以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、膝関節を人工膝関節に置換する手術において用いられる人工膝関節置換術用器具として広く適用することができる。
図1は、本発明の人工膝関節置換術用器具1および患者の脛骨100の一部を示す斜視図である。図1を参照して、人工膝関節置換術用器具1は、患者の膝関節を人工膝関節へ置換する人工膝関節置換術において用いられる。この人工膝関節置換術は、例えば、変形性膝関節症や慢性関節リウマチ等により膝関節が高度に変形した患者に対して、膝を正常な機能に回復させるために用いられる。
人工膝関節置換術では、患者の脛骨100の近位部101に骨切りが施されることで、平坦な骨切り面102が形成される。次に、脛骨インサートトライアル18を用いることで患者の脛骨100に適した脛骨コンポーネントが選択される。また、人工膝関節置換術では、患者の大腿骨(図示せず)の遠位部に骨切りが施され、その後、大腿骨トライアルを用いて、患者の大腿骨に適した大腿骨コンポーネントが選択される。そして、脛骨100の近位部101に脛骨コンポーネントが設置されるととともに、大腿骨の遠位部に大腿骨コンポーネントが設置される。患者の膝の屈曲に伴って、これら脛骨コンポーネントと大腿骨コンポーネントとがスライドすることで、膝のスムーズな屈曲が達成される。
本実施形態では、「内側」、または「外側」というときは、人工膝関節置換術が施される患者の膝の内側または外側をいうものとする。内外側方向X1とは、患者の左右方向に相当する。また、「前」または「後」をいうときは、患者にとっての前または後をいうものとする。また、「上」または「下」をいうときは、患者にとっての上または下(脛骨100の長手方向)をいうものとする。また、本実施形態では、人工膝関節置換術用器具1の各部材は、患者の脛骨100の近位部101に設置された状態を基準に説明される。
人工膝関節置換術用器具1は、脛骨トライアル設置器具アセンブリ2を含んでいる。
脛骨トライアル設置器具アセンブリ2は、脛骨100に脛骨インサートトライアル18を設置するための器具アセンブリである。脛骨トライアル設置器具アセンブリ2の各部材は、例えば1つのケースに収容されるか、または、1つのセット品として工場から出荷され、医療機関において、1つのセット品として扱われる。
脛骨トライアル設置器具アセンブリ2は、テンプレートハンドル11と、患者の脛骨100に設置されるテンプレート12と、テンプレート12を介して脛骨100に結合されるキールパンチガイド13と、ドリル14と、ドリル用ストッパ15と、キールパンチガイド13を通して脛骨100に挿入されるキールパンチ16と、キールパンチ16を操作するためのキールパンチハンドル17と、テンプレート12とは分離しているとともにテンプレート12に載せられる脛骨インサートトライアル18と、脛骨インサートトライアル18とテンプレート12との間に挿入可能なスペーサ19と、を有している。
脛骨トライアル設置器具アセンブリ2の各上記部材11〜19は、金属および合成樹脂などの材料を用いて形成されている。各上記部材11〜19は、好ましくは、生体親和性を有する材料によって形成されており、少なくとも、患者に接触する可能性のある箇所が生体親和性を有する材料によって形成されていることが好ましい。
なお、脛骨トライアル設置器具アセンブリ2は、上記部材11〜19のうち少なくとも2つの部材を任意の組み合わせで有していればよく、上記の構成に限定されない。例えば、人工膝関節置換術用器具1において、テンプレートハンドル11、ドリル14、および、ドリル用ストッパ15の少なくとも1つは、脛骨トライアル設置器具アセンブリ2に含まれていなくてもよい。
図2は、テンプレートハンドル11、テンプレート12、キールパンチガイド13、および、脛骨100の斜視図である。図1および図2を参照して、テンプレートハンドル11は、テンプレート12を操作するために用いられる。術者がテンプレートハンドル11を把持した状態で、テンプレートハンドル11の先端にテンプレート12が取り外し可能に取り付けられる。
テンプレートハンドル11は、術者が把持するための把持部11aと、把持部11aに支持されたロックレバー11bおよびロックピン11cと、把持部11aの先端に形成された連結部11dと、を含んでいる。
把持部11aは、細長い棒状に形成されており、例えば、脛骨100の近位部101の前方に配置される。把持部11aの前端側部分には、ロックレバー11bが把持部11aに対して把持部11aの長手方向にスライド可能な態様で、把持部11aに支持されている。また、把持部11aの先端から、ロックピン11cが突出している。ロックピン11cは、軸状部材であり、例えば、丸軸状に形成されている。このロックピン11cは、ロックレバー11bと一体的に変位するように構成されている。ロックピン11cの側方に、連結部11dが配置されている。連結部11dは、テンプレート12の後述する被連結部22に嵌合する部分として設けられている。連結部11dは、例えば、先端に進むほど幅が広くなる先太り形状に形成されている。
上述したように、テンプレートハンドル11に、テンプレート12が取り付けられる。テンプレート12は、脛骨100の近位部101の骨切り面102上に載せられるとともに、キールパンチガイド13および脛骨インサートトライアル18が択一的に載せられ、さらに、キールパンチ16が通過される、板状部材である。テンプレート12は、骨切り面102を平面視したときの形状と概ね合致する平面視形状を有している。また、テンプレート12は、内外側方向X1に対称な形状に形成されている。
図3は、テンプレート12の斜視図である。図4(A)は、テンプレート12の平面図である。図4(B)は、テンプレート12の正面図である。図2、図3、図4(A)および図4(B)を参照して、テンプレート12は、中央部20と、側部21A,21Bと、テンプレート12の前部に配置されテンプレートハンドル11に連結されるための被連結部22およびピン孔部23,23と、スペーサ19を受けるための第1スペーサ受け部24と、キールパンチガイド13を受けるためのガイド受け部25と、キールパンチ挿通孔部26と、スタッド挿通孔部27a〜27dと、固定ピン挿通孔部30a〜30fと、を有している。
中央部20は、内外側方向X1におけるテンプレート12の中心部を含む、所定の範囲に亘って形成されている。中央部20は、前後方向Y1におけるテンプレート12の略全域に亘って形成されている。中央部20における前部は、内外側方向X1に略真っ直ぐに延びている。中央部20の後部には、前方に向けて窪む窪み部が形成されている。内外側方向X1において、中央部20の長さは、スペーサ19の長さと略同じに設定されている。また、内外側方向X1において、中央部20の右側および左側に、一対の側部21A,21Bが配置されている。
側部21A,21Bは、平面視において円弧に近い湾曲状に形成された縁部を有する部分である。本実施形態では、内外側方向X1において、中央部20の長さよりも、各側部21A,21Bの長さが短く設定されている。中央部20の前端に被連結部22が設けられている。
この被連結部22は、テンプレートハンドル11の先端の連結部11dの形状に合致する孔形状に形成されており、テンプレート12の上面に開放されている。また、被連結部22の右側および左側に、ピン孔部23が形成されている。これらのピン孔部23,23に択一的に、テンプレートハンドル11のロックピン11cが挿入される。このような構成により、テンプレートハンドル11の連結部11dが被連結部22に挿入され、且つ、ロックピン11cが何れかのピン孔部23,23に挿入されることで、テンプレート12とテンプレートハンドル11とが連結される。また、ロックピン11cが何れかのピン孔部23,23から抜かれた状態でテンプレートハンドル11をテンプレート12から上方に持ち上げることで、テンプレートハンドル11をテンプレート12から取り外すことができる。
テンプレート12は、第1上面28a〜第4上面28dを含んでいる。
内外側方向X1において、テンプレート12の側部21A,21Bの前端部および中央部20に、第1上面28aが形成されている。第1上面28aは、平坦面であり、同一平面上に配置された前部28a1と、後部28a2と、一対の側部28a3,28a3と、を含んでいる。
第1上面28aの前部28a1は、中央部20に設けられ中央部20の前面と連続する面として設けられており、被連結部22が開放されている。この前部28a1の後端縁は、キールパンチ16(図1参照)を通過させるために、円弧状に形成されている。第1上面28aの前部28a1の後方に、第1上面28aの後部28a2が配置されている。第1上面28aの後部28a2は、中央部20に形成されており、後方に向けて延びている。第1上面28aの後部28a2の前端縁は、キールパンチ16(図1参照)を通過させるために、円弧状に形成されている。第1上面28aの側部28a3,28a3は、一対の側部21A,21Bの前端部に設けられており、第1上面28aの前部28a1と内外側方向X1に並んでいる。第1上面28aの側部28a3,28a3の大きさは、第1上面28aの前部28a1の大きさよりも小さく設定されている。
第1上面28aおよび第2上面28bに、キールパンチガイド13のスタッド38a〜38dが貫通するためのスタッド挿通孔部27a〜27dが形成されている。スタッド挿通孔部27a,27bは、第2上面28bに配置されている。また、スタッド挿通孔部27c,27dは、第1上面28aにおける後部28a2の前端縁の近傍に配置されている。
中央部20には、第2上面28bも形成されている。第2上面28bは、第1上面28aの前部28a1と後部28a2との間に配置されている。第2上面28bの高さ位置は、第1上面28aの位置よりも低く設定されている。第2上面28bは、内外側方向X1に対称な形状に形成されている。内外側方向X1における第2上面28bの内側端縁は、キールパンチ16(図1参照)を通過させるために、円弧状に形成されている。
内外側方向X1における第2上面28bの外方に、第3上面28cが形成されている。第3上面28cは、内外側方向X1に対称な形状に形成されており、一対の側部21A,21Bの上面の一部を形成している。第3上面28cの高さ位置は、第2上面28bの位置よりも低く設定されている。
内外側方向X1における第3上面28cの両端部に、側端壁29A,29Bが形成されている。側端壁29A,29Bは、第3上面28cの後部寄りに配置されて上方に突出する壁部分である。側端壁29A,29Bの途中部は、段部を有しており、側端壁29A,29Bの後部の高さ位置が、側端壁29A,29Bの前部の高さ位置よりも高く設定されている。
平面視において第3上面28cに取り囲まれるようにして、第4上面28dが配置されている。
第4上面28dは、内外側方向X1に対称な形状に形成されており、一対の側部21A,21Bの上面の一部を形成している。第4上面28dの高さ位置は、第3上面28cの位置よりも低く設定されている。
上記の構成を有する第1上面28a〜第4上面28dのうち、第1上面28aは、第1スペーサ受け部24を含んでいる。第1スペーサ受け部24は、スペーサ19(図1参照)をスペーサ19の下側から受ける部分として設けられている。第1スペーサ受け部24は、第1上面28aの少なくとも一部によって形成されており、本実施形態では、第1上面28aの前部28a1および後部28a2に設けられている。本実施形態では、中央部20の第1上面28aの前部28a1および後部28a2のうち、スペーサ19が載せられる箇所が、第1スペーサ受け部24を構成している。この構成により、スペーサ19は、前端側および後端側の2箇所で、第1スペーサ受け部24によって受けられることとなり、より安定した姿勢でテンプレート12に受けられる。第1スペーサ受け部24に隣接して、ガイド受け部25が配置されている。ガイド受け部25は、キールパンチガイド13を受ける部分として設けられている。
ガイド受け部25は、前部25aと、後部25bと、側部25c,25dと、を有しており、キールパンチガイド13を4点支持することで(図5参照)、キールパンチガイド13を安定した姿勢で支持するように構成されている。
ガイド受け部25の前部25aは、第1上面28aの前部28a1に形成されている。本実施形態では、ガイド受け部25の後部25bは、第1上面28aの後部28a2に形成されている。本実施形態では、ガイド受け部25の側部25c,25dは、第3上面28cに形成されている。第3上面28cのうち、第4上面28dとの境界部の周辺において、キールパンチガイド13が載せられる箇所が、ガイド受け部25の側部25c,25dを構成している。上記の構成を有するガイド受け部25に隣接して、キールパンチ挿通孔部26が形成されている。
キールパンチ挿通孔部26は、キールパンチ16(図1参照)が脛骨100の近位部101に挿入される際に通過する部分として形成されている。キールパンチ挿通孔部26は、円形状部分26aと、この円形状部分から延びる一対の羽根状部分26b,26bとを有している。そして、円形状部分26aは、第1上面28aの前部28a1の後端縁、後部28a2の前端縁、および、第2上面28bの内側端縁によって囲まれた孔部である。一対の羽根状部分26b,26bは、第2上面28bから第4上面28dにかけて延びる、平面視で略直線状の部分である。上記の構成により、キールパンチ挿通孔部26は、平面視で略V字状に形成されている。キールパンチ挿通孔部26を避けた位置に、固定ピン挿通孔部30a〜30fが形成されている。
固定ピン挿通孔部30a〜30fは、テンプレート12を脛骨100の近位部101に固定するための固定ピン31(固定部材、図4で二点鎖線で図示)が通過する貫通部として設けられている。固定ピン挿通孔部30a〜30fは、複数設けられており、本実施形態では、6箇所に設けられている。本実施形態では、内外側方向X1において、固定ピン挿通孔部30a〜30fの位置とスペーサ19の位置(第1スペーサ受け部24)との位置が異なるように構成されている。
固定ピン挿通孔部30a,30bは、テンプレート12の一対の側部21A,21Bの前部において、内外側方向X1の端部に配置されており、第3上面28cに開放されている。固定ピン挿通孔部30c,30dは、テンプレート12の一対の側部21A,21Bにおいて、第4上面28dの前部寄りに配置されており、第4上面28dに開放されている。固定ピン挿通孔部30e,30fは、テンプレート12の一対の側部21A,21Bにおいて、第4上面28dの後部寄りに配置されており、第4上面28dに開放されている。
図5は、脛骨100の近位部101にテンプレート12およびキールパンチガイド13が設置された状態を示す斜視図である。図6(A)および図6(B)は、キールパンチガイド13の斜視図である。図6(C)は、キールパンチガイド13の平面図である。図6(D)は、キールパンチガイド13の正面図である。
図3、図5および図6(A)〜図6(D)を参照して、テンプレート12は、脛骨100の骨切り面102に載せられた状態で、キールパンチガイド13を設置される。キールパンチガイド13は、キールパンチ16を近位部101に挿入する際にキールパンチ16をガイドする部材である。キールパンチガイド13は、平面視でV字状に形成されている。
キールパンチガイド13は、キールパンチ16を通過させるために設けられるとともにテンプレート12に沿わされるように配置される筒状部131および一対の羽根部132,132を含んでいる。
筒状部131は、キールパンチ16の筒状部161が通過する部分として設けられている。筒状部131は、本実施形態では、円筒状に形成されている。筒状部131は、キールパンチガイド13の前部側に形成された高壁部34と、キールパンチガイド13の後部側に形成された低壁部35と、を含んでいる。
高壁部34は、平面視で円の2/3程度の円弧状に形成された部分であり、前方に向けて凸となる形状に形成されている。高壁部34に、位置決め機構としてのボールプランジャ36が設けられている。ボールプランジャ36は、キールパンチガイド13に対するキールパンチハンドル17(図1参照)の回転方向位置を規定するために設けられている。ボールプランジャ36は、高壁部34から高壁部34の外周面に向けて突出するハウジングに、ばねおよびボールが収容された構成を有している。そして、ボールプランジャ36のボールの一部は、高壁部34の内周面に露呈している。ボールプランジャ36のボールは、加圧力を受けると、ばねの弾性反発力に抗して、ハウジング内に退避する。高壁部34の外周部における前端部の下端部には、通路37が形成されている。
通路37は、テンプレート12を操作するためのテンプレートハンドル11をテンプレート12から取り外す際にテンプレートハンドル11の連結部11dが通過する部分である。この通路37は、キールパンチガイド13がテンプレート12上に設置されたときに、テンプレート12の被連結部22の上方に配置される。通路37は、高壁部34の下端から上方に向けて延びる溝状に形成されており、前方に開放されている。通路37の高さおよび幅(内外側方向X1の長さ)は、テンプレートハンドル11の連結部11dが通過可能な高さに形成されている。高壁部34の後方に、低壁部35が配置されている。
低壁部35は、平面視で円の1/3程度の円弧状に形成された部分であり、後方に向けて凸となる形状に形成されている。低壁部35の高さは、高壁部34の高さよりも低く設定されている。高壁部34と低壁部35とは、一対の羽根部132,132を介して接続されている。
一対の羽根部132,132は、キールパンチ16の後述する一対の羽根部162,162が通過する部分として設けられている。一対の羽根部132,132は、内外側方向X1に対称な形状に形成されている。各羽根部132,132は、内外側方向X1における高壁部34の端部から、内外側方向X1の外側且つ後方に延び、その後、内外側方向X1の内側且つ前方に向けて延びて低壁部35の端部に接続された形状を有している。各羽根部132,132の上面は、筒状部131から遠ざかるに従い高さ位置が低くなるように延びている。また、各羽根部132,132の下面は、一部が平坦に形成されている。
筒状部131の底面に、スタッド38a〜38dが形成されている。スタッド38a〜38dは、キールパンチガイド13を脛骨100の近位部101に固定するために設けられており、近位部101に刺さることが可能なように、筒状部131から下方に延びる軸状に形成されている。スタッド38a,38bは、筒状部131の高壁部34に形成されており、テンプレート12の対応するスタッド挿通孔部27a,27bを通過可能に配置されている。スタッド38c,38dは、筒状部131の低壁部35に形成されており、テンプレート12の対応するスタッド挿通孔部27c,27dを通過可能に配置されている。
キールパンチガイド13は、スタッド38a〜38dが脛骨100に固定された状態において、テンプレート12に支持される。具体的には、筒状部131の高壁部34の底面のうち、通路37の周囲は、テンプレート12のガイド受け部25の前部25a(第1スペーサ受け部24)に受けられる。また、筒状部131の低壁部35の底面のうち、スタッド38c,38dの周囲の部分は、テンプレート12のガイド受け部25の後部25b(第1スペーサ受け部24)に受けられる。また、キールパンチガイド13のうち、一対の羽根部132,132の先端部における底面が、ガイド受け部25の側部25c,25dに受けられる。
また、キールパンチガイド13の底部には、キールパンチガイド13をテンプレート12に位置決めするための位置決め凸部39a〜39dが形成されている。位置決め凸部39a,39bは、一対の羽根部132,132の前部の底面から下方に向けて突出する部分である。これらの位置決め凸部39a,39bは、テンプレート12の中央部20を内外側方向X1に挟むことが可能な位置に設置されている。位置決め凸部39c,39dは、一対の羽根部132,132の後部の底面から下方に向けて突出する部分である。これらの位置決め凸部39c,39dは、テンプレート12の中央部20を内外側方向X1に挟むことが可能な位置に設置されている。
上記の構成により、位置決め凸部39a,39b;39c,39dが中央部20を挟むように配置されることで、キールパンチガイド13がテンプレート12に対して内外側方向X1に位置決めされる。キールパンチガイド13がテンプレート12上に配置された状態で、ドリル14によって、脛骨100の近位部101に孔部が形成される。
ドリル14は、軸状に形成されており、キールパンチガイド13の筒状部131を通過可能な直径を有している。ドリル14の先端には、刃部が形成されており、脛骨100の近位部101を削るように構成されている。ドリル14の基端部には、図示しない電動アクチュエータなどの駆動源に連結される連結部が形成されている。ドリル14の基端側の中間部には、ストッパ15が装着されている。ストッパ15は、キールパンチガイド13の筒状部131へのドリル14の挿入深さ、すなわち、脛骨100の近位部101へのドリル14の挿入深さを規定するために設けられている。ストッパ15は、ドリル14に対して着脱可能に構成された円筒状の要素として設けられ、軸部15aを介して遊嵌状態で連結された円筒状部材と保持部材とを有している(図5を参照)。保持部材は、円筒状部材を厚み方向に挟み込む一対の円環状部と、一対の円環状部を一体に連結する連結部とを有している。連結部は、一対の円環状部の外周の縁部分の一部同士を円筒状部の軸方向に沿って一体に連結するように構成されている。円筒状部材は、保持部材の一対の円環状部の間に挟まれた状態で、保持部材に保持されている。また、円筒状部材には、軸部15aが遊嵌状態で挿入される長孔が設けられている。円筒状部材が保持部材の一対の円環状部の間に挟まれて保持された状態で、円筒状部材の長孔に挿入される位置で、軸部15aが保持部材に固定されている。このため、円筒状部材は、保持部材に対して、軸部15aを介して遊嵌状態で連結されている。また、円筒状部材の内周には、ドリル14の基端側の部分の外周に設けられてドリル14の軸方向に沿って延びる溝に対してスライド移動自在に嵌め込まれる突起が設けられている。尚、円筒状部材の内側の孔は、前記突起が延びる方向を長軸方向とする楕円状の孔として構成されている。
円筒状部材の内周の突起をドリル14の溝に嵌め込んだ状態で、保持部材の一対の円環状部の内側の孔と円筒状部材の内側の孔とに対して、ドリル14の基端側の部分を挿入することで、ストッパ15をドリル14に着脱自在に装着することができる。また、ドリル14の溝には、その溝の底部の所定位置においてドリル14の内側に向かって凹む嵌合穴が設けられている。一対の円環状部の内側の孔と円筒状部材の内側の孔とにドリル14の基端側の部分が挿入された状態で、上記の嵌合穴に対応する位置で、ドリル14に対してストッパ15が軸方向に位置決めされる。より具体的には、上記嵌合穴に対して円筒状部材の内周の突起を嵌合させるように、円筒状部材を保持部材及びドリル14に対して相対移動させてドリル14の軸心側に向かって押し込む操作が行われる。このとき、保持部材に固定された軸部15aは円筒状部材の長孔に遊嵌状態で挿入されており、円筒状部材の内側の楕円状の孔にドリル14の基端側の部分が挿入されているため、円筒状部材のドリル14に対する相対移動が許容される。そして、ドリル14における上記嵌合穴にストッパ15の円筒状部材の内周の突起が嵌合することで、ドリル14に対してストッパ15が軸方向に位置決めされる。ドリル14は、ストッパ15がキールパンチガイド13の筒状部131の高壁部34の開口縁部131aに接触するまで、キールパンチガイド13に挿入される。ドリル14で脛骨100の近位部101に下孔が形成された後、図7に示すように、キールパンチハンドル17に取り付けられたキールパンチ16が、キールパンチガイド13を通して脛骨100の近位部101に挿入される。
図7は、テンプレートハンドル11、テンプレート12、キールパンチハンドル17、キールパンチガイド13およびキールパンチ16を脛骨100とともに示す斜視図である。図8(A)は、キールパンチハンドル17の主要部の側面図である。図8(B)は、キールパンチハンドル17の主要部の斜視図である。図7および図8(A)〜図8(B)を参照して、キールパンチハンドル17は、術者がキールパンチ16を操作するために用いられるとともに、術者がキールパンチガイド13を操作するために用いられる。キールパンチハンドル17は、軸状に延びる細長い部材である。
キールパンチハンドル17は、平坦部41と、軸部42と、を有している。
平坦部41は、キールパンチハンドル17の基端部に形成された、平板状部分であり、軸部42の軸方向と直交するように延びている。平坦部41は、例えば、術者がハンマーを用いてキールパンチ16を脛骨100に打ち込む際にハンマーで打撃される部分である。平坦部41から下方に向けて軸部42が延びている。
軸部42は、把持部43と、第2ストッパ44と、第2ストッパ44の先端側に形成された挿入端部45と、を有している。
把持部43は、術者によって把持される細長い部分であり、軸方向の中間部が径方向外方に膨らんだ形状を有している。把持部43の基端部に平坦部41が配置されているとともに、把持部43の先端部に第2ストッパ44が配置されている。
第2ストッパ44は、筒状部131の開口縁部131aに受けられる円板状部分として設けられており、キールパンチハンドル17の軸方向と直交する方向に延びている。第2ストッパ44が開口縁部131aに受けられることで、キールパンチガイド13に対するキールパンチハンドル17の軸方向位置が規定される。
挿入端部45は、キールパンチ16の筒状部161に挿入される部分を含んでいる。また、挿入端部45は、キールパンチガイド13の筒状部131に挿入される部分として設けられている。
挿入端部45は、第1部分45a〜第4部分45dを有している。
第1部分45aは、第2ストッパ44に連続する円柱状の部分である。この第1部分45aの外周面には、被連結部45fが設けられている。被連結部45fは、キールパンチガイド13の位置決め機構であるボールプランジャ36のボールが嵌められる溝状部分である。被連結部45fは、キールパンチハンドル17の軸方向に沿って延びており、第1部分45aの下端面に開放されている。被連結部45fは、第1部分45aの周方向に1または複数(本実施形態では、4つ)、等ピッチに設けられている。
ボールプランジャ36のボールが被連結部45fに進入しているときにおいて、キールパンチハンドル17に作用するトルクが所定値以下のとき、ボールプランジャ36のボールは、キールパンチガイド13の相対回転を規制する。第1部分45aの先端から第2部分45bが延びている。
第2部分45bは、第1部分45aの直径よりも小さい直径を有する円柱状に形成されており、キールパンチガイド13の筒状部131内に配置されるように構成されている。第2部分45bの先端面は、キールパンチ16の筒状部161の開口縁部161aに受けられる第1ストッパ40を含んでいる。第1ストッパ40は、平坦面である。この第2部分45bの先端から第3部分45cが延びている。
第3部分45cは、細軸状部分であり、第2部分45bの直径よりも小さく設定されている。第3部分45cの先端に、第4部分45dが形成されている。第4部分45dは、キールパンチハンドル17の先端部を構成しているとともに、後述する第1連結機構46の一部を構成している。
次に、キールパンチハンドル17によって操作されるキールパンチ16について、より詳細な構成を説明する。図9(A)は、キールパンチ16の平面図である。図9(B)は、キールパンチハンドル17にキールパンチ16が連結された状態を示す主要部の正面図である。図9(C)は、図9(B)のIXC−IXC線に沿う断面図である。図10(A)は、キールパンチハンドル17にキールパンチ16が連結された状態を示す主要部の側面図である。図10(B)は、図10(A)のXB−XB線に沿う断面図である。
図7、図9(A)〜図9(C)、図10(A)、および、図10(B)を参照して、キールパンチ16は、例えば、脛骨コンポーネントのトレイ(図示せず)のスタッドを脛骨100の近位部101に埋め込むため孔部を形成するために設けられている。キールパンチ16は、ドリル14によって下孔が形成された近位部101に打ち込まれる。キールパンチ16は、平面視でV字状に形成されている。このキールパンチ16は、内外側方向X1に対称な形状に形成されている。
キールパンチ16は、筒状部161と、一対の羽根部162,162と、を有している。
筒状部161は、本実施形態では、円筒状に形成されており、一端部が上方に向けて開放されている。筒状部161の先端部側部分は、塞がれている。この筒状部161には、位置決め部163,163が形成されている。位置決め部163,163は、キールパンチ16に対するキールパンチハンドル17の周方向位置を規定するために設けられている。位置決め部163,163は、筒状部161の周方向に等間隔に複数(本実施形態では、2つ)設けられている。本実施形態では、位置決め部163,163は、筒状部161に形成された貫通孔である。
筒状部161の外周部から、一対の羽根部162,162が延びている。一対の羽根部162,162は、下面に刃を有する板状部材として設けられている。各羽根部162,162は、筒状部161から遠ざかるに従い下面が上方に進むように形成されており、また、筒状部161から遠ざかるに従い後方に進むように延びている。
第1連結機構46は、上記の構成を有するキールパンチハンドル17とキールパンチ16とを互いに着脱可能にするとともに、キールパンチハンドル17がキールパンチ16から抜けることを防止するように構成されている。そして、本実施形態では、キールパンチ16がキールパンチハンドル17に連結されているときにおいて、第1連結機構46が、キールパンチ16の筒状部161内に配置されている。
第1連結機構46は、キールパンチハンドル17およびキールパンチ16の何れか一方に形成された第1連結部としての第1凸部46aと、キールパンチハンドル17およびキールパンチ16の何れか他方に形成された第1被連結部としての第1突起部46b,46bと、を含んでいる。
より具体的には、挿入端部45および筒状部161の何れか一方に第1凸部46aが形成され、他方に、第1凸部46aに連結される第1突起部46b,46bが形成されている。本実施形態では、挿入端部45の第4部分45dに第1凸部46aが形成されているとともに、筒状部161に第1突起部46b,46bが形成されている。なお、挿入端部45の第4部分45dに第1突起部(第1被連結部)が形成されるとともに、筒状部161に第1凸部(第1連結部)が形成されていてもよい。
第1凸部46aは、キールパンチハンドル17の先端部として設けられており、本実施形態では、挿入端部45の第4部分45dは、第1凸部46aによって形成されている。第1凸部46aは、底面視において、第2部分45bの外郭線で取り囲まれた領域内に配置されている。第1凸部46aは、細長い四角柱状に形成されており、キールパンチハンドル17の軸方向と直交する断面で矩形状の外郭部分を有している。第1凸部46aは、挿入端部45の第1部分45a〜第3部分45cと同軸に配置されている。また、本実施形態では、側面視において、第1凸部46aは、平坦部41の長手方向(図9(B)における左右方向)を長手方向とするとともに、平坦部41の短手方向(図9(B)における紙面と直交する方向)を短手方向とする細長い形状に形成されている。
第1突起部46b,46bは、キールパンチ16の筒状部161内において、筒状部161の内周面164に形成されている。第1突起部46b,46bは、平面視において、筒状部161の円形状の内周面164の一部を塞ぐようにして内周面164から円筒部161の内側に向けて突出している。本実施形態では、第1突起部46b,46bは、キールパンチ16の周方向において、第1凸部46aが所定の周方向位置にあるときは、第1突起部46b,46b間への第1凸部46aの通過を許容し、且つ、第1凸部46aが別のある周方向位置にあるときは、第1突起部46b,46b間における第1凸部46aの通過を規制するように構成されている。
本実施形態では、第1突起部46b,46bは、平面視で互いに対称な形状に形成されており、円の一部を含む形状を有している。より具体的には、一方の第1突起部46bは、平面視で内周面164の2点を結ぶ直線状に延びる線分と、この線分で囲まれた内周面164の一部分と、で囲まれた外郭形状を有している。他方の第1突起部46bも同様の形状を有している。このように第1突起部46b,46bは、筒状部161の内周面164に180度のピッチで対をなして設けられている。そして、この構成により、筒状部161内に、第1凸部46aの断面形状(細長い長方形形状)に合致する断面形状を有する通過孔部46cが形成されている。第1突起部46b,46bの厚み(キールパンチ16の軸方向の厚み)は、キールパンチハンドル17の挿入端部45の第3部分45cの長さ未満に設定されている。
また、第1連結機構46は、位置決め機構としてのボールプランジャ46dを含んでいる。ボールプランジャ46dは、キールパンチ16に対するキールパンチハンドル17の回転方向位置を規定するために設けられている。ボールプランジャ46dは、第1凸部46aに形成された空間に、ばねおよびボールが収容された構成を有している。そして、ボールプランジャ46dのボールの一部は、第1凸部46aのうち幅が小さいほうの側面に露呈している。ボールプランジャ46dのボールは、加圧力を受けると、ばねの弾性反発力に抗して、第1凸部46a内に退避する。ボールプランジャ46dのボールは、筒状部161内の位置決め部163,163の何れかに嵌合するように構成されており、この嵌合によって、キールパンチハンドル17がキールパンチ16に対してロック位置に到達したことを術者に知らせることができる。
上記の構成により、キールパンチハンドル17がキールパンチ16に連結される際、すなわち、挿入端部45がキールパンチ16に挿入される際、第1凸部46aは、第1突起部46b,46b間を通り抜けるように筒状部161に挿入される。そして、第1ストッパ40が筒状部161の開口縁部161aに受けられる。第1ストッパ40が開口縁部161aに受けられた位置において、第1凸部46aの位置は、筒状部161内における一対の第1突起部46b,46b間の位置よりも奥側に設定されている。そして、一対の第1突起部46b,46bの間に、挿入端部45の第3部分45cが位置する。
そして、挿入端部45が筒状部161に挿入された状態において、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との相対変位によって、第1凸部46aと第1突起部46b,46bとの連結および連結解除が行われる。本実施形態では、キールパンチハンドル17をキールパンチ16に対してキールパンチハンドル17の軸方向とは異なる所定の第1方向D1に移動することで、上記の連結および連結解除が行われる。
第1方向D1は、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とを連結するための第1連結方向D11と、第1連結方向D11とは反対の方向であって上記連結を解除するための第1解除方向D12とを、含んでいる。この第1方向D1は、本実施形態では、キールパンチハンドル17の軸方向に沿う軸線回りの回転方向である。なお、第1方向D1は、上記軸線回りの螺旋方向など、他の方向であってもよい。
本実施形態では、挿入端部45が筒状部161に挿入された状態において、キールパンチハンドル17がキールパンチ16に対して約90度、第1連結方向D11に回転されることで、キールパンチハンドル17がキールパンチ16に連結(ロック)される。このとき、第1凸部46aの一部は、一対の第1突起部46b,46bと軸方向に向かい合うこととなる。また、挿入端部45の第3部分45cに形成された窪み部と第1凸部46aとが協働して、一対の第1突起部46b,46bを挟む。これにより、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とは、一体的に変位可能となる。このとき、ボールプランジャ46dのボールは、筒状部161の何れかの位置決め部163に嵌まっている。
この状態からキールパンチハンドル17を第1解除方向D12に90度回転させると、ボールプランジャ46dのボールが位置決め部163から外れるように回転する。そして、第1凸部46aは、一対の第1突起部46b,46b間を通過可能な向きとなり、キールパンチハンドル17がキールパンチ16から抜くことが可能となる。
図11は、キールパンチハンドル17がキールパンチガイド13に連結された状態を示す斜視図である。図12(A)はキールパンチハンドル17がキールパンチガイド13に連結された状態を示す側面図である。図12(B)は、図12(A)のXIIB−XIIB線に沿う断面図である。図13は、キールパンチハンドル17がキールパンチ16に連結された状態をキールパンチガイド13とともに示す側面図であり、一部を断面で示している。
図6(C)、図11、図12(A)、図12(B)および図13を参照して、第2連結機構47は、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを互いに着脱可能にするとともに、キールパンチハンドル17およびキールパンチガイド13を一体的に連結するように構成されている。そして、本実施形態では、キールパンチガイド13がキールパンチハンドル17に連結されているときにおいて、第2連結機構47が、キールパンチガイド13の筒状部131内に配置されている。
第2連結機構47は、キールパンチハンドル17およびキールパンチガイド13の何れか一方に形成された第2連結部としての第2凸部47aと、キールパンチハンドル17およびキールパンチガイド13の何れか他方に形成された第2被連結部47b,47cと、を含んでいる。
より具体的には、挿入端部45および筒状部131の何れか一方に第2凸部47aが形成され、他方に、第2凸部47aに連結される第2被連結部47b,47cが形成されている。本実施形態では、挿入端部45の第2部分45bに一対の第2凸部47a,47aが形成されているとともに、筒状部131に第2被連結部47b,47cが形成されている。なお、第2凸部47a,47aおよび第2被連結部47b,47cは、それぞれ1つ設けられてもよい。また、挿入端部45の第2部分45bに第2被連結部が形成されるとともに、筒状部131に第2凸部(第2連結部)が形成されていてもよい。
各第2凸部47aは、挿入端部45の第2部分45bの外周面に形成されこの第2部分45bの径方向外方に突出する小片状部分である。第2凸部47a,47aは、キールパンチハンドル17の周方向に180度のピッチで等ピッチで配置されている。第2凸部47a,47aは、キールパンチハンドル17の軸方向において、第1凸部46aから第2ストッパ44側に進んだ位置に揃えられて配置されている。各第2凸部47a,47aは、第1凸部46aの短手方向(図13における左右方向)に沿って延びている。キールパンチハンドル17がキールパンチ16に連結されているとき(図13に示すとき)、各第2凸部47aは、キールパンチ16の外部に位置している。
第2被連結部47b,47cは、キールパンチガイド13の筒状部131の内周面に形成されている。第2被連結部47bは筒状部131の高壁部34に配置され、第2被連結部47cは筒状部131の低壁部35に配置されている。
第2被連結部47bは、高壁部34の内周面の下部側に配置されており、この内周面の径方向内方に向けて突出する形状に形成されている。また、第2被連結部47cは、低壁部35の内周面の略全域に配置されており、この内周面の径方向内方に向けて突出する形状に形成されている。本実施形態では、第2被連結部47bの高さ(軸方向長さ)と、第2被連結部47cの高さ(軸方向長さ)とは、略同じに設定されている。第2被連結部47b,47cは、前後方向Y1に略対称な形状に形成されている。
第2被連結部47bは、縦溝部47dと、横溝部47eと、を含んでいる。第2被連結部47cは、縦溝部47fと、横溝部47gと、を含んでいる。
縦溝部47d,47fは、筒状部131の軸方向に沿って延びる溝部であり、筒状部131の軸方向および径方向内方に向けて開放された形状を有している。各縦溝部47d,47fの溝幅(筒状部131の周方向の長さ)は、対応する第2凸部47a,47aを通過可能に設定されている。縦溝部47dの溝幅(図6(C)参照)は、キールパンチ16の開口端側に形成された突起部165,165を通過可能な幅に設定されている。縦溝部47d,47fは、第2凸部47a,47aが筒状部131の軸方向に沿って通過可能な部分として設けられている。筒状部131の周方向において、縦溝部47d,47fの配置ピッチは、キールパンチハンドル17の周方向における第2凸部47a,47aの配置ピッチと揃えられている。本実施形態では、縦溝部47d,47fは、筒状部131の内周面の前端部および後端部に配置されている。縦溝部47dと交差するように横溝部47eが形成されているとともに、縦溝部47fと交差するように横溝部47gが形成されている。
横溝部47e,47gは、対応する第2凸部47a,47aと嵌合することでキールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを一体に連結するために設けられている。横溝部47e,47gは、筒状部131の周方向に沿って延びる溝部であり、対応する縦溝部47d,47fと交差するように(本実施形態では、直交するように)延びている。このように、横溝部47e,47gは、対応する縦溝部47d,47fの周方向両側方に亘って延びている。本実施形態では、横溝部47e,47gは、対応する高壁部34および低壁部35の周方向全域に亘って形成されている。
キールパンチガイド13の軸方向において、筒状部131の開口縁部131aから横溝部47e,47gまでの距離は、キールパンチハンドル17の軸方向における第2ストッパ44から第2凸部47a,47aまでの距離と略同じに設定されている。
上記の構成により、キールパンチハンドル17がキールパンチガイド13に連結される際、すなわち、挿入端部45がキールパンチガイド13に挿入される際、第2凸部47a,47aは、対応する縦溝部47d,47fを通る。そして、第2ストッパ44が筒状部131の開口縁部131aに受けられる。第2ストッパ44が開口縁部131aに受けられたとき、第2凸部47a,47aは、対応する横溝部47e,47gに対する進入および離脱が可能となる。
そして、挿入端部45が筒状部131に挿入された状態において、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13との相対変位によって、第2凸部47a,47aと第2被連結部47b,47cの対応する横溝部47e,47gとの連結および連結解除が行われる。本実施形態では、キールパンチハンドル17をキールパンチガイド13に対してキールパンチハンドル17の軸方向とは異なる所定の第2方向D2に移動することで、上記の連結および連結解除が行われる。
第2方向D2は、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを連結するための第2連結方向D21と、第2連結方向D21とは反対の方向であって上記連結を解除するための第2解除方向D22とを、含んでいる。この第2方向D2は、本実施形態では、キールパンチハンドル17の軸方向に沿う軸線回りの回転方向である。なお、第2方向は、上記軸線回りの螺旋方向など、他の方向であってもよい。
本実施形態では、挿入端部45が筒状部131に挿入された状態において、キールパンチハンドル17がキールパンチガイド13に対して約90度、第2連結方向D21に回転されることで、キールパンチハンドル17がキールパンチガイド13に連結(ロック)される。このとき、第2凸部47a,47aは、対応する縦溝部47d,47fから対応する横溝部47e,47gに進入することとなる。これにより、第2凸部47a,47aは、対応する横溝部47e,47gに嵌まり込み、横溝部47e,47gにおいて上下に挟まれた状態となる。さらに、キールパンチガイド13のボールプランジャ36のボールが、キールパンチハンドル17の被連結部45fに受けられることで、キールパンチハンドル17がキールパンチガイド13に対して周方向に位置決めされる。これにより、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とは、一体的に変位可能となる。
この状態からキールパンチハンドル17を第2解除方向D22に90度回転させると、ボールプランジャ36のボールが被連結部45fから外れるようにキールパンチハンドル17は回転する。また、第2凸部47a,47aは、対応する縦溝部47d,47fに戻る。これにより、キールパンチハンドル17をキールパンチガイド13から抜くことが可能となる。
本実施形態では、第1解除方向D12と第2連結方向D21とは、同一方向である。これにより、キールパンチハンドル17をキールパンチ16およびキールパンチガイド13に対して同一方向に変位させることで、第1連結機構46におけるキールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結の解除と、第2連結機構47によるキールパンチハンドル17とキールパンチガイド13との連結と、を一括して行うことが可能である。
また、第1連結方向D11と、第2連結方向D21とは、反対向きである。すなわち、第1連結機構46による、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とを連結するためのキールパンチ16に対するキールパンチハンドル17の変位方向(第1連結方向D11)と、第2連結機構47による、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを連結するためのキールパンチガイド13に対するキールパンチハンドル17の変位方向(第2連結方向D21)と、が反対向きに設定されている。
図14(A)は、脛骨100の近位部101にテンプレート12が設置され且つ脛骨インサートトライアル18がテンプレート12に設置される前の状態を示す斜視図である。図14(B)は、脛骨100の近位部101にテンプレート12が設置され且つ脛骨インサートトライアル18がテンプレート12に設置された状態を示す斜視図である。図15(A)は、テンプレート12および脛骨インサートトライアル18の平面図である。図15(B)は、図15(A)のXVB−XVB線に沿う断面図である。図16は、脛骨インサートトライアル18の斜視図である。
図14(A)〜図14(B)、図15(A)〜図15(B)、および、図16を参照して、脛骨インサートトライアル18は、脛骨コンポーネント(図示せず)の選定にあたり一時的に脛骨100の近位部101に設置される部材である。脛骨インサートトライアル18は、内外側方向X1における中央部の後端部が、前方に向けて窪んだ形状に形成されている。
脛骨インサートトライアル18は、内外側方向X1に並ぶ一対の脛骨関節面48A,48Bと、これら脛骨関節面48A,48Bの間に配置されたポスト49と、底部50と、を有している。
本実施形態では、脛骨関節面48A,48Bの形状およびポスト49の形状の異なる複数の脛骨インサートトライアル18が設けられている。一例として、脛骨インサートトライアル18を説明する。なお、他の脛骨インサートトライアルは、脛骨関節面の形状およびポストの形状が異なる点以外は同様の構成を有している。
一対の脛骨関節面48A,48Bは、脛骨コンポーネントの脛骨関節面を模した部分であり、当該脛骨関節面と同様のくぼみ形状を有している。一対の脛骨関節面48A,48Bおよびポスト49は、上方を向いている。ポスト49は、脛骨コンポーネントのポストを模した部分であり、当該ポストと同様の柱形状を有している。
底部50は、第2レール51A,51Bと、第2スペーサ受け部52と、を有している。
第2レール51A,51Bは、底部50から下方に突出する一対の突出部53A,53Bに形成されている。一対の突出部53A,53Bは、内外側方向X1に離隔して配置されており、前後方向Y1に沿って直線状に延びるタブ状に形成されている。第2レール51A,51Bは、一対の突出部53A,53Bのうち内外側方向X1の内側面に形成されており、前後方向Y1に沿って直線状に延びている。第2レール51A,51Bは、テンプレート12の中央部20を第1レールとして、この中央部20を挟むように配置されている。これにより、脛骨インサートトライアル18は、第2レール51A,51Bが中央部20(第1レール)を挟むようにした状態で、テンプレート12上を前後方向Y1にスライドすることが可能である。
テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間にスペーサ19が挿入されていないとき、一対の突出部53A,53Bは、テンプレート12の第3上面28cに受けられる。このとき、第1スペーサ受け部24と第2スペーサ受け部52との間には、隙間が形成されている。
一対の突出部53A,53Bは、中央部20と、テンプレート12の対応する側端壁29A,29Bとの間に配置され、これら中央部20と対応する側端壁29A,29Bとに挟まれる。脛骨インサートトライアル18の底部50において、内外側方向X1における端部の後部には、側端壁受け部54A,54Bが形成されている。この側端壁受け部54A,54Bは、テンプレート12の対応する側端壁29A,29Bに載せられるように構成された切り欠き状部分であり、前後に延びている。
側端壁受け部54A,54Bの途中部は、段部を有しており、側端壁受け部54A,54Bの後部の高さ位置が、側端壁受け部54A,54Bの前部の高さ位置よりも高く設定されている。この側端壁受け部54A,54Bは、対応する側端壁29A,29Bと向かい合って配置されており、この側端壁29A,29Bに受けられることが可能である。脛骨インサートトライアル18において、側端壁受け部54A,54Bの前方には、窪み部55A,55Bが形成されている。テンプレート12に脛骨インサートトライアル18が載せられたとき、窪み部55A,55Bは、テンプレート12の前端に配置された固定ピン挿通孔部30a,30bを上方および前方に露呈させるように構成されている。
テンプレート12に脛骨インサートトライアル18が載せられた状態において、内外側方向X1における脛骨インサートトライアル18の底部50の中央部は、テンプレート12の第1上面28aと上下に向かい合っており、当該中央部に形成された平坦面は、スペーサ19を受けるための第2スペーサ受け部52を含んでいる。第2スペーサ受け部52は、前後方向Y1に延びており一対の突出部53A,53Bの間に形成された部分と、一対の突出部53A,53Bの前方に配置された部分と、を有する、底面視で略T字状の部分である。
テンプレート12に脛骨インサートトライアル18が載せられた状態において、第2スペーサ受け部52と、テンプレート12の第1スペーサ受け部24とは、略平行である。テンプレート12に脛骨インサートトライアル18が載せられたとき、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に、スペーサ挿入用の挿入空間57が形成される。挿入空間57は、スペーサ受け部24,52、中央部20(第1レール)および第2レール51A,51Bによって形成されている。内外側方向X1において、挿入空間57の長さは、スペーサ19の後述する本体部61の長さよりも大きく設定されている。
図17(A)は、スペーサ19が取り付けられる前のテンプレート12および脛骨インサートトライアル18を示す斜視図である。図17(B)は、スペーサ19が取り付けられた後のテンプレート12および脛骨インサートトライアル18を示す斜視図である。図18(A)は、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間にスペーサ19が配置された状態を示す断面図であり、図15(A)のXVB−XVB線に相当する切断面での断面を示している。図18(B)は、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間にスペーサ19が配置された状態を示す正面図である。
図17(A)〜図17(B)、および、図18(A)〜図18(B)を参照して、スペーサ19は、テンプレート12に対する脛骨インサートトライアル18の高さ位置を調整するために設けられている。本実施形態では、本体部の厚みの異なる複数のスペーサが設けられているけれども、一例として、スペーサ19を説明する。なお、他のスペーサは、スペーサ19とは本体部の厚みが異なる点以外は同様の構成を有している。
スペーサ19は、患者の内外側方向X1におけるテンプレート12の一部の領域で且つテンプレート12の中央部20に配置され且つテンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に挿入されるように構成されている。スペーサ19は、後述するストッパ63における表示部以外の構成が、内外側方向X1に対称に形成されている。
スペーサ19は、平板状に形成された本体部61と、本体部61の基端部に形成されたガイド部62A,62Bおよびストッパ63と、を含んでいる。
本体部61は、所定の厚みを有する平板状に形成されており、前後方向Y1に延びている。本体部61のうち、先端部以外の部分の厚みは、一定である。内外側方向X1における本体部61の長さは、第1スペーサ受け部24の長さ以下に設定されている。内外側方向X1における本体部61の中央部先端は、前方に向かって窪んだ形状を有している。内外側方向X1における本体部61の両端の先端は、テーパ状部64A,64Bによって形成されている。テーパ状部64A,64Bは、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間の挿入空間57に向けてスペーサ19が挿入される際におけるスペーサ19の挿入方向の先端部である。
テーパ状部64A,64Bは、スペーサ19の先端に進むに従い先細り形状に形成されており、厚みが小さくされている。内外側方向X1において、スペーサ挿入空間57の長さは、スペーサ19の本体部61の長さよりも大きく設定されている。スペーサ19は、挿入空間57に挿入される際、テーパ状部64A,64Bが最初に挿入空間57に挿入される。そして、テーパ状部64A,64Bによってテンプレート12の第1スペーサ受け部24(第1上面28a)と脛骨インサートトライアル18の第2スペーサ受け部52との間隔が拡げられ、次いで、スペーサ19の本体部61の大部分が挿入空間57に挿入される。
この挿入動作の際、ガイド部62A,62Bが、テンプレート12の中央部20に形成されたレール58A,58Bにスライド可能に嵌合するように構成されている。レール58A,58Bは、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18とが互いに向かい合う箇所に形成されている。本実施形態ではテンプレート12の中央部20の前端部において、内外側方向X1の両端部に、前後方向Y1に延びるレール58A,58Bが形成されている。レール58A,58Bは、上方(第3上面28cから第1上面28a)に進むに従い、内外側方向X1の外側に進む傾斜形状に形成されている。正面視において、レール58A,58Bは、全体として、逆テーパ状に形成されており、上方に進むに従い、互いの間隔が広くされている。なお、図3に示すように、テンプレート12の中央部20のうち、前端部以外の部分には、レール58A,58Bは形成されていない。
スペーサ19のガイド部62A,62Bは、本体部61の基端部において、内外側方向X1の外側端部に形成されたフック状部分に形成されている。ガイド部62A,62Bは、本体部61から下方に向けて延びており、下方に進むに従い互いの間隔が狭くなる逆テーパ状に形成されている。スペーサ19の一部が挿入空間57に挿入された後、ガイド部62A,62Bは、対応するレール58A,58Bにスライド嵌合する。そして、この状態で、スペーサ19がさらに挿入空間57に挿入されると、ストッパ63が、脛骨インサートトライアル18の切欠部18cに受けられる。これにより、挿入空間57へのスペーサ19の挿入が完了する。
ストッパ63は、本体部61の基端部において、内外側方向X1の中央に配置されている。ストッパ63は、ブロック状に形成されている。ストッパ63の前面には、挿入空間57にスペーサ19が挿入された際のテンプレート12と脛骨インサートトライアル18との厚みの合計量の変化量を刻印等により表示した表示部が形成されている。例えば、表示部に「+1mm」と表示されている場合は、スペーサ19の本体部61の厚みは、スペーサ19が挿入されていない状態の挿入空間57の厚みよりも1mm厚い厚みとなる。この場合、挿入空間57にスペーサ19が挿入されると、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との厚みの合計量が1mm厚くなるように変化することになる。ストッパ63は、脛骨インサートトライアル18の前端部に形成された切欠部18cに嵌められる。切欠部18cは、前方および上方に開放された切り欠き部分であり、ストッパ63を受けることで、スペーサ19がさらに挿入空間57に挿入されることが規制される。
テンプレート12に脛骨インサートトライアル18が載せられ、且つ、スペーサ19が挿入空間57に挿入された状態において、傾き規制機構70が形成されている。傾き規制機構70は、脛骨100において前後方向Y1に延びる軸回りにおける、テンプレート12に対する脛骨インサートトライアル18の傾きを規制するために設けられている。この傾き規制機構70は、本実施形態では、テンプレート12、スペーサ19および脛骨インサートトライアル18のそれぞれの前部に形成されている。
図18(B)を参照して、傾き規制機構70は、テンプレート12の上面側に形成された第1傾き規制部71A,71Bと、スペーサ19の下面側に形成され第1傾き規制部71A,71Bに嵌合可能な第2傾き規制部72A,72Bと、スペーサ19の上面側に形成された第3傾き規制部73A,73Bと、脛骨インサートトライアル18に形成され第3傾き規制部73A,73Bに嵌合可能な第4傾き規制部74A,74Bと、を含んでいる。
第1傾き規制部71A,71Bは、前述した、レール58A,58Bによって形成されている。また、第2規制部72A,72Bは、前述した、ガイド部62A,62Bによって形成されている。このように第1傾き規制部71A,71Bおよび第2傾き規制部72A,72Bは、レール機構を兼ねている。第1傾き規制部71A,71Bの形状は、正面視において、第2傾き規制部72A,72Bの形状に合致するように形成されている。
第3傾き規制部73A,73Bは、スペーサ19の基端(前端)のストッパ63において、内外側方向X1の両端部に形成されている。第3傾き規制部73A,73Bは前後方向Y1に延びており、本体部61から上方に進むに従い、内外側方向X1の外側に進む傾斜形状に形成されている。正面視において、第3傾き規制部73A,73Bは、全体として、逆テーパ状に形成されており、上方に進むに従い、互いの間隔が広くされている。
第4傾き規制部74A,74Bは、脛骨インサートトライアル18の前端部の切欠部18cにおいて、内外側方向X1の両端部に形成されている。第4傾き規制部74A,74Bは前後方向Y1に延びており、上方に進むに従い、内外側方向X1の外側に進む傾斜形状に形成されている。正面視において、第4傾き規制部74A,74Bは、全体として、逆テーパ状に形成されており、上方に進むに従い、互いの間隔が広くされている。正面視において、第3傾き規制部73A,73Bの形状は、第4傾き規制部74A,74Bの形状に合致するように形成されている。このように、第3傾き規制部73A,73Bおよび第4傾き規制部74A,74Bは、挿入空間57へスペーサ19が過度に進入することを防ぐストッパ機構を兼ねている。
図17(B)および図18(A)を参照して、また、テンプレート12に脛骨インサートトライアル18が載せられた状態において、脛骨インサートトライアル18がテンプレート12に対して内外側方向X1に位置ずれすることを規制するための位置ずれ規制機構80が設けられている。
位置ずれ規制機構80は、テンプレート12に形成された第1ずれ規制部81と、脛骨インサートトライアル18に形成され第1ずれ規制部81とは内外側方向X1に向かい合う第2ずれ規制部82と、を有している。
第1ずれ規制部81は、テンプレート12の中央部20において内外側方向X1の両端部に形成された第1内側ずれ規制部83A,83Bと、テンプレート12の側端壁29A,29Bに形成された第1外側ずれ規制部84A,84Bと、を含んでいる。
第2ずれ規制部82は、脛骨インサートトライアル18の一対の突出部53A,53Bのうち、第2レール51A,51Bを形成している部分によって形成された第2内側ずれ規制部85A,85Bと、脛骨インサートトライアル18の端壁18a,18bに形成された第2外側ずれ規制部86A,86Bと、を含んでいる。脛骨インサートトライアル18の底部50からの第2内側ずれ規制部85A,85Bの高さは、スペーサ19の厚みより大きく設定されている。これにより、挿入空間57へスペーサ19が挿入された場合でも、第2内側ずれ規制部85A,85Bは、第1内側ずれ規制部83A,83Bを内外側方向X1に挟むこととなる。
また、上下方向における、第1外側ずれ規制部84A,84Bと、第2外側ずれ規制部86A,86Bとが向かい合う長さは、スペーサ19の厚みより大きく設定されている。これにより、挿入空間57へスペーサ19が挿入された場合でも、第1外側ずれ規制部84A,84Bは、第2外側ずれ規制部86A,86Bを内外側方向X1に挟むこととなる。第2外側ずれ規制部86A,86Bは、第1外側ずれ規制部84A,84Bによって、内外側方向X1に挟まれる。上記の構成により、第1内側ずれ規制部83A,83Bと対応する第2内側ずれ規制部85A,85Bとの接触、または、第1外側ずれ規制部84A,84Bと対応する第2外側ずれ規制部86A,86Bとの接触によって、脛骨インサートトライアル18は、テンプレート12に対する内外側方向X1の変位を規制される。
以上が、脛骨トライアル設置器具アセンブリ2の概略構成である。次に、脛骨トライアル設置器具アセンブリ2を用いた手術の手順について、要点を説明する。図19は、脛骨トライアル設置器具アセンブリ2を用いた手術の手順の一例を示すフローチャートである。なお、フローチャートを参照しながら説明する場合は、フローチャート以外の図も適宜参照しながら説明する。
脛骨トライアル設置器具アセンブリ2が用いられる場合、術者は、まず、図2に示すように、テンプレートハンドル11を用いて、患者の脛骨100の骨切り面102上に、テンプレート12を載せる(ステップS1)。次に、術者は、キールパンチガイド13のスタッド38a〜38dを対応するスタッド挿通孔部27a〜27dを通して、脛骨100に固定する(ステップS2)。この際、術者は、固定ピン(図示せず)を用いてテンプレート12を脛骨100に固定してもよい。
図5を参照して、次に、術者は、ストッパ15が取り付けられたドリル14をキールパンチガイド13に挿入し、脛骨100の近位部101に下孔を形成する(ステップS3)。次に、図7および図20(A)を参照して、術者は、キールパンチハンドル17をキールパンチ16に対して第1連結方向D11に90度回転することで、キールパンチハンドル17をキールパンチ16に連結し(ステップS4)、次いで、キールパンチハンドル17およびキールパンチガイド13を用いてキールパンチ16を脛骨100の近位部101に打ち込む(ステップS5)。
次に、術者は、キールパンチハンドル17を第1解除方向D12、すなわち、第2連結方向D21に90度回転させることで、図20(B)に示すように、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との第1連結機構46による連結を解除するとともに、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを第2連結機構47によって連結する(ステップS6)。この状態で、術者は、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを脛骨100から取り外す(ステップS7)。
図17(A)および図17(B)を参照して、次に、術者は、テンプレート12上に脛骨インサートトライアル18を設置することで、試験整復を行う(ステップS8)。この際、患者の靱帯の緊張が弱い場合は、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間にスペーサ19が挿入される。スペーサ19がテンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に挿入されないとき、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間の隙間には、抜去器(図示せず)が挿入される。
以上説明したように、本実施形態によると、テンプレート12、キールパンチガイド13、キールパンチ16、キールパンチハンドル17、および、脛骨インサートトライアル18が、1つのアセンブリとして用意される。よって、これらの器具を一括して用意できるので、これらの器具を別々に準備する場合と比べて、手間が少なくて済む。よって、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、第1連結機構46によって、キールパンチハンドル17がキールパンチ16から抜けることを防止できる。また、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結を、必要に応じて解除できる。これにより、キールパンチハンドル17およびキールパンチ16が邪魔になることを抑制できる。その結果、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とを第1方向D1に相対移動するという簡易な構成で、キールパンチハンドル17とキールパンチ16の互いの連結と連結解除とを行うことができる。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、第1方向D1は、キールパンチハンドル17の軸方向に沿う軸線回りの回転方向である。この構成によると、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とを相対回転させるという簡易な構成で、キールパンチハンドル17とキールパンチ16の互いの連結と連結解除とを行うことができる。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17とキールパンチ16の相対移動という簡易な動作によって、第1凸部46aと第1突起部46b,46bとの連結および連結解除を行うことができる。
また、本実施形態によると、突起状の第1凸部46aを、キールパンチ16の筒状部161内に形成された第1突起部46b,46bに引っ掛けることで、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とを連結させることができる。また、第1凸部46aを第1突起部46b,46bに対して回転させることで、上記の連結を解除できる。
また、本実施形態によると、第1凸部46aを一対の第1突起部46b,46bで受けることができるので、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結強度をより高くできる。これにより、術者は、キールパンチ16が取り付けられたキールパンチハンドル17の取り扱いに際して、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結強度に注意を向けなくて済む。その結果、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、第2連結機構47によって、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを一体的に連結できる。これにより、キールパンチハンドル17によってキールパンチガイド13を引き抜くことができる。また、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13との連結を、必要に応じて解除できる。これにより、キールパンチハンドル17およびキールパンチガイド13が邪魔になることを抑制できる。その結果、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを第2方向D2に相対移動するという簡易な構成で、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13の互いの連結と連結解除とを行うことができる。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、第2方向D2は、キールパンチハンドル17の軸方向に沿う軸線回りの回転方向である。この構成によると、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13とを相対回転させるという簡易な構成で、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13の互いの連結と連結解除とを行うことができる。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13の相対移動という簡易な動作によって、第2凸部47a,47aと第2被連結部47b,47cとの連結および連結解除を行うことができる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17をキールパンチ16およびキールパンチガイド13に対して同一方向(第1解除方向D12且つ第2連結方向D21)に変位させるという1つの動作で、第1連結機構46におけるキールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結の解除と、第2連結機構47によるキールパンチハンドル17とキールパンチガイド13との連結と、を一括して行うことができる。これにより、キールパンチハンドル17の取り扱いの手間の低減を通じて、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、第1連結方向D11と、第2連結方向D21とが反対向きに設定されている。この構成によると、第1連結機構46による、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結解除動作と、第2連結機構47による、キールパンチハンドル17とキールパンチガイド13との連結動作と、を一括して行う構成を実現できる。これにより、キールパンチハンドル17の取り扱いの手間の低減を通じて、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、患者の脛骨100にテンプレート12が取り付けられていることにより、脛骨100の周囲のスペースが狭い状態でも、キールパンチガイド13の通路37を通してテンプレートハンドル11の連結部11dをテンプレート12から取り外すことができる。これにより、テンプレートハンドル11の操作をより容易に行うことができる。よって、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、テンプレート12からの脛骨インサートトライアル18の高さを調整するためのスペーサ19が、脛骨トライアル設置器具アセンブリ2に含まれている。これにより、スペーサ19を脛骨トライアル設置器具アセンブリ2の他の部材とは別に用意するという手間のかかる作業が不要である。よって、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とを連結するための第1連結機構46は、患者の脛骨100に挿入されるキールパンチ16の筒状部161内に配置されている。筒状部161は、脛骨100に挿入される構成であることにより、当該筒状部161の軸方向長さおよび直径をある程度確保することができる。これにより、筒状部161内において、第1連結機構46を配置するためのスペースを十分に確保できる。よって、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結強度を充分に確保できるような大きさに第1連結機構46を形成でき、さらに、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結構造(第1連結機構46)の設計の自由度をより高くできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17の挿入端部45を筒状部161に挿入することで、第1凸部46aと第1被突起部46b,46bとを連結させることができる。第1連結機構46をこのような簡易な構成とすることで、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結強度を充分に確保できるような大きさに第1連結機構46を形成できる。さらに、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結構造(第1連結機構46)の設計の自由度をより高くできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17とキールパンチ16とを相対変位させる簡易な構成によって、第1凸部46aと第1突起部46b,46bとの連結および連結解除を行うことができる。
また、本実施形態によると、第1連結機構46は、凸部(第1凸部46a)を用いた連結構造を有している。この構成であれば、簡易な形状である凸部形状を用いることで、第1連結機構46における第1凸部46aの強度をより高くできる。
また、本実施形態によると、第1凸部46aを一対の第1突起部46b,46bで受けることができるので、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結強度をより高くできる。
また、本実施形態によると、キールパンチハンドル17の第1ストッパ40が筒状部161の開口縁部161aに受けられるまで、キールパンチハンドル17をキールパンチ16に挿入し、その後、キールパンチハンドル17をキールパンチ16に対して変位させることで、第1連結機構46による、キールパンチハンドル17とキールパンチ16との連結を実現できる。このように、キールパンチ16へのキールパンチハンドル17の挿入量を、第2ストッパ44によって規定することができる。
また、本実施形態によると、テンプレート12からの脛骨インサートトライアル18の高さ位置を調整するために必要な部品が、スペーサ19の一部品で済む。これにより、人工膝関節置換術用器具1において、脛骨インサートトライアル18の高さ位置調整を行うための構成の部品点数をより少なくできる。また、スペーサ19は、患者の内外側方向X1におけるテンプレート12の一部の領域且つテンプレート12の中央部20に配置されている。これにより、内外側方向X1において、スペーサ19と、テンプレート12および脛骨インサートトライアル18と、の接触長さを短くできる。よって、術者がスペーサ19をテンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に挿入する際に、スペーサ19が受ける摩擦抵抗をより小さくできる。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、スペーサ19の挿入方向の先端部は、先細り形状に形成されたテーパ状部64A,64Bを含んでいる。この構成によると、スペーサ19をテンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に挿入する際に必要な力をより少なくできる。よって、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、内外側方向X1において、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間の挿入空間57の長さは、スペーサ19の長さよりも大きく設定されている。この構成によると、例えばスペーサ19を挿入空間57に挿入する際、スペーサ19を厳密にスペーサ挿入空間57に対して内外側方向X1に位置合わせしなくて済む。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、スペーサ19をテンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に挿入する際に、レール58A,58Bによる案内によって、スペーサ19をより正確に挿入できる。
また、本実施形態によると、傾き規制機構70が設けられている。この構成によると、スペーサ19を介してテンプレート12と脛骨インサートトライアル18とを結合させることで、脛骨インサートトライアル18が傾くことを規制できる。これにより、テンプレート12上において脛骨インサートトライアル18の姿勢を維持するための術者の労力をより低減できる。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、スペーサ19の前端に、スペーサ19の位置を規定するストッパ63が形成される。このストッパ63は、脛骨インサートトライアル18の切欠部18cに収容されることで、テンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に収容されたときに、テンプレート12の周囲で邪魔にならずに済む。また、ストッパ63を、傾き規制機構70の一部としても利用できるので、脛骨インサートトライアル18の周囲の形状が煩雑にならずに済む。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、位置ずれ規制機構80が設けられている。この構成によると、第1ずれ規制部81と第2ずれ規制部82との係合により、脛骨インサートトライアル18がテンプレート12に対して内外側方向X1に位置ずれすることを規制できる。これにより、テンプレート12上において脛骨インサートトライアル18の姿勢を維持するための術者の労力をより低減できる。これにより、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、内外側方向X1において、テンプレート12における固定ピン通過孔部30a〜30fの位置とスペーサ19の位置とが異なるように構成されている。この構成によると、固定ピン31によってテンプレート12が脛骨100に固定された状態において、スペーサ19をテンプレート12と脛骨インサートトライアル18との間に挿入する際に、固定ピン31が邪魔にならずに済む。よって、スペーサ19による高さ調整作業時に、テンプレート12から固定ピン31を抜き取る必要がなく、患者への脛骨インサートトライアル18の設置にかかる手間をより少なくできる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。
前述の実施形態では、第1連結機構46、第2連結機構47の操作方向として、回転方向である第1方向D1、第2方向D2を例示した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第1方向D1、第2方向D2は、螺旋方向であってもよいし、直線方向であってもよい。また、キールパンチハンドルの基端から先端を貫くレバーを設け、このレバーを上下変位させることで、キールパンチハンドルとキールパンチの筒状部内部とを連結または連結解除してもよい。