挙げ、本発明のリチウムドープ負極の製造方法の効果を検討する。
(試験例1)
実施例1の製造方法で用いた負極90の両面に厚さ20μmの圧延リチウム箔65を積層し、プレスしたリチウム負極複合体を、電解液と接触させた場合、電解液に接触させずそのまま放置しておいた場合、及び、電解質を含まない有機溶媒に接触させた場合、につき、それぞれ、リチウムドープの程度について評価した。電解液としては上記のドープ工程で用いたものと同じ電解液を用いた。この電解液に用いた有機溶媒を、有機溶媒として用いた。
電解液に接触させずそのまま放置したリチウム負極複合体を試験1−1とし、電解液に接触させたリチウム負極複合体を試験1−2とし、有機溶媒に接触させたリチウム負極複合体を試験1−3として、各リチウム負極複合体につき、圧延リチウム箔の層、すなわちリチウム層の厚さの経時変化を測定した。なお、試験後のリチウム負極複合体は、リチウムがドープされたものであるため、リチウムドープ負極ともいえる。
試験例1−1及び試験例1−2につき、結果を表1に示す。
Figure 0006930142
表1に示すように、電解液に接触させず放置した試験1−1のリチウム負極複合体においては、リチウム層の減少速度が非常に遅く、試験開始から48時間後に漸くリチウム層が消失した。これに対して、電解液に接触させた試験1−2のリチウム負極複合体においてはリチウム層の減少速度が非常に速く、試験開始の3時間後にはリチウム層が消失した。消失したリチウム層は、負極活物質層にドープされたものと考えられるため、この結果から、電解液の存在下ではリチウムドープが迅速に進行するといえる。また、電解液の非存在下においても非常に緩やかではあるがリチウムドープが進行するといえる。
これに対して、試験1−3のリチウム負極複合体においては、電解液に接触させず放置した試験1−1のリチウム負極複合体と同様に、試験開始から48時間後に漸くリチウム層が消失した。この結果から、リチウムのドープは電解液中のリチウムイオンを介して進行することが示唆される。
リチウムドープの前後におけるリチウム負極複合体の層の厚さを測定した。その結果、試験1−1及び試験1−2のリチウム負極複合体の両方において、経過時間0時間における負極活物質層の厚さは70μm、リチウム層の厚さは20μmであり、リチウム負極複合体の層の厚さ、つまり、負極活物質層とリチウム層との厚さの合計は90μmであった。一方、リチウム層の厚さが0μmとなったときのリチウム負極複合体の層の厚さ、つまり、負極活物質層の厚さは、試験1−1のリチウム負極複合体では88μmであり、試験1−2のリチウム負極複合体では80μmであった。
電解液に接触させつつリチウムドープを行った試験1−2のリチウム負極複合体においては、ドープ後のリチウム負極複合体の層の厚さがドープ前よりも大きく低減したといえる。また、電解液に接触させずリチウムドープを行った試験1−2のリチウム負極複合体においては、ドープ後のリチウム負極複合体の層の厚さはドープ前と略同じであったといえる。リチウム負極複合体を電解液に接触させつつリチウムドープを行う場合には、リチウムが多孔質の負極活物質層の全体に分散してドープされ、リチウムドープにより負極活物質が膨張するものの、当該膨張により増大した負極活物質の体積は、負極活物質層における細孔の容積によってキャンセルされたと推測される。また、電解液に接触させずにリチウムドープを行う場合には、リチウムが負極活物質層の表層部分に多くドープされたため、リチウムドープにより増大した負極活物質層の体積はキャンセルされ難かったものと推測される。つまり、この結果から、リチウム負極複合体を電解液に接触させつつリチウムドープを行う場合には、リチウム負極複合体を電解液に接触させずにリチウムドープを行う場合に比べて、負極活物質層へのリチウムドープが均一に為されると推測される。
(試験例2)
ロールプレス装置による圧延時における剥離層及び潤滑剤の効果を評価した。具体的には、2つのロールの隙間及び2つのロールによる荷重を種々に変更しつつ、リチウム原箔をそのまま又は樹脂フィルムに挟んでロールで圧延し、変形や破損のない圧延リチウム箔の厚さの限界値を測定した。当該測定を、剥離層及び/又は潤滑剤の存在下若しくは非存在下で行うことで、剥離層及び/又は潤滑剤の効果を評価した。
(試験例2−1)
試験例2−1では、剥離層を有するフィルムで厚さ100μmのリチウム原箔を挟み、かつ、フィルムの剥離層とリチウム原箔との間に潤滑剤としてのヘキサンを介在させて、フィルムリチウム積層体を構成した。ロールとしては、ステンレス鋼製のものを用いた。当該フィルムリチウム積層体を圧延し、得られた圧延リチウム箔の厚さは10μmであった。試験2−1の結果を、後述する試験2−2〜2−10の結果とともに、表2に示す。
なお、フィルムとしては、上記した実施例1の製造方法におけるリチウム箔圧延工程と同様に、リンテック株式会社製、厚さ約25μmのフィルムを用いた。当該フィルムは、剥離層にシリコーン粘着剤を含む。
(試験例2−2)
試験例2−2では、フィルムを用いず、剥離層を設けたロールを用いてリチウム原箔を圧延したこと以外は、試験2−1と同じ方法でリチウム箔を圧延した。ロールプレス装置の2つのロールとしては、シリコーン層を一体に有するものを用いた。
具体的には、シリコーン層の原料としては、シリコーンレジンであるKR216(信越化学工業株式会社製)を用いた。当該原料をスプレーガンにてステンレス鋼製のロール基材上にそれぞれ塗布し、室温で24時間保持して、シリコーン層を硬化させた。その後、シリコーン層の表面粗さを測定し、必要に応じて、表面粗さRaが1.0μm程度となるようにサンドペーパによりシリコーン層の表面を研磨した。
以上のようにして得たシリコーン層を一体に有するロールを用い、リチウム原箔の圧延を行った。
試験例2−2で測定した圧延リチウム箔の厚さは、10μmであった。
(試験例2−3)
試験例2−3では、フィルムとして剥離層を有さず樹脂フィルムのみで構成されたものを用い、一方のフィルムとリチウム原箔との間にだけ潤滑剤を存在させ、他方のフィルムはリチウム原箔に直接接触させた。それ以外は、試験例2−1と同じ方法でリチウム箔を圧延した。試験例2−3で測定した圧延リチウム箔の厚さは、80μmであった。
(試験例2−4)
試験例2−4では、フィルムとして剥離層を有さず樹脂フィルムのみで構成されたものを用いたこと以外は、試験例2−1と同じ方法でリチウム箔を圧延した。
試験例2−4で測定した圧延リチウム箔の厚さは、30μmであった。
(試験例2−5)
試験例2−5では、ロールとして剥離層を有さない高密度ポリエチレン製のロールを用いたこと以外は、試験例2−2と同じ方法でリチウム箔を圧延した。
試験例2−5で測定した圧延リチウム箔の厚さは、50μmであった。
(試験例2−6)
試験例2−6では、ロールとして剥離層を有さないポリアセタール製のロールを用いたこと以外は、試験例2−2と同じ方法でリチウム箔を圧延した。
試験例2−6で測定した圧延リチウム箔の厚さは、30μmであった。
(試験例2−7)
試験例2−7では、ロールとして剥離層を有さないエポキシ樹脂とガラス繊維とで構成されるFRP(繊維強化プラスチック)製のロールを用いたこと以外は、試験例2−2と同じ方法でリチウム箔を圧延した。
試験例2−7で測定した圧延リチウム箔の厚さは、90μmであった。
(試験例2−8)
試験例2−8では、ロールとして剥離層を有さないポリエーテルエーテルケトン樹脂製のロールを用いたこと以外は、試験例2−2と同じ方法でリチウム箔を圧延した。
試験例2−8で測定した圧延リチウム箔の厚さは、90μmであった。
(試験例2−9)
試験例2−9では、ロールとして剥離層を有さないステンレス鋼製のロールを用いたこと以外は、試験例2−2と同じ方法でリチウム箔を圧延した。
試験例2−9で測定した圧延リチウム箔の厚さは、90μmであった。
(試験例2−10)
試験例2−10では、剥離層としてDLC(ダイヤモンドライクカーボン)層を有するロールを用いたこと以外は、試験例2−2と同じ方法でリチウム箔を圧延した。
試験例2−10で測定した圧延リチウム箔の厚さは、80μmであった。
Figure 0006930142
表2に示すように、ロールとリチウム箔との間に剥離層としてのシリコーン層を介在させて圧延した試験例2−1では、ロールとリチウム箔との間に樹脂フィルムを介在させただけで剥離層を介在させなかった試験例2−4に比べて、薄い圧延リチウム箔を得ることができた。また、ロールの表面に剥離層としてのシリコーン層を設け、ロールとリチウム箔との間に当該シリコーン層を介在させて圧延した試験例2−2では、剥離層のないロールを用い、ロールとリチウム箔との間に剥離層を介在させなかった試験例2−9に比べて著しく薄い圧延リチウム箔を得ることができた。この結果から、ロールとリチウム箔との間に剥離層としてシリコーン層を介在させて圧延することで、リチウム箔とロールとの強固な付着を抑制しつつリチウム箔の圧延を行い得ることがわかる。更に、本発明の製造方法において、リチウム箔を有するリチウム負極複合体をプレスする場合にも、ロールとリチウム箔との間にシリコーン層を介在させることで、リチウム箔に破損等のない良好なリチウム負極複合体を得ることができるといえる。
また、シリコーン層を一体に設けたロールで圧延を行った試験例2−2では、各種の樹脂材料で構成したロールで圧延を行った試験例2−5〜試験例2−8や、DLC層を一体に設けたロールで圧延を行った試験例2−10に比べても、非常に薄い圧延リチウム箔を得ることができるといえる。つまり、圧延時にロールとリチウム箔との間に介在させる剥離層として、シリコーン層は非常に優秀であるといえる。
(参考例)
実施例1の(負極の製造)の項で製造した、プレス工程前の負極90を用いて電池を製造した。対極は金属リチウム箔(厚さ500μm)であり、電解液は上記のドープ工程に用いたものと同じ電解液であった。
対極をφ13mm、リチウムドープ負極をφ11mmに裁断し、セパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター及びCelgard社製「Celgard2400」)を両極の間に介装して電極体とした。この電極体を電池容器(CR2032型コイン電池用部材、宝泉株式会社製)に入れた。電池容器に電解液を注液し、電池容器を密閉して、参考例のリチウムイオン二次電池を製造した。
参考例のリチウムイオン二次電池につき、0.2mAの定電流充放電を行った。その結果、初回放電容量は1200mAh/g、初回充電容量は803mAh/g、(初回充電容量/初回放電容量)×100で算出される初期効率は66.9%であった。この結果から、シリコン材料に代表されるSi含有負極活物質の初期容量は、リチウムドープを行わなければ、非常に大きいことが実証される。
1:ロールプレス装置 2:ロールプレス部
3:搬送部 4:リチウム箔供給部
21:第1ロール 22:第2ロール
31:負極巻き出しロール 31a:第1負極巻き出しロール
31b:第2負極巻き出しロール 32:負極巻き取りロール
33:第1補助ロール 34:第2補助ロール
35:第3補助ロール 41:箔巻き出し部
41a:箔巻き出しロール 41b:第1フィルム巻き取りロール
42:第2フィルム巻き取りロール 61:フィルムリチウム積層体
65:圧延リチウム箔 68a:フィルム
68b:フィルム 90:負極
90a:第1負極 90b:第2負極
91:負極用集電体 91a:第1集電体
91b:第2集電体 92:第1負極活物質層
93:第2負極活物質層 95:リチウム負極複合体

Claims (7)

  1. 集電体と前記集電体の一方の面に形成された第1負極活物質層と前記集電体の他方の面に形成された第2負極活物質層とを有する負極の、前記第1負極活物質層上にリチウム箔を積層して、リチウム負極複合体を形成する積層工程と、
    前記リチウム負極複合体を巻回し、前記リチウム箔が前記第1負極活物質層及び前記第2負極活物質層で挟まれた巻回体を形成する巻回工程と、を有し、
    前記巻回体における張力は10〜50Nの範囲内である、リチウムドープ負極の製造方法。
  2. 第1負極活物質層を有する第1負極と、第2負極活物質層を有する第2負極と、でリチウム箔を挟んでリチウム負極複合体を形成する積層工程と、
    前記リチウム負極複合体を巻回し、前記リチウム箔が前記第1負極活物質層及び前記第2負極活物質層で挟まれた巻回体を形成する巻回工程と、を有し、
    前記巻回体における張力は10〜50Nの範囲内である、リチウムドープ負極の製造方法。
  3. 集電体と前記集電体の一方の面に形成された第1負極活物質層と前記集電体の他方の面に形成された第2負極活物質層とを有する負極の、前記第1負極活物質層上にリチウム箔を積層して、リチウム負極複合体を形成する積層工程と、
    前記リチウム負極複合体を巻回し、前記リチウム箔が前記第1負極活物質層及び前記第2負極活物質層で挟まれた巻回体を形成する巻回工程と、
    ドープ後の前記巻回体を解き、前記第1負極活物質層と前記第2負極活物質層とを分離する工程と、を有する、リチウムドープ負極の製造方法。
  4. 第1負極活物質層を有する第1負極と、第2負極活物質層を有する第2負極と、でリチウム箔を挟んでリチウム負極複合体を形成する積層工程と、
    前記リチウム負極複合体を巻回し、前記リチウム箔が前記第1負極活物質層及び前記第2負極活物質層で挟まれた巻回体を形成する巻回工程と、
    ドープ後の前記巻回体を解き、前記第1負極活物質層と前記第2負極活物質層とを分離する工程と、を有する、リチウムドープ負極の製造方法。
  5. 前記巻回体における張力は10〜50Nの範囲内である、請求項3又は請求項4に記載のリチウムドープ負極の製造方法。
  6. 有機溶媒とリチウム塩とを含む電解液を前記巻回体に接触させるドープ工程を有する、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のリチウムドープ負極の製造方法。
  7. 前記積層工程における前記リチウム箔の厚さは20μm以上である、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のリチウムドープ負極の製造方法。
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