以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施例1である映像表示装置の構成を示している。映像表示装置には、プロジェクタ(画像投射装置)や直視型ディスプレイが含まれる。
本実施例の映像表示装置は、映像入力部1、ガンマ部2、メタデータ取得部3、OSD重畳部4、表示部5、ガンマ制御部6、表示輝度制御部7、表示輝度取得部8、入出力輝度調整メニュー部9および操作部10を有する。ガンマ部2、メタデータ取得部3、OSD重畳部4、ガンマ制御部6、表示輝度制御部7、表示輝度取得部8および入出力輝度調整メニュー部9は、単一または複数のCPUやMPU等のコンピュータにより構成され、コンピュータプログラムに従ってそれぞれの処理を実行する。
映像入力部(入力手段)1は、Ultra HD Blu−Rayプレーヤやコンピュータ等から映像信号として入力されるHDR映像(入力映像)を受信するための端子、例えばHDR映像の送受信が規格として定義されているHDMI(登録商標)端子を有する。なお、HDMIは例にすぎず、DisplayPort等、HDR映像や後述するメタデータの送受信が行えれば他の規格の端子であってもよい。HDR映像に対しては、コード値と輝度の関係を示すEOTF(Electro-Optical Transfer Function)が規定されている。このEOTFとして、HDMIでは、米国映画テレビ技術者協会(SMPTE)で規格化されたSMPTE ST2084が採用されている。ST2084では、10,000nitsまでの輝度に対するコード値が規定されている。本実施例では、ST2084のEOTFを前提として説明するが、他のEOTFであってもよい。
ガンマ部2は、ルックアップテーブルを備え、映像入力部1から入力されたHDR映像のEOTFを基準EOTFに変換し、該基準EOTFに変換された映像を出力する。HDR映像のEOTFは、HDR映像に対して定義された第1のダイナミックレンジに対する第1のEOTFに相当する。基準EOTFは、第1のダイナミックレンジより最大輝度が低い第2のダイナミックレンジに対して規定された第2のEOTFに相当する。基準EOTFは、ガンマ制御部6により設定される映像表示装置内で基準とするEOTFであり、本実施例では基準EOTFをSDR映像のEOTFであるガンマ2.2のカーブとする。ガンマ部2とガンマ制御部6により変換手段が構成される。
なお、ガンマ2.2は例にすぎず、ガンマ2.4や表示部5の特性を考慮した全く別のカーブであってもよい。ただし、ルックアップテーブルは、階調潰れを生じないように、RGBの各色について2ビット以上、階調(輝度)を拡張できることが好ましい。
メタデータ取得部3は、映像入力部1からのHDR映像に対する付加情報として入力されるメタデータから、該HDR映像の輝度に関する情報を読み取る。輝度に関する情報としては、全米民生技術協会(CTA)で規格化された861.3Aにて定義されるMaxCLL(Maximum Content Light Level)やMaxFALL(Maximum Frame-Average-Light Level)が該当する。ただし、MaxCLLやMaxFALLは例にすぎず、HDR映像の輝度に関する情報であれば他の情報であってもよい。メタデータ取得部3は、読み取った輝度に関する情報(以下、輝度情報ともいう)を入出力輝度調整メニュー部9に出力する。
OSD重畳部4は、ガンマ部2から出力された映像に対して、入出力輝度調整メニュー部9から出力される入出力輝度調整メニュー画面(設定画面)を示す画像を重畳する。入出力輝度調整メニュー画面は、操作部10と連携して、ユーザに映像表示装置における後述する輝度に関する設定値を変更する操作を行わせるために表示される。
表示部(表示手段)5は、映像表示装置の種類によって構成が異なる。映像表示装置がプロジェクタ(画像投射装置)である場合は、表示部5は、OSD重畳部4からの映像に応じて光変調素子を駆動し、照明手段である光源からの照明光を光変調素子により変調して生成した映像光を投射光学系を通してスクリーン等の被投射面に投射する。これにより、被投射面上に投射映像が表示される。光変調素子としては、液晶パネルやデジタルマイクロミラーデバイス等が用いられる。また、映像表示装置が直視型ディスプレイである場合は、表示部5は、OSD重畳部4からの映像に応じて光変調素子を駆動することで、映像表示面(表示画面)に映像を表示する。光変調素子としては、液晶パネルや有機EL素子等が用いられる。
また表示部5は、光変調素子のVT(入力電圧に対する表示輝度)特性に応じた基準EOTFから光変調素子に印加する電圧への変換も行う。さらに、表示部5は種々の表示条件(表示パラメータまたは表示状態ともいう)で表示が可能である。ここにいう表示条件とは、表示される映像の輝度である表示輝度(出力輝度)を変化させる条件であり、プロジェクタでは光源の発光強度(光量)や、投射光学系の絞り値、ズーム位置およびフォーカス位置等である。また、直視型液晶ディスプレイでは、バックライトの発光強度が表示条件に含まれる。本実施例では、光源やバックライトの発光強度の度合いを照明輝度レベルという。照明輝度レベルは、表示輝度制御部7によって制御される。
上述したST2084は10,000nitsまでの輝度に対応しているが、実際にはそこまでの輝度が必要とされるケースは少なく、多くの場合は1,000〜3,000nitsで十分である。そこで本実施例では、映像表示装置としての最大出力輝度を3,000nitsとする。そして、操作部10を通じてユーザが設定したユーザ設定値としての表示条件(ユーザ設定表示条件)に応じて出力輝度を調整する出力輝度調整が可能である。つまり、表示部5に入力される階調が同じであっても、出力輝度調整がなされることによって出力輝度が変化する。
ガンマ制御部(設定輝度取得手段)6は、操作部10を通じて入力されるユーザ設定値としての入力階調閾値に応じて、ガンマ部2のルックアップテーブルに設定するガンマカーブを生成する。ST2084のEOTFは絶対輝度でコード化されているため、表示輝度を超える入力輝度(入力階調)をクリッピングするか圧縮する必要がある。本実施例では、説明を簡単にするため、表示輝度を超える入力階調をクリッピングする。このため、ガンマ制御部6がガンマ部2に対して設定するガンマカーブは、上記入力階調閾値(ユーザ設定最大輝度であり、以下、クリッピング閾値という)より高いレンジをクリッピングするカーブとして生成される。一方、クリッピング閾値以下のレンジは、ガンマ2.2のEOTFに合うようにマッピングする(ST2084のEOTFにガンマ2.2の逆ガンマを掛け合わせたカーブ)として生成される。クリッピング閾値は、クリッピングされない最大入力階調である。
ガンマ制御部6が生成するガンマカーブについて図2を用いて説明する。図2は、ガンマ部2に対して設定する入力階調と出力階調(輝度)との関係を示す5種類のガンマカーブ2a〜2eを示している。前述したように本実施例では入力階調に対して出力階調は2ビット拡張しているため、入力が10ビットで出力が12ビットとなっている。
ガンマカーブ2aは、100nitsのガンマカーブであり、100nitsに相当するコード値(入力階調)で出力階調が最大値となり、それ以下のコード値に対して入力階調と出力階調の関係がST2084のEOTFにガンマ2.2の逆ガンマを掛け合わせたカーブとなるように設定されている。
同様に、ガンマカーブ2b、2c、2d、2eはそれぞれ、500nits、1000nits、2000nits、3000nitsに相当するコード値で出力階調が最大値となり、それ以下のコード値に対してはST2084のEOTFにガンマ2.2の逆ガンマを掛け合わせたカーブとなるように設定されている。このため、仮にプロジェクタとしての出力輝度が2,000nitsになるように表示部5の照明輝度レベルが調整された場合には、ST2084のEOTFで入力された映像の2,000nits以下の階調が忠実な輝度で映像出力されることとなる。
なお、図2に示した100nits〜3,000nitsの5種のガンマカーブは例であり、ガンマ制御部6が生成するガンマカーブの数や範囲は上記例以外であってもよい。また、2台のプロジェクタから同じ被投射位置に映像を投射することによって表示輝度を2倍にすることも可能であるため、ガンマ制御部6で生成するガンマカーブのクリッピング閾値の最大値が各プロジェクタの最大出力輝度を上回ってもよい。
また、ガンマカーブの生成方法としては、ガンマ部2のルックアップテーブルの設定ポイントの設定値を予め制御プログラム内に配列としてガンマカーブの数分保有しておく方法や、演算式により生成する方法等、種々の方法がある。
表示輝度制御部(照明輝度取得手段)7は、操作部10を通じて照明輝度レベルのユーザ設定値(ユーザ設定表示条件)を取得し、表示部5における照明輝度レベルを10〜100%の範囲において1%単位で制御(調整)する。照明輝度レベルの範囲や単位は例にすぎず、他の範囲や単位であってもよい。また、表示部5により表示される映像の表示輝度と照明輝度レベルとの関係は線形であってもよいし非線形であってもよい。
表示輝度取得部(表示輝度取得手段)8は、表示輝度制御部7により変更される様々な照明輝度レベル(つまりは表示条件)に応じた映像表示装置の最大表示輝度を取得して、入出力輝度調整メニュー部9に出力する。最大表示輝度とは、OSD重畳部4から表示部5に全白映像(全体の階調が最大である映像)が入力されたときの表示画面の輝度値を示す。
表示輝度取得部8は、例えば、様々な照明輝度レベルに対応付けた最大表示輝度を予め不図示の不揮発メモリ等の記憶部に保持しておき、該記憶部から実際の照明輝度レベルに対応する最大表示輝度を読み出すことでこれを取得する。この場合、映像表示装置の生産工程において様々な照明輝度レベルに対する最大表示輝度を輝度センサを用いて測定し、その測定結果を記憶部に保存すればよい。また、表示輝度取得部8は、例えば、様々な照明輝度レベルに対応付けた最大表示輝度を算出可能な演算式を用いて、実際の照明輝度レベルに対応する最大表示輝度を算出することでこれを取得してもよい。
入出力輝度調整メニュー部(設定画面生成手段)9は、入力されるHDR映像の輝度レンジである入力輝度レンジと照明輝度レベルを操作部10を通じてユーザに調整(設定)させるための入出力輝度調整メニュー画面(設定画面)を生成する。そして、該入出力輝度調整メニュー画面をOSD重畳部4に出力する。
OSD重畳部4は、入出力輝度調整メニュー画面を映像信号に重畳させて表示部5に出力する。入出力輝度調整メニュー画面は、ユーザの調整作業を助けるため、メタデータ取得部3で取得されるMaxCLLやMaxFALLと表示輝度取得部8で取得される最大表示輝度とを、同一画面上で照明輝度レベルとの相対関係が分かるように表示する。
図3は、入出力輝度調整メニュー画面300の例を示している。入出力輝度調整メニュー画面300は、入力輝度レンジ欄(第1の設定領域)301、照明輝度レベル欄(第2の設定領域)302、MaxFALL凡例303、MaxCLL凡例304、最大表示輝度凡例305および欄選択フレーム306を有する。
欄選択フレーム306は、入力輝度レンジ欄301と照明輝度レベル欄302のうち操作待ち状態の項目(設定が可能な項目)を含む欄を囲むように表示される。図3は、入力輝度レンジ欄301の項目(入力輝度レンジ313)の増減の操作待ち状態を示している。ユーザが操作部10において上/下ボタンを操作すると、欄選択フレーム306が入力輝度レンジ欄301を囲む状態と照明輝度レベル欄302を囲む状態とに変化する。
入力輝度レンジ欄301は、入力輝度レンジインジケータ311および入力輝度レンジ調整値312を表示する。入力輝度レンジインジケータ311は、それぞれ指標として表示される入力輝度レンジ313、クリッピングレンジ314、MaxFALL値315、MaxCLL値316および最大表示輝度値317を含む。これらの指標は、入力輝度レンジ(クリッピング閾値)313、最大表示輝度値317、MaxFALL値315およびMaxCLL値316の相対関係を示す情報である。
入力輝度レンジ313は、入力輝度レンジインジケータ311内の白塗り部分として表示され、HDR映像の入力輝度レンジのうち表示される(すなわちガンマ部2でクリッピングされない)輝度レンジを示す。クリッピングレンジ314は、入力輝度レンジインジケータ311内のグレー塗り部分として表示され、入力輝度レンジのうちガンマ部2でクリッピングされる輝度レンジを示す。図3に示すように入力輝度レンジ欄301が欄選択フレーム306により囲まれた状態でユーザが操作部10を増加方向に操作する(+ボタンを押す)と、白塗り部分が広くなってグレー塗部分が狭くなる。また、操作部10を減少方向に操作する(−ボタンを押す)と、白塗り部分が狭くなってグレー塗部分が広くなる。
入力輝度レンジ調整値312は、入力輝度レンジインジケータ311と連動して入力輝度レンジ313の最大値を数値で表示する。入力輝度レンジ調整値312として1000nitsと表示されている場合は、1000nits以上のコード値が入力されても全て1000nitsとして処理される。
MaxFALL値315およびMaxCLL値316はそれぞれ、メタデータ取得部3から取得されたMaxFALLの値およびMaxCLLの値を指標である△と◇で表示する。MaxFALL値315およびMaxCLL値316は、HDR映像のコンテンツが変更されるとそれらの値が変化するため、それに応じて表示位置が左右に移動する。
最大表示輝度値317は、表示輝度取得部8から取得された最大表示輝度の値を指標○で表示する。最大表示輝度値317は、表示輝度制御部7により照明輝度レベルが変更されるとその値が変化するため、それに合わせて表示位置が左右に移動する。
図3に示した入力輝度レンジ欄301は例に過ぎず、入力輝度レンジ313、クリッピングレンジ314、MaxFALL値315、MaxCLL値316および最大表示輝度値317の相対関係をユーザに視認させることができる形態で表示すればよい。
照明輝度レベル欄302は、照明輝度レベルインジケータ321および照明輝度レベル値322を表示する。この照明輝度レベルインジケータ321は、ユーザ設定が可能な照明輝度レベルの範囲(10〜100%)と現在設定されている照明輝度レベル(ユーザ設定表示輝度)との関係をユーザに視認させるように表示する。照明輝度レベル値322は、現在のユーザ設定表示輝度を%表現する。照明輝度レベル欄302が欄選択フレーム306により囲まれた状態でユーザが操作部10を増加方向に操作すると、照明輝度レベル値322が増加するとともに、白塗り部分が広くなってグレー塗部分が狭くなる。そしてこれに伴って、入力輝度レンジインジケータ311内の最大表示輝度値317が右に移動する。また、操作部10を減少方向に操作すると、照明輝度レベル値322が減少するとともに、白塗り部分が狭くなってグレー塗部分が広くなる。そしてこれに伴って、入力輝度レンジインジケータ311内の最大表示輝度値317が左に移動する。
図3に示した照明輝度レベル欄302は例に過ぎず、他の表示形態を採用してもよい。また、照明輝度レベルを上述したように1%単位設定ではなく、高、中および低のように段階的に設定できるようにしてもよい。
MaxFALLの凡例303は、入力輝度レンジインジケータ311内でのMaxFALL値315の指標(記号)△と、メタデータ取得部3から取得されたMaxFALLの値とを表示する。MaxCLL凡例304は、入力輝度レンジインジケータ311内でのMaxCLL値316の指標◇と、メタデータ取得部3から取得されたMaxCLLの値とを表示する。最大表示輝度凡例305は、入力輝度レンジインジケータ311内での最大表示輝度値317の指標○と、表示輝度取得部8から取得された最大表示輝度の値とを表示する。
以上説明したように、本実施例では、ユーザが入力輝度レンジを増減操作するための入力輝度レンジ欄301と照明輝度レンジ(最大表示輝度)を増減操作するための照明輝度レベル欄302を入出力輝度調整メニュー画面300という同一画面内に表示させる。これにより、ユーザは入力輝度レンジと最大表示輝度とのバランスを取るための調整を容易に行うことができる。
図3に示す状態では、照明輝度レベル値322が80%であるため、最大表示輝度値317が2000nitsとなっている。これに対して、入力輝度レンジ調整値312が1000nitsであるため、1000nits以下の入力輝度に対する出力輝度が2倍となることを示している。また、MaxCLLの値が1200nitsであることから、HDR映像の最大入力輝度は1200nitsである。これに対して、入力輝度レンジ調整値312が1000nitsであるため、1000nits以上の入力輝度は飽和し、これにより階調潰れが発生する。ユーザはこの状態から視聴環境や好みに応じて入力輝度レンジ調整値312や照明輝度レベル値322を増減操作(調整)する。その例として、入力されるHDR映像に対して忠実な輝度表現を行う場合の調整例を図4を用いて説明する。
図4は、最初の調整である入力輝度レンジインジケータ311上での入力輝度レンジ調整と、次の調整である照明輝度レベルインジケータ321上での照明輝度レベル調整とを示している。図4の上側の入出力輝度調整メニュー画面300Aは最初の入力輝度レンジ調整を示している。ユーザは操作部10を通じて、入力輝度レンジインジケータ311Aに示すように入力輝度レンジ313AをMaxCLL値316に一致させるように増加させる。これにより、入力輝度レンジ調整値312AはMaxCLL凡例304に示されたMaxCLLの値1200nitsと等しくなる。この調整により、最大入力輝度1200nitsに対する最大表示輝度は2000nits、すなわち約1.67倍となる。
図4の下側の入出力輝度調整メニュー画面300Bは、次の照明輝度レベル調整を示している。ユーザは操作部10の下ボタンを操作して、欄選択フレーム306Bを照明輝度レベル欄302を囲む位置に移動させる。この後、ユーザは操作部10を操作して、最大表示輝度値317BがMaxCLL値316と同じ位置に移動するまで照明輝度レベル値322Bを減少させる。この例では、照明輝度レベル値322Bが50%まで減少したときに最大表示輝度値317BがMaxCLL値316と同じ位置に達する。
以上の調整を行うことで、最大入力輝度1200nitsに一致する最大表示輝度1200nitsを設定することができる。この結果、入力輝度と表示輝度とが互いに等しくなるため、入力されるHDR映像に対して忠実な輝度表現がなされた表示映像を再現することができる。
本実施例では、入力輝度レンジインジケータ311上に最大表示輝度値317を表示したが、照明輝度レベルインジケータ321上に入力輝度レンジを照明輝度レベルとの相対関係を示すように表示してもよい。また、MaxFALL値315とMaxCLL値316についても同様に、照明輝度レベルインジケータ321上に照明輝度レベルとの相対関係を示すように表示してもよい。
さらに、本実施例では、MaxCLL値、MaxFALL値および最大表示輝度値の全てを表示しているが、必ずしもこれらの値は表示しなくてもよい。すなわち、これらの値を表示しなくても、入力輝度レンジ欄と照明輝度レベル欄を同一メニュー画面に表示すれば、ユーザによる入出力輝度調整の利便性を向上させることができる。
図5は、本発明の実施例2である映像表示装置の入出力輝度調整メニュー部9が生成する入出力輝度調整メニュー画面を示す。入出力輝度調整メニュー画面以外の映像表示装置の構成は実施例1と同じであるため、共通する構成要素についての説明は省略する。本実施例では、ユーザの操作性(利便性)をより向上させるために、入出力輝度調整メニュー画面を、その横方向に入力輝度レンジを示し、縦方向に最大表示輝度レベルを示す2次元メニュー画面として表示する。さらに、入力輝度と表示輝度(出力輝度)との関係を示すグラフを表示する。
図5に示した入出力輝度調整メニュー画面500は、2次元メニュー部501、MaxFALL凡例303およびMaxCLL凡例304を含む。2次元メニュー部501以外の表示要素は実施例1と同様であり、それらの説明を省略する。
2次元メニュー部501は、横方向にて入力輝度レンジを表示する入力輝度レンジ欄510、縦方向にて最大表示輝度レベルを表示する最大表示輝度レベル欄520および入出力輝度グラフ530を含む。
入力輝度レンジ欄510は、入力輝度レンジインジケータ311、入力輝度レンジ調整値312、増加アイコン514および減少アイコン513を含む。入力輝度レンジインジケータ311および入力輝度レンジ調整値312は、実施例1において図1を用いて説明したものと同じである。増加アイコン514は、操作部10の右ボタンを操作することで、入力輝度レンジインジケータ311の入力輝度レンジ(白塗り部分)313を増加させることができることを表示する。減少アイコン513は、操作部10を左ボタンを操作することで、入力輝度レンジ313を減少方向に操作できることを表示する。
最大表示輝度レベル欄520は、最大表示輝度レベルインジケータ521、最大表示輝度レベル調整値522、増加アイコン523および減少アイコン524を含む。最大表示輝度レベルインジケータ521は、表示輝度取得部8から取得される最大表示輝度値の現在値525、下限値および上限値を表示する。最大表示輝度値の下限値および上限値は、必ずしも本映像表示装置において設定が可能な下限値および上限値でなくてもよく、ユーザが任意に設定してもよい。最大表示輝度レベル調整値522は、最大表示輝度レベルインジケータ521と連動して最大表示輝度値の現在値を数値で表示する。
増加アイコン523は、操作部10の上ボタンを操作することで最大表示輝度値、つまりは表示輝度制御部7が制御する照明輝度レベルを増加させることができることを表示する。減少アイコン524は、操作部10の下ボタンを操作することで最大表示輝度値(照明輝度レベル)を減少させることができることを表示する。
ユーザの操作感を良好にするために、操作部10の上/下ボタンの操作回数と入力輝度レンジ313の増減とを比例関係にすることが好ましい。このため、表示輝度制御部7に対する照明輝度レベルの設定値と表示輝度取得部8から取得される最大表示輝度値の現在値との関係を示すルックアップテーブルや数式を用意して、表示輝度制御部7に対する照明輝度レベルの増減量を適切に制御することが好ましい。ただし、操作感を損なわなければ、そのような比例関係は必ずしも必要ではない。
入出力輝度グラフ530は、入出力輝度の関係を示すグラフ線531、MaxFALL値533およびMaxCLL値534を含む。グラフ線531は、HDR映像の入力輝度と表示部5の表示輝度との関係を表示する。本実施例では、実施例1で図2を用いて説明した単純にクリッピング閾値を超える入力階調をクリッピングするガンマカーブを用いる。このため、グラフ線531は、入力輝度レンジ調整値312以下の入力階調(入力輝度)に対して、最大表示輝度レベル調整値522/入力輝度レンジ調整値312の傾きを有する傾斜直線となる。また、グラフ線531は、入力輝度レンジ調整値312を超える入力輝度に対して最大表示輝度レベル調整値522を示す水平直線となる。図2に示したガンマカーブのように単純なクリッピングを行わずに入力階調を圧縮する場合は、その圧縮に応じたグラフ線を表示する。
操作部10の右ボタンの操作によって入力輝度レンジ調整値312が増加すると、グラフ線531の水平直線の開始位置が右方向にシフトするとともに、傾斜直線の傾きは小さくなる。操作部10の左ボタンの操作によって入力輝度レンジ調整値312が減少すると、グラフ線531の水平直線の開始位置が左方向にシフトするとともに、傾斜直線の傾きは大きくなる。
また、操作部10の上ボタンの操作によって最大表示輝度レベル調整値522が増加すると、グラフ線531の水平直線が上方向にシフトするとともに、傾斜直線の傾きは大きくなる。操作部10の下ボタンの操作によって最大表示輝度レベル調整値522が減少すると、グラフ線531の水平直線が下方向にシフトするとともに、傾斜直線の傾きは小さくなる。
MaxFALL値533とMaxCLL値534はそれぞれ、メタデータ取得部3から取得されたMaxFALLの値とMaxCLLの値を指標である△と◇で表示する。図5では、MaxFALL値533とMaxCLL値534は入力輝度と出力輝度の関係が1:1になる位置に表示されている。これにより、グラフ線531との位置関係から、入力輝度に対するゲインの度合いをユーザが視認することができる。ユーザはこの状態から視聴環境や好みに応じて入力輝度レンジ調整値312や最大表示輝度レベル調整値522を増減操作(調整)する。その例として、入力されるHDR映像に対して忠実な輝度表現を行う場合の調整例を図6を用いて説明する。
図6は、最初の調整である入力輝度レンジインジケータ311上での入力輝度レンジ調整と、次の調整である照明輝度レベルインジケータ321上での最大表示輝度調整とを示している。図6の上側の入出力輝度調整メニュー画面500Aは最初の入力輝度レンジ調整を示している。ユーザは操作部10の右ボタンを操作して、入力輝度レンジインジケータ311Aに示すように入力輝度レンジ313AをMaxCLL値534に一致するように増加させる。これにより、入力輝度レンジ調整値312AはMaxCLL凡例304に示されたMaxCLLの値1200nitsと等しくなる。この調整により、最大入力輝度1200nitsに対する最大表示輝度は2000nits、すなわち約1.67倍となる。
図6の下側の入出力輝度調整メニュー画面500Bは、次の最大表示輝度調整を示している。ユーザは操作部10の下ボタンを操作して、最大表示輝度レベルインジケータ521Bに示すように最大表示輝度レベル525BがMaxCLL値534と同じ位置に移動するまで最大表示輝度値522Bを減少させる。
以上の調整を行うことで、最大入力輝度1200nitsに一致する最大表示輝度1200nitsを設定することができる。この結果、入力輝度と表示輝度とが互いに等しくなるため、入力されるHDR映像に対して忠実な輝度表現がなされた表示映像を再現することができる。
本実施例では、入力輝度に対して忠実な輝度表現を行うための調整方法について説明した。ただし、他の輝度表現を行うための調整も可能である。例えば、視聴環境が明るい場所である場合に、忠実な輝度表現よりもゲインをかけた表現を好むユーザが存在することもある。このようなユーザは、設定値を単純に目標値に一致させるように調整するのではなく、入力されているHDR映像がどのような表示映像となって表示されているかを自身の眼で確認しながらフィードバックをかけるように調整する。この場合にも、入力輝度レンジと最大表示輝度レベルを4つのボタン操作のみで調整できる本実施例はユーザの調整を容易にすることができる。
また、本実施例では、MaxCLL値とMaxFALL値の両方を表示しているが、必ずしもこれらの値は表示しなくてもよい。すなわち、これらの値を表示しなくても、入力輝度レンジ欄と最大表示輝度レベル欄を同一画面としての入出力輝度調整メニュー画面内に表示すれば、ユーザによる入出力輝度調整の利便性を向上させることができる。
さらに、本実施例とは異なり、横方向に最大表示輝度レベルを表示し、縦方向に入力輝度レンジを表示してもよい。すなわち、横方向と縦方向のうち一方に最大表示輝度レベルを表示し、他方に入力輝度レンジを表示すればよい。
図7は、本発明の実施例3である映像表示装置の構成を示している。本実施例の映像表示装置はプロジェクタであり、映像入力部1、ガンマ部2、メタデータ取得部3、OSD重畳部4、表示部50、ガンマ制御部6、表示輝度制御部70、表示輝度取得部81、入出力輝度調整メニュー部91および操作部10を有する。映像入力部1、ガンマ部2、メタデータ取得部3、OSD重畳部4およびガンマ制御部6は、実施例1(図1)にて説明したものと同じであるため、それらの説明は省略する。
表示部50は、照明ユニット51、光変調パネル52および投射レンズユニット53を有する。照明ユニット51は、照明光源およびその駆動回路を有し、照明光源から発せられる照明光の強度を変更可能である。照明光源としては、LED、レーザーダイオード(LD)および超高圧水銀ランプ等を用いることができる。光変調パネル52は、液晶パネルやデジタルマイクロミラーデバイス等であり、その画素ごとに入力映像の階調に応じて照明光を変調する。投射レンズユニット53は、変倍(ズーム)およびフォーカス機能を有するとともに、投射レンズユニット53の光軸に直交する方向である水平/垂直方向へのレンズシフト機能を有し、光変調パネル52で変調された映像光をスクリーン等の被投射面に拡大投射する。
表示輝度制御部70は、照明制御部71およびレンズ制御部72を有し、表示部50により被投射面上に表示される投射映像の輝度を調整する。照明制御部71は、後述する入出力輝度調整メニュー部91からの照明輝度レベル調整要求に応じて、照明ユニット51の照明輝度レベルを制御する。本実施例でも、実施例1と同様に、照明輝度レベルを10〜100%の範囲において1%単位で制御する。照明輝度レベルの範囲や単位は例にすぎず、他の範囲や単位であってもよい。また、表示部50により表示される投射映像の表示輝度と照明輝度レベルとの関係は線形であってもよいし非線形であってもよい。
レンズ制御部72は、入出力輝度調整メニュー部91からのズーム調整要求、フォーカス調整要求、水平シフト調整要求および垂直シフト調整要求に応じて、投射レンズユニット53のズーム制御、フォーカス制御、水平シフト制御および垂直シフト制御を行う。
被投射面上での表示輝度は、該投射面への投射映像のサイズ(投射面積ともいい、以下、投射サイズという)と相関がある。また、投射サイズは、プロジェクタと被投射面との間の距離(以下、投射距離という)と投射レンズユニット53のズーム倍率(ズーム位置)に相関がある。さらに、投射距離は、投射映像のピントが合っている場合はフォーカスレンズの位置(フォーカス位置)と相関がある。また、被投射面上での表示輝度は、投射レンズユニット53の水平および垂直シフト位置に応じて変化する。
したがって、被投射面上での最大表示輝度は、投射レンズユニット53の状態を示す4つのレンズパラメータ、すなわちズーム位置、フォーカス位置、水平および垂直シフト位置に関連付けることができる。
被投射面上の表示輝度は照明ユニット51の照明輝度レベルにも相関があるが、照明輝度レベルの調整と表示輝度の関係と、投射レンズユニット53の状態と表示輝度の関係とは別々に考えることができる。本実施例では、投射レンズユニット53は上記4つのレンズパラメータに依存した透過率を有するものとして扱う。表示輝度が最大となる4つのレンズパラメータの組み合わせを透過率100%とすると、何れかのレンズパラメータを変更すると透過率は低下する。4つのレンズパラメータと透過率との関係は、投射レンズユニット53の設計上で定まるため、レンズ制御部72にて演算(演算方法の説明は省略する)により求めることができる。
以下の説明において、それぞれ表示輝度に相関がある(つまりは影響する)照明輝度レベルと上記4つのレンズパラメータとをまとめて表示条件ともいう。
表示輝度取得部81は、照明制御部71から取得される現在の照明輝度レベルとレンズ制御部72から取得される投射レンズユニット53の現在の透過率とを用いて、表示部50における現在の最大表示輝度を求め、これを入出力輝度調整メニュー部91に出力する。表示輝度取得部8は、例えば、透過率100%における様々な照明輝度レベルに対応付けた最大表示輝度を予め不図示の不揮発メモリ等の記憶部に保持しておき、該記憶部から実際の照明輝度レベルに対応する最大表示輝度を読み出すことでこれを取得する。そして、読み出した最大表示輝度に透過率を乗ずることで、該透過率に応じた最大表示輝度を求めることができる。
この場合、プロジェクタの生産工程において様々な照明輝度レベルに対する最大表示輝度を輝度センサを用いて測定し、その測定結果を記憶部に保存すればよい。また、表示輝度取得部8は、例えば、様々な照明輝度レベルに対応付けた最大表示輝度を算出可能な演算式を用いて、実際の照明輝度レベルに対応する最大表示輝度を算出することでこれを取得してもよい。また、プロジェクタに輝度センサを備え、表示部に全白映像を表示させ、輝度センサで最大表示輝度を測定してもよい。
入出力輝度調整メニュー部91は、ユーザが操作部10を通じて、HDR映像の入力輝度レンジ、照明輝度レベルおよびレンズパラメータを調整(設定)する際に見る入出力輝度調整メニュー画面を生成する。そして、該入出力輝度調整メニュー画面をOSD重畳部4に出力して、入出力輝度調整メニュー画面を映像信号に重畳させて表示部5に出力させる。本実施例の入出力輝度調整メニュー部91は、実施例1の入出力輝度調整メニュー部9と、投射レンズユニット53の状態を調整できるメニューを有する点で異なる。
図8は、本実施例における入出力輝度調整メニュー画面800を示す。入出力輝度調整メニュー画面800は、入力輝度レンジ欄810、照明輝度レベル欄820、ズーム欄830、フォーカス欄840、垂直レンズシフト欄850、水平レンズシフト欄860、レンズ透過率807、欄選択フレーム806および凡例870を含む。
欄選択フレーム806は、入力輝度レンジ欄801、照明輝度レベル欄820、ズーム欄830、フォーカス欄840、垂直レンズシフト欄850、水平レンズシフト欄860およびレンズ透過率807のうち操作待ち状態の項目を含む欄を囲むように表示される。図8は、入力輝度レンジ欄810の項目(入力輝度レンジ313)の増減の操作待ち状態を示している。操作部10においてユーザが上/下ボタンを操作すると、欄選択フレーム806が上記6つの欄801、820、830、840、850、860およびレンズ透過率807のいずれかを囲む状態に変化する。
入力輝度レンジ欄810は、入力輝度レンジインジケータ311および入力輝度レンジ調整値312を含む。入力輝度レンジインジケータ311は、それぞれ指標として表示される入力輝度レンジ313、クリッピングレンジ314、MaxFALL値315、MaxCLL値316および最大表示輝度値817を含む。入力輝度レンジ313、クリッピングレンジ314、MaxFALL値315およびMaxCLL値316は実施例1と同じであるため、それらの説明は省略する。最大表示輝度値817は、表示輝度取得部81から取得された最大表示輝度値の値を指標○で表示する。最大表示輝度値817は、照明輝度レベル、ズーム位置、フォーカス位置、垂直シフト位置および水平シフト位置の何れかが変更されるとその値も変化するため、それに合わせて表示位置が左右に移動する。
照明輝度レベル欄820は、照明輝度レベルインジケータ821および照明輝度レベル値822を含む。照明輝度レベルインジケータ821および照明輝度レベル値822はそれぞれ、実施例1で説明した照明輝度レベルインジケータ321および照明輝度レベル値322は表示輝度制御部7で調整を行うのに対して、照明制御部71により照明輝度レベルの調整を行っている点でのみ異なる。
ズーム欄830は、ズームレンズ調整インジケータ831を含む。ズーム欄830が欄選択フレーム806により囲まれた状態でユーザが操作部10を増加(+)方向に操作すると、該インジケータ831の白塗り部分が広くなるとともに、レンズ制御部72により投射サイズが拡大するように投射レンズユニット53のズーム位置が変更される。ユーザが操作部10を減少(−)方向に操作すると、該インジケータ831の白塗り部分が狭くなるとともに、レンズ制御部72により投射サイズが縮小するように投射レンズユニット53のズーム位置が変更される。さらにこれらのそれぞれにおいて、最大表示輝度値817およびレンズ透過率807の値が変化する。
フォーカス欄840は、フォーカスレンズ調整インジケータ841を含む。フォーカス欄840が欄選択フレーム806により囲まれた状態でユーザが操作部10を増加方向に操作すると、該インジケータ841の白塗り部分が広くなるとともに、レンズ制御部72によりピント位置が遠ざかるようにフォーカス位置が変更される。ユーザが操作部10を減少方向に操作すると、該インジケータ841の白塗り部分が狭くなるとともに、レンズ制御部72によりピント位置が近づくようにフォーカス位置が変更される。さらにこれらのそれぞれにおいて、最大表示輝度値817およびレンズ透過率807の値が変化する。
垂直レンズシフト欄850は、垂直レンズシフト調整インジケータ851を含む。垂直レンズシフト欄850が欄選択フレーム806により囲まれた状態でユーザが操作部10を増加方向に操作すると、該インジケータ851の白塗り部分が広くなるとともに、レンズ制御部72により投射レンズユニット53の垂直シフト位置が上方に移動される。ユーザが操作部10を減少方向に操作すると、該インジケータ851の白塗り部分が狭くなるとともに、レンズ制御部72により投射レンズユニット53の垂直シフト位置が下方に移動される。さらにこれらのそれぞれにおいて、最大表示輝度値817およびレンズ透過率807の値が変化する。
水平レンズシフト欄860は、水平レンズシフト調整インジケータ861を含む。水平レンズシフト欄860が欄選択フレーム806により囲まれた状態でユーザが操作部10を増加方向に操作すると、該インジケータ861の白塗り部分が広くなるとともに、レンズ制御部72により投射レンズユニット53の水平シフト位置が右方に移動される。ユーザが操作部10を減少方向に操作すると、該インジケータ861の白塗り部分が狭くなるとともに、レンズ制御部72により投射レンズユニット53の水平シフト位置が左方に移動される。さらにこれらのそれぞれにおいて、最大表示輝度値817およびレンズ透過率807の値が変化する。
レンズ透過率807は、レンズ制御部72が求める投射レンズユニット53の透過率を表示する。凡例870は、MaxFALL凡例303、MaxCLL凡例304、最大表示輝度凡例305を含む。これらの凡例303〜305は実施例1と同じであるため、これらの説明は省略する。
図8は、入力輝度レンジ313とMaxCLL値316と最大表示輝度値817の位置関係から、入出力輝度比が1:1でないことと、入力されているHDR映像のコンテンツの明るい部分の階調が飽和していることを示している。これを見たユーザは、視聴環境や自身の好みに応じて、入力輝度レンジと、最大表示輝度値に影響与える表示条件としての照明輝度レベルやレンズパラメータとを調整する。具体的には、おおむね実施例1で説明した通りである。
本実施例によれば、入力輝度レンジ欄810と表示条件を表示する欄(820、830、840、850、860、807)が同一の入出力輝度調整メニュー画面800により表示されるので、ユーザの入力輝度レンジや表示条件の調整に対する利便性を高めることができる。
なお、本実施例では、投射サイズをズーム位置とフォーカス位置から求める場合について説明したが、ユーザが投射サイズを操作部10を通じて入力してもよい。また実施例2のように、入力輝度レンジインジケータ311と照明輝度レベルインジケータ821とを、2次元メニュー画面により表示してもよい。
図9は、本発明の実施例4である映像表示装置の構成を示している。映像表示装置は、映像入力部1、ガンマ部2、メタデータ取得部3、表示部5、ガンマ制御部6、表示輝度制御部7、表示輝度取得部8および入出力輝度制御部92を有する。入出力輝度制御部92以外の構成要素は、実施例1と同じであるため。それらの説明は省略する。
入出力輝度制御部(制御手段)92は、HDR映像の入力輝度レンジと照明輝度レベルを、メタデータ取得部3で取得されるMaxCLLの値に応じて自動で調整(制御)する。
図10のフローチャートを用いて、入出力輝度制御部92が行う入力輝度レンジと照明輝度レベルの自動調整処理について説明する。コンピュータとしての入出力輝度制御部92は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。
ステップS1では、入出力輝度制御部92は、表示輝度取得部8から取得した最大表示輝度値と、メタデータ取得部3から取得したMaxCLL値とを比較し、これらがほぼ等しい(小さな所定値以下の差しか有さない)場合はステップS6に進み、そうでなければS2に進む。
ステップS2では、入出力輝度制御部92は、最大表示輝度値とMaxCLL値とを比較する。入出力輝度制御部92は、最大表示輝度値がMaxCLL値よりも上記所定値を超えて大きければステップ3に進み、MaxCLL値が最大表示輝度値より上記所定値を超えて大きければステップS4に進む。
ステップS3では、入出力輝度制御部92は、表示輝度制御部7に対して照明輝度レベルの減少を要求して、ステップS1に戻る。このときの照明輝度レベルの減少量は、MaxCLLと最大表示輝度値の差にかかわらず同じ量であってもよいし、該差に応じて異ならせてもよい。
ステップS4では、入出力輝度制御部92は、表示輝度制御部7により制御された照明輝度レベルが100%に達しているか否かを確認する。入出力輝度制御部92は、照明輝度レベルが100%に達している場合はステップS6に進み、そうでない場合はステップS5に進む。
ステップS5では、入出力輝度制御部92は、表示輝度制御部7に対して照明輝度レベルの増加を要求して、ステップS1に戻る。このときの照明輝度レベルの増加量も、MaxCLLと最大表示輝度値の差にかかわらず同じ量であってもよいし、該差に応じて異ならせてもよい。
ステップS6では、入出力輝度制御部92は、ガンマ制御部6に対して入力輝度レンジを最大表示輝度値に最も近くなるように、言い換えればクリッピング閾値を最大表示輝度値に合わせる要求を出力する。そして、本処理を終了する。
本実施例のような入力輝度レンジと照明輝度レベルの自動調整処理を行うことにより、入出力輝度比を1:1に保ちつつ、最大表示輝度値をMaxCLLとほぼ等しいか最も近い値に調整することができる。
なお、本実施例は、実施例1〜3のいずれかと組み合わせて実施することも可能である。これにより、実施例1〜3においてユーザが行った操作の一部を省略することが可能となり、よりユーザの利便性を向上させることができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。