JP6758055B2 - トレイ - Google Patents
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Description
また、前記結晶性ポリエステル系樹脂層の厚みが20〜100μm、前記接着性樹脂層の厚みが0.5〜3μm、前記ポリオレフィン系樹脂層の厚みが200〜700μmであり、前記接着性樹脂層は2液硬化型接着剤の硬化物層であってもよい。
図1の(a)に示すように、本実施形態に係るトレイ100は窪み部Dが設けられたシートSを備える。
ポリオレフィン系樹脂層30は、ポリオレフィンを主成分とする層である。ポリオレフィンとは、オレフィン類の重合体である。ポリオレフィンの例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体である。
ポリオレフィンは、α−オレフィンを含むオレフィンの重合体であってもよい。α−オレフィンは、炭素数4以上であり、好ましくは、炭素数4〜12のα−オレフィンである。炭素数4〜12のα−オレフィンの具体例を挙げれば、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどの直鎖状モノオレフィン類;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどの分岐状モノオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどである。
さらに、高温時の剛性を持たせるために、造核剤としてではなく、タルクを5〜30重量%で含有することも好ましい。
接着性樹脂層20は、ポリオレフィン系樹脂層30と結晶性ポリエステル系樹脂層10とを接着する。接着性樹脂層20は、これらを接着可能であれば特に限定されない。接着性樹脂層20の例は、脂肪族ポリエステル系接着剤、芳香族ポリエステル系接着剤、脂肪族ポリエーテル系接着剤、芳香族ポリエーテル系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤などの2液硬化型接着剤の硬化物である。これらのうちで、高い接着性と食品用途への使用のし易さからは、脂肪族ポリエステル系接着剤が最も好ましい。
例えば、2液硬化型接着剤はドライラミネート法によりポリオレフィン系樹脂シートとポリエステル系樹脂フィルムを積層する際に用いることができる。また、熱可塑性樹脂を接着性樹脂層とする場合は、ポリオレフィン系樹脂及び結晶性ポリエステル系樹脂とともに接着性樹脂層を共押出法により積層でき、また、熱可塑性樹脂である接着性樹脂をシート状に押出し、ポリオレフィン系樹脂シートと結晶性ポリエステル系樹脂フィルムとの間でサンドイッチする押出ラミネート法などにより積層することもできる。
結晶性ポリエステル系樹脂層10は結晶性ポリエステルを主成分とする。結晶性ポリエステルとしては、従来公知のものを使用することができる。その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタテート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート及びポリブチレンナフタレートが挙げられる。これらの中で、トレイの耐熱性をより向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等が挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
また、ポリオレフィン系樹脂層の表面温度は、当該ポリオレフィン層を成形できかつシートとして自立できる範囲内で適宜調節すればよい。
なお、結晶性ポリエステル系樹脂層の表面温度を直接測定して制御することは困難である。したがって、シートの結晶性ポリエステル系樹脂層をヒーターで加熱する際の、当該ヒーターの設定温度(電力)、ヒータにより加熱を行う時間等を適宜調節することにより、型に押しつける際のシートの結晶性ポリエステル系樹脂層の表面温度を制御し、複屈折が小さくなるように制御できる。
また、金型の温度をある程度高く(例えば、PETでは80〜100℃程度)しておくことも効果的であり、上記の加熱条件と組み合わせることも好適である。
未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東和化工株式会社製:厚み20μm、幅=500mm)をドライラミネーターの繰り出し機に取り付け、2液混合型脂肪族ポリエステル系接着剤を有機溶剤に希釈して調整した接着剤を含む溶液を、乾燥後の膜厚が2μmとなるようにグラビア塗布した。その後、80℃に温度制御したオーブン中に通し、有機溶剤を揮発させ、除去した。さらに、接着剤面に厚み280μmのポリプロピレンシート(融点=164℃)を重ね、ニップロールにて積層した。40℃で2日間エージングしてシート1を得た。
シート1をバッチ式の真空成形機に取り付け、200℃に設定したヒーターでシートのポリプロピレン側(凹状金型側)を、530℃に設定したヒーターでシートのポリエチレンテレフタレート側を同時に10秒間加熱した。加熱されたシートを、窪み部を有する金型の内面に、プラグアシストしながら真空により押しつけて、窪み部を有するトレイを複数得た。トレイの形状は、縦50mm×横83mm×窪み部の深さ28mmとした。真空成形時の金型温度は90℃とした。トレイの窪み部Dの内側にPET層が来るように成形した。
1つのトレイの窪み部の側面部からシートのサンプルを切り出し、その後、サンプルからポリエチレンテレフタレート層を変形させないように他の2層を剥離して、PET単層を得た。そして、当該PET単層に対して、大塚電子株式会社製位相差測定設備RE100を用いて位相差ΔRを求め、さらに、PET単層の測定部位の厚みdを株式会社キーエンス社製変位系GT2を用いて測定した。複屈折=ΔR/厚みdより複屈折を求めた。測定波長は550nmとした。実施例1のPET層の複屈折は1.4×10−3であった。
1つのトレイの窪み部の側面部からシートのサンプルを切り出し、その後、ポリエチレンテレフタレート層を変形させないように他の2層を剥離して、PET単層を得た。このPET単層に対して、DSCにより昇温速度10℃/min、窒素フロー50ml/minで測定し、ΔH結晶化、ΔH結晶化、|ΔH結晶化/ΔH融解|をそれぞれ求めた。結晶化に伴うピークが確認できない場合には、ΔH結晶化は0とした。|ΔH結晶化/ΔH融解|は0であった。
成形した別のトレイに市販のサラダ油を底部より10mm高さまで注ぎ、電子レンジ中に静置したのち、1800Wで加熱した。安立計器株式会社製光ファイバー式温度計FL2400により加熱中の油の温度を計測し、200℃になるまで加熱して、トレイの窪み部の変形の有無を確認した。実施例1では、200℃まで目視での変形は見られなかった。
270℃に設定した50mmΦ押出機(押出機A)に150℃で4時間乾燥させたポリエステル樹脂(PET:SHINKONG社製、SHINPETTM5522W)を、同じく260℃に設定した50mmΦ押出機(押出機C)に接着性樹脂(三井化学株式会社製アドマーSF731)を、さらに280℃に設定した65mmΦ押出機(押出機B)にポリプロピレン樹脂組成物(住友化学株式会社製ノーブレンAH1311/東ソー株式会社製ニポロンハード6300=85/15)をそれぞれ投入し、280℃に設定した1000mm幅マルチマニホールドダイより押出機A/押出機C/押出機Bの順に積層し押出した。層比は押出機A/押出機C/押出機B=25/20/255μmとなるように各押出機のスクリュー回転数を調整した上で押し出し、15℃温調したゴムロールと50℃で温調した金属ロール間に挟み込み冷却することでシート2を得た。
シート2を、ポリプロピレン側のヒーターの温度を500℃に設定し、ポリエチレンテレフタレート側のヒーターの温度を200℃に設定し、金型の温度を32℃、加熱時間を20秒とする以外は実施例1と同様に真空成形して複数のトレイを得、評価した。PET層の複屈折は4.0×10−4であった。PET層の|ΔH結晶化/ΔH融解|は0.56、加熱試験においても200℃まで変形は見られなかった。
実施例2で作成したシート2を用い、真空成型して評価用トレイを得たが、その際真空成型において、ポリプロピレン側のヒーターの温度を300℃に、ポリエチレンテレフタレート側のヒーターの温度を200℃に、金型の温度を35℃に、加熱時間を40秒とした以外は、実施例2と同様に行った。PET層の複屈折は9.3×10−5であった。PET層の|ΔH結晶化/ΔH融解|は0、加熱試験においても200℃まで変形は見られなかった。
実施例2のシートの層比を押出機A/押出機C/押出機B=20/20/460μmとした以外は同様にして押出によりシート3を得た。得られたシートを真空成型して評価用トレイを得たが、その際真空成型において、ポリプロピレン側のヒーターの温度を500℃に、ポリエチレンテレフタレート側のヒーターの温度を400℃に、金型の温度は36℃、加熱時間は35秒とした以外は、実施例2と同様に行った。PET層の複屈折は8.7×10−4であった。
PET層の|ΔH結晶化/ΔH融解|は0.66、加熱試験においても200℃まで変形は見られなかった。
実施例1で得たシート1を用い、真空成型条件として390℃に設定したポリプロピレン側ヒーターと、同じく390℃に設定したポリエチレンテレフタレート側ヒーターで加熱し、金型温度を70℃とした以外は実施例1と同様に行い、トレイを製造した。PET層の複屈折は2.4×10−2であった。PET層の|ΔH結晶化/ΔH融解|は0、加熱試験において120℃で変形し、内容物が電子レンジ内に飛散した。
実施例1で得たシート1を用い、真空成型条件として470℃に設定したポリプロピレン側ヒーターと、同じく250℃に設定したポリエチレンテレフタレート側ヒーターで加熱し、真空成型金型の温度を70℃とした以外は実施例1と同様に行いトレイを製造した。ポリエステル層の複屈折は1.1×10−2であった。PET層の|ΔH結晶化/ΔH融解|は0、加熱試験において120℃で変形し、内容物が電子レンジ内に飛散した。
未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東和化工株式会社製:厚み50μm、幅=500mm)をドライラミネーターの繰り出し機に取り付け、2液混合型脂肪族ポリエステル系接着剤を有機溶剤に希釈して調整した接着剤を含む溶液を、乾燥後の膜厚が2μmとなるようにグラビア塗布した。その後、80℃に温度制御したオーブン中に通し、有機溶剤を揮発させ、除去した。さらに、接着剤面に厚み250μmのポリプロピレンシート(融点=164℃)を重ね、ニップロールにて積層した。40℃で2日間エージングしてシート1の構成違いのシート4を得た。シート4を用いてトレイを製造したが、真空成型条件として470℃に設定したポリプロピレン側ヒーターと、250℃に設定したポリエチレンテレフタレート側ヒーターで加熱し、金型温度を70℃とした以外は実施例1と同様に行い、評価用トレイを製造した。PET層の複屈折は8.6×10−3であった。PET層の|ΔH結晶化/ΔH融解|は0、加熱試験において120℃で変形し、内容物が電子レンジ内に飛散した。
実施例2で用いたシート2を用いトレイを製造した。その際、真空成型において、ポリプロピレン側ヒーター(PP側)、ポリエチレンテレフタレート側ヒーター(PET側)ともに420℃、金型の温度は30℃、加熱時間を10秒とした以外は、実施例1と同様に行った。PET層の複屈折は1.0×10−2であった。PET層の|ΔH結晶化/ΔH融解|は0.21、加熱試験において140℃で変形し、電子レンジ中に飛散した。
厚み300μmの市販のPPシートを用い、真空成型機に取付け、420℃に設定した上側ヒーターと、同じく420℃に設定した下側ヒーターで10秒間加熱し、真空成型を行った。真空成型金型の温度は30℃として評価トレイを製造した。加熱試験において140℃で変形し、内容物が電子レンジ内に飛散した。
Claims (5)
- 窪み部を有するシートを備え、前記シートは、結晶性ポリエステル系樹脂層、接着性樹脂層、及び、ポリオレフィン系樹脂層をこの順に備え、
前記窪み部における前記結晶性ポリエステル系樹脂層の複屈折が5.0×10 −3 以下であり、
前記接着性樹脂層の厚みが15〜100μmであり、
前記接着性樹脂層は熱可塑性樹脂層である、トレイ。 - 窪み部を有するシートを備え、前記シートは、結晶性ポリエステル系樹脂層、接着性樹脂層、及び、ポリオレフィン系樹脂層をこの順に備え、
前記窪み部における前記結晶性ポリエステル系樹脂層の複屈折が5.0×10 −3 以下であり、
前記接着性樹脂層の厚みが0.5〜3μmであり、
前記接着性樹脂層は2液硬化型接着剤の硬化物層である、トレイ。 - 前記結晶性ポリエステル系樹脂層の厚みが20〜100μmである、請求項1又は2に記載のトレイ。
- 前記ポリオレフィン系樹脂層の厚みが200〜700μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレイ。
- 前記窪み部の内面側に前記結晶性ポリエステル系樹脂層が配置され、前記窪み部の外面側に前記ポリオレフィン系樹脂層が配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトレイ。
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