以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、暖房機能付きの給湯システム1の基本構成を示す図である。
給湯システム1は、主として給湯器2及び温水分岐ユニット3を含む。
給湯器2は、給湯熱交換器21と風呂熱交換器22とを有する。給湯熱交換器21は、給湯潜熱熱交換器211と給湯顕熱熱交換器212とを備える。給湯潜熱熱交換器211は、給湯顕熱熱交換器212の上方に位置する。給湯顕熱熱交換器212は、風呂熱交換器22と共通のフィン201で一体化されている。その下には、ガスバーナー23が配置されている。ガスバーナー23の下には、燃焼用の空気を供給する燃焼ファンが設けられている。ガスバーナー23は、ガス供給管231から供給された燃料ガスを燃焼して、給湯熱交換器21(給湯潜熱熱交換器211及び給湯顕熱熱交換器212)と風呂熱交換器22とを加熱する。
給湯熱交換器21(給湯潜熱熱交換器211)の入口には、入水管2101が接続される。入水管2101には上水道の水が流れる。上水道の水は、入水管2101を通って給湯熱交換器21(給湯潜熱熱交換器211)に供給される。なお入水管2101を流れる水の流量は、水量センサー21011で検出される。
給湯熱交換器21(給湯顕熱熱交換器212)の出口には、出湯管2102が接続される。出湯管2102には給湯熱交換器21で加熱された湯が流れる。
入水管2101を介して外部から供給された水は、まず給湯潜熱熱交換器211で加熱され、続いて給湯顕熱熱交換器212で加熱されて、出湯管2102を介してカランやシャワーヘッド等の出湯端末60に供給される。出湯管2102から湯落とし込み管2103が分岐する。この分岐箇所には湯量サーボ弁213が設けられている。湯落とし込み管2103は、注湯電磁弁214を介して湯戻り管222に合流する。湯戻り管222は、風呂熱交換器22の入口に接続される配管である。湯落とし込み管2103を流れる湯水の流量は、注湯電磁弁214で調整される。給湯熱交換器21(給湯顕熱熱交換器212)の内部には、給湯熱交換器21内の湯の温度(滞留湯温)を検出するための水管サーミスター21021が設けられる。給湯熱交換器21(給湯顕熱熱交換器212)の出口には、給湯熱交換器21を通過する湯の温度を検出するための熱交サーミスター21022が設けられる。給湯熱交換器21から出た湯にバイパス管2104からの水を混ぜて温度が低下した湯が通る出湯管2102には、出湯端末60に送られる湯の温度を検出するための給湯サーミスター21023が設けられる。
風呂熱交換器22の出口には、湯往き管221の一端が接続される。湯往き管221の他端は、温水分岐ユニット3の風呂往き三方弁31に接続される。風呂熱交換器22の入口には、湯戻り管222の一端が接続される。湯戻り管222の他端は、温水分岐ユニット3の風呂戻り三方弁32に接続される。湯戻り管222には、循環ポンプ220が設けられる。この循環ポンプ220は、循環ポンプ220を駆動した場合の湯水の流れ方向で、湯落とし込み管2103の合流箇所よりも下流側(風呂熱交換器22に近い側)に設けられている。また湯戻り管222には、風呂水流スイッチ2221及び風呂戻りサーミスター2222も設けられている。風呂水流スイッチ2221及び風呂戻りサーミスター2222は、循環ポンプ220を駆動した場合の湯水の流れ方向で、湯落とし込み管2103の合流箇所よりも上流側(風呂熱交換器22から遠い側)に設けられている。風呂戻りサーミスター2222を使用することで、浴槽40の湯温を検知することができる。
さらに湯戻り管222には、水位センサー2223が設けられている。この水位センサー2223で検出された水圧PをPQ線図に適合することで、浴槽40の湯量Qが求まる。
温水分岐ユニット3は、風呂往き三方弁31と、風呂戻り三方弁32とを含む。
風呂往き三方弁31のひとつの接続口には、上述のように湯往き管221が接続される。風呂往き三方弁31の別の接続口には風呂往き管411の一端が接続される。風呂往き管411の他端は、浴槽40の循環金具41に接続される。風呂往き三方弁31の残りの接続口には、暖房往き管511の一端が接続される。暖房往き管511の他端は、暖房ユニット50の暖房熱交換器51の入口に接続されるとともに、暖房熱交換器51の入口と出口はバイパスされる。暖房往き管511には暖房温度センサー5111が設けられている。この暖房温度センサー5111で、暖房熱交換器51に流入する湯の温度を検出する。また暖房ユニット50には室温検知センサー52が設けられている。
風呂戻り三方弁32のひとつの接続口には、上述のように湯戻り管222が接続される。風呂戻り三方弁32の別の接続口には風呂戻り管412の一端が接続される。風呂戻り管412の他端は、浴槽40の循環金具41に接続される。風呂戻り三方弁32の残りの接続口には、エアセパレーター接続管331の一端が接続される。エアセパレーター接続管331の他端は、エアセパレーター33の底面に接続される。エアセパレーター33は、湯を貯める空間を有している。暖房熱交換器51の出口に接続される暖房戻り管512の他端が、エアセパレーター33の底面に接続される。
このようになっているので、湯往き管221及び風呂往き管411が連通するように風呂往き三方弁31を切り替えて、風呂戻り管412及び湯戻り管222が連通するように風呂戻り三方弁32を切り替えた状態で、循環ポンプ220が作動すると、給湯器2で加熱された湯が浴槽40を循環する。
湯往き管221及び暖房往き管511が連通するように風呂往き三方弁31を切り替えるとともに、エアセパレーター接続管331及び湯戻り管222が連通するように風呂戻り三方弁32を切り替えた状態で、循環ポンプ220が作動すると、給湯器2で加熱された湯が暖房ユニット50の暖房熱交換器51及びエアセパレーター33を循環する。
なおエアセパレーター33の上面には、オーバーフローパイプ332の一端が接続されている。オーバーフローパイプ332の他端は、風呂往き管411に合流する。
給湯器のリモコンが操作されて給湯温度や風呂温度が設定される。カランやシャワーヘッド等の出湯端末60の栓が開かれると、給湯サーミスター21023によって検出される出湯温度が、給湯設定温度となるように、ガスバーナー23の燃焼が調整されて給湯熱交換器21が加熱される。また、風呂の追い焚き燃焼時には、風呂戻りサーミスター2222によって検出される風呂温度が、風呂設定温度となるように、ガスバーナー23の燃焼が調整されて、風呂熱交換器22が加熱される。また暖房時にも風呂熱交換器22が加熱される。
ところで、この種の給湯器においては、上述の如く、給湯燃焼と風呂の追い焚き・暖房燃焼とが共通のガスバーナー23によって行われる。そして、このガスバーナー23の燃焼によって加熱される給湯熱交換器21と風呂熱交換器22とが上下に配置されている。そのため、給湯することなく追い焚き・暖房するときにも、ガスバーナー23の熱が給湯熱交換器21に伝達することとなり、給湯熱交換器21内の湯水の温度が上昇する。この状態が継続すると、給湯熱交換器21内の湯が沸騰することがあり、出湯端末60が開栓されると、給湯熱交換器21内の沸騰した湯が給湯されることになり、危険である。
そこで、このような給湯器においては、給湯燃焼が行われることなく風呂の追い焚き燃焼のみが行われる風呂単独の追い焚き燃焼時や給湯燃焼が行われることなく暖房運転燃焼のみが行われる暖房単独燃焼時などには、給湯熱交換器21内の湯の温度(滞留湯温)を水管サーミスター21021で検出して、給湯熱交換器21の湯水が沸騰する前にガスバーナー23を停止し、給湯熱交換器21側に湯水の温度がある程度低下したら再び元通りのガスバーナー23の燃焼を行う動作を繰り返している。
また暖房単独燃焼中に、カランやシャワーヘッド等の出湯端末60の栓が開かれて給湯する場合は、上水道の水を加熱するべく、ガスバーナー23の熱量が調整される。このときガスバーナー23の熱が、風呂熱交換器22をも加熱してしまい、暖房回路内を循環する湯水の温度が高温になって暖房温度が高くなりすぎてしまう可能性がある。そこで、給湯量がある程度多くなったら、循環ポンプ220を停止する。このように、給湯割込があった場合に、循環ポンプ220を停止している状態は「暖房待機」と呼ばれる。そして、給湯が停止したら、循環ポンプ220の駆動を再開して、湯水を暖房回路内に循環させるが、暖房待機状態で、給湯が継続すると、風呂熱交換器22の内部に滞留している湯水が沸騰することがある。すると、風呂熱交換器22の内部の湯水が膨張する。
冬季に、浴槽に湯を溜めることなく、浴室を暖房してシャワーだけを使用することがある。特に、冬季は、上水道の水の温度も低く、バーナーの熱量も大きくなりやすい。このような場合、給湯が継続することで、風呂熱交換器22の内部に滞留している湯水が沸騰して膨張すると、その湯水が巡り巡って、エアセパレーター33の湯水を浴槽40に押し出してしまう可能性がある。
そして、給湯が停止すると、暖房運転を再開するが、膨張していた湯水が元に戻る際に空の浴槽40から空気を吸い込んでしまい、いわゆる「エア噛み」の状態になってしまうことがある。
このような事態を防止するために、暖房運転の再開に先立って補水することで、エア噛み状態にならないようにしている。
次にこのような暖房機能付きの給湯システム1の具体的な動作について説明する。
図2は、エアパージ運転を説明する図である。
浴室暖房運転のスイッチがオンされると、給湯システム1は最初にエアパージ運転を実行する。エアパージ運転では、図2に示されるように、風呂熱交換器22と暖房熱交換器51とが連通するように風呂往き三方弁31を切り替えるとともに、風呂熱交換器22とエアセパレーター33とが連通するように風呂戻り三方弁32を切り替える。この状態で、上水道の水を供給すると、水は入水管2101を流れて給湯熱交換器21で加熱され、出湯管2102→湯落とし込み管2103と流れた後、湯戻り管222で2つに分流する。なお図中、湯水温度の概略をドットの濃淡で表現した。ドットが濃いところは湯水温度が高く、ドットが淡いところは湯水温度が低い。
分流したひとつの流れは、湯戻り管222→風呂熱交換器22、という流れであり、風呂熱交換器22でさらに加熱されて、湯往き管221→風呂往き三方弁31→暖房往き管511→暖房熱交換器51→暖房戻り管512、と流れてエアセパレーター33に到達する。分流したもうひとつ流れは、湯戻り管222→風呂戻り三方弁32→エアセパレーター33、という流れである。このように、湯戻り管222で2つに分流した流れは、エアセパレーター33で合流する。なお暖房熱交換器51が冷えていれば、暖房熱交換器51から出た湯水は、暖房熱交換器51に奪われる熱量だけ温度が低下することとなる。
そして、エアセパレーター33から、オーバーフローパイプ332→風呂往き管411→循環金具41、と流れて浴槽40に到達する。このように湯が流れることで、配管中の空気がパージされる。なお仕様にもよるが、4リットル程度の湯水が流れれば、エアパージが完了する。
図3は、暖房運転を説明する図である。
エアパージが完了したら、暖房運転が開始される。この場合は、図3に示されるように、風呂往き三方弁31及び風呂戻り三方弁32をエアパージのときと同じ状態、すなわち、風呂往き三方弁31が風呂熱交換器22と暖房熱交換器51とを連通させるとともに、風呂戻り三方弁32が風呂熱交換器22とエアセパレーター33とを連通させた状態で、循環ポンプ220を作動させる。すると、風呂熱交換器22で加熱されて70℃程度になった湯が、湯往き管221→風呂往き三方弁31→暖房往き管511、と流れて暖房熱交換器51に達する。暖房熱交換器51で、湯の熱が放熱されて、浴室内を暖めることとなる。暖房熱交換器51を通った湯は、60℃程度まで温度が下がり、暖房戻り管512→エアセパレーター33→エアセパレーター接続管331→風呂戻り三方弁32→湯戻り管222、と流れて、再び、風呂熱交換器22を流れて加熱される。
暖房運転では、最初の数分間(5〜10分間程度)は、循環ポンプ220を緩やかに作動させることで、湯水に含まれるエアを無くすための脱気運転を行う。湯水から抜けたエアは、エアセパレーター33の上方に溜まる。そして、脱気運転時間が経過したら、通常通り、循環ポンプ220を作動させる。
暖房運転では、給湯することなく暖房のみ行うが、ガスバーナー23の熱が給湯熱交換器21にも伝達することで、給湯熱交換器21内の湯水が沸騰するおそれがある。そこでこの場合は、給湯熱交換器21に設けられた水管サーミスター21021の検出温度を見ながらガスバーナー23をオンオフして燃焼・停止を繰り返すことで、給湯熱交換器21内で湯水が沸騰することを防止しながら暖房する。
図4は、暖房運転中の給湯割込を説明する図である。
暖房運転中に、カランやシャワーヘッド等の出湯端末60の栓が開かれた場合は、図4に示されるように、上水道の水が入水管2101を流れて給湯熱交換器21で加熱され、出湯管2102から出湯端末60に給湯される。
図5は、暖房待機を説明する図である。
このときガスバーナー23の熱が、風呂熱交換器22をも加熱するので、暖房回路内を循環する湯水の温度が高温になって暖房温度が高くなりすぎてしまう可能性がある。そこで、給湯量がある程度多くなったら、図5に示されるように、循環ポンプ220を停止する。この状態が暖房待機状態である。
図6は、暖房待機中の湯水の体積膨張を説明する図である。
暖房待機状態で、給湯が継続すると、風呂熱交換器22の内部に滞留している湯水が沸騰することがある。すると、風呂熱交換器22の内部で湯水が膨張することで、図6に示されるように、湯往き管221→風呂往き三方弁31→暖房往き管511→暖房熱交換器51→暖房戻り管512→エアセパレーター33と湯水が移動する。また風呂熱交換器22の内部で湯水が膨張することで、湯戻り管222→循環ポンプ220→湯戻り管222→風呂戻り三方弁32→エアセパレーター33と湯水が移動する。このように、風呂熱交換器22の内部で湯水が膨張することで、2つの経路で湯水がエアセパレーター33へ移動する。そしてエアセパレーター33の上面から湯水が溢れ出て、溢れた湯水がオーバーフローパイプ332→風呂往き管411→循環金具41、と流れて、浴槽40に流出する。
図7は、体積膨張した湯水の収縮について説明する図である。
給湯が終了すると、ガスバーナー23の熱量が下がり、風呂熱交換器22の内部で沸騰して膨張していた湯水が収縮する。膨張していた湯水が収縮すると、図7に示されるように、循環金具41からエアを吸入して、通常想定されるよりも多くのエアがエアセパレーター33に溜まる可能性がある。また一旦沸騰・膨張した湯水にはエアが残留しやすい。つまり、湯水が一度沸騰すると、溶解していた酸素等が気泡状態として析出して、エアセパレーター33や暖房熱交換器51に移動するが、一旦沸騰した湯水が温度の低い状態に戻っても、析出した全量が元通りに溶解することはない。この理由は、気泡は壁面に付着しやすいので、気泡移動速度と気泡を放出した水との移動速度が異なり、気泡を放出した水と温度が低い状態で気泡周囲にある水との空気溶解度が異なるため(気泡析出時の水と異なる水が周囲にあるため)であると推測される。暖房熱交換器51は気泡が付着しやすい壁面が多く、かつ管路が長いので、管路内の水が、場所による空気溶解度が異なりやすく、沸騰・膨張したときに析出したエアが湯水に残留しやすいのである。このように、エアセパレーター33に多くのエアが溜まった状態で、また湯水にエアが残留した状態で暖房運転を再開すると、いわゆる「エア噛み」の状態になってしまうことがある。
そこで、ひとつの方法としては、上水道の水を供給(補水)することで、エア噛みを避ける。
次にフローチャートを参照して、上水道の水を供給(補水)することでエア噛みを避ける具体的な制御内容について説明する。
図8は、システムのコントローラーが暖房運転中に実行しているフローチャートである。
ステップS11において、システムのコントローラーは、カランやシャワーヘッド等の出湯端末60の栓が開かれるなどして、給湯割込があったか否かを判定する。コントローラーは、判定結果が否の間はステップS11で待機し、判定結果が否になったらステップS12へ処理を移行する。なお給湯割込があった状態が、前述の図4に示されている。
ステップS12において、システムのコントローラーは、給湯割込が終了したか否かを判定する。コントローラーは、判定結果が否の間はステップS13へ処理を移行し、判定結果が肯になったらステップS11へ処理を移行する。
ステップS13において、システムのコントローラーは、給湯割込が所定時間継続したか否かを判定する。コントローラーは、判定結果が否の間はステップS12へ処理を移行し、判定結果が肯になったらステップS14へ処理を移行する。
ステップS14において、システムのコントローラーは、暖房運転を待機する。この状態が、前述の図5であり、暖房待機状態が継続して、風呂熱交換器22の内部に滞留している湯水が沸騰すると、図6の状態になる。
ステップS15において、システムのコントローラーは、給湯割込が終了したか否かを判定する。コントローラーは、判定結果が否の間はステップS15で待機し、判定結果が肯になったらステップS16へ処理を移行する。
ステップS16において、システムのコントローラーは、補水処理を実行する。詳細は後述される。
ステップS17において、システムのコントローラーは、暖房運転を再開する。
図9は、ひとつの手法としての補水処理について説明するフローチャートである。
ステップS1601において、システムのコントローラーは、循環ポンプ220を停止したまま注湯電磁弁214を開いて湯水を流すことで補水する。すると、図10に示されるように、上水道の水が入水管2101を流れて給湯熱交換器21で加熱され、出湯管2102→湯落とし込み管2103と流れた後、湯戻り管222で2つに分流する。分流したひとつ流れは、湯戻り管222→風呂戻り三方弁32→エアセパレーター33、という流れである。分流したもうひとつの流れは、湯戻り管222→風呂熱交換器22→湯往き管221→風呂往き三方弁31→暖房往き管511→暖房熱交換器51→暖房戻り管512→エアセパレーター33、という流れである。ただし、風呂往き三方弁31を通る経路は、風呂熱交換器22及び暖房熱交換器51や循環ポンプ220を通るため、圧力損失が大きく、流れにくい。多くの湯水は、風呂戻り三方弁32を経由するルートでエアセパレーター33に到達する。そこでステップS1602において、システムのコントローラーは、補水量が基準量(たとえば2リッター程度)に達するまで待機し、補水量が基準量に達したらステップS1603へ処理を移行する。なお補水量は、湯量センサー2224で検出される。
ステップS1603において、システムのコントローラーは、注湯電磁弁214を閉じて湯水の供給を停止して、循環ポンプ220を作動させる。すると、図11に示されるように、循環ポンプ220→湯戻り管222→風呂熱交換器22→湯往き管221→風呂往き三方弁31→暖房往き管511→暖房熱交換器51→暖房戻り管512→エアセパレーター33→エアセパレーター接続管331→風呂戻り三方弁32→湯戻り管222→循環ポンプ220、と湯水が循環し、エアがエアセパレーター33に溜まることとなる。湯水が1周する程度の時間を待って(ステップS1604)、システムのコントローラーは、ステップS1605へ処理を移行する。ただし、この時間は一例であり、2周又はそれ以上循環する程度の時間を待ってもよい。
ステップS1605において、システムのコントローラーは、循環ポンプ220を再び停止して注湯電磁弁214を開いて湯水を流す。すると、図12に示されるように、再び、上水道の水が入水管2101→給湯熱交換器21→出湯管2102→湯落とし込み管2103と流れる。そして、湯戻り管222から風呂戻り三方弁32を経由するルートと、湯戻り管222から風呂往き三方弁31を経由するルートの2つのルートでエアセパレーター33に流れる。なおこの場合も、2リッター程度の上水道の水が流れるのを待って(ステップS1606)、システムのコントローラーは、ステップS1607へ処理を移行する。ただし、上水道の供給量は任意であり、ステップS1602の基準量と異なってもよい。
ステップS1607において、システムのコントローラーは、注湯電磁弁214を閉じて、補水を終了する。
以上のように補水することで、暖房運転再開時のエア噛みを確実に防止することができる。なおこの場合、上述した実施形態では4リッター程度を補水する必要があった。
浴槽に湯を溜めることを一切行わず、夏季でも冬季でもシャワーしか使用しない人もいる。たとえば、一人暮らしの人には、そのような人も少なくない。シャワーしか使用しない場合、冬季は寒いので浴室を暖房してシャワーを使用することが多い。このような場合は、上述したように給湯割込があって暖房待機状態になった後、暖房運転を再開するのに先立って補水することで得られるエア噛み防止効果の意義は大きい。
しかしながら、たとえば、家族で暮らしていて、子ども達は浴槽に湯を溜めて早めに入浴を済ませ、父親のために浴槽から湯を抜くことなく残しておいたが、帰りが遅くなった父親が、浴槽に入ることなく浴室を暖房してシャワーだけで済ますようなことがある。このようなシーンでは、浴槽に湯水が残っているので、風呂熱交換器22の内部で膨張していた湯水が元に戻る際に、浴槽40の湯水を吸い込むので、エア噛みが発生しにくく、補水は特段必要ない。ところが、このようなシーンでも、一律に、暖房運転を再開するのに先立って補水すると、無駄に多くの湯水を補水してしまうこととなる。また何度も給湯割込があって何度も補水してしまうと、湯水が多くなりすぎて浴槽40から溢れる可能性がある。
そこで、本実施形態では、浴槽40に湯水があるか否かを確認し、湯水がある場合には、補水しないようにしたのである。具体的な内容について以下に説明する。
ここで本実施形態の理解を容易にするために、暖房機能付きの給湯システム1の湯張り動作及び浴槽40に湯水がある場合に暖房運転した場合について具体的に説明する。
自動湯張り運転のスイッチがオンされると、給湯システム1は最初にエアパージ運転を実行する。これは、浴室暖房運転の場合と同様に、図2のように実行されるので説明を省略する。
エアパージが完了したら、浴槽40が所望の湯量になるまで、湯張り運転を実行する。この場合は、図13に示されるように、風呂熱交換器22と浴槽40とが連通するように風呂往き三方弁31及び風呂戻り三方弁32を切り替える。この状態で上水道の水を供給すると、水は入水管2101を流れて給湯熱交換器21で加熱されて出湯管2102→湯落とし込み管2103と流れた後、湯戻り管222で2つに分流する。
ひとつの流れは、湯戻り管222→風呂熱交換器22、という流れであり、風呂熱交換器22でさらに加熱されて、湯往き管221→風呂往き三方弁31→風呂往き管411→循環金具41と流れて浴槽40に到達する。もうひとつ流れは、湯戻り管222→風呂戻り三方弁32→風呂戻り管412→循環金具41(浴槽40)という流れである。このように、給湯熱交換器21で加熱された湯は、途中で2系統に分流して浴槽40に供給される。この湯張り運転は、浴槽40が所望の湯量になるまで行われる。なお浴槽40の湯量Qは、水位センサー2223で検出された水圧PをPQ線図に適合することで求められる。
湯張りが完了したら、湯温が適温になるまで追い焚き運転が実行される。この場合は、図14に示されるように、風呂往き三方弁31及び風呂戻り三方弁32が、風呂熱交換器22と浴槽40とを連通させた状態で循環ポンプ220を作動させる。すると、浴槽40の湯水が、循環金具41→風呂戻り管412→風呂戻り三方弁32→湯戻り管222→風呂熱交換器22→湯往き管221→風呂往き三方弁31→風呂往き管411→循環金具41→浴槽40、と循環し、風呂熱交換器22で加熱される。なおこの場合、給湯せずに追い焚きのみするが、ガスバーナー23の熱が給湯熱交換器21にも伝達するので、給湯熱交換器21内の湯水が沸騰するおそれがある。給湯熱交換器21の湯が沸騰した状態で出湯端末60の栓が開けられると、沸騰した湯が出湯端末60から流出することとなり危険である。そこでこの場合は、給湯熱交換器21に設けられた水管サーミスター21021の検出温度を見ながらガスバーナー23をオンオフして燃焼・停止を繰り返すことで、給湯熱交換器21内で湯水が沸騰することを防止しながら追い焚きする。追い焚きが完了して、自動湯張りが完了する。この時点では、風呂往き三方弁31及び風呂戻り三方弁32が、風呂熱交換器22と浴槽40とを連通させた状態である。この場合、両者の途中にある水位センサー2223で、浴槽40の湯量を検知できる。
自動湯張り完了後、浴室暖房運転を開始する場合は、前述の図3のように、まず循環ポンプ220を緩やかに作動させることで脱気運転を行ってから、循環ポンプ220を通常通り作動させる。詳細は前述と同様であるので省略する。
そして、暖房運転中に、カランやシャワーヘッド等の出湯端末60の栓が開かれた場合は、前述の図4のように、上水道の水が入水管2101を流れて給湯熱交換器21で加熱され、出湯管2102から出湯端末60に給湯する。
このときガスバーナー23の熱が、風呂熱交換器22をも加熱してしまい、暖房回路内を循環する湯水の温度が高温になって暖房温度が高くなりすぎてしまう可能性がある。そこで、給湯量がある程度多くなったら、前述の図5のように、循環ポンプ220を停止し、暖房待機状態にする。
暖房待機状態で、給湯が継続すると、風呂熱交換器22の内部に滞留している湯水が沸騰することがある。すると、風呂熱交換器22の内部で湯水が膨張することで、エアセパレーター33から浴槽40に湯水が流出する。
給湯が終了すると、ガスバーナー23の熱量が下がり、風呂熱交換器22の内部で沸騰して膨張していた湯水が収縮する。この際、浴槽40に湯水があれば、図15に示されるように、浴槽40に湯水がエアセパレーター33に流入する。したがって、前述の図7のような、通常想定されるよりも多くのエアがエアセパレーター33に溜まっている状態にはならない。浴槽40の湯水がエアセパレーター33に流入するにもかかわらず、上水道の水を供給(補水)しては、かえって浴槽40の湯水が多くなりすぎて溢れてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、浴槽40に湯水があるか否かを確認し、湯水がある場合には、補水しないようにした。
具体的には以下のようにしている。
図16は、システムのコントローラーが実行するフローチャートである。なおステップS11〜S17は、図8と同様なので説明を省略する。
ステップS21において、システムのコントローラーは、湯量が記憶されているか否かを判定する。なお湯量は、暖房運転を開始する前の自動湯張りが完了したタイミングで検出して記憶しておく。自動湯張りが完了したタイミングでは、図14に示されているように、風呂往き三方弁31及び風呂戻り三方弁32が、風呂熱交換器22と浴槽40とを連通させた状態であるので、両者の途中にある水位センサー2223で、浴槽40の湯量を検知できる。コントローラーは、判定結果が否であればステップS16へ処理を移行し、判定結果が肯であればステップS16をスキップしてステップS17へ処理を移行する。
このようにすることで、無駄に多くの湯水を補水してしまう事態を防止することができる。
なお、暖房待機時に、ガスバーナー23の熱量を落とせば、風呂熱交換器22の内部に滞留している湯水の沸騰による体積膨張を抑制することができ、エアセパレーター33から押し出される湯水の量を減らすことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
たとえば、上述した具体的な数値は一例にすぎず、仕様等に応じて適宜変更可能である。
また上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。