JP6762125B2 - 脱墨パルプの製造方法 - Google Patents
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Description
<古紙及びインク>
脱墨パルプの原料となる古紙は、特に限定されるものではなく、印刷された紙類であればよい。具体的には例えば、凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などのあらゆる方法によって印刷された新聞紙、雑誌、OA紙、チラシ、色上紙、模造紙、感熱や感圧記録紙、昇華転写紙などの上質古紙、中質古紙、低質古紙などが挙げられる。
図1に示すように、脱墨パルプの製造方法は、一般に、(I)古紙からインクを剥離・微細化する剥離・微細化工程と、(II)剥離されたインクを排出する排出工程とを含む。
ここに、本実施形態に係る脱墨パルプの製造方法は、(II)排出工程よりも前の工程である(I)剥離・微細化工程、特に本実施形態において(I)剥離・微細化工程に含まれる離解工程、粗選工程、高濃度処理工程、熟成工程、及び希釈工程の少なくとも1つ以上の工程において、超音波照射を行うことを特徴とする。すなわち、図1に示すように、(I)剥離・微細化工程の離解工程(S1)、粗選工程(S2)、高濃度処理工程(S3)、熟成工程(S4)及び希釈工程(S5)において、超音波照射を行うことができる。図1において、離解工程(S1)中、粗選工程(S2)中、高濃度処理工程(S3)中、熟成工程(S4)中、及び希釈工程(S5)中の超音波照射を、それぞれ超音波U1、超音波U2、超音波U3、超音波U4及び超音波U5で示す。なお、超音波U2(粗選工程(S2)中の超音波照射)は、粗選工程(S2)において、古紙液をフィルタ等に通して異物を取り除く作業の前に古紙液に対して超音波照射を行うことを意味する。また、超音波U3(高濃度処理工程(S3)中の超音波照射)は、粗選工程(S2)終了後の古紙液に対して超音波照射を行うことを含む。
次に、本実施形態に係る脱墨パルプの製造方法に添加する非イオン性界面活性剤について説明する。
本実施形態の非イオン性界面活性剤の使用量は、脱墨性、コストの観点から、用いられる古紙の乾燥重量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.005〜5質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
次に、本実施形態に係る脱墨パルプの製造方法に添加する高級脂肪酸またはその塩について説明する。
本実施形態の高級脂肪酸またはその塩の使用量は、脱墨性、コストの観点から、用いられる古紙の乾燥重量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.005〜5質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
本実施形態に係る脱墨パルプの製造方法は、(I)剥離・微細化工程、及び(II)排出工程の少なくともいずれか一方の工程で、下記一般式(1)で示される化合物を含む脱墨剤を添加することが好ましい。これにより、インクの剥離・微細化及び/又はインクの除去を効果的に促進させて脱墨性を向上させることができる。下記一般式(1)で示される化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
一般式(1)で示される化合物の使用量は、脱墨性、コストの観点から、用いられる古紙の乾燥重量に対して、0.0001〜10質量%が好ましく、0.0005〜5質量%がより好ましく、0.001〜1質量%が特に好ましい。
脱墨パルプの製造方法には通常、印刷古紙のインク除去のためにアルカリ剤が添加される。本実施形態に係る脱墨パルプの製造方法においては、超音波処理により、インクの剥離・微細化が促進されるため、アルカリ剤を添加しなくてもよい。これにより、アルカリ剤によるパルプ繊維の過度の分解・微細化に起因するボリューム感の低下や強度低下などのパルプの品質低下、歩留まり低下を抑制することができる。また、パルプの離解及びインクの剥離・微細化をさらに促進させる観点から、適量のアルカリ剤を添加してもよい。特にアルカリ剤を添加後に超音波照射を行うことで、両者の相乗効果によりインクの剥離・微細化が効果的に促進され得る。アルカリ剤は、特に限定されないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機系アルカリ剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
アルカリ剤の使用量は、目的とする古紙の種類により異なる。アルカリ剤を添加後のpHは、パルプの離解及びインクの剥離・微細化を促進させる観点から、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、特に好ましくは9以上である。また、アルカリ剤を添加後のpHは、アルカリ剤を多量に使用することによるボリューム感の低下や強度低下などのパルプの品質低下や歩留まり低下を抑制する観点から、好ましくは13以下、より好ましくは12.7以下、特に好ましくは12.5以下である。
非イオン性界面活性剤、一般式(1)で示される化合物、アルカリ剤、高級脂肪酸またはその塩の添加時期は特に限定するものではないが、脱墨性の観点から、前記脱墨パルプの製造工程において、(I)剥離・微細化工程と、(II)排出工程中のフローテーション工程S6とのいずれか一つ以上の工程で添加することが好ましく、(II)排出工程より前の(I)剥離・微細化工程を構成する複数の工程、すなわち離解工程S1、粗選工程S2、高濃度処理工程S3、熟成工程S4及び希釈工程S5のいずれか一つ以上の工程で添加することがより好ましい。更に、アルカリ剤は一般式(1)で示される化合物添加と同時期、あるいはその前に添加することが好ましく、特に、パルプの離解を促進させる観点から、(I)剥離・微細化工程の離解工程(S1)において添加することが好ましい。また、脱墨パルプの製造方法において発生した白水を再利用する場合には、再利用する白水に添加してもよい。
また場合により、脱墨パルプの製造方法は、更にアニオン性界面活性剤を添加することができる。アニオン性界面活性剤としては高級アルコールのアルキレンオキシド付加物の硫酸エステル化物、高級アルコールのアルキレンオキシド付加物のリン酸エステル化物(モノエステル、ジエステル、トリエステル)、アルキル硫酸エステル化物、アルキルリン酸エステル化物(モノエステル、ジエステル、トリエステル)、アルキルスルホネートなどが挙げられる。
実施例及び比較例に用いた一般式(1)の化合物を下記表1に示す。また、表2に実施例及び比較例に用いた非イオン性界面活性剤を示す。表1においてR2〜R4は置換基である。また、表1及び表2において、置換基としてのEO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を示し、数字は付加モル数を示す。また表1中で、例えば化合物No.(E1)のようにR3とR4の項目にまたいで(EO)150Hという記載がある場合は、R3とR4に合計で150モルのエチレンオキシドを付加したということを表す。
JIS標準離解機に、印刷会社より入手したUV硬化型インク印刷古紙(以下古紙という)を100g、化合物(P1)を0.2質量%(対古紙)、及び水を古紙の濃度が5質量%となるように入れた。なお、水酸化ナトリウムは添加していない。また、表3に示すように、処理槽のpHは7.8であった。次に温度40℃にて、5分間離解した。その後JIS標準離解機を停止し、超音波ホモジナイザー(ULTRASONIC HOMOGENIZER US−600E 株式会社日本精機製作所製)にて周波数19.5KHz、振幅60μmにて2.5分間超音波照射を行い(図1に示すように、離解工程中の超音波照射を超音波U1とした)、再びJIS標準離解機の運転を開始し5分間離解した(離解工程合計10分間)。その後フラットスクリーンを通して異物を除去し(粗選工程)、200メッシュの金網にて脱水しパルプ濃度が15%に濃縮し、温度40℃にて、PFIミル(熊谷理機製)にて1000回転で1分間処理を行った(高濃度処理工程)。次に恒温槽にて60℃×4時間熟成を行った後(熟成工程)、古紙の濃度が1質量%になるように40℃の水を加えて攪拌し均一にした。その後デンバー型フローテーター(熊谷理機社製)にてエアー量3.0L/分を通し、1分毎にフロス(水面上に出た泡、及び泡に付着したインク)をかきとりながら、5分間フローテーション処理を行った(フローテーション工程)。フローテーション処理後に得られた古紙を硫酸アルミニウム溶液にてpH5.5に調整し、丸型抄紙機にてJIS P−8209(1994)に従って坪量200g/m2にて手抄きを行った。プレス処理を行い、ドラムドライヤーにて105℃×5分乾燥し、フローテーション後の試験紙を得た。
実施例2〜5は、超音波照射をそれぞれ粗選工程中(超音波U2)、高濃度処理工程中(PFIミルで30秒間処理した後、PFIミルを停止し超音波照射を行った後、PFIミルの運転を開始し30秒間処理した。その間の超音波照射を超音波U3とした)、熟成工程中(超音波U4)、希釈工程中(40℃の水を加えて攪拌している間の超音波照射を超音波U5とした)にした他は実施例1と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例6、7は、超音波照射した時間を各々5分間及び10分間に変更した他は、実施例5と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例8〜11は、JIS標準離解機に古紙を入れる際に、水酸化ナトリウムを各々0.1質量%、0.5質量%、1.0質量%及び2.5質量%(対古紙)添加した以外は、実施例5と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。なお、水酸化ナトリウム添加後の処理槽のpHは各々10.1、11.5、12.2及び12.5であった。
実施例12、13は、超音波照射した時間を各々1.5分間及び5分間に変更した他は、実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例14は、超音波の振幅を40μmに変更した他は、実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例15は、離解工程中(超音波U1)、粗選工程中(超音波U2)、高濃度処理工程中(超音波U3)、熟成工程中(超音波U4)、希釈工程中(超音波U5)の各工程でそれぞれ0.5分間、超音波照射した他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例16は、離解工程中(超音波U1)、粗選工程中(超音波U2)、高濃度処理工程中(超音波U3)、熟成工程中(超音波U4)、希釈工程中(超音波U5)の各工程でそれぞれ1分間、超音波照射した他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例17は、離解工程中(超音波U1)、高濃度処理工程中(超音波U3)、希釈工程中(超音波U5)の各工程でそれぞれ0.5分間、超音波照射した他は実施例1と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例18は、離解工程中(超音波U1)、高濃度処理工程中(超音波U3)、希釈工程中(超音波U5)の各工程でそれぞれ1分間、超音波照射した他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例19は、水酸化ナトリウムの添加時に、化合物(P1)の代わりに一般式(1)化合物(E1)を0.2質量%(対古紙)添加し、離解工程中(超音波U1)に2.5分間超音波照射した他は、それぞれ実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例20は、水酸化ナトリウムの添加時に、一般式(1)化合物(E1)の代わりに一般式(1)化合物(E3)を0.2質量%(対古紙)添加した他はそれぞれ実施例19と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例21、22、23は、水酸化ナトリウムの添加時に、化合物(P1)の代わりに一般式(1)化合物をそれぞれ(E1)、(E3)、(E5)各0.2質量%(対古紙)添加し、高濃度処理工程中(超音波U3)に2.5分間超音波照射した他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例24、25、26、27、28は、水酸化ナトリウムの添加時に、化合物(P1)の代わりに一般式(1)化合物をそれぞれ(E1)、(E2)、(E3)、(E4)、(E5)、各0.2質量%(対古紙)添加した他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例29は、水酸化ナトリウムの添加時に、一般式(1)化合物(E1)を0.2質量%(対古紙)、化合物(P1)を0.1質量%(対古紙)添加した他は実施例19と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例30は、水酸化ナトリウムの添加時に、一般式(1)化合物(E3)を0.2質量%(対古紙)、化合物(P1)を0.1質量%(対古紙)添加した他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例31は、水酸化ナトリウムの添加時に、一般式(1)化合物(E1)を0.2質量%(対古紙)、化合物(P2)を0.1質量%(対古紙)添加した他は実施例19と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例32は、水酸化ナトリウムの添加時に、一般式(1)化合物(E3)を0.2質量%(対古紙)、化合物(P2)を0.1質量%(対古紙)添加した他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例33〜39は、使用したUV硬化型インク印刷古紙を新聞古紙(新聞/市中ちらし70/30、新聞は酸化重合型インクにて印刷したもの)に代えた他はそれぞれ実施例1〜7と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。なお、処理槽のpHは7.7であった。
実施例40〜43は、使用したUV硬化型インク印刷古紙を新聞古紙(新聞/市中ちらし70/30)に代え、水酸化ナトリウムの添加量をそれぞれ0.05質量%、0.25質量%、0.5質量%、1.0質量%(対新聞古紙)に変更した他はそれぞれ実施例8〜11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。なお、水酸化ナトリウム添加後の処理槽のpHはそれぞれ9.0、11.0、11.5、12.2であった。
実施例44〜62は、使用したUV硬化型インク印刷古紙を新聞古紙(新聞/市中ちらし70/30)に代え、水酸化ナトリウムの添加量を1.0質量%(対新聞古紙)に変更した他はそれぞれ実施例12〜30と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。なお、水酸化ナトリウム添加後の処理槽のpHは12.2であった。
実施例63は、水酸化ナトリウムの添加時に、一般式(1)化合物(E4)を0.2質量%(対新聞古紙)、化合物(P1)を0.05質量%(対新聞古紙)、化合物(P3)を0.05質量%(対新聞古紙)添加した他は実施例33と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
実施例64は、水酸化ナトリウムの添加時に、一般式(1)化合物(g)を0.2質量%(対新聞古紙)、化合物(P1)を0.05質量%(対新聞古紙)、化合物(P3)を0.05質量%(対新聞古紙)添加した他は実施例43と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例1は、超音波照射を行わなかった他は実施例1と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例2は、超音波照射を行わなかった他は実施例9と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例3は、超音波照射を行わなかった他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例4は、化合物(P1)の代わりに化合物(P2)を0.2質量%(対古紙)添加し、超音波照射を行わなかった他は実施例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例5は、フローテーション工程5分間中2.5分間超音波照射した(図1に示すように、超音波U6とした)。フローテーション工程中超音波照射した他は比較例3と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例6は、フローテーション工程5分間中2.5分間超音波照射した(超音波U6)。フローテーション工程中超音波照射した他は比較例4と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例7は、フローテーション工程の代わりに5分間超音波照射した(図1に示すように、超音波U7とした)。フローテーション工程を行わず、超音波照射した他は比較例3と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例8は、超音波照射を行わなかった他は実施例33と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例9は、超音波照射を行わなかった他は実施例41と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例10は、超音波照射を行わなかった他は実施例43と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例11は、化合物(P1)を0.1質量%(対新聞古紙)、化合物(P3)を0.1質量%(対新聞古紙)添加し、超音波照射を行わなかった他は実施例43と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例12は、フローテーション工程5分間中2.5分間超音波照射した(超音波U6)。フローテーション工程中超音波照射した他は比較例10と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例13は、フローテーション工程5分間中2.5分間超音波照射した(超音波U6)。フローテーション工程中超音波照射した他は比較例11と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
比較例14は、フローテーション工程の代わりに5分間超音波照射した(超音波U7)。フローテーション工程を行わず、超音波照射した他は比較例10と同じ処理を行いフローテーション後の試験紙を得た。
UV硬化型インク印刷古紙を使用した場合の評価については、フローテーション後のダート面積率及びダート平均粒子径の測定を行って評価した。結果を表4〜表7に示す。
表4〜6に示した実施例の結果から明らかなように、超音波U1〜U5のいずれかの段階、あるいは複数の段階、又は特に超音波U5の段階において超音波を照射することにより、活性エネルギー線硬化型インクであっても、インク粒子が細かく破壊されることでフローテーション処理によって細かいインク粒子が泡と共に系外に除去される結果、脱墨性に優れた高品質の脱墨パルプが得られた。
新聞古紙を使用した場合の評価については、測色機にて白色度及びERICの測定を行って評価した。結果を表8〜表11に示す。なお、ERICはインクのみが主な吸光要素である950nmにおける波長での吸収・拡散係数を測定した数値であり残留インク濃度を示す。
[測色機測定条件]
・光源:C光源にて測定角度2°にて測定
・ランプ仕様:パルスキセノン
・標準測定径:φ30mm
なお、白色度は数値が大きいほうがインクの脱墨性が良好であることを表し、ERICは数値が大きいほうがインクの脱墨性が不良であることを表す。フローテーション後の白色度は53.3以上、ERICは270以下であれば脱墨性が優れていることになる。
表8〜10に示した実施例の結果から明らかなように、超音波U1〜U5のいずれかの段階、あるいは複数の段階、又は特に超音波U5の段階において超音波を照射することにより、インクの微細化は起きやすいがパルプ繊維から剥離しにくい酸化重合型のインク粒子であっても、パルプ繊維から剥離されやすくなることでインク粒子がフローテーション処理によって泡と共に系外に除去される結果、脱墨性に優れた高品質の脱墨パルプが得られた。
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
2 パルプ繊維
3 インク
Claims (4)
- 離解工程を含み、古紙からインクを剥離し微細化する剥離・微細化工程と、
前記剥離・微細化工程において剥離・微細化されたインクを排出する排出工程と
を備え、
前記離解工程で、
非イオン性界面活性剤及び/又は高級脂肪酸あるいはその塩、
並びに、
下記一般式(1)で示される化合物を含む脱墨剤
の少なくとも一方を添加し、
前記剥離・微細化工程において、超音波照射を行う
ことを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
- 前記剥離・微細化工程は、希釈工程を含み、
前記超音波照射は、少なくとも前記離解工程及び前記希釈工程において行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の脱墨パルプの製造方法。 - 前記超音波照射における超音波の振幅は、1〜100μmである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の脱墨パルプの製造方法。 - 前記インクは、活性エネルギー線硬化型インク及び/又は酸化重合型インクである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱墨パルプの製造方法。
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