JP6766467B2 - 非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用電極の製造方法 - Google Patents
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Description
このような添加剤を含む電極合材から非水電解質二次電池を製造することは、例えば、特許文献1〜2に開示されている。
特許文献1には、活物質と、カルボキシル基を有する繊維状多糖類と、分散媒とを含む電極合材を用いて二次電池を製造することが記載されている。
特許文献2には、短幅の方の数平均幅が2〜1000nmであるセルロースを含有する電極合材を用いて二次電池を製造することが記載されている。
本形態の二次電池は、図1にその構成を模式的に示したリチウムイオン二次電池1である。リチウムイオン二次電池1(以下、二次電池1と称する)は、負極2,正極3,非水電解質4を有する。なお、本形態の二次電池1は、負極2以外の構成(詳しくは、正極3,非水電解質4)について、従来と同様な構成とすることができる。
負極2は、負極活物質と結着剤を含有する。負極2は、負極集電体20(電極集電体に相当)の表面に負極活物質層21(電極活物質層に相当)を有する。負極活物質層21は、負極活物質粒子(電極活物質粒子に相当)を結着剤が結着した構成を備える。負極活物質層21は、負極活物質粒子を結着剤が結着した状態で圧縮されて密な状態となっていてもよい。
なお、負極活物質は、従来の負極活物質を用いることができる。例えば、Sn,Si,Sb,Ge.Tiの少なくともひとつの元素を含有する負極活物質を挙げることができる。これらの負極活物質のうち、Sn、Sb、Geは、特に、体積変化の多い合金材料である。これらの負極活物質は、Ti−Si、Ag−Sn、Sn−Sb、Ag−Ge、Cu−Sn、Ni−Snなどのように、別の金属と合金をなしていてもよい。
有機被膜は、負極活物質粒子の表面を、均一な厚さで被覆することが好ましく、表面の全面を均一に被覆することがより好ましい。
正極3は、正極活物質を含有する。正極3は、正極集電体30と、正極集電体30の表面に形成された、正極活物質を含む正極活物質層31とを有する。正極活物質層31は、圧縮された状態であってもよい。
スピネルを有する複合酸化物は、例えば、LiNixMyMnzO4(x+y+z=2、0≦x,y,z≦2)を挙げることができる。
正極活物質がコア−シェル構造を有する場合、コア部の表面の全面をシェル部のカーボンが均一に被覆したことがより好ましい。
非水電解質4は、リチウムを含むものであること以外はその材料構成で特に限定されるものではない。非水電解質4は、従来公知の非水電解質と同様に、リチウムを含む支持塩が有機溶媒に溶解してなるものであることが好ましい。
本形態のリチウムイオン二次電池1において、最も好ましい非水電解質は、支持塩が有機溶媒に溶解したものである。
本形態の二次電池1は、負極2及び正極3を、正極活物質層31と負極活物質層21とが対向した状態で、セパレータ5を介した状態で非水電解質4とともに、電池ケース6内に収容する。
セパレータ5は、負極2及び正極3を電気的に絶縁し、非水電解質4を保持する役割を果たす。セパレータ5は、例えば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いることが好ましい。
電池ケース6は、負極2及び正極3を、セパレータ5を介した状態で非水電解質4とともに、その内部に収容(封入)する。
本形態の二次電池1は、以下のように製造できる。本形態の二次電池1の製造工程を図2にフローチャートで示す。
まず、負極活物質の粉末を準備し、負極活物質粉末に被膜原料(有機被膜を形成するため被膜原料に相当)を添加し、十分に混合(詳しくは、固練り)する固練り工程(ステップS1)を施す。この工程により、負極活物質の表面に、有機被膜が形成される。被膜原料が分散媒に分散している場合、十分に混合することで、固形分が多いペースト状となる。この工程では、分散媒を添加しても良い。分散媒を添加する場合、混練物の濃度が後の工程で添加されるセルロース繊維の分散溶液の濃度と同程度になるまで添加して良い。
以上により、負極合材が製造される。
そして、塗布された負極合材を乾燥する乾燥工程(ステップS6)を施す。
まず、正極活物質と導電材と結着剤とを分散媒とともに混合してペースト状(あるいは、スラリー状)の正極合材を調製する混合工程(ステップS7)を施す。
正極合材の分散媒としては、通常は結着剤を溶解する有機溶媒を使用する。例えば、NMP,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン,酢酸メチル,アクリル酸メチル,ジエチルトリアミン,N−N−ジメチルアミノプロピルアミン,エチレンオキシド,テトラヒドロフランなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてポリテトラフルオロエチレン(略称:PTFE)などで正極活物質をスラリー化する場合もある。
そして、塗布された正極合材を乾燥する乾燥工程(ステップS9)を施す。
以上により、正極集電体30の表面に正極活物質層31を有する正極3が製造される。なお、乾燥工程(ステップS6)の直後に、正極3を厚さ方向(あるいは、積層方法)に圧縮する圧縮行程を施してもよい。
製造された負極2及び正極3、予め準備したセパレータ5を、非水電解質4とともに電池ケース6に封入して二次電池1が組み立てられる(ステップS10)。このとき、電池ケース6内に空気(及び水分)が入ることを排除できる雰囲気(例えば、乾燥雰囲気下や減圧条件下)で行うことが好ましい。
以上により、二次電池1が製造される。
組み立てられた二次電池1に対しては、必要に応じて初期充放電(あるいはエージング処理)を行う。
(第1の効果)
本形態の二次電池1の負極2は、電極活物質粒子を結着する結着剤を有する、負極集電体20の表面にもうけられた負極活物質層21を備えた二次電池用負極2であって、結着剤が、有機繊維と、有機繊維より繊維長が短い導電性短繊維と、を有する。
さらに、有機繊維の一部を置換する導電性短繊維は、導電性を発揮することから、負極活物質粒子間の導電パスとしても機能する。
この結果、本形態の二次電池1の負極2は、電気抵抗の増加、及び電池性能の低下が抑えられた電極(負極)となっている。
本形態の二次電池1の負極2によると、有機繊維がセルロース繊維であり、導電性短繊維がカーボンナノチューブである。この構成によると、上記効果を発揮できる。
本形態の二次電池1の負極2によると、セルロース繊維の含有質量が、カーボンナノチューブの含有質量より多い。セルロース繊維とカーボンナノチューブとでは、セルロース繊維の方が結着性が高い。このため、セルロース繊維の含有質量が多くなることで、結着性を維持しながら導電性を高めることができる。
本形態の二次電池1の負極2によると、セルロース繊維は、繊維径:8〜20nm、繊維長:5〜20μmの繊維であり、カーボンナノチューブは、繊維径:セルロース繊維の繊維径の50〜125%、繊維長:セルロース繊維の繊維長の5〜20%である。
この構成によると、上記効果をより確実に発揮できる。
本形態の二次電池1の負極2によると、負極活物質粒子は、表面を被覆する有機被膜を備え、有機被膜の表面にセルロース繊維及びカーボンナノチューブが位置する。
本形態の二次電池1の負極2によると、非水電解質二次電池用負極に適用されることで上記の効果を発揮できる。
本形態の二次電池1の負極2によると、負極活物質として炭素質材料粒子を有する。この構成によると、上記効果を発揮できる。
本形態の二次電池1は、上記の負極を有する。この構成によると、上記効果を発揮できる二次電池1となる。
本形態の二次電池1の負極2の製造方法では、負極活物質粒子を被膜原料とともに混練して、負極活物質粒子の表面に有機被膜を形成し、セルロース繊維とカーボンナノチューブとを備えた結着剤を混合してペースト状の電極合材を調整する。
本形態の二次電池1の負極2の製造方法では、負極合材の調製が、有機被膜を形成した負極活物質粒子にセルロース繊維を混合し、その後、カーボンナノチューブを混合する。
本形態の二次電池1の負極2の製造方法では、セルロース繊維を混合し、カーボンナノチューブを混合するまでの間に、更に別の結着剤を添加する。
この構成によると、カーボンナノチューブが均一に配された負極2に、更に別の結着剤を含有させることができる。
本形態は、実施形態1の二次電池1をラミネート型の電池に適用した形態であり、負極2,正極3,非水電解質4等の構成は、実施形態1と同様である。本形態の二次電池1の構成を、図3〜図4に示した。図3では二次電池1を斜視図で、図4では図3中のIV−IV断面における断面図で、それぞれ構成を示した。
セパレータ5は、負極活物質層21よりも広い面積で形成される。
電池ケース6は、ラミネートフィルム60から形成される。ラミネートフィルムは、可塑性樹脂層601/金属箔602/可塑性樹脂層603をこの順で含む。電池ケース6は、予め所定の形状に曲成されたラミネートフィルム60を、熱や何らかの溶媒により可塑性樹脂層601,603を軟化させた状態で別のラミネートフィルムなどに押圧することにより接着される。
ラミネートフィルム60,60は、図3〜図4に示された形状に予め成形されている。この形状への成形は、従来公知の成形方法が用いられる。
二次電池1は、負極2と正極3のそれぞれが、電極端子(詳しくは、負極端子65、正極端子66)に接続される。
負極端子65は、負極2の未塗布部22に電気的に接続されている。正極端子66は、正極3の未塗布部32に電気的に接続されている。本形態では、電極端子65,66のそれぞれには、電極2,3の未塗布部22,32が溶接(振動溶接)で接合されている。電極2,3の未塗布部22,32の幅方向の中央部が、電極端子65,66に接合される。
本形態の二次電池1は、形状が異なること以外は、実施形態1と同様な構成であり、実施形態1と同様な効果を発揮する。
本形態では、ラミネート型の二次電池1に適用しているが、この形態に限定されるものではない。例えば、本形態のラミネート型の不定形の二次電池1以外に、コイン型,円筒型,角型等、種々の形状の電池とすることができる。
上記の各形態では、本発明を負極2に適用した構成を示したが、リチウムイオン二次電池用正極に適用した構成でもよい。あるいは、負極と正極の両極に適用しても良い。
その場合、上記した効果と同様な効果を発揮できる。
本発明を具体的に説明するための実施例及び比較例として、実施形態2のラミネート型のリチウムイオン二次電池1及び負極2を試験例として製造した。なお、これらの製造はドライボックス中で乾燥雰囲気下で行われた。
まず、負極活物質としての天然黒鉛、有機繊維としてのセルロース繊維、導電性短繊維としてのカーボンナノチューブ(略称:CNT)、別の結着剤としてのSBRを準備する。セルロース繊維は、繊維径:10nm、繊維長:10μmの繊維である。CNTは、繊維径:10nm、繊維長:1μmの短繊維である。CNTは、繊維径がセルロース繊維の100%、繊維長がセルロース繊維の10%となっている。セルロース繊維及びCNTは、分散媒に分散した分散液の状態である。
次に、得られた混練物に、有機繊維としてのセルロース繊維を固形分換算で0.1質量部を添加し、十分に混練する(図2のステップS2に相当する工程)。
続いて、SBR0.4質量部を添加し、十分に混練する。得られた混練物は、固形分が50mass%となった(図2のステップS3に相当する工程)。
その後、CNT0.2質量部を添加し、十分に混練する。得られた混練物は、固形分が48mass%となった(図2のステップS4に相当する工程)。
セパレータ5には、ポリエチレンよりなる厚さ0.016mmの多孔質膜を用いた。
二次ガス抜き後に、電池ケース6を本封止して、二次電池1が得られた。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:8nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の125%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
被膜原料のセルロース繊維には、有機繊維のセルロース繊維と同じセルロース繊維が用いられた。このことは、以下の各例でも同様である。
なお、負極合材の降伏応力は、2.20Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:20nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の50%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.02Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:5μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の100%、繊維長がセルロース繊維の20%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.04Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:20μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の100%、繊維長がセルロース繊維の5%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.15Paであった。
本例は、セルロース繊維に替えて、CMCを用いたこと以外は、試験例1と同様な例である。なお、本例では、被膜原料のセルロース繊維に替えて、CMCが用いられた。
なお、負極合材の降伏応力は、2.09Paであった。
本例は、CNTを用いないこと以外は、試験例1と同様な例である。
なお、負極合材の降伏応力は、2.27Paであった。
本例は、プラネタリーミキサーでの固練りを行わなかったこと以外は、試験例1と同様な例である。すなわち、本例は、負極活物質表面に有機被膜が形成されていないこと以外は、試験例1と同様な例である。
なお、負極合材の降伏応力は、2.03Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:5nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の200%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.91Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:50nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の20%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、1.82Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:0.1μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の100%、繊維長がセルロース繊維の1000%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、1.83Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:50μmの繊維であること以外は、試験例1と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の10%、繊維長がセルロース繊維の2%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、3.19Paであった。
本例は、有機被膜を、セルロース繊維に替えてCMCで形成したこと以外は、試験例1と同様な例である。本例では、有機被膜をCMCにより形成しているが、有機繊維としてのセルロース繊維は試験例1と同様である。このことは、以下の各例でも同様である。
なお、負極合材の降伏応力は、2.05Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:8nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の125%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.19Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:20nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の50%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.03Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:5μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の100%、繊維長がセルロース繊維の20%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.03Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:20μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の100%、繊維長がセルロース繊維の5%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.14Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:5nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の200%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.81Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:50nm、繊維長:10μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の20%、繊維長がセルロース繊維の10%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、1.74Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:0.1μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の100%、繊維長がセルロース繊維の1000%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、1.79Paであった。
本例は、セルロース繊維が、繊維径:10nm、繊維長:50μmの繊維であること以外は、試験例13と同様な例である。本例では、CNTが、繊維径がセルロース繊維の10%、繊維長がセルロース繊維の2%の短繊維となっている。
なお、負極合材の降伏応力は、2.92Paであった。
以下、各試験例の評価として初期入力抵抗、常温での容量維持率、高温での容量維持率を測定した。
各例の二次電池1に対して、初期入力抵抗を算出した。
具体的には、定電流定電圧(CC−CV)充電によって各例のリチウムイオン二次電池をSOC50%の充電状態に調整した。その後、25℃において、4Cの電流値で20秒間の放電を行い、放電開始から20秒後の電圧降下量から初期入力抵抗を算出した。そして、試験例1の二次電池1の初期入力抵抗値を100%とした場合の比(初期入力抵抗値比)を求め、表1に示した。
各例の二次電池1をCC−CV充電により満充電した後、25℃で4週間保存した。
保存後の各例の試験セルに対して、1Cレートで4.5VのCC−CV充電と、1Cレートで3.0VのCC放電と、を1000サイクル繰り返す充放電試験を行った。
各例の二次電池1をCC−CV充電により満充電した後、60℃で4週間保存した。
保存後の各例の試験セルに対して、1Cレートで4.5VのCC−CV充電と、1Cレートで3.0VのCC放電と、を100サイクル繰り返す充放電試験を行った。
試験例1と試験例6とを比較する。試験例6は比較例に該当する。
試験例1は、試験例6に対して初期入力抵抗値比が大幅に減少している。詳しくは、負極2の結着剤をCMC(試験例6)からセルロース繊維+CNT(試験例1)に変更することで、その添加量を0.3質量部低減できる。その結果、電池容量を持たない結着剤の使用量を少なくすることができ、結着剤に由来する内部抵抗を低減できることが確認できる。
試験例1と試験例7とを比較する。試験例7は比較例に該当する。
試験例1は、試験例7に対して初期入力抵抗値比が小さくなっている。詳しくは、試験例7では、負極2の結着剤がセルロース繊維のみとなっている。対して、試験例1ではCNTを混合している。この結果、試験例1では、試験例7に対してセルロース繊維の添加量を0.1質量部低減できる。その結果、電池容量を持たない結着剤(セルロース繊維)の使用量を少なくすることができ、結着剤に由来する内部抵抗を低減できることが確認できる。
試験例1と試験例8とを比較する。
試験例1と試験例8とでは、常温耐久後容量維持率比と高温保存後容量維持率比とが、試験例1と同等程度となっている。つまり、同等程度の電池特性を発揮できる。
まず、試験例1〜試験例3を比較する。
試験例1〜試験例3を比較すると、いずれの例においても優れた電池特性を発揮していることが確認できる。すなわち、セルロース繊維の繊維径を8〜20nmで変化させても、優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
次に、試験例13〜試験例15を比較する。
すなわち、セルロース繊維とCNTを有する結着剤は、有機被膜の材質によらず、効果を発揮できる。その上で、セルロース繊維の繊維径を8〜20nmで変化させても、優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
試験例1と試験例4〜試験例5を比較する。
試験例1と試験例4〜試験例5を比較すると、いずれの例においても優れた電池特性を発揮していることが確認できる。すなわち、セルロース繊維の繊維長を5〜20μmで変化させても、優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
試験例13と試験例16〜試験例17を比較する。
試験例13と試験例16〜試験例17を比較すると、有機被膜をセルロース繊維に替えてCMCとしても、いずれの例においても優れた電池特性を発揮していることが確認できる。すなわち、有機被膜の材質によらず、セルロース繊維の繊維長を5〜20μmで変化させても、優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
試験例1と試験例9とを比較する。
試験例1と試験例9とでは、常温耐久後容量維持率比が試験例9で減少している。試験例9は試験例1と比較してセルロース繊維の繊維径が5nmと大幅に小さくなっている。このため、負極合材の降伏応力が2.91Paと過剰に大きくなっている。このことから、負極合材における結着剤(セルロース繊維とCNT)の分散性が低下し、特にCNTの分散性が低下したことにより、常温耐久後容量維持率比が減少したと推測できる。
試験例13と試験例18とを比較する。
試験例13と試験例18を比較すると、有機被膜をセルロース繊維に替えてCMCとしても、上記の試験例1と試験例9の比較と同様な結果が確認できる。
試験例1と試験例10とを比較する。
試験例1と試験例10とでは、常温耐久後容量維持率比が試験例10で減少している。試験例10は試験例1と比較してセルロース繊維の繊維径が50nmと過剰に大きくなっている。このため、負極合材の降伏応力が1.82Paと大幅に小さくなっている。つまり、負極合材の流動性が増加し、負極集電体20への塗布性(塗工性)が低下していた。この結果、負極合材において結着剤のセルロース繊維とCNTとの分散性が低下し、均一に絡み合う構成が得られなくなったと推測できる。
この結果、セルロースの繊維径が所定の範囲となることで、より優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
試験例13と試験例19とを比較する。
試験例13と試験例19を比較すると、有機被膜をセルロース繊維に替えてCMCとしても、上記の試験例1と試験例10の比較と同様な結果が確認できる。
この結果、有機被膜の材質によらず、セルロースの繊維径が所定の範囲となることで、より優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
試験例1と試験例11とを比較する。
試験例1と試験例11とでは、常温耐久後容量維持率比が試験例11で減少している。試験例11は試験例1と比較してセルロース繊維の繊維長が0.1μmと大幅に短くなっている。このため、負極合材の降伏応力が1.83Paと大幅に小さくなっている。つまり、負極合材の流動性が増加し、負極集電体20への塗布性(塗工性)が低下していた。この結果、負極合材において結着剤のセルロース繊維とCNTとの分散性が低下し、均一に絡み合う構成が得られなくなったと推測できる。
試験例13と試験例20とを比較する。
試験例13と試験例20を比較すると、有機被膜をセルロース繊維に替えてCMCとしても、上記の試験例1と試験例11の比較と同様な結果が確認できる。
試験例1と試験例12とを比較する。
試験例1と試験例12とでは、常温耐久後容量維持率比が試験例12で減少している。試験例12は試験例1と比較してセルロース繊維の繊維長が50μmと過剰に長くなっている。このため、負極合材の降伏応力が3.19Paと過剰に大きくなっている。このことから、負極合材における結着剤(セルロース繊維とCNT)の分散性が低下し、特にCNTの分散性が低下したことにより、常温耐久後容量維持率比が減少したと推測できる。
この結果、有機被膜の材質によらず、セルロースの繊維長が所定の範囲となることで、より優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
試験例13と試験例21とを比較する。
試験例13と試験例21を比較すると、有機被膜をセルロース繊維に替えてCMCとしても、上記の試験例1と試験例12の比較と同様な結果が確認できる。
この結果、有機被膜の材質によらず、セルロースの繊維長が所定の範囲となることで、より優れた特性の二次電池1となることが確認できる。
2:負極 20:負極集電体 21:負極活物質層
3:正極 30:正極集電体 31:正極活物質層
4:非水電解質
5:セパレータ
6:電池ケース
60:ラミネートフィルム 61:平板部 62:封止部
63:槽状部 64:シーラント 65:正極端子
66:負極端子
Claims (9)
- 電極集電体(20)と、
電極活物質粒子と、該電極活物質粒子を結着する結着剤と、を有し、該電極集電体の表面にもうけられた電極活物質層(21)と、
を備えた非水電解質二次電池用電極(2)であって、
該結着剤が、有機繊維と、該有機繊維より繊維長が短い導電性短繊維と、を有し、
前記有機繊維が、繊維径:8〜20nm、繊維長:5〜20μmのセルロース繊維であり、
前記導電性短繊維が、繊維径:該セルロース繊維の繊維径の50〜125%、繊維長:該セルロース繊維の繊維長の5〜20%のカーボンナノチューブである非水電解質二次電池用電極(2)。 - 前記セルロース繊維の含有質量が、前記カーボンナノチューブの含有質量より多い請求項1記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記電極活物質粒子は、表面を被覆する有機被膜を備え、該有機被膜の表面に前記有機繊維及び前記導電性短繊維が位置する請求項1〜2のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 非水電解質二次電池用負極である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 負極活物質として炭素質材料粒子を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池(1)。
- 電極活物質粒子を被膜原料とともに混練して、該電極活物質粒子の表面に有機被膜を形成し、
該有機被膜を形成した該電極活物質粒子と、有機繊維と該有機繊維より繊維長が短い導電性短繊維とを備えた結着剤とを混合してペースト状の電極合材を調製する非水電解質二次電池用電極の製造方法であって、
該有機繊維は、繊維径:8〜20nm、繊維長:5〜20μmのセルロース繊維であり、
該導電性短繊維は、繊維径:該セルロース繊維の繊維径の50〜125%、繊維長:該セルロース繊維の繊維長の5〜20%であるカーボンナノチューブである非水電解質二次電池用電極の製造方法。 - 前記電極合材の調製は、
該有機被膜を形成した該電極活物質粒子と、前記有機繊維とを混合し、
該有機繊維を混合した後に、前記導電性短繊維を混合する請求項7記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。 - 前記有機繊維を混合し、前記導電性短繊維を混合するまでの間に、更に別の結着剤を添加する請求項8記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
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