以下に、本発明について、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の吸収体の製造装置の好ましい本実施形態である積繊装置の概略が示されている。本実施形態の積繊装置1は、外周面21に集積用凹部22を有する回転ドラム2と、回転ドラム2の外周面21に向けて成形体材料を飛散状態にて供給するダクト4とを有し、回転ドラム2の内部からの吸引によって生じた空気流により集積用凹部22に成形体材料を積繊して、吸収体3を成型する吸収体3の製造装置である。そして、集積用凹部22は、第1領域と、該第1領域よりも深さの深い第2領域とを有している。集積用凹部22の第2領域は、本実施形態の積繊装置1においては、図2に示すように、集積用凹部22中央領域に配された該集積用凹部22よりも深い中高用凹部23で形成されている。そして、集積用凹部22の第1領域は、中央領域の中高用凹部23を除く集積用凹部22で形成されている。即ち、本実施形態の積繊装置1は、外周面21に集積用凹部22を有し、該集積用凹部22中央領域に該集積用凹部22よりも深い中高用凹部23を有する回転ドラム2と、回転ドラム2の外周面21に向けて成形体材料を飛散状態にて供給するダクト4とを有する。詳述すると、積繊装置1は、矢印R2方向に回転駆動される回転ドラム2と、回転ドラム2の外周面21に成形体材料を供給するダクト4と、回転ドラム2の斜め下方に配置され、矢印R5方向に回転駆動されるトランスファーロール5と、トランスファーロール5の下方に配されたバキュームコンベア6と、切断装置7とを備えている。積繊装置1においては、更に、バキュームボックス11が、回転ドラム2の周方向におけるダクト4とトランスファーロール5との間に設けられおり、メッシュベルト13が、バキュームボックス11と回転ドラム2との間及びトランスファーロール5と回転ドラム2との間を通るように配されており、風除けプレート15が、トランスファーロール5の外周面に近接させて設けられている。尚、集積用凹部22内の積繊物を型崩れさせずに安定的に転写させる観点から、本実施形態の積繊装置1においては、バキュームボックス11及び風除けプレート15を設けているが、設けなくてもよい。図1に示すように、回転ドラム2の回転方向は、後述するコアラップシート37の搬送方向に対して、逆方向となる矢印R2方向の回転方向であり、トランスファーロール5の回転方向は、コアラップシート37の搬送方向に対して、順方向となる矢印R5方向の回転方向である。
回転ドラム2は、図1に示すように、円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、回転ドラム2の外周面21を形成する部分が、水平軸回りを回転する。回転ドラム2は、図2に示すように、その外周面21に、成形体材料が積繊される集積用凹部22を有し、更に、集積用凹部22における回転ドラム2の幅方向(2Y方向)の中央領域に配され、該集積用凹部22よりも深い中高用凹部23を有している。中高用凹部23を含む集積用凹部22は、回転ドラム2の周方向(2X方向)に所定の間隔で複数形成されている。図2中、2X方向が回転ドラム2の周方向、2Y方向が回転ドラム2の幅方向(回転ドラム2の回転軸と平行な方向)である。
回転ドラム2は、図3に示すように、本実施形態の積繊装置1においては、金属製の剛体からなる円筒状のドラム本体(図示せず)と、該ドラム本体の外周部に重ねて固定された吸引調整プレート24と、該吸引調整プレート24の外面24a側に重ねて固定された中高用多孔性プレート25(多孔性部材)と、該中高用多孔性プレート25の外面25a側に重ねて固定された空間プレート26と、該空間プレート26の外面26a側に重ねて固定された多孔性プレート27(多孔性部材)と、該多孔性プレート27の外面27a側に重ねて固定された凹部区画プレート28と、該凹部区画プレート28の外面28a側に重ねて固定されたリングプレート29とを有する。回転ドラム2は、前記ドラム本体及びこれら各プレート24〜29が、ボルトあるいは接着剤等の公知の固定手段によって互いに固定されて形成されている。ここで、図2,図3に示すように、成形体材料の被積繊面である中高用凹部23の底面23aは、吸引孔を多数有する中高用多孔性プレート25(多孔性部材)から構成されている。また、成形体材料の被積繊面である集積用凹部22の底面22aは、詳述すると、中高用凹部23部分を除く集積用凹部22の底面22aは、多孔性プレート27から構成されている。
尚、本明細書において、回転ドラム2の各構成部材(吸引調整プレート24、中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、リングプレート29等)の外面は、当該構成部材における、成形体材料の積繊されるときに該成形体材料の供給側に向けられる面である。また、当該各構成部材の内面は、当該構成部材における、成形体材料が積繊されるときに該成形体材料の供給側とは反対側(回転ドラムの内方側)に向けられる面である。積繊装置1で製造される成形体が、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる吸収体である場合、成形体材料は吸収体原料である。
成形体材料は、繊維材料を含むものである。吸収体原料としての成形体材料は、従来、生理用ナプキンやパンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、解繊パルプ等のパルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン等の合成繊維の短繊維等が用いられる。これらの繊維材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、吸収体原料としての成形体材料は、繊維材料と共に、吸水性ポリマーを用いても良い。また、繊維状の原料として、繊維状の吸水性ポリマーを単独で又は繊維材料と共に用いることもできる。更に、繊維材料等と共に、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じて用いることもできる。
リングプレート29は、その外面29aが回転ドラム2の最も外側に位置し、外周面21の一部を形成する部材であり、集積用凹部22の外周面を形成する部材でもある。ここで「集積用凹部22の外周面」とは、集積用凹部22を回転ドラム2の外周面の法線方向(回転ドラム2の回転軸方向と直行する方向)の外方から見た際の集積用凹部22の輪郭に沿った外面を意味する。以降、本明細書において、集積用凹部22等の対象物を回転ドラム2の外周面の法線方向の外方から見ることを、集積用凹部22等の対象物を平面視するという。本実施形態の積繊装置1においては、集積用凹部22を平面視して、集積用凹部22が搬送方向に長い矩形状の輪郭を有しているので、1対のリングプレート29,29が、回転ドラム2の両側部に配され、各リングプレート29が回転ドラム2の全周に亘って同幅で延びて形成されている。また各リングプレート29の厚みは一定に形成されている。
以上のように形成されたリングプレート29においては、1対のリングプレート29,29どうしの間が、集積用凹部22の幅を決定し、リングプレート29の厚みが集積用凹部22の深さを決定する要素の1つとなる。1対のリングプレート29,29は、それらの間の部分を除き、空気を通さない非通気性となっている。ここで、「非通気性」とは、「空気を全く通さない非通気性」及び「微量の空気は通すが実質的に空気を通さない難通気性」の両方の意味を含んでおり、実質的に非通気性という意味である。リングプレート29としては、例えば、ステンレスあるいはアルミ等の金属又は樹脂製の板に機械加工を施し開口部(凹部22内の立体形状に対応する形状の空間部)を形成したプレート、あるいは金型を用いて該開口部を一体成形したプレート、あるいはパンチング、エッチングしたプレート、それらのプレートを重ね合わせたもの等を用いることができる。
凹部区画プレート28は、平面視して、厚み方向に貫通する複数の十字状の開口部281と、各十字状の開口部281を区画形成する十字状の開口部画成部材282と、厚み方向に貫通する複数の開口部283と、各開口部283を区画形成する開口部画成部284とを有している。十字状の開口部281は、周方向(2X方向)に間欠的に複数配されている。詳述すると、開口部画成部材282は、平面視して、搬送方向に帯状に一定の間隔で延びる部分と、該搬送方向に延びる部分の搬送方向略中央部分において両側縁から幅方向(2Y方向)外方に凸に形成された部分とを有する十字状に形状されている。更に詳述すると、十字状の開口部画成部材282を構成する搬送方向に延びる部分における搬送方向前後端が外方に凸に湾曲した円弧状に形成されている。また、十字状の開口部画成部材282を構成する一対の幅方向(2Y方向)外方に凸に形成された部分は、幅方向(2Y方向)外方に向かって間隔が漸次短い台形状に形成されている。開口部281は、この十字状の開口部画成部材282内に位置して、開口部画成部材282と同じ輪郭を有する十字状に形成されている。開口部画成部284は、平面視して複数の十字状の開口部281(十字状の開口部画成部材282)を除く領域において、搬送方向に平行に延びる複数本のMD画成部材285と幅方向(2Y方向)に平行に延びる(搬送方向に垂直な方向に延びる)複数本のCD画成部材286とを有している。開口部画成部284は、複数本のMD画成部材285と複数本のCD画成部材286とが交差して、格子状に形成されており、各開口部283は、この格子状の開口部画成部284における格子の目の部分に位置して、各開口部画成部284と同じ輪郭を有する形状に形成されている。
十字状の開口部画成部材282と、MD画成部材285及びCD画成部材286を有する開口部画成部284とは、空気を通さない非通気性を有している。ここでいう「非通気性」は、前述した通りである。非通気性の開口部画成部材282,284の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、あるいは樹脂、あるいはこれらを組合せた材料等を用いることができる。凹部区画プレート28の有する複数の十字状の開口部281及び複数の開口部283は、該凹部区画プレート28の外面28aに重ねて固定される1対のリングプレート29,29で挟まれる領域に配されている。凹部区画プレート28を構成する十字状の開口部画成部材282及び格子状の開口部画成部284は、その厚みが一定に形成されている。凹部区画プレート28の厚みも、リングプレート29の厚みと同様に、集積用凹部22の深さを決定する要素の1つとなる。
多孔性プレート27は、平面視して、複数の十字状の開口部271を有している。多孔性プレート27の十字状の開口部271は、多孔性プレート27の外面27aに重ねて固定される凹部区画プレート28の各十字状の開口部281と同じ位置に配される。多孔性プレート27の複数の十字状の開口部271と、凹部区画プレート28の複数の十字状の開口部281とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、多孔性プレート27の十字状の開口部271は、対応する凹部区画プレート28の十字状の開口部281に対する相似比が1であり、開口部271と開口部281とは、平面視形状が互いに合同の関係にある。
多孔性プレート27は、中高用凹部23部分を除く集積用凹部22の底面22aを形成する部材である。多孔性プレート27は、積繊装置1の内部側(回転ドラム2の内方)からの吸引によって生じた空気流(バキュームエアー)を、回転ドラム2を覆うダクト4内に伝え、該空気流に乗って運ばれてくる成形体材料を透過させずに保持し、空気のみを透過させる通気性のプレートである。多孔性プレート27には、複数の十字状の開口部271を除く領域に、該プレート27を厚み方向に貫通する吸引孔(細孔)が、均一な分布で複数(多数)形成されており、集積用凹部22が回転ドラム2内における負圧に維持された空間上を通過している間、該吸引孔が空気流の透過孔として機能する。多孔性プレート27としては、例えば、金属又は樹脂製のメッシュプレート、あるいは金属又は樹脂製の板にエッチング、パンチングで複数(多数)の細孔を形成したもの等を用いることができる。
空間プレート26は、平面視して、空間プレート26の外面26aに重ねて固定される多孔性プレート27の各十字状の開口部271の輪郭に沿って形成される環状画成部材261と、搬送方向に平行に延びる複数本のMD画成部材262と、幅方向(2Y方向)に平行に延びる(搬送方向に垂直な方向に延びる)複数本のCD画成部材263とを有している。MD画成部材262及びCD画成部材263は、互いに交差するのみならず、環状画成部材261とも交差して、格子形状を形成している。空間プレート26は、環状画成部材261で囲まれた領域においては、MD画成部材262及びCD画成部材263が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の環状内開口部264を有している。また、空間プレート26は、環状画成部材261を除く領域においては、MD画成部材262及びCD画成部材263が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の開口部265を有している。
上述したように、空間プレート26の環状画成部材261は、空間プレート26の外面26aに重ねて固定される多孔性プレート27の各十字状の開口部271の輪郭に沿って形成されており、空間プレート26の複数の環状画成部材261と多孔性プレート27の複数の十字状の開口部271の輪郭とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、空間プレート26の複数の環状画成部材261は、対応する多孔性プレート27の十字状の開口部271の輪郭に対する相似比が1である。その為、環状画成部材261は、多孔性プレート27の開口部271の輪郭のみならず、多孔性プレート27の開口部271と合同の関係にある凹部区画プレート28の十字状の開口部281を画成する開口部画成部材282の輪郭とも、平面視形状が互いに合同の関係にある。尚、互いに合同の関係にあるとは、互いに完全に合致していることが好ましいが、若干大きさが違っている場合も含む意味である。
また、空間プレート26の複数の開口部265は、空間プレート26の外面2a上に多孔性プレート27を介して固定される凹部区画プレート28の複数の開口部283と、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、空間プレート26の開口部265は、対応する凹部区画プレート28の開口部283に対する相似比が1であり、開口部265と開口部283とは、平面視形状が互いに合同の関係にある。空間プレート26を構成する環状画成部材261、MD画成部材262及びCD画成部材263は、その厚みが一定に形成されている。空間プレート26の厚みは、集積用凹部22の中央領域の中高用凹部23の深さを決定する要素の1つとなる。
空間プレート26の環状画成部材261、MD画成部材262及びCD画成部材263は、空気を通さない非通気性を有している。ここでいう「非通気性」は、前述した通りである。非通気性の環状画成部材261、MD画成部材262及びCD画成部材263の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、あるいは樹脂、あるいはこれらを組合せた材料等を用いることができる。
中高用多孔性プレート25は、平面視して、複数配されており、各十字状の形状に形成されている。各十字状の中高用多孔性プレート25は、中高用多孔性プレート25の外面25aに重ねて固定される空間プレート26の各環状画成部材261と同じ位置に配される。複数の十字状の中高用多孔性プレート25の輪郭と、空間プレート26の複数の環状画成部材261とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、十字状の中高用多孔性プレート25は、対応する空間プレート26の環状画成部材261に対する相似比が1である。その為、十字状の中高用多孔性プレート25は、その輪郭が環状画成部材261と合同の関係にあるのみならず、その全体形状が多孔性プレート27の開口部271、及び凹部区画プレート28の十字状の開口部281とも、平面視形状が互いに合同の関係にある。
中高用多孔性プレート25は、中高用凹部23の底面23aを形成する部材である。中高用多孔性プレート25は、多孔性プレート27と同様に、積繊装置1の内部側(回転ドラム2の内方)からの吸引によって生じた空気流(バキュームエアー)を、回転ドラム2を覆うダクト4内に伝え、該空気流に乗って運ばれてくる成形体材料を透過させずに保持し、空気のみを透過させる通気性のプレートである。中高用多孔性プレート25には、該プレート25を厚み方向に貫通する吸引孔(細孔)が、均一な分布で複数(多数)形成されており、集積用凹部22内の中高用凹部23が回転ドラム2内における負圧に維持された空間上を通過している間、該吸引孔が空気流の透過孔として機能する。中高用多孔性プレート25としては、例えば、金属又は樹脂製のメッシュプレート、あるいは金属又は樹脂製の板にエッチング、パンチングで複数(多数)の細孔を形成したもの等を用いることができる。
吸引調整プレート24は、平面視して、吸引調整プレート24の外面24aに重ねて固定される十字状の中高用多孔性プレート25の輪郭に沿って形成される環状画成部材241と、搬送方向に平行に延びる複数本のMD画成部材242と、幅方向(2Y方向)に平行に延びる(搬送方向に垂直な方向に延びる)複数本のCD画成部材243とを有している。MD画成部材242及びCD画成部材243は、互いに交差するのみならず、環状画成部材241とも交差して、格子形状を形成している。吸引調整プレート24は、環状画成部材241で囲まれた領域においては、MD画成部材242及びCD画成部材243が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の環状内開口部244を有している。吸引調整プレート24の複数の環状内開口部244は、吸引調整プレート24の外面24a上に中高用多孔性プレート25を介して固定される空間プレート26の複数の環状内開口部264とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、吸引調整プレート24の環状内開口部244は、対応する空間プレート26の環状内開口部264に対する相似比が1であり、環状内開口部244と環状内開口部264とは、平面視形状が互いに合同の関係にある。
吸引調整プレート24は、環状画成部材241を除く領域においては、MD画成部材242及びCD画成部材243が交差した格子の目の部分に位置して、厚み方向に貫通する複数の開口部245を有している。吸引調整プレート24の複数の開口部245は、吸引調整プレート24の外面24a上に中高用多孔性プレート25を介して固定される空間プレート26の複数の開口部265とは、1対1で対応しており、平面視形状が互いに相似の関係にある。本実施形態の積繊装置1においては、吸引調整プレート24の開口部245は、対応する空間プレート26の開口部265に対する相似比が1より小さく、該相対比が0.05以上0.5以下であることが好ましい。即ち、吸引調整プレート24の開口部245は、その開口面積が、空間プレート26の開口部265の開口面積よりも狭くなっている。吸引調整プレート24の開口部245は、空間プレート26の開口部265の開口面積(S1)に対する開口面積(S2)の割合(S2/S1)が、好ましくは50%以上5%以下(5%以上50%以下)、更に好ましくは15%以上7%以下(7%以上15%以下)である。
吸引調整プレート24を構成する環状画成部材241、MD画成部材242及びCD画成部材243は、その厚みが一定に形成されている。吸引調整プレート24の環状画成部材241、MD画成部材242及びCD画成部材243は、空気を通さない非通気性を有している。ここでいう「非通気性」は、前述した通りである。非通気性の環状画成部材241、MD画成部材242及びCD画成部材243の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、あるいは樹脂、あるいはこれらを組合せた材料等を用いることができる。
回転ドラム2は、以上のように構成された吸引調整プレート24、複数の中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、一対のリングプレート29を公知の固定手段によって互いに固定されて形成されている。このように構成された本実施形態の積繊装置1の備える回転ドラム2には、図2に示すように、集積用凹部22の多孔性部材の内面側に、吸引力を調整する調整体20が、該多孔性部材の内面に重ねて配置されている。調整体20は、該調整体20を厚み方向に貫通する複数の開口部を有し、該開口部の一部は、集積用凹部20の多孔性部材から相対的に遠い方の開口部が相対的に近い方の開口部に比して開口面積が小さくなっている。中高用凹部23の多孔性部材の内面側には、吸引力を調整する調整体20が配置されておらず、多孔性部材の吸引孔(細孔)は、外面側の開口面積と内面側の開口面積が同じである。詳述すると、中高用凹部23の多孔性部材の外面側に配される開口部の開口面積と該多孔性部材の内面側に配される開口部の開口面積とが同じとなっている。以下、具体的に説明する。
回転ドラム2の外表面21に形成される集積用凹部22の中高用凹部23は、図2に示すように平面視して、その輪郭が、吸引調整プレート24の環状画成部材241、中高用多孔性プレート25の輪郭、空間プレート26の環状画成部材261、多孔性プレート27の開口部271の輪郭、及び凹部区画プレート28の開口部画成部材282の位置が一致して、十字状に形成されている。また、集積用凹部22の中高用凹部23は、その底面23aが中高用多孔性プレート25(多孔性部材)で構成され、中高用凹部23内の領域においては、図2に示すように平面視して、中高用多孔性プレート25を挟む吸引調整プレート24の複数の環状内開口部244と空間プレート26の複数の環状内開口部264の位置及び形状が一致している。このように、中高用凹部23の底面23aを構成する中高用多孔性プレート25(多孔性部材)よりも回転ドラム2の内方には、吸引調整プレート24しか配されておらず、中高用多孔性プレート25の外面側に配される空間プレート26の環状内開口部264の開口面積と中高用多孔性プレート25の内面側に配される吸引調整プレート24の環状内開口部244の開口面積とが同じとなっている。その為、集積用凹部22における中高用凹部23の中高用多孔性プレート25の内面側には、吸引力を調整する調整体20が配されていない。また、集積用凹部22の中高用凹部23は、その深さが、図4に示すように、中高用多孔性プレート25上に配された空間プレート26の厚み、凹部区画プレート28の厚み、及びリングプレート29の厚みで形成されるようになる。
回転ドラム2の外表面21に形成される集積用凹部22は、図2に示すように平面視して、その輪郭が、一対の矩形状のリングプレート29,29で挟まれて帯状に形成されている。また、集積用凹部22は、中高用凹部23を除く領域の底面22aが多孔性プレート27(多孔性部材)で構成され、中高用凹部23を除く領域においては、図2に示すように平面視して、凹部区画プレート28の複数の開口部283と空間プレート26の複数の開口部265の位置及び形状が一致し、それらの開口部283,265の中心寄りの位置に、それらの開口面積よりも狭い吸引調整プレート24の開口部245が配されている。即ち、吸引調整プレート24の開口部245の開口面積が、凹部区画プレート28の開口部283及び空間プレート26の開口部265それぞれの開口面積よりも狭い。このように、集積用凹部22の中高用凹部23を除く領域の底面22aを構成する多孔性プレート27(多孔性部材)よりも回転ドラム2の内方には、空間プレート26及び吸引調整プレート24が配されており、多孔性プレート27(多孔性部材)から相対的に遠い方の吸引調整プレート24の開口部245が相対的に近い方の空間プレート26の開口部265に比して開口面積が小さくなっているので、集積用凹部22における多孔性プレート27(多孔性部材)の内面側には、吸引力を調整する調整体20が配されている。また、集積用凹部22(中高用凹部23を除く)は、その深さが、図4に示すように、多孔性プレート27上に配された凹部区画プレート28の厚み及びリングプレート29の厚みで形成されるようになる。
集積用凹部22における多孔性プレート27(多孔性部材)の内面側に上述した開口面積が小さい調整体20が配されていると、中高用凹部23の中高用凹部23の中高用多孔性プレート25(多孔性部材)の内面側のように開口面積が大きい調整体20が配されている場合に比して、装置内部側からの吸引によって多孔性部材を介して成形体材料を吸引する空気流(バキュームエアー)が抑制される。即ち、図5に示すように、回転ドラム2の外方から多孔性プレート27を通って内方に向かって流れる空気流(図5中矢印で示す)は、凹部22の底部における調整体20が配されている領域においては、多孔性プレート27、空間プレート26の開口部265、及び吸引調整プレート24の開口部245の順で、回転ドラム2の各構成部材を通過する。その際、空気流は、該空気流の風下に位置し実質的に成形体材料の吸引部として機能する吸引調整プレート24の開口部245が、該開口部245よりも該空気流の風上に位置する空間プレート26の開口部265に比して、開口面積が小さくなされていることにより、多孔性プレート27を介しての通気性が阻害され、空気流の風量を抑制することができる。
尚、空気流に乗せて供給した成形体材料を、集積用凹部22に吸引して積繊させる積繊工程において、成形体材料の坪量は、多孔性部材を流れる風量に依存する。従って、調整体20を、多孔性部材の内面側における、積繊する成形体材料の坪量を他の部位に比して小さくしたい部位に対応する領域に配することにより、所望の部位の坪量が低減した成形体を簡易な設備で製造することができる。即ち、集積用凹部22の中高用凹部23を除く領域は、内面側に調整体20が配されているので、低坪量積繊領域となり、集積用凹部22における中高用凹部23には、内面側に調整体20が配されていないので、高坪量積繊領域となる。
本実施形態の積繊装置1について更に説明すると、図1に示すように、回転ドラム2は、その内部(回転軸側の部分)に、仕切られた複数の空間を有し、各空間の吸引力を調整する吸引力調整手段を有している。具体的には、回転ドラム2は、外周面21を形成する部分よりも内側(回転軸側)の部分が回転しないように形成されており、回転ドラム2の幅方向の両端部に、円盤状の固定板291,291と、両固定板291,291を繋ぐ円柱状の中心軸部292とを有している。固定板291,291と中心軸部292とは、金属製の剛体からなり、一体に形成されている。回転ドラム2の内部には、金属製の複数のプレート293が、両固定板291,291間に亘って、中心軸部292の外周面から外周面21側に向かって配されており、積繊装置1においては、4個配されている。各プレート293は、中心軸部292の外周面から各固定板291の外周縁に至るまで延在している。4個のプレート293により仕切られて、回転ドラム2の内部には、回転ドラム2の周方向(2X方向)に隣り合うプレート293により相互間が仕切られて独立した空間A、B、C及びDが形成されている。中心軸部292には吸気ファン(不図示)が接続されており、該吸気ファンの駆動により、独立した空間A〜Dの圧力が調整できるようになっている。積繊装置1においては、空間A及び空間Bが負圧に維持されるようになっている。
空間A及び空間Bは、図1,図6に示すように、外周面21がダクト4で覆われた領域に位置している。空間Aと空間Bとを仕切るプレート293は、後述するダクト4の天面から垂れ下がる垂下板43の先端近傍に向かって延在している。空間Bの負圧は、空間Aの負圧と同じ又は弱い負圧に設定されており、積繊装置1においては、空間Aの負圧より弱い負圧に設定されている。尚、図6においては、回転ドラム2の内部の空間A及び空間Bの説明の為、固定板291を取り外した状態を示している。
また、回転ドラム2の残りの空間C,Dは、大気圧(圧力ゼロ)に設定されている。空間Cには、後述するバキュームボックス11側からの吸引によって外部の空気が流入し、空間Dには、トランスファーロール5側からの吸引によって外部の空気が流入する。空間Cは、空間C上における転写(集積用凹部22内の積繊物のトランスファーロール5等への転写)を良好に行なうために、転写後の領域となる空間Dとは区切られている。回転ドラム2は、集積用凹部22内の積繊物のトランスファーロール5への転写位置に対応する空間(空間C)内に、該回転ドラム2の内部から多孔性プレート27に向かうブロー(空気流)の発生手段を有していても良い。その場合、該発生手段を用いて空間Cからバキュームボックス11に向かって積極的にブローを行うことにより、集積用凹部22からの積繊物の離型を促進することができる。
尚、空間Cは、通常、空間Bよりも弱い負圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定される。集積用凹部22内の積繊物をトランスファーロール5上に転写するまでは、該積繊物の搬送性の観点から、空間Cを弱い負圧にして、該積繊物を集積用凹部22内に吸引保持させておくことが好ましいが、搬送性に特に問題がなければ、転写性を考慮すると、空間Cは圧力ゼロが好ましい。また、空間Dは、集積用凹部22内の積繊物がトランスファーロール5上に転写された後の該集積用凹部22が通過する領域なので、圧力ゼロ又は陽圧が好ましい。
ダクト4は、図1に示すように、その一端側が、回転ドラム2の空間A及び空間B上に位置して該空間A及び空間Bの領域全域に亘って回転ドラム2の外周面21を覆っており、図示しない他端側には、成形体材料導入装置(不図示)を有している。成形体材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプ(繊維材料)をダクト4内に送り込む粉砕機を備えている。ダクト4の途中に吸水性ポリマーの粒子を導入する吸水性ポリマー導入部を設けることもできる。
回転ドラム2の個々の集積用凹部22は、負圧に維持された空間A上を通過している間、前述した底面22a,23aを構成する多孔性プレート27及び中高用多孔性プレート25を介して吸引部からの吸引が行われる。各集積用凹部22の多孔性材料の細孔からの吸引によって、ダクト4内に、吸収体の原料を回転ドラム2の外周面に搬送する空気流が生じ、該空気流に乗せて搬送された原料が各集積用凹部22内に堆積する。
本実施形態の積繊装置1においては、図1に示すように、後述する垂下板43よりも回転ドラム2の回転方向(R2方向)上流側の空間Aに対応するダクト4の内部にて、回転ドラム2の周方向(2X方向)に沿う両側部に一対の仕切り板41,41が備えられている。また、ダクト4の内部においては、沿う両側部に沿って配置された仕切り板41,41から回転ドラム2の回転方向(R2方向)下流側に離間した位置に、積繊させた過剰量の成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42が備えられている。
一対の仕切り板41,41は、回転ドラム2の周方向(2X方向)に沿う両側部に沿って延在している。詳述すると、一対の仕切り板41,41は、ダクト4の内部において、回転ドラム2とダクト4の他端側の成形体材料導入装置(不図示)との間で、且つ、回転ドラム2の外周面21を形成する一対のリングプレート29,29上に配されており、リングプレート29に沿って周方向(2X方向)に延在している。また、各仕切り板41は、ドラム幅方向(2Y方向)においては、図4に示すように断面視して、ダクト4を構成する各側壁40からリングプレート29を越えて、回転ドラム2に配された集積用凹部22における周方向(2X方向)に沿う側部を覆う位置まで延在している。更に詳述すると、各仕切り板41は、ダクト4を構成する各側壁40からリングプレート29を越えて、回転ドラム2に配された集積用凹部22中央領域の中高用凹部23における周方向(2X方向)に沿う側縁近傍に至るまで延在している。一対の仕切り板41,41は、このような位置まで延在しているものであれば、ドラム幅方向(2Y方向)に平行に延びる板状のもの等であってもよいが、ダクト4の他端側の成形体材料導入装置(不図示)側から回転ドラム2に向かって、互いの間隔が漸次狭くなるように傾斜した面を有するものであることが好ましい。一対の仕切り板41,41が、このような傾斜した面を有する形態であれば、仕切り板41上に成形体材料が積もり難くなる。
前述した傾斜した面を有するものとして、本実施形態の積繊装置1においては、各仕切り板41は、図1,図4に示すように、略直角三角形の断面、或いは上底が下底に比べて極めて狭い台形の断面を有する四角錐台形状となっている。このような四角錐台形状の一対の仕切り板41,41は、互いの対向面が、ダクト4の他端側の成形体材料導入装置(不図示)側から回転ドラム2に向かって、互いの間隔が漸次狭くなるように傾斜しており、一対の仕切り板41,41の回転ドラム2側の端部41a,41aどうしの間隔が、集積用凹部22中央領域の中高用凹部23の幅と一致している。このような仕切り板41の形成材料としては、金属又は合成樹脂、あるいはこれらを組合せた材料等を用いることができる。
また、本実施形態の積繊装置1は、図1,図6に示すように、ダクト4の内部において、回転ドラム2の回転方向2X下流側にダクト4の天面から垂れ下がる垂下板43により仕切られた空間4S内に、表面が集積用凹部22内に堆積した成形体材料に接触するように配置されて、積繊させた過剰量の成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42と、スカッフィングロール42よりも回転ドラム2の回転方向2X下流側に配置されて、外気を取り込むダクト開口部44とを備えている。具体的には、ダクト4は、ダクト4の内部において、ダクト4の天面から、空間Aと空間Bとを仕切るプレート293の外方端部近傍に向かって垂れ下がる垂下板43を有している。垂下板43は、ダクト4の全幅に亘ってダクト4の天面から回転ドラム2の周方向(2X方向)の上流側に向かって凸の円弧状に形成されている。垂下板43の先端は、あふれるように積繊した過剰量の成形体材料の頂部に触れない位置まで垂れ下がっている。このような垂下板43が配されることによって、ダクト4の内部において、垂下板43により仕切られた空間4Sが形成されている。このような垂下板43が配されていると、積繊領域(解繊された成形体材料が回転ドラム2の表面上に積繊される領域)と再積繊領域(スカッフィング42によってかきとられた成形体材料が再積繊される領域)が分断され、積繊領域にある成形体材料の積繊を阻害し難くなっている。このように仕切られた空間4S内にスカッフィングロール42が配されている。
スカッフィングロール42は、ダクト4内部の空間4S内において、図1,図6に示すように、回転ドラム2の空間Bの領域の下流側に配され、且つ、回転ドラム2の外周面21上に、成形体材料に接触するように配されている。スカッフィングロール42は、円柱状のロール本体421と、ロール本体421の外周面に立設された掻き取り用の多数の突起422とを有している。スカッフィングロール42は、ドラム幅方向(2Y方向)においては、ロール本体421が、一対のリングプレート29,29の間で回転ドラム2上に配されており、多数の突起422が、少なくとも集積用凹部22中央領域の中高用凹部23上の領域に配されていることが好ましく、一対のリングプレート29,29どうしの間の領域に配されていることが好ましく、回転ドラム2の全幅に亘って配されていることが特に好ましい。本実施形態の積繊装置1においては、ロール本体421及び多数の突起422が、リングプレート29、29の間において回転ドラム2上に配されている。スカッフィングロール42は、集積用凹部22内においてあふれるように積繊した過剰量の成形体材料を突起422により掻き取る。突起422の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属、あるいは合成樹脂等が用いられ、本実施形態の積繊装置1においては、合成樹脂製のブラシが用いられている。突起422の高さは、掻き取る成形体材料の量に合わせて適宜設定することができるが、本実施形態の積繊装置1においては、回転ドラム2の最外面を形成するリングプレート29の外面29aに至るまでの高さに設定されている。具体的には、突起422の高さがスカッフィングロール42のロール本体421の周面から1mm〜10mm程度の高さであることが好ましい。
スカッフィングロール42は、モータ等の原動機からの動力を受けて水平軸回りを回転する。スカッフィングロール42は、本実施形態の積繊装置1においては、矢印R3方向に回転駆動されており、回転ドラム2と対向する面が、回転ドラム2の回転方向と逆方向に移動するように回転している。すなわち、本実施形態の積繊装置1においては、スカッフィングロール42と回転ドラム2との回転方向は同じである。スカッフィングロール42の周速度は、成形体材料を掻き取る量と、掻き取った成形体材料を近場で再積繊させることとのバランスの観点から、回転ドラム2の周速度に比べて、2倍以上10倍以下であることが好ましく、3倍以上5倍以下であることが更に好ましい。即ち、このようにスカッフィングロール42の周速度が回転ドラム2の周速度に比べて速いと、スカッフィングロール42の突起422が集積用凹部22内にてあふれるように積繊した過剰量の成形体材料に接触する回数が増え、中高用凹部23部分を除く集積用凹部22における過剰量の成形体材料をまんべんなく掻き取ることができる。尚、スカッフィングロール42の周速度は、ロール本体421表面での周速を意味し、回転ドラム2の周速度は、回転ドラム2の外周面21を形成するリングプレート29表面での周速を意味する。
上述したように、図1,図6に示すように、ダクト4の内部には、スカッフィングロール42よりも回転ドラム2の回転方向2X下流側に、外気を取り込むダクト開口部44を備えている。実施形態の積繊装置1においては、ダクト開口部44は、ダクト4における回転ドラム2の回転方向2X最下流に位置する出口に形成されている。即ち、ダクト4の出口が開口してダクト開口部44を形成している。また、ダクト開口部44は、その開口面積を調整して、取り込む外気の量を調整する外気量調整手段を有している。実施形態の積繊装置1においては、ダクト4の出口のダクト開口部44に、下側の回転ドラム2側を閉じる閉鎖板441が配置されている。閉鎖板441は、ダクト4のダクト開口部44の全幅に亘って、即ち、ダクト4を構成する両側壁40,40間に亘って配され、ダクト開口部44のダクト4の天面側から回転ドラム2側に移動可能に形成されており、移動させることにより、ダクト開口部44の位置を調整して、ダクト4の天面とスカッフィングロールの隙間への取り込む外気の量が調整できるようになっている。また閉鎖板441の大きさを変えることで、ダクト開口部44の開口面積を調整して、外気の量が調整できるようになっている。
詳述すると、回転ドラム2の個々の集積用凹部22は、ダクト4の空間4Sに位置する、負圧に維持された空間B上を通過している間、前述した底面22a,23aを構成する多孔性プレート27及び中高用多孔性プレート25を介して吸引部からの吸引が行われる。その為、ダクト4の空間4Sの内部には、ダクト開口部44から外気が取り込まれるようになっている。そして、ダクト開口部44は、閉鎖板441により、ダクト開口部44の開口面積が調整され、取り込まれる外気の量が調整される。
図6に示すように、飛散状態の成形体材料を集積用凹部22に積繊させた状態において、スカッフィングロール42で掻き取った成形体材料をスカッフィングロール42の突起422から剥がし易くする観点から、スカッフィングロール42とダクト4の天面との間を流れるダクト開口部44から取り込まれた外気の流速(V1)は、スカッフィングロール42と回転ドラム2との間を流れるダクト開口部44から取り込まれた外気の流速(V2)よりも速いことが好ましい。前記外気の流速(V2)に対する前記外気の流速(V1)の比(V1/V2)は、上記効果を一層奏する観点から、1以上4以下であることが好ましく、1.5以上3倍以下であることが更に好ましい。具体的には、スカッフィングロール42とダクト4の天面との間の外気の流速(V1)は、5m/s以上100m/s以下であることが好ましく、10m/s以上70m/s以下であることが更に好ましい。スカッフィングロール42と回転ドラム2との間の外気の流速(V2)は、0.1m/s以上70m/s以下であることが好ましく、0.1m/s以上50m/s以下であることが更に好ましい。尚、外気の流速は、アネモマスター等の風速計により測定することができる。このような流速にする観点から、ダクト4の出口にて開口しているダクト開口部44は、ダクト4の高さは方向に関して、ダクト4の天面側の位置に設けられていることが好ましい。より好ましくは、ダクト開口部44は、スカッフィングロール42の回転軸よりも、回転ドラム2の上方に設けられることが好ましい。
以上のように構成された回転ドラム2とダクト4とを有する本実施形態の積繊装置1は、ダクト4の内部が、垂下板43よりも回転ドラム4の回転方向2X上流側であって、飛散状態の成形体材料を集積用凹部22からあふれるように過剰に積繊させる積繊領域PTと、垂下板43よりも回転ドラム4の回転方向2X下流側であって、積繊させた過剰量の成形体材料をスカッフィングロール42にて掻き取り、掻き取った成形体材料を集積用凹部22に再積繊させる再積繊領域RPTとに、垂下板43によって分断されている。本実施形態の積繊装置1は、垂下板43よりも回転ドラム4の回転方向2X上流側のダクト4の内部において、飛散状態の成形体材料を集積用凹部22からあふれるように過剰に積繊させ、積繊させた過剰量の該成形体材料をスカッフィングロール42にて掻き取り、仕切られた空間4S内で掻き取った該成形体材料を集積用凹部22に再積繊する装置である。更に、本実施形態の積繊装置1は、飛散状態の成形体材料を一対の仕切り板41,41にて集積用凹部22における一対の仕切り板41,41どうしの間に対応する領域にあふれるように過剰に積繊させ、積繊させた過剰量の該成形体材料をスカッフィングロール42にて掻き取り、仕切られた空間4S内で掻き取った該成形体材料を集積用凹部22における過剰に積繊させた部分の両側部に再積繊する装置である。積繊装置1が回転ドラム2及びダクト4に加えて有するトランスファーロール5、バキュームコンベア6、切断装置7等について以下説明する。
トランスファーロール5は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部が水平軸回りを回転する。トランスファーロール5の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間Eが形成されている。空間Eには、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、該空間E内を負圧に維持可能である。
トランスファーロール5の外周面には、内外を連通する吸引孔が複数(多数)形成されている。それらの吸引孔は、負圧に維持された空間E上を通過している間、外部から内部に空気を吸入し、その吸引力により、集積用凹部22内の積繊物が、回転ドラム2上からトランスファーロール5上へとスムーズに移行する。
バキュームコンベア6は、駆動ロール61及び従動ロール62,62に架け渡された無端状の通気性ベルト63と、通気性ベルト63を挟んでトランスファーロール5と対向する位置に配されたコンベア6用バキュームボックス64とを備えている。
メッシュベルト13側のバキュームボックス11は、上下面、左右の両側面及び背面を有する箱状の形状を有し、回転ドラム2方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス11は、図示しない排気管等を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス11内を負圧に維持可能である。
メッシュベルト13は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール14及びトランスファーロール5に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト13は、トランスファーロール5の回転によって駆動される。メッシュベルト13は、図1に示すように、ダクト4のスカッフィングロール42が配された側の端部の近傍において、回転ドラム2の外周面上に導入された後、バキュームボックス11と回転ドラム2との間及びトランスファーロール5と回転ドラム2との間を順次通過するように配されている。メッシュベルト13は、バキュームボックス11の開口部の前を通過している間は、回転ドラム2の外周面に接触しており、トランスファーロール5と回転ドラム2との最接近部付近で、回転ドラム2の外周面から離れてトランスファーロール5上へと移行する。メッシュベルト13は、トランスファーロール5の前記吸引孔に比して小さい細孔を有し、トランスファーロール5の吸引孔からの吸引に伴い、該吸引孔と重なるメッシュベルト13の細孔からの吸引も行われる。
風除けプレート15は、トランスファーロール5の外周面の幅方向における前記吸引孔が形成されている領域を挟んでその両側に一対設けられており、側方からの風の流入を防止ないし軽減して、集積用凹部22から離型された積繊物の形くずれ等を防止する。風除けプレート15の材質は、特に制限されないが、風に抵抗できる剛性を持たせる観点から、金属又は合成樹脂製であり、0.5〜10mm程度の厚みを有することが好ましい。
切断装置7としては、例えば、生理用ナプキン、おむつ等の吸収性物品の製造において、吸収体連続体の切断に従来使用されているもの等を特に制限なく使用することができる。図1に示した切断装置7は、周面に切断刃71を備えたカッターロール72と、切断刃を受ける周面平滑なアンビルロール73とを備えている。
次に、前述した積繊装置1を用いて吸収体を連続的に製造する方法について説明する。
積繊装置1を用いる吸収体の製造方法は、外周面21に集積用凹部22を有し、該集積用凹部22中央領域に第1領域である該集積用凹部22よりも深い第2領域である中高用凹部23を有する回転ドラム2に、成形体材料を飛散状態にて供給し、該成形体材料を集積用凹部22に積繊する積繊工程を具備する。
前記積繊工程の実施に先立ち、先ず、回転ドラム2内の空間A及び空間B、トランスファーロール5内の空間E、並びにバキュームボックス11内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。空間A内を負圧にすることで、ダクト4内に、吸収体原料を回転ドラム2の外周面21に搬送する空気流(バキュームエアー)が生じる。また、回転ドラム2及びトランスファーロール5を回転させ、バキュームコンベア6を作動させる。
そして、前記成形体材料導入装置(不図示)を作動させて、ダクト4内に吸収体原料である成形体材料を供給すると、該成形体材料は、ダクト4内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム2の外周面21に向けて供給され、集積用凹部22に積繊される(積繊工程)。
積繊工程においては、一対の仕切り板41,41を用いて飛散状態の成形体材料を集積用凹部22における一対の仕切り板41,41どうしの間に対応する領域にあふれるように過剰に積繊する。具体的には、図1,図4,図6に示すように、ダクト4の内部には、回転ドラム2の周方向(2X方向)に沿う両側部に一対の仕切り板41,41が設けられているので、集積用凹部22における一対の仕切り板41,41どうしの間に対応する領域に集中して飛散状態の成形体材料を集積する。本実施形態の積繊装置1においては、集積用凹部22の中央領域に配された中高用凹部23の中高用多孔性プレート25の内面に、開口面積が大きい調整体20が配されている。そして、中高用多孔性プレート25を除く集積用凹部22の領域に配された多孔性プレート27の内面に、開口面積が小さい調整体20が配されている。そのため、中高用多孔性プレート25を介して成形体材料を吸引する空気流は抑制されず、多孔性プレート27を介して成形体材料を吸引する空気流が抑制される。従って、積繊装置1を用いる吸収体の製造方法においては、一対の仕切り板41,41どうしの間の中高用凹部23が位置する領域上に更に集中して飛散状態の成形体材料を集積することができる。
さらに、本実施形態の積繊装置1においては、一対の仕切り板41,41は、互いの対向面が、ダクト4の他端側の成形体材料導入装置(不図示)側から回転ドラム2に向かって、互いの間隔が漸次狭くなるように傾斜しており、一対の仕切り板41,41の回転ドラム2側の端部41a,41aどうしの間隔が、集積用凹部22中央領域の中高用凹部23の幅と一致している。その為、積繊装置1を用いる吸収体の製造方法の積繊工程においては、一対の仕切り板41,41どうしの間の中高用凹部23が位置する領域上に更に集中して飛散状態の成形体材料を集積することができる。ここで、一対の仕切り板41,41の端部41a、41aの間隔を、中高用凹部23の幅(形成したい吸収体3の中高部の幅)に合わせて設定すると、坪量比の高い吸収体を加工する事が出来る。例えば、後述する図8に示す吸収体を加工する場合には、肉厚部(中高部)33の幅方向に細い部分の幅と、仕切り板の端部41a、41aを合わせる事で、より坪量比の高い吸収体3を加工する事が出来るようになる。
尚、中高用凹部23が位置する領域には、回転ドラム2の周方向(2X方向)に中高用凹部23が間欠的に配されているので、中高用凹部23が配された部分は、中高用凹部23を除く集積用凹部22よりも深くなっている。その為、図6に示すように、一対の仕切り板41,41どうしの間に対応する領域上においては、回転ドラム2の周方向(2X方向)に、中高用凹部23が配された部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さが、中高用凹部23を除く部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さよりも低くなる。
次いで、前記積繊工程の後、過剰に積繊した成形体材料を掻き取り、掻き取った該成形体材料を集積用凹部22における過剰に積繊させた部分の両側部に再積繊する(再積繊工程)。詳述すると、本実施形態の積繊装置1の備えるダクト4の内部は、一対の仕切り板41,41によって飛散状態の成形体材料を集積用凹部22に過剰に積繊させる積繊領域PTと、掻き取った成形体材料を集積用凹部22に再積繊させる再積繊領域RPTとに、垂下板43により分断されている。そして、ダクト4の内部の垂下板43により仕切られた再積繊領域RPTである空間4Sにおいては、図1,図6に示すように、仕切り板41から下流側に離間して、積繊させた過剰量の成形体材料を掻き取るスカッフィングロール42が備えられている。その為、再積繊工程においては、図7に示すように、スカッフィングロール42を用いて、過剰に積繊した成形体材料を掻き取る。上述したように、積繊装置1を用いる吸収体の製造方法においては、一対の仕切り板41,41どうしの間に対応する領域にて、回転ドラム2の周方向(2X方向)に、中高用凹部23が配された部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さが、中高用凹部23を除く部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さよりも低くなっているので、一対の仕切り板41,41どうしの間に対応する領域における、積繊された成形体材料の高さが相対的に高い、中高用凹部23を除く部分に対応する領域の過剰に積繊された成形体材料を、スカッフィングロール42を用いて掻き取るようになる。即ち、一対の仕切り板41,41どうしの間に対応する領域における、積繊された成形体材料の高さが相対的に低い、中高用凹部23が配された部分に対応する領域に積繊された成形体材料は、スカッフィングロール42によって掻き取られ難くなっている。
掻き取られた成形体材料は、ダクト4の空間4S内においては、垂下板43によって、垂下板43の付近の上流側に飛散状態で返され、集積用凹部22に再積繊する。本実施形態の積繊装置1においては、ダクト4の内部には、スカッフィングロール42よりも回転ドラム2の回転方向2X下流側に、外気を取り込むダクト開口部44が備えられている。従って、ダクト開口部44を介して外気が取り込まれることにより、図7に示すように、スカッフィングロール42で掻き取った成形体材料がスカッフィングロール42の突起422から剥がし易くなっている。特に、本実施形態の積繊装置1においては、ダクト開口部44には、外気量調整手段である閉鎖板441が配されており、閉鎖板441により、ダクト開口部44の開口面積が調整され、スカッフィングロール42とダクト4の天面との間の外気の流速(V1)を、スカッフィングロール42と回転ドラム2との間の外気の流速(V2)よりも速く調整できる。このように調整することにより、スカッフィングロール42で掻き取った成形体材料がスカッフィングロール42の突起422から更に剥がし易くなる。
ダクト4の空間4S内の垂下板43の付近の上流側の集積用凹部22においては、未だ過剰量の成形体材料がスカッフィングロール42で掻き取られていない状態である。その為、過剰に積繊させた部分よりも、過剰に積繊させた部分の回転ドラム2の周方向(2X方向)に沿う両側部の方が、積繊された成形体材料の量が少なく積繊された成形体材料により吸引力が阻害され難い。従って、集積用凹部22における過剰に積繊させた部分よりも、集積用凹部22における過剰に積繊させた部分の両側部に、掻き取られた成形体材料が再積繊され易い。このように、本実施形態の積繊装置1においては、スカッフィングロール42により掻き取られた成形体材料を、すぐ近くの集積用凹部22における前記両側部に再積繊できるので、ダクト4内の成形体材料を運ぶ風の流れが変化し難く、所望の坪量の吸収体を製造し易い。また、本実施形態の積繊装置1においては、図7に示すように、垂下板43が、ダクト4の天面から回転ドラム2の回転方向(R2方向)に向かって円弧状のR形状に形成されているので、掻き取られた成形体材料が垂下板43に誘導されて再積繊し易くなっている。
次いで、積繊装置1を用いる吸収体の製造方法においては、ダクト4の空間4S内にて、前記再積繊工程の後、集積用凹部22に積繊させた成形体材料の高さを再度スカッフィングロール42により一定の高さに調整する(高さ調整工程)。本実施形態の積繊装置1においては、スカッフィングロール42のロール本体421及び多数の突起422が、回転ドラム2の全幅に亘って配されており、突起422の高さが、回転ドラム2の最外面を形成するリングプレート29の外面29aに至るまでの高さに設定されている。その為、積繊装置1を用いる吸収体の製造方法においては、スカッフィングロール42により、集積用凹部22に積繊させた成形体材料は、リングプレート29の外面29aの高さに調整される。
以上のようにして、図1に示すように、集積用凹部22内に成形体材料積繊させて積繊物32を得た後、更に回転ドラム2を回転させる。そして、集積用凹部22内の積繊物32は、バキュームボックス11の対向位置にくると、バキュームボックス11からの吸引によって、メッシュベルト13に吸い付けられた状態となり、その状態で、トランスファーロール5と回転ドラム2との最接近部又はその近傍まで搬送される。そして、メッシュベルト13に吸い付けられた状態の積繊物32は、トランスファーロール5側からの吸引により、集積用凹部22から離型し、メッシュベルト13と共にトランスファーロール5上へと転写される。
図8には、本実施形態の集積用凹部22から離型した直後の積繊物32が示されている。積繊物32は、図8に示すように、集積用凹部22の中央領域の深さの深い中高用凹部23に対応する部分が、高さの高い肉厚部33、中高用凹部23を除く集積用凹部22に対応する部分が高さの低い肉薄部34となる。具体的には、肉厚部33は、その高さが、中高用多孔性プレート25上に配された空間プレート26の厚み、凹部区画プレート28の厚み、及びリングプレート29の厚みで形成されている。また、肉薄部34は、多孔性プレート27上に配された凹部区画プレート28の厚み及びリングプレート29の厚みで形成されている。
更に詳述すると、肉厚部33は、中高用多孔性プレート25上に配された空間プレート26の環状画成部材261で囲まれた領域において格子状に交差するMD画成部材262及びCD画成部材263によって分割され、分割肉厚部331を有している。また、肉薄部34は、多孔性プレート27上に配された凹部区画プレート28の十字状の開口部281を除く開口部画成部284において格子状に交差するMD画成部材285及びCD画成部材286によって分割され、分割肉薄部341を有している。
尚、本実施形態の積繊装置1においては、集積用凹部22の中央領域に配された中高用凹部23の中高用多孔性プレート25の内面には調整体20が配されておらず、そして、中高用多孔性プレート25を除く集積用凹部22の領域に配された多孔性プレート27の内面には調整体20が配されている。その為、積繊装置1を用いる吸収体の製造方法で得られた積繊物32の肉厚部33は、相対的に吸収体原料の積繊量が多い高坪量部となっており、肉薄部34は、相対的に吸収体原料の積繊量が少ない低坪量部となっている。また、積繊物32の底面は、スカッフィングロール42により全域が略平坦となっている。
トランスファーロール5上に転写された積繊物32は、トランスファーロール5側からの吸引を受けながら搬送され、トランスファーロール5の下方に配されたバキュームコンベア6上に導入された、ティッシュペーパー又は透液性の不織布等からなるコアラップシート37上へと受け渡される。その後、図1に示すように、コアラップシート37の搬送方向に沿う両側部が折り返され、積繊物32の上下両面がコアラップシート37に被覆される。そして、コアラップシート37に被覆された状態の積繊物32は、コアラップシート37と共に、切断装置7のカッターロール72によって、隣り合う肉厚部33,33どうしの間の中間位置にて切断される。こうして、コアラップシート37に被覆された吸収体3が得られる。
積繊装置1を用いる吸収体の製造方法で得られる吸収体3は、肉厚部33と肉薄部34とを含み、吸収体原料である成形体材料の高さ部分的に異なる吸収体である。前述したダクト4内に配された一対の仕切り板41,41とスカッフィングロール42との作用により、吸収体3には積繊ムラは見られず、吸収体3は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体として好適な高品質なものとなっている。このように、本実施形態の積繊装置1を用いた製造方法によれば、所望の高さの中高部を備える吸収体を安定的に製造することができる。また、前述した調整体20の作用により、肉厚部33は相対的に高坪量となっており、肉薄部34は相対的に低坪量となっている。このように、本実施形態の積繊装置1を用いた製造方法によれば、所望の坪量の中高部を備える吸収体を安定的に製造することができる。
本発明は、前記実施形態の積繊装置1に制限されず適宜変更可能である。
例えば、前述した本実施形態の積繊装置1においては、垂下板43よりも回転ドラム2の回転方向(R2方向)上流側のダクト4の内部にて、回転ドラム2の周方向(2X方向)に沿う両側部に一対の仕切り板41,41が備えられているが、備えられていなくてもよい。一対の仕切り板41,41が備えられていなくても、回転ドラム2の周方向(2X方向)に、中高用凹部23が配された部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さが、中高用凹部23を除く部分に対応する領域に積繊された成形体材料の高さよりも低くなっている。このような、積繊された成形体材料の高さが相対的に高い、中高用凹部23を除く部分に対応する領域の過剰に積繊された成形体材料を、ダクト4の空間4S内にてスカッフィングロール42を用いて掻き取る。スカッフィングロール42で掻き取った成形体材料は、上述したように、ダクト開口部44を介して取り込まれた外気によってスカッフィングロール42の突起422から剥がし易くなっており、仕切られた空間4S内で掻き取った該成形体材料を集積用凹部22に再積繊され易く、所望の高さの中高部を備える吸収体を安定的に製造することができる。
また、前述した本実施形態の積繊装置1においては、集積用凹部22における多孔性プレート27(多孔性部材)の回転ドラム2の内面側に、吸引力を調整する調整体20が配置されているが、吸引力を調整する調整体20を何れの領域にも配置しなくてもよい。このような回転ドラム2を用いて製造される積繊物32は、高さの高い肉厚部33と低い肉薄部34とを有する偏在積繊物となる。該偏在積繊物における肉厚部は相対的に坪量の高い高坪量部となり、肉薄部は相対的に坪量の低い低坪量部となる。
また、製造される積繊物32の形状は上述した形状に限られず、吸引調整プレート24、中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、一対のリングプレート29の交換等により、集積用凹部22の配置や形状、中高用凹部23の配置や形状を柔軟に変更してもよい。また、中高用凹部23における第1領域よりも深さの深い第2領域を形成する中高用凹部23は、集積用凹部22の中央領域以外の領域に配されていてもよい。
また、回転ドラム2は、図3に示すように、吸引調整プレート24、中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、一対のリングプレート29からなるプレートを用いているが、該プレートの替わりに、例えば、高坪量部を形成したい部分が深く凹んだ一体物のプレートを用いてもよい。尚、吸引調整プレート24、中高用多孔性プレート25、空間プレート26、多孔性プレート27、凹部区画プレート28、一対のリングプレート29からなるプレートを備えていることにより、坪量比の高い吸収体を精度良く製造する事が出来る。
本発明で製造する吸収体は、吸収性物品の吸収体として好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収体の製造装置を開示する。
<1>
外周面に集積用凹部を有する回転ドラムと、該回転ドラムの外周面に向けて成形体材料を飛散状態にて供給するダクトとを有し、前記回転ドラムの内部からの吸引によって生じた空気流により前記集積用凹部に前記成形体材料を積繊して、吸収体を成型する吸収体の製造装置であって、
前記集積用凹部は、第1領域と、該第1領域よりも深さの深い第2領域とを有し、
前記ダクトの内部において、前記回転ドラムの回転方向下流側に該ダクトの天面から垂れ下がる垂下板により仕切られた空間内に、表面が前記成形体材料に接触するように配置されて、積繊させた過剰量の前記成形体材料を掻き取るスカッフィングロールと、該スカッフィングロールよりも前記回転ドラムの前記回転方向下流側に配置されて、外気を取り込むダクト開口部とを備え、
前記ダクトの内部は、前記垂下板よりも前記回転ドラムの回転方向上流側であって、飛散状態の前記成形体材料を前記集積用凹部からあふれるように過剰に積繊させる積繊領域と、前記垂下板よりも前記回転ドラムの前記回転方向下流側であって、積繊させた過剰量の該成形体材料を前記スカッフィングロールにて掻き取り、掻き取った該成形体材料を前記集積用凹部に再積繊させる再積繊領域とに、前記垂下板によって分断されている吸収体の製造装置。
<2>
飛散状態の前記成形体材料を前記集積用凹部に積繊させた状態において、前記スカッフィングロール及び前記ダクトの天面の間の前記ダクト開口部から取り込まれた外気の流速が、前記スカッフィングロール及び前記回転ドラムの間の前記ダクト開口部から取り込まれた外気の流速よりも速い前記<1>に記載の吸収体の製造装置。
<3>
前記スカッフィングロール及び前記回転ドラムの前記ダクト開口部から取り込まれた外気の流速(V2)に対する前記スカッフィングロール及び前記ダクトの天面の間の前記ダクト開口部から取り込まれた外気の流速(V1)の比(V1/V2)は、1以上4以下、好ましくは1.5以上3倍以下である前記<2>に記載の吸収体の製造装置。
<4>
前記スカッフィングロール及び前記ダクトの天面の間の前記ダクト開口部から取り込まれた外気の流速(V1)は、5m/s以上100m/s以下、好ましくは10m/s以上70m/s以下である前記<2>又は<3>に記載の吸収体の製造装置。
<5>
前記スカッフィングロール及び前記回転ドラムの前記ダクト開口部から取り込まれた外気の流速(V2)は、0.1m/s以上70m/s以下、好ましくは0.1m/s以上50m/s以下である前記<2>〜<4>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<6>
前記ダクト開口部は、その開口面積を調整して、取り込む外気の量を調整する外気量調整手段を有する前記<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<7>
前記ダクト開口部に、前記回転ドラム側を閉じる閉鎖板が配置されている前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<8>
前記閉鎖板は、前記ダクトのダクト開口部の全幅に亘って配され、該ダクト開口部の該ダクトの天面側から前記回転ドラム側に移動可能に形成されている前記<7>に記載の吸収体の製造装置。
<9>
前記ダクト開口部は、前記ダクトの高さ方向に関して、該ダクトの天面側の位置に設けられている前記<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<10>
前記ダクト開口部は、前記スカッフィングロールの回転軸よりも、前記回転ドラムの上方に設けられる前記<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<11>
前記回転ドラムは、その内部に仕切られた複数の空間を有し、各該空間の吸引力を調整する吸引力調整手段を有する前記<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<12>
前記回転ドラムは、前記外周面が前記ダクトで覆われた領域に、前記空間である空間A及び空間Bを有する前記<11>に記載の吸収体の製造装置。
<13>
前記空間A及び前記空間Bが負圧に維持されるようになっている前記<12>に記載の吸収体の製造装置。
<14>
前記空間Bの負圧は、前記空間Aの負圧と同じ又は弱い負圧に設定されている前記<13>に記載の吸収体の製造装置。
<15>
前記空間Bの負圧は、前記空間Aの負圧より弱い負圧に設定されている前記<14>に記載の吸収体の製造装置。
<16>
前記第2領域は、前記集積用凹部の中央領域に配された中高用凹部23で形成されている前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<17>
前記回転ドラムの前記集積用凹部は、負圧に維持された前記空間A上を通過している間、前記第1領域及び前記第2領域の底面を構成する多孔性プレート及び中高用多孔性プレートを介して吸引部からの吸引が行われる前記<12>〜<16>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<18>
前記回転ドラムは、円筒状のドラム本体と、該ドラム本体の外周部に重ねて固定された吸引調整プレートと、該吸引調整プレートの外面側に重ねて固定された中高用多孔性プレート(多孔性部材)と、該中高用多孔性プレートの外面側に重ねて固定された空間プレートと、該空間プレートの外面側に重ねて固定された多孔性プレート(多孔性部材)と、該多孔性プレートの外面側に重ねて固定された凹部区画プレートと、該凹部区画プレートの外面側に重ねて固定されたリングプレートとを有する前記<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<19>
前記凹部区画プレートは、平面視して、厚み方向に貫通する複数の十字状の開口部と、各十字状の開口部を区画形成する十字状の開口部画成部材と、厚み方向に貫通する複数の開口部と、該開口部を区画形成する開口部画成部とを有している前記<18>に記載の吸収体の製造装置。
<20>
前記多孔性プレートは、平面視して、複数の十字状の開口部を有しており、
前記多孔性プレートの前記十字状の開口部は、該多孔性プレートの外面に重ねて固定される前記凹部区画プレートの各十字状の開口部と同じ位置に配される前記<18>又は<19>に記載の吸収体の製造装置。
<21>
前記空間プレートは、平面視して、前記多孔性プレートの各十字状の開口部の輪郭に沿って形成される環状画成部材を有し、
前記中高用多孔性プレートは、その輪郭が環状画成部材と合同の関係にあるのみならず、その全体形状が前記多孔性プレートの開口部、及び前記凹部区画プレートの十字状の開口部とも、平面視形状が互いに合同の関係にある前記<18>〜<20>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<22>
前記ダクト開口部は、前記ダクトにおける前記回転ドラムの前記回転方向最下流に位置する出口に形成されている前記<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<23>
前記垂下板よりも前記回転ドラムの前記回転方向上流側の前記ダクトの内部において、前記回転ドラムの周方向に沿う両側部に配置された一対の仕切り板を備え、
飛散状態の前記成形体材料を前記一対の仕切り板にて前記集積用凹部における該一対の仕切り板どうしの間に対応する領域に前記集積用凹部からあふれるように過剰に積繊させ、積繊させた過剰量の該成形体材料を前記スカッフィングロールにて掻き取り、前記仕切られた空間内で掻き取った該成形体材料を前記集積用凹部における過剰に積繊させた部分の両側部に再積繊する前記<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<24>
前記第2領域の底面、及び前記第1領域の底面は、それぞれ、吸引孔を多数有する多孔性部材で構成されており、
前記集積用凹部における前記多孔性部材の内面側に、吸引力を調整する調整体が、該多孔性部材の内面に重ねて配置されており、
前記調整体は、該調整体を厚み方向に貫通する複数の開口部を有し、該開口部の一部は、前記集積用凹部の前記多孔性部材から相対的に遠い方の開口部が相対的に近い方の開口部に比して開口面積が小さい前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<25>
前記第2領域の前記多孔性部材の内面側に、吸引力を調整する調整体が配置されておらず、前記多孔性部材の前記吸引孔は、外面側の開口面積と内面側の開口面積が同じである前記<24>に記載の吸収体の製造装置。
<26>
前記一対の仕切り板は、前記回転ドラムに向かって、互いの間隔が漸次狭くなるように傾斜しており、
前記一対の仕切り板の前記回転ドラム側の端部どうしの間隔が、前記第2領域の幅と一致している前記<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<27>
前記垂下板は、前記ダクトの全幅に亘って該ダクトの天面から前記回転ドラムの周方向(2X方向)の上流側に向かって凸の円弧状に形成されている前記<1>〜<26>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<28>
前記成形体材料は、繊維材料を含む前記<1>〜<27>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<29>
前記成形体材料は、繊維材料と共に、吸水性ポリマーを含む前記<1>〜<28>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<30>
前記スカッフィングロールは、円柱状のロール本体と、該ロール本体の外周面に立設された掻き取り用の多数の突起とを有している前記<1>〜<29>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<31>
前記スカッフィングロールは、前記回転ドラムと対向する面が、該回転ドラムの回転方向と逆方向に移動するように回転している前記<1>〜<30>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<32>
前記スカッフィングロールの周速度は、前記回転ドラムの周速度に比べて、2倍以上10倍以下、好ましくは3倍以上5倍以下である前記<1>〜<31>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。
<33>
前記吸収体は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等の吸収性物品に用いられる前記<1>〜<32>の何れか1に記載の吸収体の製造装置。