以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下に例示する実施形態によって限定されるものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明に必須とは限らない。本明細書および図面に記載の内容は例示であって、本発明を制限するものと見なすべきではない。本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、各実施形態及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
<実施例1>
図1は、実施例1に係る表示装置100の機能ブロックを示すブロック図である。表示装置100は、I/F部101、制御部102、メモリ103、パネル制御部104、液晶パネルモジュール105、バックライト制御部106、バックライト107、および信号処理部110を備える。
I/F部101は、非図示の操作部を介して、表示装置100に表示されたGraphical User Interface(GUI)をユーザが操作することで、表示装置100の設定値を変更するためのインターフェースである。
ユーザは、I/F部101を介して、表示装置100に入力された画像データを表示装置で処理する際に用いる信号レンジを設定する。例えば、ユーザは、入力された画像データを、入力された画像データの階調値が取りうる範囲の一部が輝度レンジ(0%〜100%)と対応する画像データ(リミテッド画像データ)であるとして処理するように、設定することができる。このような画像データにおいて、輝度レンジ(0〜100%)に対応する階調値の範囲をリミテッドレンジという。このようなリミテッド画像データは、例えば、Rec.709に規定され、階調値が10ビット信号で表される画像データにおいて、リミテッドレンジは、64〜940であるとする。
また、ユーザは、入力された画像データを上述のリミテッドレンジが輝度レンジ(0%〜100%)に対応し、さらに、リミテッドレンジよりも高い階調値の範囲が輝度100%を超える範囲に対応する画像データとして処理することを設定することも可能である。リミテッドレンジよりも高い階調値の範囲に対応付けられた輝度レンジをスーパーホワイトという。このような画像データをスーパーホワイト画像データという。
さらに、ユーザは、入力された画像データを、入力された画像データの階調値が取りうる範囲のすべて(フルレンジ)が輝度レンジ(0%〜100%)と対応する画像データ(フルレンジ画像データ)であるとして処理するように設定することができる。
本実施例において、ユーザが入力された画像データをスーパーホワイト画像データとして処理する場合について説明する。
さらに、ユーザは、I/F部101を介して、表示装置100で表示する画像データ(表示画像データ)の階調特性を設定することが可能である。表示画像データの階調特性は、Standard Dynamic Range(SDR)と、SDRよりも広い輝度範囲に対して階調性を有するHigh Dynamic Range(HDR)とに大別される。SDRに対応する階調特性は例えばγ2.2等である。また、HDRに対応する階調特性は、ST.2084で規定された所謂、PQ特性およびHybrid Log Gamma(HLG)等である。また、ユーザが指定した階調特性に応じて、信号レンジを設定することも可能である。
ユーザは、I/F部101を介して、表示装置100の最大表示輝度を設定することが可能である。例えば、ユーザは、表示装置100の最大表示輝度として、100cd/m2を設定するとする。表示装置100の最大表示輝度は、入力された画像データにおいて予め輝度100%に対応付けられた階調値を有する画素に対応する画面の領域の輝度である。例えば、階調値が10ビット信号で示された入力された画像データが上述したフルレンジ画像データであれば、階調値が1023である画素に対応する領域が100cd/m2で表示されることが望ましい。また、リミテッド画像データであれば、階調値が940である画素に対応する領域が100cd/m2で表示されることが望ましい。
制御部102は、各機能ブロックの動作を制御する演算処理装置である。制御部102は、例えば、Central Processing Unit(CPU)であるとする。制御部102は、メモリ103に記憶されたプログラムを読出して実行することにより、各機能ブロックの動作を制御する。
メモリ103は、制御部102や各機能ブロックが処理に用いるパラメータやプログラムを記憶する記憶媒体である。メモリ103は、ハードディスクのような不揮発性の記憶媒体であるとする。また、メモリ103は、揮発性の記憶媒体を含む複数の記憶媒体から構成されていてもよい。
信号処理部110は、設定された信号レンジおよび階調特性に基づいて、入力された画像データを処理して表示画像データを出力する信号処理回路である。信号処理部110は、入力された画像データに対してゲイン処理やオフセット調整を施すことも可能である。また、信号処理部110は、入力された画像データをリミテッド画像データとして処理することが設定された場合、入力された画像データのリミテッドレンジを拡張する処理を施して表示画像データを出力する。信号処理部110は、表示画像データをパネル制御部104に出力する。信号処理部110は、入力信号処理部111、ゲイン処理部112、オフセット処理部113、レンジ拡張部114、および表示画像生成部115を備える。
入力信号処理部111は、画像データを入力する入力インターフェースである。入力信号処理部111は、入力された画像データを、信号処理部110の各機能ブロックが処理可能なフォーマットに変換した画像データ(入力画像データ)を出力する。入力画像データは、画素ごとにRGBの階調値が指定された画像データであるとする。階調値はそれぞれ10ビットデータで指定されるとする。なお、入力画像データのフォーマットはYCbCrおよびXYZなどのフォーマットでもよい。また、入力信号処理部111は、フォーマットの変換以外の処理を入力された画像データに施して入力画像データを出力してもよい。
ゲイン処理部112は、入力画像データにゲイン処理を施す処理部である。ゲイン処理部112は、予め定められたゲイン圧縮係数(ゲイン値)を入力画像データの階調値に乗算してゲイン処理を施す。ゲイン圧縮係数は、1以下の係数であるとする。ゲイン処理部112は、ゲイン処理を施された入力画像データをオフセット処理部113に出力する。
ゲイン処理部112では、式1に従い、階調値をゲイン圧縮する。ここで、Vaは入力画像データの階調値である。Gvは、1以下のゲイン圧縮係数である。例えば、Gvは0.9であるとする。
Vb=Va×Gv …式1
図2は、ゲイン処理前後の階調値の関係を示す模式図である。ゲイン処理により、階調値Vaの取り得る最大値Va_max(1023)は、ゲイン処理後の入力画像データにおいてVa_max×Gv(920)に変換される。
オフセット処理部113は、ゲイン処理後の入力画像データにオフセット処理を施す処理部である。オフセット処理はオフセット調整ともいう。オフセット処理部113は、ゲイン処理後の入力画像データの階調値にオフセット値Ofsを加算する処理を施して、レンジ拡張部114に出力する。オフセット処理に用いるオフセット値Ofsは、ユーザがI/F部101を介して設定するとする。オフセット値Ofsは、ユーザが直接値を設定することも可能であるし、あらかじめメモリ103に記憶された複数のオフセット値Ofsから選択することも可能である。オフセット処理部113では、式2に従い、階調値にオフセットをかける。
Vc=Vb+(Ofs×Gv) …式2
式1および式2から、入力画像データの階調値Vaと、オフセット処理後の入力画像データの階調値Vcとの対応関係は、式3で表すことができる。ゲイン処理部112とオフセット処理部113が異なる機能ブロックでなく、式3を用いて階調値Vaを階調値Vcに変換する処理を一度に行ってもよい。なお、式3で、VcがVcの取りうる最大値Vc_max以上となった場合は、Vcは、Vc_maxに変換される(クリップされる)。
Vc=(Va+Ofs)×Gv …式3
図3は、入力画像データの階調値Vaと、オフセット処理後の入力画像データの階調値Vcとの対応関係を示す模式図である。図3の点線は、ゲイン処理部112でゲイン処理を施さない場合の対応関係を示す。図3の点線は、ゲイン処理部112でゲイン圧縮係数を1としてゲイン処理を施した場合の対応関係を示すともいえる。図3の実線は、1以下のゲイン圧縮係数Gvを用いてゲイン処理を施した場合の対応関係を示す。
式3より、入力画像データの階調値Vaが、Vc_max/Gv−Ofsよりも大きい場合、オフセット処理後の階調値Vcは、Vc_maxとなり、階調性が低下する。ゲイン圧縮係数Gvが小さいほど、入力画像データの階調値VaがVc_max/Gv−Offsetよりも大きくなる範囲は少なくなる。したがって、ゲイン圧縮係数Gvは、必要なオフセットの調整幅が確保できるよう、設定することが望ましい。例えば、ユーザが設定可能なOfs値の最大値Ofs_MAXである場合、式4に基づいて予め決定されたゲイン圧縮係数Gvがメモリ103に記憶されているとする。
レンジ拡張部114は、オフセット処理後の入力画像データの階調値のレンジを拡張するレンジ拡張処理を施す処理部である。レンジ拡張部114は、入力画像データの形式に応じて、レンジ拡張処理を制御する。レンジ拡張部114は、ユーザが設定した信号レンジに基づいて階調値を変換する。
例えば、ユーザが入力された画像データがスーパーホワイト画像データであると設定したとする。この場合、入力画像データは、輝度レンジ0〜100%が階調値の範囲64〜940に対応付けられ、リミテッドレンジを超えた階調値の範囲(スーパーホワイト領域(940〜1023))にも輝度100%を超える高階調値が割り当てられている。
レンジ拡張部114は、上述のような入力画像データに対して、スーパーホワイト領域とリミテッドレンジとを合わせた階調値の範囲(64〜1023)を、0〜1023の範囲に拡張するように変換するとする。
レンジ拡張処理前の入力画像データにおいて、レンジ拡張処理の対象となる信号範囲を対象範囲とする。上述の場合、対象範囲は、スーパーホワイト領域とリミテッドレンジとを合わせた階調値の範囲(64〜1023)である。
レンジ拡張部114は、式5に従い、レンジ拡張処理を実行してレンジ拡張処理後の階調値Vdを取得する。Vminは、対象範囲の階調値の最小値、Vmaxは、対象範囲の階調値の最大値をそれぞれ示す。Nは、変換後の階調値Vdのビット数である。例えば、Nは10であるとする。
図4は、入力画像データの階調値Vaとレンジ変換処理後の入力画像データの階調値Vdとの対応関係を示す模式図である。図4(a)は、本実施例に示すように、オフセット調整後にレンジ拡張処理を施した場合の対応関係を示す。図4(b)、レンジ拡張処理を施した後に、ゲイン処理とオフセット処理を施した場合の入力画像データの階調値Vaと変換処理後の階調値Vd´対応関係を示す。
図4(a)に示すように、オフセット調整後にレンジ拡張処理を施した場合、入力画像データにおいて対象範囲外であった(Va<Vmin)階調値が、オフセット調整により階調性が低下しない。しかし、図4(b)に示すように、オフセット調整前にレンジ拡張処理を施した場合、レンジ拡張処理によりVa<Vminの階調値が0にクリップされ、オフセット処理を施しても階調性を有しない。
本実施例のように、オフセット調整後にレンジ拡張処理を施すことにより、例えば、テスト画像であるPLUGE(Picture Line Up Generation Equipment)信号により、黒レベル調整を行うことができる。PLUGE信号には、−4%、0%、4%の信号が含まれる。PLUGE信号による黒レベル調整では、−4%と0%が同じ見えになるよう画像信号のオフセットを調整する。
表示画像生成部115は、入力されたレンジ拡張処理後の画像データの階調特性を補正して表示画像データを生成する。表示画像生成部115は、表示画像データをパネル制御部104に出力する。表示画像生成部115は、レンジ拡張処理後の画像データの階調値Vdを、変換関数f(Vd)を用いて、表示画像データの階調値Veに変換する。例えば、変換関数は、ガンマ2.2の階調特性を示す関数であるとする。この場合、Veは、式6を用いて求められる。なお、表示画像生成部115で行われる信号処理は、階調特性の補正処理に限定されず、色温度や色域などの補正処理も含まれるものとする。
Ve=f(Vd) …式6
Ve=Vd2.2 …式7
パネル制御部104は、表示画像データに基づく画像が液晶パネルモジュール105の画面に表示されるよう、液晶パネルモジュール105を制御する。液晶パネルモジュール105は、表示画像データの各画素に対応する液晶素子を有する液晶パネルを備える。パネル制御部104は、表示画像データの各画素の階調値に基づいて、対応する液晶素子の透過率を制御する。例えば、パネル制御部104は、表示画像データの各画素の階調値に比例する透過率で各液晶素子を制御するとする。液晶パネルモジュール105は、パネル制御部104により制御され、バックライト107から照射された光を透過して画像を表示する。パネル制御部104は、取得した表示画像データの画素の階調値に基づいて、対応する液晶素子の透過率を制御する。例えば、パネル制御部104は、階調値が最大値である場合に液晶素子の透過率が最大になるように制御するとする。液晶素子の透過率の最大値は10%であるとする。
バックライト制御部106は、バックライト107の輝度を制御する制御部である。バックライト107は、液晶パネルモジュール105の背面から光を照射する照明装置である。バックライト107は、光源を備える。例えば、バックライト107は、光源として複数のLED(Light Emitting Diode)を備えるとする。バックライト制御部106は、LEDの点灯期間と消灯期間との比を制御するPWM(Pulse Width Modulation)制御により、バックライト107から液晶モジュール105に照射される光の量を制御する。
表示装置100は、バックライト107から照射された光を、液晶パネルモジュール105を通して出力することにより、画像信号を映し出す。液晶パネルモジュール105とバックライト107とは、表示モジュールを構成する。表示モジュールは例えば有機ELパネルを用いた表示モジュールであってもよい。
バックライト制御部106は、設定された最大表示輝度で画像を表示するように、バックライト107の光量を制御する。設定された最大表示輝度が100cd/m2であるとする。この場合、バックライト制御部106は、バックライト107から液晶パネルモジュール105に照射される光の輝度が1000cd/m2となるように、制御するものとする。これにより、表示画像データにおいて最大の階調値が指定された画素に対応する領域は、100cd/m2で表示されるとする。
図5は、上述のように、入力画像データの階調値Vaと、入力画像データに対してゲイン処理、およびオフセット処理の後に、レンジ拡張処理を施して得られた表示画像データに基づいて画像を表示した場合の表示輝度との対応関係を示す模式図である。ゲイン処理、オフセット処理、レンジ拡張処理により、入力画像データにおいて輝度100%に対応するVa(940)は、100cd/m2よりも低い輝度で表示される。
上述したように、入力画像データにおいて輝度100%に対応する階調値が指定された画素は、表示装置の最大表示輝度で表示されることが望ましい。制御部102は、信号処理部110が入力画像データに対して施したゲイン処理、およびレンジ拡張処理に応じて、バックライト制御部106が制御するバックライト107の光量を調整する。
図6は、制御部102のバックライト輝度制御処理を示すフローチャートである。制御部102は、入力画像データに対してオフセット処理が施されない場合に、入力画像データにおいて輝度100%に対応する階調値が指定された画素が表示装置の最大表示輝度で表示されるように、バックライト107の光量を調整する。具体的には制御部102は、バックライト制御部106がバックライト107に用いるPWM制御値を決定する。
S11で、制御部102は、入力画像データの信号レンジを判定する。入力画像データがリミテッドレンジを用いたデータである場合、S12で、輝度レンジ100%に対応する階調値(白レベル)を、リミテッドレンジの最大値(940、10ビットの場合)と設定する。入力画像データがリミテッドレンジを用いたデータでない場合、S13で、白レベルを、階調値の取りうる最大値(1023、10ビットの場合)と設定する。なお、白レベルは、ユーザによって指定されてもよい。
S14で、制御部102は、ゲイン処理後の白レベルを取得する。具体的には、S12、もしくはS13で設定された白レベルを、式1を用いてゲイン処理した値を取得する。白レベルVaが940、ゲイン圧縮係数Gvが0.9の場合、数式1によって算出される白レベルVbは、846である。
S15で、制御部102は、レンジ拡張処理後の白レベルを算出する。具体的には、S14で算出されたゲイン圧縮後の白レベルに基づき、前述した式5によりレンジ拡張処理後の白レベルを算出する。ゲイン圧縮後の白レベルが846、対象範囲の最大値Vmaxが1023、対象範囲の最小値Vminが64、Nが10の場合、レンジ拡張処理後の白レベルは、841とである。
S16で、制御部102は、表示画像データの白レベルを算出する。具体的には、S15で取得されたレンジ拡張処理後の白レベルに基づき、前述した式6により階調特性を変換された後の白レベルを算出する。ガンマ2.2の階調特性を示す関数を用いて変換すると、レンジ処理拡張後の白レベル(841)は、665に変換される。
S17で、制御部102は、バックライトの輝度補正係数を算出する。具体的には、液晶パネルモジュール105の表示特性と、S16で算出された出力信号処理後の白レベルに基づき、数式6に従い、輝度補正係数を算出する。
式8において、Yは相対輝度値である。相対輝度値Yは、液晶パネルモジュール105が表示可能な階調値の上限値に対して、上述のようにゲイン処理、オフセット処理、およびレンジ拡張処理を施された後の白レベルの画素の階調値の比である。例えば、出力信号処理後の白レベルが665の場合、相対輝度値Yが0.65となる。つまり、上述のようにゲイン処理、オフセット処理、およびレンジ拡張処理を施すことにより、入力画像データにおいて輝度100%に対応する階調値を有する画素は、表示装置が表示可能な階調値の上限値の0.65となる。式8で算出される輝度補正係数Glは、1.54となる。
S18で、制御部102は、白レベルとS17で算出された輝度補正係数に基づいて、バックライト107のLEDをPWM制御するためのデューティ比を決定し、バックライト制御部106に出力する。具体的には、制御部102は、補正前のPWM制御に用いられるデューティ比に、輝度補正係数Glを乗算して、バックライト107の制御に用いるデューティ比とする。デューティ比は、バックライト107の光量に比例するとする。上述の輝度補正係数Gl=1.54を用いて、PWM制御値を補正することにより、バックライト107は、1540cd/m2で点灯する。したがって、階調値1023の信号を液晶パネルモジュール105に表示した場合の輝度は154cd/m2となる。
図7は、上述のバックライト107の輝度補正を行った場合の入力画像データの階調値を表示輝度との関係を示す模式図である。なお、図7は、入力画像データにゲイン処理とレンジ拡張処理のみを行い、オフセット処理を施していない場合を示す。具体的には、リミテッド画像データである入力画像データに対してゲイン圧縮係数0.9でゲイン圧縮し、階調特性をガンマ2.2に補正した場合を示す。図7の点線は、上述のバックライト107の輝度補正を行わない場合の対応関係を示す。この場合、入力画像データにおいて輝度100%に対応する階調値940の画素の表示輝度は、65cd/m2である。つまり、白レベルが65%に低下してしまう。図7の実線は、上述のバックライト107の輝度補正を行う場合の対応関係を示す。バックライト107の光量を1.54倍することにより、表示輝度が1.54倍となる。これにより、入力画像データにおいて輝度100%に対応する階調値940の画素の表示輝度は、100cd/m2となる。
上述のように制御することにより、ゲイン圧縮による白レベルの輝度の低下を抑制することが可能となる。
上述したように、実施例1の表示装置では、オフセット調整時の画像信号の飽和を抑制するために、オフセット調整前の画像信号にゲイン圧縮をかける。これにより、スーパーホワイト領域を残しつつ、黒レベルを調整することが可能になる。
さらに、実施例1の表示装置では、オフセット調整時の画像信号の飽和を抑制するために、画像信号にゲイン圧縮をかけるが、画像信号の低下分をバックライトにより補正する。これにより、コントラストや輝度の低下を防ぐことができる。
<実施例2>
SDRよりも高い輝度を含むHDRに対応する画像データ(HDR画像データ)は、高輝度で表示する必要がある。入力された画像データがHDR画像データに対して実施例1を適用させた場合、表示輝度の補償のためにバックライトの発光輝度の調整が、表示装置の電源容量などの制限によりできない場合がある。この場合、全体的な輝度が低下する。実施例2の表示装置は、画像データのダイナミックレンジに応じて、ゲイン圧縮や信号レンジ拡張の制御方法を変えることにより、輝度低下を抑制する場合について説明する。なお、実施例2の表示装置の機能構成は、図1に示す通りである。
画像データのダイナミックレンジは、例えば、Rec.709やDCI(Digital Cinema Initiative)などに準拠した標準的なダイナミックレンジ(SDR)がある。SDRに対応する画像データをSDR画像データとする。SDR画像データの階調特性は、例えばガンマで規定される。また、ITU−R BT.2100で規格化されたPQ(Perceptual Quantization)とHLG(Hybrid Log−Gamma)等に準拠したSDRよりも広いダイナミックレンジ(HDR)がある。HDRに対応する画像データをHDR画像データとする。この規格の階調特性は、Logで規定される。
入力されたSDR画像データに基づいて画像を表示装置100に表示する場合、表示画像生成部115において、画像データの階調特性をガンマ特性に補正する。入力されたHDR画像データに基づいての画像を表示装置100に表示する場合、表示画像生成部115において、画像データの階調特性をLog特性に補正する。
図8は、制御部102のゲイン圧縮係数の設定処理を示すフローチャートである。S21で、制御部102は、入力画像データの信号レンジを判定する。信号レンジがリミテッドレンジ以外の場合は、S25で、ゲイン圧縮係数を1に設定する。信号レンジがリミテッドレンジの場合は、S22で、入力画像データのダイナミックレンジを判定する。
S22で、入力画像データのダイナミックレンジがHDR、すなわち、表示画像生成部115において、階調特性をLog特性に補正する場合、S23で、ゲイン圧縮係数を1に設定する。入力画像データのダイナミックレンジがSDR、すなわち、表示画像生成部115において階調特性をガンマ特性に補正する場合、S24でゲイン圧縮係数を1未満の値、例えば、0.9に設定する。なお、入力画像データのダイナミックレンジは、ユーザがI/F部101を介して設定することも可能であるし、入力信号処理部111が入力画像データを解析して設定することも可能である。
S26で、制御部102は、S23〜S25で設定されたゲイン圧縮係数を、ゲイン処理部112に出力する。ゲイン処理部112では、出力されたゲイン圧縮係数に基づき、前述した数式1に従い、画像信号をゲイン圧縮する。
SDR画像データのゲイン圧縮係数が1未満である理由は、SDRではスーパーホワイトが規定されているためである。また、HDR画像データのゲイン圧縮係数が1である理由は、スーパーホワイトが規定されていないためである。
図9は、制御部102の対象範囲の設定処理を示すフローチャートである。S31で、制御部102は、入力画像データの信号レンジを判定する。信号レンジがリミテッドレンジ以外の場合は、S35で、対象範囲の階調値の最小値を0、最大値を1023に設定する。信号レンジがリミテッドレンジの場合は、S32で、入力画像データのダイナミックレンジを判定する。入力画像データのダイナミックレンジがHDR、すなわち、表示画像生成部115において、階調特性をLog特性に補正する場合、S33で、対象範囲の階調値の最小値を64、最大値を940に設定する。入力画像データのダイナミックレンジがSDR、すなわち、表示画像生成部115において、階調特性をガンマ特性に補正する場合、S34で対象範囲の階調値の最小値を64、最大値を1023に設定する。
S26で、制御部102は、S33〜35で設定された対象範囲の階調値の最小値および最大値を、レンジ拡張部114に出力する。レンジ拡張部114では、出力された対象範囲の階調値の最小値および最大値に基づき、前述した数式5に従い、画像データを拡張する。
上述したように、実施例2の表示装置では、画像データのダイナミックレンジに応じて、ゲイン処理やレンジ拡張の制御方法を変える。
図10は、入力されたHDR画像データの階調値と、表示装置100で表示される場合の表示輝度との関係を示す模式図である。実施例2を適用することにより、HDR画像データに基づいて画像を表示した場合に、ゲイン圧縮係数Gvを1.0とする。図10の実線は、ゲイン圧縮係数Gvを1.0とした場合の関係を示す。また、図10の点線は、ゲイン圧縮係数Gvを0.9とした場合の比較例である。HDR画像データに対して、上述のように、ゲイン圧縮係数と対象範囲を制御することにより、輝度低下を防ぐことができる。
<実施例3>
実施例3では、オフセット調整に応じて、ゲイン圧縮の制御方法を変える場合について説明する。なお、実施例3の表示装置の機能構成は、図1に示す通りである。
表示装置100の制御部102において、ゲイン処理に用いるゲイン圧縮係数Gvを式9によって算出する。ここで、Nは画像信号のビット深度、Ofsはユーザが指定したオフセット値であり、オフセット値はNビット精度とする。なお、オフセット値Ofsが0である場合、ゲイン圧縮係数Gvは1となる。
画像信号のビット深度が10ビット、オフセット値を0とした場合、式9によって算出されるゲイン圧縮係数は1となる。同じく、オフセット値を100とした場合、式9によって算出されるゲイン圧縮係数は0.91となる。このように、オフセット値が高いほど、ゲイン圧縮係数が低くなる。
なお、式9で算出されるゲイン圧縮係数には、上限値および下限値を設ける。例えば、ゲイン圧縮係数の上限値を1とし、下限値を0.9とする。
上述したように、実施例3の表示装置では、オフセット調整に応じたゲイン圧縮係数により、画像信号をゲイン圧縮する。
オフセット調整しない画像信号に対して実施例1〜2を適用すると、電源容量などの制限により輝度拡張ができない場合に、全体的な輝度が低下する。そこで、実施例3を適用することにより、オフセット調整しない場合に、図11に示すように、全体的な輝度低下を防ぐことができる。
さらに、実施例3の表示装置では、ゲイン圧縮係数に上限値/下限値を設ける。これにより、最大輝度や信号処理精度が極端に低下することを防ぐことができる。
なお、オフセット値に応じて動的にゲイン圧縮係数を設定するようにしたが、これに限定しない。例えば、オフセット調整する/しないによって、ゲイン圧縮係数を決めてもよい。この場合、オフセット調整しない場合のゲイン圧縮係数を1、する場合のゲイン圧縮係数を0.9と設定してもよい。
<実施例4>
ゲイン圧縮処理を施された入力画像データに基づいて画像を表示した場合、表示輝度のレンジは、もとの入力画像データに基づいて画像を表示した場合の表示輝度のレンジよりも狭くなる(最大表示輝度が低下する)ことがある。
図12は、入力画像データの階調値に対する表示輝度の関係を示す模式図である。図12は、階調値が10ビットで示された入力画像データに対して、ゲイン処理、オフセット処理、およびレンジ拡張処理を実施せず、表示画像生成部115でガンマ2.2の階調特性を適用した場合を示す。また、表示装置の最大の表示輝度(最大輝度)は、1000cd/m2であるとする。このとき、入力画像データの最大の階調値(1023)に対応する表示輝度は、1000cd/m2である。
このような入力画像データに対して、ゲイン圧縮係数を0.9として、ゲイン圧縮処理を施した場合、もとの入力画像データの最大の階調値(1023)は、1023×0.9に変換される。したがって、もとの入力画像データにおいて最大の階調値の領域の表示輝度は、ゲイン圧縮処理により、793cd/m2に低下する。つまり、ゲイン圧縮処理を施すことにより、低下した最大の階調値に対応する表示輝度(793cd/m2)よりも高い表示輝度で、画像を表示できない。
実施例4の表示装置100は、表示装置100の最大輝度、入力画像データの信号レンジおよび階調特性に応じて、ゲイン圧縮係数を制御することにより、表示輝度の低下を抑制する場合について説明する。なお、実施例4の表示装置100の機能構成は、図1に示す通りである。実施例4の表示装置100は、制御部102のゲイン圧縮係数の設定処理が異なる。
図13は、制御部102のゲイン圧縮係数の設定処理を示すフローチャートである。
S41で、制御部102は、入力画像データの信号レンジを判定する。信号レンジがリミテッドレンジ以外の場合は、S48に進む。S48は、ゲイン圧縮係数を1に設定する処理である。信号レンジがリミテッドレンジの場合は、S42に進む。信号レンジがリミテッドレンジである場合、白階調値は、入力画像データの階調値の最大値でない場合がある。例えば、入力画像データの階調値が10ビットデータで示される場合、入力画像データの白階調値Vwは、940であるとする。
S42で、制御部102は、入力画像データの最大階調値の目標輝度(Lt)を算出する。制御部102は、入力画像データの信号レンジおよび階調特性に基づき、入力画像データの最大階調値の表示輝度の目標値(目標輝度Lt)を算出する。
式10において、Vwは白階調値、Lwは白階調値に対応する表示輝度、Vmaxは対象範囲の最大階調値、および、Vminは対象範囲の最小階調値、をそれぞれ示す。例えば、レンジ拡張部114における対象範囲がオーバーホワイトを含むリミテッドレンジである場合、Vmaxが1023、Vminが64となる。Lwは、入力画像データにおいて白階調値Vwの領域(白領域)の表示輝度の目標値である。例えば、白領域の表示輝度Lwは、ユーザがI/F部101を介して設定するとする。Lwは、例えば、750cd/m2であるとする。なお、表示輝度Lwは、入力画像データのメタ情報を解析することによって得られる値であってもよい。
また、変換関数fは、表示画像生成部115で階調特性の変換に用いられる変換関数である。例えば、表示画像生成部115で階調特性をガンマ2.2に変換する場合、変換関数fは、式7に示した特性となる。上述した各パラメータを、式10に適用すると、目標輝度Ltは、915cd/m2となる。
S43で、制御部102は、最大階調値の目標輝度Ltが、表示装置100の最大輝度Lmax未満であるか判定する。目標輝度Ltが表示装置100の最大輝度Lmax以上である場合(S43,No)、S48に進む。目標輝度Ltが表示装置100の最大輝度Lmax未満である場合(S43,Yes)、S44に進む。表示装置100の最大輝度Lmaxは、1000cd/m2であるとする。例えば、表示装置100の最大輝度Lmaxは、メモリ103に記憶された値を読み出して使用するとする。なお、表示装置100の最大輝度Lmaxは、液晶パネルモジュール105およびバックライト107の駆動時間や劣化度合い等に応じて、制御部102が計算により求めてもよい。
S44で、制御部102は、ゲイン圧縮係数の下限値Gminを取得する。制御部120は、表示装置100の最大輝度Lmax、目標輝度Lt、および入力画像データの階調特性に基づいて、ゲイン圧縮係数の下限値Gminを算出する。制御部102は、式11を用いて、ゲイン圧縮係数の下限値Gminを算出する。
式11において、f−1は、式10に適用される階調特性の変換関数fの逆関数である。例えば、入力画像データの階調特性をガンマ2.2に補正する場合、変換関数fの逆関数f−1には、式12が適用される。
式11において、上述したように、目標輝度Ltが915cd/m2、最大輝度Lmaxが1000cd/m2、変換関数fに階調特性をガンマ2.2に補正する関数を適用する場合、ゲイン圧縮係数の下限値Gminは0.96となる。
図14は、入力画像データの階調値に対する表示輝度の関係を示す模式図である。図14に示すように、入力画像データの階調値の最大値(1023)を、ゲイン圧縮係数の下限値Gmin(0.96)を用いてゲイン処理をかけた場合、対応する表示輝度は915cd/m2となる。また、入力画像データの白階調値Vw(940)に同様にゲイン圧縮係数の下限値Gmin(0.96)を用いてゲイン処理をかけた場合、対応する表示輝度は750cd/m2となる。したがって、入力画像データにおける白階調値Vw,最大の階調値それぞれに対応する領域が、設定された表示輝度で表示される。
S45で、ゲイン圧縮係数の下限値Gminが初期値G0以上であるか否かを判定する。ゲイン圧縮係数の下限値Gminが小さい値になりすぎると、ゲイン圧縮処理後の画像データの階調値のレンジが狭くなり、後段の画像処理の処理精度が低下する場合がある。したがって、下限値Gminが、予め画像処理の処理精度が所定の範囲になるように定められたゲイン圧縮係数よりも小さい場合(S45、No)、処理はS47に進む。S47で、制御部102は、初期値G0をゲイン圧縮係数と設定する。
また、S45で、下限値Gminが初期値G0以上である場合(S45、Yes)、処理はS46に進む。S46で、制御部102は、下限値G0をゲイン圧縮係数と設定する。
S46、S47、およびS48の処理によって、ゲイン圧縮係数の設定フローが終了する。
上述したゲイン圧縮係数の設定フローによって設定されたゲイン圧縮係数を用いて、ゲイン処理部111は、入力画像データに対するゲイン圧縮処理を実行する。
図14に示したように、ゲイン圧縮処理の下限値Gminを用いてゲイン圧縮処理を実行することにより、表示装置の最大表示輝度を上げることなく、ユーザが設定した表示輝度で入力画像データのうち白階調値の領域(白領域)を表示することが可能となる。また、入力画像データの最大階調値に対応する領域の表示輝度の低下を抑制することが可能となる。
なお、ゲイン圧縮係数の初期値と下限値を比較して、ゲイン圧縮係数を決定するようにしたが、これに限定しない。実施例3のように、オフセット調整に応じたゲイン圧縮係数など、初期値以外のゲイン圧縮係数と比較して、ゲイン圧縮係数を決定してもよい。
<実施例5>
入力された画像データに対して実施例4を適用させた場合、ゲイン圧縮を調整することで、輝度低下を抑制することができる。しかしながら、入力画像データのうち、白階調値よりも高い階調値の範囲(スーパーホワイト領域)の階調性を残すように変換処理を行うことにより、白階調値に対応する表示輝度が取りうる範囲は、表示装置の最大輝度よりも低くなる。
例えば、最大輝度が1000cd/m2の表示装置に、ガンマ2.2の画像データを表示した場合、図12に示すように、白階調値を793cd/m2以上の輝度で表示できなくなってしまう。
実施例5の表示装置は、表示装置の最大輝度、入力画像データの表示輝度および階調特性に応じて、レンジ拡張処理の制御方法を変えることにより、白階調値の表示輝度の低下を抑制する。
なお、実施例5の表示装置100の機能構成は、図1に示す通りである。
図15は、制御部102の対象範囲の設定処理を示すフローチャートである。
S51で、制御部102は、入力画像データの信号レンジがリミテッドレンジであるか否かを判定する。信号レンジがリミテッドレンジでない場合(S51 No)、処理は、S57に進む。信号レンジがリミテッドレンジの場合は、処理はS52に進む。
S52で、制御部102は、最大階調値(10ビット信号の場合は1023)の目標輝度を算出する。具体的には、入力画像データの表示輝度および階調特性に基づき、前述した式10に従い、最大階調値の目標輝度Ltを算出する。
白階調値の表示輝度Lwが900cd/m2、階調特性がガンマ2.2の場合、最大階調値の目標輝度Ltは、1098cd/m2となる。
S53で、制御部102は、最大階調値の目標輝度Ltが表示装置100の最大輝度未満であるか否かを判定する。目標輝度Ltが表示装置100の最大輝度未満である場合、処理は、S56に進む。最大階調値の目標輝度が表示装置100の最大輝度以上である場合、処理はS54に進む。
S54で、制御部102は、対象範囲の階調値の最大値を算出する。具体的には、表示装置100の最大輝度、入力画像データの階調特性、目標輝度Ltに基づき、最大輝度に対応する入力階調値Vmlを算出する。制御部102は、式13に基づいて入力階調値Vmlを算出する。Lmaxは表示装置100の最大輝度、Vmaxは最大階調値、Vminは最小階調値をそれぞれ示す。また、f−1は、前述した式10に適用される階調特性の変換関数fの逆関数である。例えば、入力画像データの階調特性がガンマ2.2の場合、変換関数fの逆関数f−1には、前述した式12が適用される。なお、表示装置100の最大輝度Lmaxは、メモリ103に記憶された固定値を使用するが、これに限定しない。例えば、液晶パネルモジュール105およびバックライト107の駆動時間や劣化度合い等に応じて、表示装置100の最大輝度を計算することも可能である。
式13において、最大階調値の目標輝度Ltに1098cd/m2、表示装置100の最大輝度Lmaxに1000cd/m2、変換関数fに階調特性をガンマ2.2に補正する関数を適用する。また、最大階調値Vmaxが1023であり、最小階調値Vminが64であるとする。この場合、入力階調値Vmlは983となる。
S55で、制御部102は、対象範囲の階調値の最小値を64、最大値をS54で算出した入力階調値Vmlに設定する。
S56で、制御部102は、対象範囲の階調値の最小値を64、最大値を1023に設定する。
S57で、制御部102は、対象範囲の階調値の最小値を0、最大値を1023に設定する。
S58で、制御部102は、S55〜57で設定された対象範囲の階調値の最小値および最大値を、レンジ拡張部114に出力する。レンジ拡張部114では、出力された対象範囲の階調値の最小値および最大値に基づき、前述した数式5に従い、画像データを拡張する。
対象範囲の最大値をS54で決定された入力階調値Vmlとした場合のレンジ拡張処理後の入力画像データの階調値と表示輝度との関係を説明する。図16は、レンジ拡張処理後の入力画像データの階調値と表示輝度との関係を示す模式図である。上述のように、対象範囲の最大値を決定することにより、白輝度を900cd/m2で表示することが可能になる。
上述したように、実施例5の表示装置では、入力画像データを高輝度で表示する場合に、スーパーホワイト領域の少なくとも一部がクリップされるよう、対象範囲の階調値の最小値および最大値を設定する。これにより、入力画像データを高輝度で表示する場合であっても、白輝度の低下を防ぐことができる。
<実施例6>
実施例6の表示装置は、スーパーホワイト領域を全てクリップすることで、白階調値の表示輝度の低下を抑制する場合について説明する。なお、実施例6の表示装置の機能構成は、図1に示す通りであり、ゲイン処理部112、および、オフセット処理部113は省略可能である。
図17は、制御部102の対象範囲の設定処理を示すフローチャートである。なお、S69以外の処理は、図15のフローチャートと同じであり、同一番号を付与している。
S69で、制御部102は、対象範囲の階調値の最小値を64、最大値を940に設定する。すなわち、目標輝度が表示輝度の最大値よりも高い場合に、対象範囲をリミテッドレンジにおける黒階調値と白階調値とからなる範囲に設定するといえる。
図18は、実施例6にあるような処理を実行し、目標輝度が表示輝度の最大値よりも高い場合における入力画像データの階調値と表示輝度との関係を示す模式図である。図18に示すように、実施例6の処理によれば、スーパーホワイト領域の全てがクリップされる。
上述したように、スーパーホワイト領域の全てをクリップすることで、白階調値の表示輝度の低下を防ぐことが可能となる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、このプログラムを格納し、プロセッサがプログラムを読取り可能な記憶媒体も、本発明に含まれる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。