JP2017120330A - 輝度調整装置および輝度調整プログラム - Google Patents
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他方、HDR映像の制作におけるディスプレイの輝度調整では、調整パラメータとして、コントラストαとブライトネスβに、新たにシステムガンマγが追加される。また、調整対象の輝度は、基準黒レベルと基準白レベルにそれぞれ対応する基準黒輝度0[IRE]と基準白輝度50[IRE]である。調整パラメータにより算出されるEOTFに基づいて、映像信号レベルのピーク値に対して与えられる理想的なピーク白輝度(100[IRE]または109[IRE])は、ディスプレイが表現可能な輝度の最大値を超えることがある。そのため、高い映像信号レベルを含む映像信号について映像の階調つぶれが容易に発生することが想定される。よって、HDR映像の制作においてディスプレイ性能の最大輝度を超える輝度に対応した映像信号レベルの管理が困難になるという課題が生じる。
[1]の構成によれば、ユーザーは、映像表示部に表示される第1の映像の輝度、第2の映像の輝度が、それぞれ所定の輝度範囲の下限、所定の輝度範囲の上限となることを確認しながら、調整パラメータを指示することができる。そして、調整パラメータによって与えられる最大輝度を与える信号レベルの最小値を確認することができる。これによって、ユーザーは、所定の輝度範囲を超える輝度範囲を有する映像の制作において、映像表示部が表現可能な最大輝度とその最大輝度を与える信号レベルを把握することができる。そのため、ユーザーは、映像表示部が表現可能な最大輝度を超える映像信号レベルの管理をより容易に行うことができる。
[2]の構成によれば、ユーザーは、入力されたシステムガンマを把握することができるので、その値の変化によって敏感に変化する輝度の変化を確認しながら、正確にシステムガンマの値を調整することができる。
[3]の構成によれば、ユーザーは、第2の輝度範囲の上限の輝度と映像表示部が表現可能な最大輝度とを比較し、かつ、その最大輝度を与える信号レベルを参照することができる。そのため、ユーザーは、映像表示部が表現可能な輝度の上限を容易に把握することができる。
[4]の構成によれば、映像表示部の輝度特性の経年変化や、映像表示部の交換による輝度特性の変化に応じた表現可能な最大輝度が測定される。そのため、測定された最大輝度に基づく映像表示部の輝度の調整が可能となる。
[5]の構成によれば、ユーザーは、映像表示部に表示される第1の映像の輝度、第2の映像の輝度が、それぞれ所定の輝度範囲の下限、所定の輝度範囲の上限となることを確認しながら、調整パラメータを指示することができる。そして、調整パラメータによって与えられる最大輝度を与える信号レベルの最小値を確認することができる。これによって、ユーザーは、所定の輝度範囲を超える輝度範囲を有する映像の制作において、映像表示部が表現可能な最大輝度とその最大輝度を与える信号レベルを把握することができる。そのため、ユーザーは、映像表示部が表現可能な最大輝度を超える映像信号レベルの管理をより容易に行うことができる。
図1は、本実施形態に係る輝度調整装置1の機能構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係る輝度調整装置1は、映像入力部10と、輝度制御部20と、ユーザー制御入力部30と、自動測定部40と、パラメータ表示部50と、映像表示部60とを含んで構成される。
次に、本実施形態に係る表示パラメータについて説明する。図2は、本実施形態に係る表示パラメータの例を示す一覧表である。
基準黒輝度LBは、映像信号レベルが0[IRE]であるときに与えられるディスプレイ輝度である。IREは、映像信号レベルの単位の一つである。従来のSDR映像では、IREは、ディスプレイに表示される映像の最小輝度(黒)、最大輝度(白)に対応する映像信号レベルをそれぞれ0、100として正規化された値を示す。IREに代えて、%が用いられることがある。基準白輝度LWは、HDR映像では映像信号レベルが50[IRE]であるときに与えられるディスプレイ輝度である。従来のSDR映像では、この輝度が、100[IRE]の映像信号レベルに対応付けられていた。100%ピーク白輝度L100IREは、HDR映像では映像信号レベルが100[IRE]であるときに与えられるディスプレイ輝度であり、通例、基準白輝度LWよりも格段に高い。109%ピーク白輝度L109IREは、映像信号レベルが109[IRE]であるときに与えられるディスプレイ輝度であり、100%ピーク白輝度L100IREよりも高い。映像信号レベルとして、100%ピーク白輝度L100IREを超える輝度またはその輝度の範囲は、スーパーホワイトと呼ばれることがある。最大輝度の基準値として、100%ピーク白輝度L100IREの他に109%ピーク白輝度L109IREが設けられているのは、HDR映像においてスーパーホワイトが許容されうるためである。実ピーク輝度LDispは、ディスプレイの性能として表現可能な最大輝度である。最大IRE値Max_IREは、表現可能な最大輝度に対応するIRE値である。システムガンマγは、輝度制御部20が式(2)に示すOOTFを算出する際に用いられる。
次に、映像信号が示す映像信号レベルと映像表示部60が表示する映像の輝度の例について説明する。
図3は、映像信号レベルと輝度の関係の例を示す図である。
図3において、縦軸、横軸は、それぞれ映像信号レベル、輝度を示す。曲線Luは、HDR映像の輝度を例示する。図3に示す輝度は、式(2)に示すEOTFと、式(3)に示すOOTFとを乗じて算出される。この例では、コントラストα、ブライトネスβ、システムガンマγは、それぞれ100、0、1.2である。この条件のもとで、基準黒輝度LB、基準白輝度LW、100%ピーク白輝度L100IRE、109%ピーク白輝度L109IREは、それぞれ0、100、2000、3570[cd/m2]となる。輝度制御部20は、式(3)に示すEOTFと、調整パラメータα、β、γによって算出されるOOTFに基づいて実ピーク輝度LDispを与える映像信号レベルを算出し、算出した映像信号レベルに100を乗じて最大IRE値Max IREを算出する。図3に示す例では、実ピーク輝度LDispは750[cd/m2]である。このとき、最大IRE値Max IREは、84.9となる。最大IRE値Max IREは、ディスプレイが表現可能な最大輝度を与えるIRE値のうち、最小のIRE値である。言い換えれば、最大IRE値Max IREよりもIRE値が大きい場合でも、映像表示部60は、実ピーク輝度LDispを超える輝度の映像を表示することができない。
次に、本実施形態に係る輝度調整装置1の外観構成について説明する。図4は、本実施形態に係る輝度調整装置1の外観構成を示す図である。
図4は、ユーザー制御入力部30、自動測定部40、パラメータ表示部50および映像表示部60を示す。図4では、映像入力部10と輝度制御部20の図示が省略されている。
なお、この例では、100%ピーク白輝度L100IREと109%ピーク白輝度L109IREは、それぞれ100%ピーク白映像、109%ピーク白映像に基づく実測値ではなく、基準黒輝度LBと基準白輝度LWに基づく計算値である。これらの値は、輝度制御部20において、実測値である基準黒輝度LBと基準白輝度LWを、EOTFを用いて外挿することによって算出することができる。
次に、本実施形態に係る輝度調整処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る輝度調整処理を示すフローチャートである。輝度調整装置1は、自装置への電源投入直後、またはユーザーの操作により指示された時点において、以下に説明する輝度調整処理を開始する。
上述した例では、実ピーク輝度LDispとして、ディスプレイの機種固有の表現可能な輝度の最大値を予め輝度制御部20に設定しておくことを前提としていたが、これには限られない。輝度制御部20は、上限またはそれに近い映像信号レベルを有する実ピーク輝度測定用映像信号を映像表示部60に出力する。例えば、映像信号レベルに対応する12ビットの信号値の上限は、4095(=212−1)である。自動測定部40は、映像表示部60に表示された映像の輝度を測定し、測定した輝度を輝度制御部20に出力する。輝度制御部20は、自動測定部40が測定した輝度を実ピーク輝度LDispとして定める。輝度制御部20が、実ピーク輝度LDispを測定するタイミングは、輝度調整装置1への電源投入直後、ユーザーの操作により指示された時点、使用開始から所定時間(例えば、1箇月間隔)、のいずれでもよい。これにより、映像表示部60として用いられるディスプレイの輝度特性の経年変化に追従した輝度調整が可能になる。
なお、実ピーク輝度測定用映像信号の映像信号レベルは、いかなるディスプレイが表現可能な輝度の最大値である基準白輝度に対応する基準白輝度レベルよりも十分に大きければ、その上限に限られない。例えば、109%ピーク白輝度レベルまたは100%ピーク白輝度レベルであってもよい。
この構成によれば、ユーザーは、映像表示部60に表示される基準黒映像の輝度、基準白映像の輝度が、それぞれ所定の基準黒輝度、基準白輝度となることを確認しながら、調整パラメータを指示することができる。そして、調整パラメータによって与えられる実ピーク輝度と最大IRE値を確認することができる。これによって、ユーザーは、HDR映像の制作において、映像表示部60が表現可能な輝度の最大値である実ピーク輝度を与える最大IRE値を把握することができる。そのため、ユーザーは、最大IRE値を超える映像信号レベルの管理をより容易に行うことができる。
この構成により、ユーザーは、入力されたシステムガンマを把握することができるので、その値の変化によって敏感に変化する輝度の変化を確認しながら、正確にシステムガンマの値を調整することができる。
この構成により、ユーザーは、HDR映像の輝度範囲の上限の輝度と実ピーク輝度とを比較し、かつ最大IRE値を参照することができる。そのため、ユーザーは、映像表示部60が表現可能な輝度の上限を容易に把握することができる。
この構成により、映像表示部60の輝度特性の経年変化、映像表示部60の交換による輝度特性の変化に応じた実ピーク輝度が測定される。そのため、測定された実ピーク輝度に基づく輝度の調整が可能となる。
Claims (5)
- 所定の輝度範囲の下限を与える第1の信号レベルに基づく第1の映像、および前記輝度範囲の上限を与える第2の信号レベルに基づく第2の映像を表示する映像表示部と、
前記第1の映像の輝度および前記第2の映像の輝度を測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記第1の映像の輝度、前記第2の映像の輝度、前記映像表示部が表示する映像の最大輝度、および前記最大輝度を与える信号レベルの最小値を表示するパラメータ表示部と、
前記映像表示部に表示される映像の輝度の調整パラメータが入力されるとき、前記調整パラメータに基づく補正関数を用いて前記映像表示部に表示される映像の輝度を制御する輝度制御部と、
を備える輝度調整装置。 - 前記調整パラメータは、映像信号レベルに対する指数であるシステムガンマを含み、
前記パラメータ表示部は、前記システムガンマを表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の輝度調整装置。 - 前記輝度制御部は、前記第1の映像の輝度と前記第2の映像の輝度を電光変換関数に基づいて外挿して、前記所定の輝度範囲よりも広い第2の輝度範囲の上限である第3の映像の輝度を算出し、
前記パラメータ表示部は、前記第3の映像の輝度をさらに表示する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輝度調整装置。 - 前記映像表示部は、少なくとも前記最大輝度よりも高い輝度を与える信号レベルに基づく第4の映像をさらに表示し、
前記測定部は、前記第4の映像の輝度をさらに測定し、
前記輝度制御部は、前記第4の映像の輝度を前記最大輝度として定める
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の輝度調整装置。 - 所定の輝度範囲の下限を与える第1の信号レベルに基づく第1の映像、および前記輝度範囲の上限を与える第2の信号レベルに基づく第2の映像を表示する映像表示部と、
前記第1の映像の輝度および前記第2の映像の輝度を測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記第1の映像の輝度、前記第2の映像の輝度、前記映像表示部が表示する映像の最大輝度、および前記最大輝度を与える信号レベルの最小値を表示するパラメータ表示部と、
前記映像表示部に表示される映像の輝度の調整パラメータが入力されるとき、前記調整パラメータに基づく補正関数を用いて前記映像表示部に表示される映像の輝度を制御する輝度制御部と、
を備える輝度調整装置として機能させる輝度調整プログラム。
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