以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の好ましい一実施形態である吸収体の製造方法に用いられる吸収体の製造装置について説明する。本発明の好ましい一実施形態である吸収体3の製造装置は、積繊装置1である。図1には、本発明の吸収体3の製造装置の好ましい一実施形態である積繊装置1の概略斜視図が示されている。
本実施形態の積繊装置1は、図1に示すように、外周面21に集積用凹部22を有する回転ドラム2と、該回転ドラム2の外周面21に向けて成形体材料を飛散状態にて供給するダクト4と、該ダクト4の内部において積繊された成形体材料に接触するように配置されて積繊された過剰な成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42とを有し、矢印R2方向に回転する回転ドラム2の内部からの吸引によって生じた空気流により集積用凹部22に成形体材料を積繊して、吸収体3を製造する吸収体の製造装置である。また、本実施形態の積繊装置1は、該積繊装置1の内部(回転ドラム2の内方)から成形体材料を吸引する吸引装置である吸気ファン8と、回転ドラム2の斜め下方に配置され、矢印R5方向に回転駆動されるトランスファーロール5と、トランスファーロール5の下方に配されたバキュームコンベア6と、該バキュームコンベア6の搬送方向下流に配された切断装置7と、回転ドラム2の回転方向R2におけるダクト4とトランスファーロール5との間に配されたバキュームボックス11とを備えている。
更に、本実施形態の積繊装置1は、図1に示すように、予め設定された設定動作の通りに積繊装置1が動作するように、これらの動作を制御する制御部100を備えている。尚、「予め設定された設定動作」とは、回転ドラム2の内部からの吸引によって生じた空気流により集積用凹部22に成形体材料を積繊して、予め設定した形状及び坪量等を有する吸収体3を製造するために設定された動作である。
回転ドラム2は、図1に示すように、円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて水平軸回りを回転する。回転ドラム2の回転方向は、後述するコアラップシート37の搬送方向に対して、逆方向となる矢印R2方向の回転方向であり、トランスファーロール5の回転方向は、コアラップシート37の搬送方向に対して、順方向となる矢印R5方向の回転方向である。回転ドラム2は、図2に示すように、その外周面21に、成形体材料が積繊される集積用凹部22を有し、更に、集積用凹部22における回転ドラム2の幅方向(2Y方向)の中央領域に配され、該集積用凹部22よりも深い中高用凹部23を有している。中高用凹部23を含む集積用凹部22は、回転ドラム2の周方向(2X方向)に所定の間隔で複数形成されている。図2中、2X方向が回転ドラム2の周方向、2Y方向が回転ドラム2の幅方向(回転ドラム2の回転軸と平行な方向)である。
回転ドラム2は、図3に示すように、金属製の剛体からなる円筒状のドラム本体(図示せず)と、該ドラム本体の外周部に重ねて固定された吸引調整プレート24と、該吸引調整プレート24の外面24a側に重ねて固定された中高用多孔性プレート25(多孔性部材)と、該中高用多孔性プレート25の外面25a側に重ねて固定された空間プレート26と、該空間プレート26の外面26a側に重ねて固定された多孔性プレート27(多孔性部材)と、該多孔性プレート27の外面27a側に重ねて固定された凹部区画プレート28と、該凹部区画プレート28の外面28a側に重ねて固定されたリングプレート29とを有する。回転ドラム2は、前記ドラム本体及びこれら各プレート24〜29が、ボルトあるいは接着剤等の公知の固定手段によって互いに固定されて形成されている。ここで、図2,図3に示すように、成形体材料の被積繊面である中高用凹部23の底面23aは、吸引孔を多数有する中高用多孔性プレート25(多孔性部材)から構成されている。また、成形体材料の被積繊面である集積用凹部22の底面22aは、中高用凹部23部分を除く集積用凹部22の底面22aは、多孔性プレート27から構成されている。
尚、本明細書において、回転ドラム2の各構成部材(吸引調整プレート24、中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、リングプレート29等)の外面は、図1及び図3に示すように、当該構成部材における、成形体材料が積繊されるときに該成形体材料の供給側に向けられる面である。また、当該各構成部材の内面は、当該構成部材における、成形体材料が積繊されるときに該成形体材料の供給側とは反対側(回転ドラムの内方側)に向けられる面である。
成形体材料は、繊維材料を含むものである。吸収体原料としての成形体材料は、従来、生理用ナプキンやパンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、解繊パルプ等のパルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン等の合成繊維の短繊維等が用いられる。これらの繊維材料は、1種を単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、吸収体原料として、繊維材料と共に、吸水性ポリマーを用いても良い。また、繊維状の原料として、繊維状の吸水性ポリマーを単独で又は繊
維材料と共に用いることもできる。更に、繊維材料等と共に、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じて用いることもできる。
リングプレート29は、図3に示すように、その外面29aが回転ドラム2の最も外側に位置し、外周面21の一部を形成する部材であり、集積用凹部22の外周面を形成する部材でもある。ここで「集積用凹部22の外周面」とは、集積用凹部22を回転ドラム2の外周面の法線方向(回転ドラム2の回転軸方向と直行する方向)の外方から見た際の集積用凹部22の輪郭に沿った外面を意味する。以降、本明細書において、集積用凹部22等の対象物を回転ドラム2の外周面の法線方向の外方から見ることを、集積用凹部22等の対象物を平面視するという。本実施形態の積繊装置1においては、集積用凹部22を平面視して、集積用凹部22が搬送方向に長い矩形状の輪郭を有しているので、一対のリングプレート29,29が、回転ドラム2の両側部に配され、各リングプレート29が回転ドラム2の全周に亘って同幅で延びて形成されている。また各リングプレート29の厚みは一定に形成されている。
以上のように形成されたリングプレート29においては、図3に示すように、一対のリングプレート29,29どうしの間が、集積用凹部22の幅を決定し、リングプレート29の厚みが集積用凹部22の深さを決定する要素の1つとなる。一対のリングプレート29,29は、それらの間の部分を除き、空気を通さない非通気性となっている。ここで、「非通気性」とは、「空気を全く通さない非通気性」及び「微量の空気は通すが実質的に空気を通さない難通気性」の両方の意味を含んでおり、実質的に非通気性という意味である。リングプレート29としては、例えば、ステンレスあるいはアルミ等の金属又は樹脂を板状に加工したもの等を用いることができる。
凹部区画プレート28は、図3に示すように、平面視して、厚み方向に貫通する複数の十字状の開口部281と、各十字状の開口部281を区画形成する十字状の開口部画成部材282と、厚み方向に貫通する複数の開口部283と、各開口部283を区画形成する開口部画成部284とを有している。
十字状の開口部281は、周方向(2X方向)に間欠的に複数配されている。開口部画成部材282は、平面視して、搬送方向に帯状に一定の間隔で延びる部分と、該搬送方向に延びる部分の搬送方向略中央部分において両側縁から幅方向(2Y方向)外方に凸に形成された部分とを有する十字状に形状されている。開口部281は、この十字状の開口部画成部材282内に位置して、開口部画成部材282と同じ輪郭を有する十字状に形成されている。開口部画成部284は、平面視して複数の十字状の開口部281(十字状の開口部画成部材282)を除く領域において、搬送方向に平行に延びる複数本のMD画成部材285と幅方向(2Y方向)に平行に延びる(搬送方向に垂直な方向に延びる)複数本のCD画成部材286とを有している。開口部画成部284は、複数本のMD画成部材285と複数本のCD画成部材286とが交差して、格子状に形成されており、各開口部283は、この格子状の開口部画成部284における格子の目の部分に位置して、各開口部画成部284と同じ輪郭を有する形状に形成されている。
十字状の開口部画成部材282と、MD画成部材285及びCD画成部材286を有する開口部画成部284とは、空気を通さない非通気性を有している。ここでいう「非通気性」は、前述した通りである。非通気性の開口部画成部材282及び開口部画成部284の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、あるいは樹脂、あるいはこれらを組合せた材料等を用いることができる。凹部区画プレート28の有する複数の十字状の開口部281及び複数の開口部283は、図3に示すように、該凹部区画プレート28の外面28aに重ねて固定される一対のリングプレート29,29で挟まれる領域に配されている。凹部区画プレート28を構成する十字状の開口部画成部材282及び格子状の開口部画成部284は、その厚みが一定に形成されている。凹部区画プレート28の厚みも、リングプレート29の厚みと同様に、集積用凹部22の深さを決定する要素の1つとなる。
多孔性プレート27は、図3に示すように、平面視して、複数の十字状の開口部271を有している。多孔性プレート27の十字状の開口部271は、多孔性プレート27の外面27aに重ねて固定される凹部区画プレート28の各十字状の開口部281と同じ位置に配される。多孔性プレート27の複数の十字状の開口部271と、凹部区画プレート28の複数の十字状の開口部281とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、多孔性プレート27の十字状の開口部271は、対応する凹部区画プレート28の十字状の開口部281に対する相似比が1であり、開口部271と開口部281とは、平面視形状が互いに合同の関係にある。
多孔性プレート27は、図3に示すように、中高用凹部23部分を除く集積用凹部22の底面22aを形成する部材である。多孔性プレート27は、回転ドラム2の内部と接続された吸気ファン8によって生じた空気流(バキュームエアー)を、回転ドラム2を覆うダクト4内に伝え、該空気流に乗って運ばれてくる成形体材料を透過させずに保持し、空気のみを透過させる通気性のプレートである。多孔性プレート27には、複数の十字状の開口部271を除く領域に、多孔性プレート27を厚み方向に貫通する吸引孔(細孔)が、均一な分布で複数(多数)形成されており、集積用凹部22が回転ドラム2内における負圧に維持された空間上を通過している間、該吸引孔が空気流の透過孔として機能する。多孔性プレート27としては、例えば、金属又は樹脂製のメッシュプレート、あるいは金属又は樹脂製の板にエッチング、パンチングで複数(多数)の細孔を形成したもの等を用いることができる。
空間プレート26は、図3に示すように、平面視して、空間プレート26の外面26aに重ねて固定される多孔性プレート27の各十字状の開口部271の輪郭に沿って形成される環状画成部材261と、搬送方向に平行に延びる複数本のMD画成部材262と、幅方向(2Y方向)に平行に延びる(搬送方向に垂直な方向に延びる)複数本のCD画成部材263とを有している。MD画成部材262及びCD画成部材263は、互いに交差するのみならず、環状画成部材261とも交差して、格子形状を形成している。空間プレート26は、環状画成部材261で囲まれた領域においては、MD画成部材262及びCD画成部材263が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の環状内開口部264を有している。また、空間プレート26は、環状画成部材261を除く領域においては、MD画成部材262及びCD画成部材263が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の開口部265を有している。
上述したように、空間プレート26の環状画成部材261は、図3に示すように、空間プレート26の外面26aに重ねて固定される多孔性プレート27の各十字状の開口部271の輪郭に沿って形成されており、空間プレート26の複数の環状画成部材261と多孔性プレート27の複数の十字状の開口部271の輪郭とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、空間プレート26の複数の環状画成部材261は、対応する多孔性プレート27の十字状の開口部271の輪郭に対する相似比が1である。その為、環状画成部材261は、多孔性プレート27の開口部271の輪郭のみならず、多孔性プレート27の開口部271と合同の関係にある凹部区画プレート28の十字状の開口部281を画成する開口部画成部材282の輪郭とも、平面視形状が互いに合同の関係にある。
また、空間プレート26の複数の開口部265は、図3に示すように、空間プレート26の外面26a上に多孔性プレート27を介して固定される凹部区画プレート28の複数の開口部283と、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、空間プレート26の開口部265は、対応する凹部区画プレート28の開口部283に対する相似比が1であり、開口部265と開口部283とは、平面視形状が互いに合同の関係にある。空間プレート26を構成する環状画成部材261、MD画成部材262及びCD画成部材263は、その厚みが一定に形成されている。空間プレート26の厚みは、集積用凹部22の中央領域の中高用凹部23の深さを決定する要素の1つとなる。
空間プレート26の環状画成部材261、MD画成部材262及びCD画成部材263は、図3に示すように、空気を通さない非通気性を有している。ここでいう「非通気性」は、前述した通りである。非通気性の環状画成部材261、MD画成部材262及びCD画成部材263の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、又は樹脂、あるいはこれらを組合せた材料等を用いることができる。
中高用多孔性プレート25は、図3に示すように、平面視して、複数配されており、各十字状の形状に形成されている。各十字状の中高用多孔性プレート25は、中高用多孔性プレート25の外面25aに重ねて固定される空間プレート26の各環状画成部材261と同じ位置に配される。複数の十字状の中高用多孔性プレート25の輪郭と、空間プレート26の複数の環状画成部材261とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、十字状の中高用多孔性プレート25は、対応する空間プレート26の環状画成部材261に対する相似比が1である。その為、十字状の中高用多孔性プレート25は、その輪郭が環状画成部材261と合同の関係にあるのみならず、その全体形状が多孔性プレート27の開口部271、及び凹部区画プレート28の十字状の開口部281とも、平面視形状が互いに合同の関係にある。
中高用多孔性プレート25は、図3に示すように、中高用凹部23の底面23aを形成する部材である。中高用多孔性プレート25は、多孔性プレート27と同様に、回転ドラム2の内部と接続された吸気ファン8からの吸引によって生じた空気流(バキュームエアー)を、回転ドラム2を覆うダクト4内に伝え、該空気流に乗って運ばれてくる成形体材料を透過させずに保持し、空気のみを透過させる通気性のプレートである。中高用多孔性プレート25には、中高用多孔性プレート25を厚み方向に貫通する吸引孔(細孔)が、均一な分布で複数(多数)形成されており、集積用凹部22内の中高用凹部23が回転ドラム2内における負圧に維持された空間上を通過している間、該吸引孔が空気流の透過孔として機能する。中高用多孔性プレート25としては、例えば、金属又は樹脂製のメッシュプレート、あるいは金属又は樹脂製の板にエッチング、パンチングで複数(多数)の細孔を形成したもの等を用いることができる。
吸引調整プレート24は、図3に示すように、平面視して、吸引調整プレート24の外面24aに重ねて固定される十字状の中高用多孔性プレート25の輪郭に沿って形成される環状画成部材241と、搬送方向に平行に延びる複数本のMD画成部材242と、幅方向(2Y方向)に平行に延びる(搬送方向に垂直な方向に延びる)複数本のCD画成部材243とを有している。MD画成部材242及びCD画成部材243は、互いに交差するのみならず、環状画成部材241とも交差して、格子形状を形成している。吸引調整プレート24は、環状画成部材241で囲まれた領域においては、MD画成部材242及びCD画成部材243が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の環状内開口部244を有している。吸引調整プレート24の複数の環状内開口部244は、吸引調整プレート24の外面24a上に中高用多孔性プレート25を介して固定される空間プレート26の複数の環状内開口部264とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、吸引調整プレート24の環状内開口部244は、対応する空間プレート26の環状内開口部264に対する相似比が1であり、環状内開口部244と環状内開口部264とは、平面視形状が互いに合同の関係にある。
吸引調整プレート24は、図3に示すように、環状画成部材241を除く領域においては、MD画成部材242及びCD画成部材243が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の開口部245を有している。吸引調整プレート24の複数の開口部245は、吸引調整プレート24の外面24a上に中高用多孔性プレート25を介して固定される空間プレート26の複数の開口部265とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、吸引調整プレート24の開口部245は、対応する空間プレート26の開口部265に対する相似比が1より小さく、該相似比が0.5以上0.05以下であることが好ましい。即ち、吸引調整プレート24の開口部245は、その開口面積が、空間プレート26の開口部265の開口面積よりも狭くなっている。
吸引調整プレート24を構成する環状画成部材241、MD画成部材242及びCD画成部材243は、図3に示すように、その厚みが一定に形成されている。吸引調整プレート24の環状画成部材241、MD画成部材242及びCD画成部材243は、空気を通さない非通気性を有している。ここでいう「非通気性」は、前述した通りである。非通気性の環状画成部材241、MD画成部材242及びCD画成部材243の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、又は樹脂、あるいはこれらを組合せた材料等を用いることができる。
回転ドラム2は、以上のように構成された吸引調整プレート24、複数の中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、及び一対のリングプレート29を公知の固定手段によって互いに固定されて形成されている。
本実施形態の積繊装置1について更に説明すると、図1に示すように、回転ドラム2の内側(回転軸側)には、回転ドラム2の周方向(2X方向)に相互間が仕切られた空間B、C及びDが形成されている。空間Bには、吸気ファン8が接続されており、吸気ファン8を作動させることにより、該空間Bを負圧に維持可能である。空間Cには、バキュームボックス11側からの吸引によって外部の空気が流入し、空間Dには、トランスファーロール5側からの吸引によって外部の空気が流入する。空間Cは、空間C上における転写(集積用凹部22内の積繊物のトランスファーロール5等への転写)を良好に行うために、転写後の領域となる空間Dとは区切られている。尚、回転ドラム2は、その回転軸の軸長方向の一端が回転ドラム2と一体的に回転する板で封鎖されており、回転軸の軸長方向の他端は、回転しない板で気密に封鎖されている。また、前記の空間B〜Dどうし間は、回転ドラム2の回転軸側から回転ドラム2の内面に向かって設けられたプレートにより仕切られている。
尚、空間Cは、通常、空間Bよりも弱い負圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定される。集積用凹部22内の積繊物をトランスファーロール5上に転写するまでは、該積繊物の搬送性の観点から、空間Cを弱い負圧にして、該積繊物を集積用凹部22内に吸引保持させておくことが好ましい。空間Dは、集積用凹部22内の積繊物がトランスファーロール5上に転写された後の該集積用凹部22が通過する領域なので、圧力ゼロ又は陽圧が好ましい。
ダクト4は、図1に示すように、その一端側が、回転ドラム2の空間B上に位置して該空間Bの領域全域に亘る回転ドラム2の外周面を覆っており、図示しない他端側には、成形体材料導入装置(不図示)が接続されている。成形体材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプ(繊維材料)をダクト4内に送り込む粉砕機を備えている。ダクト4の途中に吸水性ポリマーの粒子を導入する吸水性ポリマー導入部を設けることもできる。
回転ドラム2の個々の集積用凹部22は、図1〜図3に示すように、負圧に維持された空間B上を通過している間、前述した底面22a,23aを構成する多孔性プレート27及び中高用多孔性プレート25を介して吸引部からの吸引が行われる。各集積用凹部22の多孔性部材の細孔からの吸引によって、ダクト4内に、吸収体の原料を回転ドラム2の外周面に搬送する空気流が生じ、該空気流に乗せて搬送された原料が各集積用凹部22内に堆積する。
ダクト4の内部においては、図1に示すように、回転ドラム2の空間Bの上方に、成形体材料に接触するように配置されて積繊された過剰量の成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42が設けられている。尚、積繊装置1では、規定量の成形体材料を供給しても所望の形状に積繊することが困難なことから、意図的に一部に過剰な量の成形体材料を供給し、意図的に供給した成形体材料をスカッフィングロールで掻き取り、所望の形状に形成している。
スカッフィングロール42は、図4に示すように、ダクト4の内部の下流側において、回転ドラム2の外周面21上に、成形体材料に接触するように配されている。そして、スカッフィングロール42は、図5に示すように、ダクト4の内部において、一部に意図的に過剰に供給された成形体材料を掻き取り、掻き取った該成形体材料を回転ドラム2の回転方向R2の上流側に向けて掻き出して集積用凹部22に再積繊する。
スカッフィングロール42は、円柱状のロール本体421と、ロール本体421の外周面に立設された掻き取り用の多数の突起422とを有している。スカッフィングロール42は、図1に示すように、ドラム幅方向(2Y方向)においては、ロール本体421が、一対のリングプレート29,29上の回転ドラム2の全幅に亘って配されている。掻き取り用の多数の突起422は、少なくとも集積用凹部22の中央領域の中高用凹部23上の領域に配されていることが好ましく、一対のリングプレート29,29どうしの間の領域に配されていることが更に好ましく、回転ドラム2の全幅に亘って配されていることが特に好ましい。本実施形態の積繊装置1においては、多数の突起422は、集積用凹部22の中央領域の中高用凹部23上の領域に配されている。スカッフィングロール42は、集積用凹部22の中央領域の中高用凹部23に意図的に過剰に積繊した成形体材料を突起422により掻き取り、該中高用凹部23の側部に散らして再積繊する。突起422の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、あるいは合成樹脂等が用いられ、本実施形態の積繊装置1においては、ステンレス製のブラシが用いられている。突起422の高さは、掻き取る成形体材料の量に合わせて適宜設定することができるが、本実施形態の積繊装置1においては、回転ドラム2の最外面を形成するリングプレート29の外面29aに至るまでの高さに設定されている。具体的には、突起422の高さがスカッフィングロール42のロール本体421の周面から1mm〜10mm程度の高さであることが好ましく、4mm〜6mm程度の高さであることが特に好ましい。
スカッフィングロール42は、本実施形態の積繊装置1においては、後述するサーボモータにより矢印R3方向に回転駆動されており、回転ドラム2と対向する面が、回転ドラム2の回転方向R2と逆方向に移動するように回転している。すなわち、本実施形態の積繊装置1においては、スカッフィングロール42と回転ドラム2との回転方向は同じである。スカッフィングロール42の周速度は、成形体材料を掻き取る量と、掻き取った成形体材料を近場で再積繊させることとのバランスの観点から、回転ドラム2の周速度に比べて、2倍以上10倍以下であることが好ましく、3倍以上5倍以下であることが更に好ましい。即ち、このようにスカッフィングロール42の周速度が回転ドラム2の周速度に比べて速いと、スカッフィングロール42の突起422が集積用凹部22内にてあふれるように積繊した過剰量の成形体材料に接触する回数が増え、中高用凹部23部分を除く集積用凹部22における過剰量の成形体材料をまんべんなく掻き取ることができる。尚、スカッフィングロール42の周速度は、ロール本体421表面での周速を意味し、回転ドラム2の周速度は、回転ドラム2の外周面21を形成するリングプレート29表面での周速を意味する。
また、本実施形態の積繊装置1のダクト4の内部においては、図1及び図5に示すように、上述した成形体材料導入装置(不図示)が接続されているダクト4の他端側とスカッフィングロール42との間に、該ダクト4の天面から垂れ下がる垂下板43を有している。そして、垂下板43によってダクト4の内部が回転方向(R2方向)上流側の積繊領域PTと回転方向(R2方向)下流側の再積繊領域RPTとに分断されている。ここで、ダクト4の内部の積繊領域PTとは、飛散状態の成形体材料を集積用凹部22からあふれるように過剰に積繊させる領域である。また、ダクト4の内部の再積繊領域RPTとは、積繊させた過剰量の成形体材料をスカッフィングロール42にて掻き取り、掻き取った成形体材料を集積用凹部22における過剰に積繊させた部分の両側部に再積繊する領域である。このような垂下板43が配されることによって、ダクト4の内部において、スカッフィングロール42が仕切られている。
スカッフィングロール42は、モータに接続されており、本実施形態の積繊装置1では、図6に示すように、モータは交流サーボモータ9である。またモータはアンプにより駆動が制御されており、アンプは成形体材料を掻き取る際のスカッフィングロール42を回転させるモータの駆動の負荷変動に伴って変化するモータ電流値を計算する。本実施形態の積繊装置1では、アンプは交流サーボアンプ91であり、該交流サーボモータ9は交流サーボアンプ91により駆動が制御され、交流サーボモータ9から交流サーボアンプ91にフィードバックされるフィードバック情報から、スカッフィングロール42を回転させる。また交流サーボアンプ91は、交流サーボモータ9からフィードバックされるフィードバック情報から前記モータ電流値を計算する。即ち、本実施形態の積繊装置1は、スカッフィングロール42に接続された交流サーボモータ9と、該交流サーボモータ9の駆動を制御する交流サーボアンプ91とを備えている。スカッフィングロール42の回転制御にサーボモータ及びサーボアンプを用いることで、例えば、過剰量の成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42のトルク制御が容易となる。特に、交流サーボモータ9は、メンテナンスが不要で小型化が可能であり、直流サーボモータよりも寿命が長いことから、交流サーボモータ9を用いることで、スカッフィングロール42のトルク制御が容易となることに加え、ランニングコストのコストダウンを図ること等が可能になる。
交流サーボモータ9は、本実施形態の積繊装置1では、図6に示すように、互いに120度の位相角を持つU,V,W相の巻線を有する一般的な3相の交流モータである。交流サーボモータ9は、該交流サーボモータ9の回転を検出するエンコーダ90を有しており、該エンコーダ90は、発光素子が発光する光を回転板のスリットを介して受光素子が受光してパルス信号に変換し、該パルス信号を交流サーボアンプ91にフィードバックする。交流サーボモータ9から交流サーボアンプ91にフィードバックされるフィードバック情報は、本実施形態の積繊装置1では、エンコーダ90が出力する交流サーボモータ9の回転速度に関するパルス信号であり、該パルス信号はエンコーダ90から交流サーボアンプ91にフィードバックされる。
交流サーボアンプ91は、図6に示すように、交流サーボモータ9のU,V,W相の巻線にモータ電流を供給することで、交流サーボモータ9の駆動を制御している。好適に、交流サーボアンプ91は、エンコーダ90からフィードバックされる速度に関するパルス信号の値と目標速度に関する値とを比較して、必要に応じたモータ電流を交流サーボモータ9に供給することで交流サーボモータ9の駆動を制御している。また交流サーボアンプ91は、交流サーボモータ9に供給するモータ電流値を計算するモータ電流値算出部92を備えている。モータ電流値算出部92は、交流サーボモータ9のエンコーダ90から交流サーボアンプ91にフィードバックされるパルス信号から、成形体材料の過剰量を掻き取る際のスカッフィングロールを回転させる交流サーボモータ9の駆動の負荷変動に伴って変化するモータ電流値等を計算する。
また、本発明の製造装置は、交流サーボアンプ91の備えるモータ電流値算出部92が算出したモータ電流値を取得し、取得した該モータ電流値に基づき成形体材料の積繊を異常と判断する積繊異常判断部を備えている。本実施形態の積繊装置1では、交流サーボアンプ91の備えるモータ電流値算出部92が算出したモータ電流値を取得し、取得した該モータ電流値が所定の閾値を超えた場合に成形体材料の積繊を異常と判断する積繊異常判断部93を備えている。好適に、本実施形態の積繊装置1では、図6に示すように、交流サーボアンプ91にフィードバックされるパルス信号からモータ電流値算出部92が検出する交流サーボモータ9のモータ電流値を取得し、取得したモータ電流値が所定の閾値を超えた場合に、ダクト4内で集積用凹部22に集積された成形体材料の積繊過多として、積繊を異常と判断する積繊異常判断部93を備えている。
積繊異常判断部93は、図6に示すように、交流サーボアンプ91のモータ電流値算出部92に電気的に接続されており、モータ電流値算出部92が検出する交流サーボモータ9のモータ電流値を取得可能になっている。また、積繊異常判断部93は、成形体材料をスカッフィングロール42で掻き取る際に交流サーボモータ9に生じる駆動の負荷変動に伴って変化するモータ電流値のうち、予め設定したモータ電流値を閾値として記憶しており、該記憶した所定の閾値以上のモータ電流値を取得した場合には、積繊過多として積繊を異常と判断するようになっている。つまり、積繊異常判断部93が記憶した閾値を超えたモータ電流値をモータ電流値算出部92が検出し、閾値以上のモータ電流値を積繊異常判断部93が取得した場合に、積繊異常判断部93は積繊過多として積繊を異常と判断するようになっている。
積繊異常判断部93が記憶する閾値としては、次のように設定することができる。例えば、適切な形状及び坪量等を有する吸収体3を積繊装置1を用いて連続的に製造している場合において、スカッフィングロール42を用いて過剰量の成形体材料を掻き取っている条件下で、モータ電流値算出部92が検出する交流サーボモータ9のモータ電流値を経時観測する。このように経時観測したモータ電流値は、スカッフィングロール42が成形体材料を掻き取っていない状態でのモータ電流値に対する増加量(%)として観測される。次いで、経時観測したモータ電流の中で、最も高いモータ電流値(%)を閾値として積繊異常判断部93に記憶させる。そして、この閾値を超えたモータ電流値(%)をモータ電流値算出部92が検出し、積繊異常判断部93が該モータ電流値を取得した場合に、積繊異常判断部93は積繊過多として積繊を異常と判断することができる。
後述する図7に示すように、スカッフィングロール42を回転させるモータの駆動の負荷は、ダクト4内で集積用凹部22に集積された成形体材料をスカッフィングロール42が掻き取る過剰量に相関するため、スカッフィングロール42の駆動の負荷変動に伴って変化するモータのモータ電流値に基づいて、成形体材料の積繊の異常と判断することで、高精度な判断を行うことができるようになる。特に、本実施形態の積繊装置1のように、モータに交流サーボモータ9を用いることで、より高度な判断を行うことができる。また、予め、積繊過多と判断するモータ電流値の閾値を設定しておき、該閾値を超えた場合に積繊過多として積繊を異常とみなすことで、簡単かつ高精度に、積繊を異常と判断することができる。
積繊異常判断部93は、取得したモータ電流値の移動平均値を演算し、演算した該移動平均値に基づき成形体材料の積繊を異常と判断する。本実施形態の積繊装置1では、積繊異常判断部93は、取得したモータ電流値の移動平均値を演算し、演算した該移動平均値が所定の閾値を超えた場合に成形体材料の積繊過多と判断する移動平均判断部94を有している。移動平均判断部94は、モータ電流値算出部92が検出する交流サーボモータ9のモータ電流値の移動平均値を演算し、交流サーボモータ9のモータ電流値を平滑化させる。尚、積繊異常判断部93における閾値の設定も、上述した積繊異常判断部93による閾値の設定と同様の方法を用いることができる。また、移動平均値の演算には、一般的な演算方法を用いることができる。取得したモータ電流値の移動平均値を演算することで、取得したモータ電流値が平滑化され、積繊過多の場合及び積繊過多でない場合それぞれにおいて、振れ幅の小さいモータ電流値が得られる。積繊過多の場合及び積繊過多でない場合それぞれの振れ幅の小さいモータ電流値が得られることで、成形体材料の積繊を異常と判断し易くなる。特に、成形体材料の積繊過多と判断する移動平均値の閾値を設定する場合に該閾値を設定し易くなる。
成形体材料を吸引する吸気ファン8は、図1に示すように、回転ドラム2の空間Bと接続されている。好適に、吸気ファン8は、回転ドラム2の回転軸の軸長方向の他端に接続されており、該他端を介して回転ドラム2の空間Bと接続されている。吸気ファン8による吸引動作により、空間Bの内部を負圧に維持可能になる。
本発明の製造装置は、回転ドラムの内部から成形体材料を吸引する吸引装置を制御するインバータを有し、本実施形態の積繊装置1では、図1に示すように、吸気ファン8を制御する吸気インバータ80を有している。吸気インバータ80は、図6に示すように、吸気ファン8に接続されており、吸気ファン8に電流を供給することで吸気ファン8の吸引力を制御している。好適に、吸気インバータ80は、積繊装置1を制御する制御部100によって予め設定された設定動作通りに吸気ファン8が駆動するように、吸気ファン8に電流を供給している。本実施形態の積繊装置1では、吸気インバータ80は、吸気ファン8に入力される電流値を検出する電流センサ(図示せず)を有しており、該電流センサが検出する電流値に基づいて吸気ファン8に供給する電流を調整し、吸気ファン8を制御している。
また、本実施形態の積繊装置1では、吸気インバータ80は、上述した積繊異常判断部93に接続されており、該積繊異常判断部93がダクト4内の成形体材料の積繊が多い積繊過多と判断した際に、吸気ファン8の吸引力を制御することができるようになっている。例えば、吸気インバータ80は、該積繊異常判断部93が成形体材料の積繊過多として積繊を異常と判断すると、吸気ファン8に供給する電流を増やして、吸気ファン8の吸引力を増加させることができるようになっている。即ち、吸気ファン8による吸引力が低下することで積繊異常判断部93が成形体材料の積繊過多として積繊を異常と判断すると、吸気インバータ80により吸気ファン8の吸引力を増加させることで、ダクト4内の成形体材料の積繊過多を抑えることができ、吸収体3の製造不良が防止できる。
トランスファーロール5は、図1に示すように、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部が水平軸回りを回転する。トランスファーロール5の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間Eが形成されており、空間Eには、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されている。該排気装置を作動させることにより、該空間E内を負圧に維持可能である。トランスファーロール5の外周面には、内外を連通する吸引孔が複数(多数)形成されている。それらの吸引孔は、負圧に維持された空間E上を通過している間、外部から内部に空気を吸入し、その吸引力により、集積用凹部22内の積繊物が、回転ドラム2上からトランスファーロール5上へとスムーズに移行する。
バキュームコンベア6は、図1に示すように、駆動ロール61及び従動ロール62,62に架け渡された無端状の通気性ベルト63と、通気性ベルト63を挟んでトランスファーロール5と対向する位置に配されたバキュームコンベア6用のバキュームボックス64とを備えている。
バキュームボックス11は、図1に示すように、上下面、左右の両側面及び背面を有する箱状の形状を有し、回転ドラム2方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス11は、図示しない排気管等を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス11内を負圧に維持可能である。
切断装置7は、図1に示すように、例えば、生理用ナプキン、おむつ等の吸収性物品の製造において、吸収体連続体の切断に従来使用されているもの等を特に制限なく使用することができる。切断装置7は、本実施形態の積繊装置1では、図1に示すように、周面に切断刃71を備えたカッターロール72と、切断刃を受ける周面平滑なアンビルロール73とを備えている。尚、図1においては、カッターロール72及びアンビルロール73による吸収体連続体の切断により形成されるトリムは不図示としている。
次に、前述した積繊装置1を用いて吸収体を製造する製造方法、即ち、本発明の好ましい一実施形態である吸収体の製造方法について説明する。
本発明の好ましい一実施形態である吸収体の製造方法は、外周面21に集積用凹部22を有する回転ドラム2と、該回転ドラム2の外周面21に向けて成形体材料を飛散状態にて供給するダクト4と、該ダクト4の内部において成形体材料に接触するように配置されて積繊された過剰量の成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42とを有する積繊装置1を用い、回転ドラム2の内部からの吸引によって生じた空気流により集積用凹部22に成形体材料を積繊して、吸収体3を製造する吸収体の製造方法である。
先ず、図1に示すように、回転ドラム2内の空間B内を、吸気ファン8を作動させて負圧にする。同様に、トランスファーロール5内の空間E及びバキュームボックス11内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。空間B内を負圧にすることで、ダクト4内に、成形体材料を回転ドラム2の外周面21に搬送する空気流(バキュームエアー)が生じる。また、回転ドラム2及びトランスファーロール5を回転させ、バキュームコンベア6を作動させる。そして、成形体材料導入装置(不図示)を作動させて、ダクト4内に成形体材料を供給すると、該成形体材料は、ダクト4内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム2の外周面21に向けて供給され、集積用凹部22に積繊される。
次いで、図1に示すように、集積用凹部22に過剰に積繊した成形体材料をスカッフィングロール42で掻き取り、掻き取った該成形体材料を集積用凹部22における過剰に積繊させた部分の両側部に再積繊する。詳述すると、ダクト4の内部においては、図1,図4及び図5に示すように、積繊させた過剰量の成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42が備えられている。その為、図5に示すように、スカッフィングロール42を用いて、過剰に積繊した成形体材料を掻き取る。本実施態様においては、回転ドラム2の周方向(2X方向)に、中高用凹部23が配された部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さが、中高用凹部23を除く部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さよりも低くなっているので、積繊された成形体材料の高さが相対的に高い、中高用凹部23を除く部分に対応する領域の過剰に積繊された成形体材料を、スカッフィングロール42を用いて掻き取るようになる。即ち、積繊された成形体材料の高さが相対的に低い、中高用凹部23が配された部分に対応する領域に積繊された成形体材料は、スカッフィングロール42によって掻き取られ難くなっている。
スカッフィングロール42によって掻き取られた成形体材料は、ダクト4内の再積繊領域RPTにおいて、近場の上流側に飛散状態で返され、集積用凹部22に再積繊される。本実施形態の積繊装置1においては、垂下板43によって、ダクト4の内部においてはスカッフィングロール42が仕切られている。その為、本実施態様の積繊装置1においては、掻き取られて飛散状態で上流側に返された成形体材料は、垂下板43によって、上流側の隣接した近場に返され、集積用凹部22における過剰に積繊させた部分よりも、集積用凹部22における過剰に積繊させた部分の両側部に、掻き取られた成形体材料が再積繊され易くなっている。特に、本実施形態の積繊装置1においては、図5に示すように、垂下板43が、ダクト4の天面から回転ドラム2の回転方向(R2方向)に向かって円弧状のR形状に形成されているので、掻き取られた成形体材料が垂下板43に誘導されて再積繊し易くなっている。
次いで、集積用凹部22に積繊させた成形体材料の高さを再度スカッフィングロール42により一定の高さに調整する。本実施形態の積繊装置1においては、スカッフィングロール42のロール本体421及び多数の突起422が、回転ドラム2の全幅に亘って配されており、突起422の高さが、成形体材料に接触するように、回転ドラム2の最外面を形成するリングプレート29の外面29aに至るまでの高さに設定されている。その為、本実施態様においては、スカッフィングロール42により、集積用凹部22に積繊させた成形体材料が掻き取られ、掻き取られた成形体材料は、スカッフィングロール42の突起422までの高さ、即ち、本実施形態の積繊装置1においては、リングプレート29の外面29aの高さに調整される。
このとき、例えば、回転ドラム2の内部からの吸引が弱過ぎると、図5に示すように、スカッフィングロール42が掻き取る成形体材料の掻き取り量が正常時よりも多くなり、適切な量の成形体材料の積繊ができなくなる場合がある。例えば、回転ドラム2の内部からの吸引が弱過ぎると、集積用凹部22に過剰に積繊され過ぎるようになる。このとき、スカッフィングロール42による成形体材料の掻き取り量も多くなると共に、スカッフィングロール42の負荷も高くなり易く、成形体材料の積繊過多を生じ、吸収体の製造不良を引き起こすおそれがある。尚、上述した「正常時」とは、適切な形状及び坪量等を有する吸収体3を積繊装置1を用いて連続的に製造している場合を意味する。
本発明の吸収体の製造方法では、スカッフィングロールはモータに接続され、スカッフィングロールを回転させるモータの駆動の負荷変動に伴って変化するモータ電流値を取得し、取得した該モータ電流値に基づき前記成形体材料の積繊を異常と判断する。積繊装置1を用いる本実施形態の吸収体の製造方法では、図1に示すように、スカッフィングロール42は交流サーボモータ9に接続され、交流サーボモータ9は交流サーボアンプ91により駆動が制御されており、交流サーボモータ9から交流サーボアンプ91にフィードバックされるフィードバック情報から、成形体材料の過剰量を掻き取る際のスカッフィングロール42を回転させる交流サーボモータ9の駆動の負荷変動に伴って変化するモータ電流値を取得し、取得した該モータ電流値が所定の閾値を超えた場合に成形体材料の積繊を異常と判断している。好適に、積繊装置1を用いる本実施形態の吸収体の製造方法では、スカッフィングロール42は交流サーボモータ9に接続され、交流サーボモータ9は交流サーボアンプ91により駆動が制御されており、交流サーボモータ9から交流サーボアンプ91にフィードバックされるパルス信号から、成形体材料の過剰量を掻き取る際のスカッフィングロール42を回転させる交流サーボモータ9の駆動の負荷変動に伴って変化するモータ電流値を取得し、取得した該モータ電流値が所定の閾値を超えた場合に成形体材料の積繊過多として、積繊を異常と判断している。
成形体材料の積繊過多の判断に用いる閾値としては、次のように設定したものが用いられる。例えば、適切な形状及び坪量等を有する吸収体3を積繊装置1を用いて連続的に製造している場合において、スカッフィングロール42を用いて過剰量の成形体材料を掻き取っている条件下で、モータ電流値算出部92が検出する交流サーボモータ9のモータ電流値を経時観測する。このように経時観測したモータ電流値は、スカッフィングロール42が成形体材料を掻き取っていない状態でのモータ電流値に対する増加量(%)として観測され、経時観測したモータ電流の中で、最も高いモータ電流値(%)を閾値として設定する。
例えば図7に示すように、適切な形状及び坪量等を有する吸収体3を積繊装置1を用いて連続的に製造している場合において、スカッフィングロール42を用いて過剰量の成形体材料を掻き取っている条件下(以下、正常時の掻き取り条件ともいう)では、これを経時観測したモータ電流値(%)は、図7の(a)に示すように、スカッフィングロール42が成形体材料を掻き取っていない状態でのモータ電流値の8〜12%増のモータ電流値の波形となる。一方、正常時の掻き取り条件よりも掻き取り量がやや多い場合(例えば、成形体材料の量が通常時の10%増)では、図7の(b)に示すように、スカッフィングロール42が成形体材料を掻き取っていない状態でのモータ電流値の13〜15%増のモータ電流値の波形となる。また、正常時の掻き取り条件よりも掻き取り量が多い場合(例えば、成形体材料の量が通常時の20%増)では、図7の(c)に示すように、スカッフィングロール42が成形体材料を掻き取っていない状態でのモータ電流値(%)の14〜23%増のモータ電流値の波形となる。このように、掻き取り量がやや多い図7の(b)に示すモータ電流値の波形及び掻き取り量が多い図7の(c)に示すモータ電流値の波形は、正常時の掻き取り条件での図7の(a)に示すモータ電流値の波形よりも大きくなる。そのため、正常時の掻き取り条件での図7の(a)で示すモータ電流値(%)の波形の中で、最も高いモータ電流値(%)を閾値として積繊異常判断部93に記憶させると、該閾値を超えたモータ電流値(%)を検出した場合に、積繊過多として積繊を異常と判断することができる。
積繊異常判断部93により積繊を異常と判断すると、制御部100は、アラームを鳴らしたり、積繊装置1を停止させたりすることが好ましい。本実施形態の吸収体3の製造方法では、積繊異常判断部93により積繊過多として積繊を異常と判断されると、先ず、吸気ファン8を制御する吸気インバータ80が、吸気ファン8に供給する電流を増やして吸気ファン8の吸引力を増加させるようになっている。吸気インバータ80が吸気ファン8の吸引力を増加させることで、例えば、ダクト4内の吸気ファン8の吸引力が弱くなることに起因する集積用凹部22に過剰に積繊され過ぎている成形体材料に対して、成形体材料の積繊の量を抑えることができ、吸収体3の製造不良を防止することが期待できる。
そして、吸気ファン8の吸引力を増加させても、モータ電流値(%)が閾値を超えた状態が続いた場合、制御部100がアラームを鳴らした後、制御部100によって積繊装置1が停止されることが好ましい。
尚、積繊異常判断部93が、取得したモータ電流値の移動平均値を演算し、演算した該移動平均値が所定の閾値を超えた場合に成形体材料の積繊過多として積繊を異常と判断する移動平均判断部94を有している場合には、移動平均判断部94に移動平均値を演算させて、移動平均値に基づいて積繊過多を判断させることが好ましい。図8には、図7の(a)に示すモータ電流値の波形を移動平均して求めた移動平均値の波形(A)、図7の(b)に示すモータ電流値の波形を移動平均して求めた移動平均値の波形(B)及び図7の(c)に示すモータ電流値の波形を移動平均して求めた移動平均値の波形(C)が示されている。移動平均判断部94による閾値の設定も、上述した積繊異常判断部93による閾値の設定と同様の方法を用いることができる。
取得したモータ電流値の移動平均値を演算することで、図8の(A),(B),(C)のように、取得したモータ電流値が平滑化され、積繊過多の場合(図8の(B)及び(C))及び積繊過多でない場合(図8の(A))それぞれにおいて、振れ幅の小さいモータ電流値の波形が得られる。積繊過多の場合及び積繊過多でない場合それぞれの振れ幅の小さいモータ電流値の波形が得られることで、成形体材料の積繊を異常と判断し易くなる。特に、成形体材料の積繊過多と判断する移動平均値の閾値を設定する場合に該閾値を設定し易くなる。
以上のようにして、図1に示すように、集積用凹部22内に成形体材料を積繊させて積繊物32を得た後、更に回転ドラム2を回転させる。そして、集積用凹部22内の積繊物32は、バキュームボックス11の対向位置にくると、バキュームボックス11からの吸引によって、メッシュベルトに吸い付けられた状態となり、その状態で、トランスファーロール5と回転ドラム2との最接近部又はその近傍まで搬送される。そして、メッシュベルトに吸い付けられた状態の積繊物32は、トランスファーロール5側からの吸引により、集積用凹部22から離型し、メッシュベルトと共にトランスファーロール5上へと転写される。
本実施形態の積繊装置1では、集積用凹部22から離型した直後の積繊物32は、集積用凹部22の中央領域の深さの深い中高用凹部23に対応する部分が、高さの高い肉厚部、中高用凹部23を除く集積用凹部22に対応する部分が高さの低い肉薄部となる。具体的には、肉厚部は、その高さが、中高用多孔性プレート25上に配された空間プレート26の厚み、凹部区画プレート28の厚み、及びリングプレート29の厚みで形成されている。また、肉薄部は、多孔性プレート27上に配された凹部区画プレート28の厚み及びリングプレート29の厚みで形成されている。
トランスファーロール5上に転写された積繊物32は、トランスファーロール5側からの吸引を受けながら搬送され、トランスファーロール5の下方に配されたバキュームコンベア6上に導入された、ティッシュペーパー又は透液性の不織布等からなるコアラップシート37上へと受け渡される。その後、図1に示すように、コアラップシート37の搬送方向に沿う両側部が折り返され、積繊物32の上下両面がコアラップシート37に被覆される。そして、コアラップシート37に被覆された状態の積繊物32は、コアラップシート37と共に、切断装置7のカッターロール72によって、隣り合う肉厚部どうしの間の中間位置にて切断される。こうして、コアラップシート37に被覆された適切な形状及び坪量等を有する吸収体3が得られる。
以上説明したように、本実施形態の積繊装置1を用いた吸収体の製造方法によれば、成形体材料の過剰量を掻き取る際のスカッフィングロール42を回転させるモータの駆動の負荷変動に伴って変化するモータ電流値に基づいて積繊の異常と判断することで、簡単かつ高精度に成形体材料の積繊を異常と判断することができる。特に、交流サーボモータ9から交流サーボアンプ91にフィードバックされるフィードバック情報から取得した該モータ電流値が所定の閾値を超えた場合に成形体材料の積繊を異常と判断することで、簡単かつ高精度に成形体材料の積繊を異常と判断できる。具体的に、スカッフィングロール42を回転させる交流サーボモータ9の駆動の負荷は、図7に示すように、ダクト4内で集積用凹部22に集積された成形体材料をスカッフィングロール42が掻き取る過剰量に相関するため、スカッフィングロール42の駆動の負荷変動に伴って変化する交流サーボモータ9のモータ電流値に基づいて、成形体材料の積繊を異常とみなすことで、本実施形態の積繊装置1を用いれば、簡単かつ高精度な判断を行うことができるようになる。特に、予め、積繊過多として積繊を異常と判断するモータ電流値の閾値を積繊異常判断部93に記憶させておき、取得したモータ電流値が該閾値を超えた場合に積繊異常判断部93に積繊過多として積繊を異常とみなすことで、簡単かつ高精度に、積繊を異常と判断することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態では、モータとして交流サーボモータを用い、アンプとして交流サーボアンプを用いたが、直流サーボモータ及び直流サーボアンプを用いてもよい。また例えば、ステッピングモータを用いてもよい。
また、製造される積繊物32の形状は上述した形状に限られず、吸引調整プレート24、中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、一対のリングプレート29の交換等により、集積用凹部22の配置や形状、中高用凹部23の配置や形状を柔軟に変更してもよい。
本発明で製造する吸収体は、吸収性物品の吸収体として好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。