JP6762197B2 - 起泡性水中油型乳化物とそれを用いたホイップドクリーム - Google Patents

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本発明は、起泡性水中油型乳化物とそれを用いたホイップドクリームに関する。
従来、植物性油脂を用いた起泡性水中油型乳化物を起泡したホイップドクリームは、ナッペ、サンド、トッピングなどに広く利用されている。
起泡性水中油型乳化物は、起泡前の状態においては、製造時や、あるいは製品温度の上昇や輸送中の振動によっても著しい粘度上昇や固化(ボテとも称される)が生じない乳化安定性が求められる。一方、起泡時には、起泡開始より長時間を要せずに速やかに起泡することが求められ、起泡後のホイップドクリームは、二次加工後も形状の変化が少なく保形性があること、離水が少なく保水性があることや、起泡後に経時的に硬くなる現象、すなわちシマリが少ないことが求められる。さらに、食感としても、口に入れたときには適度な硬さがあってしっかりとした食感を感じることができ、かつその後は速やかに溶ける口溶け感や、口に入れた後にフレーバーの風味が広がりフレーバーリリースが良いことが求められる。
従来、植物性油脂を用いた起泡性水中油型乳化物には、トランス脂肪酸量の多い部分硬化油を含む油脂が使用されてきた。このようなトランス脂肪酸量の多い油脂は、トランス脂肪酸の構造に由来する特性により、上記のような要求を満足するために重要な役割を果たしてきた。
しかし近年では、トランス脂肪酸の循環器系へ及ぼす悪影響を懸念し、原料油脂にはトランス脂肪酸量が少ないことが望まれていることから、トランス脂肪酸量の多い油脂と同等の特性、機能を持つトランス脂肪酸量の少ない油脂配合への置換えが進められ、そのような技術の一つとして、ラウリン系油脂を原料に含むエステル交換油脂を使用する技術が提案されている(特許文献1〜5)。
特許文献1は、脂肪酸炭素数に着目したトリグリセリド組成を満たすために、ラウリン系油脂を原料に含むエステル交換油脂を配合しているが、実施例で具体的に開示しているもののうち、パームステアリン極度硬化油とパーム核オレイン極度硬化油とのエステル交換油脂は、配合成分がいずれも極度硬化油でヨウ素価が低いため、他に配合する油脂との相溶性が悪くなる傾向がある。またパーム油とパーム核油とのエステル交換油脂は、その配合比率からヨウ素価が高く、他に配合する油脂との相溶性が悪くなる傾向がある。相溶性が悪くなると、起泡性や、安定性に悪影響を及ぼし得る。また、これらのエステル交換油脂の配合量は70質量%以上と多く、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が少なくなり、口溶けなどを満足することが難しくなる。
特許文献2は、ラウリン系油脂を原料に含むエステル交換油脂などの、全構成脂肪酸中におけるラウリン酸の含有量が15〜60質量%である油脂を使用する技術が提案されている。実施例で具体的に開示しているものは、パーム核極度硬化油とパーム極度硬化油とのエステル交換油脂で、配合成分がいずれも極度硬化油でヨウ素価が低いため、他に配合する油脂との相溶性が悪くなる傾向があり、起泡性や、安定性に悪影響を及ぼし得る。
特許文献3は、構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が20〜50質量%であり炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が35〜70質量%である油脂配合物を、ランダムエステル交換反応したホイップクリーム用ハードストックを使用することが提案されているが、エステル交換油脂以外の油脂には主にラウリン系油脂を使用している。実施例で具体的に開示しているものは、いずれもパーム核油を70質量%以上配合していることから、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が少なくなり、口溶けなどを満足することが難しくなる。
特許文献4は、実施例で使用したエステル交換油脂は、ヨウ素価が高いものや、あるいはパームステアリン(パーム分別硬質油)を原料に使用したものが記載されているが、これらのエステル交換油脂は、他の油脂との相溶性が悪くなる傾向があり、起泡性や、安定性に悪影響を及ぼし得る。また、エステル交換油脂以外の油脂には主にラウリン系油脂を使用しており、エステル交換油脂の配合量もしくはラウリン系油脂の配合量が多いことから、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が少なくなり、口溶けなどを満足することが難しくなる。
特許文献5は、実施例で具体的に開示している配合として、エステル交換油脂以外の他の油脂としてパーム核分別高融点部、パーム核油、ヤシ油などのラウリン系油脂や乳脂を多く配合した例や、エステル交換油脂の原料としてパームステアリン(パーム分別硬質油)を使用した例が記載されているが、ラウリン系油脂などを多く配合するとトリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が少なくなり、口溶けなどを満足することが難しくなる。エステル交換油脂の原料としてパームステアリン(パーム分別硬質油)を使用すると、他の油脂との相溶性が悪くなる傾向があり、起泡性や、安定性に悪影響を及ぼし得る。
特開2015−023824号公報 再表2010−007802号公報 特開2011−103809号公報 再表2011−111527号公報 特開2016−077168号公報
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、乳化安定性と起泡性が良く、口溶けとフレーバーリリースが良好で、二次加工後の保形性、保水性に優れ、起泡後のシマリを抑制することができる起泡性水中油型乳化物とそれを用いたホイップドクリームを提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の起泡性水中油型乳化物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とを原料に含み、かつヨウ素価が23以上37未満であるエステル交換油脂を含有し、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、全油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して49〜66質量%であり、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量が、油脂全体の質量に対して55〜70質量%であることを特徴としている。
この起泡性水中油型乳化物は、乳糖を含有し、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量Xと乳糖の含有量Yとの質量比(X/Y)が3〜33であることが好ましい。
本発明のホイップドクリームは、上記起泡性水中油型乳化物を起泡してなる。
本発明の起泡性水中油型乳化物によれば、乳化安定性と起泡性が良く、口溶けとフレーバーリリースが良好で、二次加工後の保形性、保水性に優れ、起泡後のシマリを抑制することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において、飽和脂肪酸(以下、Sとも表記する。)は、油脂中に含まれるすべての飽和脂肪酸である。飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などが挙げられる。なお、上記飽和脂肪酸の括弧内の数値表記は、脂肪酸の炭素数を意味する。
本発明において、不飽和脂肪酸(以下、Uとも表記する。)は、油脂中に含まれるすべての不飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)などが挙げられる。なお、上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用される油脂は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを含み、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸Sまたは不飽和脂肪酸Uのいずれであってもよい。2位がオレイン酸であるトリグリセリドとしては、例えば、SOS型トリグリセリド、SOU型トリグリセリド(位置異性体も含む)、UOU型トリグリセリドなどが挙げられるが、特に限定されない。なお、「O」とは、トリグリセリドの構成脂肪酸であるオレイン酸を意味する。本発明の効果を得る点から、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sである場合、炭素数4〜24の飽和脂肪酸であることが好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14〜24の不飽和脂肪酸(ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等)であることが好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数14〜24の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用される油脂は、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドを含んでもよく、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸Sまたは不飽和脂肪酸Uのいずれであってもよい。2位がラウリン酸であるトリグリセリドとしては、例えば、SLS型トリグリセリド、SLU型トリグリセリド(位置異性体も含む)、ULU型トリグリセリドなどが挙げられるが、特に限定されない。なお、「L」とは、トリグリセリドの構成脂肪酸であるラウリン酸を意味する。本発明の効果を得る点から、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sである場合、炭素数4〜24の飽和脂肪酸であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14〜24の不飽和脂肪酸(ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等)であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数14〜18の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用される油脂は、1位、2位、3位のすべてに飽和脂肪酸Sが結合した3飽和トリグリセリド(SSS)を含んでいてもよく、1分子のグリセロールに2分子の飽和脂肪酸Sと1分子の不飽和脂肪酸Uが結合した2飽和トリグリセリドとして、1位および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合した対称型トリグリセリド(SUS)を含んでいてもよく、1位と2位、または2位と3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位または1位に不飽和脂肪酸Uが結合した非対称型トリグリセリド(SSU、USS)を含んでいてもよい。また、1分子のグリセロールに2分子の不飽和脂肪酸Uと1分子の飽和脂肪酸Sが結合した2不飽和トリグリセリド(SUU、UUS、USU))を含んでいてもよく、1位、2位、3位のすべてに不飽和脂肪酸Uが結合した3不飽和トリグリセリド(UUU)を含んでいてもよい。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、ラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とを原料に含むエステル交換油脂(A)を含有する。
エステル交換油脂(A)の原料であるラウリン系油脂(A1)は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上の油脂であり、例えば、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
エステル交換油脂(A)の原料であるパーム系油脂(A2)は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。パーム系油脂(A2)としては、パーム油、パーム分別油やこれらの硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。パーム分別油としては、硬質油、軟質油、中融点油などが挙げられる。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
パーム系油脂(A2)は、パーム油またはパーム油およびパーム極度硬化油を含有し、かつパーム分別硬質油を含有しないことが好ましい。パーム系油脂(A2)がパーム油またはパーム油およびパーム極度硬化油であると、エステル交換油脂(A)のヨウ素価を本発明の範囲内に調整することが容易であり、さらにエステル交換油脂(A)は、エステル交換油脂(A)と共に配合される他の油脂との相溶性が良好になることから、起泡性や乳化安定性などが向上する。またパーム分別硬質油を含有しないことで、エステル交換油脂(A)と共に配合される他の油脂との相溶性が良好になることから、起泡性や乳化安定性などが向上する。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、エステル交換油脂(A)は、ヨウ素価が23以上37未満であり、好ましくは23〜30である。ヨウ素価がこの範囲内であると、他の油脂との相溶性がよく、起泡性や乳化安定性が向上するとともに、口溶けとフレーバーリリースが良好で、二次加工後の保形性、保水性に優れ、起泡後のシマリを抑制することができる。
エステル交換油脂(A)において、ラウリン系油脂(A1)と、パーム系油脂(A2)とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂(A)中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55の範囲内となる。SUS/SSUがこの範囲内であると、他の油脂との相溶性が良好になる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することでラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂(A)を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂(A)を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、エステル交換油脂(A)の含有量は、油脂全体の質量に対して2.5〜30質量%が好ましく、8〜25質量%がさらに好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量は、全油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して49〜66質量%であることが好ましく、54〜62質量%であることがより好ましく、57〜62質量%であることがさらに好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドは、分子構造上歪を形成しており、回転運動する際に、分子構造の障害となりやすい状態となる。これにより油脂中の各トリグリセリドの分子同士が近付きにくくなることから、固化しにくい状態となる。このような特性を持つ2位に結合されたオレイン酸の含有量を上記範囲とすることが、本発明の効果を得る点から好適である。また本発明の起泡性水中油型乳化物において、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量は、油脂全体の質量に対して55〜70質量%であることが好ましく、60〜70質量%であることがさらに好ましい。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量と、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量が上記の範囲内であると、乳化安定性と起泡性が良く、口溶けとフレーバーリリースが良好で、二次加工後の保形性、保水性に優れ、起泡後のシマリを抑制することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、飽和脂肪酸の含有量は、全油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して53〜65質量%が好ましく、54〜63質量%がより好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸の含有量は、油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して0.2〜12質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドは、ラウリン酸の分子量が小さいことに起因し、分子運動がおこりやすい。そのため固化後に油脂中で、分子同士が離れやすい状態となる。このような特性を持つ2位に結合されたラウリン酸の含有量を上記範囲とすることが、本発明の効果を得る点から好適である。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、P2Oの含有量は、油脂のトリグリセリド全体の質量に対して20〜35質量%が好ましく、25〜33質量%がより好ましい。ここでP2Oは、PPOおよびPOPを示す。PPOは、1位と2位または2位と3位にパルミチン酸、3位または1位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを示し、POPは、1位と3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを示し、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を示す。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を含んでもよく、含まなくてもよいが、トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、血液中におけるLDLコレステロール量が増加しうる。よって、これを抑制しやすい点から、本発明においては、油脂の構成脂肪酸中のトランス脂肪酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが最も好ましい。油脂におけるトランス脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.4.3−2013 トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)」で測定することができる。なお、トランス脂肪酸の含有量は、添加量既知の内部標準物質(ヘプタデカン酸)との面積比により算出できる。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、前述のトランス脂肪酸とするために、部分硬化油を含有しないことが好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造に用いられる、エステル交換油脂(A)以外の油脂としては、特に限定されるものではないが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、マンゴー油、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの脱臭油、加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量や、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量などを適宜調整するために、これらの油脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、パーム分別中融点油を油脂全体の質量に対して56〜86質量%含有することが好ましく、60〜86質量%含有することがより好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、乳糖を含有し、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量Xと乳糖の含有量Yとの質量比(X/Y)が起泡性水中油型乳化物基準で3〜33であることが好ましく、3〜25であることがより好ましい。また乳糖の含有量は、起泡性水中油型乳化物基準で0.5〜7質量%であることが好ましく、1〜6質量%であることがより好ましい。ここで乳糖は、乳糖単独で配合してもよく、脱脂粉乳やバターミルクパウダーなどの乳製品などとして配合してもよい。乳製品などとして配合する場合は、上記乳糖量は純分としての値である。このような範囲で乳糖を含有することで、起泡性が向上する。質量比(X/Y)が大きく乳糖が少な過ぎると、起泡しにくく、起泡時間が長くなり、起泡性が低下する。質量比(X/Y)が小さく乳糖が多過ぎると、すぐ起泡してしまい乳化安定性が悪くなる。
なお、本発明の起泡性水中油型乳化物を用いた製品中の乳糖量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物において、油脂の含有量は20〜50質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましく、30〜37質量%がさらに好ましい。油脂の含有量がこの範囲であると、乳糖との配合調整により、起泡性や乳化安定性が向上するとともに、口溶けとフレーバーリリースが良好で、二次加工後の保形性、保水性に優れ、起泡後のシマリを抑制することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物には、必要に応じて、起泡性水中油型乳化物に通常使用される各種の食品素材や食品添加物などを添加することができる。具体的には、例えば、乳、乳製品、乳製品を発酵処理した呈味剤、乳化剤、pH調整剤、糖質、増粘多糖類、フレーバー、着色成分、酸化防止剤などが挙げられる。
乳としては、牛乳などが挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、発酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイチーズ(WC)、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乳化剤としては、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。乳化剤は、特に限定されないが、起泡前の水中油型乳化物の乳化安定性と、起泡時には迅速にクリーム中の脂肪を凝集させて部分的に乳化状態を破壊させ、かつ解乳化させた状態を長時間維持する点を考慮すると、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンなどのリン脂質が主成分であるレシチンに、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどを組み合わせて使用することができる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩などの無機塩類、クエン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩類などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
糖質としては、例えば、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖類(ラクトース(乳糖)、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、オリゴ糖、糖アルコール、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、デンプン、デンプン分解物、イヌリン、多糖類などが挙げられる。
増粘多糖類としては、例えば、寒天、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、グルコマンナン、ジェランガム、大豆多糖類、タラガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タマリンドシードガム、ペクチン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA)などが挙げられる。
フレーバーとしては、例えば、ミルクフレーバー、バターフレーバーなどが挙げられる。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、例えば、次の手順で製造することができる。
油脂、乳化剤、水などの各成分を混合して乳化する。乳化にはホモミキサーなどを用いることができる。通常は、親油性の乳化剤は油相、親水性の乳化剤は水相に添加する。また、無脂乳固形分や塩類などを用いる場合、これらは予め水に溶解して用いる。乳化は、油相については配合油脂が完全に溶解する温度に加温し、水相については混合後の油相が温度低下を起こさない温度に加温し、水相に油相を混合し、例えば60〜70℃で行うことができる。
乳化した後、均質化を行う。均質化は、高圧ホモジナイザーを用いて、従来より起泡性水中油型乳化物の製造に用いられている圧力などの条件を適宜に設定して行うことができる。この均質化の工程において油滴のメディアン径を調整することができる。また均質化の前後の工程として、殺菌または滅菌処理をすることができる。均質化後のメディアン径は0.8〜1.6μmであることが好ましく、1.0〜1.3μmであることがより好ましい。
そして、均質化後の乳化物を冷却することにより、本発明の起泡性水中油型乳化物が得られる。冷却は、短時間で目的の温度まで冷却できる設備を用いて行うことが好ましく、このような設備としては、例えば、プレート式熱交換器、チューブ式熱交換器、掻き取り式熱交換器などを挙げることができ、このような設備を用いて短時間で1〜7℃の温度範囲まで冷却することが好ましい。冷却後、冷蔵下で攪拌し、タンク中で冷却温度にて例えば1〜2日程度放置し安定化させる(エージング)。その後、充填され、製品となる。
本発明の起泡性水中油型乳化物を、泡立器具、または専用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌することによって、起泡状態を呈するホイップドクリームを製造することができる。なお、起泡する際に、グラニュー糖、砂糖、液糖などの糖質や、アルコール類、フレーバー、増粘安定剤、生クリームなどを添加してもよい。
このようにして得られたホイップドクリームは、必要に応じて冷蔵保存した後、二次加工に供される。ここで二次加工には、起泡後にナッペマシーンや、デポジッターなどを通過させる機械を用いた成形手法や、スパテラを用いたナッペやしぼり袋を用いた注入など、手作業による成形手法が含まれる。
このようにして得られたホイップドクリームは、食品の各種用途に使用することができ、例えば、ケーキなどのナッペ用や、パン、パイ、シュー、デニッシュ、クッキー、ビスケットやケーキなどのサンド用、デザートやコーヒーなどのトッピング用などに好適に用いることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1〜表3に示す配合量は水を含む起泡性水中油型乳化物全量を基準とする質量%を表す。
(1)測定方法
油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
全油脂における飽和脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)で測定した。なお、これらの含有量は、上記試験法のとおりガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。
全油脂におけるトリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定した。なお、これらの含有量は、上記試験法のとおり、リパーゼ溶液で処理後のモノアシルグリセリン画分をガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の2位構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。
全油脂におけるP2Oの含有量(PPOおよびPOPの合計量)は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
全油脂における2飽和トリグリセリドおよび3飽和トリグリセリドの合計量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
(2)起泡性水中油型乳化物とホイップドクリームの作製
表1および表2のエステル交換油脂1〜7は次の方法で作製した。
(エステル交換油脂1)
パーム核極度硬化油25質量%、パーム油50質量%、パーム極度硬化油25質量%を混合して110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、さらに脱臭を行ってエステル交換油脂1を得た。このエステル交換油脂1のヨウ素価は28であった。
(エステル交換油脂2)
パーム核油50質量%、パーム油50質量%を原料に使用し、エステル交換油脂1の製法に準じてエステル交換反応等を行い、エステル交換油脂2を得た。このエステル交換油脂2のヨウ素価は35.5であった。
(エステル交換油脂3)
パーム核油50質量%、パーム分別硬質油50質量%を原料として、エステル交換油脂1の製法に準じてエステル交換反応等を行い、エステル交換油脂3を得た。このエステル交換油脂3のヨウ素価は26であった。
(エステル交換油脂4)
パーム分別軟質油を原料として、エステル交換油脂1の製法に準じてエステル交換反応等を行い、エステル交換油脂4を得た。このエステル交換油脂4のヨウ素価は56であった。
(エステル交換油脂5)
パーム核極度硬化油を原料として、エステル交換油脂1の製法に準じてエステル交換反応等を行い、エステル交換油脂5を得た。このエステル交換油脂5のヨウ素価は1であった。
(エステル交換油脂6)
パーム核油40質量%、パーム油60質量%を原料に使用し、エステル交換油脂1の製法に準じてエステル交換反応等を行い、エステル交換油脂6を得た。このエステル交換油脂6のヨウ素価は39であった。
(エステル交換油脂7)
パーム核極度硬化油50質量%、パーム極度硬化油50質量%を原料に使用し、エステル交換油脂1の製法に準じてエステル交換反応等を行い、エステル交換油脂7を得た。このエステル交換油脂7のヨウ素価は1であった。
<起泡性水中油型乳化物の作製>
表1〜表3に示す配合で、油脂にグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、油性フレーバーを添加し油相とした。一方、水にカゼインナトリウム、デキストリン、乳化剤のソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、表1および表2の乳糖含有成分(脱脂粉乳、バターミルクパウダー、乳糖)、リン酸ナトリウム、増粘多糖類を添加し水相とした。
水相と油相を65℃に加温し、水相に油相を添加し攪拌して乳化した後、高圧ホモジナイザーで均質化した。その後、1〜5℃まで急冷し、さらに、攪拌しながら冷蔵下で10時間エージングし、起泡性水中油型乳化物を得た。
起泡性水中油型乳化物における配合量は次のとおりである。なお、残部を水とし、全体を100質量部とした。
〈起泡性水中油型乳化物の配合〉
油脂 35質量%
乳糖原料 表1〜3記載
カゼインナトリウム 0.2質量%
デキストリン 2.5質量%
乳化剤 0.7質量%
グリセリン脂肪酸エステル 0.1質量%
レシチン 0.3質量%
ソルビタン脂肪酸エステル 0.1質量%
ショ糖脂肪酸エステル 0.2質量%
リン酸ナトリウム 0.2質量%
増粘多糖類 0.02質量%
フレーバー 0.04質量%
<ホイップドクリームの作製>
上記のようにして得られた起泡性水中油型乳化物4kgに0.4kgのグラニュー糖を加え、20コートボウル内で5℃に調温後、縦型ミキサー(関東混合機工業(株)製)を使用し、起泡させ、ホイップドクリームを得た。
(3)評価
得られた起泡性水中油型乳化物と、これを起泡して得たホイップドクリームについて次の評価を行った。
[安定性(ボテ)]
100ml容量ビーカーに60gの起泡性水中油型乳化物を計量し、20℃に調温したものをスリーワンモーター BL300(ヘイドン社製)にてファン(3枚羽根プロペラ)を使用し、180rpmの回転数で攪拌した。ボテの発生を目視で観察し、ボテが発生するまでの時間を以下の基準で評価した。なお、ここでいうボテとは、攪拌中にビーカー内にておこる増粘または固化を意味する。
評価基準
◎:4時間以上ボテが発生しなかった。
○:ボテが発生するまで30分以上4時間未満であった。
△:10分以上30分未満で増粘または固化した。
×:10分未満で増粘または固化した。
[起泡性]
起泡開始から起泡終点に至るまでの時間を測定し以下の基準により評価した。
なお、比較例4は乳化物の安定性が悪く、起泡試験以降の試験を行っていない。
評価基準
◎:6分以上8分未満
○:5分以上6分未満または8分以上11分未満
△:4分以上5分未満または11分以上15分未満
×:4分未満または15分以上
[保形性]
起泡直後、花形状に造形したものを17.5℃のクールニクスで1日静置し、形状の変化を目視により以下の基準で評価した。
なお比較例1、2については、起泡時間が長くなり、保形性以降の試験を行っていない。
評価基準
◎:造花直後と比較して形状の変化なし。
○:やや形状の変化がある。または若干「しわ」のようなものが見える。
△:かなり形が崩れている。または「しわ」のようなものが見える。
×:完全に形が崩れている。または「ひび」が入っている。
[保水性]
起泡直後、花形状に造形したものを17.5℃のクールニクスで1日静置し、離水の有無を目視により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:造花直後と比較して離水が認められない。
○:やや離水が認められる。
△:かなりの離水が認められる。
×:離水が激しい。
[シマリ]
起泡後、15℃にて30分静置したクリームの硬さをレオメーター(サン科学、CR−500DX)により測定し、以下の基準により評価した。
評価基準
◎:起泡直後とその30分後の硬さの差が−5gf/cm以上5gf/cm未満
○:起泡直後とその30分後の硬さの差が5gf/cm以上10gf/cm未満
△:起泡直後とその30分後の硬さの差が10gf/cm以上20gf/cm未満
×:起泡直後とその30分後の硬さの差が20gf/cm以上
[口溶け]
起泡後、10℃にて1日静置したホイップドクリームをパネル10名で試食し、口溶けを以下の基準で評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性4名、女性6名を選抜した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が、口溶けが良好であると評価した。
○:パネル10名中7〜5名が、口溶けが良好であると評価した。
△:パネル10名中4〜3名が、口溶けが良好であると評価した。
×:口溶けが良好であると評価したのはパネル10名中2名以下であった。
[フレーバーリリース]
起泡後、10℃にて1日静置したホイップドクリームをパネル10名で試食し、フレーバーリリースを以下の基準で評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性4名、女性6名を選抜した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が、フレーバーリリースが良好であると評価した。
〇:パネル10名中7〜5名が、フレーバーリリースが良好であると評価した。
△:パネル10名中4〜3名が、フレーバーリリースが良好であると評価した。
×:フレーバーリリースが良好であると評価したのはパネル10名中2名以下であった。
上記の評価結果を表1〜表3に示す。安定性と起泡性の評価においては、△以上は課題解決の最低限は満たしていると判断したが、その中でも〇以上を特に良好と判断した。各評価の総合評価として、×が1つ以上のものは不可とした。
Figure 0006762197
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Claims (7)

  1. ラウリン系油脂とパーム系油脂とを原料に含み、かつヨウ素価が23以上37未満であるエステル交換油脂を含有し、
    トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、全油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して49〜66質量%であり、
    2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量が、油脂全体の質量に対して55〜70質量%であり、
    トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸の含有量は、油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して0.2〜12質量%である起泡性水中油型乳化物。
  2. 前記エステル交換油脂のヨウ素価が23〜30である請求項1に記載の起泡性水中油型乳化物。
  3. 前記エステル交換油脂の原料であるパーム系油脂は、パーム油またはパーム油およびパーム極度硬化油を含有し、かつパーム分別硬質油を含有しない請求項1または2に記載の起泡性水中油型乳化物。
  4. 前記エステル交換油脂の含有量が油脂全体の質量に対して2.5〜30質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物。
  5. 乳糖を含有し、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量Xと乳糖の含有量Yとの質量比(X/Y)が3〜33である請求項1〜4のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物。
  6. 前記乳糖の含有量が0.5〜7質量%である請求項5に記載の起泡性水中油型乳化物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物を起泡してなるホイップドクリーム。
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