JP6766483B2 - 高温部観察窓 - Google Patents
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Description
しかしながら、カメラと観察対象の高温部の距離が近い場合、放射される熱量が大きく、ホットミラーをその間に一枚設けても、一枚のホットミラーで減少できる赤外線には限界があるためカメラへの十分な断熱が行われない。そこで、ホットミラーを複数枚重ねて、赤外線による入熱を大幅に減少させる必要がある。
さらに、観察窓自体の断熱性および耐熱性が向上すれば、測定対象と観察窓、ひいてはカメラとの距離を近づけることができる。また、観察窓の厚さを薄く、構造を簡略化しコンパクトとすることによっても、観察窓が薄くなった分だけカメラを観察対象に近づけることができる。カメラを観察対象に近づけることができれば、正確な観察を行うことができ、観察視野の大きさを確保することもできる。
特許文献4には、レーザ装置に使用されるレンズホルダに関し、レンズを保持するレンズホルダ内のレンズ固定部の円周に設けられた所定角度の孔から冷却用空気を噴出する構造が記載されている。しかしながら、特許文献4の技術では、レンズホルダの厚さが必要であり、多数のレンズを長手方向に配置する場合は、かなりの長さが必要となり、コンパクトな構造にはできない。また、薄いガラスを狭い間隔で配置することができない。
特許文献5には、レーザ装置に使用されるレンズホルダに関し、孔から長手方向に空気を噴出す構造が記載されている。しかしながら、特許文献5の技術では、狭い間隔で配置したガラスの全面を冷却するには不向きである。
前記ガラスホルダーの筒状断面内に、ミラー面がカメラの視野軸の長手方向とほぼ垂直になるよう設けられ、赤外線のみを反射させ、可視光を透過させる2枚以上のホットミラーと、
前記ガラスホルダーの筒状断面内に、前記ホットミラーと交互に同数配置され、リング状で外周にギヤ状突起を有し、リング面がカメラの視野軸の長手方向とほぼ垂直になるよう設けられ、カメラの視野軸の長手方向に前記ギヤ状突起を一定角度折曲げた、前記ホットミラーを押えるホットミラー押え板と、
前記ガラスホルダーの筒状断面内に、ガラス面がカメラの視野軸の長手方向とほぼ垂直になるよう設けられ、前記ホットミラーおよび前記ホットミラー押え板よりも観察対象側に設けられた耐熱ガラスと、
前記ガラスホルダーの観察対象側の最外部に取り付けられた耐熱ガラス押え板と
を備え、
前記2枚以上のホットミラーの間には、前記ホットミラー押え板の前記ギヤ状突起により空間が設けられており、
前記ガラスホルダーには、冷却用の冷却気体供給口が設けられ、
前記ガラスホルダーの内壁には、
前記冷却気体供給口から冷却気体供給通路を経由して、最も観察側のホットミラーから耐熱ガラスが設けられた外側まで連通している冷却気体供給通路溝が設けられ、
前記ガラスホルダーの内壁の、前記冷却気体供給通路溝に対向する位置には、最も観察側のホットミラーから耐熱ガラスが設けられた外側まで連通している冷却用の冷却気体排出通路溝が設けられ、
前記冷却気体供給通路溝および前記冷却気体排出通路溝と、前記空間とは、それぞれ、前記ギヤ状突起間の開孔部により連通しており、
前記耐熱ガラス押え板は、前記冷却気体供給通路溝および前記冷却気体排出通路溝から、耐熱ガラスが設けられた外側まで流通した冷却気体の流れを、前記耐熱ガラス押え板にぶつけることにより冷却気体の流れを筒中心方向に変える機構を有する
ことを特徴とする高温部観察窓。
(2)前記耐熱ガラス押え板を最外部に取り付けることにより、ホットミラー押え板のギヤ状突起をガラスホルダー長手方向に弾性変形させた弾性力によりホットミラーと耐熱ガラスの動きが抑制されていることを特徴とする(1)に記載の高温部観察窓。
(3)前記ガラスホルダーは、
前記冷却気体供給通路から分岐し、前記冷却気体供給通路溝とは独立して前記耐熱ガラス押え板に前記冷却気体供給口から取り込んだ冷却気体を当てる横孔と、
前記冷却気体排出通路溝から分岐して前記耐熱ガラス押え板にホットミラーを冷却した冷却気体を当てる横孔とを有し、
前記耐熱ガラス押え板は、前記冷却気体の流れを筒中心方向に変える機構として、
前記冷却気体供給通路溝、前記冷却気体排出通路溝および前記横孔から、耐熱ガラスが設けられた外側まで流通した冷却気体の流れを、前記耐熱ガラス押え板に当てることより耐熱ガラスの観察対象側の面に向ける溝を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の高温部観察窓。
本発明における高温部観察窓とは、カメラの耐熱温度以上となる部分を観察するための窓である。カメラの耐熱温度とは、現在通常使用されるCCD等のデジタルカメラやカメラレンズの耐熱温度である40℃程度とする。また、カメラにより観察する観察窓だけでなく、目視により観察する観察窓も本発明を適用できる。典型的な高温部観察窓は加熱炉内部の観察窓である。観察窓は炉に直接設置してもよいし、所定の高温部観察用の観察装置に取り付けてもよい。
ガラスホルダー1の開口部のカメラ18を設置する側、あるいは観察者が窓を覗く側を観察側29、炉内内部等の観察したい対象がある側を観察対象側28と呼ぶことにする。
以下、各々の部品とその配置について説明する。
図1(A)、図2(A)に示したように、ガラスホルダー1には、冷却気体を導入する冷却気体供給口2が観察側29に設けられ、冷却気体供給口2より連通して、冷却気体供給通路3が設けられている。さらに、ガラスホルダー内部壁20には、冷却気体供給通路溝16および冷却気体排出通路溝17が設けられている。冷却気体供給通路溝16は、冷却気体供給通路3と連通し、最も観察側のホットミラー設置位置から耐熱ガラスが設けられた外側の冷却気体供給通路溝出口5まで連通している。一方、冷却気体排出通路溝17は、冷却気体供給通路溝16の点対称側のガラスホルダー内部壁20に設けられ、最も観察側のホットミラー設置位置から耐熱ガラスが設けられた外側の冷却気体排出通路溝出口6まで連通している。これら冷却気体供給通路溝16、冷却気体排出通路溝17は、ホットミラー8、耐熱ガラス10をガラスホルダー内部壁20にはめ込むことにより、図1(B)の16、17として示したように、ホットミラー8、耐熱ガラス10とガラスホルダー内部壁20の間に冷却気体の通る隙間を形成する。冷却気体供給通路溝16および冷却気体排出通路溝17同士を対向した位置に配置するのは、両者の位置を離すためであり、冷却気体供給と排出の位置が近いと、16から17へと短絡した経路で、冷却気体が排出されてホットミラー8の冷却が不十分になるためである。また、対向した、とは、ほぼ点対称に配置することであり、円形の場合は中心点を対称点とするものであり、円形以外の場合は、断面図形の重心を対称点とするものである。
なお、図1(B)では、冷却気体供給通路溝16、冷却気体供給通路溝出口5、冷却気体排出通路溝17、冷却気体排出通路溝出口6の溝断面は半月状であるが、断面形状は半月状に限られるものではない。また、図1(A)、図2(A)において、冷却気体供給通路溝16、冷却気体排出通路溝17は長手方向に直線的に設けてあるが、らせん状等、溝を曲げて形成しても構わない。その場合、一方の溝のらせん形状に対応するように点対称に他方の溝をらせん形状に形成する。
ホットミラー押え板9は、リング状であり、リングの外周部にギヤ状突起22を有している。このギヤ状突起22は、ギヤ状突起22の根本において、リングの外周円に沿ってリング面23から一定の角度で折り曲げられている(図3の側面図、A部詳細参照)。二つのホットミラー8の間にホットミラー押え板9を設けてガラスホルダー1を組み立てた際には、片側のホットミラー8には、ギヤ状突起22の先が接し、反対側のホットミラー8には、リング面23が接する。そのため、ホットミラー押え板9を挟んだ二つのホットミラー8の間には、ホットミラー押え板9のギヤ状突起22のために空間が設けられ、また、ギヤ状突起開孔部21のために円周方向に穴の空いた空間を設けられる。冷却気体供給通路溝16より、冷却気体が供給されると、このギヤ状突起開孔部21を通じて、8と9の間の空間に導入されてホットミラー8を冷却できる。冷却済みの冷却気体は、冷却気体供給通路溝16とは点対称側のギヤ状突起開孔部21を通じて冷却気体排出通路溝17へと排出することができる(図1(A)、図2(B)参照)。この冷却気体を流通させることができるためにホットミラー8の熱による損傷を防止することができる。また、ホットミラー押え板9を、このような形状とすることにより、狭い間隔で配置したホットミラー8のガラスの全面の表面、裏面を冷却気体が層流で流れるので、冷却気体の流れに遅滞がなく、効率よく冷却できる。
ホットミラー8とホットミラー押え板9は、交互に同数で二組以上配置され、図2(A)には二組しか図示されておらず、図1(A)においては5組であるが、3〜7組程度が好ましい。少なすぎると耐熱、断熱性が不十分となり、多すぎるとスペースが必要となり高温部観察窓33をコンパクトにすることができない。
耐熱ガラス押え板11は、リング状であり、リングの孔の大きさは、ガラスホルダー1の内径よりもやや小さく、耐熱ガラス押え板11の内径が、ガラスホルダー1に組み付けた際に筒の中心方向に張り出しているよう構成されている。この張り出しにより、耐熱ガラス10が外れるのを抑える。また、耐熱ガラス押え板11は、ガラスホルダー1に組み立てた際に観察側(耐熱ガラス側)となる面に、冷却気体供給通路溝出口5、冷却気体排出通路溝出口6から流出してくる冷却気体がぶつかって流れを筒中心方向に変える機構を有する。具体的には、耐熱ガラス押え板溝A(12)、耐熱ガラス押え板溝B(13)が設けられている。耐熱ガラス押え板溝A(12)、耐熱ガラス押え板溝B(13)は、それぞれ、ガラスホルダー1に組み付けた際に、冷却気体供給通路溝出口5、冷却気体排出通路溝出口6から流出してくる冷却気体の流れが当たる位置に設けられている。そして、流出してくる冷却気体の流れを直角方向に変更する形状、位置となっている。冷却気体の流れにより、耐熱ガラス10の前面に冷却気体膜を設けられるので、高温部からの熱風等が耐熱ガラス10へと当たることを防止することができる。また、流出した冷却気体が、耐熱ガラス10表面に吹き付けられることにより耐熱ガラス10を冷却するとともに、耐熱ガラス表面に付着した異物を排除することができる。溝12、13の形状としては、必ずしも限定されるものではないが、冷却気体供給通路溝出口5、冷却気体排出通路溝出口6の位置から、扇状に広がる形状が好ましく、冷却気体供給通路溝出口5、冷却気体排出通路溝出口6の位置から深くなるよう形成することが好ましい。扇状とすることで、耐熱ガラス10の面全体に冷却気体が広がり、熱風を遮断することができる。
なお、冷却気体供給通路溝出口5、冷却気体排出通路溝出口6から流出してくる冷却気体がぶつかって流れを筒中心方向に変える機構は、溝を例示したが、冷却気体の流れを筒中心方向に変えられればどのような機構でもよく、角度をつけた板等であってもよい。さらに、溝がなくとも位置関係や、耐熱ガラス押え板11の大きさから、耐熱ガラス押え板11に冷却気体がぶつかって中心方向に流れを変えられるのであれば、必ずしも溝は必要ない。
また、冷却気体供給通路溝出口5、冷却気体排出通路溝出口6から流出した冷却気体の方向を変えて、耐熱ガラスの表面を2方向からパージ、冷却することも可能とした。
その結果、補修装置による補修中、カメラやホットミラーの損傷は見られず、十分な観察を行うことができた。
なお、実施例において、本発明の高温部観察窓を、コークス炉の炉内観察に適用しているが、断熱性、耐熱性が高く、小型化可能であるから、コークス炉に限られるものではなく、高温部を観察するあらゆる観察窓において、適用することができる。
2…冷却気体供給口
3…冷却気体供給通路
4…横孔A
5…冷却気体供給通路溝出口
6…冷却気体排出通路溝出口
7…耐熱パッキン
8…ホットミラー
9…ホットミラー押え板
10…耐熱ガラス
11…耐熱ガラス押え板
12…耐熱ガラス押え板溝A
13…耐熱ガラス押え板溝B
14…耐熱ガラス押え板ボルト孔
15…横孔B
16…冷却気体供給通路溝
17…冷却気体排出通路溝
18…カメラ
19…冷却気体の流れ
191…横孔A、Bによる冷却気体の流れ
20…ガラスホルダー内部壁
21…ギヤ状突起開孔部
22…ギヤ状突起
23…リング面
24…折り曲げ幅
25…突起長さ
26…横孔A出口
27…横孔B出口
28…観察対象側
29…観察側
30…炭化室
31…炉壁
32…補修装置用観察装置
33…観察窓
34…コークス炉補修装置
35…プッシャーサイド炉口
36…コークスサイド炉口
37…炉頂
38…炉床
39…観察視野
Claims (3)
- 金属製で筒状のガラスホルダーにおいて、
前記ガラスホルダーの筒状断面内に、ミラー面がカメラの視野軸の長手方向とほぼ垂直になるよう設けられ、赤外線のみを反射させ、可視光を透過させる2枚以上のホットミラーと、
前記ガラスホルダーの筒状断面内に、前記ホットミラーと交互に同数配置され、リング状で外周にギヤ状突起を有し、リング面がカメラの視野軸の長手方向とほぼ垂直になるよう設けられ、カメラの視野軸の長手方向に前記ギヤ状突起を一定角度折曲げた、前記ホットミラーを押えるホットミラー押え板と、
前記ガラスホルダーの筒状断面内に、ガラス面がカメラの視野軸の長手方向とほぼ垂直になるよう設けられ、前記ホットミラーおよび前記ホットミラー押え板よりも観察対象側に設けられた耐熱ガラスと、
前記ガラスホルダーの観察対象側の最外部に取り付けられた耐熱ガラス押え板と
を備え、
前記2枚以上のホットミラーの間には、前記ホットミラー押え板の前記ギヤ状突起により空間が設けられており、
前記ガラスホルダーには、冷却用の冷却気体供給口が設けられ、
前記ガラスホルダーの内壁には、
前記冷却気体供給口から冷却気体供給通路を経由して、最も観察側のホットミラーから耐熱ガラスが設けられた外側まで連通している冷却気体供給通路溝が設けられ、
前記ガラスホルダーの内壁の、前記冷却気体供給通路溝に対向する位置には、最も観察側のホットミラーから耐熱ガラスが設けられた外側まで連通している冷却用の冷却気体排出通路溝が設けられ、
前記冷却気体供給通路溝および前記冷却気体排出通路溝と、前記空間とは、それぞれ、前記ギヤ状突起間の開孔部により連通しており、
前記耐熱ガラス押え板は、前記冷却気体供給通路溝および前記冷却気体排出通路溝から、耐熱ガラスが設けられた外側まで流通した冷却気体の流れを、前記耐熱ガラス押え板にぶつけることにより冷却気体の流れを筒中心方向に変える機構を有する
ことを特徴とする高温部観察窓。 - 前記耐熱ガラス押え板を最外部に取り付けることにより、ホットミラー押え板のギヤ状突起をガラスホルダー長手方向に弾性変形させた弾性力によりホットミラーと耐熱ガラスの動きが抑制されていることを特徴とする請求項1に記載の高温部観察窓。
- 前記ガラスホルダーは、
前記冷却気体供給通路から分岐し、前記冷却気体供給通路溝とは独立して前記耐熱ガラス押え板に前記冷却気体供給口から取り込んだ冷却気体を当てる横孔と、
前記冷却気体排出通路溝から分岐して前記耐熱ガラス押え板にホットミラーを冷却した冷却気体を当てる横孔とを有し、
前記耐熱ガラス押え板は、前記冷却気体の流れを筒中心方向に変える機構として、
前記冷却気体供給通路溝、前記冷却気体排出通路溝および前記横孔から、耐熱ガラスが設けられた外側まで流通した冷却気体の流れを、前記耐熱ガラス押え板に当てることより耐熱ガラスの観察対象側の面に向ける溝を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高温部観察窓。
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