JP6763129B2 - 車両のロックアップ制御方法及び制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発進時、ロックアップクラッチをスリップ制御させながら締結する発進スリップ制御を行う車両のロックアップ制御方法及び制御装置に関する。
ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを、エンジンと変速機との間に備えた車両は、発進時に、ロックアップクラッチをスリップさせながら締結させる発進スリップ制御を行う。この発進スリップ制御は、発進トルクが不足するような特定の条件下では非作動としていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−226333号公報
発進スリップ制御は、ロックアップクラッチのスリップ締結によりエンジン回転数の吹け上がりが抑制されるため、その後のロックアップ締結までの間のエンジン回転数の落ち込みも抑制される。よって、燃費向上のために、発進時のエンジン回転数の吹き上がりとその後の落ち込みを抑制することを考えると、全運転領域で発進スリップ制御を行うことが好ましい。
とはいえ、発進トルクが不足するような場合は、トルクコンバータのトルク増幅作用を利用する必要があるため、発進スリップ制御を非作動とせざるを得ない。例えば、登坂路での発進時といった、大きな発進トルクが必要となる場合である。そのような場合、エンジンの回転数が吹け上がり、その後、エンジンの回転数が落ち込むことになる。
ところが、全運転領域で発進スリップ制御を行うことを基本制御とする車両においては、普段ドライバは発進時のエンジン回転数の落ち込みを意識していない。にもかかわらず、発進トルクが不足するといった稀な機会に、エンジン回転数の落ち込みが生じると、ドライバに違和感を与えてしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、発進スリップ制御が行えない発進の際、エンジン回転数の落ち込みによりドライバに与える違和感を防止する車両のロックアップ制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンと無段変速機の間に配置され、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを備えた車両に適用され、発進時にロックアップクラッチをスリップさせながら締結する発進スリップ制御を行う。
この車両のロックアップ制御方法において、発進操作を検知すると、発進スリップ制御を作動する作動条件が成立するか否かを判断する。
発進スリップ制御の作動条件が成立であると判断されると、ロックアップクラッチの発進スリップ制御作動と無段変速機のノーマル変速制御を連動させる協調制御を行う。
発進スリップ制御の作動条件が不成立であると判断されると、発進スリップ制御非作動とする。
発進後にロックアップ開始車速になると、ロックアップクラッチをスリップさせながら締結する通常スムーズロックアップ制御を開始する。
通常スムーズロックアップ制御が開始されると、無段変速機の目標プライマリ回転数を、ノーマル変速線により決めるノーマル変速制御による目標プライマリ回転数よりも高くする。
無段変速機の目標プライマリ回転数を、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数よりも高くするのは、車速と目標プライマリ回転数の関係が線形特性線で描かれるリニア変速線により目標プライマリ回転数を決めるリニア変速制御により行う
よって、発進スリップ制御の作動条件が不成立であるとの判断により発進時に発進スリップ制御が行えないときは、発進スリップ制御が非作動とされ、発進後に車速がロックアップ開始車速になると、ロックアップクラッチをスリップさせながら締結する通常スムーズロックアップ制御が開始される。通常スムーズロックアップ制御が開始されるとリニア変速制御が行われ、無段変速機の目標プライマリ回転数が、ノーマル変速線により決めるノーマル変速制御による目標プライマリ回転数よりも高くされる。
即ち、発進時、発進スリップ制御を行えないと、エンジン回転数が上昇し、その後、ロックアップ開始車速になって通常スムーズロックアップ制御が開始されると、スリップ締結されるロックアップクラッチがエンジンにとって負荷になり、エンジン回転数がタービン回転数(=プライマリ回転数)に向かって収束する。このとき、リニア変速制御による無段変速機側でプライマリ回転数が、ノーマル変速制御によるプライマリ回転数よりも高くされるため、エンジンの回転数落ち込みが抑えられる。
この結果、発進スリップ制御が行えない発進の際、エンジン回転数の落ち込みによりドライバに与える違和感を防止することができる。加えて、発進スリップ制御が行えない発進の際、通常スムーズロックアップ制御が発進後に介入することによる前後Gショックを防止することができるし、新たに制御ロジックを構築しなくとも、無段変速機のプライマリ回転数を、ノーマル変速制御によるプライマリ回転数よりも高くすることができる。
実施例1のロックアップ制御方法及び制御装置が適用されたエンジン車を示す全体システム図である。 実施例1のCVTコントロールユニットにおいて実行されるロックアップクラッチの発進スリップ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のCVTコントロールユニットにおいて実行されるロックアップクラッチと無段変速機の協調制御処理の流れを示すフローチャートである。 発進スリップ制御作動時において無段変速機の目標プライマリ回転数を決めるノーマル変速線の一例を示すノーマル変速スケジュールである。 発進スリップ制御作動時と発進スリップ制御非作動時のそれぞれにおけるロックアップクラッチのLU締結車速線及びLU解除車速線の一例を示すDレンジLUスケジュールである。 高アクセル開度域走行中において無段変速機の目標プライマリ回転数を決めるLU時用リニア変速線の一例を示すリニア変速スケジュールである。 発進スリップ制御非作動時において無段変速機の目標プライマリ回転数を決める非LU時用リニア変速線の一例を示すリニア変速スケジュールである。 比較例において発進時に発進スリップ制御非作動でありノーマル変速線により変速されるときのアクセル開度APO・実エンジン回転数Ne・プライマリ回転数Npri・前後Gの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1において発進時に発進スリップ制御非作動でありリニア変速線により変速されるときのアクセル開度APO・実エンジン回転数Ne・プライマリ回転数Npri・前後Gの各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両のロックアップ制御方法及び制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1におけるロックアップ制御方法及び制御装置は、トルクコンバータ及び無段変速機(CVT)を搭載したエンジン車に適用したものである。以下、実施例1におけるエンジン車のロックアップ制御方法及び制御装置の構成を、「全体システム構成」、「発進スリップ制御処理構成」、「協調制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1のロックアップ制御方法及び制御装置が適用されたエンジン車を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
車両駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、エンジン出力軸2と、ロックアップクラッチ3と、トルクコンバータ4と、変速機入力軸5と、無段変速機6と、ドライブシャフト7と、駆動輪8と、を備えている。
前記ロックアップクラッチ3は、トルクコンバータ4に内蔵され、クラッチ解放によりトルクコンバータ4を介してエンジン1と無段変速機6を連結し、クラッチ締結によりエンジン出力軸2と変速機入力軸5を直結する。このロックアップクラッチ3は、後述するCVTコントロールユニット12からロックアップ指令圧が出力されると、元圧であるライン圧に基づいて調圧されたロックアップ油圧により、締結/スリップ締結/解放が制御される。なお、ライン圧は、エンジン1により回転駆動される図外のオイルポンプからの吐出油を、ライン圧ソレノイドバルブにより調圧することで作り出される。
前記トルクコンバータ4は、ポンプインペラ41と、ポンプインペラ41に対向配置されたタービンランナ42と、ポンプインペラ41とタービンランナ42の間に配置されたステータ43と、を有する。このトルクコンバータ4は、内部に満たされた作動油が、ポンプインペラ41とタービンランナ42とステータ43の各ブレードを循環することによりトルクを伝達する流体継手である。ポンプインペラ41は、内面がロックアップクラッチ3の締結面であるコンバータカバー44を介してエンジン出力軸2に連結される。タービンランナ42は、変速機入力軸5に連結される。ステータ43は、ワンウェイクラッチ45を介して静止部材(トランスミッションケース等)に設けられる。
前記無段変速機6は、プライマリプーリとセカンダリプーリへのベルト接触径を変えることにより変速比を無段階に制御するベルト式無段変速機であり、変速後の出力回転は、ドライブシャフト7を介して駆動輪8へ伝達される。
車両制御系は、図1に示すように、エンジンコントロールユニット11(ECU)と、CVTコントロールユニット12(CVTCU)と、CAN通信線13と、を備えている。入力情報を得るセンサ類として、エンジン回転数センサ14と、タービン回転数センサ15(=CVT入力回転数センサ)と、CVT出力回転数センサ16(=車速センサ)と、を備えている。さらに、アクセル開度センサ17と、セカンダリ回転数センサ18と、プライマリ回転数センサ19と、CVT油温センサ20と、ブレーキスイッチ21、前後Gセンサ22、等を備えている。
前記エンジンコントロールユニット11は、例えば、CVTコントロールユニット12からCAN通信線13を介してエンジントルクダウン制御の開始を要求するトルクダウン信号を受け取ると、アクセル開度APOに基づくトルクダウン値を得るようにエンジン1への燃料噴射量を減少させる。そして、エンジントルクダウン制御の実施中、CVTコントロールユニット12からCAN通信線13を介して受け取っていたトルクダウン信号が停止すると、ドライバ要求に応じた通常トルクを得る燃料噴射制御に復帰する。
前記CVTコントロールユニット12は、無段変速機6の変速比を制御する変速制御、ライン圧制御、ロックアップクラッチ3の締結/スリップ締結/解放を制御するロックアップ制御、等を行う。このロックアップ制御のうち、アクセル踏み込みによる発進時には、燃費向上を目的とし、ロックアップクラッチ3にロックアップ締結要求を出し、スリップ制御を経過して完全締結状態に移行する発進スリップ制御を行う。この発進スリップ制御では、ロックアップ油圧の元圧であるライン圧が上昇している間は、ライン圧そのものが安定しないため、ライン圧上昇中はロックアップ指示値をディレー(指示値の維持)させる。そして、ディレー時間が経過した後、ロックアップ指示値を上昇させ、スリップ回転数を徐々に低下させるスリップ制御を行う。
[発進スリップ制御処理構成]
図2は、実施例1のCVTコントロールユニット12において実行されるロックアップクラッチ3の発進スリップ制御処理の流れを示す(発進スリップ制御部)。以下、ロックアップクラッチ3の発進スリップ制御での処理構成をあらわす図2の各ステップについて説明する。なお、「LU」という記述は、「ロックアップ」の略称である。
ステップS1では、ブレーキ足離し操作によりブレーキスイッチ21からのスイッチ信号がオンからオフに切り替わったか否かが判断される。YES(ブレーキオン→オフ)の場合はステップS2へ進み、NO(ブレーキオン→オフ以外)の場合はエンドへ進む。
ステップS2では、ステップS1でのブレーキオン→オフであるとの判断、或いは、ステップS3でのアクセルオフ→オン以外であるとの判断に続き、LU指示値をスタンバイ圧とし、ステップS3へ進む。
ここで、「スタンバイ圧」とは、ロックアップクラッチ3の締結の備え、ロックアップクラッチ3への油圧回路へ作動油を充填しておくための準備油圧であり、スタンバイ圧を得るLU指示値は、ロックアップ容量が出ない一定値とされる。
ステップS3では、ステップS2でのLU指示値=スタンバイ圧に続き、車両発進を意図してアクセル踏み込み操作が行われたか否かを判断する。YES(アクセルオフ→オン)の場合はステップS4へ進み、NO(アクセルオフ→オン以外)の場合はステップS2へ戻る。
ここで、アクセル踏み込み操作が行われたとの判断は、例えば、アクセル開度センサ17からのアクセル開度APOが、0/8開度(アクセル足離し状態)から、0/8開度より高い開度に移行したことで判断する。また、アクセルスイッチを用いる場合は、オフ(アクセル足離し状態)からオン(アクセル踏み込み状態)へとスイッチ信号が切り替わったことで判断する。
ステップS4では、ステップS3でのアクセルオフ→オンであるとの判断、或いは、ステップS4でのT≦T1であるとの判断に続き、ステップS3にてアクセル踏み込み操作が判断されたときからカウントが開始されたタイマ値Tが、LU指示値ディレー時間T1を超えているか否かを判断する。YES(T>T1)の場合はステップS5へ進み、NO(T≦T1)の場合はステップS4の判断を繰り返す。
ここで、「LU指示値ディレー時間T1」は、発進後にライン圧が上昇し、かつ、安定するまでに要する時間として、多数の実験データに基づき設定される。なお、LU指示値ディレー時間T1は、固定時間で与えても良いし、油圧応答の影響要因であるCVT油温センサ20からのCVT油温情報などによって異なる可変時間で与えても良い。
ステップS5では、ステップS4でのT>T1であるとの判断、或いは、ステップS6でのLU指示値≦設定値であるとの判断に続き、LU指示値を、LU圧発生用ランプ傾きにて立ち上げ、ステップS6へ進む。
即ち、LU指示値を、LU圧発生用ランプ傾きにて立ち上げることで、LU圧をスタンバイ圧からLU容量(=クラッチ伝達トルク)が出始めるミートポイント初期圧まで上昇させる。なお、LU指示値のLU圧発生用ランプ傾きとしては、一気にLU指示値が上昇するステップ的な傾きにより与えても良い。
ステップS6では、ステップS5でのLU指示値=LU圧発生用ランプ傾きに続き、LU指示値が、LU容量が出始めるミートポイント初期圧を得る設定値を超えたか否かを判断する。YES(LU指示値>設定値)の場合はステップS7へ進み、NO(LU指示値≦設定値)の場合はステップS5へ戻る。
ステップS7では、ステップS6でのLU指示値>設定値であるとの判断、或いは、ステップS8でのスリップ回転数>N1であるとの判断に続き、ロックアップクラッチ3のロックアップ容量制御(FB制御)を行い、ステップS8へ進む。
ロックアップ容量制御では、ロックアップクラッチ3の目標スリップ回転数特性を、LU指示値>設定値であるとの判断時から緩やかな勾配で下降する特性に設定する。そして、実スリップ回転数(=エンジン回転数Ne−タービン回転数Nt)が、目標スリップ回転数特性による目標スリップ回転数に一致するように、ロックアップクラッチ3へのLU指示値をフィードバック制御(FB制御)する。
ステップS8では、ステップS7でのLU容量制御(FB制御)、或いは、ステップS10でのスリップ回転数>N2であるとの判断に続き、スリップ回転数が、第1設定値N1以下になったか否かを判断し、ステップS9へ進む。
ここで、「第1設定値N1」は、スリップ回転数が締結間際のスムーズオン制御領域に入ったと判定する閾値であり、例えば、N1=200rpm程度の値に設定される。
ステップS9では、ステップS8でのスリップ回転数≦N1であるとの判断に続き、LU指示値を、所定のランプ傾きにより上昇させるランプ制御(FF制御)を行い、ステップS10へ進む。
ここで、「所定のランプ傾き」としては、LU容量制御(FB制御)よりもスリップ回転数の低下速度を速めるLU指示値の上昇勾配により与える。「FF制御(フィードフォワード制御)」とは、実スリップ回転数や目標スリップ回転数を考慮するFB制御とは異なり、設定されたランプ傾き特性によるLU指示値を出力する制御をいう。
ステップS10では、ステップS9でのLU指示値上昇(FF制御)に続き、スリップ回転数が、第2設定値N2以下になったか否かを判断する。YES(スリップ回転数≦N2)の場合はステップS11へ進み、NO(スリップ回転数>N2)の場合はステップS8へ戻る。
ここで、「第2設定値N2(=クラッチ締結判定回転数)」は、スリップ回転数がクラッチ締結とみなすことができる領域に入ったことを判定する閾値であり、例えば、N2=50rpm程度の値に設定される。
ステップS11では、ステップS10でのスリップ回転数≦N2であるとの判断、或いは、ステップS12でのスリップ回転数>N3であるとの判断に続き、LU締結制御(FF制御)を行い、ステップS12へ進む。
ここで、「LU締結制御」では、ロックアップクラッチ3を速やかに締結状態へ移行させるため、LU指示値を、ステップS9でのランプ傾きより大きなランプ傾きにより急上昇させるフィードフォワード制御(FF制御)を行う。
ステップS12では、ステップS11でのLU締結制御(FF制御)に続き、スリップ回転数が、第3設定値N3以下になったか否かを判断する。YES(スリップ回転数≦N3)の場合はステップS13へ進み、NO(スリップ回転数>N3)の場合はステップS11へ戻る。
ここで、「第3設定値N3」は、スリップ回転数が無くなったとみなし判定する閾値であり、例えば、N3=10rpm程度の値に設定される。
ステップS13では、ステップS12でのスリップ回転数≦N3であるとの判断に続き、LU容量最大にする制御(FF制御)を行い、エンドへ進む。
ここで、「LU容量最大にする制御」では、ロックアップクラッチ3を完全締結状態にするため、LU指示値を、ステップ的に最大値まで上昇させるフィードフォワード制御(FF制御)を行う。
[協調制御処理構成]
図3は、実施例1のCVTコントロールユニット12において実行されるロックアップクラッチ3と無段変速機6の協調制御処理の流れを示す(協調制御部)。以下、ロックアップクラッチ3(発進スリップ制御作動/非作動)と無段変速機6(ノーマル変速制御/リニア変速制御)の協調制御での処理構成をあらわす図3の各ステップについて説明する。
ここで、「ロックアップクラッチ3と無段変速機6の協調制御」とは、発進スリップ制御作動とノーマル変速制御を連動させると共に、発進スリップ制御非作動とリニア変速制御を連動させる制御をいう。
ステップS21では、車両発進を意図してアクセル踏み込み操作が行われたか否かを判断する。YES(アクセルオフ→オン)の場合はステップS22へ進み、NO(アクセルオフ→オン以外)の場合はエンドへ進む。ここで、アクセル踏み込み操作が行われたとの判断は、図2のステップS3と同様の判断により行う。
ステップS22では、ステップS21でのアクセルオフ→オンであるとの判断に続き、以下の発進スリップ制御作動条件が全て成立しているか否かを判断する。YES(3つの条件が全て成立)の場合はステップS23へ進み、NO(3つの条件のうち1つ以上の条件が不成立)の場合はステップS26へ進む。
ここで、発進スリップ制御作動条件としては、
・勾配≦設定値(勾配条件)
・変速比≧設定値(変速比条件)
・油温≦設定値(油温条件)
を与える。このうち、「勾配条件」と「変速比条件」は、何れか一方でも不成立であると発進トルクが不足するために与えられた条件である。「油温条件」は、ロックアップクラッチ3の耐久性確保のために与えられた条件である。
「勾配条件」は、前後Gセンサ22からのセンサ信号に基づいて停車している自車の路面勾配を推定し、推定された路面勾配が設定値以下のときに成立とし、路面勾配が設定値を超える登坂路であるときに不成立とする。
「変速比条件」は、停車時の無段変速機6の実変速比を推定し、推定された実変速比が設定値(発進変速比として適切なロー側変速比)以上であれば成立とし、推定された実変速比が設定値未満(ハイ変速比側)であるときに不成立とする。実変速比の推定は、停車するときにプライマリ回転数Npriとセカンダリ回転数Nsecの回転数変化(=実変速比の変化)を監視することで行う。
「油温条件」は、CVT油温センサ20からのセンサ信号に基づいて無段変速機6の作動油温を検知し、検知されたCVT油温が設定値以下のときに成立とし、CVT油温が設定値を超えるときに不成立とする。
ステップS23では、ステップS22での3つの条件が全て成立であるとの判断に続き、発進スリップ制御(図2)を開始し、ステップS24へ進む。
ステップS24では、ステップS23での発進スリップ制御開始、或いは、ステップS25でのLU締結未完了であるとの判断に続き、ノーマル変速線で目標プライマリ回転数Npri*を演算するノーマル変速制御を実施し、ステップS25へ進む。
ここで、「ノーマル変速線」とは、図4のノーマル変速スケジュールに示すように、車速VSPとアクセル開度APOにより目標プライマリ回転数Npri*を決める変速線である。目標プライマリ回転数Npri*は、例えば、発進初期域までは車速VSPの上昇に比例して上昇する値に決定されるが、発進初期域を超える車速VSPになると車速VSPの上昇にかかわらず上昇が抑えられた値に決定される。
「ノーマル変速制御」とは、無段変速機6のプライマリ回転数Npriを、ノーマル変速線により演算した目標プライマリ回転数Npri*に一致させるフィードバック制御により、変速比を無段階に変更制御することをいう(図4)。
ステップS25では、ステップS24でのノーマル変速線で目標プライマリ回転数を演算するノーマル変速制御の実施に続き、LU締結完了であるか否かを判断する。YES(LU締結完了)の場合はエンドへ進み、NO(LU締結未完了)の場合はステップS24へ戻る。
ステップS26では、ステップS22での3つの条件のうち1つ以上の条件が不成立であるとの判断に続き、発進スリップ制御(図2)を非作動にし、ステップS27へ進む。
ステップS27では、ステップS26での発進スリップ制御非作動に続き、発進後、車速が通常スムーズLU制御の開始車速に到達したか否かを判断する。YES(通常スムーズLU制御の開始車速到達)の場合はステップS28へ進み、NO(通常スムーズLU制御の開始車速未到達)の場合はステップS27の判断を繰り返す。
ここで、「通常スムーズLU制御」とは、ロックアップクラッチ3の目標スリップ回転数特性を、制御開始時から制御終了時までの全域で緩やかな勾配で下降する特性に設定する。そして、実スリップ回転数(=Ne−Nt)が、目標スリップ回転数に一致するように、ロックアップクラッチ3へのLU指示値をフィードバック制御(FB制御)し、ロックアップクラッチ3をスリップ締結状態から完全締結状態へと移行する制御をいう。即ち、「通常スムーズLU制御」は、短時間でのロックアップクラッチ3の締結を目指す発進スリップ制御とは異なり、フィードフォワード制御(FF制御)を併用しない。
「通常スムーズLU制御の開始車速」とは、発進スリップ制御非作動時におけるLU締結車速線を横切る車速VSPをいう。通常スムーズLU制御でのLU開始車速(OFF→ON)としては、図5のDレンジLUスケジュールに示すように、例えば、18km/h〜25km/h程度に設定され、LU解除車速(ON→OFF)としては、例えば、3km/h〜20km/h程度に設定される。
なお、発進スリップ制御でのLU開始車速(OFF→ON)としては、図5のDレンジLUスケジュールに示すように、例えば、発進直後の5km/h〜7km/h程度に設定され、LU解除車速(ON→OFF)としては、例えば、12km/h〜20km/h程度に設定される。
ステップS28では、ステップS27での通常スムーズLU制御の開始車速到達であるとの判断、或いは、ステップS29でのLU締結未完了であるとの判断に続き、リニア変速線で目標プライマリ回転数Npri*を演算するリニア変速制御を実施し、ステップS29へ進む。
ここで、「リニア変速線」とは、図6及び図7のリニア変速スケジュールに示すように、無段変速機6の変速比を一定に保つように、車速VSPの上昇に比例して目標プライマリ回転数Npri*を上昇する値に決める変速線である。このリニア変速線は、図6のリニア変速スケジュールに示すように、疑似有段変速モードを選択したときに使用されるLU時用リニア変速線(1速〜7速)を流用している。即ち、LU時用リニア変速線の傾きを、目標プライマリ回転数Npri*を高める側に補正した非LU時用リニア変速線とする。例えば、非LU時用リニア変速線の1速線(*1st)は、LU時用リニア変速線の1速線(1st)を最ロー変速比側に移動した線とし、非LU時用リニア変速線の2速線(*2nd)は、LU時用リニア変速線の2速線(2nd)をロー変速比側に移動した線とする。なお、非LU時用リニア変速線の3速線(*3rd)以降の変速段についても同様である。
「疑似有段変速モード」とは、アクセル開度APOが高開度域になるとノーマル変速制御からLU時用リニア変速線を用いたリニア変速制御に変更するリニアモード、ドライバによる変速操作で疑似変速段を切り替えるマニュアルモード、等をいう。
「リニア変速制御」とは、無段変速機6のプライマリ回転数Npriを、非LU時用リニア変速線により演算した目標プライマリ回転数Npri*に一致させるFB制御により、車速VSPの上昇に応じて目標プライマリ回転数Npri*を高くする変速比固定制御をいう(図7)。
そして、ステップS28にてリニア変速制御を実施するとき、通常スムーズLU制御の開始車速への到達時、車速VSPとアクセル開度APOにより決まるリニア変速段に対応する非LU時用リニア変速線が選択される。
ステップS29では、ステップS28でのリニア変速線で目標プライマリ回転数を演算するリニア変速制御の実施に続き、LU締結完了であるか否かを判断する。YES(LU締結完了)の場合はエンドへ進み、NO(LU締結未完了)の場合はステップS28へ戻る。
次に、作用を説明する。
実施例1におけるエンジン車のロックアップ制御作用を、「発進スリップ制御処理作用」、「協調制御処理作用」、「ロックアップクラッチと無段変速機の協調制御作用」、「協調制御での特徴作用」に分けて説明する。
[発進スリップ制御処理作用]
以下、図2に示すフローチャートに基づき、発進スリップ制御処理作用を説明する。
ブレーキオン・アクセルオフでの停車状態からブレーキ足離し操作を行うと、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む。ステップS2では、LU指示値が、ロックアップクラッチ3への油圧回路へ作動油を充填しておくスタンバイ圧とされ、ステップS3では、アクセルオフ→オンであるか否かが判断される。そして、ステップS3においてアクセルオフであると判断されている限り、ステップS2→ステップS3へと進む流れが繰り返され、LU指示値=スタンバイ圧が維持される。
ブレーキ足離し操作後、車両発進を意図してアクセル踏み込み操作が行われステップS3においてアクセルオフ→オンであると判断されると、図2のフローチャートにおいて、ステップS3からステップS4へと進む。ステップS4では、アクセル踏み込み操作が判断されたときからカウントが開始されたタイマ値Tが、LU指示値ディレー時間T1を超えているか否かが判断される。そして、T≦T1と判断されている間はステップS4の判断が繰り返される。即ち、アクセル踏み込み操作からLU指示値ディレー時間T1を経過するまでの間は、LU指示値をスタンバイ圧としたままで待機される。
アクセル踏み込み操作からLU指示値ディレー時間T1を経過すると、図2のフローチャートにおいて、ステップS4からステップS5→ステップS6へと進む。ステップS5では、LU指示値が、LU圧発生用ランプ傾きにて立ち上げられ、ステップS6では、LU指示値が設定値を超えたか否かが判断される。そして、ステップS6においてLU指示値≦設定値と判断されている限り、ステップS5→ステップS6へと進む流れが繰り返される。即ち、LU指示値が、スタンバイ圧を得る値から、LU容量が出始めるミートポイント初期圧を得る値までLU圧発生用ランプ傾きにて立ち上げられる。
LU指示値が設定値を超えてLU容量が出始めると、図2のフローチャートにおいて、ステップS6からステップS7→ステップS8へと進む。ステップS7では、ロックアップクラッチ3のロックアップ容量制御(FB制御)が行われ、ステップS8では、スリップ回転数が、第1設定値N1以下になったか否かが判断される。そして、ステップS8においてスリップ回転数>N1と判断されている限り、ステップS7→ステップS8へと進む流れが繰り返される。即ち、LU容量が出始めてから、ロックアップクラッチ3のスリップ回転数が第1設定値N1(例えば、N1=200rpm)になるまでは、フィードバック制御により、ロックアップクラッチ3のロックアップ容量が制御される。このフィードバック制御では、入力トルク(=エンジントルク)の変動にかかわらず、実スリップ回転数と目標スリップ回転数との偏差を無くすように、つまり、実スリップ回転数を目標スリップ回転数に収束させるように、ロックアップ容量が制御される。
ロックアップクラッチ3のスリップ回転数が第1設定値N1以下になると、図2のフローチャートにおいて、ステップS8からステップS9→ステップS10へと進む。ステップS9では、LU指示値を、所定のランプ傾きにより上昇させるランプ制御(FF制御)が行われる。ステップS10では、スリップ回転数が、第2設定値N2以下になったか否かが判断される。そして、ステップS10においてスリップ回転数>N2と判断されている限り、ステップS8→ステップS9→ステップS10へと進む流れが繰り返される。即ち、スリップ回転数が第1設定値N1(例えば、N1=200rpm)から第2設定値N2(例えば、N2=50rpm)になるまでのスムーズオン制御領域では、制御応答性の高いフィードフォワード制御により、ロックアップクラッチ3のロックアップ容量が制御される。なお、フィードフォワード制御が開始されてから、何らかの要因によりスリップ回転数が第1設定値N1を超えると、ステップS8からステップS7へ戻り、フィードバック制御を再開させる流れも用意されている。
ロックアップクラッチ3のスリップ回転数が第2設定値N2以下になると、図2のフローチャートにおいて、ステップS10からステップS11→ステップS12へと進む。ステップS11では、LU締結制御(FF制御)が行われ、ステップS12では、スリップ回転数が、第3設定値N3以下になったか否かが判断される。そして、ステップS12においてスリップ回転数>N3と判断されている限り、ステップS11→ステップS12へと進む流れが繰り返される。即ち、ロックアップクラッチ3のスリップ回転数が第2設定値N2(例えば、N2=50rpm)から第3設定値N3(例えば、N3=10rpm)になるまでは、制御応答性の高いフィードフォワード制御により、ロックアップクラッチ3を速やかに締結状態へ移行させる締結制御が行われる。
ロックアップクラッチ3のスリップ回転数が第3設定値N3以下になると、図2のフローチャートにおいて、ステップS12からステップS13→エンドへと進む。ステップS13では、LU容量最大にする制御(FF制御)が行われる。即ち、LU指示値を、ステップ的に最大値まで上昇させるフィードフォワード制御(FF制御)を行うことで、ロックアップクラッチ3を完全締結状態にする。
[協調制御処理作用]
以下、図3に示すフローチャートに基づき、協調制御処理作用を説明する。
ブレーキオフでの停車状態から車両発進を意図してアクセル踏み込み操作を行うと、図3のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22へと進む。ステップS22では、「勾配条件」、「変速比条件」、「油温条件」による発進スリップ制御作動条件が全て成立しているか否かが判断される。「勾配条件」と「変速比条件」は、勾配角度が急な登坂路発進時や最ロー変速比よりもハイ側変速比での発進時、等のように、何れか一方でも不成立であると発進トルクが不足するために与えられる。「油温条件」は、ロックアップクラッチ3の耐久劣化が懸念される高油温時等のように、ロックアップクラッチ3の耐久性を確保するために与えられる。
そして、3つの条件が全て成立していると判断された場合は、ステップS23〜ステップS25へ進み、発進スリップ制御作動と無段変速機6でのノーマル変速制御を連動させる協調制御が行われる。一方、3つの条件のうち1つ以上の条件が不成立と判断された場合は、ステップS26〜ステップS29へ進み、発進スリップ制御非作動と無段変速機6でのリニア変速制御を連動させる協調制御が行われる。
ステップS22にて3つの条件が全て成立していると判断されると、図3のフローチャートにおいて、ステップS22からステップS23→ステップS24→ステップS25へと進む。ステップS23では、発進スリップ制御(図2)が開始され、ステップS25でLU締結未完了と判断されている限り、ステップS24→ステップS25へと進む流れが繰り返される。ステップS24では、図4に示すノーマル変速線で目標プライマリ回転数Npri*を演算するノーマル変速制御が実施される。そして、発進スリップ制御が進行し、ステップS25でLU締結完了と判断されるとエンドへ進む。
ステップS22にて3つの条件のうち1つ以上の条件が不成立であると判断されると、図3のフローチャートにおいて、ステップS22からステップS26→ステップS27へと進む。ステップS26では、発進スリップ制御(図2)が非作動にされ、ステップS27では、通常スムーズLU制御の開始車速に到達するまで、通常スムーズLU制御の開始車速に到達したか否かの判断が繰り返される。
ステップS27にて通常スムーズLU制御の開始車速に到達したと判断されると、ステップS27からステップS28→ステップS29へと進み、ステップS29でLU締結未完了と判断されている限り、ステップS28→ステップS29へと進む流れが繰り返される。ステップS28では、図7に示す非LU時用リニア変速線で目標プライマリ回転数Npri*を演算するリニア変速制御が実施される。そして、通常スムーズLU制御が進行し、ステップS29でLU締結完了と判断されるとエンドへ進む。
[ロックアップクラッチと無段変速機の協調制御作用]
実施例1のように無段変速機との協調制御を行うことなく、発進スリップ制御が非作動である発進時、無段変速機においてノーマル変速制御を行うものを比較例とする。以下、比較例での発進時制御作用を、図8に示すタイムチャートにより説明する。
時刻t1において発進を意図してアクセルペダル踏み込み操作を行うと、時刻t1からエンジンの回転数が時刻t2に向かって吹け上がる。この時刻t1から時刻t2までの発進開始域でのプライマリ回転数Npriは、無段変速機の目標プライマリ回転数Npri*が図4に示すノーマル変速線により決められることで、車速VSPの上昇に従って上昇する特性を示す。
時刻t2において通常スムーズLU制御の開始車速に到達し、通常スムーズLU制御が開始されると、スリップ締結されるロックアップクラッチがエンジンにとって負荷になり、エンジン回転数Neが時刻t3に向かって落ち込む。この時刻t2から時刻t3までの通常スムーズLU制御区間でのプライマリ回転数Npriは、無段変速機の目標プライマリ回転数Npri*が図4に示すノーマル変速線により決められることで、車速VSPの上昇にかかわらず時刻t2での回転数をほぼ維持したままの特性を示す。この理由は、発進時の無段変速機でのノーマル変速制御において、図4の矢印Aに示すように、ある程度まで目標プライマリ回転数Npri*が上昇すると、燃費向上のために目標プライマリ回転数Npri*を保ったままでアップシフト側に変速比を変更することによる。
従って、時刻t2から時刻t3までの間に、図8の矢印Bに示すように、エンジン回転数Neが無段変速機のプライマリ回転数Npriまで落ち込む。
ところが、全運転領域で発進スリップ制御を行うことを基本制御とするエンジン車においては、普段ドライバは発進時のエンジン回転数Neの落ち込みを意識していない。にもかかわらず、発進トルクが不足するといった稀な機会に、エンジン回転数Neの落ち込みが生じると、図8の矢印Cの枠内特性に示すように、加速側に変化していた前後Gが減速側に大きく変化し、この前後G変化がドライバに違和感を与えてしまう。
これに対し、実施例1では、無段変速機6との協調制御を行い、発進スリップ制御が非作動である発進時、無段変速機6においてリニア変速制御を行うようにしている。以下、図9に示すタイムチャートに基づき、実施例1でのロックアップクラッチ3と無段変速機6の協調制御作用を説明する。
時刻t1において発進を意図してアクセルペダル踏み込み操作を行うと、時刻t1からエンジンの回転数が時刻t2に向かって吹け上がる。この時刻t1から時刻t2までの発進開始域でのプライマリ回転数Npriは、無段変速機の目標プライマリ回転数Npri*が図4に示すノーマル変速線により決められることで、車速VSPの上昇に従って上昇する特性を示す。
時刻t2において通常スムーズLU制御の開始車速に到達し、通常スムーズLU制御が開始されると、通常スムーズLU制御中は、ノーマル変速制御からリニア変速制御に切り替えられる。つまり、時刻t2から時刻t3までの通常スムーズLU制御区間でのプライマリ回転数Npriは、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*が図7に示す非LU時用リニア変速線により決められることで、時間の経過と共に車速VSPが上昇すると、車速VSPの上昇に応じてプライマリ回転数Npriが高められる。従って、時刻t2から時刻t3までの間に、図9の矢印Dの枠内特性に示すように、ロックアップクラッチ3の締結によりエンジン回転数Neが上昇するプライマリ回転数Npriまで収束するとき、エンジン回転数Neの落ち込みが抑制される。エンジン回転数Neの落ち込みが抑制されることで、図9の矢印Eの枠内特性に示すように、加速側に変化していた前後Gが減速側へ大きく変化することも抑えられ、ドライバに違和感を与えない程度に軽減される。
ちなみに、通常スムーズLU制御中のリニア変速制御において、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*を図6に示すLU時用リニア変速線により決めると、図9の仮想線で示す時刻t2からのプライマリ回転数Npri’となる。この場合、非LU時用リニア変速線により決める場合に比べて抑制効果が小さくなるものの、エンジン回転数Neの落ち込みが抑制される。
[協調制御での特徴作用]
実施例1では、発進時に発進スリップ制御を行えないとき、発進スリップ制御に代えて、エンジン1の回転数上昇を受けて無段変速機6のプライマリ回転数Npriを高くする。
即ち、発進スリップ制御が行えないと、ロックアップクラッチ3によるエンジン負荷が無くなることでエンジン1の回転数が吹け上がる。その後、トルクコンバータ4の速度比がトルク増幅作用を持つコンバータ領域からカップリング領域に近づくと、無段変速機6のプライマリ回転数Npriに向かってエンジン1の回転数が落ち込む。
これに対し、発進スリップ制御に代えて、リニア変速制御等により、無段変速機6のプライマリ回転数Npriを高くする制御が行われる。このため、エンジン1の回転数が吹け上がった後、トルクコンバータ4の速度比がカップリング領域に近づくと、エンジン回転数Neがプライマリ回転数Npriに向かって収束する。このとき、無段変速機6側でプライマリ回転数Npriが高くされるため、エンジン1の回転数落ち込みが抑えられる。
この結果、発進スリップ制御が行えない発進の際、エンジン回転数Neの落ち込みによりドライバに与える違和感が防止される。
実施例1では、発進操作を検知すると、発進スリップ制御を作動する作動条件が成立するか否かを判断し、発進スリップ制御の作動条件が不成立であると判断されると、発進スリップ制御を非作動とする。そして、発進後にLU開始車速になると、ロックアップクラッチ3をスリップさせながら締結する通常スムーズLU制御を開始し、通常スムーズLU制御が開始されると、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*を、ノーマル変速線により決めるノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くする。
即ち、発進後にロックアップ開始車速になると通常スムーズLU制御を開始する場合、トルクコンバータ4の速度比がトルク増幅作用を持つコンバータ領域からカップリング領域に短時間で近づく。このため、無段変速機6のプライマリ回転数Npriに向かってエンジン1の回転数が落ち込む勾配が大きくなり、エンジン回転数Neの急な落ち込みにより前後Gが加速G側から減速G側へと変化して前後Gショックになる。
従って、発進スリップ制御が行えない発進の際、通常スムーズLU制御が発進後に介入することによる前後Gショックが防止される。
実施例1において、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*を、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くするのは、リニア変速線により目標プライマリ回転数Npri*を決めるリニア変速制御により行う。
即ち、無段変速機6の変速比を、車速VSP(セカンダリ回転数Nsecに相当)の上昇に合わせて目標プライマリ回転数Npri*が上昇するように設定するリニア変速線によるリニア変速制御が従来から用いられている。このリニア変速制御を発進時に適用すると、車速VSPの上昇に合わせて目標プライマリ回転数Npri*が上昇する。このため、車速VSPがある程度まで上昇すると目標プライマリ回転数Npri*の上昇を抑えるノーマル変速線を用いたノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くなる。
従って、従来から用いられていたリニア変速制御を発進時に適用することにより、新たに制御ロジックを構築しなくとも、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*が、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くなる。
実施例1において、リニア変速制御で用いるリニア変速線は、疑似有段変速モードが選択されたときに使用されるLU時用リニア変速線の傾きを、車速VSPに対して目標プライマリ回転数Npri*を高める側に補正した非LU時用リニア変速線とする。
即ち、LU締結状態で使用されていたLU時用リニア変速線を発進時に流用する。しかも、流用する際にはLU時用リニア変速線を補正し、非LU時用リニア変速線とする。この補正は、LU時用リニア変速線の傾きが大きくなるよう補正する。補正の理由は、ロックアップクラッチ3がLU締結していない滑り状態であるため、エンジン回転数Neとプライマリ回転数Npriの間にはスリップ回転数が生じる。よって、補正無しで、LU時用リニア変速線を用いたリニア変速制御とすると、プライマリ回転数Npri’が低くなってしまう(図7のNpri’の特性参照)。
従って、新たに非LU時用リニア変速線を設定することなく、エンジン回転数Neの落ち込みを確実に抑えるプライマリ回転数Npriが得られる。
次に、効果を説明する。
実施例1のエンジン車のロックアップ制御方法及び制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) エンジン1と無段変速機6の間に配置され、ロックアップクラッチ3を有するトルクコンバータ4を備える車両(エンジン車)に適用され、発進時にロックアップクラッチ3をスリップさせながら締結する発進スリップ制御を行う車両(エンジン車)のロックアップ制御方法において、
発進時に発進スリップ制御を行えないときは、発進スリップ制御に代えて、エンジン1の回転数上昇を受けて無段変速機6のプライマリ回転数を高くする(図3)。
このため、発進スリップ制御が行えない発進の際、エンジン回転数Neの落ち込みによりドライバに与える違和感を防止する車両(エンジン車)のロックアップ制御方法を提供することができる。
(2) 発進操作を検知すると、発進スリップ制御を作動する作動条件が成立するか否かを判断し(図3のS22)、
発進スリップ制御の作動条件が不成立であると判断されると、発進スリップ制御を非作動とし(図3のS26)、
発進後にロックアップ開始車速になると、ロックアップクラッチ3をスリップさせながら締結する通常スムーズロックアップ制御(通常スムーズLU制御)を開始し(図3のS27)、
通常スムーズロックアップ制御(通常スムーズLU制御)が開始されると、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*を、ノーマル変速線により決めるノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くする(図3のS28)。
このため、(1)の効果に加え、発進スリップ制御が行えない発進の際、通常スムーズロックアップ制御(通常スムーズLU制御)が発進後に介入することによる前後Gショックを防止することができる。
(3) 無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*を、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くするのは、車速VSPと目標プライマリ回転数Npri*の関係が線形特性線で描かれるリニア変速線により目標プライマリ回転数Npri*を決めるリニア変速制御により行う(図6、図7)。
このため、(2)の効果に加え、新たに制御ロジックを構築しなくとも、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*を、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くすることができる。
(4) リニア変速制御で用いるリニア変速線は、疑似有段変速モードが選択されたときに使用されるロックアップ時用リニア変速線(LU時用リニア変速線)の傾きを、車速VSPに対して目標プライマリ回転数Npri*を高める側に補正した非ロックアップ時用リニア変速線(非LU時用リニア変速線)とする(図7)。
このため、(3)の効果に加え、新たに非LU時用リニア変速線を設定することなく、エンジン回転数Neの落ち込みを確実に抑えるプライマリ回転数Npriを得ることができる。
(5) エンジン1と無段変速機6の間に配置され、ロックアップクラッチ3を有するトルクコンバータ4を備える車両(エンジン車)に適用され、発進時にロックアップクラッチ3をスリップさせながら締結する発進スリップ制御を行う車両(エンジン車)のロックアップ制御装置において、
ロックアップクラッチ3と無段変速機6の協調制御を行う協調制御部(図3)を設け、
協調制御部(図3)は、発進時に発進スリップ制御を行えないときは、発進スリップ制御に代えて、エンジン1の回転数上昇を受けて無段変速機6のプライマリ回転数Npriを高くする変速制御処理を行う(図3)。
このため、発進スリップ制御が行えない発進の際、エンジン回転数Neの落ち込みによりドライバに与える違和感を防止する車両(エンジン車)のロックアップ制御装置を提供することができる。
以上、本発明の車両のロックアップ制御方法及び制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、無段変速機6の目標プライマリ回転数Npri*を、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数Npri*よりも高くするのは、リニア変速線により目標プライマリ回転数Npri*を決めるリニア変速制御により行う例を示した。しかし、無段変速機の目標プライマリ回転数を、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数よりも高くするのは、ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数を算出し、算出した目標プライマリ回転数を高くする回転数補正を行うことにより得る例としても良い。
実施例1では、リニア変速制御で用いるリニア変速線は、疑似有段変速モードが選択されたときに使用されるLU時用リニア変速線の傾きを補正することで得る非LU時用リニア変速線とする例を示した。しかし、リニア変速制御で用いるリニア変速線としては、例えば、LU時用リニア変速線とは別に予め非LU時用リニア変速線を用意しておく例でも良いし、エンジン回転数の吹け上がりを監視し、状況に対応する適切な非LU時用リニア変速線を演算する例でも良い。
実施例1では、本発明のロックアップ制御方法及び制御装置を、トルクコンバータと無段変速機を搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明のロックアップクラッチ制御装置は、駆動源にエンジンが搭載された車両であれば、ハイブリッド車に対しても適用することができる。要するに、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを、エンジンと無段変速機の間に備えた車両であれば適用できる。
1 エンジン
3 ロックアップクラッチ
4 トルクコンバータ
6 無段変速機
11 エンジンコントロールユニット
12 CVTコントロールユニット
13 CAN通信線
14 エンジン回転数センサ
15 タービン回転数センサ
16 CVT出力回転数センサ(=車速センサ)
17 アクセル開度センサ
18 セカンダリ回転数センサ
19 プライマリ回転数センサ
20 CVT油温センサ
21 ブレーキスイッチ
22 前後Gセンサ

Claims (3)

  1. エンジンと無段変速機の間に配置され、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを備えた車両に適用され、発進時に前記ロックアップクラッチをスリップさせながら締結する発進スリップ制御を行う車両のロックアップ制御方法において、
    発進操作を検知すると、前記発進スリップ制御を作動する作動条件が成立するか否かを判断し、
    前記発進スリップ制御の作動条件が成立であると判断されると、発進スリップ制御作動とノーマル変速制御を連動させる協調制御を行い、
    前記発進スリップ制御の作動条件が不成立であると判断されると、発進スリップ制御非作動とし、
    発進後にロックアップ開始車速になると、前記ロックアップクラッチをスリップさせながら締結する通常スムーズロックアップ制御を開始し、
    前記通常スムーズロックアップ制御が開始されると、前記無段変速機の目標プライマリ回転数を、ノーマル変速線により決める前記ノーマル変速制御による目標プライマリ回転数よりも高くし、
    前記無段変速機の目標プライマリ回転数を、前記ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数よりも高くするのは、車速と目標プライマリ回転数の関係が線形特性線で描かれるリニア変速線により目標プライマリ回転数を決めるリニア変速制御により行う
    ことを特徴とする車両のロックアップ制御方法。
  2. 請求項1に記載された車両のロックアップ制御方法において、
    前記リニア変速制御で用いるリニア変速線は、疑似有段変速モードが選択されたときに使用されるロックアップ時用リニア変速線の傾きを、車速に対して目標プライマリ回転数を高める側に補正した非ロックアップ時用リニア変速線とする
    ことを特徴とする車両のロックアップ制御方法。
  3. エンジンと無段変速機の間に配置され、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを備えた車両に適用され、発進時に前記ロックアップクラッチをスリップさせながら締結する発進スリップ制御を行う車両のロックアップ制御装置において、
    前記ロックアップクラッチと前記無段変速機の協調制御を行う協調制御部を設け、
    前記協調制御部は、
    発進操作を検知すると、前記発進スリップ制御を作動する作動条件が成立するか否かを判断し、
    前記発進スリップ制御の作動条件が成立であると判断されると、発進スリップ制御作動と変速比を無段階に変更するノーマル変速制御を連動させる協調制御を行い、
    前記発進スリップ制御の作動条件が不成立であると判断されると、発進スリップ制御非作動とし、
    発進後にロックアップ開始車速になると、前記ロックアップクラッチをスリップさせながら締結する通常スムーズロックアップ制御を開始し、
    前記通常スムーズロックアップ制御が開始されると、前記無段変速機の目標プライマリ回転数を、ノーマル変速線により決める前記ノーマル変速制御による目標プライマリ回転数よりも高くし、
    前記無段変速機の目標プライマリ回転数を、前記ノーマル変速制御での目標プライマリ回転数よりも高くするのは、車速と目標プライマリ回転数の関係が線形特性線で描かれるリニア変速線により目標プライマリ回転数を決めるリニア変速制御により行う
    ことを特徴とする車両のロックアップ制御装置。
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