以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。本発明に係る遊技機の具体例として、メダルを遊技媒体として用いて遊技を実行可能なスロットマシンを挙げて説明する。しかし、遊技機は、このようなスロットマシンに限定されず、遊技球を遊技媒体として用いて遊技を実行可能な遊技機や、遊技媒体を用いるものではなく内部的に付与される得点を用いて遊技を実行可能な遊技機などの他の遊技機であってもよい。
[第1実施形態]
<スロットマシンの構成例>
図1および図2を参照して本実施形態における遊技機を示すスロットマシン1の全体構成を説明する。図1は、スロットマシン1の正面図である。図2は、スロットマシン1の前面扉が開放された状態を示す斜視図である。
スロットマシン1は、前面に開口を有する箱状の筐体3と、筐体3の一辺において開閉自在に取り付けられた前面扉5とを含む部材から構成される。筐体3の前面は、前面扉5が筐体3に対して閉じられることにより閉塞される。前面扉5は、遊技場の管理者が管理する扉用鍵により筐体3に対して施錠・解除が可能となる。
図1に示すように、前面扉5の中央部分には、表示窓7が設けられている。表示窓7からは、複数種類の図柄が配列されているリール11L、11M、11R(以下、まとめてリール11L〜11Rともいう)を視認できる。リール11L〜11Rが回転すると、表示窓7からは、リール11L〜11R各々に配列されている図柄が可変表示している状態を視認できる。このように、表示窓7およびリール11L〜11Rにより、複数の図柄を可変表示する可変表示部13が形成される。
可変表示部13は、複数の可変表示列10を備えている。具体的に、可変表示部13は、表示窓7のうちリール11Lの前方に相当する部分とリール11Lとから構成される左可変表示列10L、表示窓7のうちリール11Mの前方に相当する部分とリール11Mとから構成される中可変表示列10M、および、表示窓7のうちリール11Rの前方に相当する部分とリール11Rとから構成される右可変表示列10Rを備えている。リール11L〜11Rが停止している状態において、左可変表示列10L、中可変表示列10M、および右可変表示列10R各々は、上段・中段・下段に図柄を停止表示できる。このため、表示窓7からは、9つの図柄を視認できる。
本実施形態では、役の入賞判定対象となる入賞ラインとして、左可変表示列10Lの中段、中可変表示列10Mの中段、右可変表示列10Rの中段により構成されるいわゆる中段ラインが設定されている。表示窓7には、入賞ラインNLが描かれている。
前面扉5の表示窓7の上方には、液晶表示器27が設けられている。液晶表示器27は、遊技(ゲーム)の進行に応じて、所定の画像を表示することにより演出を実行する。また、前面扉5の液晶表示器27の上方には、予め定められた役の図柄組合せや払出枚数等が刷られた説明パネル29が設けられ、さらに、説明パネル29の上方および左右各々には、ランプ部33L、33M、33Rが設けられている。ランプ部33L、33M、33Rは、LEDなどの光源を備え、遊技の進行に応じて発光することにより演出を実行する。
前面扉5の表示窓7の左側には、クレジット表示器45と、ペイアウト表示器46と、報知用表示器60と、有利期間報知ランプ80とが配設されている。クレジット表示器45は、遊技者所有のメダルのうち、スロットマシン1内において貯留(記憶)されているメダルの枚数であるクレジットを表示する。クレジットの上限枚数は50に設定されている。メダルおよびクレジットは、遊技に用いることができる価値を有しているため、遊技価値ともいう。
ペイアウト表示器46は、役の入賞が発生したときにメダル(遊技媒体)の払出枚数を表示するとともに、エラー情報など各種情報の表示にも兼用される表示器である。報知用表示器60は、遊技者にとって有利となる操作態様(例えば、操作タイミング、押し順など。以下、有利操作態様ともいう)や役抽選の結果などを特定するための所定情報を報知する表示器である。有利期間報知ランプ80は、有利操作態様を報知可能なAT遊技を許容できる有利な期間(以下、有利期間という)であることを報知する表示器である。
クレジット表示器45、ペイアウト表示器46、および報知用表示器60は、各々、例えば7セグメントLEDにより構成され、各セグメントの点灯態様に応じて情報を報知する。また、有利期間報知ランプ80は、例えばLEDにより構成され、有利期間において点灯し、有利期間ではない通常期間において消灯する。
前面扉5の表示窓7の下方には、各種の操作部が設けられている。操作部としては、ベットスイッチ15、最大ベットスイッチ17、スタートスイッチ19、精算スイッチ23、ストップスイッチ21L、21M、21R(以下、まとめてストップスイッチ21L〜21Rともいう)、および、メダル投入口25が設けられている。
ベットスイッチ15は、クレジットを用いて1枚分のメダルを賭数設定するための操作を検出するスイッチである。最大ベットスイッチ17は、クレジットを用いて最大賭け枚数分のメダルを賭数設定するための操作を検出するスイッチである。最大賭け枚数とは、1回の遊技(以下、1遊技ともいう)について賭数設定できる最大の枚数(本実施形態では「3」に設定。)をいう。スタートスイッチ19は、リール11L〜11R各々を回転させて図柄の可変表示を開始させるための操作を検出するスイッチである。精算スイッチ23は、クレジットあるいは設定済の賭数に相当する枚数分のメダルを払い出させるための操作を検出するスイッチである。ストップスイッチ21L〜21Rは、各々、リール11L〜11Rのうちの対応するリールの回転を停止させて図柄の可変表示を停止させるための操作を検出するスイッチである。メダル投入口25は、遊技者がメダルを投入するための開口である。
前面扉5における各種の操作部の下方には、キャラクタなどが刷られた下部パネル35が設けられている。また、下部パネル35の左右には、それぞれ下部ランプ部37L、37Rが設けられている。下部ランプ部37L、37Rは、例えばLEDなどの光源を備え、遊技の進行に応じて発光することにより演出を実行する。
また、下部パネル35の下方には、役入賞の発生等に応じてメダルを払い出すためのメダル払出口39、および、メダル払出口39から払い出されるメダルを受けるメダル受け41が設けられている。メダル払出口39の左右には、各々、遊技の進行に応じて効果音や音声などを出力することによる演出を行うためのスピーカ31L、31Rが設けられている。
次に、スロットマシン1の筐体3の内部構成について説明する。図2に示すように、スロットマシン1の筐体3内の中央には、リール11L〜11Rを横並びに収容するためのリールユニット9が設けられている。リールユニット9は、筐体3内の後壁に固定されている。リールユニット9は、リールモータ14L、14M、14R(図4参照。以下、リールモータ14L〜14Rともいう。)と、位置センサ55L、55M、55R(図4参照。以下、位置センサ55L〜55Rともいう)とを備えている。
リールモータ14L〜14Rは、各々、リールユニット9のフレームに対して横並びに固定されており、その回転軸にリール11L〜11Rのうちの対応するリールが固定されている。これにより、リールモータ14L〜14Rが駆動制御されることにより回転・停止する。リールモータ14L〜14Rは、例えばステッピングモータにより構成されている。
位置センサ55L〜55Rは、各々、リール11L〜11Rに設けられた突起部がリール回転に伴って所定位置を通過したことを検出するためのセンサである。位置センサ55L〜55Rは、例えばフォトインタラプタにより構成されている。位置センサ55L〜55Rは、各々対応するリールの突起部を検出したときに、そのリールの所定位置の図柄(例えば、図3の図柄番号19番の図柄)が表示窓7の中段に位置するように構成されている。
リールユニット9の上方には、メイン制御基板63およびサブ制御基板73が各々基板ケースに収納された状態で設置されている。基板ケースは、収納されている制御基板などに対して仮に不正が行われた場合、その痕跡を容易に判別可能にするために、たとえば一部の部材を破壊等しなければ制御基板に接触できない構造を有している。また、メイン制御基板63とサブ制御基板73とは、基板間を接続する信号線により電気的に接続されている。
リールユニット9の下方には、ホッパーユニット43が設けられている。ホッパーユニット43は、ホッパー容器42と、満タンセンサ58(図4参照)と、ホッパーモータ57(図4参照)と、払出センサ54(図4参照)とを備えている。
ホッパー容器42は、メダル投入口25から受け入れられたメダルを貯留するための容器である。満タンセンサ58は、ホッパー容器42の所定位置に設けられ、ホッパー容器42に貯留されたメダルが所定量に達した満タン状態であることを検出するセンサである。
ホッパーモータ57は、所定の払出条件が成立したときに駆動し、ホッパー容器42に貯留されたメダルを所定枚数排出するために駆動するモータである。ホッパーモータ57は、たとえばDCモータ(Direct Current Motor)により構成されている。払出センサ54は、ホッパーモータ57によりホッパー容器42から排出されるメダルを1枚ずつ検出するセンサである。払出センサ54により検出されたメダルは、前面扉5の裏面側の下方に設けられたメダルシュート47を介して、メダル払出口39から払い出される。
ホッパーユニット43の左側方には、スロットマシン1が備える各種装置に電力を供給するための電源ユニット49が配設されている。電源ユニット49には、電源スイッチ50、リセットスイッチ52、および、変更処理開始スイッチ56が配設されている。
電源スイッチ50は、スロットマシン1への電力供給の有無を切り換えるスイッチである。リセットスイッチ52は、設定値を変更可能な設定変更処理中において設定値の切り換え操作を検出するためのスイッチである。リセットスイッチ52は、エラーが発生した際のエラー解除するためのスイッチとしても用いられる。変更処理開始スイッチ56は、設定変更処理用のキーシリンダからなり、設定変更処理に移行させるための操作を検出するスイッチである。
設定値とは、役抽選における当選確率(ひいては払出率、有利度合い)を特定する値である。設定値としては、例えば、当選確率が異なる1〜6の6段階が設けられている。設定値の変更は、遊技場の管理者が管理する設定変更用鍵により変更処理開始スイッチ56をONにした状態で電源を投入することにより設定変更処理に移行させることにより可能となる。設定変更処理に移行するとスロットマシン1のRAMは初期化(クリア)される。
設定値は、設定変更処理中にリセットスイッチ52を操作することにより順次切替える(例えば…5→6→1→2…)ことができる。設定変更処理中は、ペイアウト表示器46に設定値が表示される。設定変更処理では、スタートスイッチ19への操作が検出されることによりそのときに表示されている設定値を記憶し、変更処理開始スイッチ56をOFFにすることにより終了する。これにより、設定値の変更が完了し、以降の遊技においては、記憶された設定値に基づき後述する役抽選等が行われる。
前面扉5の裏面側には、メダル投入口25の裏側に相当する位置にメダルセレクタ48が配設されている。メダルセレクタ48は、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものであるか否かを物理的に選別し、正規のメダルについてはホッパー容器42に貯留させるための第1流路40側に誘導する一方、非正規のメダルについては外部へ排出させるための第2流路44側に誘導する構造を有する。
また、メダルセレクタ48は、切替ソレノイド51(図4参照)と、投入センサ53(図4参照)とを備えている。切替ソレノイド51は、遊技状況(例えばリール回転中、クレジット上限到達時等)に応じて投入されたメダルを強制的に第2流路44側に切替えるためのソレノイドである。投入センサ53は、メダル投入口25から投入されたメダルのうち第1流路40側に誘導されたメダルを1枚ずつ検出するセンサである。投入センサ53により検出されたメダルは、前面扉5が閉じられた状態においてホッパー容器42に貯留される。これに対し、第2流路44側に誘導されたメダルは、メダルシュート47を介してメダル払出口39から排出される。
次に、図3を参照して、リール11L〜11R各々の図柄配列の構成について説明する。リール11L〜11Rには、各々、図3に示すとおり複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。図3では、説明の便宜上、複数種類の図柄を「R7」「W7」「BR」「CH」「W1」「W2」「R1」「R2」「BE」「BL」などといった文字列で示しているが、実際にはこれら文字列に対応する絵柄が配列されている。例えば、「R7」として赤色の「7」の絵柄、「W7」として白色の「7」の絵柄が、「W1」として「スイカ1」の絵柄、「BE」として「ベル」の絵柄、「R1」として「リプレイ1」の絵柄などが配列されている。複数種類の図柄は、他の図柄と識別可能な態様であれば絵柄に限るものではなく、模様や、記号、数字など、どのようなものであってもよい。なお、「W1」および「W2」は、外観が類似する絵柄により構成されているため、これらをまとめて「W」ともいう。同様に、「R1」および「R2」も外観が類似する絵柄により構成されているため、これらをまとめて「R」ともいう。
図3においては、その左端に、リール11L〜11R各々に図柄が配置されている図柄配置領域に対応させて図柄番号0〜19を示している。図柄番号0〜19は、本実施形態のリール11L〜11R各々において、どの図柄配置領域の図柄であるかを特定するための番号である。
本実施形態の場合、例えば、図柄番号0〜19までの図柄が印刷されたリールテープがリール11L〜11R各々の周面に貼り付けられている。このため、リール11L〜11Rが回転すると、図柄番号…19→18→17→…2→1→0→19→18…といったように、予め定められた順に複数の図柄を表示窓7において可変表示させることができる。
以上のような構成を備えるスロットマシン1は、まずメダル投入口25へのメダル投入あるいはベットスイッチ15等が操作されて1ゲームの開始に必要な規定数(本実施形態では「3」に設定)分のメダルが賭数設定されることにより回転開始可能な状態になり、スタートスイッチ19が操作されることにより、リール11L〜11Rを回転させて図柄を可変表示して1遊技を開始する。規定数は、「3」に設定されているものに限らず、「3」以上に設定されているものや「3」未満に設定されているものであってもよく、また制御されている遊技状態に応じて異なる値が設定されるものであってもよい。
1遊技が開始された後においては、リール回転中においてストップスイッチ21L〜21Rが操作されることにより対応するリールの回転を停止させ、リール11L〜11Rすべての回転が停止することにより1遊技を終了する。スロットマシン1は、リール11L〜11Rすべての回転が停止したときの図柄組合せなどに応じて遊技者に対して所定の特典を新たに付与する。所定の特典としては、例えば、遊技状態の移行、メダル等を新たに用いることなく前回遊技と同じ賭数を次回遊技の賭数として自動設定、所定枚数のメダル払出(あるいはクレジット加算)等が挙げられるが、これらに限るものではない。
次に、図4を参照して、スロットマシン1の電気的な構成について説明する。図4に示すとおり、スロットマシン1には、メイン制御基板63、サブ制御基板73、電源ユニット49、および、外部出力基板90などが設けられている。
メイン制御基板63は、遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装された基板である。サブ制御基板73は、遊技の進行に応じた演出の制御を行うサブCPU71が実装された基板である。電源ユニット49は、スロットマシン1に搭載された各種電気部品を駆動するための電源を生成する。外部出力基板90は、遊技の進行に応じた信号をスロットマシン1の外部(例えば、ホールコンピュータ、台毎データ表示器等)に出力する基板である。
メインCPU61は、遊技の進行を制御するための遊技制御プログラムを記憶するROM67と、遊技に関するデータなどを一時的に記憶するRAM65とを備え、ROM67に格納された遊技制御プログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアが制御されることにより実現される種々の機能を有している。
メインCPU61は、タイマ割込などの割込機能を有し、ROM67に記憶されている遊技制御プログラムを実行し、メイン制御基板63に接続されたスイッチ(操作手段)やセンサ(検出手段)からの信号に基づいて遊技の進行に関する処理を行う。
メイン制御基板63に接続されたスイッチやセンサには、図4に示される、投入センサ53、ベットスイッチ15、最大ベットスイッチ17、スタートスイッチ19、ストップスイッチ21L〜21R、精算スイッチ23、リセットスイッチ52、変更処理開始スイッチ56、位置センサ55L〜55R、払出センサ54、満タンセンサ58などが含まれる。
また、メインCPU61は、遊技の進行に関する処理を行って、メイン制御基板63に接続された機器類を駆動制御する。メイン制御基板63に接続された機器類には、図4に示される、切替ソレノイド51、クレジット表示器45、ペイアウト表示器46、報知用表示器60、有利期間報知ランプ80、リールモータ14L〜14R、ホッパーモータ57、および、各種LEDなどが含まれる。また、メイン制御基板63には、7セグメントLEDからなる表示器が搭載されている。メイン制御基板63に搭載されている表示器は、全遊技期間に対して有利期間に滞在している有利期間滞在比率、および総払出枚数に対するボーナスでの払出枚数の役物比率などを常に表示する。なお、有利期間滞在比率および役物比率などは、メイン制御基板63に搭載されている表示器に表示するものに限らず、別個に設けられた表示器(例えば、ペイアウト表示器46等)に表示するものであってもよい。この場合、メインCPU61は、例えばリセットスイッチ52が操作されたときに、有利期間滞在比率および役物比率をメイン制御基板63とは別個に設けられた表示器に表示するようにしてもよい。
メイン制御基板63は、遊技の進行に応じて、サブ制御基板73に対して各種のコマンドを送信する。サブ制御基板73は、メイン制御基板63からのコマンドに基づいて演出の制御を行う。一方、サブ制御基板73からメイン制御基板63に対しては、コマンドを送ることはできない。コマンドは、メイン制御基板63からサブ制御基板73に対して一方向にのみ送信される。
サブ制御基板73に搭載されているサブCPU71は、演出を制御するための演出制御プログラムを記憶するROM77と、演出に関するデータなどを一時的に記憶するRAM75とを備え、ROM77に格納された演出制御プログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアが制御されることにより実現される種々の機能を有している。
サブCPU71は、タイマ割込などの割込機能を有し、メイン制御基板63からのコマンドに基づいて、ROM77に記憶されている演出制御プログラムを実行し、遊技の進行に応じた演出内容の決定等を行い、その結果に基づいてサブ制御基板73に接続された機器類を駆動制御して演出を行う。サブ制御基板73に接続された機器類には、図4に示される、スピーカ31L、31R、液晶表示器27、および各種ランプ・LEDなどが含まれる。
<遊技制御処理>
メインCPU61は、ROM67に記憶されている遊技制御プログラムに基づいて、遊技の進行を制御するための遊技制御処理を行う。図5は、遊技制御処理の一例を説明するための図である。
(賭数設定処理)
S100の賭数設定処理では、投入センサ53からの検出信号、ベットスイッチ15あるいは最大ベットスイッチ17からの操作信号、および再遊技役の入賞時に設定される再遊技フラグなどに応じて、賭数を設定するための処理が行われる。設定された賭数が規定数に達しているときには、スタートスイッチ19への操作を有効に受け付ける回転開始可能な状態(有効化)にする。
また、賭数設定処理では、精算スイッチ23からの操作信号に基づいて、ホッパーモータ57を駆動させる駆動信号を出力して、クレジット分あるいは設定済の賭数分に相当する枚数のメダルを払い出すための精算処理が行われる。賭数設定処理は、回転開始可能な状態においてスタートスイッチ19からの操作信号を受信することにより終了し、S200の内部抽選処理へ移行する。
(内部抽選処理)
S200の内部抽選処理では、所定範囲(例えば0〜65535)で乱数値を更新する乱数回路から役抽選用の乱数値を抽出し、抽出した値(以下、抽出値という)に基づいて予め定められた複数種類の役のいずれかに当選するか否かを抽選する役抽選が行われる。図6を参照して、スロットマシン1において設定されている役の種別および役名称について説明する。
役の種別としては、ボーナス役と、再遊技役と、小役とが設けられている。ボーナス役は、小役の当選確率が高いボーナスへの移行を伴う移行役である。再遊技役(以下、リプレイともいう)は、前述の再遊技フラグを設定する役であって、賭数設定処理において遊技者所有のメダル(あるいはクレジット)を新たに用いることなく、次回遊技の規定数に対応した賭け数を次回遊技の賭け数として自動設定する役である。小役は、所定枚数のメダルの払い出し(あるいはクレジット加算)を伴う役である。
ボーナス役としては、役名称「RBB」が設けられている。「RBB」役の図柄組合せには、図柄「R7」の3つ揃いとなる組合せが定められている。「RBB」役が入賞することにより制御される「ボーナス遊技状態」は、払出されたメダルの枚数が200枚を超えた遊技で終了する。
再遊技役としては、役名称「RP」が設けられている。「RP」役の図柄組合せには、図柄「R1」の3つ揃いとなる組合せや図柄「R2」の3つ揃いとなる組合せの他、図6に示す図柄「R1」および図柄「R2」からなる8種類の総組合せが定められている。このため、「RP」役の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、図柄「R」図柄が入賞ラインNL上に揃う。
小役としては、役名称「BE」「AT1」「AT2」「WM1」〜「WM8」および「CH」が設けられている。「BE」役の図柄組合せには、図柄「BE」の3つ揃いとなる組合せが定められている。「AT1」役の図柄組合せには、図6に示すように図柄「BE」を含む図柄組合せが定められている。また、「AT2」役、「WM1」役〜「WM8」役および「CH」役についても、各々、図6に記載のとおりの図柄組合せが定められている。なお、「CH」役のANYとは、いずれの図柄であってもよい旨を示している。
「BE」役は、「押し順ベル(図7に示す「左中正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」)」当選時における押し順が正解したときや「共通ベル」当選時に入賞となり、メダルが9枚払い出される。「AT1」「AT2」役は、「押し順ベル」当選時における押し順が不正解(失敗)したときであってストップスイッチ21L〜21Rへの操作タイミングに応じて入賞可能であり、メダルが1枚払出される。「WM1」役〜「WM8」役および「CH」役は、入賞するとメダルが4枚払い出される。
内部抽選処理では、図6に示す役のうち予め定められた役から構成される複数種類の当選役グループ毎に役抽選が行われる。図7を参照して、本実施形態における当選役グループおよび役構成について説明する。
ボーナス役を含む当選役グループとしては、「RBB」役から構成される「ボーナス」が設けられている。再遊技役の当選役グループとしては、「RP」役から構成される「通常リプ」が設けられている。
小役の当選役グループとしては、「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」、「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」、「共通ベル」、「スイカ」、および「チェリー」が設けられている。「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」は、「BE」役に加えて、「AT1」役、「AT2」役のいずれかと、「WM1」役〜「WM6」役のいずれかとから構成される役であって、互いに異なる組合せとなる役を含むように構成される当選役グループである。「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」は、「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」各々を構成する役に加えて、「WM7」役、「WM8」役のいずれかとから構成される役であって、互いに異なる組合せとなる役を含むように構成される当選役グループである。「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」、「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」は、まとめて「押し順ベル」ともいう。また、押し順ベルのうち「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」は、まとめて「正解押し順ベル」ともいい、「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」は、まとめて「不正解押し順ベル」ともいう。
「共通ベル」は、「BE」役から構成される当選役グループである。「スイカ」は、「WM1」役〜「WM8」役から構成される当選役グループである。「チェリー」は、「CH」役のみから構成される当選役グループである。これら小役のうち「不正解押し順ベル」「共通ベル」「スイカ」および「チェリー」は、有利期間に制御するか否かの有利期間抽選の契機となる当選役グループでもある。
複数種類の当選役グループのうち役抽選の対象となる当選役グループは、複数種類の遊技状態毎に定められている。また、役抽選における当選確率にかかわる判定値は、当選役グループ、制御されている遊技状態、および設定されている設定値に応じて定められている。
スロットマシン1において制御可能となる遊技状態としては、「通常状態」、「RBB」役が当選している「ボーナス内部当選状態」、および「ボーナス遊技状態」が設けられている(図8(a)参照)。当選役グループのうち「ボーナス」は、「通常状態」において役抽選の対象となる。「ボーナス」は、設定値に応じて1/200(例えば設定値が「1」の場合)〜1/180(例えば設定値が「6」の場合)の確率で当選するように、設定値に応じて異なる判定値が定められている。図7は、設定値が1の場合における「ボーナス」の当選確率を示している。なお、「ボーナス」は、設定値にかかわらず一律の確率で当選するように判定値が定められているものであってもよい。
次に、再遊技役を含む当選役グループのうち「通常リプ」は、「通常状態」および「ボーナス内部当選状態」において役抽選の対象となり、当選確率が1/7.3となるように判定値が定められている。
小役を含む当選役グループは、すべて、「通常状態」および「ボーナス内部当選状態」において役抽選の対象となる。「通常状態」および「ボーナス内部当選状態」中などにおいて「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」のいずれかに当選する確率は、1/4となり、かつ「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」各々の当選確率が同一(1/24)となるように、判定値が均等に振分けられている。また、「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」のいずれかに当選する確率は、1/10となり、かつ「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」各々の当選確率が同一(1/60)となるように、判定値が均等に振分けられている。なお、「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」のいずれかに当選する確率は、「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」のいずれかに当選する確率と同じであってもよい。
「通常状態」および「ボーナス内部当選状態」中において「共通ベル」に当選する確率は、10/65536となるように、判定値が振分けられている。なお、「共通ベル」は、より一層のプレミア感を発生させるために判定値が例えば「1」に定められているものであってもよい。「共通ベル」は、「ボーナス遊技状態」中においても役抽選の対象となる。「ボーナス遊技状態」中において「共通ベル」に当選する確率は、65536/65536、つまり「ボーナス遊技状態」中において「共通ベル」が必ず当選するように判定値が振分けられている。このため「ボーナス遊技状態」は、「通常状態」などと比較して「BE」役に入賞する確率が向上するため、遊技者にとって有利な状態であるといえる。
「スイカ」および「チェリー」に当選する確率は、各々、1/96の確率で当選するように判定値が定められている。「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」、「共通ベル」、「スイカ」、および「チェリー」は、前述したとおり有利期間抽選の契機となる当選役グループであるが、いずれの設定値が設定されているときでも図7に示す当選確率に従って役抽選が行われる。
内部抽選処理では、現在の遊技状態において役抽選の対象となる当選役グループの判定値を読み出し、抽出値から減算した値(抽出値を更新)が所定値(例えば0)よりも小さい値になっているか否かを判定する判定処理を行い、小さい値になっていなければ(例えば0以上のとき)次の当選役グループについての判定処理を行うというサイクルを繰り返す。
いずれかの当選役グループについての判定処理において所定値よりも小さい値になっていると判定したときには、この当選役グループに当選していると判定し、当該当選役グループに含まれる役の当選フラグをRAM65の所定領域に設定して役抽選を終了する。このため、当選役グループに当選する確率は、「当選役グループの判定値/65536」となる。役抽選において読み出される判定値が大きいほど所定値よりも小さい値になりやすくなるため、当選確率が高い当選役グループであるといえる。一方、役抽選の対象となるすべての当選役グループについて判定処理を行ったが所定値よりも小さい値になっていないと判定されたときには、いずれの当選役グループにも当選していない「はずれ」であると判定する。
内部抽選処理は、いずれかの当選役グループに当選していると判定されるか、いずれの当選役グループにも当選しておらず「はずれ」であると判定されると役抽選を終了して、S300の有利期間関連処理に移行する。
内部抽選処理では、役抽選において当選した当選役グループの種別を特定可能な当選種別コマンドをサブ制御基板73に出力するための処理を行う。例えば、「ボーナス」に当選したときには特別役に当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力し、「通常リプ」に当選したときには再遊技役に当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力し、押し順ベルのいずれかに当選したときには押し順ベルに当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力し、「スイカ」や「チェリー」に当選したときには各々を特定可能な当選種別コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においては、当選役グループの種別に応じた演出を実行可能となる。
(有利期間関連処理)
S300の有利期間関連処理では、有利期間にかかわる処理を行う。本実施形態においては、通常期間において、所定のCZ移行抽選条件が成立することにより行われるCZ移行抽選において当選することにより、有利期間に制御可能となる(図8(b)参照)。有利期間は、AT遊技にかかわる抽選を実行可能なチャンスゾーン(以下、CZという)と、AT遊技を実行するアシストタイム(以下、ATという)とを含む(図8(b)参照)。CZは、CZ期間中の払出率が1を超えない期間であるのに対し、ATは、AT遊技が行われる結果、AT中の払出率が1を超える期間であるといえる。有利期間においては、まずCZに制御される。また、CZ中においては、所定のAT移行抽選条件が成立することにより行われるAT移行抽選において当選することにより、報知条件が成立してATに制御可能となる。
所定のCZ移行抽選条件は、内部抽選処理における役抽選の結果に基づいて成立する条件であって、例えば、不正解押し順ベルや、スイカ、チェリー、共通ベルのいずれかに当選することにより成立する。また、所定のAT移行抽選条件についても、例えば、不正解押し順ベルや、スイカ、チェリー、共通ベルのいずれかに当選することにより成立する。なお、所定のCZ移行抽選条件および所定のAT移行抽選条件は、これに限らず、他の当選役グループ当選により成立するものであってもよく、役抽選の結果に替えてあるいは加えて、例えば遊技回数や、操作態様、停止された図柄組合せ等により成立するものであってもよい。
CZ後においてATに制御されない場合、有利期間は、所定の終了条件が成立することにより終了する。所定の終了条件は、少なくとも所定回数遊技が行われてAT非当選報知が行われることにより成立する第1終了条件と、メダルを最大枚数払い出す「BE」役を含む当選役グループ(不正解押し順ベル)に当選して有利操作手順(「BE」役を入賞させるための手順)が報知されることにより成立する第2終了条件とのいずれもが成立することにより終了する。
有利期間関連処理では、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件、および所定の終了条件各々を成立させ得る状況(例えば当選役グループに当選)であるか否かを判定し、成立させ得る状況であるときには当該条件が成立する可能性があることを煽る演出を実行する。例えば、メインCPU61は、すべてのセグメントを点滅させる態様でペイアウト表示器46、報知用表示器60等を駆動制御する。
また、有利期間関連処理では、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件、および所定の終了条件各々を成立させ得る状況であるときには、メインCPU61は成立する可能性がある条件を特定可能な条件関連コマンドをサブ制御基板73に出力する。これにより、例えば、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件、および所定の終了条件各々について成立する可能性を液晶表示器27により報知することができる。
また、有利期間関連処理では、有利期間のうちのAT中における役抽選の結果に応じて、有利操作態様を報知用表示器60により報知するための報知処理を実行する。有利操作態様は、例えば、報知用表示器60において2桁の数字を表示することにより報知されるものであってもよい。数字の「1」はリール11Lに対応し、「2」はリール11Mに対応し、「3」はリール11Rに対応するものとし、十の位が第1に停止させるリールを示し、一の位が第2に停止させるリールを示すようにしてもよい。この場合、例えば、当選役グループのうち「左中正解ベル1」に当選しているときには、後述するように「BE」役を入賞させるために左のリール11Lを停止させ、次に中のリール11Mを停止させるように、報知用表示器60を構成する7セグメントが「12」を表示するように点灯させる態様で報知用表示器60を駆動制御する。さらに、有利期間関連処理では、当該有利操作態様を特定可能な有利操作態様コマンドをサブ制御基板73に出力する。これにより、サブ制御基板73側においても有利操作態様を報知するための演出を液晶表示器27等において実行可能となる。有利期間関連処理が終了すると、S400のリール制御処理に移行する。
(リール制御処理)
S400のリール制御処理では、リールモータ14L〜14Rを駆動制御して、リール11L〜リール11Rを回転させて停止させる処理が行われる。リール制御処理では、ウェイトタイムが経過しているか否かを判定する。ウェイトタイムは、例えば4.1秒に定められており、前回遊技のリール制御処理においてリール11L〜11R各々の回転が開始されてから計測が開始される。
リール制御処理では、ウェイトタイムが経過していると判定されたときに、リール11L〜11Rの回転を開始させるリール回転処理が行われる。これにより、前回遊技においてリール11L〜11R各々の回転が開始されてから少なくとも4.1秒経過するまで今回遊技におけるリール11L〜11Rを回転開始させるタイミングを遅延させることができる。リール回転処理においては、リール11L〜11Rの回転が開始すると、リール回転開始コマンドをサブ制御基板73に出力する。
リール制御処理では、リール11L〜11R各々の回転を開始させて一定速度に到達した後(例えば、リールモータ14L〜14Rの励磁パターンが一定速度となる励磁パターンとなった後)、リール11L〜11R各々の基準位置が位置センサ55L〜55R各々により検出されることにより停止操作可能な状態となり、ストップスイッチ21L〜21Rへの操作を有効に受け付ける状態(有効化)になる。
また、リール制御処理では、停止操作可能な状態においてストップスイッチを操作したときに、例えば当該ストップスイッチに対応するリールの入賞ラインNL上に位置する図柄から予め定められた引込み可能範囲内に配列されている図柄のいずれかを入賞ラインNLに引き込んで当該リールを停止させるリール停止処理を行う。引込み可能範囲は、4図柄先までの範囲であって、ストップスイッチが操作されたときに入賞ラインNL上にある図柄から4図柄先までに配列されている図柄を入賞ラインNL上に停止可能となる。
役抽選においていずれかの役に当選している場合は、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ライン上に引き込むことができるときに、当該図柄を入賞ライン上に引き込んで停止させる。これに対して、いずれの役にも当選していない場合は、いずれの役にも入賞しないはずれ図柄組合せとなる図柄を入賞ライン上に引き込み停止させる。このため、ストップスイッチへの操作が行われたときに、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ラインNL上に引込み可能であれば当該図柄を引込んで入賞ラインNL上に停止させることができる一方、当選していない役の図柄組合せを入賞ラインNL上に停止させてしまうことがない。
リール停止処理では、引込み可能範囲内の図柄を入賞ラインNL上に停止させることができるものの、引込み可能範囲外の図柄については入賞ラインNL上に停止させることができない。このため、リール11L〜11Rの図柄配列において、役を構成する図柄が引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する役については、役抽選において当選していても、操作タイミングが合わなければ入賞ラインNL上に当該役を構成する図柄を引き込むことができずに、当該役を取りこぼしてしまう場合(非入賞)が生じる。
「RBB」役を構成する図柄は、図3に示すとおり、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。例えば、「RBB」役を構成する図柄「R7」は、リール11L〜11Rに1つしか配列されておらず、引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。このため、「ボーナス」に当選していてもストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングによっては入賞ラインに「RBB」役を構成する図柄を引き込むことができない場合があり、取りこぼす可能性がある。よって、図7に示すように、「ボーナス」に当選しているときには、当該「RBB」役を構成する図柄を引込み可能範囲内で引込むリール制御を行うものの、いずれの役にも入賞しない場合が生じる。
なお、「ボーナス」については、当選した遊技において入賞させることができなかった場合、ボーナス内部当選状態に制御されて「RBB」役が入賞するまで当該「RBB」役の当選フラグを持ち越す処理が行われる。
「通常リプ」に含まれる「RP」役を構成する図柄「R1」および図柄「R2」は、図3に示すように、リール11L〜11Rのすべてにおいて図柄「R1」および図柄「R2」のいずれかが引込み可能範囲内に配列されている。その結果、「通常リプ」に当選したときには、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、必ず「RP」役を入賞させることができる。
小役のうち「共通ベル」に含まれる「BE」役を構成する図柄「BE」は、図3に示すように、リール11L〜11Rのすべてにおいて図柄「BE」が引込み可能範囲内に配列されている。その結果、「共通ベル」に当選したときには、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、必ず「BE」役を入賞させることができる。これに対し、「スイカ」や「チェリー」に含まれる「WM1」役〜「WM8」役や「CH」役を構成する図柄(「W1」「W2」「BR」)は、図3に示すとおり、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。このため、「スイカ」や「チェリー」は、当選していてもストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングによっては入賞ラインに当選している「WM1」役〜「WM8」役あるいは「CH」役を構成する図柄を引き込むことができない場合があり、取りこぼす可能性がある。
また、リール停止処理では、複数種類の役に当選しているときには、当選している役の種類(役抽選の結果)およびストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングおよび押し順(操作態様)に応じて、優先して引き込む対象が予め定められている。
まず、正解押し順ベルである「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」のいずれかに当選しているときのリール停止処理について説明する。「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」のいずれかに当選しているときには、第1停止および第2停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。第1停止とは、すべてのリール11L〜11Rが回転しているときに最初にリールを停止させることをいい、第2停止とは、リール11L〜11Rのうちのいずれか一つのリールが停止しているときにリールを停止させることをいう。また、第1停止されたリールは、第1停止リールともいい、第2停止されたリールは、第2停止リールともいう。
例えば、「左中正解ベル1」に当選しているときにおいて、図7に示すように、左第1停止(左のリール11Lを第1停止)したときには、第1停止において「BE」役に対応する図柄を他の役に対応する図柄よりも優先して引き込むように定められている。「BE」役を構成する図柄「BE」は、引込み可能範囲内に配列されているために、図柄「BE」を入賞ラインNL上に停止させる。続いて、中第2停止(中のリール11Mを第2停止)したときには、当該第2停止においても「BE」役に対応する図柄を他の役に対応する図柄よりも優先して引き込むように定められているため、図柄「BE」を入賞ラインNL上に停止させる。この場合、第3停止においては、必ず図柄「BE」を入賞ライン上に停止させるため、「BE」役の取りこぼしが発生することはない。よって、「左中正解ベル1」に当選しているときにおいて、左第1停止し中第2停止したときには、必ず「BE」役に入賞するようにリール制御が行われる。
一方、「左中正解ベル1」に当選しているときにおいて、中あるいは右第1停止(中あるいは右のリール11Mあるいは11Rを第1停止)したときや、左第1停止したものの右第2停止したときには、「BE」役に対応する図柄よりも同時当選している「AT1」役に対応する図柄を優先して引き込むように定められている。「AT1」役に対応する図柄を引き込むリールが第1停止されたときには、当該リールに配列されている図柄「BE」を入賞ラインNL上に引き込むように定められている。このため、第1停止したときには「BE」役が入賞することへの期待感を持続させることができる。また、第2停止までは、「AT1」役を構成する図柄を引き込むようにリール制御が行われる。しかし、第3停止する際において「AT1」役入賞となる図柄は、リール11L〜11Rの図柄配列から引込み可能範囲内に配列されていない箇所が存在する図柄となり、当該図柄を引き込むタイミングで操作できる割合は1/2となる。このため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによっては、入賞ラインに「AT1」役を構成する図柄を引き込むことができず、「左中正解ベル1」に当選してもいずれの役にも入賞させることができない場合が生じる。
また、「左中正解ベル2」当選時においても、左第1停止し中第2停止したときには必ず「BE」役を入賞させることができる。一方、中あるいは右第1停止(中あるいは右のリール11Mあるいは11Rを第1停止)したときや左第1停止したものの右第2停止したときには「BE」役に対応する図柄よりも同時当選している「AT2」役に対応する図柄が優先して引き込まれる。このため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの役にも入賞させることができない場合が生じるようにリール制御が行われる。
その他の正解押し順ベル当選時においても同様に、各々、図7の当選役グループとして「正解ベル」という文言の前に記載されているリールを記載されている順に停止したときには、必ず「BE」役を入賞させることができる一方、それ以外の押し順で停止したときには「AT1」役または「AT2」役に対応する図柄が優先して引き込まれるため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの役にも入賞させることができない場合が生じるようにリール制御が行われる。
次に、不正解押し順ベルである「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」のいずれかに当選しているときのリール停止処理について説明する。「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」のいずれかに当選しているときには、第1停止および第2停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。
例えば、「左中不正解ベル1」に当選しているときにおいて、図7に示すように左第1停止し、中第2停止したときには、「AT1」役に対応する図柄を他の役に対応する図柄よりも優先して引き込むように定められている。このため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによっては、入賞ラインに「AT1」役を構成する図柄を引き込むことができず、「左中不正解ベル1」に当選してもいずれの役にも入賞させることができない場合が生じる。
一方、「左中不正解ベル1」に当選しているときにおいて、図7に示すように中あるいは右第1停止したときや左第1停止したものの右第2停止したときには、「BE」役に対応する図柄を他の役に対応する図柄よりも優先して引き込むように定められているため、必ず「BE」役に入賞するようにリール制御が行われる。
また、「左中不正解ベル2」当選時においても、左第1停止し、中第2停止したときには「AT2」役に対応する図柄が優先して引き込まれるため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの役にも入賞させることができない場合が生じる一方、中あるいは右第1停止したときや左第1停止したものの右第2停止したときには「BE」役に対応する図柄が優先して引き込まれるため、必ず「BE」役に入賞するようにリール制御が行われる。
その他の不正解押し順ベル当選時においても同様に、各々、図7の当選役グループとして「不正解ベル」という文言の前に記載されているリールを記載されている順に停止したときには、「AT1」役または「AT2」役に対応する図柄が優先して引き込まれるため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの役にも入賞させることができない場合が生じる一方、それ以外の押し順で停止したときには「BE」役に対応する図柄が優先して引き込まれるため、必ず「BE」役に入賞するようにリール制御が行われる。
正解押し順ベルおよび不正解押し順ベルのいずれかに当選しているときにおいて「BE」役を入賞させる押し順は、正解手順ともいう。前述したAT中において正解押し順ベルおよび不正解押し順ベルのいずれかに当選したときには、有利操作態様として正解手順を特定可能な情報が報知される。
ここで、正解押し順ベルおよび不正解押し順ベル各々の正解手順の比率および獲得することを期待できるメダル枚数などについて説明する。ストップスイッチ21L〜21R各々に対する押し順の全操作態様数は、第1停止が3種類、第2停止が2種類存在するため、3×2=6パターン存在することになる。このうち正解押し順ベルの正解手順は、1パターンしか設けられていない。正解押し順ベル各々の正解手順の操作態様数は、不正解手順の操作態様数よりも少なくなるように定められている。
このため、有利操作態様が報知されない限り、正解手順で操作できる割合は1/6となる。また、正解手順で操作できなかった場合において「AT1」役または「AT2」役入賞となる割合は1/2となる。よって、AT遊技が行われない通常期間中において獲得することを期待できるメダル枚数は、1/6×9枚+5/6×1/2×1枚≒1.9枚となる。一方、AT遊技が行われ得る有利期間中において獲得することを期待できるメダル枚数は、9枚となる。よって、正解押し順ベルは、通常期間中と有利期間中との差枚数が9−1.9=7.1枚となる。
これに対し、不正解押し順ベルの正解手順は、5パターン設けられている。不正解押し順ベル各々の正解手順の操作態様数は、不正解手順の操作態様数よりも多くなるように定められている。このため、有利操作態様が報知されない通常期間中であっても、正解手順で操作できる割合は5/6となる。よって、獲得することを期待できるメダル枚数は、5/6×9枚+1/6×1/2×1枚≒7.5枚となる。一方、有利期間中において獲得することを期待できるメダル枚数は、9枚となる。よって、不正解押し順ベルは、通常期間中と有利期間中との差枚数が9−7.5=1.5枚となる。その結果、非AT中であっても不正解押し順ベル当選時には、正解押し順ベル当選時よりも「BE」役に入賞することに対する期待感を抱かせることができる。また、不正解押し順ベル当選時には、通常期間中か有利期間中のいずれであるかにかかわらず「BE」役の入賞率の差を小さくでき、獲得することを期待できるメダル枚数の差をも小さくできるため、遊技の興趣を向上させることができる。
正解押し順ベルおよび不正解押し順ベルのいずれかに当選しているときにおいて、正解手順で操作できず、かつ「AT1」役および「AT2」役のうちの当選している役のいずれも入賞させることができないタイミングで停止操作されたときには、「はずれ」図柄組合せのうち、特定の「はずれ」図柄組合せ(例えば、「BE・R1・BE」など)に対応する図柄を入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。特定の「はずれ」図柄組合せは、正解押し順ベルおよび不正解押し順ベルのいずれにも当選していないときには入賞ライン上に停止することがない図柄組合せである。
また、ボーナス役の当選が持ち越されている状態(ボーナス内部当選状態)において再遊技役や小役に当選したときにおけるリール停止処理では、ボーナス役に対応する図柄よりも再遊技役や小役に対応する図柄を優先して引き込むように定められている。
リール停止処理においては、リール11L〜11Rのいずれかが停止する毎に、停止したリール、および停止位置(例えば、中段に停止されている図柄の図柄番号等)などを特定可能なリール停止コマンドをサブ制御基板73に出力する。これにより、サブ制御基板73は、停止したリール、および停止位置が特定可能となり、対応する演出を実行可能となる。リール11L〜11Rすべてが停止すると、S500の出目判定処理に移行する。
(出目判定処理)
S500の出目判定処理では、入賞ラインNL上の図柄組合せに基づいて、当該図柄組合せに対応する処理を実行する。例えば、小役が入賞したときには、図6の払出欄に記載のメダルを払い出すか、あるいはクレジット加算するための払出処理を実行する。また、再遊技役が入賞したときには、再遊技フラグを設定するための処理を実行する。出目判定処理では、入賞ラインNL上の図柄組合せ、入賞の有無、入賞した役の種類等を特定可能な遊技結果コマンドをサブ制御基板73に出力する。これにより、サブ制御基板73側においては、入賞ラインNL上の図柄組合せに応じた演出を実行可能となる。また、出目判定処理では、遊技の結果に応じて、有利期間滞在比率および役物比率を更新してRAM65の所定領域に記憶する。出目判定処理が終了すると、S600の遊技状態設定処理に移行する。
(遊技状態設定処理)
S600の遊技状態設定処理では、役抽選あるいは遊技の結果等に基づいて、次回以降の遊技状態を特定可能な遊技状態フラグを設定する。遊技状態フラグは、RAM65の所定領域に記憶される。メインCPU61は、遊技状態フラグに基づいて、現在制御されている遊技状態を特定する。図8(a)には、遊技状態の遷移が示されている。
遊技状態設定処理は、「通常状態」において「ボーナス」に当選した遊技において入賞しなかったときに、「ボーナス内部当選状態」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。また、遊技状態設定処理は、「RBB」役に入賞したときに、「ボーナス遊技状態」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。遊技状態設定処理は、「ボーナス遊技状態」中における払出枚数を計数し、払出枚数が所定枚数を超えたときに「通常状態」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。また、スロットマシン1は、設定変更等により初期化されると「通常状態」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。遊技状態設定処理が終了すると、S700の有利期間設定処理に移行する。
ここで、図8(a)を参照して、遊技状態の遷移について説明する。以下では、まず、有利期間のうちのATに制御されていないとき(以下、非ATともいう)の遊技状態の遷移について説明する。
スロットマシン1は、設定変更等により初期化されると遊技状態として通常状態に設定されて遊技が開始される。通常状態においては、「押し順ベル」が比較的高確率(1/4+1/10)で当選する一方、非AT中においては基本的に有利操作態様を報知するAT遊技が行われない。しかしながら、「押し順ベル」のうち「不正解押し順ベル」については、正解手順で操作できる割合が高い。その結果、通常期間中か有利期間中のいずれであるかにかかわらず「BE」役に入賞する確率の差が小さくなり、通常期間中および有利期間中各々において獲得することが期待できるメダル枚数の差を小さくでき、遊技の興趣を向上させることができる。
有利期間のうちのCZ中は、非AT中であっても「押し順ベル」のうちの「不正解押し順ベル」当選時に有利操作態様が報知される。このように「不正解押し順ベル」当選時に有利操作態様が報知されたとしても、前述したとおり、不正解押し順ベル当選時については通常期間中および有利期間中各々において獲得することを期待できるメダル枚数の差が小さい。これにより、非AT中のCZにおいて「不正解押し順ベル」当選時に有利操作態様を報知してCZの終了条件のうち第2終了条件を成立させるようにしたとしても、非AT中の払出率を高めすぎてしまうことを防止できる。
また、通常状態において「ボーナス」に当選したとしても、「RBB」役を構成する図柄を入賞ラインNL上に引き込むことができるタイミングで停止操作しなければ入賞させることができない。その結果、「ボーナス」に当選した遊技において「RBB」役を入賞させることができなかった場合、「ボーナス内部当選状態」に制御される。
「RBB」役に入賞すると、「ボーナス遊技状態」に制御される。ボーナス遊技状態中においては、必ず「共通ベル」に当選し、操作態様にかかわらず「BE」役を入賞させることができるため、効率的にメダルを獲得できる。払出枚数が所定枚数を超えるとボーナス終了となり「通常状態」に制御される。
一方、有利期間のうちのATに制御されているときには、「押し順ベル」に当選したときに「BE」役を入賞させるための有利操作態様が報知用表示器60および液晶表示器27により報知される。これにより、停止操作を誤らない限り、確実に「BE」役を入賞させることができる。その結果、メダルが9枚払い出される割合が高まる。
(有利期間設定処理)
S700の有利期間設定処理では、役抽選あるいは遊技の結果等に基づいて、有利期間のうちのCZに制御可能となる最低保障遊技回数を特定するためのCZゲーム数カウンタ、有利期間のうちのATに制御可能となる遊技回数を特定するためのATゲーム数カウンタ、および有利期間に制御可能となる遊技回数を特定するための有利期間カウンタを設定する。CZゲーム数カウンタ、ATゲーム数カウンタ、および有利期間カウンタは、RAM65の所定領域に記憶される。メインCPU61は、有利期間カウンタに基づいて現在が有利期間であるか通常期間であるかを特定し、有利期間である場合はCZゲーム数カウンタあるいはATゲーム数カウンタに基づいてCZ中であるかAT中であるかを特定する。以下に、有利期間の設定および遷移について、図8(b)、図9、および図10を参照しつつ説明する。なお、有利期間設定処理は、役抽選の結果のみに基づいて行う処理であってもよい。この場合における有利期間設定処理は、図5におけるS200やS300など、1遊技が開始されるタイミングにおいて行うものであってもよい。
通常期間における有利期間設定処理では、今回遊技で所定のCZ移行抽選条件が成立していたときに、有利期間(有利期間のうちのCZ)に制御するか否か、および有利期間開始時のCZに制御可能となる最低保障遊技回数(つまりCZの有利度)を決定するCZ移行抽選を実行する。最低保障遊技回数を消化したときには、AT当選しているか否かが報知される。このため、CZ移行抽選は、最低保障遊技回数を決定することによって、AT当選しているか否かを報知するタイミングを決定する抽選であるともいえる。
CZ移行抽選は、図9(a)に示すCZ移行抽選用テーブルを参照して行われる。CZ移行抽選用テーブルは、ROM67に記憶されている。CZ移行抽選用テーブルは、成立したCZ移行抽選条件に応じた割合に従ってCZ移行抽選が行われるように定められている。なお、通常期間であってもボーナス内部当選状態およびボーナス遊技状態中においては、所定のCZ移行抽選条件が成立してもCZ移行抽選を実行しない。
通常期間において「不正解押し順ベル」に当選することによりCZ移行抽選条件が成立したときには、96%の割合で「非当選」つまり有利期間のうちのCZに制御しない旨が決定され、4%の割合でCZに制御する旨が決定される。また、「不正解押し順ベル」当選によりCZに制御する場合は、CZの最低保障遊技回数として、2%、1%、1%の割合で「5」「10」「15」のいずれかに決定される。このため、「不正解押し順ベル」当選によりCZに制御された場合の最低保障遊技回数の平均値は、0.35(=5×2%+10×1%+15×1%)となる。
通常期間において「スイカ」あるいは「チェリー」に当選することによりCZ移行抽選条件が成立したときには、70%の割合で「非当選」に決定され、30%の割合でCZに制御する旨が決定される。また、「スイカ」あるいは「チェリー」当選によりCZに制御する場合は、CZの最低保障遊技回数として、10%の割合で各々「5」「10」「15」のいずれかに決定される。このため、「スイカ」あるいは「チェリー」当選によりCZに制御された場合の最低保障遊技回数の平均値は、3(=5×10%+10×10%+15×10%)となる。なお、「スイカ」あるいは「チェリー」に当選することによりCZ移行抽選条件が成立したときには、必ずCZに制御する旨が決定されるようにしてもよい。
通常期間において「共通ベル」に当選することによりCZ移行抽選条件が成立したときには、必ずCZに制御する旨が決定され、CZの最低保障遊技回数として、20%、30%、50%の割合で各々「5」「10」「15」のいずれかに決定される。このため、「共通ベル」当選によりCZに制御された場合の最低保障遊技回数の平均値は、11.5(=5×20%+10×30%+15×50%)となる。
図9(a)に示すように、いずれのCZ移行抽選条件が成立したかに応じて、CZ(有利期間)の有利度として異なる有利度を設定できる。また、「不正解押し順ベル」よりも「スイカ」および「チェリー」の方が、また「スイカ」および「チェリー」よりも「共通ベル」の方が、CZに制御されることおよびCZの最低保障遊技回数として多い回数に決定されることに対する期待感が高まる。このため、「スイカ」および「チェリー」に当選すること、さらには「共通ベル」に当選することに対する期待感を抱かせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
CZに制御する旨の決定が行われた場合、有利期間設定処理では、CZ移行抽選により決定された最低保障遊技回数をCZゲーム数カウンタに設定するとともに、1500を有利期間カウンタに設定する。これにより、図8(b)に示すように、通常期間から有利期間のうちのCZに制御される。
CZ移行抽選は、役抽選のために抽出した抽出値を用いて一括して行う(以下では、一括抽選方式ともいう)。例えば「スイカ」は、図7で示したとおり1/96で当選することから、判定値として682(≒65536/96)が定められている。このため、例えば、「スイカ」当選となる判定値682のうち、70%に相当する「478」がCZ移行抽選において非当選となる判定値に定められ、10%に相当する「68」が各々最低保障遊技回数「5」「10」「15」となる判定値に定められており、役抽選のために抽出した抽出値がいずれに属するかによってCZ移行抽選を行う。また、「共通ベル」は、図7で示したとおり10/65536で当選することから、判定値として10が定められている。このため、例えば、「共通ベル」当選となる判定値10のうち、20%に相当する「2」が最低保障遊技回数「5」となる判定値に定められ、30%に相当する「3」が最低保障遊技回数「10」となる判定値に定められ、50%に相当する「5」が最低保障遊技回数「15」となる判定値に定められており、役抽選のために抽出した抽出値がいずれに属するかによってCZ移行抽選を行う。「不正解押し順ベル」「チェリー」当選となる判定値についても同様に、図9(a)で示した振分率となるように判定値が定められており、抽出値がいずれに属するかによってCZ移行抽選を行う。CZ移行抽選は、1遊技の終了時に行うが、これに限らず、内部抽選処理における役抽選の際に一括して行うものであってもよい。なお、CZ移行抽選は、役抽選の結果に応じて行うものであれば一括抽選方式に限らず、例えば、役抽選において「不正解押し順ベル」などに当選したときに、CZ移行抽選用の乱数を別途抽出して、当該乱数を用いてCZ移行抽選を行うものであってもよい。
また、有利期間設定処理では、CZに制御されてから有利期間が終了するまで、有利期間報知ランプ80を点灯させることにより有利期間中であることを報知するための処理を実行する。また、有利期間に制御された以降における有利期間設定処理では、1遊技が実行される毎にCZゲーム数カウンタおよび有利期間カウンタを1減算する。本実施形態では、CZゲーム数カウンタおよび有利期間カウンタを1遊技毎に減算して0に到達したか否か(減算方式)により、CZあるいは有利期間の終了判定を行う例について説明するが、CZあるいは有利期間の終了判定については、減算方式に限らず、例えば1遊技毎にCZゲーム数カウンタおよび有利期間カウンタを1加算して、当該カウント値が所定値(CZの最低保障遊技回数、1500)に到達したか否かにより行うもの(加算方式)であってもよい。なお、ATの終了判定についても同様に、本実施形態では減算方式を例示するが、これに限らず、ATの終了判定を加算方式で行うものであってもよい。
有利期間設定処理では、今回遊技でAT移行抽選条件あるいは終了条件のいずれかが成立しているか否かを判定する。AT移行抽選条件が成立したと判定したときには、成立したAT移行抽選条件に応じてATに制御するか否か、およびATの有利度に相当するATゲーム数を決定するためのAT移行抽選を行う。AT移行抽選は、図9(b)に示すAT移行抽選用テーブルを参照して行われる。AT移行抽選用テーブルは、ROM67に記憶されている。AT移行抽選用テーブルは、成立したAT移行抽選条件に応じた割合に従ってAT移行抽選が行われるように定められている。
CZ中において「不正解押し順ベル」に当選することによりAT移行抽選条件が成立したときには、66%の割合で「非当選」つまりATに制御しない旨が決定され、34%の割合でATに制御する旨が決定される。また、「不正解押し順ベル」当選によりATに制御する場合は、ATゲーム数として、20%、10%、4%の割合で各々「50」「100」「150」のいずれかに決定される。このため、「不正解押し順ベル」当選によりATに制御された場合のATゲーム数の平均値は、26(=50×20%+100×10%+150×4%)となる。
CZ中において「スイカ」あるいは「チェリー」に当選することによりAT移行抽選条件が成立したときには、25%の割合で「非当選」に決定され、75%の割合でATに制御する旨が決定される。また、「スイカ」あるいは「チェリー」当選によりATに制御する場合は、ATゲーム数として、25%の割合で各々「50」「100」「150」のいずれかに決定される。このため、「スイカ」あるいは「チェリー」当選によりATに制御された場合のATゲーム数の平均値は、75(=50×25%+100×25%+150×25%)となる。
CZ中において「共通ベル」に当選することによりAT移行抽選条件が成立したときには、必ずATに制御する旨が決定され、ATゲーム数として、20%、30%、50%の割合で各々「50」「100」「150」のいずれかに決定される。このため、「共通ベル」当選によりATに制御された場合のATゲーム数の平均値は、115(=50×20%+100×30%+150×50%)となる。
図9(b)に示すように、いずれのAT移行抽選条件が成立したかに応じて、ATの有利度として異なる有利度を設定できる。また、「不正解押し順ベル」よりも「スイカ」および「チェリー」の方が、また「スイカ」および「チェリー」よりも「共通ベル」の方が、ATに制御されることおよびATゲーム数として多い回数に決定されることに対する期待感が高まる。このため、「スイカ」および「チェリー」に当選すること、さらには「共通ベル」に当選することに対する期待感を抱かせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
AT移行抽選は、CZ移行抽選と同様に、一括抽選方式で行う。例えば、「共通ベル」は、図7で示したとおり10/65536で当選することから、判定値として10が定められている。このため、例えば、「共通ベル」当選となる判定値10のうち、20%に相当する「2」がATゲーム数「5」となる判定値に定められ、30%に相当する「3」がATゲーム数「10」となる判定値に定められ、50%に相当する「5」がATゲーム数「15」となる判定値に定められており、役抽選のために抽出した抽出値がいずれに属するかによってAT移行抽選を行う。「不正解押し順ベル」「スイカ」「チェリー」当選となる判定値についても同様に、図9(b)で示した振分率となるように判定値が定められており、抽出値がいずれに属するかによってAT移行抽選を行う。AT移行抽選は、1遊技の終了時に行うが、これに限らず、内部抽選処理における役抽選の際に一括して行うものであってもよい。なお、AT移行抽選は、役抽選の結果に応じて行うものであれば一括抽選方式に限らず、例えば、役抽選において「不正解押し順ベル」などに当選したときに、AT移行抽選用の乱数を別途抽出して、当該乱数を用いてAT移行抽選を行うものであってもよい。
AT移行抽選によりATに制御する旨が決定されることなくCZゲーム数カウンタが「0」となり最低保障遊技回数を消化したときには、有利期間設定処理においてAT非当選である旨のAT非当選報知を行うためのAT非当選報知処理を行う。AT非当選報知処理は、例えば、「−−」を表示するように報知用表示器60等を駆動制御する処理や、AT非当選を特定可能なAT非当選コマンドをサブ制御基板73に出力して、液晶表示器27において「残念!」といったメッセージを表示させるための処理を含む。これにより、AT非当選を遊技者に報知することができる。また、AT非当選が報知されることにより、第1終了条件が成立する。
また、有利期間設定処理では、CZにおいて終了条件が成立したか否かを判定する。具体的には、AT非当選が報知されて第1終了条件が成立し、かつ、不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知されることにより成立する第2終了条件が成立したか否かが判定される。有利期間設定処理では、終了条件が成立したと判定したときに、図8(b)に示すように、有利期間を終了させて通常期間に移行する。
ここで、図10を参照して、有利期間に制御されたもののATに制御されずに当該有利期間が終了する場合の主なパターンについて説明する。図10は、ATに制御されずに有利期間が終了する場合のパターンを説明するためのタイミングチャートである。図10には、本実施形態におけるパターンとして2つの例が示されており、各々、タイミングチャートの立ち上がりにより、上段から、有利期間であること、AT移行抽選の結果報知が行われたこと、不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知されること、有利期間報知ランプ80が点灯していることが示されている。なお、図10には、変形例におけるパターンも示されているが、これについては後述する。
図10(a)に示すパターン1は、CZの最低保障遊技回数分の遊技が行われるまでに不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知された場合の例を示している。まず、有利期間への制御が開始されるとともに、有利期間報知ランプ80が点灯する。この点は、他のパターンも同様である。
その後、CZ中における数回目の遊技において不正解押し順ベルに当選して、対応する有利操作手順が報知されている。これにより、第2終了条件が成立する。続いて、CZの最低保障遊技回数分の遊技が行われたとき(図10のタイミング1)において、AT非当選報知が行われている。これにより、第1終了条件が成立して有利期間の終了条件が成立する。その結果、有利期間(CZ)への制御が終了するとともに、有利期間報知ランプ80が消灯する。
なお、不正解押し順ベルに当選するタイミングなどに応じて、タイミング1においてAT非当選報知とともに不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知されることもある。この場合も同様に、タイミング1において第1終了条件と第2終了条件とが成立することになるため、タイミング1において有利期間(CZ)への制御が終了するとともに、有利期間報知ランプ80が消灯する。
図10(b)に示すパターン2は、CZの最低保障遊技回数分の遊技が行われた後に、不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知された場合の例を示している。図10(b)に示すとおり、タイミング1においてAT非当選報知が行われて第1終了条件が成立した後に、タイミング2において不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知されることにより第2終了条件が成立している。この場合には、終了条件が成立するまで有利期間が延長される。その結果、タイミング1ではなくタイミング2において有利期間(CZ)への制御が終了するとともに、有利期間報知ランプ80が消灯する。タイミング1〜2までの延長された期間においても、AT移行抽選条件が成立したときには、AT移行抽選が行われる。このため、延長されている期間における遊技の興趣を向上させることができる。
図10(a)および(b)では、第1期間(CZ)の最低保障遊技回数を消化したときにAT抽選の結果報知を行う例を示しているが、これに限らず、例えば、図10(c)に示すように、第1期間の最低保障遊技回数を消化したとき(タイミング1)に未だ不正解押し順ベルに当選していないときには、不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知されるまで(タイミング2)、AT抽選の結果報知を遅延させるようにしてもよい。これにより、有利期間が終了していないにもかかわらず早々とAT非当選報知が行われてしまい、遊技者の期待感を損ねてしまうことを防止できる。
また、図10(a)および(b)では、第1終了条件と第2終了条件とのいずれもが成立したときに有利期間を終了する例を示しているが、これに限らず、例えば、図10(d)に示すように、第1終了条件と第2終了条件とのいずれもが成立したタイミング(タイミング1)以降のタイミング(タイミング3)まで、有利期間(CZ)を延長するようにしてもよい。これにより、有利期間がいつまで続くのかといった期待感を遊技者に抱かせることができる。この場合であっても、有利期間報知ランプ80は、有利期間が終了したとき(タイミング3)において消灯となる。第1終了条件と第2終了条件とのいずれもが成立した以降において有利期間を終了させるタイミングは、所定条件が成立したときであってもよい。所定条件は、例えば、第1終了条件と第2終了条件とのいずれも成立してから以降に行われる遊技毎に終了抽選を行って当選することや、役抽選において所定の役に当選することなどにより成立するものであってもよい。
次に、CZ中におけるAT移行抽選においてATに制御する旨が決定された場合を説明する。有利期間設定処理では、ATに制御する旨が決定されたときに、図8(b)に示すようにATに制御される旨のAT当選報知を行うためのAT当選報知処理を行って、所定のAT開始タイミング(例えば次の遊技開始タイミング)からATに制御する。AT当選報知処理は、例えば、「77」を表示するように報知用表示器60等を駆動制御する処理や、AT当選を特定可能なAT当選コマンドをサブ制御基板73に出力して、液晶表示器27において「AT当選」といったメッセージを表示させるための処理を含む。これにより、AT当選を遊技者に報知することができる。AT当選報知は、CZの最低保障遊技回数を消化したときに行う。このため、CZの最低保障遊技回数を消化するまでの間においてAT当選していることに対する期待感を抱かせることができる。
また、有利期間設定処理では、AT当選報知を行ったときには、その時点において不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知されているかなど第2終了条件の成否にかかわらず、即座にCZを終了し、AT移行抽選において決定されたATゲーム数をATゲーム数カウンタに設定してATに制御する。また、有利期間設定処理では、1遊技が実行される毎にATゲーム数カウンタおよび有利期間カウンタを1減算する。
AT中における有利期間設定処理では、所定の上乗せ抽選条件(例えば、「不正解押し順ベル」「スイカ」「チェリー」「共通ベル」のいずれかに当選など)が成立したときに、ATゲーム数に上乗せするための上乗せ抽選を行う。また、AT中における有利期間設定処理では、図8(b)に示すように、ATゲーム数カウンタ=0となってATが終了し、かつ当該AT中にATゲーム数の上乗せがされていたとき(継続条件が非成立時)、あるいは有利期間カウンタ=0となったときに、ATゲーム数カウンタを初期化(例えば0)して、ATを含む有利期間を終了させて通常期間に制御する。継続条件とは、AT中にATゲーム数の上乗せが行われなかったときに成立する。
一方、AT中における有利期間設定処理では、図8(b)に示すように、ATゲーム数カウンタ=0となりAT終了となるときであっても、当該AT中にATゲーム数の上乗せがなかったとき(継続条件が成立時)にはCZに制御する。この場合、有利期間設定処理では、CZの上限回数を決定し、CZゲーム数カウンタに設定することにより、再度CZに制御する。これにより、AT中にATゲーム数が上乗せされなかったことを補完することができる。
有利期間設定処理では、遊技状態設定処理および有利期間設定処理により設定された結果、次回以降の遊技がいずれの遊技状態であるのか、通常期間、有利期間のうちのCZ(CZゲーム数カウンタの値を含む)、有利期間のうちのAT(ATゲーム数カウンタの値を含む)のうちのいずれであるのかなどを特定可能な状態コマンドをサブ制御基板73に出力する。これにより、サブ制御基板73側においては、次回以降の状態に応じた演出を実行可能となる。有利期間設定処理が終了すると、S100の賭数設定処理に移行して次回の遊技に備える。スロットマシン1は、1遊技毎にS100〜S700の処理を繰り返し実行する。
<演出制御処理>
サブCPU71は、メイン制御基板63からのコマンドに基づいて、ROM77に記憶されている演出制御プログラムを実行し、遊技の進行に応じた演出内容の決定等を行い、その結果に基づいてサブ制御基板73に接続された液晶表示器27、スピーカ31L、31R、および各種ランプ・LEDなどの演出手段を駆動制御するための演出制御処理を行う。演出制御処理により実行される演出例を以下に説明する。
(当選役グループに関する演出)
演出制御処理では、役抽選において当選した当選役グループの種別を特定可能な当選種別コマンドを受信したときには、当選役グループの種別に応じた演出を実行可能となる。当選種別コマンドを受信したときには、例えば、「ボーナス」の当選種別コマンド受信時は「ボーナス確定!」といった画像を液晶表示器27に表示する演出や、「押し順ベル」を特定可能な当選種別コマンドに基づいてベルと類似色の「黄色い風船」の画像を液晶表示器27に表示する演出を実行する。これにより、遊技者は当選した当選役グループを推測しながら遊技を進行させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、「押し順ベル」のうち「正解押し順ベル」か「不正解押し順ベル」を特定可能な当選種別コマンドをサブ制御基板73に送信するようにし、「正解押し順ベル」が特定されたときと、「不正解押し順ベル」が特定されたときとで、異なる画像を液晶表示器27に表示する演出を実行するようにしてもよい。また、「不正解押し順ベル」が特定されたときには、「共通ベル」が特定されたときと同じ画像を液晶表示器27に表示する演出を実行するようにしてもよい。
また、演出制御処理では、AT中に有利操作態様を特定可能な有利操作態様コマンドを受信したときには、当該コマンドから特定される有利操作態様を特定可能な画像を液晶表示器27に表示する演出を実行する。これにより、AT中において「押し順ベル」のいずれかに当選したときに正解手順で停止操作を行って、確実に「BE」役を入賞させることが可能となる。
(各種条件に関連する演出)
前述したとおり、S300の有利期間関連処理においては、所定のCZ移行抽選条件、所定のAT移行抽選条件、所定の終了条件各々を成立させ得る状況となったときに条件関連コマンドがサブ制御基板73に出力される。
演出制御処理では、通常期間において所定のCZ移行抽選条件が成立し得ることを特定可能な条件関連コマンドを受信したときに、1遊技の開始時に液晶表示器27において例えば「チャンスだ!」といったメッセージを表示する。また、1遊技の終了時において出力される状態コマンドに基づいて、次遊技からCZであることを特定したときには、「CZ突入!」といったメッセージを表示する突入演出を実行することにより、CZに制御される旨を報知する。
また、演出制御処理では、有利期間のうちCZ中においては、液晶表示器27において、CZ中の背景画面、および状態コマンドから特定されるCZの残りゲーム数を表示するとともに、例えば所定のバトル演出や連続演出を実行する。また、CZゲーム数を消化して、AT抽選の結果を報知するときに、バトル演出や連続演出の結果を報知する。CZゲーム数を消化した後においても不正解押し順ベルに当選しておらず有利操作態様が報知されていないときには、その後もCZが継続するため、追加のバトル演出や連続演出を実行し、CZを終了するときに結果を報知する。
<スロットマシン1により奏される効果の例>
スロットマシン1は、「BE」役に対応する図柄を引き込む有利操作態様の操作態様数が「AT1」役あるいは「AT2」役に対応する図柄を引き込む操作態様の操作態様数よりも多く定められている「不正解押し順ベル」が当選役グループとして設けられている。このため、有利操作態様を遊技者が把握できない非AT中であっても、ストップスイッチ21L〜21R各々を有利操作態様で操作できる割合が高まる。その結果、通常期間中であるか有利期間中であるかにかかわらず、「BE」役入賞となる図柄組合せが停止される頻度の差異を小さくすることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、スロットマシン1においては、上述した有利操作手順を確認できる情報がメインCPU61からサブCPU71に送信される。従って、例えば、サブ制御基板73やメイン制御基板63とサブ制御基板73との通信ラインに改造等を施すことにより、AT中でないにも関わらず、有利操作手順を特定するという不正行為が行われる恐れがあるため、AT移行などをメインCPU61が行い、AT中のみ有利操作手順を確認できる情報をメインCPU61からサブCPU71に送信することが考えられる。更に、ATへ移行する確率が遊技者によって差異が少ないように、役抽選の結果のみに基づいて、決定するように望まれるが、このような場合、ATに移行するまでの遊技が単調になってしまう。そこで、不正防止の強化及び興趣の向上の両立を図るため、不正防止の強化の観点から有利操作手順の報知が許容されない通常期間と、有利操作手順の報知が許容される有利期間とに分け、興趣の向上の観点から従来の前兆演出やチャンスゾーン等を有利期間で行うことが考えられる。しかしながら、有利期間に制御されたけれどもATに制御されなかったときの残念感を補完するために、メダルを最大枚数払い出す「BE」役を含む当選役グループに当選して有利操作手順が報知されることを終了条件に含めている。しかし、このような構成を従来の遊技機に採用しただけでは、ATに制御されていないにもかかわらず「BE」役入賞に伴うメダルが払い出されるために、スロットマシンのベースが上昇してしまう。その結果、過度の射幸性を抑制するために、AT中における払出率を低下せざるを得なくなる。また、有利期間への移行頻度を抑えることにより、AT中における払出率を担保することもできるが、この場合には通常期間に滞在することが多くなってしまい、面白みに欠けてしまうといった不具合が生じる。このような課題を解決するために、スロットマシン1は、有利期間中であるか否かにかかわらず「BE」役入賞となる図柄組合せが停止される頻度の差異が小さい「不正解押し順ベル」を設けて、当該「不正解押し順ベル」に当選して有利操作手順が報知されることを終了条件に含めた。これにより、スロットマシンのベースが上昇し過ぎてしまうことを抑制することができ、その結果、AT中における払出率を担保することができる。
また、「不正解押し順ベル」当選時に正解手順で操作することにより入賞となる「BE」役は、小役のうちでメダルを最大枚数払い出す役であり、換言するとAT中における報知対象となる役のうちでメダルを最大枚数払い出す役でもある。このため、最大の遊技価値の付与に伴う「BE」役の入賞頻度の差異を小さくすることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
「不正解押し順ベル」に当選したときに「BE」役入賞となる図柄組合せを停止させることができなかった場合でも、「AT1」役または「AT2」役入賞となる図柄組合せが停止されることにより、最大枚数未満の1枚メダルが払い出され得るため、「不正解押し順ベル」に当選したときに払い出しを期待できるメダル枚数の差を小さくすることができる。
「不正解押し順ベル」当選であるときと「正解押し順ベル」当選であるときとで「BE」役入賞となる図柄組合せが停止される割合を異ならせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
有利操作態様の操作態様数が多い「不正解押し順ベル」となる割合が、有利操作態様の操作態様数が少ない「正解押し順ベル」となる割合以下であるため、「BE」役入賞となる図柄組合せが停止される割合が高まり過ぎること、および払出率が高くなり遊技者に有利になり過ぎてしまうことを防止できる。
「不正解押し順ベル」のうちのいずれに当選しているときであっても有利操作態様となる共通の操作態様は存在しない。また、「正解押し順ベル」についても同様に、いずれに当選しているときであっても有利操作態様となる共通の操作態様は存在しない。このため、非AT中において遊技者が意図的に有利操作態様で操作することができないため、どのような操作態様でストップスイッチ21L〜21R各々を操作するかといった面白みを向上させることができ、その結果、遊技の興趣を向上させることができる。
CZ中においては、ATに制御されていなくても「不正解押し順ベル」に当選したときに有利操作態様が報知される。このため、操作態様を誤る等がない限り、遊技者は意図的に有利操作態様で操作することができ、「BE」役入賞となる図柄組合せを停止させることができるといった面白みを提供することができる。また、通常期間において「不正解押し順ベル」に当選したときにも有利操作態様で操作して「BE」役入賞となる図柄組合せを停止させる割合が高いため、通常期間と有利期間のうちのCZ中とにおける遊技者にとっての有利差が大きくなりすぎることを防止できる。
CZの終了条件は、「不正解押し順ベル」に当選したときに有利操作態様が報知されることにより第2終了条件を含む。つまり、CZが終了するまでには、「不正解押し順ベル」当選時に有利操作態様が報知される。このため、有利期間に制御されてCZとなることにより少なくとも「BE」役入賞となる図柄組合せが停止され、遊技の興趣を向上させることができる。また、CZ中において「不正解押し順ベル」に当選したときに有利操作態様を報知するようにしたとしても、有利操作態様が報知されないときと比較して1.5枚しか増えない。このため、CZ中のベースを高め過ぎてしまうことを防止できる。
有利期間のうちのCZ中においては「正解押し順ベル」に当選しても有利操作態様が報知されず、AT移行抽選で当選してATに制御された後においては「正解押し順ベル」に当選したときに有利操作態様が報知される。このため、有利期間においてATに制御されることに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
[第2実施形態]
前述した第1実施形態においては、「押し順ベル」当選時において有利操作態様で操作されたときには「不正解押し順ベル」および「正解押し順ベル」のいずれに当選しているときであっても、同じ「BE」役入賞となる図柄組合せを停止させて同じ枚数のメダル払出を伴うことにより、遊技者にとっての有利度合いが同じとなる例について説明した。しかし、「不正解押し順ベル」および「正解押し順ベル」のいずれに当選しているかに応じて、有利操作態様で操作されたときに遊技者にとっての有利度合いが異なる図柄組合せを停止させるようにしてもよい。第2実施形態では、有利度合いが異なる図柄組合せとして、メダル払出枚数が異なる図柄組合せを例示する。第2実施形態では、遊技機の具体例としてスロットマシン1aを挙げて説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態における遊技機(スロットマシン)と同様の構成および処理をなす部分についてはその詳細な説明を省略し、主として第1実施形態と異なる部分について説明する。
図11は、第2実施形態におけるスロットマシン1aにおいて設定されている役の種別および役名称について説明するための図である。第2実施形態においては、第1実施形態における役に加えて、小役として役名称「SBE」が設けられている。「SBE」役の図柄組合せには、図11に記載のとおり、6種類の図柄組合せが定められている。「SBE」役を構成する図柄は、図3に示すように、リール11L〜11Rのすべてにおいて「SBE」役を構成する図柄のいずれかが引込み可能範囲内に配列されている。その結果、「SBE」役の図柄組合せは、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、必ず入賞ラインNL上に停止させることが可能である。
「SBE」役の図柄組合せが入賞ラインNLに停止したときには、図柄「BE」がリール11L〜11R各々の上段・中段・下段に停止され、見た目上は図柄「BE」が右下がりに揃う。「SBE」役は、「正解押し順ベル」が当選し、押し順が正解したときに入賞となり、メダルが「BE」役入賞時よりも1枚少ない8枚払い出される。
図12は、第2実施形態における当選役グループおよび役構成について説明する。第2実施形態においては、第1実施形態における「正解押し順ベル」である「左中正解ベル1」〜「右中正解押し順ベル」が図12に示すように「SBE」役を含む役構成になっている。具体的に、第2実施形態における「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」(正解押し順ベル)は、「SBE」役に加えて、「AT1」役、「AT2」役のいずれかと、「WM1」役〜「WM6」役のいずれかとから構成される役であって、互いに異なる組合せとなる役を含むように構成される当選役グループである。
次に、「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」のいずれかに当選しているときのリール停止処理について説明する。「左中正解ベル1」〜「右中正解ベル2」のいずれかに当選しているときには、第1停止および第2停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。例えば、「左中正解ベル1」当選時においては、左第1停止し中第2停止したときには必ず「SBE」役を入賞させることができる。一方、中あるいは右第1停止したときや左第1停止したものの右第2停止したときには「SBE」役に対応する図柄よりも同時当選している「AT1」役に対応する図柄が優先して引き込まれる。このため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの役にも入賞させることができない場合が生じるようにリール制御が行われる。
その他の正解押し順ベル当選時においても同様に、各々、図12の当選役グループとして「正解ベル」という文言の前に記載されているリールを記載されている順に停止したときには、必ず「SBE」役を入賞させることができる一方、それ以外の押し順で停止したときには「AT1」役または「AT2」役に対応する図柄が優先して引き込まれるため、第3停止におけるストップスイッチの操作タイミングによってはいずれの役にも入賞させることができない場合が生じるようにリール制御が行われる。よって、正解押し順ベルの正解手順は、1パターンしか設けられていない。正解押し順ベル各々の正解手順の操作態様数は、不正解手順の操作態様数よりも少なくなるように定められている。
これに対し、不正解押し順ベル当選時においては、第1実施形態と同様のリール制御が行われる。また、不正解押し順ベル各々の正解手順の操作態様数は、不正解手順の操作態様数よりも多くなるように定められている。
このため、第2実施形態におけるスロットマシン1aによれば、前述した第1実施形態におけるスロットマシン1と同様の効果を奏するとともに、さらに以下の効果を奏する。
不正解押し順ベル当選時に正解手順で操作することにより停止される「BE」役は、正解押し順ベル当選時に正解手順で操作することにより停止される「SBE」役よりもメダルの払出枚数が多く設定されており、遊技者にとっての有利度合いが高い。このため、遊技の興趣を向上させることができる。
また、CZの終了条件は、不正解押し順ベルに当選して有利操作手順が報知されることにより成立する第2終了条件を含む。このため、有利期間に制御されてCZとなることにより、「SBE」役入賞となる図柄組合せよりも払出枚数が多い「BE」役入賞となる図柄組合せが停止される。このため、遊技の興趣を向上させることができる。
[第3実施形態]
前述した第1実施形態においては、通常状態において有利期間(CZ)に制御され、AT移行抽選で当選することにより報知条件が成立し、通常状態を維持したままATに制御する例、つまり遊技状態を移行させることなくATに制御する例について説明した。しかし、ATに制御する際には、遊技状態を移行させるようにしてもよい。第3実施形態では、報知条件が成立するとAT準備状態に制御し、遊技状態を移行させることによりATに制御するスロットマシン1bを説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態における遊技機(スロットマシン)と同様の構成および処理をなす部分についてはその詳細な説明を省略し、主として第1実施形態と異なる部分について説明する。
図13は、第3実施形態におけるスロットマシン1bにおいて設定されている役の種別および役名称について説明するための図である。第3実施形態においては、第1実施形態における役に加えて、再遊技役として役名称「URP」および「DRP」が設けられている。
「URP」役の図柄組合せには、図13に記載のとおり、4種類の図柄組合せが定められている。「DRP」役の図柄組合せには、図13に記載のとおり、12種類の図柄組合せが定められている。「URP」役を構成する図柄は、図3に示すように、リール11L〜11Rのすべてにおいて「URP」役を構成する図柄のいずれかが引込み可能範囲内に配列されている。同様に「DRP」役を構成する図柄についても、いずれかの図柄が引込み可能範囲内に配列されている。その結果、「URP」役および「DRP」役各々の図柄組合せは、ストップスイッチ21L〜21Rの操作タイミングにかかわらず、必ず入賞ラインNL上に停止させることが可能である。「URP」役は、後述する有利RTに制御する契機となる役である。また、「DRP」役は、後述する通常RTに制御する契機となる役である。
図14は、第3実施形態における当選役グループおよび役構成について説明する。第3実施形態においては、第1実施形態における当選役グループに加えて、図14に示すように、再遊技役の当選役グループとして、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」および「転落リプ1」〜「転落リプ3」が設けられている。
「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」は、「RP」役および「URP」役に加えて、「WM1」役〜「WM6」役のいずれかとから構成される役であって、互いに異なる組合せとなる役を含むように構成される当選役グループである。また、「転落リプ1」〜「転落リプ3」は、「RP」役および「DRP」役に加えて、「WM1」役〜「WM3」役のいずれかとから構成される役であって、互いに異なる組合せとなる役を含むように構成される当選役グループである。
スロットマシン1bにおいて制御可能となる遊技状態としては、「初期RT」、「通常RT」、「有利RT」、「ボーナス」が当選している「ボーナス内部当選状態」、および「ボーナス遊技状態」などが設けられている(図15参照)。「初期RT」、「通常RT」、および「有利RT」は、まとめて一般遊技状態ともいう。
ボーナス役を含む当選役グループのうち「ボーナス」は、一般遊技状態において役抽選の対象となる。小役を含む当選役グループである「押し順ベル」「共通ベル」「スイカ」「チェリー」は、一般遊技状態、「ボーナス内部当選状態」において役抽選の対象となる。また、「共通ベル」については、「ボーナス遊技状態」においても役抽選の対象となる。
再遊技役を含む当選役グループのうち「通常リプ」は、「初期RT」、「ボーナス内部当選状態」において役抽選の対象となる。「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」は、「通常RT」において役抽選の対象となる。「転落リプ1」〜「転落リプ3」は、「有利RT」において役抽選の対象となる。
「通常リプ」、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」は、各々、役抽選の対象となる状態において当選する確率が1/7.3となるように、判定値が定められている。「転落リプ1」〜「転落リプ3」は、役抽選の対象となる状態において当選する確率が1/1.6となるように、判定値が定められている。また、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」および「転落リプ1」〜「転落リプ3」については、各々の当選確率が同一(「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」各々は1/43.8、「転落リプ1」〜「転落リプ3」各々は1/4.8)となるように、判定値が均等に振分けられている。再遊技役に当選する確率は、例えば「通常RT」=「初期RT」<「有利RT」の関係となるように判定値が記憶されている。このため、「有利RT」は、他の遊技状態と比較して再遊技役の当選確率が向上するため、遊技者にとって有利な状態であるといえる。なお、「ボーナス内部当選状態」において再遊技役に当選する確率は、例えば「通常RT」と同じであってもよく、「通常RT」よりも高くなるように定められているものであってもよい。
「ボーナス」「通常リプ」「押し順ベル」「共通ベル」「スイカ」「チェリー」のいずれかに当選しているときには、第1実施形態と同じリール制御を行う。なお、「押し順ベル」当選時にいずれの役も入賞させることができない場合に停止される特定の「はずれ」図柄組合せは、第3実施形態において、「初期RT」あるいは「有利RT」において入賞ラインNL上に停止すると「通常RT」への移行を伴う。このため、特定の「はずれ」図柄組合せは、通常移行出目ともいう。なお、スロットマシン1bは、設定変更等により初期化されると「初期RT」を特定可能な遊技状態フラグを設定する。
ここで、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」のいずれかに当選しているときのリール停止処理について説明する。「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」のいずれかに当選しているときには、第1停止および第2停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。
「昇格リプ1」当選時においては、左第1停止し中第2停止したときには必ず「URP」役を入賞させるようにリール制御が行われる。一方、中あるいは右第1停止したときや左第1停止したものの右第2停止したときには「RP」役を入賞させるようにリール制御が行われる。その他の「昇格リプ2」〜「昇格リプ6」当選時においても同様に、各々、図14の備考欄に記載されているリールを記載されている順に停止したときには、必ず「URP」役を入賞させることができる一方、それ以外の押し順で停止したときには「RP」役を入賞させるようにリール制御が行われる。
次に、「転落リプ1」〜「転落リプ3」のいずれかに当選しているときのリール停止処理について説明する。「転落リプ1」〜「転落リプ3」のいずれかに当選しているときには、第1停止されたリールの種類に応じて優先して引き込む対象が異なるように定められている。
「転落リプ1」当選時においては、左第1停止したときには必ず「RP」役を入賞させるようにリール制御が行われる。一方、中あるいは右第1停止したときには「DRP」役を入賞させるようにリール制御が行われる。その他の「転落リプ2」「転落リプ3」当選時においても同様に、各々、図14の備考欄に記載されているリールを記載されている順に停止したときには、必ず「RP」役を入賞させることができる一方、それ以外の押し順で停止したときには「DRP」役を入賞させるようにリール制御が行われる。
「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」のいずれかに当選しているときにおいて「URP」役を入賞させる押し順、および「転落リプ1」〜「転落リプ3」のいずれかに当選しているときにおいて「RP」役を入賞させる押し順は、正解手順ともいう。AT遊技において「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」および「転落リプ1」〜「転落リプ3」のいずれかに当選したときには、有利操作態様として正解手順を特定可能な情報が報知される。
ここで、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」および「転落リプ1」〜「転落リプ3」各々の正解手順の比率などについて説明する。「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」および「転落リプ1」〜「転落リプ3」各々の正解手順は、1パターンしか設けられていない。このため、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」および「転落リプ1」〜「転落リプ3」各々の正解手順の操作態様数は、不正解手順の操作態様数よりも少なくなるように定められている。その結果、AT遊技でなければ、遊技者は意図的に正解手順で操作することができず、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」当選時において、「URP」役は、入賞し難く、「転落リプ1」〜「転落リプ3」当選時において、「RP」役は、入賞し難くなる。
次に、図15を参照して、スロットマシン1bにおける遊技状態の遷移について説明する。スロットマシン1bは、設定変更等により初期化されると遊技状態として初期RTに設定されて遊技が開始される。初期RTにおいては、「押し順ベル」が比較的高確率で当選する一方、「押し順ベル」当選時において有利操作態様を報知するAT遊技が行われることがない。このため、比較的早いタイミングで押し順ベルを取りこぼして通常移行出目が停止されることになり、通常RTに制御されることになる。
通常RTでは、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」に当選したときに正解手順で操作すると「URP」役が入賞して有利RTに制御される。しかし、正解手順の操作態様数は、不正解手順の操作態様数よりも少なくなるように定められているため、「URP」役に入賞し難く、有利RTに制御され難い。また、仮に有利RTに制御されたとしても、非AT中であるため、初期RT中と同様、「押し順ベル」が比較的高確率で当選する結果、比較的早いタイミングで通常移行出目が停止される。また、有利RT中においては、さらに「転落リプ1」〜「転落リプ3」が高確率で当選し、正解手順で操作しなければ「DRP」役が入賞する。このため、早いタイミングで「通常RT」に制御されることになる。よって、非AT中においては、遊技の大半を通常RTにおいて行うことになる。
次に、報知条件が成立してAT遊技が行われる場合について説明する。遊技の大半が通常RTであるため、報知条件の大半は、通常RT中におけるCZ中において成立する。AT移行抽選において当選した通常RT中においては、「押し順ベル」に当選したときに「BE」役を入賞させるための有利操作態様が報知され、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」のいずれかに当選したときに「URP」役を入賞させるための有利操作態様が報知される。これにより、停止操作を誤らない限り、確実に「BE」役や「URP」役を入賞させることができる。その結果、メダルが9枚払い出される割合が高まる。また、「有利RT」に昇格させることができる。このように、報知条件が成立してから「有利RT」に昇格するまでの状態をAT準備状態という。AT準備状態において遊技が行われたとしても、ATゲーム数は減算されない。
AT準備状態において「URP」役に入賞して「有利RT」に制御されるとAT状態となる。AT状態においては、「押し順ベル」に当選したときに「BE」役を入賞させるための有利操作態様が報知され、「転落リプ1」〜「転落リプ3」のいずれかに当選したときに「DRP」役を入賞させるための有利操作態様が報知される。これにより、停止操作を誤らない限り、確実に「BE」役を入賞させることができるとともに、「DRP」役の入賞を確実に回避しつつ「RP」役を入賞させることができる。その結果、メダルが9枚払い出される割合が高まるとともに、「有利RT」から「通常RT」に転落してしまうことも防止でき、「再遊技役」に当選・入賞する割合が高まった状態を保った有利な状態で遊技を行うことができる。なお、遊技状態を特定するための遊技状態フラグは、第1実施形態で示したS600の遊技状態設定処理において、「URP」役、「DRP」役、「通常移行出目」、「ボーナス当選」、「RBB」役の入賞等に基づいて設定される。
以上のような第3実施形態におけるスロットマシン1bによれば、前述した第1実施形態におけるスロットマシン1と同様の効果を奏する。さらに、「不正解押し順ベル」のように大半が正解手順で操作可能な当選役グループを設ける一方で、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」「転落リプ1」〜「転落リプ3」のように大半が不正解手順で操作される当選役グループを設けて、当該当選役グループ当選時の出目に応じて遊技状態を制御している。このため、非AT中における遊技の大半を通常RTとし、報知条件が成立した後においては有利RTとすることができ、遊技にメリハリを付けることができ遊技の興趣を向上させることができる。
[第4実施形態]
前述した第1実施形態においては、「不正解押し順ベル」が通常状態において一律の確率で当選する例について説明した。しかし、「不正解押し順ベル」は、通常状態とは異なる特別状態において、通常状態中よりも高い確率で当選するようにしてもよい。第4実施形態では、特別状態としてシングルボーナス(以下、SBともいう)を例示し、通常状態においては「不正解押し順ベル」に当選することなく、SB役の入賞に伴って制御されるシングルボーナス遊技状態中において「不正解押し順ベル」に当選するスロットマシン1cを説明する。なお、第4実施形態において、第1実施形態における遊技機(スロットマシン)と同様の構成および処理をなす部分についてはその詳細な説明を省略し、主として第1実施形態と異なる部分について説明する。
図16は、第4実施形態におけるスロットマシン1cにおいて設定されている役の種別および役名称について説明するための図である。第4実施形態においては、第1実施形態における役に加えて、ボーナス役として役名称「SB」が設けられている。「SB」役の図柄組合せは、図16に記載のとおり、取りこぼす可能性が生じる「R7・R7・CH」が定められている。「SB」役は、当選した遊技において入賞させることができなかった場合には当選フラグが消去されて、以降に当選フラグが持ち越されることはない。
図17は、第4実施形態における当選役グループおよび役構成について説明する。第4実施形態においては、第1実施形態における当選役グループに加えて、図17に示すように、ボーナス役の当選役グループとして、「シングルボーナス」が設けられている。「シングルボーナス」は、通常状態において役抽選の対象となる。「シングルボーナス」は、設定値にかかわらず1/96の確率で当選するように、判定値が定められている。
スロットマシン1cにおいては、通常状態中においては押し順ベルのうち正解押し順ベルについてのみ役抽選の対象となり、不正解押し順ベルは役抽選の対象とはならない。「シングルボーナス遊技状態」中は、通常状態中の役抽選の対象と比較して、正解押し順ベルに替えて不正解押し順ベルが役抽選の対象となる点において異なる。「シングルボーナス遊技状態」中においては、図17に示すように、不正解押し順ベルが1/4の確率で当選するように、判定値が定められている。「左中不正解ベル1」〜「右中不正解ベル2」各々の当選確率は、同一(1/24)となるように、判定値が均等に振分けられている。「シングルボーナス遊技状態」中において不正解押し順ベルのいずれかに当選する確率は、通常状態中において正解押し順ベルのいずれかに当選する確率と同じとなるように定められている。また、スロットマシン1cにおいては、「シングルボーナス遊技状態」中における「共通ベル」の当選確率が通常状態よりも高い20/65536となるように判定値が定められている。このため、「シングルボーナス遊技状態」に制御されたときに「共通ベル」に当選することに対する期待感を高めることができる。
ここで、図18を参照して、スロットマシン1cにおける遊技状態の遷移について説明する。通常状態において「SB」役に入賞すると、次の1遊技だけシングルボーナス遊技状態に制御される。シングルボーナス遊技状態中においては、図17で示したように、不正解押し順ベルが比較的高確率で当選する。1遊技が終了すると通常状態に戻る。よって、スロットマシン1cにおいても遊技の大半は通常状態となる。
スロットマシン1cにおけるCZ移行抽選は、図19(a)に示すCZ移行抽選用テーブルを参照して行われる。スロットマシン1cにおけるCZ移行抽選条件は、第1実施形態と比較して、不正解押し順ベル当選によっては成立せず、シングルボーナス当選によって成立するように定められている。図19(a)に示すように、通常期間において「シングルボーナス」に当選することによりCZ移行抽選条件が成立したときには、50%の割合で「非当選」に決定され、50%の割合でCZに制御する旨が決定される。また、「シングルボーナス」当選によりCZに制御する場合は、CZの最低保障遊技回数として、15%、15%、20%の割合で「5」「10」「15」のいずれかに決定される。このため、「シングルボーナス」当選によりCZに制御された場合の最低保障遊技回数の平均値は、5.25(=5×15%+10×15%+15×20%)となる。
スロットマシン1cにおけるAT移行抽選は、第1実施形態と同じである。第4実施形態では、不正解押し順ベルがシングルボーナス遊技状態中において高確率で当選する。また、図19(a)で示したように、「シングルボーナス」当選によりCZに制御される場合がある。さらに、シングルボーナス遊技状態中は、高確率で不正解押し順ベルに当選し得る。この点を、図20を参照して説明する。図20は、「シングルボーナス」当選により有利期間に制御されたもののATに制御されずに当該有利期間が終了する場合のパターンを示している。
図20では、通常期間において「シングルボーナス」当選することにより、CZ移行抽選で当選して有利期間(CZ)に制御されている。また「SB」役に入賞すると、次の1遊技がシングルボーナス遊技状態に制御されるため、不正解押し順ベルに比較的高確率で当選することになる。このため、「シングルボーナス」当選によりCZに制御されたときには、不正解押し順ベルに当選して、AT移行抽選でAT当選することに対する期待感を抱かせることができる。また、CZ中において「不正解押し順ベル」に当選したときには、図20に示すように有利操作態様が報知される。これにより、CZの第2終了条件が成立する。なお、「シングルボーナス」当選によりCZに制御された場合において、「SB」役に入賞しなかったときや、「SB」役に入賞したもののシングルボーナス遊技状態中において「不正解押し順ベル」に当選しなかったときには、通常状態において「正解押し順ベル」が当選したときに有利操作態様を報知することにより、CZの第2終了条件が成立する。
以上のような第4実施形態におけるスロットマシン1cによれば、前述した第1実施形態におけるスロットマシン1と同様の効果を奏するとともに、「シングルボーナス」に当選することにより、CZへ移行されること、および「SB」役に入賞して「不正解押し順ベル」に当選することに対する期待感を向上させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。また、シングルボーナス遊技状態中に当選確率が向上する「不正解押し順ベル」の有利操作態様を報知することにより、CZの第2終了条件を成立させることができる。
<変形例>
上記実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。以下に、実施形態に対する変更を例示する。
上記実施形態では、有利図柄として小役のうちで最大枚数のメダル払い出しを伴う「BE」役入賞となる図柄組合せを例示した。しかし、有利図柄としては、スロットマシンが1遊技の結果に基づいて払い出すことができる最大枚数(例えば15枚)のメダル払い出しを伴う小役入賞となる図柄組合せであってもよい。
また、有利図柄として「BE」役入賞となる図柄組合せを例示した。しかし、有利図柄は、これに限らず、第3実施形態で示した「URP」役などの再遊技役であってもよい。また、有利図柄は、役を発生させる図柄組合せに限らず、「はずれ」図柄組合せのうち特殊な「はずれ」図柄組合せであってもよい。ここでは、有利図柄が「URP」役などの再遊技役である例について説明する。例えば、当選役グループとして図14で示した「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」を設け、図14の備考欄において「URP」役を入賞させる操作態様で操作されたときには「RP」役を入賞させるようにリール制御が行われ、図14の備考欄において「RP」役を入賞させる操作態様で操作されたときには「URP」役を入賞させるようにリール制御が行われるようにしてもよい。これにより、「昇格リプ1」〜「昇格リプ6」各々の正解手順の操作態様数は、不正解手順の操作態様数よりも多くなる。その結果、通常期間中であるか有利期間中であるかにかかわらず、「URP」役入賞となる図柄組合せが停止される頻度の差異を小さくすることができ、遊技の興趣を向上させることができる。また、このように構成して有利RTに制御されやすくしたとしても、有利RTでは高確率で「転落リプ1」〜「転落リプ3」や「押し順ベル」に当選し、非AT中であるから有利操作態様で操作することができず、転落リプレイや通常移行出目が停止して通常RTに制御されるため、遊技者にとって有利になり過ぎることを防止できる。
上記実施形態では、有利図柄が所定図柄よりも遊技者にとって有利となる例として、入賞に伴って払い出されるメダルの枚数が多いことを挙げた。しかし、有利図柄が所定図柄よりも遊技者にとって有利となる例としては、これに限らず、有利図柄が停止されることにより制御される状態が所定図柄停止時よりも有利な状態(例えば、所定図柄停止時には通常RT、有利図柄停止時には有利RT)であることであってもよく、有利図柄が停止されることにより報知される情報が所定図柄停止時よりも有利な情報(例えば、所定図柄停止時には設定されている設定値が偶数か奇数のいずれかを特定可能な情報、有利図柄停止時には設定されている設定値を特定可能な情報)であることなどであってもよい。
上記実施形態では、所定図柄が「AT1」役などの小役入賞となる図柄組合せと、特定の「はずれ」図柄組合せとを含む例について説明した。しかし、所定図柄は、所定の役入賞となる図柄組合せであってもよい。例えば、上記実施形態において「不正解押し順ベル」当選時には、有利操作態様で操作されたときに「BE」役入賞となるようにリール制御を行い、非有利操作態様で操作されたときには必ず「AT1」役など、「BE」役よりも有利度合いが低い所定の役に入賞するように、「不正解押し順ベル」に含まれる役を構成してリール制御を行うようにしてもよい。これにより、「BE」役を入賞させることができない場合であっても、所定の役のうちのいずれかの役を入賞させることができるため、通常期間中であるときと有利期間中であるときとにおける差異をより一層小さくすることができ、遊技の興趣を向上させることができる。また、所定の役は、メダル払出枚数が例えば5枚に設定されている小役であってもよい。これにより、「不正解押し順ベル」を操作態様にかかわらず所定数以上の払い出しを伴う小役を発生させることができ、「共通ベル」と同様の機能を発揮させることができる。
上記実施形態では、「押し順ベル」に、複数種類の有利結果に相当する「不正解押し順ベル」と、複数種類の特定結果に相当する「正解押し順ベル」とを含む例について説明したが、これに限らず、「押し順ベル」が複数種類の有利結果に相当する「不正解押し順ベル」のみにより構成され、複数種類の特定結果に相当する「正解押し順ベル」が当選役グループに設けられていないものであってもよい。
上記実施形態では、図7等で示したように、第1停止および第2停止により定まる6パターンの全操作態様数のうちの、5パターンが複数種類の有利結果に相当する「不正解押し順ベル」に当選したときの有利操作態様に定められ、1パターンが非有利操作態様に定められている例について説明した。つまり、全操作態様数の5/6が、有利操作態様に定められている例について説明した。しかし、有利操作態様は、その操作態様数が非有利操作態様となる操作態様数よりも多くなるように定められていれば、これに限るものではない。例えば、第1停止により有利操作態様となるか否かが特定されるものであって、第1停止により定まる3パターンの全操作態様数のうちの、2パターンが複数種類の有利結果となったときの有利操作態様に定められ、1パターンが非有利操作態様に定められているものであってもよい。つまり、全操作態様数の2/3が、有利操作態様に定められているものであってもよい。
また、複数種類の特定結果となったときの特定操作態様についても同様に、上記実施形態では、図7等で示したように、第1停止および第2停止により定まる6パターンの全操作態様数のうちの、1パターンが特定操作態様に定められ、5パターンが非特定操作態様に定められている例について説明した。つまり、全操作態様数の1/6が、特定操作態様に定められている例について説明した。しかし、特定操作態様は、その操作態様数が非特定操作態様となる操作態様数よりも少なくなるように定められていれば、これに限るものではない。例えば、第1停止により特定操作態様となるか否かが特定されるものであって、第1停止により定まる3パターンの全操作態様数のうちの、1パターンが複数種類の特定結果となったときの特定操作態様に定められ、2パターンが非特定操作態様に定められているものであってもよい。つまり、全操作態様数の1/3が、特定操作態様に定められているものであってもよい。
上記実施形態では、有利操作態様が予め定められた押し順(正解手順)である例について説明したが、これに替えてあるいは加えて、有利操作態様が操作タイミングを含むものであってもよい。この場合の操作態様数は、例えば、有利操作態様となり得る操作タイミングの塊(選択肢)が1リールにつき2箇所存在する場合(実施形態の「AT1」役と「AT2」役のような場合)には、操作態様数が2となり、有利操作態様となり得る操作タイミングの塊が1リールにつき3箇所存在する場合には、操作態様数が3となる。
上記実施形態では、有利期間のうちCZ中においては押し順ベルのうちの不正解押し順ベル当選時にのみ有利操作態様を報知し、有利期間のうちAT中においては不正解押し順ベル当選時のみならず正解押し順ベル当選時にも有利操作態様を報知する例について説明した。しかし、有利操作態様を報知するパターンは、これに限らず、例えば、有利期間のうちCZ中においては不正解押し順ベル当選時のみならず正解押し順ベル当選時にも有利操作態様を報知する一方、有利期間のうちAT中においては押し順ベルのうちの正解押し順ベル当選時にのみ有利操作態様を報知するようにしてもよく、また、有利期間のうちCZ中においては不正解押し順ベル当選時のみならず正解押し順ベル当選時にも有利操作態様を報知し、有利期間のうちAT中においても不正解押し順ベル当選時のみならず正解押し順ベル当選時にも有利操作態様を報知するようにしてもよい。
上記実施形態のうち第1〜第3実施形態では、「不正解押し順ベル」の当選確率が「正解押し順ベル」の当選確率より低い例について説明したが、これに限らず、第4実施形態のように、「不正解押し順ベル」の当選確率が「正解押し順ベル」の当選確率と同じとなるように判定値が定められているものであってもよい。これにより、払出率を高めすぎてしまうことなく「不正解押し順ベル」に当選する機会を増やすことができ、遊技の興趣を向上させることができる。
上記第1および第3実施形態では、CZ中において「不正解押し順ベル」に当選して有利操作態様が報知されることにより第2終了条件が成立する例、つまり「不正解押し順ベル」に当選するまで基本的にCZが継続する例について説明した。しかし、CZ中において「不正解押し順ベル」に当選するまでに「正解押し順ベル」に当選したときには、有利操作態様を報知し、当該報知によりCZの第2終了条件が成立するものであってもよい。これにより、極力早い段階で第2終了条件を成立させることができるため、決定された最低保障遊技回数以上にわたってCZに制御されることを極力防止できる。なお、CZ中において「不正解押し順ベル」に当選するまでに「正解押し順ベル」に当選したときには、有利操作態様を報知するか否かの抽選を行い、当該抽選で当選したときに有利操作態様を報知するようにしてもよい。
上記第4実施形態における「SB」役入賞となる図柄組合せは、操作タイミングによっては取りこぼしが生じ得る例について説明したが、これに限らず、操作タイミングにかかわらず必ず入賞ラインNL上に停止させることができる図柄から構成されるものであってもよい。また、シングルボーナス遊技状態中において「不正解押し順ベル」に当選する確率は、「正解押し順ベル」に当選する確率と同じ確率となる例について説明したが、これに限らず、「正解押し順ベル」に当選する確率と同じ確率よりも高い確率にしてもよく、例えば1/1.7の確率で「不正解押し順ベル」に当選するようにしてもよい。これにより、シングルボーナス当選してCZに制御されたにもかかわらず、「SB」役に入賞していないため、シングルボーナス遊技状態に制御されず「不正解押し順ベル」が高確率で当選する状態になっていないといった不都合の発生を防止できる。また、シングルボーナス遊技状態中に「不正解押し順ベル」に当選せず第2終了条件が成立しないという状況を生じさせにくくすることができる。
上記第4実施形態では、通常RT中においては「不正解押し順ベル」に当選しない例について説明した。しかし、通常RT中においても所定確率で「不正解押し順ベル」に当選するようにしてもよい。所定確率は、「シングルボーナス遊技状態」中において「不正解押し順ベル」に当選する確率よりも低い確率であればよい。これにより、「不正解押し順ベル」に当選する機会を増やすことができ、遊技の興趣を向上させることができる。
上記第2実施形態で説明した技術事項(特に、図12の正解押し順ベルの構成)は、第1、第3、第4実施形態で説明した各々のスロットマシンに追加してもよい。上記第2実施形態で説明した技術事項を第4実施形態に追加する場合には、図12の正解押し順ベルが通常RTにおいて役抽選の対象となるようにしてもよい。また、上記第3実施形態で説明した技術事項(特に、図14の昇格リプ、転落リプの構成)は、第2または第4実施形態で説明した各々のスロットマシンに追加してもよい。また、上記第4実施形態で説明した技術事項(特に、図17のシングルボーナスおよびシングルボーナス遊技状態中に高確率当選となる不正解押し順ベルの構成)は、第2または第3実施形態で説明した各々のスロットマシンに追加してもよい。
上記実施形態では、有利期間の第1期間として、AT移行抽選条件が成立したときにAT抽選を行うCZを例示した。しかし、有利期間の第1期間は、CZに限らず、すでに実行されているAT移行抽選の結果を報知するまでの期間(以下、前兆期間ともいう)であってもよい。例えば、有利期間を開始するときにAT移行抽選を行い、有利期間として第1期間に相当する前兆期間に制御し、当該前兆期間においてAT当選している可能性を煽る演出を実行した後、前兆期間が終了する際において既に実行されているAT抽選の結果を報知するものであってもよい。前兆期間においてAT抽選の結果を報知するタイミングは、例えば図10において示した結果報知のタイミングと同じである。
具体的には、上記実施形態のうちCZ移行抽選を有利期間に移行するか否かの「有利期間移行抽選」に置き換え、かつ、上記実施形態のうちAT移行抽選を当該「有利期間移行抽選」において有利期間に移行すると決定されたときに行うようにしてもよい。例えば、図9(a)の抽選テーブルなどを用いて、通常期間において「不正解押し順ベル」等に当選したときにおいて有利期間に制御するか否かを決定し、有利期間に制御する場合には前兆期間の遊技回数を決定する。また、有利期間に制御すると決定されたときには、図9(b)の抽選テーブルなどを用いてAT抽選を行う。これにより、有利期間開始時にAT抽選を行うことができるため、処理負担を分散することができる。また、前兆期間中においてAT抽選の実際の結果に応じた演出を実行するようにした場合には、前兆期間中における遊技の興趣を向上させることができる。なお、前兆期間の遊技回数は、その都度決定するものに限らず、予め定められているものであってもよい。このように前兆期間の遊技回数が予め所定遊技回数に定められている場合において、所定遊技回数を消化するまでに「不正解押し順ベル」当選し有利操作態様が報知されたときには、前兆期間が開始されてから所定遊技回数を消化したときにAT抽選の結果を報知し、所定遊技回数を消化するまでに「不正解押し順ベル」当選せずに有利操作態様が報知されなかったときには、「不正解押し順ベル」当選し有利操作態様が報知された後にAT抽選の結果を報知するようにしてもよい。これにより、有利操作態様が報知されていないにもかかわらずAT抽選の結果が先に報知されてしまうことを防止できる。
なお、前兆期間中においても、上記実施形態におけるCZ中のように、AT移行抽選条件が成立したときにはAT移行抽選を行うようにしてもよく、この場合、既にAT移行することが決定されている場合には今回のAT移行抽選において決定されたATゲーム数を既に決定されていたATゲーム数に上乗せするようにしてもよい。
上記実施形態では、図9(b)で示したとおり、AT移行抽選条件の種類に応じた振分率に従ってAT移行抽選を行う例について説明した。しかし、AT移行抽選の振分率は、遊技の進行状況に応じて異ならせてもよい。例えば、AT移行抽選の振分率は、AT移行抽選条件の成立タイミングがCZの最低保障遊技回数を消化するまでであったかそれ以降であったに応じて異ならせてもよい。これにより、AT移行抽選条件の成立タイミングに遊技者を注目させることができる。また、AT移行抽選の振分率は、CZの最低保障遊技回数として決定された遊技回数に応じて異ならせてもよい。これにより、CZの長さによってAT移行されることに対する期待感を異ならせることができる。
上記実施形態では、図10で示したように、有利期間(CZ)の延長期間においても延長以前と同じ有利度合い(振分率)でAT移行抽選が行われる例について説明した。しかし、AT移行抽選の有利度合いは、有利期間(CZ)の最低保障遊技回数を消化中の期間であるか、それ以降の延長期間であるかに応じて異なるようにしてもよい。例えば、AT移行抽選の有利度合いは、有利期間(CZ)の最低保障遊技回数を消化中の期間であるときよりも延長期間であるときの方が高くなる(例えばAT当選確率が高い、AT当選時のATゲーム数が多いなど)ようにしてもよい。
また、上記実施形態におけるAT移行抽選条件は、有利期間(CZ)の最低保障遊技回数を消化中の期間であるかそれ以降の延長期間であるかにかかわらず同じ条件(「不正解押し順ベル」当選等)である例について説明した。つまり、延長期間においてAT移行抽選を行う特定条件が、有利期間(CZ)の最低保障遊技回数を消化中の期間においてAT移行抽選を行うAT移行抽選条件と同じである例について説明した。しかし、延長期間においてAT移行抽選を行う特定条件は、これに限らず、有利期間(CZ)の最低保障遊技回数を消化中の期間におけるAT移行抽選条件と異なる条件が成立することによりAT移行抽選が行われるようにしてもよい。AT移行抽選条件と異なる条件としては、例えば、「不正解押し順ベル」当選等に加えて特定の役(「RP」役)当選によっても成立する条件や1遊技毎に成立する条件などであってもよい。
上記実施形態では、第1期間に相当するCZが払出率1を超えない期間であるのに対し、第2期間に相当するATが払出率1を超える期間である例を説明した。しかし、第1期間と第2期間との対応関係は、第2期間であるときの方が第1期間であるときよりも払出率が高くなるなどにより有利度合いが高くなる関係であればこれに限らず、例えば、第2期間における払出率が1未満となる期間であってもよく、また、第1期間においてAT遊技が行われるものであってもよい。また、第1期間と第2期間との対応関係については、有利操作態様を報知する回数が第1期間よりも第2期間の方が多くなる関係や、有利操作態様の報知対象となる当選役グループに当選したときに有利操作態様を報知する割合が第1期間よりも第2期間の方が高くなる関係、ATゲーム数を付与(あるいは上乗せ)する割合が第1期間よりも第2期間の方が高くなる関係、付与(あるいは上乗せ)されることが確率的に期待できる期待ATゲーム数が第1期間よりも第2期間の方が大きくなる関係など、どのようなものであってもよい。
上記実施形態では、成立したCZ移行抽選条件に応じて、CZ移行抽選の確率に基づいて算出される有利度の平均値(最低保障遊技回数の平均値)が異なる例について説明したが、これに限らず、CZ移行抽選条件毎に異なる一の有利度(最低保障遊技回数)が定められており、成立したCZ移行抽選条件に応じて一の有利度が一義的に特定されるものであってもよい。また、成立したAT移行抽選条件に応じて、AT移行抽選の確率に基づいて算出される有利度の平均値(ATゲーム数の平均値)が異なる例について説明したが、これに限らず、AT移行抽選条件毎に異なる一の有利度(ATゲーム数)が定められており、成立したAT移行抽選条件に応じて一の有利度が一義的に特定されるものであってもよい。これにより、メインCPU61の処理負担を軽減できる。
上記実施形態では、図7〜図8等を参照して役、当選役グループ、役抽選の対象、判定値、リール制御内容等について説明したが、これに限るものではない。また、上記実施形態では、AT当選報知についてはCZの最低保障遊技回数を消化したときに行う例について説明したが、これに限らず、AT当選報知を行うタイミングは、CZの最低保障遊技回数を消化する以前のタイミングであってもよく、AT移行抽選においてAT当選したタイミングであってもよい。これにより、AT当選したことをより早いタイミングで遊技者に認識させることができる。
上記実施形態では、図8(b)に示すとおり、有利期間のうちのAT中においてATゲーム数が0となっても継続条件が成立しているときには、再度CZに制御可能な例について説明した。また、継続条件としては、AT中に上乗せがなかったことにより成立する例について説明した。しかし、継続条件は、これに限らず、AT中に上乗せがあったことにより成立するものや、CZを含む有利期間中の上乗せの有無に応じて成立するもの、AT終了時に継続抽選を行うものにおいて当該継続抽選で当選することなどにより成立するものであってもよい。また、継続条件が設けられておらず、有利期間のうちのAT中においてATゲーム数が0となった場合には、再度CZに制御されずに、必ず通常期間に制御されるものであってもよい。これにより、CZとATとの間を延々と往復させてしまうことを防止できる。
上記実施形態では、CZ移行抽選で当選すると次の遊技からCZに制御する例について説明したが、これに限らず、CZ移行抽選で当選後において所定のCZ制御開始条件が成立したときにCZに制御するようにしてもよい。所定のCZ制御開始条件は、例えば、遊技を所定回数実行することにより成立する条件や、役抽選で所定役に当選することにより成立する条件、所定の操作態様でストップスイッチ21L〜21Rが操作されることにより成立する条件などであってもよい。
上記実施形態では、CZ終了後におけるAT開始タイミングからATに制御する例について説明したが、これに限らず、CZ終了後でかつAT開始タイミング到達後において所定のAT制御開始条件が成立したときにATに制御するようにしてもよい。所定のAT制御開始条件は、例えば、AT開始タイミング到達後において遊技を所定回数実行することにより成立する条件や、役抽選で所定役に当選することにより成立する条件、所定の操作態様でストップスイッチ21L〜21Rが操作されることにより成立する条件などであってもよい。
上記実施形態では、第1期間としてCZを例示し、第2期間としてATを例示したが、第1期間と第2期間との関係はこれに限るものではない。第1期間は、例えばATに制御するか否かのAT抽選において所定確率でATに制御する旨が決定される期間(通常モード)であり、第2期間は、例えばAT抽選において所定確率よりも高い確率でATに制御する旨が決定される期間(高確率モード)であってもよい。また、第1期間は、例えば再遊技役の当選確率が所定確率に定められており遊技を所定回数実行するか移行出目が停止するまで継続する期間(RTa)であり、第2期間は、RTaにおいて遊技を所定回数実行した後に制御される期間であって再遊技役の当選確率が所定確率よりも高い特定確率に定められている期間(RTb)であってもよい。
上記実施形態では、可変表示部13が3つの左可変表示列10L〜右可変表示列10Rを備える例について説明するが、これに限らず、1つの可変表示列を備える遊技機であっても、4つ以上の可変表示列を備える遊技機であってもよい。1つの可変表示列を備える遊技機における操作対応終了条件は、操作タイミングによって成立する条件となる。また、可変表示部13は、リール11L〜11Rにより構成される例を示したが、これに限らず、液晶表示器や7セグメントLEDなどの表示装置により構成されるものであってもよい。また、可変表示部13に対して入賞ラインとして1本のみ設定されている例について説明したが,これに限らず、複数の入賞ラインが設定されているものであってもよい。