<生態系活用システムの一実施の形態>
図1は、本技術を適用した生態系活用システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図1において、生態系活用システムは、ネットワーク10、1個以上のセンサ装置11、1個以上の端末12、及び、1個以上のサーバ13で構成される。生態系活用システムは、生態系で観測される様々な情報を収集し、その情報に基づいて、生態系活用を図るための情報を得て、ユーザに提供する。
センサ装置11、端末12、及び、サーバ13は、ネットワーク10に、有線又は無線で接続され、通信を行うことができるようになっている。
センサ装置11は、各種の物理量をセンシングするセンサと、そのセンサによるセンシングの結果得られるセンサデータ(センシングされた物理量を表すデータ)を送信する通信機能とを有する。さらに、センサ装置11は、例えば、GPS(Global Positioning System)等を利用した、センサ装置11自体の位置を検出する位置検出機能を、必要に応じて含む。
センサ装置11は、センサによって、物理量をセンシングする。さらに、センサ装置11は、通信機能によって、センシングにより得られたセンサデータを、ネットワーク10を介して、サーバ13に送信する。センサデータは、必要に応じて、センサ装置11の位置検出機能により検出されたセンサ装置11の位置を表す位置情報とともに、センサ装置11からサーバ13に送信される。
センサ装置11が有するセンサとしては、例えば、光をセンシングすることにより画像を撮影するセンサ(イメージセンサ)等の、光を含む電磁波をセンシングするセンサや、音をセンシングするセンサ(マイク)を採用することができる。さらに、センサ装置11が有するセンサとしては、例えば、温度や、湿度、湿度、地磁気、気圧、におい等の各種の環境の情報としての物理量をセンシングするセンサを採用することができる。
センサ装置11は、生態系活用を図る地域(以下、活用地域ともいう)の山林や、川、海、湖、圃場(農園)等の生態系の観測(センシング)を行うべき場所に設置される。センサ装置11の設置は、人手によって所定の位置に行うことができる。また、センサ装置11の設置は、その他、例えば、飛行機や、船舶、自動車等で移動しながら、センサ装置11を散布することによって行うことができる。
センサ装置11によれば、活用地域の様々な場所において、例えば、植物や虫等の画像、風の音や、虫の声、葉がこすれる音等の音響、気温や土の温度、湿度、地磁気等がセンシングされ、そのセンシングにより得られたセンサデータが、ネットワーク10を介して、サーバ13に送信される。
ここで、活用地域は、例えば、市町村や、その一部であっても良いし、都道府県や、日本全国、世界各国であっても良い。また、活用地域は、例えば、北海道と九州や、日本と米国等のように、離れた地域であっても良い。
端末12は、生態系活用の支援を受けるユーザや、生態系活用に協力するユーザが使用する情報処理装置である。端末12としては、例えば、スマートフォンや、タブレット、ウェアブルな端末等の携帯可能な端末を採用することができる。また、端末12としては、例えば、ノートPC(Personal Computer)やデスクトップPC、その他、通信機能と、ユーザに対する情報の入出力機能(インターフェース)とを有する装置を採用することができる。
ユーザは、端末12を使用して、活用地域の様々な場所において観測を行い、その観測結果を表す観測値を、ネットワーク10を介して、サーバ13に送信する。
ここで、端末12からサーバ13に送信する観測値としては、例えば、ある場所で、ある植生や虫、その他の生物の種が観測されたことや、種の画像、ある作物が収穫されたこととその作物の収穫量、白菜がロゼット化したこと、その他の、ユーザが生態系を観測して得られるあらゆる情報(ユーザが端末12を操作して得られる画像や音響等を含む)を採用することができる。
端末12は、観測値以外の他のデータを、ネットワーク10を介して、サーバ13に送信する。また、端末12は、サーバ13から、ネットワーク10を介して、必要なデータを受信する。例えば、端末12は、サーバ13から、生態系活用を図るための情報を受信(取得)し、ユーザに提示する。ユーザへの情報の提示は、例えば、画像の表示や、音声の出力等によって行われる。
サーバ13は、生態系活用を支援する支援者が管理する情報処理装置である。
サーバ13は、センサ装置11からネットワーク10を介して送信されてくるセンサデータや、端末12からネットワーク10を介して送信されてくる観測値を受信して登録する。さらに、サーバ13は、センサ装置11からのセンサデータ(必要に応じて、センサ装置11の位置情報を含む)や、端末12からの観測値、その他の必要な情報に基づき、生態系活用を図るための情報を生成し、ネットワーク10を介して、端末12に送信する。
端末12は、サーバ13からネットワーク10を介して送信されてくる情報を受信し、画像として表示することや、音声として出力することで、サーバ13からの情報を、ユーザに提示する。
なお、以下説明する端末12の処理や、サーバ13の処理は、可能な範囲で、端末12とサーバ13とで分担して行うことができる。また、サーバ13が行う処理は、複数のサーバで分担して行うことができる。
<ネットワーク10の構成例>
図2は、図1のネットワーク10の構成例を示す図である。
ネットワーク10は、任意の数の無線中継装置21、任意の数の無線LAN(Local Area Network)22、携帯電話網23、及び、インターネット24で構成される。
無線中継装置21は、無線で通信を行う装置であり、ルータ機能を有する。
無線中継装置21は、センサ装置11で得られたセンサデータを回収することができるように、例えば、活用地域に万遍なく設置される。
無線中継装置21の設置は、例えば、センサ装置11の設置と同様に、人手によって行うことや、飛行機、船舶、自動車等で移動しながら、無線中継装置21を散布することによって行うことができる。また、無線中継装置21は、自動車(例えば、定期運行しているバス等)や、バイク、船舶等の移動可能な乗り物に設置することができる。
無線中継装置21は、センサ装置11と通信を行うことにより、センサ装置11から送信されてくるセンサデータを受信する。また、無線中継装置21は、他の無線中継装置21と通信を行うことにより、他の無線中継装置21から送信されてくるセンサデータを受信する。さらに、無線中継装置21は、他の無線中継装置21と通信を行うことにより、他の無線中継装置21に、センサデータを送信する。
また、無線中継装置21は、無線LAN22や携帯電話網23と通信を行うことにより、センサ装置11や他の無線中継装置21から受信したセンサデータを、無線LAN22や携帯電話網23に送信する。
無線LAN22は、ユーザ宅や任意の場所に構築されている。無線LAN22は、端末12や、無線中継装置21、インターネット24と通信を行うことにより、端末12からのデータや、無線中継装置21からのセンサデータを、インターネット24を介して、サーバ13に送信する。
また、無線LAN22は、サーバ13からインターネット24を介して送信されてくるデータを受信し、端末12に送信する。
携帯電話網23は、例えば、3G回線等であり、端末12や、サーバ13、無線中継装置21、インターネット24と通信を行う。
インターネット24は、端末12や、サーバ13、無線LAN22、携帯電話網23と通信を行う。
ここで、無線中継装置21が送信するセンサデータや、無線LAN22を介して送信されてくるデータ、端末12が送信するデータは、携帯電話網23及びインターネット24の一方又は両方を介して、サーバ13に送信される。また、サーバ13が送信するデータは、携帯電話網23及びインターネット24の一方又は両方を介して、端末12に送信される。
以上のように構成されるネットワーク10では、無線中継装置21がルータ機能を有するので、ある無線中継装置21が故障等によって通信不能になり、その無線中継装置21を経由する無線通信経路が使用不能になっても、他の無線中継装置21を経由する無線通信経路を使用して、センサ装置11から送信されてくるセンサデータを、サーバ13に送信することができる。
すなわち、無線中継装置21がルータ機能を有することにより、センサ装置11で得られるセンサデータは、無線中継装置21を経由する様々な無線通信経路を介して、サーバ13に送信することができる。そのため、サーバ13では、ある無線中継装置21が通信不能になっても、センサ装置11で得られたセンサデータを回収(受信)することができる。
また、無線中継装置21を設置した自動車のユーザは、例えば、活用地域の山道等を走行するだけで、生態系活用のための情報収集に貢献することができる。
すなわち、無線中継装置21を設置した自動車で、活用地域を走行することにより、その自動車に設置された無線中継装置21は、様々な場所で、その場所に近い位置の他の無線中継装置とともに無線通信経路を構成し、センサ装置11で得られたセンサデータをサーバ13で回収することに貢献する。
なお、無線中継装置21としては、近距離無線ネットワークの標準規格の1つである、例えば、ZIGBEE(登録商標)に準拠した無線通信装置、その他の、ルータ機能の搭載が可能で、ある程度の距離の無線通信が可能な、小型で、低消費電力の無線通信装置を採用することができる。
<端末12の構成例>
図3は、図1の端末12の構成例を示すブロック図である。
端末12は、CPU(Central Processing Unit)31、メモリ32、ストレージ33、操作部34、表示部35、スピーカ36、カメラ37、マイク38、位置検出部39、通信部40、外部I/F(Interface)41、及び、ドライブ42を有する。CPU31ないしドライブ42は、バスに接続されており、相互に、必要な通信を行う。
CPU31は、メモリ32やストレージ33にインストールされたプログラムを実行することで、各種の処理を行う。
メモリ32は、例えば、揮発性メモリ等で構成され、CPU31が実行するプログラムや、必要なデータを一時記憶する。
ストレージ33は、例えば、ハードディスクや不揮発性メモリで構成され、CPU31が実行するプログラムや、必要なデータを記憶する。
操作部34は、物理的なキー(キーボードを含む)や、マウス、タッチパネル等で構成される。操作部34は、ユーザの操作に応じて、その操作に対応する操作信号を、バス上に出力する。
表示部35は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、バスから供給されるデータに応じて、画像を表示する。
ここで、操作部34としてのタッチパネルは、透明な部材で構成され、表示部35と一体的に構成することができる。これにより、ユーザは、表示部35に表示されたアイコンやボタン等を操作するような形で、情報を入力することができる。
スピーカ36は、バスから供給されるデータに応じて、音響を出力する。
カメラ37は、画像(静止画、動画)を撮影し(光をセンシングし)、対応する画像データを、バス上に出力する。
マイク38は、音響を集音し(音をセンシングし)、対応する音響データを、バス上に出力する。
位置検出部39は、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して、端末12の位置を、ユーザ等の位置として検出し、その位置を表す位置情報を、バス上に出力する。
通信部40は、無線LAN22や、携帯電話網23、インターネット24等との通信を行う。
外部I/F41は、例えば、ヘッドフォンその他の外部の装置との間で、データをやりとりするためのインターフェースである。
ドライブ42は、例えば、メモリカード等のリムーバブルメディア42Aの着脱が可能になっており、そこに装着されたリムーバブルメディア42Aを駆動する。
以上のように構成される端末12において、CPU31が実行するプログラムは、端末12に内蔵されている記録媒体としてのストレージ33にあらかじめ記録しておくことができる。
また、プログラムは、リムーバブルメディア42Aに格納(記録)して、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供し、リムーバブルメディア42Aから端末12にインストールすることができる。
その他、プログラムは、通信部40を介して、インターネット24からダウンロードし、端末12にインストールすることができる。
CPU31は、端末12にインストールされたプログラムを実行することにより、取得部51、及び、表示制御部52として機能する。
取得部51は、各種の情報(データ)を取得する。
表示制御部52は、取得部51が取得した情報等を、表示部35に表示させることで、ユーザに提示する表示制御を行う。
なお、端末12には、光をセンシングするカメラ37、及び、音をセンシングするマイク38以外のセンサ、すなわち、光及び音以外の物理量、例えば、温度や圧力等をセンシングするセンサ43を設けることができる。端末12にセンサ43を設ける場合には、端末12は、センサ装置11の役割も果たすことができる。
<サーバ13の構成例>
図4は、図1のサーバ13の機能的構成例を示すブロック図である。
サーバ13は、CPU61、メモリ62、ストレージ63、操作部64、表示部65、スピーカ66、通信部67、外部I/F68、及び、ドライブ69を有する。
CPU61ないしドライブ69は、図3のCPU31ないしスピーカ36、通信部40ないしドライブ42とそれぞれ同様に構成される。
サーバ13では、端末12と同様に、CPU61が実行するプログラムは、サーバ13に内蔵されている記録媒体としてのストレージ63にあらかじめ記録しておくことができる。
また、プログラムは、リムーバブルメディア69Aに格納(記録)して、パッケージソフトウエアとして提供し、リムーバブルメディア69Aからサーバ13にインストールすることができる。
その他、プログラムは、通信部67を介して、インターネット24からダウンロードし、サーバ13にインストールすることができる。
CPU61は、サーバ13にインストールされたプログラムを実行することにより、協生農法CMS(Content Management System)71、グラフ表示制御部72、評価部73、信頼度算出部74、アドバイス生成部75、関連付け部76、解析部77、及び、植生分布表示制御部78として機能する。
協生農法CMS71は、協生農法に関する情報の授受を行うwebページ(以下、協生農法ページともいう)を構成するコンテンツ(テキストや画像等)や、レイアウト情報等を、DB(データベース)に登録して管理する。さらに、協生農法CMSは、協生農法ページを構築し、インターネット24上のwebサーバとして、協生農法ページを、通信部67から、端末12(その他のwebブラウザとして機能する装置)に送信する。
端末12(図3)では、取得部51が、協生農法CMS71からの協生農法ページを、通信部40を介して取得し、表示制御部52が、その協生農法ページを、表示部35に表示させる。
グラフ表示制御部72は、ストレージ63等に記録されたDBから、後述する関係グラフの生成に必要なバイパータイトグラフ(bipartite graph)を生成し、通信部67から、端末12に送信することで、端末12に、バイパータイトグラフから関係グラフを生成させて表示させる。あるいは、グラフ表示制御部72は、バイパータイトグラフから関係グラフを生成し、通信部67から、端末12に送信することで、端末12に、関係グラフを表示させる。
すなわち、端末12(図3)では、取得部51が、グラフ表示制御部72からのバイパータイトグラフ、又は、関係グラフを、通信部40を介して取得する。取得部51は、バイパータイトグラフを取得した場合には、そのバイパータイトグラフから、関係グラフを生成することにより、その関係グラフを取得する。そして、端末12では、表示制御部52が、関係グラフを、表示部35に表示させる。
評価部73は、DBに登録されたデータ(センサ装置11からのセンサデータや、端末12からの観測値等)を用いて、活用地域の生態系、すなわち、例えば、活用地域の生物多様性や環境等の評価を行う。
信頼度算出部74は、ユーザが活用地域の生態系を観測して得られる、端末12からの観測値に対して、信頼度を算出する。
アドバイス生成部75は、信頼度算出部74で得られる信頼度に応じて、ユーザによる活用地域の生態系の観測について、端末12で提示されるアドバイスを生成し、通信部67から、端末12に送信する。
端末12(図3)では、取得部51が、アドバイス生成部75からのアドバイスを、通信部40を介して取得し、表示制御部52が、そのアドバイスを、表示部35に表示させることで、ユーザに提示させる。なお、表示制御部52は、取得部51が取得したアドバイスを、スピーカ36から音声で出力させることで、ユーザに提示させることができる。
関連付け部76は、センサによるセンシングの結果得られるセンサデータと、ユーザによる観測の観測結果を表すシンボル(記号)とを、ボロノイ分割によって関連付け、センサデータとシンボルとを関連付けたDBを構成して、ストレージ63に登録する(記録する)(記憶させる)。
ここで、ユーザによる観測の観測結果を表すシンボルとは、例えば、ユーザが、植生A(の存在)を観測した場合には、例えば、文字列「植生A」等の、植生A(の観測)を表すものとして定義した任意の記号(文字や数字等を含む)を意味し、例えば、ユーザが、植生Aのロゼット化を観測した場合には、例えば、文字列「植生Aのロゼット化」等の、植生Aのロゼット化を表すものとして定義した任意の記号を意味する。
解析部77は、センサデータとシンボルとを関連付けたDBを解析して、シンボルが表す植生等のニッチ等を推定する。
植生分布表示制御部78は、植生分布と、その植生分布に関連付けられた関連情報とを、通信部67を介して、端末12に送信することで、端末に、植生分布と、その植生分布に関連付けられた関連情報とを表示させる。
すなわち、端末12(図3)では、取得部51が、植生分布表示制御部78からの植生分布と、その植生分布に関連付けられた関連情報とを、通信部40を介して取得し、表示制御部52が、取得部51で取得された植生分布と関連情報を、表示部35に表示させる。
ところで、サーバ13では、ストレージ63に、様々なDBが登録されており、その様々なDBの一部として、協生農法のマネージメントを支援する各種のDB(以下、協生農法DBともいう)がある。
以下、サーバ13のストレージ63に登録された協生農法DBについて説明する。
<協生農法DBの構成例>
図5は、協生農法DBの構成例を示す図である。
図5において、協生農法DBは、種まきDB、植生DB、収量DB、管理記録DB、フェノロジーDB、昆虫動物叢DB、微生物叢DB、気候区分DB、気象DB、座標DB、協生農法査定書DB、アレロパシーDB、輪作適性DB、植物名DB、写真記録DB、及び、メタDB等を有する。
協生農法DBでは、csv(comma separated values)ファイル(例えば、2次元マトリクス形式のファイル)や、画像ファイルでデータが保存される。協生農法DBの全部又は一部は、サーバ13から独立して配置し、ネットワーク10を介してサーバ13に接続させることができる。
図6は、種まきDBの構成例を示す図である。
種まきDBは、例えばcsvファイルにより構成される。この例では、記録年月日、畑区画、畝番号、畝区画、種(seed)と苗の区別、作物名、サクモツメイ、数量、メーカーに関する情報が記録されている。同じ品種の種、苗であっても、メーカーによって採取、生育のさせ方が異なり、メーカー名も一種の栽培条件となり得るので、管理記録しておくことが好ましい。
ここで、活用地域の畑(農園)は、畑区画に区分されている。畑区画には、畝が形成されており、畝は、1以上の畝区画に区分されている。畝には、その畝を特定する畝番号が付されている。
例えば2012年1月18日に、畑区画SWの全て(All)の畝には、メーカーA社のジャガイモ(メイクイーン)の苗が0.5Kgだけ植えられたことが記録されている。また、全て(All)の畑区画にC社のレタス(キングクラウン)の種が2袋だけ播かれたことが記録されている。
なお、作物名には、「ジャガイモ(男爵芋)」と、品種を含む情報が漢字も含んで記録されるが、サクモツメイには、「ジャガイモ」と、品種を区別せず、単に名称の情報だけがカタカナだけで記録されている。このような統一された文字だけの表現は、検索を容易にする。
図7は、植生DBの構成例を示す図である。
植生DBは、例えばcsvファイルで構成される。この例では、記録年月日と観測区画座標としての位置情報が記録されている。例えば観測区画座標NEにおいて、次のようなことが観測されたことが記録されている。2012年1月23日には、ソラマメの発芽が定着したこと、ニンジンが収穫可能であること、ダイコンが収穫可能であること、ネギが定着したこと、苗ブロッコリーが定着したこと、苗キャベツが定着したこと、苗白菜が定着し、収穫可能であることが記録されている。
また、イネ科、キク科、マメ科の雑草が観測されたこと、赤巻チコリが収穫可能であることが記録されている。なお、例えば所定の植物をイネ科よりさらに詳しく分類することも理論的には可能であるが、実用的にはそれ以上詳細に分類しても殆ど意味はない。
2012年2月25日にも観測区画座標NEにおいて観測された事項が記録されている。
図8は、収量DBの構成例を示す図である。
収量DBは、例えばcsvファイルで構成される。この例では、収穫された作物の収量が、収穫された月日毎に記録されている。例えばホロニガレタスは、2012年1月14日に、100g収穫され、大根は、1月24日に1700g、1月29日に4000g、1月30日に1500g、1月31日に740g、2月20日に1500g、それぞれ収穫されている。
この他、コカブ、W農園のコカブ、イタパセ、サラダニラ、ミント、ローズマリー、小松菜、ムー菜、ネギ、ハツカダイコン、W農園のハツカダイコン、セロリ、ゴボウ、チンゲン菜、春菊、小人参、W農園の小人参、W農園の大中人参、カリフラワー、キャベツ(茎キャベツ)、島ラッキョ、白菜緑菜、フキノトウ等の収量が記録されている。なお、「W農園」は農園の名称であり、「茎キャベツ?」は、観測者(ユーザ)が、そのキャベツが茎キャベツであるのかどうか、正確に識別できなかったことを表している。「ムー菜」とは一般的な名称ではないが、その植物に観測者が名付けた名称である。図8では、位置情報としての座標の記録は省略されているが、作物が観測された畑や畝等の区画の位置情報としてのGPS座標等を記録することができる。
なお、収量DBの入力には、種まきDBの入力情報を利用することができる。例えば、収量DBの入力を行う場合には、種まきDBにより管理されている植物の情報をそのまま表示することができる。
図9は、管理記録DBの構成例を示す図である。
管理記録DBは、例えばcsvファイルで構成される。この例では、行われた管理作業と行われた年月日が記録されている。例えば、2012年1月19日、2012年1月20日、2012年1月21日、2012年1月22日、2012年1月23日に、苗定植と、防風棚作りなどの土木工事が行われたことが記録されている。
図10は、フェノロジーDBとしてのcsvファイルの構成例を示す図である。
フェノロジーDBは、例えば画像ファイルとcsvファイルで構成される。図10は、csvファイルの例を示しており、csvファイルには、フェノロジーの内容と記録日時が文字で記録されている。例えば2011年1月9日に、不明な草の種が観測されたこと、他より成長がよいこと、エンドウの下部分が枯れてきたこと、他より明らかに成長がよい箇所が観測されたこと等が記録されている。
図11は、フェノロジーDBとしての画像ファイルの構成例を示す図である。
図11の画像ファイルでは、「大磯協生農園」の名称の畑で観測されたフェノロジーが、撮影された写真と付加された簡単なコメントとともに日付毎に記録されている。
図中左上には、場所がOiso、日付が2011年9月22日、畑区画がNN、畝番号が02、畝区画がd3において撮影された画像であるフェノロジー1が示されている。図中上中央には、同じ場所で撮影された画像であるフェノロジー1−2が、「NN02d3は双葉の発芽がとても多い」というコメントとともに示されている。
このように、フェノロジーDBには、作業者(ユーザ)が観測したフェノロジーが、文字、画像により記録される。
図12は、昆虫動物叢DB構成例を示す図である。
昆虫動物叢DBは、例えば、画像ファイルとcsvファイルにより構成される。図12のAには、2012年2月18日に、伊勢新農園の名称の畑087で撮影された昆虫の画像が示されている。コメントとして、観測地が伊勢新農園であること、昆虫は、目名がコウチュウ目、科名がゴミムシダマシ科、分類がスナゴミムシダマシ類と思われること、石の下で集団越冬していたことが記録されている。
図12のBには、2012年2月18日に、伊勢新農園の名称の畑088で、撮影された昆虫の画像が示されている。コメントとしては、図12のAにおける場合と同じ内容が記録されている。
図12のCには、2012年2月18日に、伊勢新農園の名称の畑089で、撮影された静物の画像が示されている。コメントとして、観測地が伊勢新農園であること、生物は、クモ類、目名はクモ目、科名はコモリグモ科、種名はウヅキコモリグモであること、そして、コモリグモ科の最普通種で、地表付近を徘徊しているのを、よく見かけることが記録されている。
図13は、気象DBの構成例を示す図である。
この例においては、2012年の津地方における気圧、降水量、気温、湿度等の気象情報が、各月の上旬、中旬、下旬毎に記録されている。例えば、1月上旬においては、現地の平均の気圧は1018.7hPa、海面の平均が1021.0hPaである。降水量は、最大が10分間で0.5mm、1時間で0.5mm、1日で0.5mm、合計で0.5mmとなっている。気温については、最高が11.6℃、最低が0.2℃であり、1日の平均の最高が9.2℃、平均の最低が2.0℃、日の平均が5.2℃となっている。湿度は、平均が62%、最小が24%となっている。
図14は、アレロパシーDBの構成例を示す図である。
アレロパシーDBは、例えばcsvファイルにより構成される。この例においては、ネギ、スイカやメロン(ウリ科)、ニンジン、アワ・キビ、ムギ、カボチャ、スイカ・キュウリ・カボチャ(ウリ類)、ニンニクやタマネギについて、アレロパシー(他感作用)が記録されている。「1」は対象となる植物の間で共生的な相互作用(すなわち促進的作用)が確認されたことを意味し、「0」はそれが確認されていないことを意味する。例えば、ネギとニンジンは共生的な相互作用が確認されているが、ネギとムギは共生的な相互作用が確認されていない。なお、0〜10などの数字を用いて、相互作用の程度を段階的に表すこともできる。
図15は、輪作適性DBの構成例を示す図である。
輪作適性DBは、csvファイルにより構成される。この例においては、スイカ、メロン(ウリ科)と落花生の輪作適性が記録されている。「1」は対象となる植物の間でその畑において良好な輪作適性が確認されたことを意味し、「0」はそれが確認されていないことを意味する。例えば、スイカやメロン(ウリ科)と落花生は良好な輪作適性が確認されている。
これらのアレロパシーDBや輪作適性DBは、文献などで知られている情報だけでなく、それ以外の情報からも作成される。例えば、種まきDB、植生DB、収量DBを比較参照して、実際に協生農園で混生状態が成立した植生の組み合わせや、植生遷移(すなわち、時間的な植生の変化)が生じた組み合わせからも同じ形式で作成することができる。
微生物叢DBは、画像ファイルとcsvファイルで構成される。微生物叢DBは、協生農園で取得した土壌サンプルから解析された微生物に関する情報を記録する。
気候区分DBは、csvファイルで構成される。この気候区分DBは、農園が位置している気候区分に関する情報を記録するDBであり、照葉樹林帯、落葉樹林帯、亜熱帯気候、熱帯気候などの区分からなる。
気象DBは、例えばアメダス等の気象衛星の気象データからグラフ化した画像ファイルと、csvファイル、及び圃場に設置した観測機器であるセンサ装置11による各種気象データを記録する。
座標DBは、csvファイルで構成される。座標DBは、畑の畝ごとのGPS座標を記録している。この座標は、10 センチ程度の精度を有している。
協生農法査定書DBは、pdf もしくは画像ファイルで構成される。協生農法査定書は、協生農法としての審査をクリアしたことの証明書であり、サーバ管理者が、畑21の管理者からの申請に基づいて畑を審査して、協生農法としての条件を満たしていることを確認した場合に発行される。この発行を受けた農園からの作物には、協生農法によるものであることを表記することが認められる。
植物名DBは、各種の植物の名称と画像を記録する。写真記録DBは、各種の写真を記録する。メタDBは、後述するキーイベントを記録する。
協生農法DBには、以上の他、協生農法で栽培する植物の植生設計を得るのに必要な各種の情報が記録される。
<植生設計の支援処理>
図16は、植生設計の支援の処理の例を説明するフローチャートである。
図1の生態系活用システムは、生態系活用の支援の1つとして、植生設計の支援を行う。生態系活用システムにおいては、ユーザが栽培したい作物(植生)を入力すると、それらの作物と混生密生状態を構築するのに適した植生の組み合わせ、すなわち植生設計が、アレロパシーDBと輪作適性DBから検索される。そして、最もコストが低く収量が高いと予想される植生設計の時空間配列が出力される。
協生農法では、混生密生を基本とするため、複数の作物の種を混ぜて播種し、育って来たものを収穫する。どのような組み合わせで種をまけばより混生密生度を高く達成できるかは植物同士や土地条件との適正があり、既に知られている植物間相互作用(アレロパシーや輪作適性)と、圃場で実際にうまく行った組み合わせの両方から予想する必要がある。
完全には生態系や気象をコントロールできないので、播種した種や植えた苗のうち全てが収穫可能とは限らないが、できるだけコストを削減し収量を最大化する植生の組み合わせを推定することが植生設計の課題である。植生設計は株式投資におけるポートフォリオの構成と概念的に相同なため、植生設計はシードポートフォリオ(Seed Portfolio)と呼ぶことができる。
植生設計の支援の処理では、図16に示すように、ステップS11において、端末12の取得部51は、栽培する植物種(植生)の選択を取得する。すなわち、ユーザが、操作部34を操作して、栽培しようとする植物種を指定すると、これが取得部51により取得される。この入力は、ユーザに任意の植物名を入力させる方法で行ってもよいし、予め用意した植物名のリストを表示部35に表示させ、その中から所定のものを選択させるようにしてもよい。これにより、栽培する植物の指定が受け付けられる。
ステップS12において、通信部40は、取得部51が取得した植物種(の植物種名)を、ネットワーク10を介して、サーバ13に送信する。
ステップS31において、サーバ13の通信部67は、端末12から送信された植物種を受信する。つまりステップS12で端末12から送信された植物種がサーバ13により受信される。これによりユーザにより栽培される植物がサーバ13に受け付けられたことになる。ステップS32において、サーバ13においては、協生農法CMS71が、端末12からの植物種を含む植生設計を検索する。すなわち、協生農法CMS71は、ユーザにより指定された植物(端末12からの植物種)と混生密生状態を構築するのに適した植生の組み合わせを、アレロパシーDBと輪作適性DBの少なくとも一方から網羅的に検索する。なお、受信した植物種の確認には、必要に応じて植物名DBも利用される。
ステップS33において、協生農法CMS71は、ステップS32で検索された各植生設計の共生スコアを計算する。すなわち、ステップS32で検索された1以上の数の植生設計である、ユーザにより指定された植物と混生密生状態を構築するのに適した植生の各組み合わせの共生スコアが計算される。
共生スコアは、植え合わせたい種の集合が対応するアレロパシーDBと輪作適性DBに記録されている全要素の平均値として定義される。全要素とは、その種の全ての重み付けスコアであり、重み付けスコアとは、各植物の相互作用を正負の数値で評価した値である。つまり、共生スコアSCは、全植物の重み付けスコアの数をn、i(i=1,2,・・・,n)番目の植物の重み付けスコアの値をEiとするとき、式SC=ΣEi/nで表される。なお、重み付けスコアの値Eiは、混生密生状態を構築する適性の程度が大きい程大きな値となる。また、Σは、iを、1〜nの整数値に変えてのサメーションを表す。
共生スコアSCの値が大きいほど共生的な相互作用が強いこと、すなわち共生的な相互作用が強い経験則があることを意味し、数値が小さい(負に大きい)ほど競合的な相互作用が強いことを意味する。
アレロパシーDBと輪作適性DBには、文献及び圃場データから作成した植物種の組み合わせごとに、相互作用が正負の数値で評価された重み付けスコアの値が記録されている。すなわち、種まきDBに種まきされたと記録されている種の植物の植生状態が植生DBに記録され、その植物から得られた収量が収量DBに記録される。そしてその植物の重み付けスコアが観測毎に種まきDB、植生DB、収量DBに追加されていき、最終的に収量が多い組み合わせ程、大きな重み付けスコアが付与される。輪作適性DBについても同様に、輪作に適した植物の組み合わせに大きい重み付けスコアが記録されていく。そしてアレロパシーDBにそれらに基づく共生スコアが記録される。
例えば落花生が指定された場合、落花生と組み合わせの対象として記録されている他の植物の1つであるスイカとの共生スコアは、両者を混生密生状態として植生した場合の種々の条件、結果等の要素に対する重み付けスコアの平均値が計算される。収量が多ければ、その要素には大きい重み付けスコアが割り当てられ、収量が少なければ、小さい重み付けスコアが割り当てられる。それらの平均値が計算されて、共生スコアとされる。なお、計算は、植物が指定される毎に行ってもよいし、所定のタイミングで自動的に行っておいてもよい。
共生スコアの計算に、アレロパシーDBと輪作適性DBの全ての積算値を用いると、植生遷移により年度ごとに育ちやすくなる植物種が変化する場合が平均化されてしまう。そこで、直近の過去数年分程度に区切った可変長時間差分の平均値である共生スコアでも評価が可能とされている。これを考慮することで、植生遷移への対応と利用を図ることができる。
ステップS34において、協生農法CMS71は、ステップS31で検索された各植生設計の共生スコアを評価する。すなわち、ユーザにより指定された植物を含む各植生設計の共生スコアを比較する。
ステップS35において、協生農法CMS71は、共生スコアが上位の植生設計を選択する。すなわち、ステップS34で評価された共生スコアの値が大きい植物種の組み合わせが大きい順に1以上選択される。
なお、検索された全ての植生設計をそのままユーザに提示する場合には、共生スコアの評価、共生スコアの値が上位の植生設計の選択の処理は省略することができる。
また、共生スコアの評価をユーザにやらせる場合には、共生スコアの評価と共生スコアの値が上位の植生設計の選択の処理は省略することができる。
ステップS36において、サーバ13の通信部67は、選択された植生設計を、ネットワーク10を介して、ステップS31で受信された植物種をサーバ13に送信した端末12に送信する。
ステップS13において、端末12の取得部51は、サーバ13から送信された植生設計を、通信部40に受信させることにより取得する。これにより、ステップS11でユーザにより指定された植物の植生設計が取得される。ステップS14において、表示制御部52は、サーバ13から取得した植生設計を、表示部35に表示させる。
これにより、ユーザは、ステップS11で入力した植物種と混生密生状態を構築するのに適した植生の各組み合わせ知ることができる。ユーザは、生態系活用システムから提案され、表示された組み合わせの中から、所定の組み合わせを選択し、実際に畑で栽培することができる。表示された組み合わせは、ユーザが指定した植物種と混生密生状態を構築するのに適した植生の各組み合わせであるから、ランダムな組み合わせで栽培する場合に比較して、収量を向上させることが可能となる。その結果、ランダムな組み合わせで植物を栽培する場合に比べて、コストを安くすることができる。ただここでユーザに提示される情報は予測ではない。過去の経験則に基づく予測の参考情報である。予測はその参考情報に基づいてユーザが行う。
また、協生農法では、植物を混生密生状態で植生するため、植物毎に栽培区域を分けるモノカルチャー(慣行農法)の場合のように、農作業を幾つかに定式化し、そのいずれかを選択するようにしても、必ずしもいい結果は得ることができない。生態系活用システムでは、ユーザの観測に基づいて、ユーザに対して新たな組み合わせを提案することができる。例えば、ある植生と昆虫の組み合わせに共生的な相互作用が強いことがユーザにより発見された場合、それを利用する植生設計を行うことが可能となる。
さらに、協生農法では、複数の種類の植物を混生密生状態で植生するので、1種類の植物だけを栽培する場合に比べて、危険を分散することができ、平均的には多くの収量を得ることが可能となる。これが生態系活用システムの植生設計を、シードポートフォリオと称する理由でもある。そこで、提示する上位の組み合わせの数をユーザに指定させることもできる。もちろん、より適切な植物の数も提示させることもできる。これによりリスク管理が可能となる。
図17は、共生的アレロパシーの出力例を示す図である。
この図17は、図16のステップS14での表示例である。図17においては、最上段に示されている10種類の植物と混生密生状態を構築するのに適した植物(すなわちコンパニオンプランツ)が、その下段に示されている。例えば、トウモロコシと混生密生状態を構築するのに適した植物は、スイカやメロン(ウリ科)、カボチャ、マメ類、レタス/サラダ菜、ウリ科、スイートバジル、ツルインゲン、ゼラニウム、メロン、パセリ、大豆、アサガオ、小松菜、葉菜類である。またセロリと混生密生状態を構築するのに適した植物は、トマト、キャベツ類、ハクサイ、カブ、エンドウである。
つまり、ユーザが最上段の植物名を入力すると、その下段に示されている植物名が、混生密生状態を構築するのに適した植物として表示されることになる。従ってユーザは、表示の中から1つ以上の植物を選択して、指定した植物とともに、混生密生状態で植生することができる。
なお、図17の例においては、植物名のみが示されているが、対応する共生スコアも合わせて、上位から順番に表示してもよい。
<ARタグの表示例>
図18は、ARタグの表示例を示す模式的な図である。
協生農法では、どの野菜を残してどの草を刈るかなど、圃場における植物個体1つ1つの精度での植生管理が究極的には必要になるため、現場で処理すべき情報量が膨大になる。そこで、生態系活用システムにおいては、それだけの情報量を個人の能力差に関わり無く処理するために、拡張現実技術(AR:Augmented Reality)が採用される。
AR技術を屋外で用いるには、画像認識によるマーカを使用する方法と、風景の中にある物体をマーカとして利用するマーカレスの方法の2通りが考えられる。しかしながら、マーカを設置する場合、マーカ自体が作業の邪魔になる。また、マーカレスの場合、農作業に必要な身体運動に対して、認識精度が十分でない。つまり、作業者が作業をしている状態で画像認識すること(自然画像内のマーカーを認識すること)が困難であり、実質的に農作業を行うことが困難になる。
そこで、生態系活用システムにおいては、協生農法DBに記録される情報に対して、位置情報としてのGPS座標に基づくタグ付けが行われる。そして、端末12においては、GPS座標を指定することで、そのGPS座標に対応する情報が読み出される。GPSとしては、例えば10 センチ精度で位置情報が認識可能なGPS (例えばRTK-LIB)を利用することができる。
具体的には、所定のGPS座標に実際に植生されている野菜の個体ごとにその種名をタグ付けしたり、所定のGPS座標の畝ごとに種まきや管理作業の情報をタグ付けしたり、所定のGPS座標の先住植生に所定の情報をタグ付けすることができる。この技術を用いることで、実際の圃場には一切のマーカなどを置くこと無く、AR情報を読み出せる端末12のみで、協生農法のマネージメントに必要な情報処理を行うことができる。
図18に示すように、タグ(ARタグ)は、実際には、カメラ37により撮影して得られた動画又は静止画の現実世界の画像に重ね合わせて表示される。なお、図18では、現実世界の野菜も模式化されて表されている。複数の属性のタグはそれぞれの属性ごとや重ねて表示できる。
図18の表示例では、ユーザはこの場所で2011年8月に草刈りをし、2011年9月に種まきを行っている。何の種がまかれたかの情報は、その種まきのタグに付随して管理記録DBに記録されている。そして、現在においては、この場所に、白菜、ニラ、ダイコン、カリフラワー、コマツナ、ゴボウが植生している。
図18に示されるように、白菜101ないし104、ニラ105、ダイコン106、カリフラワー107、コマツナ108、ゴボウ109、ヨモギ群生地帯110は、それぞれある畑の所定のGPS座標で表される位置に植生している。これらの植物はGPS座標で特定できるように、それぞれユーザにより付加された白菜、ニラ、ダイコン、カリフラワー、コマツナ、ゴボウ、ヨモギ群生地帯のタグとともに、植生DBに記録、管理されている。
つまり、ユーザがこれらの植物を観測した場合、操作部34を操作して、それらの植物の名称をタグとして入力すると、そのGPS座標位置に植生している植物は、そのタグが付加されて管理される。ユーザが畑の所定の植物をカメラ37により撮影すると、その画像が表示部35に表示される。さらに所定の指示が入力されると、図18に示されるように、GPS座標の実際の植物の画像に重畳して対応するタグが表示される。なお、ヨモギ群生地帯110は、ユーザが種をまいた結果として植生した植物ではなく、先住植物であるが、これに対しても先住植生情報としてユーザによりタグが付加されている。
植生する植物は、時期によって変化するので、タグは年月日を付加して管理される。
<協生農法ページ>
図19は、協生農法ページとしてのwebページのサイトマップの例を示す図である。
サーバ13は、協生農法DBを図19に示される地理的階層に応じてリンクしたwebページである協生農法ページを、端末12のユーザに提供する。端末12のタッチパネルから操作するために、協生農法DBを選択するアイコンが協生農法ページのトップページに表示される。
協生農法ページは、同図に示されるように、上位の階層から下位の階層の順番に、トップページ、地図上の畑の分布、畑の全体情報、畑区画の全体情報、畝区画の全体情報の階層で構成される。トップページ、地図上の畑の分布、畑の全体情報、畑区画の全体情報、畝区画の全体情報の階層は、それぞれ地球、畑、畑区画、畝区画の地理階層に対応する。したがって、端末12の表示部35は、畑をこの階層構造にしたがって出力表示する。例えばユーザは、畑#1の画面から、その畑#を区分した畑区画#1-1,#1-2,・・・の画面を選択することができ、畑区画#1-1の画面から、その畑区画#1-1にある畝区画#1-1-1,#1-1-2,・・・の画面を選択することができる。なお、この例では、畝の階層は省略されているが、設けてもよい。
また、畑の全体情報は、気候区分DB、気象DB、協生農法査定書DB、写真記録DB、位置情報としてのGPS座標を記録する座標DBにリンクしている。畑区画の全体情報は、収量DB、昆虫動物叢DB、フェノロジーDB、写真記録DB、座標DBにリンクしている。畝区画の全体情報は、種まきDB、植生DB、フェノロジーDB、写真記録DB、座標DBにリンクしている。
図20は、協生農法ページで提供される地図上の畑の分布の表示例を示す図である。
この例においては、地球の地図上に、畑の位置がフラグ121で示されている。アイコン122ないし129は、それぞれ種まきDB、植生DB、収量DB、写真記録DB、フェノロジーDB、昆虫動物叢DB、気候区分DB及び気象DBに対応し、それぞれを読み出すとき操作される。地理階層のアイコン130は、畑のレベルを選択するとき操作される。
アイコン131は、検索を指示するとき操作され、アイコン132は、ソートを指示するとき操作され、アイコン133は、キーイベントを指示するとき操作される。
検索のアイコン131が操作されると、サーバ13の協生農法CMS71は、全語句やファイル名を検索する。協生農法CMS71は、類似語検索機能も有する。これにより、日付の異なる様式での一括検索も可能となる。例えば、「2011年4月1日」と「20110401」、「01042011」、「2011/4/1」、「1/4/2011」、「二千十一年四月一日」などの日付は、同一視される。また、種名のカナ表記/漢字表記/和名/学名/英名/通俗名などを同一視した一括検索も可能となる。例えばジャガイモと馬鈴薯は同一視される。
ソートのアイコン132が操作されると、協生農法CMS71は、全パラメータ毎のソートを行う。例えば、検索結果を、日付順や種名の五十音順などのパラメータ毎に並び替えることができる。
なお、これらのアイコン122ないし133は、その画面において操作可能なものだけが表示される。
<圃場の情報を参照する処理>
図21は、ユーザが圃場(畑)の情報を参照する場合の処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS41において、端末12の取得部51は、畑のレベルの情報を取得する。すなわち、ユーザは、畑に関する情報を参照する場合、操作部34を操作して、地理階層のアイコン130(図20参照)を選択する。この操作が行われると、表示部35は、畑のレベルを選択する画面を表示する。つまり畑の一覧のレベルが表示される。ユーザは操作部34を操作して、その画面から、参照の対象とする畑を選択する。取得部51がこの選択の情報を取得すると、通信部40がこの選択の情報をサーバ13に送信する。
ステップS61において、サーバ13の通信部67は、端末12により選択された畑のレベルの情報を受信する。ステップS62において、ステップS41で端末12により選択されたレベルの畑のリストを作成し、出力する処理が行われる。つまり、協生農法CMS71は、座標DBを検索することで、ステップS61で受信したレベルの畑のリストを生成し、通信部67がそのリストを端末12に送信する。
ステップS42においてリストを受信し、表示する処理が行われる。すなわち、サーバ13から出力されたリストが端末12の通信部40により受信され、表示制御部52がそのリストを表示部35に表示する。
ユーザは、操作部34を操作して、表示されたリストの中から、参照対象とする畑を選択する。ステップS43において、通信部40は、リストから選択された畑の情報を送信する。
ステップS63において、サーバ13の通信部67は、端末12により選択された畑の情報を受信する。
ステップS64において、協生農法CMS71は、ステップS63において受信された畑が関係するDBを、協生農法DBから検索する。つまりユーザが指定したレベルの畑が関係するDBが、協生農法DBから検索される。ステップS65において、検索された畑のDBの一覧を出力する処理が行われる。つまり、協生農法CMS71は検索結果に基づいて、関係するDBの一覧を作成し、通信部67がその一覧を端末12に出力する。
ステップS44において、端末12の通信部40は、検索された畑のDBの一覧を受信する。ステップS45において、表示制御部52は、通信部40が受信した畑のDBの一覧を、表示部35に表示させる。
ユーザは、操作部34を操作して、表示された一覧の中から参照するDBと畑の座標を入力する。ステップS46において、取得部51は、この入力された、参照するDBと畑の座標の情報を取得する。ステップS47において、通信部40は、ステップS46で取得された情報を、サーバ13に送信する。
ステップS66において、サーバ13の通信部67は、端末12により送信された情報を受信する。ステップS67において、協生農法CMS71は、受信した情報に基づき、指定されたDBの指定された座標の畑の情報を読み出す。すなわち、ステップS66において受信されたDBの、ユーザにより入力された座標の畑の情報が読み出される。ステップS68において、通信部67は、読み出した畑の情報を端末12に送信する。
ステップS48において、端末12の通信部40は、サーバ13からの、DBから読み出された畑の情報を受信する。ステップS49において、表示制御部52は、通信部40が受信した畑の情報を、表示部35に表示する。
ユーザは、表示部35に表示された畑の情報を見て、操作部34を操作して、参照する情報の日付を選択する。取得部51は、ステップS50において、この参照する情報の日付の選択の情報を取得する。そして日付の選択の情報は、通信部40によりサーバ13に送信される。
ステップS69において、サーバ13の通信部67は、端末12からの、参照する情報の日付の選択の情報を受信する。ステップS70において、協生農法CMS71は、指定された日付の情報を、協生農法DBから読み出し、ステップS71において、通信部67は、読み出された日付の情報を、端末12に送信する。
ステップS51において、端末12の通信部40は、サーバ13からの、読み出された日付の情報を受信する。ステップS52において、表示制御部52は、ステップS51において受信された日付の情報を、表示部35に表示する。
以上のようにして、参照したい協生農法DB、畑区画などの座標、並びに日付を指定することで、座標ごとの協生農法DBの情報、例えば、ユーザが指定した過去の圃場や他の圃場等の履歴情報が表示部35に表示され、ユーザはこれを確認することができる。
なお、以上においては、地理階層のアイコン130により畑のレベルを選択するようにしたが、所定の畑のフラグ121を操作することで、参照する畑を直接指定することもできる。
<写真のアップロード処理>
図22は、写真のアップロード処理の例を説明するフローチャートである。
ユーザが、端末12からサーバ13に写真(としての画像)をアップロードする場合、ステップS81において、端末12の取得部51は、写真データを取得する。ユーザは、例えば、畑において所定の植物を発見(観測)し、その写真をサーバ13にアップロードする場合、カメラ37によりその植物を撮影する。この撮影が行われると、その写真データ(画像データ)が取得部51により取得される。勿論、メモリ等に予め保存された写真データをアップロードする写真データとして取得することも可能である。
ステップS82において、端末12の位置検出部39は、位置情報としてのGPS座標を検出する。つまり、端末12により撮影された被写体の座標が取得される。この座標は、端末12の現在位置とすることもできるし、現在位置から被写体までの距離と方向を演算し、現在位置を補正することで、より正確な被写体の座標とすることもできる。また、ユーザに操作部34を操作させることで座標を入力させることもできる。
ステップS83において、表示制御部52は、写真データとリンクさせる協生農法DBの情報のリストを、表示部35に表示する。ステップS84において、取得部51は、写真データとリンクさせる情報の選択の情報を取得する。すなわち、ユーザが操作部34を操作することで、表示部35に表示されたリストの中から、写真データとリンクさせる情報を選択すると、その選択の情報が取得部51により取得される。
さらに、ユーザは、操作部34を操作することで、アップロードする写真にタグとして付加する情報(主に文字情報)を入力する。例えば、白菜の写真を撮影した場合、タグとして「ハクサイ」の名称が入力される。なお、この入力には、キーボードからの文字入力だけでなく、予め用意された入力ページから所定の欄を選択する等の方法を用いることができる。ステップS85において、取得部51は、この入力されたタグとする情報を取得する。ステップS86において、通信部40は、ステップS81,S82,S84,S85で取得された情報を、サーバ13に送信する。
ステップS91において、サーバ13の通信部67は、端末12から送信されてくる情報を受信する。ステップS92において、協生農法CMS71は、ステップS91で受信された情報を協生農法DBに登録する。すなわち、ユーザが撮影した写真が、タグとともに、写真記録DBに登録され、さらに、ユーザが選択した協生農法DBの情報にリンクされる。
以上のようにして、ユーザは、端末12から所定の写真とタグをサーバ13にアップロードすることができる。ユーザは、上述した図21の処理により、このアップロードした情報を後に参照することができる。
なお、写真以外の各種の情報をアップロードする場合にも同様の処理が行われる。例えば、所定の畝から白菜が1Kg収穫された場合、アップロードする情報として、「白菜1Kg」が入力される。そして、例えば、収量DBに、所定の畝の座標にリンクする形で、情報「白菜1Kg」が記録される。
<キーイベントの登録>
図23は、キーイベントの登録の処理の例を説明するフローチャートである。
ユーザは、任意の事象を、キーイベントとして、協生農法DBのメタDBに登録することができる。キーイベントとしては、協生農法のマネージメント上重要と推定される事象を採用することができ、キーイベントは、自然言語による名称記録と、協生農法DBの各DBの対応項目とのリンクとにより定義される。
ユーザは、キーイベントを登録するとき、操作部34を操作して、キーイベントのアイコン133(図20参照)を選択する。このとき、ステップS101において、取得部51は、キーイベントのアイコン133の選択を受け付ける。ステップS102において、取得部51は、写真データと日付を取得する。すなわち、例えば、ユーザが、キーイベントとして記録したい事象としての植物をカメラ37により撮影し、操作部34を操作して日付を入力すると、これらの情報が取得部51により取得される。
ステップS103において、位置検出部39は、位置情報としてのGPS座標を取得する。すなわち撮影された写真に対応する座標が取得される。
ステップS104において取得部51は、入力文字を取得する。すなわち、ユーザが操作部34を操作してキーイベントとしての文字情報を入力すると、これが取得される。例えば、ユーザは、ロゼット化した白菜を発見したとき、その白菜の写真を撮影するとともに、「白菜のロゼット化」の文字をキーイベントとして入力することができる。
ステップS105において、通信部40は、ステップS102ないしS104で取得された情報を、サーバ13に送信する。
ステップS121において、サーバ13の通信部67は、端末12から送信されてきた情報を受信する。ステップS122において、協生農法CMS71は、通信部67が受信した情報をメタDBに記録する。すなわち、ステップS102ないしS104で端末12により取得された情報がキーイベントDBとしてのメタDBに記録(登録)される。
ステップS106において、端末12の取得部51は、畑のレベルを取得する。すなわち、ユーザは、キーイベントの記録を行う場合、操作部34を操作して、地理階層のアイコン130(図20)を選択する。この操作が行われると、表示部35は、畑のレベルを選択する画面を表示する。ユーザは、操作部34を操作して、その画面から、参照の対象とする畑のレベルを選択する。取得部51がこの選択の情報を取得し、通信部40がこの選択の情報をサーバ13に送信する。
ステップS123において、サーバ13の通信部67は、端末12により選択された畑のレベルの情報を受信する。ステップS124において、ステップS106で端末12により選択されたレベルの畑のリストを作成し、出力する処理が行われる。つまり、協生農法CMS71は、座標DBを検索することで、ステップS123で受信したレベルの畑のリストを生成し、通信部67がそのリストを端末12に送信する。
ステップS107においてリストを受信し、表示する処理が行われる。すなわち、サーバ13から出力されたリストが端末12の通信部40により受信され、表示制御部52がそのリストを表示部35に表示する。
ユーザは、操作部34を操作して、表示されたリストの中から、記録対象とする畑を選択する。ステップS108において、通信部40は、リストから選択された畑の情報を、サーバ13に送信する。
ステップS125において、サーバ13の通信部67は、端末12により選択された畑の情報を受信する。
ステップS126において、協生農法CMS71は、ステップS125において受信された畑の情報が登録されているDBを、協生農法DBから検索する。つまりユーザが指定したレベルの畑が関係するDBが、協生農法DBから検索される。ステップS127において、検索されたDBの一覧を出力する処理が行われる。つまり、協生農法CMS71は、検索結果に基づいて、ユーザが指定したレベルの畑に関係するDBの一覧を作成し、通信部67がその一覧を端末12に送信する。
ステップS109において、端末12の通信部40は、サーバ13からのDBの一覧を受信する。ステップS110において、表示制御部52は、サーバ13からのDBの一覧を表示部35に表示する。
ユーザは、操作部34を操作して、表示された一覧を参照し、キーイベントにリンクするDBと畑の座標を入力する。ステップS111において、取得部51は、この入力された、キーイベントとリンクするDB及び畑の座標の情報を取得する。ステップS112において、通信部40は、ステップS111で取得された情報を、サーバ13に送信する。
ステップS128において、サーバ13の通信部67は、端末12より送信された情報を受信する。ステップS129において、協生農法CMS71は、協生農法DBのうちの、指定されたDBから、指定された座標の畑の情報を読み出す。すなわち、ユーザにより入力されたDBから、同じくユーザにより入力された座標の畑の情報が読み出される。ステップS130において、通信部67は、読み出された畑の情報を、端末12に送信する。
ステップS113において、端末12の通信部40は、読み出された畑の情報を受信する。この情報は、表示部35に表示される。ユーザは、この表示を見て、ユーザが指定(入力)した畑がキーイベントにリンクさせる畑であることを確認する。この確認を行った後、ユーザは、操作部34を操作して、ユーザにより指定(入力)されたDBの、ユーザにより指定された畑の情報と、キーイベントとをリンクさせるように指示する。この指示に基づいて、ステップS114において、通信部40は、リンクのためのコマンドを、サーバ13に送信する。
ステップS131において、サーバ13の通信部67は、端末12から送信されたリンクのコマンドを受信する。ステップS132において、協生農法CMS71は、新規に記録されたキーイベントを指定された畑の情報にリンクする。すなわち、ステップS122でメタDBに新規に記録されたキーイベントが、ステップS111でユーザにより指定された畑の情報にリンクされる。
以上のように、キーイベントが畑の情報にリンクされた後は、ユーザは、端末12の操作部34を操作することで、キーイベントから、そのキーイベントにリンクされた畑の情報を参照することや、畑の情報から、その畑の情報にリンクされたキーイベントにアクセスすることができる。
以下に、キーイベントの具体例としての事象について、キーイベント名、自由言語による記録、キーイベントとリンクされる畑の情報が登録されたDBである関連DBの順に記載する。
キーイベント名:記録防風効果
自由言語による記録:同じ土地条件であっても、周囲に塀などの風を遮る構造がある場所には、野菜の生長が高まる。
関連DB:座標DB、収量DB、管理記録DB、植生DB、フェノロジーDB
キーイベント名:土壌形成とレタスの発芽率の低下
自由言語による記録:レタスは耕された土地では良く発芽するが、不耕起を続けて土壌構造が形成されて来ると、発芽しにくくなる。
関連DB:種まきDB、管理記録DB、植生DB、フェノロジーDB
キーイベント名:競合成長
自由言語による記録:土中の栄養分が同じでも、他の植生と競合することで野菜がより大きく生長する。
関連DB:植生DB、フェノロジーDB、収量DB
なお、競合成長の具体例としては、イヌホオズキと競合して大きくなったニンジンの例、夏草を刈らなかった畝で発芽率は悪いが個々の野菜の生長は大きくなった例などがある。
キーイベント名:ロゼット化:
自由言語による記録:冬期に野菜種によっては地表に平たく這いつくばるような形態に変化し、寒さでも枯れない形状で春まで生き延びる。この形態でも収穫可能である。
関連DB:植生DB、フェノロジーDB、収量DB、気象DB
キーイベント名:紅葉
自由言語による記録:冬期に、ニンジンやキャベツなどの野菜が紅葉することがある。紅葉しても収穫可能。
関連DB:植生DB、フェノロジーDB、収量DB、気象DB
キーイベント名:遅霜
自由言語による記録:春の発芽直後に地表が4℃以下になると、遅霜で双葉が全滅するため、全面追い蒔きや苗の定植で対応する必要がある。
関連DB:種まきDB、管理記録DB、植生DB、フェノロジーDB、気象DB
<関係グラフ>
図24は、サーバ13のグラフ表示制御部72(又は端末12の取得部51)で生成される関係グラフを説明する図である。
任意のDBにおいて、あるカテゴリ(集合)の情報i1と、他のカテゴリの情報i2とが関連付けられている場合、情報i2を尺度(定規)として、情報i1どうしの関係を表すグラフ(ネットワーク関係図)である関係グラフを生成することができる。
ここで、情報i1とi2とが関連付けられているDBについては、上述の場合とは逆に、情報i1を尺度として、情報i2どうしの関係を表す関係グラフも生成することもできる。
また、関係グラフの生成には、情報i1とi2とが明示的に関連付けられているDBの他、情報i1とi2とが暗黙的に関連付けられているDBも用いることができる。
ここで、例えば、情報i1が、観測された植生(の植生名)であり、情報i2が、植生が観測された圃場(の圃場名)である場合、情報i1とi2とが明示的に関連付けられているDBとは、植生と、その植生が観測された圃場とが、対応付けられて登録されているDBである。
また、情報i1とi2とが暗黙的に関連付けられているDBとは、例えば、「植生#1が圃場#1で観測された」といった自然言語が登録されたDBである。
グラフ表示制御部72は、情報i1とi2とが関連付けられているDBから、バイパータイトグラフ(2部グラフ)を生成し、そのバイパータイトグラフから関係グラフを生成する。
図24は、DBから生成されるバイパータイトグラフの例を示す図である。
図24では、DBとして、植生と、その植生が観測された圃場とが関連付けられている植生/圃場DBが採用されている。
図24のバイパータイトグラフは、植生#1が圃場#1ないし#4で観測されたこと、植生#2が圃場#1ないし#4で観測されたこと、植生#3が圃場#3及び#4で観測されたこと、及び、植生#4ないし#6のそれぞれが圃場#4で観測されたこと、を表している。
以上のようなバイパータイトグラフから、関係グラフを生成するにあたっては、圃場#kを尺度として、植生#iと#jとの関係性(の強さ)を表す関係スコアが求められる(i≠j)。
図25は、図24の植生/圃場DBのバイパータイトグラフから求められる関係スコアの例を示す図である。
植生#iと他の植生#jとの関係スコアとしては、植生#i及び#jの両方に関連付けられた圃場の数、すなわち、植生#i及び#jの両方が観測された圃場の数に対応する値(例えば、比例する値)を採用することができる。
図25では、植生#iと他の植生#jとの関係スコアとして、植生#i及び#jの両方が観測された圃場の数を、圃場の総数(ここでは4)で除算した値が採用されている。
図24のバイパータイトグラフによれば、例えば、植生#1については、図25上側に示すように、植生#2とともに観測された圃場が、圃場#1ないし#3の3個であり、植生#3とともに観測された圃場が、圃場#3の1個であり、植生#4ないし#6とともに観測された圃場は0個である。
したがって、植生#1については、植生#2との関係スコアは3/4になり、植生#3との関係スコアは1/4になる。さらに、植生#1については、植生#4ないし#6それぞれとの関係スコアは、いずれも0になる。
同様にして、例えば、図24の植生#3については、図25下側に示すように、植生#1との関係スコアは1/4になり、植生#2との関係スコアは2/4(=1/2)になる。さらに、植生#3については、植生#4ないし#6それぞれとの関係スコアは、いずれも、1/4になる。
グラフ表示制御部72は、バイパータイトグラフから関係スコアを求め、その関係スコアを用いて、関係グラフを生成し、その関係グラフを表示したグラフ表示画面を生成する。
図26は、図24のバイパータイトグラフ、及び、図25の関係スコアを用いて生成される関係グラフが表示されたグラフ表示画面の例を示す図である。
関係グラフは、図中丸印で示されるノードと、ノードどうしを接続する線分で示されるリンクとで構成される。
図26において、ノードは、植生に対応し、リンクは、ノードどうし、すなわち、ここでは、植生どうしの関係性を表す。
図26の関係グラフは、植生#1のノード(植生#1に対応するノード)を、注目している注目ノードとして、その注目ノードが表す植生#1と、他の植生#2ないし#6それぞれとの関係を表している。
グラフ表示画面において、関係グラフは、例えば、注目ノード、すなわち、ここでは、植生#1のノードが画面の(ほぼ)中央に位置するように配置される。
また、関係グラフにおいて、注目ノードである植生#1のノードと、他の植生#2ないし#6のノードとの間のリンクの長さは、図25に示した、植生#1と、植生#2ないし#6それぞれとの関係スコアに対応する長さになっている。
すなわち、注目ノードである植生#1のノードと、他の植生#jのノードとの間のリンクの長さは、植生#1と#jとの関係スコアが大きいほど、つまり、植生#1と#jとの関係性が強いほど、短くなっている。
いまの場合、植生#1と#jとの関係性が強いことは、植生#1と#jとの両方が観測された圃場の数が多いことに相当する。
したがって、注目ノードである植生#1のノードに近い位置にあるノードが表す植生#jは、植生#1と共生関係にあると推定することができ、図26の関係グラフを見たユーザは、植生#1と混生密生状態を構築するのに適した植生を、容易に認識(予測)(推定)することができる。
その結果、図26の関係グラフによれば、生態系活用の支援の1つとして、植生設計を支援することができる。
図26では、植生#1のノードを注目ノードとしたが、グラフ表示画面では、任意のノードを注目ノードに選択することができる。
すなわち、端末12において、表示部35にグラフ表示画面が表示されている場合において、ユーザが、操作部34を操作して、例えば、植生#3のノードを選択すると、表示制御部52は、植生#3のノードを注目ノードとした関係グラフが表示されたグラフ表示画面を表示する。
図27は、植生#3のノードを注目ノードとした関係グラフが表示されたグラフ表示画面の例を示す図である。
図27のグラフ表示画面では、関係グラフは、注目ノードである植生#3のノードが画面の中央に位置するように配置されている。
また、関係グラフにおいて、注目ノードである植生#3のノードと、他の植生#1,#2,#4ないし#6のノードとの間のリンクの長さは、図25に示した、植生#3と、植生#1,#2,#4ないし#6それぞれとの関係スコアに対応する長さになっている。
情報i2を尺度とする情報i1どうしの関係を表す関係グラフでは、情報i1どうしの関係の他、情報i1と、その情報i1に関連付けられた情報i2との関係をも表すことができる。
すなわち、例えば、図24で説明した植生/圃場DBから生成される関係グラフでは、植生どうしの関係の他、植生と、その植生に関連付けられた圃場との関係をも表すことができる。
図28は、植生どうしの関係の他に、植生と、その植生に関連付けられた圃場との関係が表された関係グラフが表示されたグラフ表示画面の例を示す図である。
図28の関係グラフでは、図26の関係グラフに、植生に関連付けられた圃場のノード(図中、三角形で示す部分)と、植生と圃場との関係を表すリンク(図中、点線で示す部分)とが追加されている。
すなわち、図28の関係グラフでは、図26の関係グラフに、注目ノードが表す植生#1が観測された圃場#1ないし#3それぞれのノード、及び、それらのノードそれぞれと、注目ノードである植生#1のノードとを結ぶリンクが追加されている。
図28の関係グラフによれば、ユーザは、図26の場合と同様に、植生#1と混生密生状態を構築するのに適した植生を、容易に認識することができる他、植生#1が観測された圃場を、容易に認識することができる。
この場合、ユーザは、植生#1が観測された圃場の環境を、協生農法DBにアクセスして調べることにより、植生#1が観測される環境を推定することができる。
ここで、関係グラフに、植生と圃場のような、異なるカテゴリの情報のノードを表す場合には、植生のノードと圃場のノードとを区別することができるように、ノードを表示することができる。
すなわち、植生のノードと圃場のノードとは、例えば、色や、大きさ、形状、模様等として異なるものを採用して表示することができる。
図28に示したように、植生どうしの関係の他に、植生と、その植生に関連付けられた圃場との関係が表された関係グラフが表示されたグラフ表示画面については、図27で説明したように、注目ノードとして、植生のノードを選択することができる他、圃場のノードを選択することができる。
すなわち、端末12において、表示部35に、図28のグラフ表示画面が表示されている場合において、ユーザが、操作部34を操作して、圃場のノードを選択すると、表示制御部52は、ユーザが選択した圃場のノードを注目ノードとした関係グラフが表示されたグラフ表示画面を表示する。
圃場のノードを注目ノードとした関係グラフは、植生/圃場DBにおいて圃場に関連付けられた植生を尺度として、圃場どうしの関係を表す。そのため、圃場のノードを注目ノードとした関係グラフが表示されたグラフ表示画面が表示される場合には、植生#kを尺度として、圃場#iと#jとの関係性を表す関係スコアが求められる(i≠j)。
図29は、図24のバイパータイトグラフから求められる関係スコアの例を示す図である。
なお、図25では、植生どうしの関係スコアを示したが、図29は、圃場どうしの関係スコアを示している。
圃場#iと他の圃場#jとの関係スコアとしては、圃場#i及び#jの両方に関連付けられた植生の数、すなわち、圃場#i及び#jの両方で観測された植生の数に対応する値(例えば、比例する値)を採用することができる。
図29では、圃場#iと他の圃場#jとの関係スコアとして、圃場#i及び#jの両方で観測された植生の数を、植生の総数(ここでは6)で除算した値が採用されている。
図24のバイパータイトグラフによれば、例えば、圃場#1については、図29上側に示すように、圃場#1及び#2の両方で観測された植生が、植生#1及び#2の2個であり、圃場#1及び#3の両方で観測された植生が、植生#1の1個であり、圃場#1及び#4の両方で観測された植生は0個である。
したがって、圃場#1については、圃場#2との関係スコアは2/6(=1/3)になり、圃場#3との関係スコアは1/6になる。さらに、圃場#1については、圃場#4との関係スコアは0になる。
同様にして、例えば、図24の圃場#3については、図29下側に示すように、圃場#1,#2,#4それぞれとの関係スコアは、いずれも、2/6になる。
グラフ表示制御部72は、バイパータイトスコアから関係スコアを求め、その関係スコアを用いて、関係グラフを生成し、その関係グラフを表示したグラフ表示画面を生成する。
図30は、図29の関係スコアを用いて生成される関係グラフが表示されたグラフ表示画面の例を示す図である。
すなわち、図30は、例えば、図28の関係グラフにおいて、ユーザが、圃場#1のノードを注目ノードに選択した場合に表示される関係グラフのグラフ表示画面の例を示している。
図30の関係グラフでは、圃場#1のノードを注目ノードとして、その注目ノードが表す圃場#1と、他の圃場#2ないし#4それぞれとの関係が表されている。
グラフ表示画面において、関係グラフは、図26で説明したように、注目ノードである圃場#1のノードが画面の中央に位置するように配置されている。
また、図30の関係グラフにおいて、注目ノードである圃場#1のノードと、他の圃場#2ないし#4それぞれのノードとの間のリンクの長さは、図29に示した、圃場#1と、圃場#2ないし#4それぞれとの関係スコアに対応する長さになっている。
すなわち、注目ノードである圃場#1のノードと、他の圃場#jのノードとの間のリンクの長さは、圃場#1と#jとの関係スコアが大きいほど、つまり、圃場#1と#jとの関係性が強いほど、短くなっている。
いまの場合、圃場#1と#jとの関係性が強いことは、圃場#1と#jとの両方で観測された植生の数が多いことに相当する。
したがって、注目ノードが表す圃場#1と、その注目ノードに近い位置にあるノードが表す圃場#jとは、それらの圃場#1及び#jの両方で観測された植生に適した環境と多くの事項が共通する環境の圃場であると推定することができる。
その結果、図30の関係グラフによれば、例えば、ユーザは、圃場#1及び#jに共通する環境を、協生農法DBにアクセスして調べることにより、圃場#1及び#jの両方で観測された植生に適した環境を推定することができる。
なお、図30の関係グラフでは、圃場どうしの関係の他、注目ノードが表す圃場#1にリンクする形で、その圃場#1で観測された植生#1及び#2のノードも表示されている。
ユーザは、操作部34を操作して、任意のノードを注目ノードに選択することができる。
いま、図30の関係グラフにおいて、例えば、圃場#3のノードが、注目ノードに選択されると、表示制御部52は、圃場#3のノードを注目ノードとした関係グラフが表示されたグラフ表示画面を表示する。
図31は、圃場#3のノードを注目ノードとした関係グラフが表示されたグラフ表示画面の例を示す図である。
図31のグラフ表示画面では、関係グラフは、注目ノードである圃場#3のノードが画面の中央に位置するように配置されている。
また、関係グラフにおいて、注目ノードである圃場#3のノードと、他の圃場#1,#2,#4のノードとの間のリンクの長さは、図29に示した、圃場#3と、圃場#1,#2,#4それぞれとの関係スコアに対応する長さになっている。
なお、図31の関係グラフでは、図30と同様に、圃場どうしの関係の他、注目ノードが表す圃場#3にリンクする形で、その圃場#3で観測された植生#1ないし#3のノードも表示されている。
図31の関係グラフにおいて、例えば、植生#1のノードが、注目ノードに新たに選択された場合には、関係グラフは、上述の図28に示したようになる。
以上のような関係グラフによれば、ユーザは、例えば、図28の関係グラフを参照することにより、注目ノードが表す植生#1と共生する他の植生を、容易に認識することができるとともに、注目ノードが表す植生#1が観測される圃場を、容易に認識することができる。
また、ユーザが、図28の関係グラフにおいて、注目ノードとして、植生#1以外の植生のノードを新たに選択した場合には、図26及び図27で説明したように、その新たに選択したノードを注目ノードとする関係グラフが表示されるので、ユーザは、その新たに注目ノードとなったノードが表す植生と共生する他の植生を、容易に認識することができる。
さらに、ユーザが、図28の関係グラフにおいて、注目ノードとして、圃場のノードを選択した場合には、図30に示したような、圃場どうしの関係と、注目ノードが表す圃場で観測された植生を表す関係グラフが表示されるので、ユーザは、注目ノードが表す圃場で観測されるのと同様の植生が多く観測される圃場や、注目ノードが表す圃場で観測される植生を、容易に認識することができる。
図32は、植生/レシピDBから生成されるバイパータイトグラフの例を示す図である。
ここで、植生/レシピDBは、植生と、その植生を材料とする料理のレシピとが関連付けられているDBである。
図32のバイパータイトグラフは、植生#1がレシピ#1ないし#3で観測されたこと(材料になっていること)、植生#2がレシピ#1ないし#3で観測されたこと、植生#3がレシピ#1及び#3で観測されたこと、植生#4及び#5のそれぞれがレシピ#3で観測されたこと、植生#6がレシピ#1ないし#3のいずれでも観測されていないこと、を表している。
以上のようなバイパータイトグラフから、関係グラフを生成するにあたっては、例えば、レシピ#kを尺度として、植生#iと#jとの関係性(の強さ)を表す関係スコアが求められる(i≠j)。
図33は、図32の植生/レシピDBのバイパータイトグラフから求められる関係スコアの例を示す図である。
植生#iと他の植生#jとの関係スコアとしては、植生#i及び#jの両方に関連付けられたレシピの数、すなわち、植生#i及び#jの両方が観測されたレシピの数に対応する値を採用することができる。
図33では、植生#iと他の植生#jとの関係スコアとして、植生#i及び#jの両方が観測されたレシピの数を、レシピの総数(ここでは3)で除算した値が採用されている。
図32のバイパータイトグラフによれば、例えば、植生#1については、植生#2とともに観測されたレシピが、レシピ#1及び#2の2個であり、植生#3とともに観測されたレシピが、レシピ#1及び#3の2個であり、植生#4とともに観測されたレシピが、レシピ#3の1個であり、植生#5とともに観測されたレシピが、レシピ#3の1個であり、レシピ#6とともに観測されたレシピは0個である。
したがって、植生#1については、植生#2及び#3それぞれとの関係スコアは2/3になり、植生#4及び#5それぞれとの関係スコアは1/3になる。さらに、植生#1については、植生#6との関係スコアは0になる。
グラフ表示制御部72は、バイパータイトグラフから関係スコアを求め、その関係スコアを用いて、関係グラフを生成し、その関係グラフを表示したグラフ表示画面を生成する。
図34は、図32のバイパータイトグラフ、及び、図33の関係スコアを用いて生成される関係グラフが表示されたグラフ表示画面の例を示す図である。
図34の関係グラフは、植生#1のノードを、注目ノードとして、その注目ノードが表す植生#1と、他の植生#2ないし#6それぞれとの関係を表している。
図34の関係グラフでは、図28と同様に、植生どうしの関係の他に、植生と、その植生に関連付けられたレシピとの関係も表されている。
さらに、図34の関係グラフでは、上述した植生/圃場DBのバイパータイトグラフから求められた関係グラフと同様に、注目ノードである植生#1のノードと、他の植生#2ないし#6のノードとの間のリンクの長さは、図33に示した、植生#1と、植生#2ないし#6それぞれとの関係スコアに対応する長さになっている。
すなわち、注目ノードである植生#1のノードと、他の植生#jのノードとの間のリンクの長さは、植生#1と#jとの関係スコアが大きいほど、つまり、植生#1と#jとの関係性が強いほど、短くなっている。
いまの場合、植生#1と#jとの関係性が強いことは、植生#1と#jとの両方が観測されたレシピの数が多いことに相当する。
したがって、注目ノードである植生#1のノードに近い位置にあるノードが表す植生#jは、植生#1と一緒に、料理に使われることが多いと推定することができ、図34の関係グラフを見たユーザは、植生#1と一緒に料理に使われることが多い植生を、容易に認識することができる。
なお、例えば、トマトとバジルとは、一緒に料理に使われることが多いが、このように一緒に料理に使われることが多い植生どうしは、共生関係にあることがある。
図34の関係グラフについても、ユーザは、操作部34を操作して、植生#1以外の植生のノードを注目ノードとして選択し、その選択した植生のノードを注目ノードとする関係グラフを表示させることができる。
また、ユーザは、注目ノードとして、レシピのノードを選択し、その選択したレシピのノードを注目ノードとする関係グラフを表示させることができる。
この場合、注目ノードであるレシピのノードに近い位置にあるノードが表すレシピは、注目ノードが表すレシピと一緒に使われる植生が多いことを表す。
関係グラフは、以上のような植生/圃場DBや植生/レシピDB(のバイパータイトグラフ)から生成する他、植生とその他の任意の情報とが関連付けられたDBから生成することができる。
また、関係グラフは、植生以外の(生物)種(species)と、その種以外の他の情報とが関連付けられたDBから生成することができる。
さらに、関係グラフは、植生/圃場DBや植生/レシピDB等の1個のDBから生成する他、第1のDB及び第2のDB等の複数のDBから生成することができる。
図35は、上述の植生/圃場DB及び植生/レシピDBの2個のDBから生成されるバイパータイトグラフの例を示す図である。
図35の関係グラフは、植生#1のノードを、注目ノードとして、その注目ノードが表す植生#1と、他の植生#2ないし#6それぞれとの関係を表している。
図35の関係グラフでは、植生どうしの関係の他に、植生と、その植生に関連付けられた圃場及びレシピそれぞれとの関係も表されている。
図35の関係グラフにおいて、注目ノードである植生#1と、他の植生#2ないし#6それぞれとの関係スコアは、植生/圃場DBにおいて、植生#iと関連付けられている圃場#kを尺度として求めることもできるし、植生/レシピDBにおいて、植生#iと関連付けられているレシピ#kを尺度として求めることもできる。
さらに、注目ノードである植生#1と、他の植生#2ないし#6それぞれとの関係スコアは、植生/圃場DBにおいて、植生#iと関連付けられている圃場#kと、植生/レシピDBにおいて、植生#iと関連付けられているレシピ#kとの両方を尺度として求めることもできる。
注目ノードである植生#1と、他の植生#2ないし#6それぞれとの関係スコアを、圃場#kとレシピ#kとの両方を尺度として求める場合には、例えば、圃場#kを尺度として求められる関係スコアと、レシピ#kを尺度として求められる関係スコアとの平均値等の重み付け加算値を、注目ノードである植生#1と、他の植生#2ないし#6それぞれとの関係スコアとして求めることができる。
なお、注目ノードが表す情報である、例えば、植生#iについては、関係グラフが表す、その植生#iと他の植生#jとの関係、すなわち、植生#iと他の植生#jとの関係スコアに基づいて、植生#iに対して、他の植生#jすべてをランキング付けすることができる。
関係グラフにおいて、注目ノードが表す植生#iに近い他の植生#jほど、ランキングの高い植生となる。
さらに、上述の場合には、例えば、植生/圃場DBについて、植生#i及び#jの両方が観測された圃場の数に対応する値を、植生#i及び#jの関係スコアとして採用したが、植生#i及び#jの関係スコアとしては、その他、例えば、植生#i及び#jの両方が同一の圃場で観測された回数や、植生#iが観測された圃場と植生#jが観測された圃場との近さ等の、植生/圃場DBにおいて、植生と関連付けられている圃場を尺度とする任意の値を採用することができる。
また、関係グラフは、様々なファクタに基づき、表示を制御することができる。
例えば、植生どうしの関係を表す関係グラフにおいては、ランキングの高い植生ほど、その植生のノードと注目ノードとの間のリンクを太く表示することや、そのリンクの色を変えて表示することができる。
さらに、例えば、植生/圃場DBから生成される関係グラフにおいては、注目ノードが表す植生#iが観測された回数が多い圃場#kのノードほど、大きさを大きくすることや、注目ノードに近い位置に配置することができる。
また、植生どうしの関係を表す関係グラフにおいては、観測された回数が多い植生#iほど、その植生#iのノードの大きさを大きくすることができる。
さらに、例えば、植生/レシピDBから生成される関係グラフにおいては、注目ノードが表す植生#iが使用される量が多いレシピのノードほど、大きさを大きくすることや、注目ノードに近い位置に配置することができる。
また、例えば、植生どうしの関係を表す関係グラフにおいては、注目ノードが表す植生#iとの関係性が強い(関係スコアが大きい)植生#jのノードが、注目ノードに近づくとともに、注目ノードが表す植生#iとの関係性が弱い(関係スコアが小さい)植生#j'のノードが、注目ノードから遠ざかるようなアニメーション表示を行うことができる。
さらに、例えば、植生どうしの関係を表す関係グラフにおいては、植生/圃場DBや植生/レシピDBに登録されている植生のノードについては、すべての植生のノードを表示する他、注目ノードである植生#iのノードと、その植生#iとの関係スコアが0より大の植生#jのノード、すなわち、植生#iとともに観測された圃場#kが存在する植生#jのノードとだけを表示することができる。
この場合、関係グラフを構成する植生のノードが制限されるので、植生のノードが多数表示されることによって、関係グラフが見にくくなることを防止することができる。
図36は、グラフ表示制御部72(又は取得部51)で関係グラフを生成するのに用いるDBの例を示す図である。
関係グラフは、サーバ13のストレージ63に登録されている協生農法DB(を構成する各種のDB)を用いて生成することができる。
また、関係グラフは、インターネット24上の、例えば、種と他の情報とが関連付けられたDB等の様々なDBを用いて生成することができる。
すなわち、関係グラフは、インターネット24上の、書籍のDBである書籍DBや、webページで提供されるDBであるウェブDBや、webページ、学術的な情報が登録されたアカデミックDB、栄養学の情報が登録された栄養学DB等の様々なDBを用いて生成することができる。
端末12のユーザは、操作部34を操作することにより、関係グラフを生成するのに用いるDBを選択することができる。
すなわち、操作部34の操作に応じて、例えば、図36に示した複数のDBの中から、関係グラフの生成に用いるDBが選択される。
ここで、以上のように、複数のDBの中から、関係グラフの生成に用いるDBを選択することができる場合には、いま表示されている関係グラフが、どのDBの関係グラフであるのか(どのDBを用いて生成された関係グラフであるのか)が、ユーザに分かりにくくなることがあり得る。
そこで、関係グラフの生成に用いるDBの選択(切り替え)に応じて、関係グラフの背景色や、ノードの形状、ノードの色等のうちの1以上を変更することができる。
また、端末12において、関係グラフの生成に用いるDBの選択に応じて、異なる音を、スピーカ36から出力させることができる。
以上により、ユーザは、関係グラフの生成に、どのDBが用いられているのかを認識することができる。
図37は、関係グラフが表示されるグラフ表示画面の構成例を示す図である。
グラフ表示画面は、グラフ表示領域201とリスト表示領域202とで構成することができる。
図37では、リスト表示領域202は、グラフ表示領域201の左側に配置されている。
グラフ表示領域201には、関係グラフが表示される。
さらに、グラフ表示領域201には、俯瞰表示領域211を設けることができる。
図37では、グラフ表示領域201の右下に、俯瞰表示領域211が設けられている。
俯瞰表示領域211には、関係グラフの生成に用いられた、情報i1と情報i2とが関連付けられたDBに登録された情報i1すべてのノードが存在する関係グラフの全体が表示される。
DBに登録された情報i1すべてのノードが存在する関係グラフの全体は、ノードの数が膨大となることがあり、そのような関係グラフの全体を、グラフ表示領域201に表示したのでは、関係グラフが見にくくなるおそれがある。
そこで、グラフ表示領域201には、関係グラフの全体の一部分を、大きく表示することができる。この場合、俯瞰表示領域211には、その俯瞰表示領域211に表示されている関係グラフの全体のうちの、グラフ表示領域201に表示されている一部分を表す表示枠212を表示することができる。
表示枠212によれば、ユーザは、関係グラフの全体のどの部分が、グラフ表示領域201に表示されているかを、容易に認識することができる。
リスト表示領域202には、ランキングリストが表示される。
ここで、例えば、図35で説明したように、植生#iと他の植生#jとの関係を表す関係グラフ(関係スコア)によれば、植生#iと他の植生#jとの関係、すなわち、植生#iと他の植生#jとの関係スコアに基づいて、植生#iに対して、他の植生#jすべてをランキング付けすることができる。
リスト表示領域202には、そのような植生#jをランキング付けした植生(の植生名)のリストであるランキングリストが表示される。
なお、俯瞰表示領域211の表示や、ランキングリストの表示は、ユーザによる操作部34の操作に応じて、オン/オフすることができる。
以上のようなグラフ表示画面は、例えば、オープンソースソフトウェアパッケージであるGephiを用いて生成することができる。
図38は、Gephiによるグラフ表示画面の例を示す図である。
図38において(後述する図39ないし図41においても同様)、白丸は、植生のノードを表し、黒丸は、圃場のノードを表す。
図38のグラフ表示画面においては、植生/圃場DBを用いて生成された関係グラフが、植生"Diospyros"のノードを注目ノードとして、グラフ表示領域201に表示されている。
また、図38のグラフ表示画面においては、注目ノードが表す植生"Diospyros"に対してランキング付けした他の植生のランキングリストが、リスト表示領域202に表示されている。
なお、ランキングリストにおいては、植生の他に、注目ノードが表す植生"Diospyros"が観測された圃場も表示することができる。
図38では、ランキングリストにおいて、注目ノードが表す植生"Diospyros"が観測された圃場(及び日付)"20120329ise"と"20110402-20110403oiso"が、植生"Apis mellifera Linnaeus, 1758"の直後に表示されている。
図39は、図38の関係グラフにおいて、注目ノードが表す植生"Diospyros"が観測された圃場"20120329ise"を、新たな注目ノードの選択した場合のGephiによるグラフ表示画面の例を示す図である。
図40は、Gephiによるグラフ表示画面の他の例を示す図である。
Gephiの上部には、検索ボックスが設けられており、ユーザが、検索ボックスをクリック(又はタップ)すると、ノードが表す植生と圃場の一覧がプルダウンする形で表示される。ユーザは、その一覧の中から、植生又は圃場を選択することにより、その選択された植生又は圃場のノードを、注目ノードとすることができる。
図41は、Gephiによるグラフ表示画面のさらに他の例を示す図である。
図41では、俯瞰表示領域211に表示された関係グラフの全体のうちの、グラフ表示領域201に表示された関係グラフの部分を示すように、表示枠212が表示されている。
なお、関係グラフについては、端末12のユーザに関するユーザプロファイルを、例えば、端末12のストレージ33等に登録しておき、そのユーザプロファイルに基づいて、関係グラフを変更することができる。
例えば、ユーザプロファイルに基づいて、ユーザが植生等の種(species)に携わっている経験年数(例えば、ユーザが農業に携わっている経験年数等)を認識することができる場合には、その経験年数に基づいて、関係グラフ(の表示)を変更することができる。
具体的には、例えば、経験年数が長い学者レベルのユーザについては、DBに登録された植生すべてのノードを有する関係グラフを表示し、経験年数が浅い(又は)0の初心者レベルのユーザについては、DBに登録された植生のうちの、例えば、ランキングがベスト3の植生(関係スコアが高い上位3位の植生)のノードに限定した関係グラフを表示することができる。初心者レベルのユーザには、多くの植生(のノード)を表示すると、混乱するおそれがあり、その混乱を防止するためである。
また、関係グラフについては、ユーザプロファイルに基づいて、関係グラフを生成するのに用いるDBを選択することができる。
具体的には、例えば、ユーザプロファイルに基づいて、ユーザが主婦であることを認識することができる場合には、関係グラフの生成に、主婦向けのDBとしての、例えば、植生/レシピDBを選択することができる。また、例えば、ユーザプロファイルに基づいて、ユーザが農業従事者であることを認識することができる場合には、関係グラフの生成に、農業従事者向けのDBとしての、例えば、植生/圃場DBを選択することができる。
さらに、関係グラフの生成に用いるDBに登録されている植生等の種に関するコンテンツプロファイルが、例えば、インターネット24上のサイト等に存在する場合には、そのコンテンツプロファイルに基づいて、関係グラフを変更することができる。
例えば、ユーザプロファイルに基づいて、ユーザの経験年数を認識することができるとともに、コンテンツプロファイルに基づいて、DBに登録されている植生の知名度や希少性を認識することができる場合には、経験年数が長い学者レベルのユーザについては、DBに登録されている植生のうちの、知名度が低い植生や希少性が高い植生だけを選択して、その選択した植生のノードに限定した関係グラフを表示することができる。学者レベルのユーザは、知名度が高い植生や、希少性が低い植生には、それほど興味がないと思われるからである。
一方、経験年数が浅い初心者レベルのユーザについては、DBに登録されている植生のうちの、知名度が高い植生や希少性が低い植生だけを選択して、その選択した植生のノードに限定した関係グラフを表示することができる。初心者レベルのユーザは、知名度が低い植生や、希少性が高い植生には、それほど興味がないと思われるからである。
また、植生等の種が登録されたDBを用いて生成される関係グラフについては、ユーザプロファイルやコンテンツプロファイルに基づいて、種どうしの関係、すなわち、関係スコアを補正することができる。
例えば、ユーザプロファイルに基づいて、ユーザの経験年数を認識することができるとともに、コンテンツプロファイルに基づいて、DBに登録されている植生の知名度や希少性を認識することができる場合には、経験年数が長い学者レベルのユーザについては、DBに登録されている植生のうちの、知名度が低い植生や希少性が高い植生の関係スコアを高くするように補正することができる。
この場合、ランキングリストにおいて、知名度が低い植生や希少性が高い植生は、より上位にランキングされ、関係グラフにおいて、注目ノードに近い位置に表示される。
一方、経験年数が浅い初心者レベルのユーザについては、DBに登録されている植生のうちの、知名度が高い植生や希少性が低い植生の関係スコアを高くするように補正することができる。
この場合、ランキングリストにおいて、知名度が高い植生や希少性が低い植生は、より上位にランキングされ、関係グラフにおいて、注目ノードに近い位置に表示される。
図42は、グラフ表示画面を表示する処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS201において、端末12のユーザは、操作部34を操作することにより、複数のDBの中から、関係グラフを生成するのに用いるDBである注目DBを選択する。
ステップS202において、端末12の通信部40は、注目DBの情報(注目DBを表す情報)を、サーバ13に送信する。
サーバ13の通信部67は、端末12からの注目DBの情報を受信し、ステップS211において、グラフ表示制御部72は、注目DBにアクセスして、その注目DBからバイパータイトグラフを生成する。
ステップS212において、グラフ表示制御部72は、注目DBのバイパータイトグラフから、関係グラフを表示したグラフ表示画面を生成する。
ステップS213において、通信部67は、グラフ表示制御部72が生成したグラフ表示画面を、端末12に送信する。
ステップS203において、端末12の通信部40は、サーバ13からのグラフ表示画面を受信し、取得部51は、そのグラフ表示画面を取得する。
ステップS204において、端末12の表示制御部52は、取得部51が取得したグラフ表示画面を、表示部35に表示する。
なお、上述の場合には、サーバ13において、注目DBのバイパータイトグラフから、グラフ表示画面を生成し、端末12に送信したが、サーバ13では、注目DBのバイパータイトグラフを、端末12に送信し、端末12では、取得部51において、サーバ13からのバイパータイトグラフから、グラフ表示画面を生成することにより取得することができる。
以上のように、種(species)と種以外の他の情報とが関連付けられたDBから得られる、他の情報を尺度とする種どうしの関係を表す、ノードとリンクで構成される関係グラフを表示する場合には、ユーザは、種どうしの関係を、知識として得て、その知識を、協生農法等の生態系活用に利用することができる。
<センサデータとシンボルとの関連付け>
図43は、センサでのセンシングで得られるセンサデータの例を示す図である。
すなわち、図43は、アメダスでセンシング(観測)されたセンサデータであるアメダスデータを示している。
図43では、アメダスデータとして、平均気温や、日照時間、降水量等の10種類のデータがあり、図43は、10種類のアメダスデータのうちの平均気温(MeanTemp)とその他の9種類のデータとを、それぞれ、横軸と縦軸とにとってプロットした図である。図43において、9種類のデータとしての縦軸は、左上から右方向の順番で、最高気温(MaxTemp)、日照時間(DayLength)、平均蒸気圧(MeanVaporPressure)、最低気温(MinTemp)、全天日射量(GlovalSolarRadiation)、平均大気圧(MeanAtmosphricPressure)、1日の降水量(DailyPrecipitation)、平均風速(MeanWindSpeed)、及び、平均湿度(MeanHumidity)を、それぞれ表す。
図43から明らかなように、平均気温とその他の9種類のデータとの組には、明確な相関がある組や、そうでない組がある。
例えば、ある日に、ある昆虫や植生等の種sを観測した場合に、その観測した種sに、その日のアメダスデータdを関連付けることで、すなわち、種sが観測されたことを表すシンボル(記号)としての、例えば、種sの種名と、アメダスデータdとを対応付けて登録することで、気象条件がアメダスデータdであるときに、種sが観測されたという情報を保存することができる。
しかしながら、気象条件が、アメダスデータdから多少はずれたアメダスデータd'であるときでも、種sが観測されることがあり得る。
したがって、種sと、その種sが観測される気象条件を表すアメダスデータとの関連付けは、種sが観測されたことを表すシンボルと、アメダスデータdだけとを対応付けて登録するだけでは、十分であるとは言えない。
そこで、サーバ13の関連付け部76は、アメダスデータについて、そのアメダスデータを用いたボロノイ分割を行い、その結果得られるボロノイ図上のボロノイ領域と、種が観測されたことを表すシンボルとを対応付けて登録することにより、種が観測されたことを表すシンボル(ある種が観測されたという生物多様性のデータ)と、アメダスデータとの十分な関連付けを行う。
図44は、アメダスデータを用いたボロノイ分割により得られるボロノイ図の例を示す図である。
図44では、1年分(365日)の各日の10種類のアメダスデータを主成分分析し、第1主成分を横軸とするとともに、第2主成分を縦軸とする2次元平面に、1年分のアメダスデータ(白丸で示す)がプロットされている。
さらに、図44では、ボロノイ分割は、1年のうちの、種を観測した観測日である種観測日のアメダスデータを母点として行われている。
すなわち、いま、端末12のユーザによって、1年のうちのある100日を種観測日として、種の観測が行われ、その100日の種観測日における観測値として、観測がされた種を表すシンボルが、サーバ13のストレージ63に登録されていることとする。
サーバ13の関連付け部76は、インターネット24上のサイトから、1年分のアメダスデータを取得し、アメダスデータを主成分分析する。さらに、関連付け部76は、アメダスデータの主成分分析の結果得られる第1主成分及び第2主成分を、それぞれ横軸及び縦軸とする2次元平面に、1年分のアメダスデータのうちの、種観測日のアメダスデータをプロットし、その種観測日のアメダスデータを母点として、2次元平面のボロノイ分割を行う。
図44は、以上のようなボロノイ分割の結果得られたボロノイ図を示している。
ボロノイ図によれば、母点に対するボロノイ領域に対応するアメダスデータと、母点に対応するアメダスデータが観測された種観測日にユーザが観測した種を表すシンボルとを関連付けることができる。
サーバ13において、関連付け部76は、ボロノイ図に基づいて、母点に対するボロノイ領域に対応するアメダスデータと、母点に対応するアメダスデータが観測された種観測日にユーザが観測した種を表すシンボルとを関連付けたアメダスデータ/種DBを生成し、ストレージ63に登録する。
以上のようにして、ストレージ63に登録されたアメダスデータ/種DBは、上述した関係グラフの生成に用いることができる。すなわち、アメダスデータ/種DBによれば、例えば、種に関連付けられたアメダスデータ(に対応するボロノイ領域)を尺度とする種どうしの関係を表す関係グラフを生成することができる。
また、サーバ13では、解析部77が、ボロノイ図を解析し、生態系活用の支援に役立つ様々な情報を、端末12に提供する。
図45は、図44で説明したようにして得られるボロノイ図の例を示す図である。
図45は、図44と同様のボロノイ図であるが、図44では、1年分のアメダスデータがプロットされているのに対して、図45では、その1年分のアメダスデータのうちの、種観測日のアメダスデータ、すなわち、母点となっているアメダスデータ(白丸で示す)だけがプロットされている。
図45では、白いボロノイ領域ほど、そのボロノイ領域の母点に対応するアメダスデータが観測された種観測日にユーザが観測した種の数が多いことを表す。
解析部77は、例えば、各ボロノイ領域において母点となっているアメダスデータが観測された種観測日にユーザが観測した種を、種リストとしてリストアップする。
さらに、解析部77は、例えば、種リストに基づいて、ある種sが(多く)観測されているボロノイ領域が集まっている領域R11を検出し、その領域R11に対応するアメダスデータを、種sの(気象条件の)ニッチとして推定する。
そして、解析部77は、種sのニッチとしてのアメダスデータが観測される日に、種sが観測されやすいことを示唆する示唆メッセージを生成し、通信部67から端末12に送信させる。
端末12では、サーバ13からの示唆メッセージが提示される(表示部35で表示され、あるいは、スピーカ36から音声で出力される)。この場合、端末12のユーザに、種sを観測することのインセンティブを与えることができる。
また、解析部77は、例えば、種リストに基づいて、観測されている種が少ない(又は、ない)ボロノイ領域が集まっている領域R12を検出する。
そして、解析部77は、領域R12に対応するアメダスデータが観測される日に、種の観測を要求する要求メッセージを生成し、通信部67から端末12に送信させる。
端末12では、サーバ13からの要求メッセージが提示される。この場合、端末12のユーザに、領域R12に対応するアメダスデータが観測される気象条件での種の観測を促進することができる。
図46は、ボロノイ図に基づく種の(気象条件の)ニッチの推定の第1の例を説明する図である。
図45で説明したように、解析部77において、各ボロノイ領域において母点となっているアメダスデータが観測された種観測日にユーザが観測した種を、種リストとしてリストアップし、その種リストに基づいて、ある種sが多く観測されているボロノイ領域が集まっている領域R21を検出することにより、その領域R21に対応するアメダスデータを、種sの(気象条件の)ニッチとして推定することができる。
図46は、図45と同様のボロノイ図であり、領域R21は、種「イチモンジセセリ」のニッチ(の推定結果)を表す。
図47は、ボロノイ図に基づく種のニッチの推定の第2の例を説明する図である。
図47は、図45と同様のボロノイ図であり、領域R31は、種「オニノゲシ」のニッチを表す。
解析部77は、上述のようにして、様々な種のニッチを推定し、そのニッチを表すニッチ情報を、通信部67からユーザ端末12に送信させ、ユーザに提示することができる。
また、解析部77では、以上のように、ボロノイ図に基づいて、様々な種のニッチを推定することにより、種どうしの共起(ここでは、異なる種が同時に出現すること)を推定することができる。
図48は、ボロノイ図に基づく種どうしの共起の推定の例を示す図である。
図48は、図45と同様のボロノイ図であり、領域R21は、図46に示した種「イチモンジセセリ」のニッチを表す。また、領域R31は、図47に示した種「オニノゲシ」のニッチを表す。
解析部77は、領域R21及びR31が重なる重なり領域がある場合、その重なり領域に対応するアメダスデータを、種「イチモンジセセリ」及び「オニノゲシ」が共起する気象条件として推定する。
そして、解析部77は、種「イチモンジセセリ」及び「オニノゲシ」が共起することや、種「イチモンジセセリ」及び「オニノゲシ」が共起する気象条件としてのアメダスデータ等の共起情報を、通信部67から端末12に送信させ、ユーザに提示することができる。
なお、ボロノイ図によれば、上述したようなニッチ等を表す領域どうしの重なりから、種どうしの共起の推定の他、捕食や片利共生の関係等の推定を行うことができる。
図49は、上のようなボロノイ図の生成と解析の処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS231において、サーバ231の関連付け部76は、アメダスデータと、端末12のユーザによる種の観測値(種を表すシンボル)とを取得する。
ステップS232において、関連付け部76は、アメダスデータを主成分分析し、第1主成分及び第2主成分を求める。
ステップS233において、関連付け部76は、アメダスデータの主成分分析の結果得られる第1主成分及び第2主成分を、それぞれ横軸及び縦軸とする2次元平面に、ユーザが種を観測した種観測日のアメダスデータをプロットし、その種観測日のアメダスデータを母点として、2次元平面のボロノイ分割を行う。
ステップS234において、関連付け部76は、ボロノイ図に基づいて、母点に対するボロノイ領域に対応するアメダスデータと、母点に対応するアメダスデータが観測された種観測日にユーザが観測した種を表すシンボルとを関連付けたアメダスデータ/種DBを生成し、ストレージ63に登録する。
ステップS235において、サーバ13の解析部77は、ボロノイ図を解析し、上述した示唆メッセージや要求メッセージといったアドバイス情報、ニッチ情報、共起情報を生成する。
ステップS236において、解析部77は、通信部67から、アドバイス情報や、ニッチ情報、共起情報を、端末12に送信する。
端末12では、通信部40が、サーバ13からのアドバイス情報や、ニッチ情報、共起情報を受信する。
そして、ステップS221において、取得部51が、通信部40から、アドバイス情報や、ニッチ情報、共起情報を取得する。
その後、ステップS222において、表示制御部52が、取得部51が取得したアドバイス情報や、ニッチ情報、共起情報を、表示部35に表示する。
以上のように、センサデータとしてのアメダスデータについて、そのアメダスデータを用いたボロノイ分割を行うことにより、種が観測されたことを表すシンボル(ある種が観測されたという生物多様性のデータ)と、アメダスデータとの十分な関連付け(センサデータとシンボルとの統合)を行うことができる。
なお、以上のようなボロノイ分割によるセンサデータとシンボルとの関連付けは、アメダスデータ及び種(名)をそれぞれセンサデータ及びシンボルとして行う他、任意のセンサデータ及びシンボルを対象として行うことができる。
例えば、ボロノイ分割は、イコライザでの周波数の重みをセンサデータとするとともに、そのイコライザを介した楽曲を聴いたユーザの感想(例えば、「落ち着く」や「いらいらする」等)をシンボルとして、そのようなセンサデータとシンボルとの関連付けに適用することができる。この場合、ボロノイ分割により得られる関連付けに基づいて、例えば、ユーザが「落ち着く」と感じるような楽曲となるように、イコライザでの周波数の重みの自動制御を行うことができる。
また、ボロノイ分割は、例えば、気温及び湿度をセンサデータとするとともに、その気温及び湿度の部屋にいるユーザの感想(例えば、「寒い」や「じめじめする」、「心地よい」等)をシンボルとして、そのようなセンサデータとシンボルとの関連付けに適用することができる。この場合、ボロノイ分割により得られる関連付けに基づいて、例えば、ユーザが「心地よい」と感じるような気温及び湿度となるように、エアコンディショナの自動制御を行うことができる。
さらに、ボロノイ分割は、例えば、イメージセンサで撮影された様々な被写体の画像の特徴量をセンサデータとするとともに、その被写体を表すタグ(例えば、「笑顔」や、「ビル」、「山」等)をシンボルとして、そのようなセンサデータとシンボルとの関連付けに適用することができる。この関連付けは、例えば、被写体が「笑顔」である場合に撮影を行うディジタルカメラの、いわゆるスマイルシャッタの機能に利用することができる。
なお、ボロノイ分割は、2次元平面ではなく、3次元空間で行うことができる。3次元空間のボロノイ分割は、例えば、アメダスデータの第1主成分ないし第3主成分を用いて行うことができる。
<植生分布と関連情報の表示>
図50は、植生分布を表す植生分布画面の表示例を示す図である。
自然生態系から採取される、例えば、食べられる植生や薬になる植生等の有用植物は、人類の貴重な資源であり、そのような有用植物を探索することは、生態系活用を支援することになる。
一方、有用植物が存在する場所を明示的に示したのでは、その場所で、有用植物の乱獲が生じるおそれがある。
そこで、図1の生態系活用システムでは、乱獲を防止しつつ、有用植物の探索を促進するユーザインターフェースを提供する。
すなわち、サーバ13において、植生分布表示制御部78は、例えば、インターネット24上のサイトから、植生調査等によって得られた植生分布を取得し、その植生分布のうちの、例えば、端末12の位置を含む所定の範囲を表した植生分布画面を生成する。
そして、植生分布表示制御部78は、植生分布画面を、通信部67から端末12に送信させる。
端末12では、通信部40が、サーバ13からの植生分布画面を受信し、取得部51が、その植生分布画面を取得する。そして、表示制御部52が、取得部51が取得した植生分布表示画面を、表示部35に表示する。
図50は、以上のようにして、端末12の表示部35に表示される植生分布画面の表示例を示している。
図50において、植生分布画面の植生分布は、エリアA11,A12,A13,A14,A15、及び、A16に区分されており、エリアA13及びA16には、アカマツ群が分布している。
なお、図50の植生分布画面では、エリアA13及びA16がアカマツ群のエリアであることが表示されているが、エリアA13及びA16がアカマツ群のエリアであることは、例えば、エリアA13やA16が、ユーザによってクリック(又はタップ)等されることにより指定されたときに表示することができる。
植生分布画面には、端末12のユーザが移動した移動軌跡を表示することができる。
図51は、ユーザの移動軌跡が表示された植生分布画面の表示例を示す図である。
植生分布画面に、ユーザの移動軌跡を表示することにより、ユーザは、過去に訪れたことがある植生分布上の場所に、容易に再訪することができる。
また、ユーザは、植生分布上の任意の場所において、端末12を用いて、任意の情報を、投稿情報として投稿(入力)することができる。あるユーザUが端末12を用いて投稿した投稿情報は、端末12からサーバ13に送信し、サーバ13において、植生分布に関連する関連情報として、植生分布に関連付けることができる。すなわち、サーバ13では、ユーザUが投稿した投稿情報を、その投稿情報が投稿された植生分布の位置とユーザUに関連付けることができる。
例えば、ユーザUが、エリアA13のアカマツ群のある場所(位置)Pで、ネズミモチを見つけた場合に、ユーザUが、端末12を用いて、「ネズミモチ」を投稿情報として投稿すると、サーバ13では、その投稿情報「ネズミモチ」が、エリアA13のアカマツ群のある場所PとユーザUに関連付けられる。
ここで、以下、あるユーザUについて、そのユーザUが投稿した投稿情報を、自己投稿情報ともいい、他のユーザU'が投稿した投稿情報を、他者投稿情報ともいう。他のユーザU'にとっては、ユーザU'が投稿した投稿情報が自己投稿情報となり、ユーザUが投稿した投稿情報が他者投稿情報となる。
端末12では、サーバ13で植生分布に関連付けられた投稿情報を、植生分布とともに表示すること、すなわち、投稿情報が反映された植生分布画面を表示することができる。
図52は、投稿情報が反映された植生分布画面の表示例を示す図である。
いま、例えば、あるユーザUが、エリアA13のアカマツ群のある場所Pで、端末12を用いて、投稿情報「ネズミモチ」を投稿し、サーバ13において、投稿情報「ネズミモチ」が、エリアA13のアカマツ群のある場所PとユーザUに関連付けられていることとする。
この場合に、例えば、ユーザUが、端末12を操作して、エリアA13付近の植生分布の表示を要求すると、サーバ13は、例えば、図51に示したユーザUの移動軌跡を表示した植生分布画面に、ユーザUの自己投稿情報「ネズミモチ」を、その自己投稿情報「ネズミモチ」を投稿した場所Pが分かる形で反映した植生分布画面を、端末12に表示させる。
図52は、ユーザUの自己投稿情報「ネズミモチ」を、その自己投稿情報「ネズミモチ」を投稿した場所Pが分かる形で反映した植生分布画面の表示例を示している。
ユーザUは、端末12に表示された植生分布画面を見ることにより、ネズミモチがある場所Pを、容易に認識し、その場所Pに再訪して、ネズミモチを採取することができる。
ところで、自己投稿情報「ネズミモチ」を投稿したユーザU以外のユーザU'の端末12において、ユーザUが投稿した投稿情報「ネズミモチ」を場所Pが分かる形で反映した植生分布画面を表示した場合には、ユーザU以外のユーザが、場所Pに殺到し、その場所Pにあるネズミモチの乱獲が行われるおそれがある。
一方、ユーザUが、投稿情報「ネズミモチ」を投稿することにより行われた、投稿情報「ネズミモチ」と、エリアA13のアカマツ群(のある場所P)との関連付けによれば、アカマツ群でネズミモチが見つかったという事実を認識することができる。かかる事実によれば、例えば、アカマツとネズミモチとが共生関係にあるという仮説や、アカマツ群で、ネズミモチが見つかりやすいという仮説等の、ネズミモチの探索や育成に有用な仮説をたてることができる。
そこで、ユーザU以外のユーザU'のユーザ端末12では、そのユーザU'にとって他者投稿情報である、例えば、ユーザUの投稿情報「ネズミモチ」については、その投稿情報「ネズミモチ」を投稿した場所Pが分からない形で反映した植生分布画面を表示することができる。
図53は、投稿情報が反映された植生分布画面の他の表示例を示す図である。
いま、例えば、サーバ13において、あるユーザUの投稿情報「ネズミモチ」が、エリアA13のアカマツ群のある場所PとユーザUに関連付けられていることとする。また、ユーザUではないあるユーザU'は、投稿情報の投稿(入力)を行ったことがないこととする。
この場合に、例えば、ユーザU'が、端末12を操作して、エリアA13付近の植生分布の表示を要求すると、サーバ13は、例えば、図50に示した植生分布画面を、端末12に表示させる。
さらに、例えば、ユーザU'が、アカマツ群のエリアA13やA16を指定すると、サーバ13は、植生分布のアカマツ群のエリア内の場所に関連付けられている他者投稿情報をリストにした他者投稿情報リストを、ユーザU'の端末12の植生分布画面上に表示させる。
図53は、他者投稿情報リストが表示された植生分布画面の表示例を示している。
上述したように、サーバ13において、ユーザUの投稿情報「ネズミモチ」が、エリアA13のアカマツ群のある場所PとユーザUに関連付けられている場合に、ユーザUではないユーザU'が、アカマツ群のエリアA13やA16を指定すると、アカマツ群の場所に関連付けられている他者投稿情報、すなわち、例えば、アカマツ群のある場所Pに関連付けられているユーザUの投稿情報「ネズミモチ」が含まれる他者投稿情報リストが、植生分布画面に表示される。
ユーザU'は、アカマツ群のエリアA13やA16を指定することで植生分布画面に表示される他者投稿情報リストを見ることにより、ネズミモチが見つかった具体的な場所は分からないが、アカマツ群がある場所で、ネズミモチが見つかった事実を認識することができる。
かかる事実によれば、例えば、上述したように、アカマツとネズミモチとが共生関係にあるという仮説や、アカマツ群で、ネズミモチが見つかりやすいという仮説等の、ネズミモチの探索や育成に有用な仮説をたてることができる。
この場合、ユーザU'には、アカマツがある場所において、ネズミモチの探索を行うインセンティブや、ネズミモチを植えるインセンティブが働き、その結果、ネズミモチの乱獲を防止しつつ、ネズミモチの探索や育成の促進を図ることができる。
なお、他者投稿情報リストには、他者投稿情報(例えば、投稿情報「ネズミモチ」)の他、他者投稿情報が投稿されたときの、その投稿の場所(例えば、投稿情報「ネズミモチ」が投稿された場所P)の気温や湿度等の気象条件等も含めることができる。
この場合、他者投稿情報リストを見たユーザU'は、気象条件を考慮して、ネズミモチの探索や育成を行うことができる。すなわち、例えば、ユーザU'は、アカマツ群のエリアのうちの、他者投稿情報リストに含まれる、ネズミモチが見つかった場所Pの気象条件に類似する気象条件のエリアを対象として、ネズミモチの探索や育成を行うことができる。
また、サーバ13では、植生分布のエリアのうちの、場所Pの気象条件の一部又は全部に類似する気象条件のエリアを、ネズミモチが見つかった気象条件に類似する気象条件のエリアとして、端末12に表示させることができる。
その他、サーバ13では、場所Pの気象条件と他の場所の気象条件との類似性に基づき、他の場所が、ネズミモチの育成に適しているかどうかのアドバイスを、端末12に提示させることができる。
図54は、ユーザが投稿した投稿情報を、植生分布と関連付ける処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS241において、端末12の通信部40は、端末12のユーザを識別するユーザ情報(例えば、ユーザIDやパスワード等)をサーバ13に送信し、位置検出部39で検出された端末12の位置を表す位置情報のサーバ13への送信を開始する。
なお、端末12のユーザのユーザ情報は、例えば、端末12のストレージ33に登録されているか、又は、ユーザが操作部34を操作して入力することとする。
ステップS251において、サーバ13の通信部67は、端末12からのユーザ情報を受信し、同じく端末12からの位置情報の受信を開始する。
さらに、サーバ13の植生分布表示制御部78は、通信部67で受信されたユーザ情報を、ストレージ63に登録する。また、植生分布表示制御棒78は、そのユーザ情報に対応付けて、通信部67で受信が開始された位置情報を、ストレージ63に登録することを開始する。
以上のように、サーバ13では、ユーザ情報に対応付けて、位置情報を登録することで、そのユーザ情報によって識別されるユーザの移動軌跡が保存される。
その後、端末12のユーザが、投稿情報を入力した場合、すなわち、例えば、操作部34を操作することにより、投稿情報としての文字列を入力した場合や、カメラ37によって、投稿情報としての写真を撮影した場合、ステップS242において、通信部40は、その投稿情報と、その投稿情報が入力されたときに、位置検出部39で検出された位置情報とを、サーバ13に送信する。
ステップS252において、サーバ13の通信部67は、端末12からの投稿情報と位置情報を、端末12の(ユーザの)ユーザ情報と対応付けて、ストレージ63に登録し、これにより、端末12からの投稿情報は、その投稿情報が投稿されたときの位置情報が表す植生分布の位置と、端末12のユーザ情報とに関連付けられる。
図55は、自己投稿情報が反映された植生分布画面を表示する処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS261において、端末12の通信部40は、端末12のユーザ情報と、位置検出部39で検出された現在地を表す位置情報を、サーバ13に送信する。
サーバ13の通信部67は、端末12からのユーザ情報、及び、位置情報を受信し、ステップS271において、植生分布表示制御部78は、端末12からの位置情報が表す位置(現在地)を含む植生分布に、端末12からのユーザ情報に対応付けてストレージ63に登録された位置情報から認識されるユーザの移動軌跡を表示した、例えば、図51に示したような植生分布表示画面を生成する。
ステップS272において、サーバ13の通信部67は、植生分布表示制御部78が生成した植生分布表示画面を、端末12に送信する。
ステップS262において、端末12の取得部51は、サーバ13からの植生分布表示画面を、通信部40に受信させることにより取得する。
ステップS263において、端末12の表示制御部52は、取得部51が取得した植生分布表示画面を、表示部35に表示する。
その後、端末12のユーザが、操作部34を操作して、自己投稿情報を要求した場合、ステップS264において、通信部40は、投稿情報の要求を、端末12のユーザ情報とともに、サーバ13に送信する。
サーバ13の通信部67は、端末12からの投稿情報の要求、及び、ユーザ情報を受信し、ステップS273において、植生分布表示制御部78は、ストレージ63に登録された投稿情報の中から、端末12からのユーザ情報と、ステップS271で生成した植生分布表示画面に表示された植生分布内のいずれかの位置を表す位置情報とに関連付けられた投稿情報、すなわち、端末12のユーザの自己投稿情報を、植生分布に関連付けられた関連情報として検索することにより取得する。
ステップS274において、サーバ13の植生分布表示制御部78は、ステップS273で取得した、端末12のユーザの自己投稿情報を、その自己投稿情報に関連付けられた位置情報とともに、通信部67から端末12に送信させる。
ステップS265において、端末12の取得部51は、サーバ13からの自己投稿情報、及び、位置情報を、通信部40に受信させることにより取得する。
ステップS266において、表示制御部52は、取得部51が取得した自己投稿情報を、同じく取得部51が取得した位置情報が表す位置が分かるように、ステップS263で表示部35に表示された植生分布表示画面に表示させる。これにより、図52に示したように、端末12のユーザが自己投稿情報を投稿した場所Pが分かる形で、その自己投稿情報が反映された植生分布画面が表示される。
図56は、他者投稿情報リストが反映された植生分布画面を表示する処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS281において、端末12の通信部40は、位置検出部39で検出された現在地を表す位置情報を、サーバ13に送信する。
サーバ13の通信部67は、端末12からの位置情報を受信し、ステップS291において、植生分布表示制御部78は、端末12からの位置情報が表す位置(現在地)を含む植生分布を表示した、例えば、図50に示したような植生分布表示画面を生成する。
ステップS292において、サーバ13の通信部67は、植生分布表示制御部78が生成した植生分布表示画面を、端末12に送信する。
ステップS282において、端末12の取得部51は、サーバ13からの植生分布表示画面を、通信部40に受信させることにより取得する。
ステップS283において、端末12の表示制御部52は、取得部51が取得した植生分布表示画面を、表示部35に表示する。
その後、端末12のユーザが、操作部34を操作して、植生分布表示画面に表示された植生分布上の所定の位置を指定した場合、ステップS284において、通信部40は、ユーザが指定した位置に分布する植生を表す植生情報を、サーバ13に送信する。
サーバ13の通信部67は、端末12からの植生情報を受信し、ステップS293において、植生分布表示制御部78は、ストレージ63に登録された他者投稿情報の中から、端末12からの植生情報が表す植生が分布する植生分布内のいずれかの位置を表す位置情報に関連付けられた他者投稿情報を、植生分布に関連付けられた関連情報として検索することにより取得する。
さらに、植生分布表示制御部78は、ストレージ63に登録された他者投稿情報の中から検索した他者投稿情報をリストにした他者投稿情報リストを生成し、ステップS294において、通信部67から端末12に送信させる。
ステップS285において、端末12の取得部51は、サーバ13からの他者投稿情報リストを、通信部40に受信させることにより取得する。
ステップS286において、表示制御部52は、取得部51が取得した他者投稿情報リストを、その他者投稿情報リストに含まれる他者投稿情報が投稿された位置が分からないように、ステップS283で表示部35に表示された植生分布表示画面に表示させる。すなわち、表示制御部52は、他者投稿情報リストを、例えば、ステップS283で表示部35に表示された植生分布表示画面の任意の位置、又は、あらかじめ決められた所定の位置に表示させる。これにより、図53に示したように、他者投稿情報リストに含まれる他者投稿情報が投稿された位置が分からない形で、その他者投稿情報リストが反映された植生分布画面が表示される。
<生態系の評価>
図57は、サーバ13の評価部73による活用地域の生態系の評価を説明する図である。
ユーザやセンサ装置11により、様々な観測(センシング)が行われ、その観測の結果得られる観測値(例えば、カメラ37で撮影された写真や、ユーザが操作部34を操作することで入力したテキスト、センサ装置11でセンシングされたセンサデータ等)は、その観測値が得られたときの観測条件とともに、サーバ13において、ストレージ63の協生農法DB(図5)等のDBに登録される。
評価部73は、様々な評価方法による生態系の評価を実現するために、複数のモデル、すなわち、例えば、評価に用いる観測値の観測条件(例えば、所定の場所の所定の範囲の土の中の、所定の深さだけ掘り返して、虫を観測の対象として観測を行うとか、所定の場所の所定の範囲内を所定の人数で観測し、任意の種を観測の対象とするとか等)、評価に用いる評価スコアの定義等が異なる様々な評価方法のモデルを有している。
複数のモデルとしては、機械学習に用いられるモデル、すなわち、例えば、Nグラムや、HMM(Hidden Markov Models)、ニューラルネット、その他様々な回帰モデル等を採用することができる。
評価部73は、各モデルに、DBに登録された観測値を入力として与え、観測の予測を行う。さらに、評価部73は、実際の観測値のフィードバックを受け、その実際の観測値を用いたベイズ推定等によって、モデルを用いた観測の予測によって得られる、観測値の予測値を評価する。
さらに、評価部73は、観測値の予測値の評価の結果に基づき、モデルや観測値(観測条件を含む)の有意性、すなわち、例えば、観測値の入力に対してモデルから得られる観測値の予測値の予測精度を判定する。
そして、評価部73は、有意なモデル(予測精度の良いモデル)を選択し、有意でないモデルを削除する。
また、評価部73は、DBから、観測値の予測値の予測精度の向上に貢献する有意な観測値を選択する。
さらに、評価部73は、DBから、有意でない観測値の項目(変数)を削除することで、有意な観測値の項目が登録されたDBとなるように、DBを適応させる。
評価部73は、有意なモデルに、有意な観測値を入力することで、活用地域の生態系を評価し、その評価の結果を、必要に応じて、通信部67から端末12に送信して、ユーザに提示することができる。
以上のように、評価部73は、様々な評価方法による生態系の評価を実現するために、複数のモデルを有するので、ユーザは、観測条件を固定せずに、観測を行うことができ、さらに、そのような観測から得られた観測値から、活用地域の生態系の現状に適した評価スコアを得て、生態系の評価を行うことができる。したがって、評価部73では、生態系を動的に評価する、いわばダイナミカルアセスメントを行うことができるということができる。ダイナミカルアセスメントでは、モデルや、観測条件(観測方法)、スコアの求め方(スコア体系)を、適宜固定することで、既存の環境アセスメントを表現することができるので、ダイナミカルアセスメントは、既存の環境アセスメントを含み、かつ、既存の環境アセスメントを拡張したアセスメントであるということができる。
また、評価部73によれば、有意な観測値の項目を認識することができ、そのような有意な観測値が得られる観測条件での観測を行うように、ユーザにアドバイスすることが可能となる。
<観測値の信頼性に基づくアドバイス>
図58及び図59は、観測値の信頼度の例を示す図である。
活用地域の生態系活用の支援に必要な情報を得るためには、活用地域の生態系について、様々な観測を行い、信頼性のある観測値を収集することが必要である。
そこで、サーバ13では、信頼度算出部74が、端末12から送信されてくる、ユーザが生態系を観測して得られる観測値(例えば、ユーザが観測した種(の種名)等)の信頼度を算出する。そして、アドバイス生成部75が、信頼度算出部74で得られた信頼度に応じて、生態系の観測について、アドバイスを生成し、端末12に送信して、ユーザに提示する。
図58及び図59は、活用地域内の圃場で観測された種についての、新規種率、及び、観測バイアスの例を示している。
ここで、図58及び図59において、横軸は、種の観測を行った所定の期間である、例えば、1年分の日付を表し、縦軸は、その1年においてユーザによる観測が行われた各観測日における新規種率、又は、観測バイアスを表す。
なお、ここでは、ユーザが観測した種を、新規種と従来種とに分けることとする。新規種とは、横軸が表す所定の期間である1年の始点から今までの間に観測されていなかった種を意味し、従来種とは、横軸が表す所定の期間である1年の始点から今までの間に観測されたことがある種を意味する。
新規種率は、観測日にユーザが観測した種の総数で、その観測日の新規種の総数を除算することにより求められる。
観測バイアスは、ユーザの観測に揺らぎが存在する場合に、その揺らぎが、各観測値に反映される程度を表し、例えば、観測日にユーザが観測した種の総数の逆数を採用することができる。
観測値の信頼度としては、例えば、観測バイアスに対応する値(ユーザが観測した種の総数に対応する値でもある)を採用することができる。
観測値の信頼度として、観測バイアスに対応する値を採用する場合、観測バイアスが小さいほど、観測値の揺らぎが小さいので、観測値の信頼度は大になる。
図58において、矢印が示す部分の観測日に観測された観測値については、観測バイアスが小さいので、信頼度は大きい。
一方、図59において、矢印が示す部分の観測日に観測された観測値については、観測バイアスが大きいので、信頼度は小さい。
図60は、観測値の信頼度の他の例を示す図である。
すなわち、図60は、活用地域内の圃場で観測された種についての、新規種の数と従来種の数との幾何平均値(相乗平均値)の例を示している。
なお、図60において、横軸は、種の観測を行った1年分の日付を表し、縦軸は、その1年においてユーザによる観測が行われた各観測日における種についての新規種の数と従来種の数との幾何平均値を表す。
また、図60の上側は、活用地域内のすべての圃場についての幾何平均値を表し、図60の下側は、活用地域内の圃場ごとの幾何平均値を表している。
観測値の信頼度としては、例えば、上述のような新規種の数と従来種の数との幾何平均値そのものを含む幾何平均値に対応する値を採用することができる。
観測値の信頼度として、新規種の数と従来種の数との幾何平均値を採用する場合には、その幾何平均値が大であるほど、観測値の信頼度は大になる。
サーバ13では、信頼度算出部74は、以上のような、観測値の信頼度を算出し、アドバイス生成部75に供給する。
アドバイス生成部75は、信頼度算出部74からの信頼度と、所定の閾値とを比較し、その比較結果に応じて、種の観測についてのアドバイスを生成する。
すなわち、信頼度が所定の閾値より小(又は、所定の閾値以下)であるとき(信頼度が小さいとき)、アドバイス生成部75は、例えば、種の観測を促す促進アドバイス(例えば、メッセージ「もっと観測を行って下さい。」等)や、種の観測が不十分であることを報知する不十分アドバイス(例えば、メッセージ「観測が不十分です。」等)を生成する。
また、信頼度が所定の閾値以上(又は、所定の閾値より大)であるとき(信頼度が大きいとき)、アドバイス生成部75は、例えば、種の観測が十分であることを報知する十分アドバイス(例えば、メッセージ「今日の観測は、十分です。」等)を生成する。
そして、アドバイス生成部75は、種の観測についてのアドバイスを、通信部67から端末12に送信させる。
端末12では、取得部51が、サーバ13からのアドバイスを、通信部40に受信させることにより取得し、表示制御部52が、そのアドバイスを、表示部35に表示することや、スピーカ36から音声で出力することにより、ユーザに提示する。
端末12のユーザは、提示されたアドバイスにより、種の観測が足りないことや十分であることを認識することができる。そして、ユーザは、種の観測が足りない場合には、種の観測を続行し、種の観測が十分な場合には、種の観測を終了することができる。
なお、観測値の信頼度の算出は、複数のユーザのグループごとに行うことや、ユーザごとに行うことができる。複数のユーザのグループごとに、信頼度の算出を行う場合には、アドバイスは、グループごとに生成され、ユーザごとに、信頼度の算出を行う場合には、アドバイスは、ユーザごとに生成される。
また、生態系の観測についてのアドバイスは、上述したように、信頼度算出部74で得られたユーザの観測値の信頼度に応じて生成する他、ユーザが種を観測した観測値における新規種の数や従来種の数に応じて生成することができる。
例えば、新規種の数が少なく、従来種の数が多い場合(新規種率が小さい場合)には、ユーザが、これまでに観測したことがある場所の観測しかしていないことが推定されるので、ユーザに、これまでとは異なる場所を観測することを促すアドバイスを生成することができる。
また、例えば、新規種の数及び従来種の数のうちの一方が極端に小さい場合には、その小さい方の観測を促すアドバイスを生成することができる。
さらに、例えば、新規種の数及び従来種の数の両方が小さい場合には、新規種と従来種の両方の観測を促すアドバイスを生成することができる。
また、アドバイス生成部75においてユーザの観測値の信頼度と比較される所定の閾値としては、例えば、複数のユーザの観測値の信頼度の平均値に応じた値(例えば、その平均値の1/N等)を採用することができる。
さらに、ユーザの観測値の信頼度と比較される所定の閾値は、観測値が観測された地域や時期に応じて変更することができる。
例えば、種が観測されにくい地域である、例えば、砂漠で観測される観測値の信頼度と比較される所定の閾値は、他の地域で観測される観測値の信頼度と比較される所定の閾値よりも小さい値に変更することができる。一方、種が観測されやすい地域である、例えば、熱帯雨林地方で観測される観測値の信頼度と比較される所定の閾値は、他の地域で観測される観測値の信頼度と比較される所定の閾値よりも大きい値に変更することができる。
さらに、例えば、種が観測されにくい時期である、例えば、冬に観測される観測値の信頼度と比較される所定の閾値は、他の時期に観測される観測値の信頼度と比較される所定の閾値よりも小さい値に変更することができる。
また、信頼度算出部74では、ユーザに関するユーザプロファイルに応じて、ユーザの観測値の信頼度に重みを付して、観測値の(最終的な)信頼度を算出することができる。
例えば、ユーザUA及びUBからなるグループについて、そのユーザUA及びUBが観測した観測値の信頼度を算出するにあたっては、ユーザUA及びUBそれぞれの観測値の信頼度に、そのユーザUA及びUBそれぞれのユーザプロファイルに応じた重みを付して、信頼度を算出することができる。
具体的には、いま、説明を簡単にするために、ユーザUA及びUBからなるグループの観測値の信頼度として、ユーザUA及びUBが観測した種の数の総和を採用することとする。さらに、ユーザUAは学者レベルのユーザであり、ユーザUBは初心者レベルのユーザであることとし、そのことが、ユーザUA及びUBそれぞれのユーザプロファイルから認識することができることとする。
この場合、信頼度算出部74は、例えば、学者レベルのユーザUAが観測した種の数に、大きな重みw(>1-w)を付すとともに、初心者レベルのユーザUBが観測した種の数に、小さな重み1-w(<w)を付して、ユーザUA及びUBが観測した種の数の重み付け加算値を算出し、その重み付け加算値を、ユーザUA及びUBからなるグループの観測値の信頼度とすることができる。
さらに、信頼度算出部74では、観測値として観測された種に応じて、その種の観測値に重みを付して、信頼度を算出することができる。
例えば、ユーザが観測した種の数が、N個であり、そのN個の種の中で、K個の種が、希少種(絶滅危惧種)であり、残りのN-K個の種が、希少種でない種である場合には、信頼度算出部74は、希少種の数Nに、大きな重みwを付すとともに、希少種でない種の数N-Kに、小さな重み1-wを付して、ユーザが観測した希少種の数Nと、希少種でない種の数N-Kとの重み付け加算値を算出し、その重み付け加算値を、ユーザの観測値の信頼度とすることができる。
なお、ユーザによる生態系の観測には、ゲーミフィケーションの要素を取り入れることができる。
例えば、ユーザの観測値の信頼度や、観測値として観測した種の数、観測の時間、観測値として観測した種が希少種であるかどうか等に応じて、ユーザにポイントを与えることができる。
以上のように、ユーザによる生態系の観測に、ゲーミフィケーションの要素を取り入れることにより、ユーザによる生態系の観測を促進し、生態系活用を支援し得るデータ(観測値)を収集することができる。
図61は、ユーザが生態系を観測して得られる観測値の信頼度に応じて、生態系の観測についてのアドバイスを生成し、ユーザに提示する処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS311において、サーバ13の信頼度算出部74が、端末12から送信されてきた、ユーザが生態系を観測して得られる観測値の信頼度を算出する。
ステップS312において、サーバ13のアドバイス生成部75が、信頼度算出部74が算出した信頼度と所定の閾値とを比較し、その比較結果に応じて、上述した促進アドバイスや、不十分アドバイス、十分アドバイス等のアドバイス情報を生成する。
ステップS313において、アドバイス生成部75は、アドバイス情報を、通信部67から端末12に送信する。
ステップS301において、端末12の取得部51は、サーバ13からのアドバイス情報を、通信部40で受信することにより取得する。
ステップS302において、表示制御部52は、取得部51が取得したアドバイス情報を表示部35に表示することにより(又は、スピーカ36から音声で出力することにより)、ユーザに提示する。
以上のように、ユーザが生態系を観測して得られる観測値に対して、信頼度を算出し、その信頼度に応じて、生態系の観測について、アドバイス(情報)を生成して、ユーザに提示することにより、ユーザによる生態系の観測を促進し、生態系活用を支援し得る様々な観測値を収集することができる。
ここで、本明細書において、コンピュータ(CPU)がプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
<1>
植生分布と、前記植生分布に関連付けられた関連情報とを、端末に表示させる植生分布表示制御部を含む
情報処理装置。
<2>
前記端末は、位置を表す位置情報と、ユーザが入力した投稿情報とを送信し、
前記植生分布表示制御部は、
前記位置情報が表す前記植生分布の位置に、前記投稿情報を関連付け、
前記投稿情報を、前記関連情報として、端末に表示させる
<1>に記載の情報処理装置。
<3>
前記植生分布表示制御部は、前記ユーザが入力した前記投稿情報である自己投稿情報を、その自己投稿情報に関連付けられた前記植生分布の位置が分かるように、前記端末に表示させる
<2>に記載の情報処理装置。
<4>
前記植生分布表示制御部は、前記植生分布上の前記ユーザの移動軌跡も、前記端末に表示させる
<3>に記載の情報処理装置。
<5>
前記植生分布表示制御部は、前記ユーザ以外の他のユーザが入力した前記投稿情報である他者投稿情報を、その他者投稿情報に関連付けられた前記植生分布の位置が分からないように、前記端末に表示させる
<3>又は<4>に記載の情報処理装置。
<6>
前記植生分布表示制御部は、前記他者投稿情報のリストを、前記端末に表示させる
<5>に記載の情報処理装置。
<7>
植生分布と、前記植生分布に関連付けられた関連情報とを、端末に表示させることを含む
情報処理方法。
<8>
植生分布と、前記植生分布に関連付けられた関連情報とを、端末に表示させる植生分布表示制御部
として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
<9>
植生分布と、前記植生分布に関連付けられた関連情報とを取得する取得部と、
前記植生分布と前記関連情報とを表示させる表示制御部と
を含む情報処理装置。
<10>
位置を表す位置情報と、ユーザが入力した投稿情報とを、サーバに送信する通信部をさらに備え、
前記サーバは、前記位置情報が表す前記植生分布の位置に、前記投稿情報を関連付け、
前記取得部は、前記サーバから、前記投稿情報を取得し、
前記表示制御部は、前記投稿情報を、前記関連情報として表示させる
<9>に記載の情報処理装置。
<11>
前記表示制御部は、前記ユーザが入力した前記投稿情報である自己投稿情報を、その自己投稿情報に関連付けられた前記植生分布の位置が分かるように表示させる
<10>に記載の情報処理装置。
<12>
前記表示制御部は、前記植生分布上の前記ユーザの移動軌跡も表示させる
<11>に記載の情報処理装置。
<13>
前記表示制御部は、前記ユーザ以外の他のユーザが入力した前記投稿情報である他者投稿情報を、その他者投稿情報に関連付けられた前記植生分布の位置が分からないように表示させる
<11>又は<12>に記載の情報処理装置。
<14>
前記表示制御部は、前記他者投稿情報のリストを表示させる
<13>に記載の情報処理装置。
<15>
植生分布と、前記植生分布に関連付けられた関連情報とを取得することと、
前記植生分布と前記関連情報とを表示させることと
を含む情報処理方法。
<16>
植生分布と、前記植生分布に関連付けられた関連情報とを取得する取得部と、
前記植生分布と前記関連情報とを表示させる表示制御部と
して、コンピュータを機能させるためのプログラム。