JP2021121263A - バランサー装置 - Google Patents

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Ryuji Mizuno
竜児 水野
裕子 石井
Hiroko Ishii
裕子 石井
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Abstract

【課題】健常な膝の状態により近い状態にて使用することが可能なバランサー装置を提供する。【解決手段】膝の内側にて大腿骨側に配置される内側本体部が、内側アーム部3bから外側に張り出して設けられ、膝の外側にて大腿骨側に配置される外側本体部が、外側アーム部4bから外側に張り出して設けられている。内側アーム部及び外側アーム部は、膝の内外方向における中央よりも内側にて、膝の表裏方向に延出されており、大腿骨と脛骨との間にて脛骨側に配置される脛骨側本体部2aに設けられている脛骨アーム部2bは、内外方向において内側アーム部の内側の端と外側アーム部の外側の端との間に設けられている。【選択図】図1

Description

この発明は、人工膝関節を設置するために大腿骨と脛骨との間にて用いられるバランサー装置に関する。
従来、人工膝関節を設置する際に使用されるバランサー装置としては、脛骨取付け部と、大腿骨取付け部と、大腿骨取付け部を回動可能に支持すると共に脛骨取付け部に対して上下方向に移動させる移動機構とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このバランサー装置により、脛骨取付け部を脛骨の近位端面に取付け、脛骨取付け部が脛骨の近位端面に押し付けられた状態で、大腿骨取付け部を大腿骨の遠位端面に接触させ、大腿骨取付け部を脛骨取付け部から徐々に遠ざけ、大腿骨取付け部を脛骨取付け部から遠ざけることにより大腿骨と脛骨の間の靭帯の緊張状態(テンション及び左右のバランス)が所定の荷重になるように靭帯を調整する。このとき、大腿骨取付け部が固着されている回動部分により脛骨の近位端面と大腿骨の遠位端面とが平行であるか否かを確認することができるように構成されている。
大腿骨は、膝の内外方向に間隔を隔てた底部に有する2つの湾曲した突部により支持されており、大腿骨取付け部を脛骨取付け部から遠ざけると、膝の内側及び外側に位置する靱帯と膝の裏側に位置する靱帯が緊張する。このとき、大腿骨と脛骨の間の靭帯の緊張状態は、大腿骨取付け部を単に脛骨取付け部から遠ざけて脛骨の近位端面と大腿骨の遠位端面とを平行に配置するだけでは、膝の内側と外側とにおいて適切な緊張状態とすることは困難である。
また、従来のバランサー装置としては、大腿骨と脛骨との間に配置され、切除された近位端の脛骨と接触する第一の調節板と、膝の内側または外側にて切除された大腿骨とそれぞれ接触する2つの第二の調節板とを有し、第一の調節板と各第二の調節板との間の距離を各々独立して延長するテンショナーを有する器具(バランサー装置)も知られている(例えば、特許文献2参照)。このバランサー装置は、施術する膝の正面にて当該膝と対向する位置に配置され、第一の調節板及び第二の調節板が膝の正面から大腿骨と脛骨との間に挿入されて使用されるように構成されている。
特開2017−80569号公報 特開平8−229058号公報
バランサー装置は、人工膝関節を設置したときに、健常な膝関節の状態がより正確に再現されるように、各靭帯による緊張力のバランスをとりつつ適切な荷重の付加となる大腿骨と脛骨との間隔を測定できることが望ましい。さらに、大腿骨と脛骨との間隔をより適切に測定するには、大腿骨、脛骨及び各靱帯のほか膝蓋骨を含めて、互いの相対位置を健常な状態と同様に配置した状態にて測定することが望ましい。しかしながら、上記従来のバランサー装置では、第一の調節板及び第二の調節板が膝の正面から大腿骨と脛骨との間に挿入されるので、膝蓋骨を膝の正面に配置して使用することができず、より正確な測定ができないという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、健常な膝の状態により近い状態にて使用することが可能なバランサー装置を提供することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、人工膝関節を設置するために大腿骨と脛骨との間にて用いられるバランサー装置であり、装置本体部と、前記装置本体部に固定されて前記脛骨の近位端側に配置される脛骨側配置部と、前記脛骨側配置部と前記大腿骨の遠位端との間であって膝の内側に配置される内側大腿骨側配置部と、前記脛骨側配置部と前記大腿骨の遠位端との間であって膝の外側に配置される外側大腿骨側配置部と、前記内側大腿骨側配置部が連結され、前記脛骨側配置部と前記内側大腿骨側配置部との間隔を変更すべく前記装置本体部に対して移動可能に設けられる内側移動体と、前記外側大腿骨側配置部が連結され、前記脛骨側配置部と前記外側大腿骨側配置部との間隔を変更すべく前記装置本体部に対して移動可能に設けられる外側移動体と、を備えたバランサー装置であって、前記脛骨側配置部は、一端が前記装置本体部に固定される脛骨アーム部と、前記脛骨アーム部の他端に設けられて前記脛骨側に配置される脛骨側本体部と、を有し、前記内側大腿骨側配置部は、一端が前記内側移動体に連結される内側アーム部と、前記内側アーム部の他端に設けられて前記大腿骨側に配置される内側本体部と、を有し、前記外側大腿骨側配置部は、一端が前記外側移動体に連結される外側アーム部と、前記外側アーム部の他端に設けられて前記大腿骨側に配置される外側本体部と、を有し、前記内側本体部は前記内側アーム部から外側に張り出し、前記外側本体部は前記外側アーム部から外側に張り出して設けられていることを特徴とするバランサー装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明により、健常な膝の状態により近い状態にて使用することが可能なバランサー装置を提供することが可能である。
本実施形態のバランサー装置を示す斜視図である。 切除後の脛骨と大腿骨トライアルとの間に脛骨当接部、内側大腿骨当接部、及び、外側大腿骨当接部を挿入した状態を示す側面図である。 図2におけるA−A断面図である。 内側大腿骨当接部及び外側大腿骨当接部を取り外したバランサー装置の平面図である。 バランサー装置の平面図である。 中央表示部を示す平面図である。 図7(a)は、脛骨と大腿骨との間に設置された状態のバランサー装置を示す斜視図であり、図7(b)は、ロッドが装着された状態のバランサー装置を示す斜視図であり、図7(c)は、外側大腿骨当接部が上昇した状態のバランサー装置を示す斜視図である。 切除後の脛骨と大腿骨との間に脛骨当接部、内側大腿骨当接部、及び、外側大腿骨当接部を挿入した状態を示す側面図である。 切除後の脛骨と切除後の大腿骨との間に脛骨当接部、内側大腿骨当接部、及び、外側大腿骨当接部を挿入した状態を示す側面図である。 傾斜表示部を示す正面図である。 傾斜表示部を示す平面図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。すなわち、人工膝関節を設置するために大腿骨と脛骨との間にて用いられるバランサー装置であり、装置本体部と、前記装置本体部に固定されて前記脛骨の近位端側に配置される脛骨側配置部と、前記脛骨側配置部と前記大腿骨の遠位端との間であって膝の内側に配置される内側大腿骨側配置部と、前記脛骨側配置部と前記大腿骨の遠位端との間であって膝の外側に配置される外側大腿骨側配置部と、前記内側大腿骨側配置部が連結され、前記脛骨側配置部と前記内側大腿骨側配置部との間隔を変更すべく前記装置本体部に対して移動可能に設けられる内側移動体と、前記外側大腿骨側配置部が連結され、前記脛骨側配置部と前記外側大腿骨側配置部との間隔を変更すべく前記装置本体部に対して移動可能に設けられる外側移動体と、を備えたバランサー装置であって、前記脛骨側配置部は、一端が前記装置本体部に固定される脛骨アーム部と、前記脛骨アーム部の他端に設けられて前記脛骨側に配置される脛骨側本体部と、を有し、前記内側大腿骨側配置部は、一端が前記内側移動体に連結される内側アーム部と、前記内側アーム部の他端に設けられて前記大腿骨側に配置される内側本体部と、を有し、前記外側大腿骨側配置部は、一端が前記外側移動体に連結される外側アーム部と、前記外側アーム部の他端に設けられて前記大腿骨側に配置される外側本体部と、を有し、前記内側本体部は前記内側アーム部から外側に張り出し、前記外側本体部は前記外側アーム部から外側に張り出して設けられていることを特徴とするバランサー装置である。
このようなバランサー装置によれば、大腿骨側において膝の内側に配置される内側大腿骨側配置部と、大腿骨側において膝の外側に配置される外側大腿骨側配置部とは、それぞれ独立して上下方向位置、すなわち脛骨側配置部との間隔を変更することができる。このため、大腿骨の内側部分と外側部分とを各々別々に脛骨との距離を設定することが可能である。よって、本バランサー装置によれば、内側大腿骨側配置部及び外側大腿骨側配置部と脛骨側配置部との間隔を、膝の内側と外側とで各靭帯による緊張力のバランスが適切になる状態とすることができる。
このとき、大腿骨と脛骨との間にて脛骨側本体部を脛骨側に配置し、大腿骨側であって、膝の内側に内側本体部を配置し、膝の外側に外側本体部を当接させつつも脛骨アーム部、内側アーム部、及び、外側アーム部を膝の内外方向における中央位置よりも内側に配置することが可能である。すなわち、内側本体部が内側アーム部から外側に張り出し、外側本体部が外側アーム部から外側に張り出すことにより、内外側本体部がいずれも各アーム部の延長線からオフセットしているので、大腿骨と脛骨との間に脛骨側本体部、内側本体部、及び、外側本体部を配置しつつも大腿骨と脛骨との正面側は空いているので、脛骨側本体部、内側本体部、及び、外側本体部を挿入する際に、一旦膝の外側に移動させた膝蓋骨を大腿骨と脛骨との正面に戻して配置することが可能である。このため、健常な膝の状態により近い状態にてバランサー装置を使用することが可能である。
また、本バランサー装置は、次のような構成を採ることが好ましい。すなわち、前記脛骨アーム部は、膝の内外方向において前記内側アーム部の内側の端と前記外側アーム部の外側の端との間に設けられていることが望ましい。
このようなバランサー装置によれば、脛骨アーム部、内側アーム部、及び、外側アーム部の全体を膝の正面よりも内側により確実に配置することが可能である。
また、本バランサー装置は、前記内側アーム部と前記外側アーム部とは、互いに近接して配置されていることが望ましい。
このようなバランサー装置によれば、内側アーム部と外側アーム部とが左右方向に占める幅が狭くなるので、大腿骨と脛骨との間に脛骨側本体部、内側本体部、及び、外側本体部を配置した際に大腿骨と脛骨との正面側をより広く空けておくことが可能である。
また、本バランサー装置は、装置本体部と、前記脛骨側配置部とがなす角度は95度〜100度であることとすることができる。
脛骨近位端の手前側よりも脛骨粗面の方が前方(奥行方向の手前側)に突出している。このため、バランサー装置を使用すると、装置本体部が脛骨粗面に接触する虞がある。このとき、装置本体部と、脛骨側配置部とがなす角度が90度の場合には、前方に突出する脛骨粗面を避けるべく脛骨アーム部、内側アーム部及び外側アーム部を長くする必要がある。しかしながら、脛骨アーム部、内側アーム部及び外側アーム部を長くすると、脛骨側配置部と内側大腿骨側配置部及び外側大腿骨側配置部との間隔を広げる際に作用するモーメントが大きくなるため脛骨アーム部、内側アーム部及び外側アーム部の剛性を確保すべく大きく、断面を大きくしなければならない。これにより、皮膚の切開量を大きくしなければならず、完治までの時間が長くなると共に、感染症を発症する虞が生じる。
これに対し、本バランサー装置にように、装置本体部と、脛骨側配置部とがなす角度を95度〜100度にすることにより、前方に突出する脛骨粗面を避けつつ脛骨アーム部、内側アーム部及び外側アーム部を短くすることが可能である。このため、脛骨アーム部、内側アーム部及び外側アーム部をより細く、より短くして、皮膚の切開量をより小さく抑えることが可能である。
また、本バランサー装置は、前記内外方向に並ぶ前記内側本体部と前記外側本体部とを合わせた形状、及び、前記脛骨側本体部の形状は、前記大腿骨側から見たときに、前記人工膝関節のインサートに近似した形状をなしていることとすることができる。
このようなバランサー装置によれば、内側本体部と外側本体部とを合わせた形状、及び、脛骨側本体部の形状が、人工膝関節のインサートに近似した形状をなしている。このため、インサートを挿入したときのイメージが掴みやすく、かつ、インサートを挿入したときの高い再現性を得ることが可能である。
また、本バランサー装置は、前記脛骨側本体部の、前記膝の前記内外方向における中央位置を示す中央表示部を有していることとすることができる。
このようなバランサー装置によれば、大腿骨と脛骨との間に挿入されて視認することができなくなった脛骨側本体部、及び、合わせた形状が脛骨側本体部と近似している内側本体部と外側本体部の中央位置を、中央表示部により確認することが可能である。このため、脛骨側本体部、内側本体部及び外側本体部をより適切な位置に配置することが可能である。
また、本バランサー装置は、前記中央表示部が、前記内側移動体及び前記外側移動体の少なくとも一方において、前記内側本体部と前記外側本体部との境界をなす位置の延長線上に設けられ、前記表裏方向に貫通する中央貫通孔と、前記中央貫通孔に、前記膝の表側から裏側に向かって挿通されて前記内側本体部及び前記外側本体部の側に突出するロッドと、を有することとすることができる。
このようなバランサー装置によれば、中央表示部が、内側移動体及び外側移動体に設けられた表裏方向に貫通する中央貫通孔と、中央貫通孔に挿通されて突出するロッドとにより構成されているので、挿通させたロッドを突出させて内側本体部及び外側本体部の中央位置を確認することはもとより、内側本体部及び外側本体部を大腿骨と脛骨との間に挿入するときには、ロッドを外しておくことにより、内側本体部及び外側本体部の挿入を妨げず、挿入後にロッドを挿通するだけで、即座に中央位置を認識することが可能である。
また、本バランサー装置は、前記内側移動体または前記外側移動体を移動させる移動機構を有し、前記移動機構は、前記内側大腿骨側配置部または前記外側大腿骨側配置部を前記脛骨側配置部から離れる方向に移動させるための移動操作部と、前記内側大腿骨側配置部または前記外側大腿骨側配置部が前記脛骨側配置部に近づく方向への移動を規制する規制機構と、前記規制を解除する解除機構と、を有することとすることができる。
移動操作部を操作して、移動機構により内側大腿骨側配置部または外側大腿骨側配置部を脛骨側配置部から離れる方向に移動させるときには、靱帯の緊張力に抗して内側大腿骨側配置部または外側大腿骨側配置部が移動する。このため、上記バランサー装置のように、内側大腿骨側配置部または外側大腿骨側配置部が脛骨側配置部に近づく方向への移動を規制する規制機構が設けられている場合には、移動させた内側大腿骨側配置部または外側大腿骨側配置部を移動させた位置に保持することができるので操作性が向上する。
また、本バランサー装置は、前記装置本体部に、当該装置本体部を保持可能な把持部が取り外し可能に設けられていることとすることができる。
このようなバランサー装置によれば、装置本体部を保持可能な把持部が設けられているので、把持部により装置本体部を保持しつつ移動操作部を容易に操作することが可能である。また、把持部は取り外し可能なので、不要なときには把持部を外しておくことが可能である。このため、把持部は使用時における操作を妨げず、また必要な際には即座に取り付けることができるので、更に操作性に優れたバランサー装置を提供することが可能である。
また、本バランサー装置は、前記内側配置部及び前記外側配置部は、前記大腿骨または大腿骨トライアルの底部に当接され、前記表裏方向において中央部が窪む曲面をなしており、当該曲面の曲率は前記大腿骨または前記大腿骨トライアルの前記底部の曲率よりも小さいものとすることができる。
このようなバランサー装置によれば、内側本体部及び外側本体部が、表裏方向において中央部が窪む曲面をなしているので、膝関節の屈曲状態及び伸展状態において、当接する大腿骨または大腿骨トライアルとの接点を中央部の窪みに位置させることが可能である。このとき、内側本体部及び外側本体部の曲面の曲率が大腿骨または大腿骨トライアルの底部の曲率よりも小さいので、大腿骨または大腿骨トライアルの底部が内側本体部及び外側本体部の曲面上にて摺動しつつ大腿骨を滑らかに回動させることが可能である。このように、大腿骨または大腿骨トライアルが内側本体部及び外側本体部の曲面上の所定の位置で安定して配置されている場合には、靱帯との相対位置が変化しないので、より正確な靱帯の緊張力を作用させてバランサー装置を使用することが可能である。
また、本バランサー装置は、前記内側移動体及び前記外側移動体の移動に基づいて、前記大腿骨または前記大腿骨トライアルの前記底部の傾きを示す傾斜表示部を有することとすることができる。
このようなバランサー装置によれば、大腿骨または大腿骨トライアルの底部において膝の内側に配置される内側本体部と、大腿骨または大腿骨トライアルの底部において膝の外側に配置される外側本体部とを、移動機構によりそれぞれ移動させて脛骨側本体部との間隔を変更するだけで、大腿骨または大腿骨トライアルの底部の傾きをも視認することが可能である。
また、本バランサー装置は、前記傾斜表示部は、前記内側移動体及び前記外側移動体のうちのいずれか一方に設けられ前記表裏方向に沿う第一軸部と、前記内側移動体及び前記外側移動体のうちの他方に設けられ前記表裏方向に沿う第二軸部と、一方の端部側が前記第二軸部に回動自在に設けられ、他方の端部側に設けられた挿通孔に前記第一軸部が挿通された指示針と、を有していることとすることができる。
このようなバランサー装置によれば、一方の端部側が第二軸部に回動自在に設けられた指示針は、他方側に第一軸部が挿通されているので、内側移動体及び外側移動体の移動による相対位置の変化により回動し、当該指示針自身の傾斜が変化する。このため、指示針の傾斜によって大腿骨または大腿骨トライアルの底部の傾きの有無及び度合いを視認することが可能である。
また、本バランサー装置は、前記傾斜表示部が、前記第二軸部が設けられた前記内側移動体または前記外側移動体に係止され、前記第一軸部が貫通する第一軸貫通孔と、前記傾きを示す目盛と、を有する表示部本体を有し、前記指示針は、前記内側移動体及び前記外側移動体の移動に伴って回動し、前記目盛を指し示すこととすることができる。
このようなバランサー装置によれば、表示部本体を貫通する第一軸部は、内側移動体及び外側移動体の移動により、第二軸部とともに内側移動体または外側移動体に設けられた表示部本体に対して相対移動する。このため、内側移動体及び外側移動体の移動により傾斜した指示針の指し示す目盛により、大腿骨トライアルの底部の傾きをより正確に認識することが可能である。
===実施形態===
以下、本発明の一実施形態に係るバランサー装置、すなわち、人工膝関節を設置するために大腿骨と脛骨との間にて用いられるバランサー装置について図面を参照して説明する。
バランサー装置は、例えば、人工膝関節置換術の際に用いられる。人工膝関節置換術では、まず、患者の膝を90度に曲げた屈曲位にした状態で、膝の皮膚を切開し、疾患のある大腿骨と脛骨との損傷している部位を切除し、切除後の大腿骨と脛骨との間に人工関節インプラントを設置する。人工膝関節インプラントは、脛骨の近位端における切除部分に設けられる脛骨コンポーネントと、大腿骨の切除部分に設けられる大腿骨コンポーネントと、脛骨コンポーネントと大腿骨コンポーネントとの間に介在されるインサートとを有している。バランサー装置は、例えば、脛骨コンポーネントと大腿骨コンポーネントとの間に挿入されるインサートの適切な厚みの目安となる寸法を調べるべく、図2に示すように、損傷している部位を切除した大腿骨(以下、切除後の大腿骨という)に装着された大腿骨トライアル(上記大腿骨コンポーネントと同じ形状をした手術器械であり、大腿骨コンポーネント設置時と同じ関節の状態を再現するために用いられるものである)と損傷している部位を切除した脛骨(以下、切除後の脛骨という)との間、図8に示すように、大腿骨と切除後の脛骨との間、図9に示すように、切除後の脛骨と切除後の大腿骨との間に挿入し、それらの間隔の測定に用いられる。本実施形態においては、大腿骨に装着された大腿骨トライアルと切除後の脛骨との間隔を測定する場合を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態のバランサー装置1を示す斜視図であり、図2は、切除後の脛骨と大腿骨トライアルとの間にバランサー装置を挿入した状態を示す側面図である。以下の説明においては、バランサー装置1により測定する、切除後の脛骨Tと大腿骨トライアルFcとの間隔が変化する方向を上下方向とし、患者の膝の内側を単に内側、膝の外側を単に外側とし患者の左右となる方向を各膝にあわせた内外方向とし、患者の前後となる方向を膝の表裏にあわせて表裏方向、または、施術者側から見て手前側または奥側となる奥行き方向として説明する。バランサー装置1の各部位であっても、また、バランサー装置1を構成する各部材については単体の状態であっても、バランサー装置1として組み込まれている状態で、上記上下方向、内外方向、表裏方向または奥行き方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
バランサー装置1は、図1、図2に示すように、大腿骨Fと脛骨Tとの間にて用いられ、脛骨Tの近位端側に配置されて切除後の脛骨Tに当接される脛骨当接部2と、脛骨当接部2と大腿骨Fの遠位端との間に配置され大腿骨トライアルFcに当接される内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4と、脛骨当接部2が固定される装置本体部5と、内側大腿骨当接部3または外側大腿骨当接部4を移動させる内側移動機構6及び外側移動機構7と、を備えている。ここで、脛骨当接部2が脛骨側配置部に相当し、内側大腿骨当接部3が内側大腿骨側配置部に相当し、外側大腿骨当接部4が外側大腿骨側配置部に相当する。
バランサー装置1は、左膝の人工膝関節置換術の際に用いる場合、及び、右膝の人工膝関節置換術の際に用いる場合のいずれも、脛骨当接部2、内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4が、装置本体部5よりも、各膝に対して外側に張り出すように配置される。このため、左膝のバランサー装置1と右膝用のバランサー装置1とでは、装置本体部5に対して脛骨当接部2、内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4が張り出す方向が逆になる。
以下の説明では、図1に示す左膝用のバランサー装置1を例に挙げて説明するが、右膝用のバランサー装置1は、右膝の外側に、すなわち左膝とは反対方向に張り出す脛骨当接部2、内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4が付け替えられるだけであり、当接部2、3、4以外の構成は左膝用のバランサー装置1と同一である。
装置本体部5は、内外方向における中央に対し内側部分と外側部分とが対称な形状をなしている。図3に示すように、装置本体部5の内側部分及び外側部分は、ほぼ上下方向に貫通し後述する内側移動体60または外側移動体70が挿通される移動体挿通孔5aを各々備え、内外方向に互いに間隔を隔てて配置される内側筒部5b及び外側筒部5cを有している。内側筒部5bと外側筒部5cの上には、内外方向に渡る上装置本体部5dが設けられており、内側筒部5bと外側筒部5cとの上端は上装置本体部5dと一体に繋がっている。
内側筒部5b及び外側筒部5cの移動体挿通孔5aは、装置本体部5の内外方向の中央から振り分けた位置に設けられ、上装置本体部5dの上面5eまで繋がって設けられている。また、上装置本体部5dと内側筒部5b及び外側筒部5cと繋がって移動体挿通孔5aを形成する。図1に示すように、装置本体部5の手前側の壁部5fは、上下方向におけるほぼ中央から下側の部位のみが設けられており、上側は手前側に開放された開放部5gをなしている。尚、開放部5gの内外方向の縁には、内側移動体60または外側移動体70のガイド5hが設けられている。
また、内側筒部5bの内側側面5i及び外側筒部5cの外側側面5jの下端部近傍及び上装置本体部5dの手前側の壁部5fには、装置本体部5を保持するための把持部8を螺合可能な螺合取付部5kが設けられている。3箇所に設けられている螺合取付部5kのうちの少なくとも1箇所に把持部8を取り付けてバランサー装置1を保持すると、操作性が向上する。この実施例では、螺合取付部5kは、上装置本体部5dの手前側下部、内側筒部5bの左側及び外側筒部の右側に設けられている。また、この実施例における把持部8は、螺合されるので、バランサー装置1の操作時や、反対側の膝を施術する際など必要に応じて容易に取り付け、取り外し、付け替えが可能である。
内側移動機構6及び外側移動機構7は、装置本体部5とともに構成されており、外部から操作されることにより、各々の移動体挿通孔5aに案内されつつ当該移動体挿通孔5aの貫通方向に沿って内側移動体60及び外側移動体70を上方または下方に移動可能に構成されている。内側移動機構6及び外側移動機構7とは、一部の配置が異なるが構成は同じなので、ここでは、外側移動機構7を例に挙げて説明する。
外側移動機構7は、図3に示すように、外側移動体70に設けられたラック71と、ラック71と係合するピニオン72と、上方に移動した外側移動体70の降下を規制する規制機構73と、を有している。
外側移動体70は、上下方向に延びて外側の移動体挿通孔5aに移動可能に挿入される軸状部70aと、軸状部70aの上に一体に設けられ装置本体部5上に載置可能な上移動部70bと、を有している。
軸状部70aには、外側側面に上下方向におけるほぼ中央から下側に軸状部70aの軸方向に沿ってラック71が設けられており、内側側面には、装置本体部5側に設けられている規制片74aと係合し軸方向に並べて配置された複数の規制歯70cが、上下方向におけるほぼ中央から上側に設けられている。
外側移動体70の手前側の側面には、図1に示すように、上下方向におけるほぼ中央から上側の部位が手前側に突出して平面をなす平面突出部70dが設けられている。平面突出部70dは、軸状部70aが移動体挿通孔5aに挿通された状態で、装置本体部5の手前側の壁部5fに設けられた開放部5gに配置されるように構成されている。平面突出部70dの内外方向の幅は、開放部5gの内外方向の幅よりも僅かに狭く形成されており、外側移動体70が移動する際に平面突出部70dは開放部5g及びガイド5hにより案内されることにより、外側移動体70は安定した状態で移動する。
また、平面突出部70dには、バランサー装置1の使用者が視認可能な目盛70eが設けられている。この目盛70eは、上移動部70bが装置本体部5上に載置されて上移動部70bの下面が装置本体部5の上面に当接された状態で、脛骨当接部2と内側大腿骨当接部3または外側大腿骨当接部4との上下方向の高さ関係(厚み)を示している。そして、外側移動体70が上昇したときには、脛骨当接部2と切除後の脛骨Tとが接触している部位から、内側大腿骨当接部3または外側大腿骨当接部4と大腿骨トライアルFcとが接触している部位までの間隔を示す。
図3に示すように、ラック71は、装置本体部5の外側筒部5cにおける下端部側に設けられたピニオン72と係合する。ピニオン72は、外側筒部5c内の下端部側に設けられ、移動体挿通孔5aと連通する空間に、表裏方向に沿う軸周りに回動自在に設けられている。ピニオン72の軸には表裏方向に貫通する六角形状をなす六角孔72aが設けられており、六角孔72aには外側筒部5cの外から六角レンチ9等を挿通して、ピニオン72を回動可能に構成されている。ここで、ピニオン72を回動可能な六角孔72aが移動操作部に相当する。
規制機構73は、外側筒部5cの上部側に設けられており、軸状部70aに設けられた規制歯70cと係合する規制片74aを備えた規制部材74がばね75により外側に付勢されて、規制片74aが規制歯70cに係合するように構成されている。規制部材74は、規制片74aと一体となり外側筒部5cの外側に突出する規制突出部74bを有している。規制突出部74bを内側に押圧して規制部材74がばね75の付勢力に抗して内側に移動することにより規制片74aと規制歯70cとの係合が解除されるように構成されている。
規制片74aの外側側面、すなわち、規制歯70cと係合する側の側面には、上面が水平面をなし、下面が内側に向かって下り勾配の傾斜面をなす爪74cが複数設けられている。規制歯70cは、上面が内側に向かって下り勾配の傾斜面をなし、下面が水平面をなす溝70fが上下方向に複数並べて設けられている。
規制機構73は、上移動部70bの下面が装置本体部5の上面に当接された状態で、ばね75により付勢された規制片74aの爪74cが規制歯70cの溝70fに挿入されており、規制片74aの爪74cの水平な上面と規制歯70cの溝70fの水平な下面とが対向し、規制片74aの爪74cの傾斜面と規制歯70cの溝70fの傾斜面とが対向して外側移動体70の下方への移動が規制されている。
六角孔72aに挿入された六角レンチ9を回すことにより回動するピニオン72により外側移動体70が押し上げられると、規制歯70cの溝70fの傾斜面が上昇して爪74cの傾斜面を上方に押圧することにより、規制片74aはばね75の付勢力に抗して傾斜面に沿って移動しつつ内側に移動する。そして、爪74cが溝70fを抜けるとばね75の付勢力により一つ下の溝70fに挿入される。すなわち、外側移動体70が上昇する方向への移動は許容されるが、外側移動体70が降下する方向への移動は規制される。このため、規制歯70cのピッチで外側移動体70の位置を保持することが可能である。このため、規制歯70cのピッチは平面突出部70dの目盛70eと一致させておくことが望ましい。
内側移動機構6は、外側移動機構7と内外方向が反転したほぼ対称形状をなしているが、ピニオン72及びラック71は外側移動機構7と同じ側に配置されている。このため、内側移動機構6の移動操作部をなす六角孔62aも外側移動機構7と同じ側に配置されている。内側移動機構6の六角孔62aと外側移動機構7と六角孔72aとを同じ側に配置することにより、内側大腿骨当接部3を上昇させるためにピニオン62を回すべき方向(右または左)と、外側大腿骨当接部4を上昇させるためにピニオン72を回すべき方向(右または左)とを一致させて、直観的な操作を可能とし、操作性を高めている。
図4に示すように、脛骨当接部2は、切除後の脛骨Tに当接される脛骨側本体部2aと、一端が装置本体部5に固定され、膝の表側から裏側に向かう表裏方向に延出された他端に脛骨側本体部2aが設けられている脛骨アーム部2bとを有している。脛骨側本体部2aは、上側、すなわち、大腿骨F側から見たときの形状が、人工膝関節のインサートに近似した形状をなしている。脛骨アーム部2bは、脛骨側本体部2aにおいて内外方向の中央位置よりも内側に大幅に偏った位置、例えば、脛骨側本体部2aの内側端の近傍に配置されている。すなわち、脛骨アーム部2bは、脛骨側本体部2aが大腿骨Fと脛骨Tとの間に配置されたときに、膝の内外方向における中央に配置されるべき、脛骨側本体部2aにおける内外方向の中央位置よりも内側に大幅に偏った位置に配置されている。このため、脛骨側本体部2aは、脛骨アーム部2bよりも外側への張出量が、脛骨アーム部2bよりも内側への張出量よりも大きく設定されている。脛骨アーム部2bの配置については後に詳述する。
図5に示すように、内側大腿骨当接部3は、大腿骨Fの遠位端に設けられた大腿骨トライアルFcと脛骨側本体部2aとの間に配置され、大腿骨トライアルFcの底部Fcaにおいて膝の内側に位置する部位に当接される内側当接部3aと、一端が内側移動体60に連結され、膝の表裏方向に延出された他端に内側当接部3aが設けられている内側アーム部3bと、を有している。ここで内側当接部3aが内側アーム部3bの他端に設けられて大腿骨F側に配置される内側本体部に相当する。
外側大腿骨当接部4は、内側大腿骨当接部3と同様に、大腿骨トライアルFcと脛骨側本体部2aとの間に配置され、大腿骨トライアルFcの底部Fcaにおいて膝の外側に位置する部位に当接される外側当接部4aと、一端が外側移動体70に連結され、膝の表裏方向に延出された他端に外側当接部4aが設けられている外側アーム部4bと、を有している。ここで外側当接部4aが外側アーム部4bの他端に設けられて大腿骨F側に配置される外側本体部に相当する。
ここで、大腿骨トライアルFcの底部Fcaは、図2に示すように、膝関節を伸展及び屈曲した際に脛骨Tと対向する側の部位であり、下方に突出する湾曲でなる突部Fcbを有している。この突部Fcbは、膝の内外方向に間隔を隔てて2つ設けられている。内側当接部3aは、大腿骨トライアルFcの底部Fcaの2つの突部Fcbのうちの内側に位置する突部Fcbに当接され、外側当接部4aは、大腿骨トライアルFcの底部Fcaの2つの突部Fcbのうちの外側に位置する突部Fcbに当接される。
内側当接部3aと外側当接部4aとは、内外方向に並べて配置され、内側当接部3aと外側当接部4aとを並べた状態を、上側、すなわち大腿骨トライアルFc側から見たときの形状が、人工膝関節のインサートに近似した形状をなしている。より具体的には、内側及び外側に位置する靱帯の間に配置される大きさをなし、膝の裏側にて靱帯が配置される部位には手前側に湾曲する窪み2c、3i、4kが設けられ、手前側は、膝蓋骨の内側に配置される大きさをなしている。そして、並べられた内側当接部3aと外側当接部4aとは、脛骨側本体部2a上にて当該脛骨側本体部2aと重なるように配置される。
また、図2に示すように、装置本体部5と、脛骨当接部2、内側大腿骨当接部3、及び外側大腿骨当接部4との角度θは、95度〜100度に設定されて、脛骨当接部2が装置本体部5に、内側大腿骨当接部3が内側移動体60に、外側大腿骨当接部4が外側移動体70にそれぞれ取り付けられている。より具体的には、脛骨当接部2の下面と、内側移動体60及び外側移動体70の移動方向、すなわち移動体挿通孔5aに沿う方向とがなす角度θが、95度〜100度に設定されている。この角度θが95度以上であることにより、バランサー装置1の使用時に装置本体部5が、大腿骨Fよりも前方に突出している脛骨Tの脛骨粗面Taと接触することを防止することができる。この角度θが100度以内であるので、装置本体部5と脛骨当接部2、内側大腿骨当接部3、及び外側大腿骨当接部4との角度が大きくなりすぎることによって操作性に劣るということがない。
内側大腿骨当接部3と外側大腿骨当接部4の上面、すなわち、大腿骨トライアルFcの底部Fcaが当接する部位は、下方に窪む曲面Rでなる凹部3c、4cが各々設けられている。より具体的には、膝の表裏方向において、表側となる手前側の部位3d、4d及び裏側となる奥側の部位3e、4eよりも中央部が低い湾曲面を有しており、奥側の盛り上がった部位3e、4eの更に奥側には、奥側端部に向かって漸次低くなる勾配部3f、4fが設けられている。
内側大腿骨当接部3と外側大腿骨当接部4の凹部3c、4cには、大腿骨トライアルFcの底部Fcaに設けられている突部Fcbがそれぞれ配置され、膝の伸展時及び屈曲時にも大腿骨Fと脛骨Tとの相対位置が保たれて、正常な膝関節の状態が再現されている。このとき、湾曲する凹部3c、4cの曲率κ1(=1/r1、r1は凹部3c、4cの曲率半径)は、大腿骨トライアルFcの底部Fcaが有する突部Fcbの曲率κ2(=1/r2、r2は突部Fcbの曲率半径)よりも小さく形成されており、膝の伸展時及び屈曲時と同様に底部Fcaが摺動しつつ大腿骨Fと脛骨Tとが回動する、正常な膝関節の状態が再現されている。
図4、図5に示すように、内側当接部3aは内側アーム部3bから外側に張り出し、外側当接部4aは外側アーム部4bから外側に張り出して、すなわち内側当接部3a及び外側当接部4aは、いずれも各アーム部3b、4bの延長線から外側にオフセットして設けられている。内側当接部3aの膝内外方向における中心線は内側アーム部3bの延長線よりも外側に位置し、外側当接部4aの上記中心線は外側アーム部4bの延長線よりも外側に位置することが好ましい。同図に示すように、内側当接部3a及び外側当接部4aは、いずれも外側アーム部4bよりも外側に張り出すことが好ましい。また、外側当接部4aは外側アーム部4bの延長線よりも外側のみに存在することが好ましい。さらに、内側アーム部3b及び外側アーム部4bは、脛骨側本体部2aの膝内外方向における中心線より膝の内外方向における内側に位置することが好ましい。具体的には、内側アーム部3bの延長線は、脛骨側本体部2aの膝内外方向における中心線より内側に位置することが好ましい。また、外側アーム部4bの延長線は、脛骨側本体部2aの膝内外方向における中心線より内側に位置することが好ましい。これにより、内側アーム部3b及び外側アーム部4bは、施術時において膝内外方向における中央よりも内側にて延出することとなる。
内側アーム部3bは、内側大腿骨当接部3の内側端3gに向けて延出し、該内側端3gの近傍に連結されている。内側アーム部3bの手前側の端部は内側に延出されており、内側移動体60に固定される内側固定部3hをなしている。外側大腿骨当接部4の外側アーム部4bは、外側当接部4aの内側の側面4gにおける手前側の部位から内側かつ手前側に延出された傾斜部4hと、傾斜部4hの手前側の端から表裏方向に沿って手前側に延出される手前側延出部4iと、を有しており、手前側延出部4iの端部は外側に延出されており、外側移動体70に固定される外側固定部4jをなしている。上述したように、内側当接部3aは内側アーム部3bから外側に張り出し、外側当接部4aは外側アーム部4bから外側に張り出しているので、大腿骨と脛骨との間に脛骨側本体部2a、内側当接部3a及び外側当接部4aを配置しつつも大腿骨と脛骨との正面側は空いているので、脛骨側本体部2a、内側当接部3a、及び、外側当接部4aを挿入する際に、一旦膝の外側に移動させた膝蓋骨を大腿骨と脛骨との正面に戻して配置することが可能である。このため、施術前の膝の状態により近い状態にてバランサー装置を使用することが可能となっている。
内側移動体60に固定された内側大腿骨当接部3の内側アーム部3bと、外側移動体70に固定された外側大腿骨当接部4の外側アーム部4bの手前側延出部4iとは、上装置本体部5dの内外方向における中央に近接させて並ぶように配置され、外側アーム部4bの傾斜部4hが内側当接部3aの手前側の部位に沿そうように膝の裏側に向かいつつ膝の外側に向かって延出されて外側当接部4aが内側当接部3aの外側に位置するように配置されている。
外側当接部4aが内側当接部3aの外側に並び脛骨側本体部2aと重なった状態で、内側当接部3a、外側当接部4a、及び、脛骨側本体部2aは、上方から見たときの形状が、人工膝関節のインサートに近似した形状をなしている。また、外側アーム部4bは、内側アーム部3bよりも長くなるため、靱帯の緊張力が作用したときのモーメントが大きくなる。このため、外側アーム部4bが内側アーム部3bよりも太く、高い剛性を備えるように構成されている。このとき、内側アーム部3bを外側アーム部4bと同様に太くしないのは、施術時における患者の皮膚の切開量をより小さく抑えるため、及び、バランサー装置1の軽量化のためである。
内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4の下に配置される脛骨当接部2の脛骨アーム部2bは、内側大腿骨当接部3の内側アーム部3bにおける内側の縁3jと外側大腿骨当接部4の外側アーム部4bにおける外側の縁4lとの間に設けられている。本実施形態においては、脛骨アーム部2bは、内側大腿骨当接部3の内側アーム部3bと外側大腿骨当接部4の外側アーム部4bの手前側延出部4iとを合わせた形状に近似した形状をなしている。ここで、脛骨アーム部2bは、内側アーム部3bにおける内側の縁3jと外側アーム部4bにおける外側の縁4lとの間であれば、内側アーム部3bと外側アーム部4bとを合わせた大きさよりも細くても構わない。
また、隣り合う内側当接部3aと外側当接部4aの境界部分は近接しており、内外方向における膝の中央に位置するように構成されている。一方、内側アーム部3bと外側アーム部4bとの境界位置は、膝の中央位置よりも大幅に内側に配置されているので、内側当接部3aと外側当接部4a及び脛骨側本体部2aが大腿骨トライアルFcと切除後の脛骨Tとの間に挿入されると、内側当接部3aと外側当接部4aの境界位置が視認できなくなる。このため、本バランサー装置1には、図6に示すように、内側当接部3a及び外側当接部4aの中央位置(境界位置)を示す中央表示部76が設けられている。
本実施形態の中央表示部76は、内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4が取り付けられている内側移動体60及び外側移動体70に設けられ、取り付けられた状態における内側当接部3a及び外側当接部4aの境界となる直線Lの延長線上であって、各移動体60、70の上移動部60b、70bと、内側固定部3h及び外側固定部4jとに設けられた中央貫通孔66a、76aと、中央貫通孔66a、76aに挿通されるロッド76bと、により構成されている。すなわち、上移動部70bに挿通されたロッド76bが指向する方向により内側当接部3a及び外側当接部4aの中央位置が指し示される。
このとき、左膝用のバランサー装置1と、右膝用のバランサー装置1とでは、膝の内外方向が反対となり、脛骨当接部2、内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4は互いに反対側に張り出すので、施術する膝にあわせて各々外側に位置する中央貫通孔66a、76aが中央表示部76として用いられる。このとき、図示するようにロッドをL字状に形成し、先端を六角レンチ状になしておくことにより、内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4等の取り付けや、ピニオン72の操作工具として兼用することが可能である。尚、例えば、バランサー装置1が、左膝専用または右膝専用の仕様であれば、中央表示部76は、必ずしも2箇所に設けられている必要はなく一方のみに設けられていればよい。
次に、本バランサー装置1を用いて、患者に装着する人工膝関節におけるインサートの適切な厚みの目安となる値を測定する方法について左膝を例に挙げて説明する。
まず、患者の膝を90度に曲げた屈曲位にした状態で、左膝の皮膚を縦に切開して膝蓋骨(不図示)を露出させ、膝蓋骨を膝の外側に移動させる。
次に、脛骨Tの損傷部を切除し、大腿骨Fの損傷部を切除して遠端位に大腿骨トライアルFcを取り付ける。
次に、膝を約90度に曲げた状態で、大腿骨トライアルFcと切除後の脛骨Tとの間にバランサー装置1の脛骨側本体部2aと内側当接部3a及び外側当接部4aとを挿入する。このとき、図7(a)に示すように、バランサー装置1の内側当接部3a及び外側当接部4aは、最も脛骨側本体部2a側に降下している。尚、図7(a)、図7(b)、図7(c)においては、大腿骨F、大腿骨トライアルFc、脛骨T、膝蓋骨を省略している。本実施形態では、内側当接部3a及び外側当接部4aは、脛骨側本体部2aと、上下方向において対面して当接した状態で挿入され、挿入された脛骨側本体部2aと内側当接部3a及び外側当接部4aは、内側当接部3a及び外側当接部4aの凹部3c、4cに大腿骨トライアルFcの突部Fcbが位置するように配置される。
次に、外側に移動させた膝蓋骨を元の位置に戻す。戻された膝蓋骨は、脛骨アーム部2b、内側アーム部3b及び外側アーム部4bの外側であって、脛骨側本体部2a、内側当接部3a及び外側当接部4aと装置本体部5との間に配置される。このとき、図7(b)に示すように、外側の中央貫通孔76aにロッド76bを挿通させて、挿入された脛骨側本体部2aと内側当接部3a及び外側当接部4aが膝の中央位置に配置されていることを確認する。
次に、図7(c)に示すように、六角孔72aに六角レンチ9を挿入してピニオン72を回動させて脛骨側本体部2aと内側当接部3aまたは外側当接部4aのいずれかとの間隔を広げていく。より具体的には、六角孔72aには、六角レンチ9が取り付けられているトルクドライバー10を用いて六角孔72aを回転させる。このとき、トルクドライバー10は所望のトルクに設定されており、トルクドライバー10を回し、設定したトルクを超えてトルクドライバー10が空回りしたところでトルクドライバー10を回す操作を停止する。この操作により、靭帯が所望の緊張力をなしている状態になっている。このとき、規制機構73により内側大腿骨当接部3または外側大腿骨当接部4の降下は規制されているので、脛骨側本体部2aと内側当接部3aまたは外側当接部4aとの間隔は維持される。
靭帯が所望の緊張力をなす状態になるように、脛骨側本体部2aと内側当接部3a及び外側当接部4aとの間隔を調節した後に、外側移動体70の平面突出部70dに設けられている目盛70eを読むことにより患者に装着する人工膝関節におけるインサートの適切な厚みの目安となる値が認識される。
目盛70eを読み取った後には、規制突出部74bを内側に押圧して規制片74aと規制歯70cとの係合を解除し、内側当接部3a及び外側当接部4aを降下させてバランサー装置1を取り外す。
本実施形態のバランサー装置1によれば、大腿骨F側において膝の内側に配置される内側大腿骨当接部3と、大腿骨F側において膝の外側に配置される外側大腿骨当接部4とは、それぞれ独立して上下方向の位置、すなわち脛骨当接部2との間隔を変更することができる。このため、大腿骨Fの内側部分と外側部分とを各々別々に脛骨Tとの距離を設定することが可能である。よって、本バランサー装置1によれば、内側当接部3a及び外側当接部4aと脛骨側本体部2aとの間隔を、膝の内側と外側とで各靭帯による緊張力のバランスが適切になる状態とすることができる。
このとき、大腿骨Fと脛骨Tとの間にて脛骨側本体部2aを脛骨T側に配置し、且つ、大腿骨F側であって、膝の内側に内側当接部3aを配置し、膝の外側に外側当接部4aを配置しつつも脛骨アーム部2b、内側アーム部3b、及び、外側アーム部4bを膝の正面よりも内側に配置することが可能である。すなわち、大腿骨Fと脛骨Tとの間に脛骨側本体部2a、内側当接部3a、及び、外側当接部4aを配置しつつも大腿骨Fと脛骨Tとの正面側は空いているので、脛骨側本体部2a、内側当接部3a、及び、外側当接部4aを挿入する際に、一旦膝の外側に移動させた膝蓋骨を大腿骨Fと脛骨Tとの正面に戻して配置することが可能である。このため、健常な膝の状態により近い状態にてバランサー装置1を使用することが可能である。
また、内側当接部3aは内側アーム部3bよりも外側に張り出し、外側当接部4aは外側アーム部4bよりも外側に張り出しているので、脛骨アーム部2b、内側アーム部3b、及び、外側アーム部4bを膝の正面よりも内側により確実に配置することが可能である。
また、バランサー装置1は、内側アーム部3bと外側アーム部4bとが、互いに近接して配置されているので、内側アーム部3bと外側アーム部4bとが左右方向に占める幅が狭くなる。このため、大腿骨Fと脛骨Tとの間に脛骨側本体部2a、内側当接部3a、及び、外側当接部4aを配置した際に大腿骨Fと脛骨Tとの正面側をより広く空けておくことが可能である。
脛骨Tの近位端よりも脛骨粗面Taの方が前方(奥行方向の手前側)に突出する。このため、バランサー装置1を使用すると、装置本体部5が脛骨粗面Taに接触する虞がある。このとき、装置本体部5と、脛骨側本体部2aとがなす角度が90度の場合には、前方に突出する脛骨粗面Taを避けるべく脛骨アーム部2b、内側アーム部3b及び外側アーム部4bを長くする必要がある。しかしながら、脛骨アーム部2b、内側アーム部3b及び外側アーム部4bを長くすると、脛骨側本体部2aと内側当接部3a及び外側当接部4aとの間隔を広げる際に作用するモーメントが大きくなるため脛骨アーム部2b、内側アーム部3b及び外側アーム部4bの剛性を確保すべく大きく、断面を大きくしなければならない。これにより、皮膚の切開量を大きくしなければならず、その場合には、完治までの時間が長くなると共に、感染症を発症する虞が生じる。
これに対し、本バランサー装置1にように、装置本体部5と、脛骨側本体部2aとがなす角度を95度〜100度にすることにより、前方に突出する脛骨粗面Taを避けつつ内側アーム部3b及び外側アーム部4bを短くすることが可能である。このため、内側アーム部3b及び外側アーム部4bをより細く、より短くして、皮膚の切開量をより小さく抑えることが可能である。
また、内側当接部3aと外側当接部4aとを合わせた形状、及び、脛骨側本体部2aの形状が、人工膝関節のインサートに近似した形状をなしている。このため、インサートを挿入したときのイメージが掴みやすく、かつ、インサートを挿入したときの高い再現性を得ることが可能である。
また、本バランサー装置1は、脛骨側本体部2aの、膝の内外方向における中央位置を示す中央表示部76を有しているので、大腿骨Fと脛骨Tとの間に挿入されて視認することができなくなった脛骨側本体部2a、及び、合わせた形状が脛骨側本体部2aと近似している内側当接部3aと外側当接部4aの中央位置を、中央表示部76により確認することが可能である。このため、脛骨側本体部2a、内側当接部3a及び外側当接部4aをより適切な位置に配置することが可能である。
また、中央表示部76が、内側移動体60及び外側移動体70に設けられた表裏方向に貫通する中央貫通孔76aと、中央貫通孔76aに挿通されて突出するロッド76bとにより構成されているので、挿通させたロッド76bを突出させて内側当接部3a及び外側当接部4aの中央位置を確認することはもとより、内側当接部3a及び外側当接部4aを大腿骨Fまたは大腿骨トライアルTcと脛骨Tとの間に挿入するときには、ロッド76bを外しておくことにより、内側当接部3a及び外側当接部4aの挿入を妨げず、挿入後にロッド76bを挿通するだけで、即座に中央位置を認識することが可能である。
ピニオン72を回動させる六角孔72aを操作して、内側移動機構6により内側大腿骨当接部3、または、外側移動機構7により外側大腿骨当接部4を脛骨側本体部2aから離れる方向に移動させるときには、靱帯の緊張力に抗して内側大腿骨当接部3または外側大腿骨当接部4が移動する。このため、上記バランサー装置1のように、内側大腿骨当接部3または外側大腿骨当接部4が脛骨当接部2に近づく方向への移動を規制する規制機構73が設けられている場合には、移動させた内側大腿骨当接部3または外側大腿骨当接部4を移動させた位置に保持することができるので操作性が向上する。
また、装置本体部5を保持可能な把持部8が設けられているので、把持部8により装置本体部5を保持しつつ六角孔72aを容易に操作することが可能である。また、把持部8は取り外し可能なので、不要なときには把持部8を外しておくことが可能である。このため、把持部8は使用時における操作を妨げず、また必要な際には即座に取り付けることができるので、更に操作性に優れたバランサー装置1を提供することが可能である。
また、内側当接部3a及び外側当接部4aが、表裏方向において中央部が窪む曲面をなす凹部3c、4cを有しているので、膝関節の屈曲状態及び伸展状態において、当接する大腿骨Fまたは大腿骨トライアルFcとの接点を中央部の凹部3c、4cに位置させることが可能である。このとき、内側当接部3a及び外側当接部4aの曲面の曲率κ1が大腿骨Fまたは大腿骨トライアルFcの底部Fcaの曲率κ2よりも小さいので、大腿骨Fまたは大腿骨トライアルFcの底部Fcaが内側当接部3a及び外側当接部4aの曲面上にて摺動しつつ大腿骨Fまたは大腿骨トライアルFcを滑らかに回動させることが可能である。このように、大腿骨Fまたは大腿骨トライアルFcが内側当接部3a及び外側当接部4aの曲面上の所定の位置で安定して配置されている場合には、靱帯との相対位置が変化しないので、より正確な靱帯の緊張力を作用させてバランサー装置1を使用することが可能である。
上記実施形態においては、中央表示部76を、装置本体部5及び各移動体60、70に設けられた中央貫通孔76aとロッド76bとにより構成する例について説明したがこれに限るものではない。例えば、内側当接部及び外側当接部の境界となる直線Lの延長線上にて膝側に向かって突出する突起や、外側移動体70上に、内側当接部及び外側当接部の境界となる直線Lの延長線が視認可能に設けられていてもよい。
上記実施形態においては、切除後の大腿骨Fに装着された大腿骨トライアルFcと切除後の脛骨Tとの間隔を測定する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、図8に示すように、脛骨のみ切除して、切除後の脛骨Tと大腿骨Fとの間隔を上記バランサー装置1により測定することが可能である。このとき、湾曲する凹部3c、4cの曲率κ1は、大腿骨Fの底部Faが有する突部の曲率κ3よりも小さく形成されている。また、内側当接部3a及び外側当接部4aの上面が平坦な内側大腿骨当接部3及び外側大腿骨当接部4を用いることにより、図9に示すように、切除後の脛骨Tと切除後の大腿骨Fとの間隔も測定することが可能である。
上記バランサー装置1は、図10、図11に示すように、内側当接部3a及び外側当接部4aに当接された大腿骨トライアルFcの底部Fcaまたは大腿骨Fの底部Faの傾きを示す傾斜表示部12を取り付けることが可能である。
傾斜表示部12は、外側移動体70の中央貫通孔76aに挿入される第一軸部13と、内側移動体60の中央貫通孔66aに挿入される脚部14aを備えた表示部本体14と、表示部本体14に設けられた第二軸部15と、第二軸部15に回動自在に支持される指示針16と、を有している。
第一軸部13は、奥行き方向において手前側に突出するように中央貫通孔76aに挿入される。このとき、第一軸部13は、移動不能に外側移動体70に保持され、また、容易に取り外せる程度に、僅かなしめしろを有して取り付けられる。
表示部本体14は、装置本体部5の手前側の壁部5fと対向する板状の表示板部14bと、表示板部14bから奥行き方向において奥側に突出させて設けられた脚部14aと、を有している。脚部14aは、中央貫通孔66aに挿入されると移動不能に内側移動体60に保持され、また、容易に取り外せる程度に、僅かなしめしろを有して取り付けられる。
脚部14aが中央貫通孔66aに挿入された状態では、表示板部14bが装置本体部5の手前側の壁部5fと奥行き方向に間隔を隔てて配置され、内側移動体60に係止されて移動が規制されている。このとき、表示板部14bは、内側移動体60及び外側移動体70とも奥行き方向に間隔を隔てて対向している。
表示板部14bの手前側の面、すなわち、脚部14aとは反対側の面には、脚部14aと同心をなす第二軸部15が設けられている。第二軸部15は、奥行き方向に沿って手前側に設けられている。表示板部14bにおいて外側移動体70と対向する部位には、中央貫通孔76aに挿入された第一軸部13が貫通する第一軸貫通孔14cが設けられている。第一軸部13は、外側移動体70とともに移動するので、第一軸貫通孔14cは、外側移動体70の移動方向となる上下方向に長い長孔をなしている。また、表示板部14bには、第一軸貫通孔14cの脇に、指示針16により指し示される目盛14dが設けられている。
指示針16は、一方の端部側に第二軸部15が回動自在に挿通される回動孔16aを有しており、他方の端部側に第一軸部13が回動かつ長手方向に移動自在に挿通される長孔でなる挿通孔16bが設けられている。
傾斜表示部12は、上移動部70bが装置本体部5上に載置されて上移動部60b、70bの下面が装置本体部5の上面に当接された状態、すなわち、内側当接部3a及び外側当接部4aが脛骨側本体部2aと対面して当接している状態では、指示針16は図10に示すように、水平を示す目盛14dを指し示している。
そして、ピニオン72を回動させて脛骨側本体部2aと内側当接部3aまたは外側当接部4aのいずれかとの間隔を広げることにより指示針16が傾き、指示針16が、内反または外反している大腿骨Fの傾斜角度を指し示す。
本実施形態の傾斜表示部12を備えたバランサー装置1によれば、大腿骨トライアルFcの底部Fcaまたは大腿骨Fの底部Faにおいて膝の内側に配置される内側当接部3aと、大腿骨トライアルFcの底部Fcaまたは大腿骨Fの底部Faにおいて膝の外側に配置される外側当接部4aとを、移動機構6、7によりそれぞれ移動させて脛骨側本体部2aとの間隔を変更するだけで、大腿骨トライアルFcの底部Fcaまたは大腿骨Fの底部Faの傾きを視認することが可能である。
また、一方の端部側が第二軸部15に回動自在に設けられた指示針16は、他方側に第一軸部13が挿通されているので、内側移動体60及び外側移動体70の移動による相対位置の変化により回動し、当該指示針16自身の傾斜が変化する。このため、指示針16の傾斜によって大腿骨トライアルFcの底部Fcaまたは大腿骨Fの底部Faの傾きの有無及び度合いを視認することが可能である。
また、表示部本体14を貫通する第一軸部13は、内側移動体60及び外側移動体70の移動により、第二軸部15とともに内側移動体60または外側移動体70に設けられた表示部本体14に対して相対移動する。このため、内側移動体60及び外側移動体70の移動により傾斜した指示針16の指し示す目盛14dにより、大腿骨トライアルFcの底部Fcaまたは大腿骨Fの底部Faの傾きをより正確に認識することが可能である。
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本発明は、人工膝関節を設置する際に利用することができる。
1 バランサー装置
2 脛骨当接部
2a 脛骨側本体部
2b 脛骨アーム部
2c 窪み
3 内側大腿骨当接部
3a 内側当接部
3b 内側アーム部
3c 凹部
3d 膝の手前側の部位
3e 膝の奥側の部位
3f 勾配部
3g 内側大腿骨当接部の内側端
3h 内側固定部
3i 窪み
3j 内アームの内側の縁
4 外側大腿骨当接部
4a 外側当接部
4b 外側アーム部
4c 凹部
4d 膝の手前側の部位
4e 膝の奥側の部位
4f 勾配部
4g 外側大腿骨当接部の内側の側面
4h 傾斜部
4i 手前側延出部
4j 外側固定部
4k 窪み
4l 外アームの外側の縁
5 装置本体部
5a 移動体挿通孔
5b 内側筒部
5c 外側筒部
5d 上装置本体部
5e 上面
5f 壁部
5g 開放部
5h ガイド
5i 内側側面
5j 外側側面
5k 螺合取付部
6 内側移動機構
7 外側移動機構
8 把持部
9 六角レンチ
10 トルクドライバー
12 傾斜表示部
13 第一軸部
14 表示部本体
14a 脚部
14b 表示板部
14c 第一軸貫通孔
14d 目盛
15 第二軸部
16 指示針
16a 回動孔
16b 挿通孔
60 内側移動体
60b 上移動部
62a 六角孔
66a 中央貫通孔
70 外側移動体
70a 軸状部
70b 上移動部
70c 規制歯
70d 平面突出部
70e 目盛
70f 溝
71 ラック
72 ピニオン
72a 六角孔
73 規制機構
74 規制部材
74a 規制片
74b 規制突出部
74c 爪
75 ばね
76 中央表示部
76a 中央貫通孔
76b ロッド
F 大腿骨
Fa 大腿骨の底部
Fc 大腿骨トライアル
Fca 大腿骨トライアルの底部
Fcb 大腿骨トライアルの突部
T 脛骨
Ta 脛骨粗面
Tc 脛骨トライアル

Claims (13)

  1. 人工膝関節を設置するために大腿骨と脛骨との間にて用いられるバランサー装置であり、
    装置本体部と、
    前記装置本体部に固定されて前記脛骨の近位端側に配置される脛骨側配置部と、
    前記脛骨側配置部と前記大腿骨の遠位端との間であって膝の内側に配置される内側大腿骨側配置部と、
    前記脛骨側配置部と前記大腿骨の遠位端との間であって膝の外側に配置される外側大腿骨側配置部と、
    前記内側大腿骨側配置部が連結され、前記脛骨側配置部と前記内側大腿骨側配置部との間隔を変更すべく前記装置本体部に対して移動可能に設けられる内側移動体と、
    前記外側大腿骨側配置部が連結され、前記脛骨側配置部と前記外側大腿骨側配置部との間隔を変更すべく前記装置本体部に対して移動可能に設けられる外側移動体と、
    を備えたバランサー装置であって、
    前記脛骨側配置部は、一端が前記装置本体部に固定される脛骨アーム部と、前記脛骨アーム部の他端に設けられて前記脛骨側に配置される脛骨側本体部と、を有し、
    前記内側大腿骨側配置部は、一端が、前記内側移動体に連結される内側アーム部と、前記内側アーム部の他端に設けられて前記大腿骨側に配置される内側本体部と、を有し、
    前記外側大腿骨側配置部は、一端が前記外側移動体に連結される外側アーム部と、前記外側アーム部の他端に設けられて前記大腿骨側に配置される外側本体部と、を有し、
    前記内側本体部は前記内側アーム部から外側に張り出し、前記外側本体部は前記外側アーム部から外側に張り出して設けられていることを特徴とするバランサー装置。
  2. 前記脛骨アーム部は、膝の内外方向において前記内側アーム部の内側の端と前記外側アーム部の外側の端との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバランサー装置。
  3. 前記内側アーム部と前記外側アーム部とは、互いに近接して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバランサー装置。
  4. 前記装置本体部と、前記脛骨側配置部とがなす角度は95度〜100度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバランサー装置。
  5. 前記内外方向に並ぶ前記内側本体部と前記外側本体部とを合わせた形状、及び、前記脛骨側本体部の形状は、前記大腿骨側から見たときに、前記人工膝関節のインサートに近似した形状をなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバランサー装置。
  6. 前記脛骨側本体部の、前記膝の前記内外方向における中央位置を示す中央表示部を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバランサー装置。
  7. 前記中央表示部は、前記内側移動体及び前記外側移動体の少なくとも一方において、前記内側本体部と前記外側本体部との境界をなす位置の延長線上に設けられ、前記表裏方向に貫通する中央貫通孔と、
    前記中央貫通孔に、前記膝の表側から裏側に向かって挿通されて前記内側本体部及び前記外側本体部の側に突出するロッドと、
    を有することを特徴とする請求項6に記載のバランサー装置。
  8. 前記内側移動体または前記外側移動体を移動させる移動機構を有し、
    前記移動機構は、前記内側大腿骨側配置部または前記外側大腿骨側配置部を前記脛骨側配置部から離れる方向に移動させるための移動操作部と、
    前記内側大腿骨側配置部または前記外側大腿骨側配置部が前記脛骨側配置部に近づく方向への移動を規制する規制機構と、
    前記規制を解除する解除機構と、
    を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のバランサー装置。
  9. 前記装置本体部には、当該装置本体部を保持可能な把持部が取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のバランサー装置。
  10. 前記内側配置部及び前記外側配置部は、前記大腿骨または該大腿骨に装着される大腿骨トライアルの底部に当接され、
    前記表裏方向において中央部が窪む曲面をなしており、当該曲面の曲率は、前記大腿骨または前記大腿骨トライアルの前記底部の曲率よりも小さいことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のバランサー装置。
  11. 前記内側移動体及び前記外側移動体の移動に基づいて、前記大腿骨または前記大腿骨トライアルの前記底部の傾きを示す傾斜表示部を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のバランサー装置。
  12. 前記傾斜表示部は、
    前記内側移動体及び前記外側移動体のうちのいずれか一方に設けられ前記表裏方向に沿う第一軸部と、
    前記内側移動体及び前記外側移動体のうちの他方に設けられ前記表裏方向に沿う第二軸部と、
    一方の端部側が前記第二軸部に回動自在に設けられ、他方の端部側に設けられた挿通孔に前記第一軸部が挿通された指示針と、
    を有していることを特徴とする請求項11に記載のバランサー装置。
  13. 前記傾斜表示部は、
    前記第二軸部が設けられた前記内側移動体または前記外側移動体に係止され、前記第一軸部が貫通する第一軸貫通孔と、前記傾きを示す目盛と、を有する表示部本体を備え、
    前記指示針は、前記内側移動体及び前記外側移動体の移動に伴って回動し、前記目盛を指し示すことを特徴とする請求項12に記載のバランサー装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023120506A1 (ja) * 2021-12-22 2023-06-29 帝人ナカシマメディカル株式会社 人工膝関節全置換術用計測装置

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